レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

2012年10月アーカイブ


kamihate-s550.jpg『カミハテ商店』

(2012年 日本(北白川派)1時間44分) 

監督:山本起也 
プロデューサー:高橋伴明
出演:
高橋惠子、寺島進、あがた森魚

2012年11月10日(土)~ユーロスペース、11月24日(土)~京都シネマ、12月8日(土)~第七藝術劇場、12月15日(土)~神戸元町映画館、他全国順次公開


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(C)北白川派


 京都造形芸術大学の映画製作集団「北白川派」の第3作「カミハテ商店」が完成し29日、上映予定の大阪・十三の劇場で山本起也監督、プロデューサーを務めた高橋伴明監督、主演の高橋恵子(57)がPR会見を行い“自殺の名所”で雑貨屋を営む女性を描いた風変わりな映画をアピールした。

kamihate-s4.jpg―――北白川派の第3作の意図は?

高橋伴明監督:山本監督になった以上、自分には絶対撮れない映画、自分が見てみたいものを作ってもらいたいと思った。

―――高橋恵子さんは23年ぶりに主演ですが?

高橋伴明監督:当初はもっと老人で達観した人を考えていた、もうちょっと生身の人、人生途中のおばさんがいいかな、ということで「うちのカミさんはどうか」と山本監督に言った。

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―――最初にこの役を聞いた時は?

高橋恵子: 内容を知らずにオーケーした。うれしかった。(伴明監督の前作)「MADE IN JAPAN こらッ!」の時にも声かけてもらったけど、舞台と重なって出られなかったので。

山本起也監督: (恵子さんの起用は)早い段階で聞いたが、恵子さんで映画撮ってヘタなこと出来ない、と考え込んだ。最初は70歳ぐらいのおばあさんと思っていた。ひと晩考えてお願いします、と。

―――脚本読んでどうだったか?

高橋恵子:  わあ難しいな、と思ったけど(主役の)千代さんが描かれてない分、やりがいがあるなと思った。

―――恵子さんに「おばあちゃん」というセリフもあったが。

山本起也監督: 一番違和感があったのは恵子さんかな。映画の最初の方で若い女性2人が言うんだけど、おばさんぐらいの意味ですね。

kamihate-s3.jpg―――北白川派の映画は授業の一環ですか?

山本起也監督: 学生の原案を伴明監督が持ってきた。

高橋伴明監督: (監督は)ドキュメンタリーの人なんで、自殺志願者を見送る人を客観的に捉えられる、と思った。

山本起也監督: ドキュメンタリーも劇映画も、映画の山への登り方が違うだけで、私は大まじめに劇映画を作ったつもりです。千代は、どうしてこんなについてないんだろうという女ですね。

kamihate-1.jpg―――千代というキャラクターについて?

高橋恵子: 撮影しながらも(千代は)どういう気持ちで住んでいるのかな? と想像しながら彼女の闇の部分に入っていく感じで、胃が痛くなった。手掛かりがなく、想像するしかなかった。(冒頭に描かれる)お父さんの自殺が大きかったでしょうね。母の死で本当に一人になって、カミハテ商店をたたむのか、いややっていこう、前向きなものではなくて、自分の中に死ぬことは出来ないという鬱陶しい思いがずっとあった。でも、こんな風に生きていくんだ、ということを千代さんと一緒に探していって、ここで生きていくんだと覚悟が決まった。牛乳配達の若者の自殺を止めたりしてちょっとした変化はありますが。

―――断崖絶壁の絶景には魅せられるが・・・?
山本起也監督: 一目ぼれですね。現場ではテンパってたんであまり覚えてないけど、千代が父を見送った時の角度でずっと押した。そのこだわりは強かった。

―――冬の景色も春の風景もある。撮影日数は?

山本起也監督: ちょうど3週間。インの日はドカ雪で中止になったけど、雪の実景を撮れた。それがだんだん春になっていって、最後の日は春の絵が撮れました。  伴明監督 この映画には映画の神様がついていた、と思う。

kamihate-s1.jpg―――北白川派の映画は、伴明監督の「MADE IN JAPAN こらッ!」の家族崩壊に続いて自殺願望の映画になったが・・・?

高橋伴明監督: そうですね。絶対ほかでは撮れない映画を作りたい。4本目(林海象監督「弥勒」)がもう出来ていて、5本目のあとは学生から脚本、監督を公募したけど、意外なことに応募が少ない。若い人は「責任を取りたくない」という気持ちが強いようだ。

山本起也監督: 映画は団体戦なんで、今の人は苦手なのかもしれない。一人でやるのは好きみたいですがね。映画館で、大勢で映画を見るということも知らない世代ですからね。

(安永 五郎)

 

kikoeteru-furi-s550.jpg『聴こえてる、ふりをしただけ』今泉かおり監督インタビュー
(2012年 日本 1時間39分)
監督:今泉かおり
出演:野中ハナ、郷田芽瑠、越中亜希他
2012年11月3日(土・祝)~第七藝術劇場、京都みなみ会館、12月1日(土)~元町映画館他全国順次公開
公式サイトはコチラ
※第62回ベルリン映画祭ジェネレーションKプラス部門子ども審査員特別賞受賞

kikoeteru-furi-1.jpg母の喪失からはじまる、思春期入口の少女の葛藤が、ここまで静かに、冷静に、そして繊細に描かれることに驚きを隠せなかった。第7回CO2助成監督に選ばれ、本作が初長編作品となる今泉かおり監督の少女たちの目線に立った人物描写が秀逸。主人公サチが母の喪失を受け止めるまでを、友人との関わりや、親戚や先生などの大人との関わりを絡めて表現した「行間を読む映画」だ。

現在は2人の子どもの母であり、看護師の仕事にも復帰間近の今泉かおり監督が、ご主人で同日公開の『こっぴどい猫』監督の今泉力哉監督とお子様を連れてのご家族来阪キャンペーンを決行。たくましい母の顔を見せながら、自身初長編作品となる本作の脚本や演出のこだわりについて、語っていただいた。

━━━元々短編を膨らませて本作の脚本を執筆していったそうですが、主人公のさちを初めどうやってキャラクターを作り上げていったのですか?
今泉かおり監督(以下かおり監督):のんちゃんが理科の授業で脳の話を聞いたとき、おばけが怖くなくなったというのが私自身小学校6年生のときに本当に体験をしたので、それを元に短編を作り始めました。片方はおばけが怖くなくなる子、片方は魂は残ることを信じたい子という話を作ったのですが、短編でなかなかちゃんと表現が出来なくて長編へと直していくうちに、主人公の子に自分のことを投影した感じになりました。

━━━脚本も手掛けられていますが、一番こだわった点はどこですか。
かおり監督:一度書き上げたときは、さっちゃんが橋の上で泣くシーンで終わっていて、半年ぐらい脚本を触らない時期がありました。第7回CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)助成作品だったので、事務局長の富岡さんに脚本を見ていただくと「その終わり方は無責任だから、もう少し大人として責任のあるストーリーにしなさい」とアドバイスがあり、そこから後ろを考えていったんです。自分の頭では一旦終わっていたので、付け加えるのにすごく苦労しました。

━━━セリフではなく、動きやたたずまい、ちょっとした表情の変化でさちの感情を観客は読み取っていきますが、そういう演出をするのは難しかったですか?
かおり監督:さち役の野中ハナさんとはリハーサルを何回もしましたが、その時に一緒に脚本を読んで、読みながらさちの気持ちを話し合いました。野中さんも話し合ったことを台本に書いて、本番の時に自分なりの演技でやってくれた感じです。そんなに色々言わないで、野中さんの感じるように演じてもらい、ちょっと動きが早いとか、間が短いという指摘はしましたが、そこまできっちりはしなかったです。

━━━子どもの中に生まれる鬱屈した感情も描かれていましたが、監督の中にも子どもがただ「純粋で希望に満ちている存在」だけではない部分を浮き彫りにしたいという気持ちはあったのでしょうか?
かおり監督:5年生の女の子は男子よりも大人っぽくて、私自身も友達に嫉妬したことがあります。でもそんなことを忘れてただきれいなことだけを書くのは、私はそういう映画を観ると「いやだな」と思ったりするので、きたないところも持っていて、そこを描くのが正義かなと思っています。

kikoeteru-furi-s1.jpg━━━「お母さんが見守ってくれているよ」という大人たちの声掛けがとても空々しく聞こえましたが、徹底的に少女目線で描く中で、周りの大人に対してはどういう描き方をしようとされたのですか?
かおり監督:私も12歳の頃父が病気になり、なかなか気持ちを消化しきれないまま引きずって大人になったのですが、幸せなファンタジックなものを否定することで少し楽になる部分がありました。そういうのがなく、普通に真っ直ぐに大人になった人は、逆にファンタジーな部分をないと分かっていながら、どこかでまだあると信じて大人になっているんです。

そういう真っ直ぐな人は多分幸せだと思うし、世の中の多くの人はそうなのですが、そういう人は逆に子どもの時の感情をあまり覚えていない気がします。だからおばさんや、先生は真っ直ぐに大人になった人という設定で、慰め方も決して悪意のある慰め方ではなく「正しい慰め方」なんです。100%子どものときに戻って、さっちゃんの気持ちになって慰めることはできないけれど、大人としての正しい言葉をただ言っているだけという感じにしました。

━━━一方、さちの父親はさちを支えるはずが、自分が病んで会社にも行けず引きこもってしまいますね。
かおり監督:お父さんのキャラクターは、私が5年生のとき父が病気になったときは、私や兄より母が一番精神的に落ち込んでいたところから着想を得ています。子どもは分かっていない分平気でいられるけれど、大人の方が将来のことを考えたり、責任の重さで潰れていってしまうということを、私も大人になって気付いたので、キャラクターに反映させました。

━━━出産を経験したことで、書き足したというラストの展開に影響した部分はありますか?
かおり監督:自分が母親になると、母親としての責任感が生まれた気がします。最初泣いて終わるストーリーにしていたときは、大人の自分から見て「泣けてよかったね」と思っていたのですが、実際この子が大きくなってよかったとは思えないだろうなと考えたときに、さっちゃんの状況は変わらなくても、彼女自身が強くなり、お母さんも残せるものがあるようにしていきました。

━━━力哉監督は、かおり監督の作品を見て、どんな感想を持たれましたか?
今泉力哉監督:脚本を書くのが大変そうでした。また撮影中もまずスタッフがいないので、助監督や撮影などメインどころは自分の組の人が入っていて、初日終わって帰ってきたとき「今日、3シーン撮りこぼした」、翌日も「2シーン撮りこぼした」、3日目も「何シーンか撮りこぼした」と言っていたので、終わらないよと話をしていました。それだけこだわっていたんですね。

自分の中で明確にやりたいことがあるのに言葉が身についていなかったり、スタッフの方が経験があったり、スタッフも男性が多かったので細かい描写は「いや、別にこれでもいいんじゃないですか」と言われたこともあったみたいです。でも細かいところも散々こだわったのは、観た時そうなってるなと思ったし、スタッフも終わった直後は「本当、大変でしたよ」って言ってましたが、出来上がりをCO2で観た時に、「今泉さんも、ちゃんとやりましょうよ!」って言われたりしました。(笑)

嫁は普段は監督といっても看護師をしていて、この作品もちょうど育児休暇やCO2があったから撮れたけど、次いつ撮れるかわからない覚悟も見えたし、演出もすごくしっかりして観ていてすごいと思いました。あと、嘘や単純にみんないい人みたいな、そういう映画やドラマの嘘が嫌いなのは僕と共通していますね。


大事な人を失ったとき、人はその喪失にどう向き合っていくのか。周りはどう支えていくのか。母が大事に育ててきた花は、もう一つの命のモチーフのように、母の死を受け止めたさちの心を照らす。積もったほこり、触れなかった母のエプロン、そこにそっとふれる指先にまで気持ちの入った静かに主張する演技が、観るものを最後まで掴んで離さなかった。喪失を受け止める永遠のテーマを少女の目線で表現した今泉かおり監督。映画監督の妻、二児の母として子育て、看護師の仕事を続けながら、ライフワークとして映画を撮り続けるという強い意志が同じ女性としても頼もしく映る。自身のキャリアを積み重ねることで、今泉かおり監督にしか撮れない作品を今後も生み出してほしい。(江口由美)

 

koppidoineko-s1.jpg『こっぴどい猫』今泉力哉監督インタビュー
(2011年 日本 2時間10分)

監督:今泉力哉
出演:モト冬樹、内村遥、小宮一葉他
2012年11月3日(土・祝)~第七藝術劇場、京都みなみ会館、12月15日(土)~元町映画館他全国順次公開
公式サイトはコチラ

テレビ、舞台でも人気のエンターテイナーモト冬樹生誕60周年映画を手がけるのは『たまの映画』をはじめ、ドキュメンタリータッチの手法とダメ恋愛映画に定評のある今泉力哉監督。本作でもモト冬樹演じる主人公の小説家高田を取り巻く総勢15人の男女の恋愛模様が時にはリアルに、時にはシニカルに綴られ、クライマックスの還暦パーティーまでもつれ込んでいく様は圧巻だ。

奥様で『聴こえてる ふりをしただけ』の今泉かおり監督とお子様を連れてのご家族来阪キャンペーン、後半は今泉力哉監督に、モト冬樹さんの撮影エピソードや、ダメ恋愛映画を描く理由についてお話を伺った。

━━━モト冬樹さん生誕60周年を作るとなったとき、緊張しましたか?
今泉力哉監督(以下力哉監督):プレッシャーはありましたし、光栄なお話だったのですが、普段でも脚本を書くのが遅いのに、今回は全く書けなかったんです。最初昨年の4月末までに第一稿を書き上げてくれと言われて、何も書いてないのに近い状態で5月末が過ぎ去り、「一度モトさんと飲ませてください」とお願いして、ご一緒する場を設けてもらいました。モトさんは自分の過去の作品も観てくださっていて、ドキュメンタリーみたいだと面白がってくれて、そのときに「今回一緒にやって失敗しても、もう一回やればいいから」と言っていただいたのです。もう一回なんてあるんだ、ありがたいと思って、新しいことや特殊なことではなく、今まで自分がやってきたダメな若者の恋愛映画にモトさんを入れようという感じで進んでいきました。

━━━監督は現在仕事もプライベートも順調ですが、毎回ダメな恋愛を描くのはなぜですか?
力哉監督:今は結婚もしていますが、全然もてなかったり、彼女もできなかったりしたときに、世の中のカップルや夫婦などうまくいっている人たちへの嫉妬がありました。実際どちらかが好きで、どちらかが思われている関係の方が多いと思っていて、その二人の差を描くのに二人だけで描くことにも憧れはあります。でもまだ自分の力量でできないと思った時に、分かりやすく浮気相手とか第三者を置くことでその差を表していったのが一番最初で、未だにそういうことに興味はあります。

あと、今まである男と女が出会って、ロミオとジュリエットだと身分の差などの障害があって結ばれる/結ばれないという恋愛映画ではなくて、結婚していたり、つきあっていたりという状況下で起こる問題を乗り越えるか乗り越えないかというところ、つまり最終目標が達成や結婚ではなく、それが現状維持みたいなもっと現実に近い問題を描きたいです。

koppidoineko-1.jpg━━━モト冬樹さんに「これは言ってほしいけど、書けない」といったセリフはありましたか?
力哉監督:ハゲネタは書かなかったけれど、モトさんがアドリブで言ったシーンがありましたね。大分前には脚本に書いたと思うのですが、最終稿には入れませんでした。今までのモトさんのイメージといえば、派手な、どちらかといえば三枚目の役や、わざと笑わせたり、髪のネタですが、そういうのではない今までの自分(今泉監督)がつけてきた芝居でやってほしいというのがありました。モトさんも過去の作品を見てくれた時点で「ぼくも新しい挑戦だ」と言ってくれていたので、あまり細かい演出もせずに、あの芝居をしてくれました。 

━━━モト冬樹さんはインディーズ映画の現場は初めてだそうですが、撮影現場ではどんな感じでしたか? 
力哉監督:モトさんは自主映画のような規模感の映画を全くやったことがない方なので、普通は当日脚本差し替えなどもなく、きっちりしているものなのですが、インディーズの映画ってこういうものだなと思われたのではないでしょうか。私は台本も差し替えたり、現場でもセリフを変えたりするので、モトさんは「そっちの方が正解だよね」とすごく言ってくれていて、準備していて気持ちが乗らないのに縛られていくよりは、直した方がいいと言ってくれていたので意見が合ってよかったです。  

━━━この映画で一番美味しいなと思ったのが、監督が演じたガン患者の役ですが、元々ご自身で演じるつもりだったのでしょうか?  
力哉監督:周りから「自分でやれば」と言われていたし、あのシーンはメインの家族の話があって、さらにその周りのサブエピソード的な第二陣がいて、さらにその外の話なんですが、私はサブエピソード好きなんですね。群像劇がもとから好きなこともありましたし、あと今邦画は感動作とか余命映画とかがあまりにも多くて、それが嫌で、そういうことへのわざとネタとして使って「死なない」ようにするとか。あとスキンヘッドする人はいないだろうなとか、一番病人が似合うのは自分だろうとか。出たがりでもあるんですね。自分の映画だと失敗しても切れますし。

koppidoineko-s2.jpg━━━あそこからナレーションでいきなりクライマックスにつなぐ展開も新鮮でした。
力哉監督:台本にはもちろんなくて、現場で当日書いていて、撮影していく中で病院で自分が病気でないと分かり、その次のシーンでモトさんが退院した日常というより、いきなりモトさんのパーティーシーンでいけるのではないかと。でもつながりが微妙かもしれないので、文字テロップではなく言ってしまうかと。いきなり登場人物が語りかけるみたいなウディ・アレン的なのも好きですし、興味があるのでやってみたいというのはありました。

━━━還暦のモト冬樹さんに小学生の喧嘩のような口ぶりで「ばーか」と言わせるのは、今泉監督ならではですね。
力哉監督:さんざんいい大人として全ての家族をまとめようとしてきたのに、最後に子どもに戻ってしまう。すごくお世話になっている『私たちの夏』の福間健二監督が還暦映画をやろうとしていたと噂を聞いて、監督曰く「20年が大人から子どもに戻るくぎりだとしたら、還暦は3度目の子どもがえり」と本で読んだ気がしますが、還暦の赤いちゃんちゃんこも「赤ちゃん」という意味なので、着た瞬間いきなり子どもに戻っているなと。ここでいつものモトさんができることももちろんやってもらいましたね。ギターや演奏もそうだけど、サービスではなく、ストーリーに自然に入れたいと思いました。

━━━夫婦で映画監督をすることの良い面を教えてください。
力哉監督:良いところは脚本を書いたら必ず相談できる相手ですし、自分の家で撮影したり、さらけだしたりすることに対しての理解があったり、それは嫁の性格だからだと思いますが。あと、夜遅いとか、付き合いの飲みがあることにも理解はあるのでそこはいいと思います。

━━━お子さんが二人生まれたことで、描くテーマに変化は出てきていますか?
力哉監督:結局自分から出ているもので、どんなジャンルにしても自分にしか作れないものでないと意味はないと思っていて、子どもができてからとかは、夫婦の話や、中の話も変わってきていると思っています。モトさんと映画をするというときに、家族の話をやりたいと思ったのも、そういう実生活の影響はあるでしょうし。

結婚する時思ったのは、本当にモテたいという憧れから始まっているので、ハングリー精神じゃないけど彼女いないとか、バイトがキツイというところのモチベーションで映画を作ってきたので、正社員で結婚して子どももできて、どんどん安定していったときの不安もありました。どちらかといえば映画を作らなくてもいられるタイプなので、映画を作らないといい状況になっていると思ったときに、正社員で、結婚して、子どもを作ってという追い込まれ方もあるぞと。結局相変わらず映画を作っていますが、自分が脚本も監督もする場合は自分にしか作れないものをという想いは未だにあるし、そうでないとダメかなと思っています。


タイプは違えど「嘘」ではない本音の部分を描くという点で、夫婦共通の価値観を持っている今泉監督夫妻。かおり監督がお気に入りの周りを振り回す小夜と高田の関係をはじめ、心憎い演出が随所にほどこされ、モト冬樹の魅力が存分に引き出されている恋愛群像劇。抱腹絶倒のクライマックスをお見逃しなく!(江口由美)


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『007 スカイフォール』ロイヤルプレミアレポート

チャールズ皇太子 & カミラ夫人 揃ってご臨席!!
007の過去の出演者も多数出席!

(2012年 イギリス・アメリカ 2時間23分)
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベレニス・マーロウ、ジュディ・デンチ

12月1日(土)TOHOシネマズ梅田ほか全国ロードショー

公式サイト⇒ http://www.skyfall.jp/

skyfall(C)2012 Danjaq, LLC, United Artists Corporation,
 Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.

 


 

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 シリーズ生誕50周年の節目に公開を迎える最新作『007 スカイフォール』(日本公開12月1日)のワールドプレミアが現地時間10月23日(火)夕方ロンドン市内 ロイヤル・アルバート・ホール(7000人収容)で開かれました。

 本プレミアは、前作『007/カジノ・ロワイヤル』でのエリザベス女王、『007/慰めの報酬』でのウィリアム、ヘンリー両王子ご臨席に続き、チャールズ皇太子、カミラ夫人ご臨席のロイヤルプレミアとなりました。

007sky-s5.jpg 今回は、日頃から皇太子が後援している複数の諜報機関へのチャリティ試写になっており、収益金はthe Secret Intelligence Service、 the Security Service 、 GCHQなど3つの機関の現役と退役のメンバーをサポートするために寄付されます。

 シリーズ生誕50周年という節目のロイヤルプレミアということもあり、会場のロイヤル・アルバート・ホールは実に華やかな演出が用意され、鼓笛隊の演奏でゲストを出迎えたり、特設ステージが設けられ、そこに本作で久々に登場するボンドカーのアストン・マーチンDB5が置かれ、登場したゲストはその前でインタビューに答えるなど、記念すべき年に相応しいプレミアイベントなりました。

007sky-s1.jpg ゲストは、本作に出演したダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ジュディ・デンチ、レイフ・ファインズ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、ベレニス・マーロウ、サム・メンデス監督、プロデューサーのマイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリら、キャスト・スタッフが顔を揃え、その他では、『007/黄金銃を持つ男』に出演したクリストファー・リー、『007/ゴールドフィンガー』で全身に金粉を塗られたボンドガールを演じた、シャーリー・イートン、またシリーズの人気キャラクターであるマニー・ペニーを過去に、4作に渡って演じたサマンサ・ボンドら、これまで007人気を支えてきた面々が登場し会場を盛り上げました。その他では、ナオミ・キャンベルや、去年結婚しダニエル・クレイグの伴侶となったレイチェル・ワイズも来場しました。

007sky-s3.jpg ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグはお馴染みのタキシードに身を包み、アストン・マーチンではなく、レンジローバーに乗って会場に到着。沿道で待っていたファン約2000人の歓声に応えながらレッドカーペットへ向いました。ダニエルは、「今までで一番豪華なプレミアだと思う。(作品は)皆が全力を尽くし、また監督のサム・メンデスも素晴らしい働きをしてくれたお陰で、最高のボンド映画になった」とコメント。また、チャールズ皇太子、カミラ夫人の登場時にも、ダニエル以上の歓声があがり、英国王室の人気のほどが伺われました。レッドカーペットイベント後は、スタッフ・キャストが劇場前で皇太子と夫人をお迎えし、ご夫妻は一人一人と丁寧に挨拶を交わされ、50年続いたシリーズと最新作の公開を祝福されました。

nobou-s550.jpg(2012年10月17日(水)大阪堂島ホテルにて)

登壇者:野村萬斎、榮倉奈々、上地雄輔


『のぼうの城』

(2011年 日本 2時間24分)

監督:犬童一心、樋口真嗣

脚本:和田竜 (小学館「のぼうの城」)  音楽:上野耕路

主題歌:エレファントカシマシ 「ズレてる方がいい」(ユニバーサル シグマ)

出演:野村萬斎 榮倉奈々 成宮寛貴 山口智充 上地雄輔 山田孝之 平 岳大 西村雅彦 平泉 成 
夏八木勲 中原丈雄 鈴木保奈美  前田 吟 中尾明慶 尾野真千子 芦田愛菜/ 市村正親/佐藤浩市

2012年11月2日(金)~全国超拡大ロードショー


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(C)2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ

 

~“のぼう様”の逆襲!? 豊臣軍のお膝元・大阪に進軍!~

nobou-1.jpg 1590年、豊臣秀吉が北条氏征伐のため関東に進軍した際、北条氏勢力下の城が次々と不戦開城する中、唯一抵抗した城があったという。現在の埼玉県行田市にあった忍城(おしじょう)である。しかも、石田三成率いる2万の豊臣軍に対しわずか500人の軍勢で対抗。さらに総大将・成田長親は、勇猛果敢な戦国武将とはかけ離れた、武力もなければ馬にも乗れないのろまなでくの棒、略して“のぼう様”と呼ばれていたというからびっくり!

 この“のぼう様”、武士の威信をかざすのではなく、あまりの不甲斐なさに「しょうがないな~」と周りが放っておけない人物だったようで、領民には大そう慕われていたようだ。ただのウツケなのか策士家なのか、人心を掴む脱力感いっぱいの“のぼう様”を、野村萬斎が狂言師として本領発揮しての大活躍で魅了する。「浮き城」と呼ばれた忍城攻防戦の再現や水攻めの迫力あるシーンなど、時代劇巨編としても大いに堪能できる。

 その“のぼう様”こと野村萬斎さんと、女傑と謳われた甲斐姫を演じた榮倉奈々さん、そして、豊臣軍の総大将・石田三成を演じた上地雄輔さんの3人が、公開前のキャンペーンのため来阪。合同記者会見が行われ、ようやく公開にたどりつけた喜びや役柄などについて語ってくれた。
 

nobou-s1.jpg【最初のご挨拶】
野村:成田長親、通称“のぼう様”を演じております野村萬斎です。よろしくお願いいたします。
榮倉:のぼう様に想いを寄せる甲斐姫を演じさせて頂きました榮倉奈々です。よろしくお願いいたします。
上地:豊臣軍の石田三成を演じました上地雄輔です。よろしくお願いいたします。


――― 構想8年、ようやく2週間後に公開を控えた今のお気持ちは?

野村:あと2週間と聞いて、胸が高鳴りつつ待ち遠しく感じられます。構想に時間がかかり、私がオファーを頂いたのは随分昔のことでして、その日が来るのを待ち焦がれておりましたので、とても嬉しく思います。

  nobou-s3.jpg榮倉:『のぼうの城』の原作ファンが沢山いらっしゃることを知っていましたので、甲斐姫に選んで頂いてとても嬉しかったのを覚えています。公開が1年延びて、これは夢だったのかなと思ったりしましたが、こうして沢山の取材を受けながら、本当に公開が近いことを実感してとても楽しみにしております。
上地:いつもこの順番だと言うことなくなりますね(笑)。二人の言う通りです。去年の秋公開が延びて、やっと公開される!という気持ちでいっぱいです。


――― 野村さんは狂言師として本領発揮の大活躍でしたが、成田長親という役に対するする想いと、撮影中大変だと感じたことは?

野村:歴史上の人物ということで台本に書いてある通りに演じようと思いましたが、不思議な掴みどころのない役なので、本に書いていない部分の役作りに時間がかかりました。アイツは困った奴だとnobou-s7.jpgか、愛すべき人物だとか、周りの評価を頼りにするくらい本当に掴みどころのないキャラクターでした。榮倉さんと初めてお会いした時も、「どうして甲斐姫は“のぼう”のことが好きなの?」と聞いてしまいました。数時間後、「将器だから」と教えて頂いて、なるほど、性格はよく分からないけど、リーダーとして開花していく人物なんだと納得した次第です。周りは濃いキャラの方々ばかりでしたから、その中でちょっと浮いたような感じでやればいいのかなと、とても楽しんで演じることができました。いろんな処で遊びを入れてみたら、監督がとても喜んで下さいまして、いつも2パターンを撮っていました。台本通りのものと、こんなことまでしていいのかな?と思える程のことをやってみると、モニターの前はいつも大爆笑でした。

 

――― この映画の魅力と、映画を見た感想は?

nobou-s2.jpg上地:萬斎さんや榮倉奈々ちゃんの素晴らしいお芝居も魅力ですが、他にも豪華キャストで、敵味方なく人物をしっかり描写していて、人間ドラマとしても戦国時代劇としてもスケールの大きな作品ですので、是非劇場で見て頂きたいと思いました。

榮倉:先程も萬斎さんがお話されましたが、初対面の時に「どうして甲斐姫はのぼうのことが好きなの?」と聞かれ、いろいろ考えて、いろいろな理由があったのに、「将器です」と一言で済ませてしまったことを今でも後悔しています(笑)。でも、この映画の魅力はそこにあると思います。中心に立つ人が緊張でガチガチだったら周りの人も身動きが取れなくなると思うんです。のぼう様とか萬斎さんが、現場で大きな器で受け入れてくれるからこそ、皆さんのびのびと個性を発揮できたことが、この作品の最大の良さでもあるなと思っております。

野村:見どころ満載(萬斎)です!(笑)。忍城は水城とも呼ばれ、二万の敵勢に対し五百騎で対抗するのですから、合戦シーンではいろんな工夫がされた戦い方が見られます。他にも、私の踊りのシnobou-s5.jpgーンとか、甲斐姫の揺れる女心とか……試写会後に若い女性客の方が、「二人の間はどうなったのか?」とか「のぼう様は甲斐姫のことが好きだったのか?」と質問されたりしました。
私としては、最後に両軍の将が対面するシーンが好きです。認め合い、讃え合うように、勝ち負けではなく善悪を越えた達成感や友情のようなものを感じさせながら、そして人々は復興していくというシーンで終わる。さらに、現在の行田市にある「石田堤」が映されたり、長親をはじめ、登場人物の後日談がテロップで流されます。時代の流れや、今の日本に求められるもの、復興する気力や真のリーダー像とか、正にこの映画が示唆してくれるものは多いような気がします。


――― 上地さんは、最後の敵将と対面するシーンで、相手が存在感の大きな野村萬斎さんということで、どのような気持ちで臨んnobou-s6.jpgだのか?

地:撮影は三か月位続いたのですが、二か月以上経ってから“のぼう様”とお会いしたので、とても楽しみにしていたシーンでもあり、三成としても上地雄輔としても「やっと会えたな」という気持ちでいっぱいでした。リハーサルで一同会して、最後に萬斎さんと目が合った時に、心でキャッチボールしているような気がしたことをよく覚えています。役作りが難しいとはあまり感じませんでした。ただ、僕も三成も成長していく上で、こんな純粋な人間らしい三成がいてもいいんじゃないかな?と思いながら演じてみました。

(河田 真喜子)

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nobou-ss550.jpg(2012年10月17日(水)大阪・道頓堀川遊歩道「とんぼりリバーウォーク」にて

登壇者:野村萬斎、榮倉奈々、上地雄輔
 

『のぼうの城』

(2011年 日本 2時間24分)

監督:犬童一心、樋口真嗣

脚本:和田竜 (小学館「のぼうの城」)  音楽:上野耕路

主題歌:エレファントカシマシ 「ズレてる方がいい」(ユニバーサル シグマ)

出演:野村萬斎 榮倉奈々 成宮寛貴 山口智充 上地雄輔 山田孝之 平 岳大 西村雅彦 平泉 成 夏八木勲 中原丈雄 鈴木保奈美  前田 吟 中尾明慶 尾野真千子 芦田愛菜/ 市村正親/佐藤浩市

2012年11月2日(金)~全国超拡大ロードショー

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(C)2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ
 

~水都・大阪“道頓堀”を決壊!?~

nobou-ss1.jpg この日は二つの台風に挟まれた低気圧の影響で昼頃から大雨。映画の中のシーンのように、あわや観客も取材陣も水攻めに遭うのか?と思いきや、道頓堀川をポンポン船で遡上してきた時には不思議と雨は止んだ。構想8年、製作中から台風や大雨で撮影が中断・延期とトラブル続きの『のぼうの城』。さらに、昨年の東日本大震災の影響で、劇中の水攻めのシーンが津波の恐怖をもたらすということで、昨年秋公開が1年延期され、ようやく今年11月2日(金)に公開されることになった。スタッフやキャスト、関係者の皆さん同様、私たち映画ファンにとっても、待ち望んだ全国拡大公開である。

大歓声に迎えられて、両軍ののぼりを掲げた鎧姿の兵士を従えて、野村萬斎さんと榮倉奈々さん、上地雄輔さんの3人が道頓堀川に登場。

 

【最初のご挨拶】

nobou-ss2.jpg野村:今日はお足下の悪い中お出で下さいまして、誠にありがとうございます。ちょっと変わった殿様を演じております野村萬斎です。

榮倉:甲斐姫を演じました榮倉奈々です。

上地:平日のこのお天気の中来て頂き、ホントにヒマなんだな~と(笑)ウソです!!!面白い映画ですので、皆さんで劇場へ観に来て下さい。


 

nobou-ss3.jpg――― 大阪とのご縁は?

野村:狂言の公演でよく大阪には来ております。『のぼうの城』は、大阪の方が大好きなベタなキャラクターばかりで、大阪にはぴったりの映画ではないかと思っております。

榮倉:映画のキャンペーンで何度かお邪魔しておりますが、このようなイベントは初めてです。

――― 石田三成さんは大阪はお膝元ですが、大阪に乗り込んできた気分は?

上地:気持ちいいです!元々阪神ファンなので、大阪大好きです。今年阪神が優勝したら、今日道頓堀川に飛び込もうと思っていたぐらいです。でも、残念ながら、5位という結果で・・・何の話かよくわかんないですね~(笑)

 

――― “のぼう様”を演じられたお気持ちは?

野村:みんなに“でくの棒”呼ばわりされていましたが、次第にリーダーとして頭角を現わしていきます。豊臣軍2万に対し500という信じられない状況の中、次第に結束を固め、友情や親子の情など、ひとりの人間として成長できる映画だったと思います。

――― 今、船に乗っているのには理由がありますよね?

野村:はい、敵方2万の兵士を前に、ひとりで音頭をとって踊ります。お尻も見せます(笑)。

nobou-ss5.jpg――― このシーンがいいんですよね~ご期待下さい。榮倉さんは時代劇は初めてなんですよね?

榮倉:初めての時代劇がこの『のぼうの城』で、本当に良かったと思います。時代劇には興味はあったのですが、歴史の授業は苦手でして、でもこの映画には時代劇特有の堅苦しさが一切なく、女性でも子供でも楽しめる作品となっています。

――― 撮影中の榮倉さんは如何でしたか?

野村:真面目でいらっしゃいますが、明るくて、楽しくて、いろんな質問をしてもちゃんと答えて下さいました。

――― お二人の秘めたる想いがいいですね?

榮倉:戦国時代という、何でも手に入る時代ではないからこそ、秘めた恋がロマンチックに思えてステキでした。

 

nobou-ss4.jpg――― 石田さんは三成を演じてみて・・・?

上地:ボク、石田さんじゃないし(笑)、上地です。

――― 失礼しました!石田三成を演じてみて如何でしたか?

上地:ホントに楽しかったです。大変なシーンもありましたが、そうしたシーンを撮り終えて、やっと萬斎さんと絡むシーンを撮ることができました。特に大好きなシーンですので、皆さんも楽しみにして頂きたいと思います。

―――上地さんの三成ぶりは如何でした?

野村:ヒゲを生やしていて、カッコイイッスよ!とても理知的で、そして、母性をくすぐるようなちょっと心配なシーンもあります。ファンの皆様には堪らないと思いますよ。

 

――― 最後に、ご挨拶をお願いします。

nobou-5.jpg上地:豪華なキャストのみなさんが、それぞれ人情味あふれる演技をされて、人間ドラマとしてもスケールの大きな迫力のある作品ですので、是非劇場に観に来て下さい。

榮倉:今日は上地さんのファンの方が沢山来られていますが、他にもカッコイイ武将が沢山登場しますので、是非観に来て下さい。

野村:笑いあり、涙あり、そして、ちょっと悲恋あり、戦闘シーンもあり、見どころ満載(萬斎)の映画です。今日ここにいらした皆様は、劇場へ観に来てくれるよね~? (観客:ハ~イ!)老若男女も楽しめる、時代劇ではくくりきれないような映画ですので、皆さん、お誘い合わせの上お出で下さいますよう、よろしくお願いいたします。

(河田 真喜子)

★合同記者会見はこちら
 

『孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて~』中村真夕監督インタビュー

kodokunatsubametachi-s1.jpg(2011年 日本=ブラジル 1時間28分)
監督:津村公博、中村真夕 
出演: 佐竹エドアルド、鈴木ユリ、佐藤アユミ・パウラ、松村エドアルド、カルピノ・オタビオ他
2012年11月17日(土)~第七藝術劇場、元町映画館他順次公開

公式サイトはコチラ

 日本の製造業を支えてきたデカセギの日系ブラジル人が多く住む浜松市。そこで働き暮らす日系ブラジル人の若者たちに密着し、アイデンティティーの揺らぎや仕事、人生の悩み、差別や不況にも負けず逞しく生きる姿を国境を越えて映し出した青春ドキュメンタリー、『孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて~』が公開される。

 浜松の夜回り先生こと、津村教授に同行して出会った日系ブラジル人の青年たちへの取材、リーマンショックで帰国を余儀なくされた彼らの決断とそれからに密着した中村真夕監督に、彼らの素顔や彼らを取材して痛感したこと、そしてこの作品に対する想いを伺った。 


━━━本作で登場したエドアルドやユリたちに出会い、撮るようになったきっかけは? 
 2008年は日本人がブラジルに渡って100周年で、当時テレビ関係の仕事をしていたのでその取材で浜松学院大学の津村教授(本作の監督)に出会いました。津村教授が夜の浜松の町を回って、日系ブラジル人の青年たちに生活状態を聞いたり、インタビューをされていて、その調査に同行したときに、すごく魅力的な子どもたちだったので「ドキュメンタリーを撮りたいです」と申し出たのがきっかけですね。

kodokunatsubametachi-1.jpg━━━企画ありきではなく、撮り始めてから惹きつけられていった感じですね。
  特に企画という感じではなく、彼らの前向きさや人間性に惹かれて撮り初め、彼らのほとんどが中卒か中学を中退して工場で働いている子が多かったので、義務教育って逸脱できるものなのかと。一応外国籍の子どもに対しては義務教育は薦められているけれど強制ではなく、本人や親が辞めるといえばやめられます。彼らはデカセギの子どもなので、お金を稼ぐことがメインで日本に来ています。親に言われなくても親にあまり迷惑をかけないように、皆早めに働こうと自ら働き始めます。どちらかといえば、そういう方を当時テーマにしていたのですが、突然起こったリーマンショックで離ればなれになる人の話になってしまいましたね。それがドキュメンタリーの醍醐味でもあるのですが。

 ちょうど私もテレビでそういう関係の仕事をしていたので、リーマンショックがらみでブラジル人たちがバラバラになってしまう話をテレビで見ていたのですが、その後1、2ヶ月経つとぱったりその話を聞かなくなってしまう。メディアの悪いところかもしれませんが、一過性でパッと飛びついて終わると引いていく部分があり、個人的には彼らがどうなったのか気になる部分もあったので、それを追いかけて撮った感じです。

━━━「彼女が妊娠している」とさらっと告白したり、皆あっけらかんとしていますね。
  彼らの魅力というのは、強がりを言っているところはありますが前向きで、ラテン系なのかなと思います。「デカセギで苦労したことは、自分たちの人生のカテになる」と皆言うのですが、先祖の代から苦労してがんばってきた人たちの知恵なのかもしれません。

 後はデカセギ特有の渡り鳥みたいな生き方ですね。このタイトルの「ツバメ」というのも、「渡り鳥」という意味で付けたのですが、日本とブラジルの間を行ったり来たりして、どこにでも行けるんだけど、どこにも属せない。どこでも適応できるけれど、どこも自分の家じゃない。だけどHOMEを求め続けている、独特の生き方をしている人たちで、それが魅力的で不思議だなと思いました。

 デカセギという運命を受け入れていて、家族や友人の絆はすごく強いのですが、どこか「いつか別れがくる」と覚悟を持って付き合っているからこそ、絆が強い。そんな感じですね。皆、友達や仲間がいつか帰るだろうなとどこかで予測しながら一緒にいます。

━━━彼ら自身のつながりも強く感じましたが、その中に中村監督はどうやって馴染んでいったのですか?
  津村教授は彼らの教育支援をなさっている方で、そういう意味では元々信頼関係がありました。エドワルドの場合は、私も2年ぐらい彼の元に行っては撮影をしていたのである程度信頼関係はできました。彼は一番強がりの子で、「大学に行く」など立派なことを言っている割には、またこんな失敗をしてしまったのかという部分があって、憎めないです。皆、会って話すとまじめな賢い子で、普通にちゃんとした教育を受けられれば、できると思うのですが、たまたま恵まれない環境にいるので発揮できていないのかもしれません。逆に私はいろいろと学ぶところが多かったです。この年で人生観を持っているんですよね。

━━━差別を受けたりしながらも、日本のことを恨んではいないと彼らが言い切るのには驚きました。
  そうですね。不思議だったのは、彼らと話すと「私たちは外国人の中でも恵まれている方だ」と。デカセギという選択肢を持っているし、日系人ということで、こちらに滞在するのも大変ではないし、中国人やインドネシア人たちに比べたら仕事も大変なことをやらされないし、自分たちは恵まれていると。もちろん差別や、何もしていないのに警察から職務質問をしょっちゅう受けるという話は聞きますが、与えられた環境でベストを尽くすといった感じですね。皆「日本に来れてよかった」と言いますよ。 

━━━その後ブラジルに帰国した彼らを追いかけた訳ですが、住環境や仕事環境、勉強の環境、ブラジル国内での地域差が映し出されていました。実際に撮影して彼らが日本にいた時に比べどういう部分で成長していましたか? 
 よくみんなブラジルでやってるなと思います。日本は安全なので、「向こうは怖い」と言いますね。コカの家はデカセギでお金を貯めて、そのお金でアパートをブラジルに建てて、家族はそこの家賃収入で暮らしているのですが、それ以外の帰国した子たちは親戚の家などに身を寄せて、家自体はきれいのですが、そこに何人も住んでいるので狭苦しい感じです。ブラジルは経済格差がすごくあるので、賃金が安くて月給3、4万円ぐらいです。日本の工場だと残業をすれば20~30万円ぐらいになるのですが、ブラジルではなかなか稼げなくて生活が苦しいですね。

 逆に日本で高校に行かないのは、どうせ工場労働者になるから行っても仕方がないと彼らは言っていたのですが、ブラジルでは普通の仕事、例えば清掃の仕事などでもそれなりの学歴がないとできないので、皆夜学に通っています。戦後の日本に近いのかもしれませんが、皆働きながら夜学に通って勉強しています。ブラジルに帰ると、そういう意味で選択肢が広がった部分がありますね。 

kodokunatsubametachi-s2.jpg━━━日系ブラジル人を扱った映画として、社会問題に興味のある方が見に来られると思いますが、どんな反響がありましたか? 
 サンパウロで上映したことがあったのですが、そのときは日系1世、2世に観てもらいました。彼らは自分たちが苦労して築いたコミュニティーを捨てて、デカセギに行った人たちのことをあまり良く思っていないと聞いたので、最初はどうかと思いましたが、リーマンショックでデカセギの人たちが皆戻ってきて、若い日本語や日本の文化が分かる人たちが帰ってきてよかったと言われました。

 逆に日本の日系ブラジル人コミュニティーでもエリートの人たちには、「なぜ成功者じゃない人たちをわざわざ取り上げるのか。こういう環境でもがんばって大学に行った人もいるじゃないか」と言われたりしました。映画に登場する彼らはこちらが意図的に選んだのではなく、浜松にいるごく平均的な状況に置かれた日系ブラジル人たちが、どうやって与えられた環境の中でもがきながら生きているのか。成功者だけ取り上げるのはまた別の話だと私は思っているので、日系ブラジル人コミュニティーの中でもいろいろ格差があることを知りました。悪い道に行った子もいるけど、必ずしも不良だとは思っていないし、間違いを犯しながらも大人になっていく姿を本作で描いたつもりです。

━━━ヒップホップが彼らの心の支えとなり、ブラジル帰国後も地元の青年たちとつながるきっかけになり、ドキュメンタリーの一つの核として描かれていますね。
  先日『サイタマノラッパー』の入江悠監督とトークショーをしたときに、ブレイクダンスのようなヒップホップダンスは万国共通で、自分たちがコミュニティーの中でマイノリティーだと思っている人たちの共通言語みたいになっている。『サイタマノラッパー』も地方社会でちょっとアウトサイダーみたいな人たちがラップにはまっていきますが、元々黒人のマイノリティー文化から出てきたもので、日系ブラジル人の彼らもそういうところに共感して、ダンスをすることで自分の生き甲斐をみつけるといった感じですよね。日本人と違って、彼らはもっと大変な状況の中で生きる希望をみつけるツールになっています。ブラジルのファベーラみたいに不法占拠している場所にいたコカなどは、生きるか死ぬかみたいな、犯罪者になるか殺されるかヒップホップをやるか、その三択みたいな話をしていましたが(笑)。

━━━今回取材して一番感動したのはどんな点ですか?
  たくましさですね。今考えるとエドワルドなんて状況的にはずっと逃げないといけない立場に置かれているのですが、ずっとがんばっていますし、パウラも帰国して一人で家族7、8人も抱えて仕事をできるなと思って。彼女は一番若いですが、一番たくましくて成長したと思います。会社行って、帰ってきてから学校に行って、週末は徹夜で遊んでと、前向きに生きることやたくましさなどを学ぶことが多かったです。

 日本の同世代の若者に観てほしいという気持ちがあって、あまり社会正義を訴える映画というよりは、青春群像劇として、若者特有の悩みを抱えた人間に密着し、そこから社会背景や社会的問題を意識してもらえればいいなと思っています。東京で上映したときは、大学生や若い人たちが見に来てくれたのでよかったと思います。

 日系ブラジル人の彼らは散々学校でいじめられたという話を聞きましたが、それでもへこたれない。幼いときから大人になることを強いられているので、どこの環境に行ってもなんとか生きていく術を持っていて、学歴はないけれど生きる知恵をもっています。日本の学校で教えることではないけれど、こういう風に自分で生きる力を学んでほしいなと思います。


 中村監督も語ったように、鬱屈した青春かと思いきや、彼らのバイタリティーと力強さには本当に驚かされる。家族のために中学校を中退して働くこともいとわず、日本での差別もバネにして同い年の10代の数倍も成熟し、人生を見据えている彼らの姿は逆にこちらが学ばされる。リストラや強制帰国など、どんな状況に置かれてもそこでベストを尽くしていく彼らの青春を若者目線で綴った青春群像劇風ドキュメンタリー。非行に走るのを救ったダンスチームの練習風景を挿入し、全篇を貫くヒップホップのリズムが彼らのアイデンティティーを表現しているかのようだった。(江口由美)

London12-1.jpgロンドン映画祭で日本を代表する2大女性監督、蜷川実花&西川美和が初対面!映画「ヘルタースケルター」公式上映レポート

現在開催中の第56回ロンドン映画祭に『ヘルタースケルター』を正式出品した蜷川実花監督(39)が、10月12日(金)の公式上映に合わせて渡英、舞台挨拶と来場者とのQ&Aを行った。
 さらに、同映画祭に同じく最新作『夢売るふたり』を正式出品し、渡英した西川美和監督(38)と初対面も実現。女性監督で、名前も実花と美和、イニシャルもMNと共通点の多い二人だが、会うのはロンドンの地が初めて。スケジュールの都合上、長い時間を共にすることは叶わなかったものの、日本を代表して参加した映画祭で、お互いの健闘を讃え合った。

蜷川監督はロンドン映画祭に初参加ながら、『ヘルタースケルター』上映のチケットは即完売という人気の高さが話題。舞台挨拶では大きな拍手と歓声で盛り上がった。

西川監督もロンドン映画祭に初参加。『夢売るふたり』のチケット即完売し、上映に先立ち行われた舞台挨拶では、かつて是枝裕和監督の下で助監督をしていた頃に観光でロンドンにいた際、是枝監督の『誰も知らない』(04)が同映画祭で上映され、師匠の作品が映画祭で上映されるのを指をくわえてみていたというエピソードを告白。今回、自身の監督作がロンドン映画祭で上映された事に喜びを爆発させた。


【蜷川実花監督『へルタースケルター』舞台挨拶/Q&Aレポート】
  
London12-2.jpgこの日の上映は金曜日の午後という時間帯だったが、チケットはすぐに完売という人気の高さが話題になっていた『ヘルタースケルター』。紫のシルク・ドレスで壇上に立った蜷川実花監督に大きな拍手と歓声があがった。
司会者が「ニーナに質問してみましょう」と言った途端、場内からは穏やかな笑い声顔が起こった。「ごめんなさい。ミカだったわ」と司会者はすぐに訂正。ニーナとは監督の実父である蜷川幸雄氏の英国でのニックネームだったからだ。はにかみながら笑顔を浮かべる監督に再び場内が盛り上がった。主役のりりこを演じた沢尻エリカが日本ではスキャンダラスな女優としてマスコミで取り上げられていたことは英国でも知れ渡っている。それほど手強い女優から出演をオーケーするまでに至った経緯は観客も含め、多くの人達にとって興味津々の話題だったようだ。
「ご本人もこの役への想い入れがあったので、説得したというより『絶対大胆にやった方がかっこいいから、信じてください』と正直に言いました。出演が決まった時から彼女には覚悟ができていて、ともに戦士として戦った感じです」

【西川美和監督『夢売るふたり』舞台挨拶/Q&Aレポート】

London12-3.jpgカンヌ映画祭の監督週間に出品された『ゆれる』が国際的に高い評価を受けて以来、映画ファン達から熱い視線を向けられ続けている西川美和監督。あっという間に完売となったチケットをなんとか入手しようとチケット売り場で待ち続ける人達の姿も見かけるほどの注目度。
この日にロンドン入りしたばかりの監督は観客に混じって、作品をじっくり鑑賞。「ロンドン映画祭に参加するのは初めて」と普段はクールな監督もこの日は嬉しそうだった。
「夫婦の物語がスタート地点。夫婦とは究極の相棒。結婚生活には楽あれば苦あり。小舟に乗って波を超えていく。漕ぎ出していく方向が、間違えば犯罪の方向へ。二人の本質が明確に見えてくるはず」この映画には普通の映画には登場しないような女性達が描かれていて、英国人女性達は共感したようだ。
「日本でも女性の生き方の選択肢が広がっている。夫を支えながら生きている古風な女性もいれば、男性の分野だった仕事にも女性が進出している。世界中で急速に選択肢が広か?り、生き方が多様化しているので社会の受け皿が整っていない。自分も含め、30 ~40代の女性達は手にいれた自由をどうしていいかわからないで当惑している。そこを今回スクリーンにしっかりと焼き付けてみたかった」西川監督の熱烈なファンと思われる中年男性から冒頭の火事のシーンでなぜロンチックなギター音楽を流したのかという質問対し「ミスマッチな音楽はかつて見た悪夢のようにしたかったから。逃げたいのに足が重たくて動かないという悪夢の中の身体感覚を出したかったから」と見事な答えが返ってきて、観客をうならせた。西川美和ファンは英国ではなぜか中年の男性が多い。


蜷川実花・監督×岡崎京子・原作×沢尻エリカ・主演
世界を挑発する極彩色エンタテインメント!
ヘルタースケルター
12月21日(金)DVD&Blu-rayリリース

■キャスト
沢尻エリカ
大森南朋 寺島しのぶ 綾野剛 水原希子 新井浩文
鈴木杏(友情出演)/寺島進/哀川翔
窪塚洋介(友情出演)  原田美枝子 桃井かおり
■スタッフ
監督:蜷川実花
原作:岡崎京子「ヘルタースケルター」祥伝社フィールコミックス
脚本:金子ありさ
音楽:上野耕路テーマソング浜崎あゆみ「evolution」(avex trax)
エンディングテーマAA= 「The Klock」(SPEEDSTAR RECORDS)
撮影:相馬大輔 美術:小泉博康 ENZO  照明:佐藤浩太 録音:阿部茂
編集:森下博昭、スタイリスト:長瀬哲朗 篠塚奈美 、ヘアメイク:冨沢ノボル 赤間直幸、プロップスタイリスト:さくら
【商品レンタル情報】
発売元:アスミック
販売元:TCエンタテインメント©2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会©岡崎京子/祥伝社.
<DVD>
2012年/日本/カラー/本編:127分/音声:日本語ドルビー・デジタル5.1ch/字幕:なし/16:9 ビスタサイズスクイーズ収録/
片面2層
※仕様は変更になる場合がございます。
<Blu-ray>
2012年/日本/カラー/本編:127分/音声:日本語DTS-HD MasterAudio5.1ch/字幕:なし/HDワイドスクリーン(1.85:1)1920×1080p/MPEG-4 AVC/2層
★レンタル特典映像:予告編集※仕様は変更になる場合がございます。
セル発売元:株式会社ハピネット

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『夢売るふたり』全国大ヒット上映中!

 東京の片隅で小料理屋を営んでいた夫婦は、火事ですべてを失ってしまう。夢を諦めきれないふたりは金が必要。
再出発のため、彼らが始めたのは、妻が計画し、夫が女を騙す結婚詐欺!
しかし、嘘の繰り返しはやがて、女たちとの間に、夫婦の間に、さざ波を立て始める…
騙すのか?騙されるのか?愛してるのか?愛してないのか? 男と女の心と性を揺さぶる、衝撃のラブストーリー!

原案・脚本・監督:西川美和
出演:松たか子 阿部サダヲ   田中麗奈 鈴木砂羽 安藤玉恵 江原由夏 / 木村多江 やべ きょうすけ 大堀こういち 倉科カナ/伊勢谷友介/古舘寛治 小林勝也/香川照之/笑福亭鶴瓶
製作:「夢売るふたり」製作委員会/企画・製作プロダクション:オフィス・シロウズ/配給:アスミック・エース
公式サイト⇒yumeuru.asmik-ace.co.jp

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miracletwins-s550.jpg『ミラクルツインズ』主演イサベル・ステンツェル・バーンズさんインタビュー
(2011年 アメリカ=日本 1時間34分)
原題:THE POWER OF TWO
監督:マーク・スモロウィッツ
出演:アナベル・ステンツェル、イサベル・ステンツェル・バーンズ他
2012年11月10日(土)~渋谷アップリンク、12月15日(土)~第七藝術劇場他全国順次公開
公式サイト⇒http://www.uplink.co.jp/miracletwins/
(C)Twin Triumph Productions, LLC 

※写真は、イサベル・ステンツェル・バーンズさん(左)とお母様のステンツェル・ハツコさん(右)

 

miracletwins-1.jpg 日本人の母とドイツ人の父から生まれた一卵性双生児のアナベルとイサベル。二人は共に幼いころから「嚢胞性線維症(CF)」という遺伝性疾患を患い入退院を繰り返してきた。肺移植しか生き延びる道がない難病と共に生き、移植に成功した今、アメリカと日本で精力的に「嚢胞性線維症(CF)」患者を支える活動や、臓器提供や臓器移植の理解と支援を得る活動を繰り広げている二人の奇跡の姿を追ったドキュメンタリー『ミラクルツインズ』が、渋谷アップリンク、第七藝術劇場で公開される。

 映画公開に先立ち10月6日(土)に第七藝術劇場で行われた先行上映会では、残念ながらアナベルさんは急病のため来日が叶わなかったものの、イサベルさんと母親のハツコさんが登壇し、日本語でQ&Aや日本とアメリカの臓器移植に対する考え方の違いを語った。
 前日に行われたインタビューで、つねに「死」と隣り合わせで闘病生活を送ってきたからこそ今があると語ったイサベルさん。その人生や移植、ドナー家族との関係、そして本作で伝えたいことについてお話を伺った。 


━━━先に本を出版されてからの映画化ですが、その経緯を教えて下さい。 
本は先にアメリカで出版され、病気でどうやって普通の生活ができるかを医療関係者や患者家族の方の前で講演してきました。その本が翻訳され、日本で出版される前に、夫がボランティアで監督のマーク・スモロウィッツ氏に出会ったのです。「妻たちが日本でブックツアーをするので記録映像を撮ってほしい」と依頼したのが一番最初のきっかけですね。監督も快諾してくださり、来日を熱望したので、2009年10月に撮影チームも同行して日本に来ました。

日本の移植の状況は世界の中で一番難しいし、そのことをアメリカ人は知りません。私はハーフで、日本とアメリカの移植の状況を知っているので、これを比べたら映画になると思いました。マーク監督は素晴らしい人で、人の気持ちを引き出すのがとても上手です。移植や法律のことだけではなく、個人個人のヒストリーも取り入れています。

━━━上半身の手術の傷跡を見せたり、摘出後の肺の写真を見せたり、全てをさらけ出していることに驚きと強さを感じましたが、これらはお二人の意志ですか?
肺の写真は、私が作っていたスクラップブックを監督に「持ってきて」と言われたし、傷跡を見せることも監督の考えです。私たちは洋服を着ていると元気な普通の人みたいですが、監督に「ちゃんと観客にどうなったか傷跡を見せてあげて」と言われました。全てを理解していた監督を尊敬しています。

━━━お二人は双子ならではの強い心の結びつきで辛い入院生活を励まし合ってきた一方で、結婚や移植など人生の岐路は別々に迎えることになります。そのような時、どんな気持ちで過ごしてきたのですか?
双子に生まれたのはすごくラッキーでした。病気も一緒だったので、孤独を感じることはなかったです。アナと一緒に治療し、病院に行きました。でもお互いに競争や比較することもありました。双子に生まれるのは運命だと思います。私たちの遺伝子は同じですが、私たちの経験は同じではありません。パーソナリティーも少し違いますし、そういう事実を育ちながら学び、受け止めなければいけません。

(結婚や移植など)自分と違うときには、もちろん辛かったです。アナはよく私を羨ましがりました。私の方がもう少し健康で、早く結婚もしましたし。ちょうどアナは移植者リストに乗るぐらいの(病気が辛い)時期だったので、あのときはアナは私のことが嫌いでした。でも父や母のサポートもありますし、英語でgrowing pain と言いますが大人になるときには痛みも伴います。お互いに依存しすぎず、自立してがんばらないといけない部分があります。

miracletwins-s1.jpg━━━死が目前に迫ったギリギリのところで移植を受け、新しい肺で息を吸ったときはどんな気持ちでしたか?
もちろんすぐには大きな息は吸えなかったです。傷跡もひどかったですし、肺はドナーから摘出すると小さくなるので、風船みたいに少しずつ呼吸で大きくする必要がありました。死にそうになってだんだん意識を失い、「死んだ」と思ったので、目が覚めたときは「天国かしら」と思いました。バンドエイドを貼っていたので移植と分かり、すごく感謝したと同時に、ドナーのことを考えました。私は生き返り、ドナーは亡くなって、答えはないけれど、「どうして?」という気持ちと共に感謝がいっぱいでした。

━━━お二人とドナー家族の交流も描かれていますが、アメリカではドナー家族の名前を教えてもらったり、交流することが一般的に行われているのですか?
ドナー家族と交流する経験がある人もいますが、ごく少数です。憶測ですが、全体の5~10%ぐらいでしょうか。私たちはとても恵まれています。私の友達でも6人のうち2人がドナー家族から手紙をもらいましたが、会ったことはありません。会いたければドナー家族の方から始めるのです。ドナー家族のプライバシーが一番大切です。手紙を受け取るかどうかも選択できます。

もう一つ、ドナー家族から臓器を提供された患者側も全員が感謝の手紙を書くわけではありません。こういう素晴らしい贈り物をもらっておきながら、なぜ手紙を書かないのか、とても複雑な気持ちになります。

━━━アメリカと日本は移植の状況が全く違うことを、イサベルさんはどう感じていますか?
世界中に移植は増えています。こういう治療があるのになぜ使わないのかと。私は移植のあとこんなに健康になったことが信じられなくて、どうして他の人はこういう機会を「可能性がない」と思ってしまうのか、不公平だと思います。日本人がちゃんと臓器移植や脳死のことを本当に理解すれば、移植は良いことだと思います。ちゃんと教育するという意味ではメディアの役目はとても大切です。 

━━━日本とアメリカとの死生観の違いはありますが、もっとニュースなどで発信されていれば、日本でも移植に抵抗がなくなると思いますか? 
そうですね。また、若い世代はまた考え方も違うのではないかと思います。日本人は体と魂が分かれないと聞いたことがあり、死体を管理しようとしていますが、アメリカはどういう人だったかとか、どうやって次の世界に渡りたいと思っているのか。そのときに、他の人を助けることがいいという考え方もあります。

━━━本当に小さい頃から死を間近に感じていたお二人だからこそ、生きることへの強い意志を感じました。
それは病気の良いこと、贈り物です。みなさんと違って私たちは目の前に死があったので、若いうちにどんな決断をするか。本当に毎日やりたいことをしなければならないという中で育ったことには感謝しています。私たちは「後で」は、(この世に)いるかどうかわからなかったですから。テレビに出演したときはいつも言うのですが、一番大事なことは「愛と時間」の両方です。どちらかだけでも難しいというのは私の経験から言えますね。

━━━元気になったらこんなことがしたいと希望をたくさん持っていらっしゃったとおもいますが、今されている仕事について教えてください。
仕事をするのは普通の生活ですよね。子どもがいないので、夫を家で待つだけの生活はちょっとしんどかったのです。患者としての生活ではなく、普通の生活を送りたかったし、まだ生きていられるので、他の人を助ける仕事がしたくてソーシャルワーカーをしています。

健康な人でも病気の人でも人生は難しいです。どうやってこの苦しみを受け止めるか、どうやってもっと強い人間になるかをみんなで学ばなければなりません。

━━━執筆された本や講演活動を通じて、一番伝えたかったことは何ですか?
本を書き始めたのは、病気が末期のときです。出版や映画のことは全く考えていなくて、個人的なプロジェクトでした。移植の望みはありながらも、もうすぐ死ぬという思いもあったので、何か自分の人生を残したかったのです。書くことで気持ちが癒され、病気のことを受け止めることができました。その後本が出版され、その後このメッセージの中には何があるかと考えたとき、病気を持っている人も希望を持ち続けることが大事だということを伝えたいと。もうすぐ死ぬというときにも、ちょっとでも希望を持つことができれば大丈夫だと思いました。

また、この病気にかかるのは90%が白人です。だから私たちの話はちょっと珍しくて、どうやってこの病気と闘うのかを伝えたかったのです。両親の文化(父親がドイツ人、母親が日本人)が病気との闘いにどんな影響を与えたのかも見せたかったです。

私たちの体はとても弱いですが、生きる意志はとても強かったです。人間は体だけではなく、ほかの強さがありますので、難しい病気でも素晴らしい人生を送ることができというメッセージを送りたいです。もちろん私たちやドナー家族に、移植の素晴らしさも示したいです。

━━━最後にこれからご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
移植のことだけを描いた映画ではなく、仲間のサポートや希望を持つことなど人生の映画で、誰にでも通じると思います。


映画ではほとんど登場する機会のなかった母ハツコさんも同行してのインタビュー、大きく語られなかった母の支えを肌で感じることができた。生きる意志と希望を捨てず、臓器を提供してくれたドナーの分まで今を精一杯生きるイサベルさんとアナベルさんの姿が我々に伝える全力のメッセージを、映画からぜひ受け止めてほしい。(江口由美)

odayakana-pusan-550.jpg『おだやかな日常』第17回釜山国際映画祭新着レポート
odayakana-pusan-1.jpg(2012年 日本 1時間42分)
監督・脚本・編集:内田伸輝
出演:杉野希妃、篠原友希子、山本剛史、渡辺杏実、寺島進
12月22日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開 ©odayaka film partners

 10月5日(金)、第17回釜山国際映画祭にて、日本映画「おだやかな日常」がワールドプレミア上映され、内田伸輝監督、主演兼プロデューサーの杉野希妃、同じく主演の篠原友希子が舞台挨拶をした。
 今回の釜山国際映画祭出品で本作は世界的にも注目を集めており、国際的に影響力のあるSCREEN INTERNATIONAL紙の「今年の釜山国際映画祭で最もホットな映画10本(The power of 10)」の1本として紹介されている。5日の上映はチケット発売開始直後に完売、チケット売り切れを嘆く声も多く、関心の高さが伺えた。
 上映後のQ&Aで、熱心な観客から質問が以下の通り相次ぎ、登壇者が答える度に満席の客席から拍手が何度も起こった。


odayakana-pusan-uchida.jpg━━━二組の夫婦の在り方を対照的にしたのは何故か?
内田:震災以降、考え方の違いから離婚するケースが増えている。また逆に震災をキッカケに絆を深めて結ばれる夫婦も多くいる。サエコ夫婦の場合、震災前からこの夫婦の関係は冷えきっていたのだが、震災をキッカケにそれが露になった一つのケースでした。きれいなものだけを撮るのが映画ではないと私は思っています。

━━━日本の人は、放射能汚染に無関心なのか?
内田:東京で汚染を気にしている人の数は、表面的には、かなり少ないように見えますが、ネットなどの匿名の人の書き込みなどを見ると、どこかで不安に思っている人は多くいます。無関心な人と、そうでない人の数は同じくらいだと思います。最近では、総理官邸前で原発再稼働反対デモの数も増えて来ていて、声を出す人の数は徐々に増えているような気がします。

odayakana-pusan-sugino.jpg━━━演技的にも見せ場が多く、女優としてこの作品に挑戦するのには相当な覚悟が必要だったと思うが、何故オファーを受けたのか?
杉野:監督から企画のオファーを受けて、プロデューサーとしても是非一緒にこの作品を作りたい、作らなければいけないと思いました。この震災をキッカケに、日本は外に、海外に目を向けて行くと思いましたが、どんどん閉鎖的になって行く事に何とかしなければという気持ちでした。
篠原:きれいなものだけではなく、人間のネガティブな部分もちゃんと演じられてこそ役者だと思うし、そういう作品に心惹かれます。

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━━━監督からはどのような演出をされたのか?
 杉野:台本は完璧に100ページくらいありましたが、現場では全て忘れて本当に感じたことだけを言葉にしてほしいと言われました。役者として試されているような感じが、とてもエキサイティングで面白いと思いました。
篠原:監督はもっとこうしてああしてと細かく言うタイプではないです。感情を爆発させたり、抑えたりと、自分が意識的にコントロールをしたというよりは、監督がうまく導いてくれたように思います。

 


odayakana-1.jpg【ものがたり】  2011年3月11日、東京近郊。同じマンションの別の部屋に住むユカコとサエコ。その日もほかの日と同じ日常が続くはずだった。地震とその後起こる放射能事故がなければ通路で挨拶を交わすだけの二人の人生が、思いもよらぬ形で交錯していくー―。福島原発から漏れだす放射能は、ユカコの生活を少しづつ蝕んでいく。日常に入りこんでくる放射能を遮断できない苛立ちと不安は、夫との関係に揺らぎをもたらす。一方、震災直後に別の女性の元へ行ってしまった夫を頼ることもできず、ただ一人、子供を守らなければならないサエコは、娘の通う保育園での放射能事故の対応で徐々に周囲から孤立していく。やがてサエコはその不安からある事件を起こしてしまうのだった…。

yazaki-2.jpg『1+1=1 1(イチタスイチハイチイチ)』矢崎仁司監督インタビュー
(2012年 日本 1時間6分)
監督:矢崎仁司 
脚本:矢崎仁司・武田知愛
出演:喜多陽子、粟島瑞丸、松林麗、気谷ゆみか、田口トモロヲ他 
2012年11月3日(土)~シネ・ヌーヴォにて公開
公式サイト⇒http://eiga24ku.jp/projects/product.html
※11月3日(土)矢崎仁司監督、武田知愛さん(脚本)による初日舞台挨拶あり。
※『1+1=1 1(イチタスイチハイチイチ)』公開記念、矢崎仁司監督特集をシネ・ヌーヴォにて同時開催。上映作品は『三月のライオン』(92)、『花を摘む少女と虫を殺す少女』(00)、『ストロベリーショートケイクス』の三本。

 都会の片隅で暮らす登場人物23人の日々の断片が、パズルのピースのように散りばめられた青春群像劇『1+1=1 1(イチタスイチハイチイチ)』。その日だけの関係で終わってしまう男女や、夢のために割り切って体を差し出す女たち、自宅から少女を覗き見する男、自殺した娘の部屋でバースデイケーキに光を灯す父など、双方向の関係を作ることができない人間たちが重なっていく。

1+1-1.jpg  孤独と虚しさだけが残る乾いた関係を独特の感性で切り取るのは、『ストロベリーショートケイクス』、『スイートリトルライズ』の矢崎仁司監督。本作は映画人の育成や意欲的な映画づくりを掲げて発足した「映画24区」第2回製作映画であり、同シナリオワークショップで学んだ武田知愛と矢崎監督が脚本を共作、オーディションで選ばれた23人の俳優と共に作り上げた、新しい息吹を感じる作品だ。

キャンペーンで来阪した矢崎監督に、本作着想の制作秘話や、映画で何を表現するのか、そしてこだわりの挿入歌についてお話を伺った。


━━━都会に住む人間の孤独や関係性の希薄さが滲む作品でしたが、23人の男女を使って本作を作り上げた経緯をお聞かせください。
もともと映画24区の三谷プロデューサーから話が来て、一般公募でシナリオを募集していたのですが、23人出すというときに、誰かを主人公にして、誰かが通行人Aみたいな映画にはしたくないな、全員主役にしてあげたいなと思っていたのは確かです。

1+1-2.jpg━━━シナリオは公募された中から選ばれたのでしょうか?
条件に書いてあったことがあるのかもしれませんが、たくさんの人を出そうとすると、劇団やバンドの話などストーリーメインのシナリオが多かったです。僕はもともと物語に興味ないから、「こんな話です」というのは撮りたくないのです。「こんな人が出ています」というのを撮りたいだけなんです。結局一般公募の方はダメになって、映画24区のシナリオライターコースの生徒さんたちに一度書いてもらいました。その中で一番長く、シナリオらしいものを書いてきた武田さんとゼロから共同で作っていきました。 

━━━23人みんなが主役の映画ということですが、撮影で気を付けたことはありますか? 
みんなで一本の映画を作ろうということをしたかったので、今回は誰かが何かに困っていたら、全員がその困っていることを知っているという現場でした。
衣装合わせはちゃんとするんですけれど、衣装もみんな自分で持ち寄って、基本的には自分で買ってきたり、そこから自分で役作りに入っていったと思うし、他の人にも貸したり、本当に手作りの現場でしたね。

━━━日頃矢崎監督が撮影される現場とは違う部分が多々あったと思いますが。
バジェットは厳しかったですけれど、映画の長さや内容はやりたい放題やらせていただきました。ここのところ原作ものが多かったので、久々に好き勝手やらせてもらいました。

yazaki-1.jpg━━━タイトルの『1+1=1 1』は3.11からの意味付けもあるのでしょうか?
そんなには意識していませんが、空を撮る女の子のエピソードで出てくるのは、実際僕が写した9.11の日の写真ですごく赤い空だったんです。3.11もしかりですが(11は)自分の中のことで、3.11や9.11と結びつけて考えようとは思ってなかったです。むしろ一人と一人を足しても絶対二人にならないということの方に、ずっと一人みたいな。戦争で何万人亡くなろうが、何万人ということではなく1+11が二人になるときっと何万人になってしまうので、いいことも悪いことも皆同じ方向を向いてる時、1+1が2なる空気感が怖いなと。

━━━東京での舞台挨拶で、わかりやすい感動を呼ぶ最近の日本映画に警笛を鳴らすコメントがありましたが、監督の日本映画に対する思いは?
自分の中にはそれ(警笛を鳴らす)はありますし、そういう風に作れることを否定するつもりはなく、いろんな映画があっていいと思います。ただもっといろいろな映画があっていいと思う中で、ある(ジャンルの)映画が多すぎるかなと。本当は涙とかは、自分では理解できない涙を流すときの方が多いと思うんです。こういうストーリーだから流れる涙ではなく、自分では説明のつかない涙が流れる。そういう涙を流させる映画はもっとあっていいと思うんです。

━━━そのお考えは映画を撮り始めた当初から変化はないのでしょうか?
映画で何かテーマを訴えようとは全く思っていないですね。ただ、僕の映画でできることは、忘れていたことを思い出させる。かつてあんなに人を愛したことがあったなとか、私って死ぬよねとか、日常で忘れていることに触りたいんですよね。自主制作で撮ったときから、なんとなく音を小さくしてみせたり、いわゆる映画館でかかっている映画に石を投げたいと思ってましたね。

━━━どうやってキャストを選ばれたのですか?
今回はすごく怖くて、オーディションに来ました(笑)最初に脚本があって出演者を選ぶのではなく、今回は出演する人が先に決まっているんですから。24区は誰でも入れないので、しっかりオーディションをして選ばれます。呼ばれていないけどその現場に行って、どういう人が選ばれるのか見てきました。

1+1-3.jpg━━━最後までどうなるか分からないと思いながら完成した作品について、ご感想は?
公開したときに知り合いに見てもらった第一声は「大丈夫だった?」何度も繰り返し見れるのですが、人に見せたときに大丈夫だったか聞かざるを得ない感じです。でも珍しくエンディングで写真が流れてきたときは、うるっときました。今までは割とふっきって、これで大丈夫と思うか、何か言われても全部自分の責任と思うわけです。褒められたらカメラや出演者や他の人たちが褒められ、ダメなときは監督が出ていく。そういった腹をくくるんですけれど、今回はまだ・・・(笑)

━━━ラストに登場人物全員の現在から赤ちゃんまでの写真がパラパラと映され、見入ってしまいましたが、監督のアイデアですか?
脚本を書いている途中、みなさんに写真を持ってくるようお願いをしていましたが、それをどういう風に使うか自分でも全く分からなかったんです。編集中に、写真素材を合成して何度か入れてみてもうまくいかなくて、この方法ではだめなんだなと。自分で100円の傘を壊して、一枚一枚写真を貼って、パラパラマンガのマシンを作ったんです。暗闇で回したのを見て、これなら映画に入るなと。今回は合成なしでアナログでやりました。

━━━「kiss my 明日」など、挿入歌も非常に印象的でした。
高速スパムというバンドに出会ったのはもう5、6年前だと思いますが、出会った当時から映画のエンディングに使いたいとすぐにオファーしました。でもエンディングをなかなか監督が決められなくて、使えなかったんですよ。今回はエンディングを絶対頼もうとしていたら、ちょうど高速スパムも新しいCDが出たばかりで、その中の曲を使っていいと言ってくれました。「Today」とか「kiss my 明日」とか、この映画のために作ったのかと思うぐらいすごいクロスして、出会うべくして出会ったようなバンドでした。

━━━待っていてよかったという感じですね。
もう待ちきれずに、編集の途中でエンドロールに音楽を入れてもらいました(笑)。かっこいいバンドだなと思ってずっとラブコールを送っていたので。


エンディングで登場人物全員の生きている証のような写真が一気に流れたあと、全てを包み込むかのように流れる「KissMy 明日」。観終わっても頭の中をこの曲がグルグル巡り、シーンの残像がフラッシュバックしてくるのだ。矢崎監督がラブコールを送り続けてきた神尾光洋ひきいるバンド「高速スパム」は劇中でもライブシーンで熱いプレイを披露しており、印象的な映像が織りなす矢崎ワールドに今までにないインパクトを与えている。

1+1は2ではないけれど、一人であることを保ちながらも、どこか共鳴できる一瞬が光のようにすっと射し込んでいる。心の中のシャッターでその「瞬間」を切り取ってほしい。(江口 由美)

tokyokazoku-di-1.jpg【写真説明】京都・南座で行われた初めての一般試写会で「判決を待つ被告みたいな気持ち」と語る山田洋次監督


『東京家族』山田洋次監督舞台挨拶

(2012年 日本 2時間26分)
監督:山田洋次
出演:橋爪功 吉行和子 西村雅彦 夏川結衣 中嶋朋子 林家正蔵 妻夫木聡 蒼井優
2013年1月19日(土) 全国ロードショー
公式サイト⇒ http://www.tokyo-kazoku.jp/
(C)2013「東京家族」製作委員会


【最初のご挨拶】
山田洋次監督:この映画は去年夏、完成の予定だった。(撮影の)準備中に3・11を迎えた。その後に原発のメルトダウンもあった。私たちは原発に対する認識が足りなかった。撮影をやめるべきではないかとも考えた。いったん中止し、時間を置いて考えたが、この時代、準備したものをやめるのは大変なこと。1年後の今年3月1日にクランクインし8月に完成した。試写会は何度かやったが、一般のお客さんに大劇場で見てもらうのは初めてで、緊張しています。判決を待つ被告みたいな気持ちです。

tokyokazoku-di-2.jpg――― 小津安二郎監督の「東京物語」は今年8月にイギリスで行われた監督が選ぶ「歴代世界映画ベストテン」で1位になりました。
山田洋次監督:大変権威のある賞で、10年おきに選ばれる。「東京物語」は常連だけど2002年は5位だった。今年トップになったと8月に聞いてボクも誇りに思っている。「東京家族」はこの映画を下敷にしている。家族の問題を描いた映画は世界中で共感出来るということでしょう。

――― 今日は南座で今では貴重なフィルム上映ですが。
山田洋次監督: 映写機がなくなるのは大きな転換期。フィルム110年の歴史がなくなろうとしている。デジタルとフィルム上映はお客さんにはっきり分かるものではないが、フィルムには独特の味わいがあり、それはデジタルにはないもの。その意味で今日は大事な上映になります。映写技師さんが最高の状態で映写してくれます。ベルが鳴り、場内が暗くなる。映写機の音がする、という感覚を味わって下さい。
                   (安永 五郎)

kuroneko-s550.jpg『くろねこルーシー』主演:塚地武雅さんインタビュー
(2012年10月1日(月)シネマート心斎橋にて)

~ダメ男に共感しまくり、塚地武雄の好転のキッカケとは?~

kuroneko-1.jpg(2012年 日本 1時間47分)
監督:亀井亨
出演:塚地武雅、安めぐみ、大政絢、濱田マリ、山本耕史、京野ことみ、佐戸井けん太、生瀬勝久
2012年10月6日(土)~シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、梅田ブルク7、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都、109HAT神戸 ほか全国ロードショー
公式サイト⇒ http://kuroneko-lucy.info/
© 2012「くろねこルーシー」製作委員会
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【舞台挨拶のお知らせ】
主演の塚地武雅さんの舞台挨拶があります!
10月8日(月・祝)
シネマート心斎橋、梅田ブルク7、T・ジョイ京都にて。
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 人生、何がキッカケで好転するかわからない!“甲斐性なし、オーラなし”のダメ男の起死回生のキッカケは、なんと魔女の使いと忌み嫌われる黒猫だった。リストラをキッカケに子供の頃から憧れていた占い師の道を選ぶ。妻と息子とは別居、一人わびしく暮らす男は、占い師としてのオーラもなく、店も閑古鳥がなく始末。しかも、迷信深く気が小さい上に頑固ときているから余計始末に悪い。そんな男の元に、二匹の黒い仔猫が棲みついたことから、男の運気が変わっていく。
 黒猫が幸運をもたらしてくれた、と単純に喜べるファンタジックな映画ではない。確かに、それはひとつのキカッケではあるが、気まぐれな猫の面倒をみながら、家族や他人と向き合う姿勢や思いやる気持ちが芽生えたことなど、彼自身の成長と周囲の変化が、見る者を勇気づける要因となる。やはり一人より家族と一緒がいい、その温もりと可愛い仔猫たちに心なごむ作品だ。

 愛くるしいネコちゃんと愛情を通わせる不器用な男を演じた塚地武雅さん。共通点が沢山あって他人ごとではなかったという。作品に込めた思いやネコとの共演についてなど、気さくに語って頂きました。


kuroneko-s2.jpg――― 今回の役について?
台本頂いた時点ではうだつの上がらないダメなイメージでしたが、頑固で人付き合いが下手なところとか、次第に共感の嵐でした。自分そのものみたいな気がしてきて……家庭を持っている分だけ、この主人公の方がマシですけどね(笑)

――― 結婚されるご予定は?
いや、まったくないですよ~! 

――― 妻役が安めぐみさんでしたが、アズマックスさんから何か言われましたか? 
よく共演をキッカケに結婚されるケースもあるので、僕もそれを目指していましたが、安さんは既に結婚が決まっていましたので、がっかりしました。アズマックスさんもこの映画を見て下さったようで、「良かったよ」と仰っていたと安さんから聞きました。ということは、二人で見てたんだ~と、逆にのろけられたようでした(笑)。

kuroneko-2.jpg――― ネコとの共演は?
ネコも犬も飼ったことがなくて、最初はどう対処したらいいのか分かりませんでした。嫌いじゃないけど、抱き方も分からなかったのですが、撮影が進む速度と同じリアルタイムで仲良くなっていきました。ネコは気まぐれなので、誰かと喋っていると寄って来たり、ヤキモチやいたり……クランクインの時は抱いても暴れてましたが、クランクアップの時はなついて、抱いても落ち着いてました。

――― ネコを飼いたいとは?
飼いたいけど、面倒見きれないし、出会いの場にも行けないし……。

――― ネコを飼うと恋人できないといいますけど・・・?
犬みたいに散歩させられないので、散歩中の出会いにも期待できないし、せいぜいネコがいなくなってネコ探しの時くらいに、同じようにネコ探している人と出会えるくらいでしょうか(笑)。

kuroneko-s3.jpg――― 鮫島家からの帰り、雨宿りするシーンで泣けました。
ありがとうございます。あのシーンでは、最初はもっと強い男らしい口調でネコを励ます予定だったのですが、それがネコと一緒にわびしさを共有しているような感じになりました。

――― この主人公のように、何かのキッカケで運が上向いた経験は?
中学生の時、“ちびっこ漫才師”みたいなもので有名になった同級生がいたのですが、「おまえの方がおもろいで」と言ってくれた友人がいて、その後、高校、大学、就職してからもずっとその言葉が心に引っかかっていました。友人のその言葉がキッカケで、こうしてお笑いの世界に入った訳です。

――― どんな“おもろい子”だったのですか?
いつも明るく朗らかという訳ではなく、何か凝ったことで笑いをとったり、授業中には先生に大喜利的な返しをしてみたり、ちょっと変わっていたかも知れません。

kuroneko-4.jpg――― そこも商業的な占いを拒む主人公と似ているのでは?
確かにそうですね。

――― “甲斐性なし、オーラなし”なんて、特に芸人には堪える言葉では?
芸人をやり始めた頃は、本当にお金に困ってましたね。借金しても利子しか払えなくて、芸人として食べていける日がくるのか、と心配していました。

――― 監督の演技指導は?
細かい演技指導はありませんでした。撮影に入る前に飲みに行ってお話したら、監督と共通していることが多く、ちゃんとリンクしていたので安心しました。

――― ファンタジーなお話のようだが、妙に現実感のある舞台でしたね。ロケ地は?
木更津です。何となく懐かしさの残る、空気もこの作品にバッチリはまっていたようです。服装もムリしてないような感じで作風に合ってはいましたが、あまりにも普通過ぎて、家の中のシーンの服装のままオフしてたり、ドテラにジャージですからね~和み過ぎてましたね(笑)。

kuroneko-3.jpg――― 大政絢さんとの共演は?
本当に可愛らしく、ナチュラルな感じの人でした。あんな綺麗な人でも、ペットショップの制服着るとそれになりきっていましたから、さすが女優さんですね。

――― 濱田マリさんは?
急にアドリブで来られるので、もうこちらはナチュラルに応えるしかなくて、ホント驚かされました。面白い方でした。

――― 迷信は信じる方ですか?
全部信じています(笑)。特にスポーツ選手や芸人はゲン担ぎしますので、世の中で知れ渡っている迷信は殆ど気にしていますね。舞台に出る直前、ここよりもっと大きなホールを想像するんです。実際出てみると小さいので、ホットする…緊張をほぐすための私の迷信です。

kuroneko-s4.jpg――― 『ももいろクローバーZ』の大ファンですって?
はい!ライブにも行ってます。最初はじっとして聴いていたんですが、途中で、周りはノリノリなのにカッコ付けている自分に気付いたんです。こんなに元気もらってるんだから申し訳ない、と思い直し、今では最初っからガンガン応援しています(笑)。

――― 今後やりたい役は?
NHK大河ドラマ『平清盛』で悪い公家役をやったのですが、それが楽しくって、結構受けてたみたいです。またあのような悪役をやってみたいです。

――― この映画で一番伝えたいことは?
自分で言いながら納得していたのが、「人間ってキッカケなんだな~」というセリフです。苦手意識のある人や物でも何でも、実際当たってみないと分からない。何かのキッカケで苦手でなくなることもある訳ですから、決めつけないで、積極的に行動することが大事。この映画が、正に背中を押してくれるキッカケになってくれたらいいなと思います。家に帰る道筋でも、ちょっと違う道を歩くと、新たな発見があるかもしれませんし。(河田 真喜子)