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2016年3月アーカイブ

撮りたいものを撮ってきた!『蜜のあわれ』石井岳龍監督インタビュー

(2016年3月29日 大阪にて)


『蜜のあわれ』
■2015年 日本 1時間50分
■原作:室生犀星「蜜のあわれ」
■監督:石井岳龍  撮影:笠松則通
■出演:二階堂ふみ、大杉 蓮、真木よう子、韓 英恵、上田耕一、岩井堂聖子、渋川清彦、高良健吾、永瀬正敏
■2016年4月1日(金)~梅田ブルク7、T・ジョイ京都、4月9日(土)~109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー
公式サイト:http://mitsunoaware.com/
■コピーライト:(C)2015「蜜のあわれ」製作委員会


 

~老作家が求める理想の愛のカタチ…
 金魚の化身と戯れる妖しくも愛らしい世界~


mitunoaware-500-1.jpg大正期の文学者・室生犀星が1959年(昭和34年)に発表した、自身を投影した小説「蜜のあわれ」に石井岳龍監督が挑んだ意欲作。犀星の“理想の女(ひと)”の結晶というべき「金魚の姿をした少女」赤子(二階堂ふみ)と老作家(大杉漣)の無邪気でエロティック触れ合いと、老作家への愛を募らせて蘇った幽霊(真木よう子)の三角関係を交えた幻想的な文学ドラマ。犀星の地元、石川県金沢市、加賀市を中心にロケを行い、小説世界を再現している。
 

mitunoaware-di-340-1.jpg石井岳龍(聰互改め)監督が室生犀星の小説を映画化した文芸ファンタジー『蜜のあわれ』のPRのため来阪した。老作家(大杉漣)の孤独な暮らしに、金魚の姿をした少女・赤子(二階堂ふみ)が現れ、無邪気でエロティックな戯れに浸る。老作家への愛を募らせて蘇った幽霊(真木よう子)も加わり幻想的なドラマを繰り広げる。デビュー以来、常に注目を集めてきた石井岳龍監督がまた新たな地平に立った。

 
 



 ―――『蜜のあわれ』は監督の作品の流れからは考えにくい作品だが?
岳龍監督:二階堂ふみさんが『やりたい』って言ってくれて成立しやすかった経緯は、室生犀星の詩が好きだった。(脚本の)港岳彦さんが文学青年でもあり書いてもらった。脚本は長くて泣く泣く切らなくてはならなかったけど、取捨選択は難しかった。

mitunoaware-500-2.jpg――― 二階堂ふみはじめ大杉漣、真木よう子、芥川龍之介役の高良健吾、金魚屋の永瀬正敏という豪華キャストに感心。
岳龍監督:適材適所というか、望んだ人がみんな出てくれた。しあわせな映画だった。でも楽しいばかりじゃない。映画はちょっとしたことでバラバラになってしまいますからね。撮影期間は3週間。原作の味を出すため、全編北陸ロケしました。

 

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――― 二階堂ふみの丸いお尻のアップから始まる“老作家”の妄想映画。二階堂ふみが金魚になりきるファンタジーが魅力。
岳龍監督:室生犀星は70歳でこの小説を発表した。私はちょっと下になるけど、気分はこの主人公と近いというか、同じでしょうね。“丸いものは美しい”のは男の本能であり、世界の心理です。丸いものには力があるんです。

――― 二階堂ふみはただいま絶好調の女優さん。
岳龍監督:会った瞬間から、この人は(ヒロインの)赤子だと思った。彼女も原作を読みこんでいて出演を熱望していた。(二階堂は)大人の部分と自由奔放な子供っぽい部分を併せ持っている方。その意味でも幸せな映画でしたね」。

――― 石井監督は映画ファンにはデビュー作『狂い咲きサンダーロード』(80年)、『爆裂都市BURST CITY』(82年)、イタリアの映画祭で評価された『逆噴射家族』(84年)から突っ走ってきた“気になる監督”。若者映画のパイオニアにだった。
岳龍監督:若かったですね。学生時代に自主映画で『高校大パニック』を撮って『狂い咲き ~ 』は16ミリで撮ったのを35ミリにブローアップした。東京の東映映画館の支配人さんに認めてもらって、東映で全国配給して頂いた。その結果、大ヒット。天文学的な数字だった。あの頃はホント勢いだけでしたね。舞い上がってしまった。

mitunoaware-di-240-2.jpg――― その後も石井監督は注目される存在であり続けた。浮き沈みはどんな監督にもあるが、石井監督の40年は長かった?
岳龍監督:ひとつだけ言えるのは、これまでの作品全部、自分が撮りたくて撮ってきたということ。自分が責任持てない映画は撮ってない。映画は今の時代の会社、お客さんとの共同作業で、共闘でもある。独りよがりはダメだし、お客さんにコビを売ることもない。これまで、自分なりに精いっぱいに映画撮ってきて、自分のものになる可能性を求めて、ここまできた。

――― 石井監督にもスランプの時期があったのか“パイオニア時代”の初期ファンから見たら、アレッと思う映画もあった。時代劇大作『五条霊戦記 GOJOE』(00年)と『ELECTRIC DRAGON  80000V』(01年)あたりはしんどかった。それから10年たった2011年の『生きてるものはいないのか』で目覚ましい復活を見せた、と思うが?
岳龍監督:そうですかね? 『ELECTRIC DRAGON ~ 』はヨーロッパで大好評だし、94年の『エンジェル・ダスト』はアメリカで評判だし、イギリスで《バーミンガム映画祭グランプリ》を獲ってます。97年の『ユメノ銀河』は北欧で評価が高い《オズロ映画祭グランプリ》。逆に『生きてるものはいないのか』はなぜかさっぱりでしたね。評価が低かった。

mitunoaware-di-240-1.jpg――― 9・11東日本大震災→原発事故以降、それを題材にした映画はたくさん出たが、石井監督の『生きてるものはいないのか』が最高ではないか、と。
岳龍監督:そうですか。実は、この映画は大震災の起こる前、2010年に撮っていて、震災直後にはとても公開出来ない、と1年待った映画です。“予感の映画”?  ウーン。

――― それまでの10年に石井監督に変化が?
岳龍監督:10年間に変化があったかもしれません。2010年に名前を聰互から岳龍に変えましたし、ちょうど、神戸芸術工科大学から教壇に立つ話をもらって、一から勉強やり直そうと思ったのもこのころ。(講師の依頼は)自分にとってドンピシャのストライクゾーンでしたね。この年になって勉強やり直せるなんて、素晴らしいことじゃないですか。教える立場でも勉強する側でも一緒ですから。

――― ちょっと変わった文芸ファンタジー『蜜のあわれ』を撮った後はどこへ? 
岳龍監督:次はまた、まったく違うものをやりますよ。ぜんぜん違うものを。中身は秘密ですけども。

 

             (安永 五郎)



◆石井岳龍監督 
1957年1月、福岡県生まれ。日本大学芸術学部入学後、8㍉映画『高校大パニック』(79年)でデビュー。『狂い咲きサンダーロード』(80年)、『爆裂都市BURST CITY』(82年)で爆発的な支持を集め、ジャパニーズ・ニューウェーブの旗手に。84年の『逆噴射家族』がイタリアのサルソ映画祭グランプリ、94年の『エンジェル・ダスト』がバーミンガム映画祭グランプリ、97年『ユメノ銀河』はオスロ映画祭グランプリ。そのほか『五条霊戦記 GOJOE』(00年)、『ELECTRIC DORAGON 80000V』(01年)など。10年に聰互 から岳龍に改名。その後は11年『生きてるものはいないのか』、13年『シャニダールの花』、15年『ソレダケ/that's it』がある。現在、神戸芸術工科大学で教壇に立つ。

 

 

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故郷とは、家族のいるところ。
『モヒカン故郷に帰る』沖田修一監督インタビュー
 
『横道世之介』『キツツキと雨』の沖田修一監督が瀬戸内の島を舞台に描く家族物語『モヒカン故郷に帰る』が、4月9日(土)よりシネ・リーブル梅田、TOHOシネマズなんば 本館・別館、シネ・リーブル神戸、京都シネマ、TOHOシネマズ二条他で全国公開される。
 
デスメタルバンドのボーカルを務めながら東京で彼女と暮らすモヒカン頭の男、永吉を演じる松田龍平、永吉の彼女でイマドキ妊婦の由佳を演じる前田敦子のカラフルなカップルが、田舎に帰るところからはじまる本作は、父、治(柄本明)の突然の癌の知らせと余命宣告により、親不孝息子の最後の親孝行へと転じていく。矢沢永吉や広島カープなど、広島県民の心の拠りどころを散りばめ、疎遠だった父子が心の距離を近づける様子を、温かい笑いを散りばめながら描いた。島の風情や緩やかな空気を堪能し、本当に“笑って泣ける”最高の家族映画だ。
 
本作の沖田修一監督に、本作の発想のきっかけや、それぞれのキャラクターに込めた思いを伺った。
 
 
 

―――直球ど真ん中の家族ドラマなのに、絶対に泣かさないと言わんばかりの意気込みでシリアスな状況を笑いに変えていましたね。 
沖田監督:こういう題材なので、そんなに湿っぽくならないようにしました。家族の誰かが病気になるのはよくある話だけれど、どこかで笑っちゃうエピソードや瞬間がある。そういう感じの映画にできればいいなと思いました。 
 
 
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―――治は矢沢永吉の大ファン、春子は広島カープの大ファンとキャラクター設定に広島が活かされています。その時点ですでに広島を舞台と想定していたのですか? 
沖田監督:ロケハンと同時進行で、脚本を書いていました。そのときは瀬戸内の島々をまわっていたのです。普通瀬戸内といえば、しまなみ海道のある愛媛などの観光地が思い浮かびますが、そうではなく、観光地になっていない島に魅力を感じました。それが広島の方だったのです。ロケハンする中で本当に広島カープが好きな人もたくさんいましたし、矢沢永吉さんも治と同い年だと調べて分かったんです。 
 
 
―――オリジナル脚本ですが、発想のきっかけは? 
沖田監督:父を看取る映画を作りたいと思ったのが、最初です。その中で、笑える映画ができないかと思いました。僕年代になると、実生活で父親の具合が悪くなってくることも増えてきますし、僕に近い年代の息子と父の映画にしたい。最初に台本を書いた時は、その息子が結婚の報告をしに帰ってくることにしていました。そのとき、父や母が熱狂的にファンになれるものが何かあればいいなと思ったのです。息子が帰ってこないことに寂しさをそんなに感じていない。自分の世界を持っていて、逆に帰ってきたら面倒くさいなと思うぐらいの夫婦でいてほしい。後は長男でありながら何もしない永吉に似つかわしくない、父の癌に対してちゃんと対応する次男の存在ですね。ちゃんとしない長男がいて、ちゃんとする次男がいる感じがいいなと思いました。普通、逆ですよ。 
 
 
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―――前田敦子さん演じる、永吉の彼女、由佳は、ぶっちゃけキャラだけど抜けている部分や、永吉の母、春子ともすんなり馴染んでいました。独特のキャラクターですね。
沖田監督:台本を書いているときに、この人がこう言ったらおもしろいのではないかと考えながら書いています。由佳は永吉と結婚できるぐらいの子であってほしいなと思って書きました。二人とも子どもというか、これから人の親になっていくという少し満ち足りていない感じがいいなと思いました。 
 
 
―――松田龍平さんは永吉を演じるにあたって色々なアイデアを出してくれたとのことですが、具体的にはどんなアイデアですか?
沖田監督:毎日の髪型とか、本当に細かいところなのですが、色々なアイデアを出してくださいました。 モヒカンもピンと立っている時ばかりではないので(笑)
 
 
―――柄本明さん演じる治のパワフルさや矢沢永吉愛が至る所に散りばめられ、笑いを誘いますね。今回、柄本さんと初めて一緒に仕事をされての感想は?
沖田監督:柄本さんが出演されていたドラマや映画は観ていましたし、ご一緒できるのはうれしかったです。ご自分で色々こうしようと思っていただいて、見ているだけで楽しかったです。最初はやりすぎじゃないかと思ったのですが、後々、具合が悪くなって死んでいくのだと思うと、あれぐらいの明るさは前提があるような気がしました。この映画の笑いの部分を支えていただいたと思います。 
 
 
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―――春子演じるもたいまさこさんも沖田監督作品への出演は初めてでしたね。 
沖田監督:現場に行って色々なものを感じながら、もたいさんなりに春子を演じてくださっているのがすごく分かり、僕がちゃんとしなければと思いました(笑)。穏やかな「もたいさん」ではなく、違う「もたいさん」が映画に出ていればいいなと。ちょっと気性の激しいという感じのもたいさんがこの映画で見たかったのです。体力的にキツい撮影だったと思いますが、すごく頑張ってくださました。 
 
 
―――おおさかシネマフェスティバル2016にて音楽賞(『味園ユニバース』)を受賞した池永正二さんが、本作でも音楽を担当されています。「瀬戸内海のイメージで」とオファーされたと伺いましたが、全体的にも音楽へのこだわりをとても感じる作品でした。 
沖田監督:海の町の音楽ですね。池永さんとは前からご一緒したいと思っていました。今回、永吉がやっているデスメタルバンド、断末魔のプロデュースを池永さんがやってくれるのではないかと勧めてくれる方がいたので、お声をかけてみました。結局、断末魔のバンドの曲から、映画の音楽まで全て池永さんが手がけてくださることになりました。デスメタルというジャンルですが、一辺倒ではないものにしてもらいました。 
 
 
―――吹奏楽で矢沢永吉の曲が演奏されるのも初めて聞きました。
沖田監督:音楽プロデューサーの方から、矢沢永吉さんの「アイ・ラブ・ユー、OK」を吹奏楽バージョンに編曲してもらい、音数が少し足りていない感じにしてもらいました。吹奏楽はそもそも20人ぐらいでないと成り立ちませんから、島で部員が足りない感じを出しました。 
 
 
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―――沖田監督ご自身は、どんな家族映画が好きですか? 
沖田監督:プロデューサーの佐々木史朗さんが手がけたATGの『家族ゲーム』や、石井聰互監督の『逆噴射家族』が好きで、観ていました。あとは向田邦子さんや山田太一さんのドラマは、ビデオを借りて観ていましたね。 
 
―――最後に、沖田監督にとって、故郷とは? 
沖田監督:僕は埼玉出身なので、あまり遠いところではないのですが、やはりこの作品と同じで、家族がいるところではないかと思います。
(江口由美)
 

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<作品情報>
『モヒカン故郷に帰る』
(2015年 日本 2時間5分)
監督・脚本:沖田修一 
出演:松田龍平、柄本明、前田敦子、もたいまさこ、千葉雄大、木場勝己、美保純、小柴亮太、富田望生他
2016年4月9日(土)~シネ・リーブル梅田、TOHOシネマズなんば 本館・別館、シネ・リーブル神戸、京都シネマ、TOHOシネマズ二条他全国公開
公式サイト⇒http://mohican-movie.jp/
(C) 2016「モヒカン故郷に帰る」製作委員会
 

 

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「ホラー映画は見たことがなかった」素直すぎる板野友美に観客からのサプライズも!『のぞきめ』舞台挨拶@梅田ブルク7
(16.3.18 梅田ブルク7)
登壇者:板野友美 
 

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「覗かれると死ぬ」という“のぞきめ”による怪死事件の真相を追うヒロインの姿を描いたミステリー作家三津田信三原作のホラー『のぞきめ』が4月2日(土)から梅田ブルク7、TOHOシネマズ梅田他全国公開される。元AKB48の板野友美が初主演を果たし、恋人が命を脅かされ、“のぞきめ”の真相に迫るうち、自らもその恐怖が迫るテレビ局勤務のAD役をクールに演じている。共演には、今出演作が相次いでいる白石隼也や注目新人の入来茉里をはじめ、吉田鋼太郎、東ちづる、池田鉄洋、石井正則らのベテランが脇を固め、村に伝わる過去の悲劇が事件のカギを握る、深みのあるストーリー展開や、人が狂気のふちに追い込まれる“目”の演出ぶりも見どころだ。
 
 
 
 
 
 

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全国公開に先立ち、梅田ブルク7で行われた舞台挨拶付き上映会では、主演の板野友美が大きな歓声の中登壇。初主演作がホラー映画であることについて、「ホラーが苦手で、今まで観たことがなかった。主演でうれしい反面、務まるか不安だったが、ストーリー性があるので頑張ろうと思った」と語ると、撮影までに参考にした映画としてはじめてホラー映画の『貞子3D』を観て、主演の石原さとみの演技を参考にしたことを明かした。
 
 
AKB48のメンバーでは誰に観てほしいかという質問には「AKBのメンバーはホラー映画に出演している子が多い。あっちゃん(前田敦子)や、ゆうこ(大島優子)、ぱるる(島崎遥香)といったホラー映画に出演したことがある子は見てほしい」。また自身は人を驚かすことが好きかと聞かれ「サプライズは好き。ハッピーな驚かし方をする」と、妹の二十歳の誕生日に、サプライズパーティーでケーキもデザインし、中高大の友達まで呼んだことを語った。大阪に住んだことのある板野は、好きな大阪弁をとの要望に「ほんま?」とかわいい大阪弁を披露。思わず観客から「もう一回言って!」とアンコールが。ファンの女子たちから「かわいい!」と歓声を浴びる一幕もあった。
 
 

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今までで一番怖い体験を語っているときに、突然観客全員が大声で「キャー!」と叫び出し、板野が茫然とすると、司会者からサプライズであったことを明かされ「頭が真っ白になった!」。期待通りのリアクションを見せた板野に、観客も大喜び。フォトセッションでは、観客が『のぞきめ』のチラシで顔を半分隠し、板野を覗いている観客と一体になった撮影で、のぞきめポーズをしっかり決めてくれた。この後、サプライズ演出のお礼として、特別に観客も板野を撮影できるという時間が設けられ、一瞬にして会場は撮影会に早変わり。映画の感想と共にSNSで拡散をとの呼びかけに、観客も笑顔で応えた。
最後は「とても怖いと思うけれど、皆さん、漏らさないでください」と初主演映画をアピールし、笑顔で舞台挨拶を締めくくった。
 
 

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舞台挨拶後の囲み取材では、AKBメンバーの出演したホラー映画ですら観たことがないとしながら、この『のぞきめ』は手で顔を隠しながら、“のぞき見”したことを明かし、「家のカーテンや換気扇の隙間から覗かれ、呪われるのは実際にありそうな日常に起こり得る恐怖。昨年3月から撮影し、1年越しの公開で、ガッツリ演技させていただくのは初めてだったので、今は公開が楽しみ」と語ってくれた。初主演作だが一人での演技が多かったといい、どんなCGがつくのか分からないまま、想像の中で演技するのは大変だったのだとか。「次はラブコメディーをやりたい」と、どこまでも飾らず素直で自然体の板野友美、なるほど女性ファンが多いのも分かる気がする。そしてホラー苦手を封印して臨んだ初主演作で、どんな演技をみせているのか、特に呪われた末の悲劇で起こる迫真の手の演技にも注目してほしい。
(江口由美)
 

<作品情報>
『のぞきめ』
(2016年 日本 1時間40分)
監督:三木康一郎
原作:三津田信三『のぞきめ』角川ホラー文庫刊
出演:板野友美、白石隼也、入来茉里、東ちづる、玉城裕規、小澤亮太、石井心愛、池田鉄洋、つぶやきシロー、石井正則、吉田鋼太郎
2016年4月2日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズ梅田他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://www.nozokime.jp/
配給:KADOKAWA / プレシディオ
 
(C) 2016「のぞきめ」製作委員会
 

VIPO2016main-550.jpg『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2015』で選ばれた4人の監督インタビュー

★4作品の公開は、3月19日(土)~25日(金) 大阪・シネリーブル梅田にて 
★公式サイト⇒ http://www.vipo-ndjc.jp/


次世代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的とした『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト』は、文化庁からNPO法人 映像産業振興機構(略称:VIPO)が委託を受けて2006年からスタートした。例年何度かのチャレンジでようやく採用されるケースが多い中、2015年は4人全員が初めてのチャレンジで合格。最終課題である35ミリフィルムによる短編映画(約30分)を完成させ、3月に東京と大阪で一般公開されることになった。現代社会の家族の在り様や人と人との繋がり方など情緒豊かな作品が出揃い、その貴重なチャンスに恵まれた若き4人の監督たちに、熱い想いを語ってもらった。


VIPO2016-di-500.jpg上の写真左から、
★作品:『罪とバス』 監督:藤井 悠輔(ふじい ゆうすけ)
★作品:『父の結婚』   監督:ふくだ ももこ
作品:『はなくじらちち』  監督:堀江 貴大(ほりえ たかひろ)
★作品:『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』    監督:佐藤 快磨(さとう たくま)



Q:35ミリフィルムでの撮影は初めて?
佐藤:初めて。もっと制限があるかと思ったら意外と多めに用意してもらえて、撮影中はデジタルと変わらずに何も気にせずに撮らせてもらった。ハイスピードのシーンでは回転がとても速くなって、壊れるのでは?とちょっと焦った(笑)。

堀江:初めて。ある部分をハイスピードにしようとしたら、「必要ないよね」と言われた。撮影中はフィルムという感覚はなく、ラッシュの段階でようやくその実感が持てた。緊張することもなかった。

ふくだ:初めて。学生の時に16ミリで撮ったことがあった。35ミリには憧れていたのでこのプロジェクトはいいなと思い、幸せに思った。

藤井:初めて。普段、フィルムの区別がつかなかったが、今回DCPとフィルムの試写を見て全然違うなと感動した。編集はデジタルでした。

 

Q:脚本について?
VIPO2016-fujii-240-1.jpg藤井:ずっと男の話を撮ってきて、兄弟を主人公にしたバディものの物語にしようと思った。テーマとしては、赤塚不二夫の「これでいいのだ!」という言葉が好きで、全ての出来事の存在を肯定するような意味ですが、それを映画を通して感じてもらえればと思った。

ふくだ:明るい映画を撮ろうと思った。ちょっと変な家族の、結婚をテーマにすれば明るくなれるかなと。父親の結婚式のために帰省して、父親の女装を知り動揺するけど、家族がひとつにまとまるという話を思いついた。

堀江:大阪市西成区のコインロッカーを利用する人々を捉えたドキュメンタリーを見て、それがとても面白くて、そこに登場する父親を主人公にして描きたいと思った。ある男が娘と久しぶりに再会するけど、ワケアリで全く感動的ではない。それに女子プロレスに興味があったので、女子プロレスラーの娘と父親が再会したらどうなるだろうと思ったのがキッカケ。

佐藤:人を好きになって世界が変わる瞬間、一緒にいて楽しい時間、それが壊れても繋がろうとする男を描きたかった。
 

Q:キャスティングについては?
藤井:まず希望を出して、俳優さんたちのスケジュールとギャラが合えばOKという感じだった。

VIPO2016-fukuda-240-1.jpgふくだ:希望していたのは板尾さんだけ。主人公の女性は何人か候補を挙げていたが、プロデューサーの意向でソニンさんに決まり、さらに山中崇さんを連れて来られ、結果的にはいい作用になったと思う。ソニンさんに決まってから主人公の年齢も少し上げた。メイクの楽しさを忘れてしまったので、メイクに目覚めた時の楽しさを思い出す
 

Q:この文科省のプロジェクトの魅力は?
藤井:フィルムで撮れることと、資金援助を受けられること。文科省の援助ですが、あまり気負うこともなければ、ハートフルな作品にしようと特には思わなかった。「絡みのシーン」についても、事前に相談したらOKと言われた。

ふくだ:35ミリフィルムで撮れることと、自分が書いたオリジナル脚本で撮れることが大きな魅力だった。自主制作で撮ったことがなく、制約されるのを心配していたが、資金援助された上に自由に撮らせてもらえるなんてとてもありがたいと思った。今回15人の候補者の中には助監督経験のある先輩も含まれていたが、年齢も経験も関係なく、みな同じ土台に立って選んでもらえることも大きな魅力だった。

VIPO2016-horie-240-1.jpg堀江:プロデューサーと知り合えることが魅力。大学院で映画を撮っていたので、プロダクションやプロデューサーと連携しながら映画製作することに憧れていた。どのような仕事をするのかとても興味があった。ハートフルなストーリーは文化庁向きかなと勝手な思い込みをしていた(笑)。

佐藤:PFFのスカラシップを期待していたらダメだったので、どうしよと思っていた時に、松永大司監督(2010年VIPOで『おとこのこ』を制作)の『トイレのピエタ』を観て、こんなデビューができたらいいなと思って応募した。
 

Q:配属されたプロダクションとの相性について?
藤井:男二人の映画だし、決闘シーンもあるので東映さんだろうなと思っていた。'60年代、'70年代の『仁義なき戦い』や『トラック野郎』シリーズが好きで、あのようなバディものを撮りたいなと思っていた。

chichi-240-2.jpgふくだ:今後の繋がりを考えればアスミックがいいな、と思っていた(笑)。ブースターと言われて最初戸惑ったが、とてもいい作品を製作しているプロダクションだとわかって安心した。プロデューサーはフリーの福島氏。『るろうに剣心』や『予告犯』など大作を手掛けている敏腕プロデューサーだったことに驚いた。クマみたいないかつい感じだが、破格のキャストやスタッフを揃えて下さったり、激励して下さったり、本当に感謝している。

堀江:僕は東宝と聞いて父が喜ぶと思った。父の風あたりが良くなるかなと。岐阜出身なので、岐阜のTOHOシネマズでも上映されるような映画を作りたいと思った。プロデューサーと考えや趣味が一致したので、その出会いに感謝した。奨学金の借金が沢山あるので、東宝作品のような商業映画を手掛けてみたいと思う(笑)。

ふくだ:漫画原作の映画を撮りたい。少女漫画の女の子の心理は女性の方がよくわかると思うので、是非やってみたい!

VIPO2016-satou-240-1.jpg佐藤:名作と言われる映画は見ていないが、『ピンポン』や『ジョゼと虎と魚たち』が大好きだったので、アスミックエースの名は知っていた。そうなればいいなと思ってたらアスミックエースに決まったので嬉しかった。撮影中同じ服ばかり着ていたら、プロデューサーが服を買って下さった。


Q:演出の仕方について?
藤井:人それぞれ違ったアプローチをした。阿部進之介さんには細かい気持ちを説明し、渡辺大さんは思いの他やんちゃで自由な人だったのでほったらかしでも大丈夫。中川可菜さんは演技経験がそんなになかったので、動きから表情までかなり細かい演出が必要だった。河井青菜さんと深水元基さんは関西人ではないので、関西弁を気にしていた。深水さんは落ち込むとそれが表情に出てしまうので、その都度フォローが必要だった。

ふくだ:あまり現場で役者と話したくない。カメラの前に座って「スタート」の掛け声で役者が出してくる演技を選択する立場でいたいと思って臨んだ。ソニンさんだけ演技経験が少なかったのがそれが難しかったけど、一緒に悩んで進めて行った。レストランで目むいて「おめでとう!」と言っているシーンがラストカットだった。

hanakujira-240-1.jpg堀江:現場ではなるべく俳優の横に居続けたい。俳優と一緒に演技するように、どんな気持ちでいるのか、どう変化するのかと常に感じていたい。今回3人の物語と決まっていたので、3人のそれぞれの演出プランは最初からできていた。哲治は喜劇的に見られる、はなは立ち居振る舞いで存在感を出す、鯨は二人を繋げる存在なのでとにかく行ったり来たりする動きのあるテンションの高い役という風に、つかみとして明確なキャラクター像を意識していた。

heyhey-240-1.jpg佐藤:撮影前に、太賀さんには夜遅くまで話す機会を作ってもらったり、岸井ゆきのさんには3回位来てもらったりして人物像について話し合った。岸井さんとは2回目の時、マコト像が180度違うことが分かって僕が狼狽したこともあった。その分確固たる木吉とマコト像を持って撮影に臨んだが、悩んだり揺れたりする内に二人を多面的に見られるようになり、より魅力的なふり幅のある人物像になった。それは、太賀さんと岸井さんにそういう機会を作って頂いたお陰だと思う。演出というより、現場では太賀さんとは木吉のことについて、岸井さんとはマコトについてだけ話し合った。


Q:30分という凝縮した時間については?(25~30分)
堀江:はなとちちは過去の家族の物語を、はなとくじらは未来の家族を感じ取ってもらえたら嬉しい。丁度それを30分にまとめられたと思う。

ふくだ:私にとっては30分という短編は名刺代わりになっている。本当は人物をもっと掘り下げて描きたいので長尺を撮りたい。

tsumibus-240-1.jpg藤井:30分という尺にするためには登場人物を少なくする方がいいだろうが、やりたいことを映像化するためにはあの人数で撮るしかなかった。自分としては満足している。

佐藤:僕は、二人が出逢ってから別れるまで構造的にシンプルに描きたかった。この二人の家族構成とか背景を撮るべきだったかもしれないが、シンプルにした方が返ってそれまでの二人の生き様を想像できるかなと考えた。

 



★『罪とバス』
tsumibus-pos.jpg出演:阿部進之介、渡辺大、中川可菜、笛木優子、河井青菜、深水元基

妻に離婚を言い渡された弟のヨシオが実家の中古車業を継いでいる兄ゴローの元に戻ってくる。未練たらたらのヨシオは酔っては泣き崩れる始末。ゴローは幼なじみの尚美に消えた恋人の捜索を頼まれる。尚美の娘は高校でイジメに遭っているがそれを誰にも言えずにいる。尚美の恋人が見つかったのも束の間、尚美は娘をゴローに預けたまま恋人とトンヅラ!!  しかもゴローを目の仇にする男の会社の大金を持ち逃げしてしまい…何も悪くないゴローはすべての責任を背負わされる。かつてゴローとヨシオが子供の頃、家族でドライブに出掛けた幸せな思い出がいっぱい詰まったミニバスに、不幸を背負った者たちと一緒に乗ってドライブへと出発する。面白いタイトルにしては、理不尽な暴力シーンが重く、不幸な人々の顛末となっているのが気になった。


監督:藤井 悠輔(ふじい ゆうすけ)プロフィール
VIPO2016-fujii-240-2.jpg1980年京都府生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業後、商業映画の制作に携わり、現在はCM制作会社に勤務する。その傍ら自主映画を制作し、「COIN LAUNDRY」(2013)、「はちきれそうだ」(2014)が、ショートショートフィルムフェスティバル&アジアや福岡インディペンデント映画祭、したまちコメディ映画祭、アシアナ国際短編映画祭、ジャパンフィルムフェスティバルなど国内外の多数の映画祭で上映される。

 



★『父の結婚』
chichi-pos.jpg出演:ソニン、板尾創路、山中 崇、襄ジョンミョン、山田キヌヲ

メイクアーティストの青子は、客からも恋人からも「心がない」と言われ自信を失いかけていた。メイクの楽しさを忘れてしまった青子は、その人に合ったメイクを考えることもできずいつもワンパターン。東京で傷付き、帰省してみたら今度は父親が女装して、さらに再婚相手は男だと知りショックを受ける。そんな中、亡き母親との思い出や、メイクをしてあげて喜ぶ再婚相手の幼い娘の笑顔を見て、メイクの楽しさが甦る。そうして彼女自身も周りの人を思いやる気持ちを取り戻し、反感を抱いていた父親にも理解を示していく。父親に花嫁のメイクする青子の柔らかな表情から彼女の成長を感じ取れるが、父親が女装するキッカケはわかるが、それがなぜ男との結婚に繋がるのかの疑問は残る。女装趣味とゲイとは違うから。面白い題材だが、笑うに笑えない無理があるようだ。


監督:ふくだ ももこ プロフィール
VIPO2016-fukuda-240-2.jpg1991年大阪府生まれ。日本映画学校で映画を学ぶ。監督、脚本を務めた卒業制作「グッバイ・マーザー」(2013)がゆうばり国際映画祭2014、第六回下北沢映画祭、湖畔の映画祭に入選。CM制作会社を退社後、フリーランスに。2015年、内田英治監督のオムニバス映画「家族ごっこ」(2015)の一篇「貧乳クラブ」の脚本を執筆し、劇場公開される。目標は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲ること!

 



★作品:『はなくじらちち』
hanakujira-pos.jpg出演:森下能幸、黒川芽以、夙川アトム、水澤紳吾、中村ゆうじ

コインロッカーで荷物を出し入れしているホームレスの哲治の元に、娘のはなと名乗る女子プロレスラーとマネージャーの鯨が訪ねてくる。「哲治ではない、自分には娘などいない」と突っぱねるが、14年前に父親が家族を捨てて蒸発した原因は自分にあるのでは?とずっと重荷に感じていたはなのために、鯨は哲治に執拗に食い下がる。あくまで否定する哲治に悪態をつくはな、その二人の仲を取り持とうとする鯨。父と娘の関係性が絶望的になった時、哲治の頑なな胸の内が明かされる。血の繋がりは打ち消せるものではない。長い間音信不通の父親がみじめな生活をしていれば尚更のこと、娘は複雑な感情がこみ上げてくるだろう。父親も、娘を大事に思ってくれる男がいるとわかれば、それは嬉しいに違いない。幸せな二人を見届けた後では、父親にもそれまでとは違った幸せな生き方ができるだろう。「家族ってめんどくさいけど、愛おしい!」と思える作品。


監督:堀江 貴大(ほりえ たかひろ)プロフィール
VIPO2016-horie-240-2.jpg1988年岐阜県生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域修了。大学院在学中に監督した短編映画「まんまのまんま」(2013)が水戸短編映像祭コンペティション部門にノミネート。オムニバス映画「リスナー」(2015)では「電波に生きる」を監督し、2015年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショー公開される。修了制作として監督した長編映画「いたくても いたくても」 (2015)TAMA NEW WAVE コンペティションにてグランプリ、男優賞、女優賞を受賞。現在、劇場公開準備中。

 



★作品:『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』
heyhey-pos.jpg出演:太賀、岸井ゆきの、牧田哲也、中田みのり、ぼくもとさきこ、伊達暁

木吉は、コンビニの店員マコトに絡んでいたクレーマーにいきなりとび蹴りする。それ以来マコトは、木吉がいろんな所でクレーマーたちにとび蹴りするのを見るのが何よりの喜びとなっていった。どこまでいくのだろうという危うさを感じさせつつ、木吉はマコトのためにいつまでも蹴ろうと思っていたが、「また蹴る?」という彼女の言葉に一瞬マを置いてしまった。そんな木吉のためらいを彼女は見逃さず、去って行く。それは、彼の生真面目さを大事にしようとする彼女の優しさからの別れだった。このラストシーンにはホロリとさせられる。太賀(『ほとりの朔子』『マンガ肉と僕』)と岸井ゆきの(『友だちのパパが好き』『ピンクとグレー』)という若手俳優の中でもキラリと存在感を示すフレッシュコンビによる、疾走ラブストーリー。


監督:佐藤 快磨(さとう たくま)プロフィール
VIPO2016-satou-240-2.jpg1989年秋田県生まれ。2012年よりニューシネマワークショップ 映画クリエイターコースを受講、「舞い散る夜」(2012)、「ぶらざぁ」(2013)を監督。その後ニューシネマワークショップ制作部に所属し、初の長編監督作品「ガンバレとかうるせぇ」(2014)が、ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2014で映画ファン賞と観客賞を受賞、第19回釜山国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされるなど、国内外の様々な映画祭で高く評価される。

 


(河田 真喜子)
 

everest-kami-s-di-500-1.jpg『エヴェレスト  神々の山嶺(いただき)』平山秀幸監督インタビュー

(2016年2月18日(木)大阪にて)


■(2016年 日本 2時間02分)
■原作:夢枕 獏「神々の山嶺」(角川文庫・集英社文庫)
■監督:平山秀幸(『学校の怪談』『愛を乞うひと』『必死剣 鳥刺し』『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』)
■出演:岡田准一、阿部寛、尾野真千子、ピエール瀧、甲本雅裕、風間俊介、テインレィ・ロンドゥップ、佐々木蔵之介
■公開情報:3月12日(土)~全国ロードショー
■作品紹介はこちら
■岡田准一、阿部寛、平山秀幸監督 合同記者会見のレポートはこちら
■公式サイト:http://www.everest-movie.jp/
■コピーライト:(C)2016「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会



日本映画史上初エヴェレスト・ロケ敢行!
不安や恐怖より原作の力強さに圧倒された平山秀幸監督

 

everest-kami-pos.jpg山に魅入られた孤高の登山家・羽生丈二(阿部寛)と、彼の生き様を追うカメラマンの深町誠(岡田准一)との、世界最高峰エヴェレストを舞台に描いた熱い人間探求のドラマ。登頂への執念と力強い躍動感が響いてくる、日本映画史上かつてないスケールの映画は観る者を圧倒する。
 

エヴェレストを舞台にした壮大なドラマ・夢枕獏原作の「神々の山嶺」の映画化は過酷な撮影を余儀なくされ、長い間映画化は困難と言われてきた。その難関に挑んだのは、登山への興味もければ重労働も苦手という平山秀幸監督。前作『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』(11)の熱帯ジャングルでの撮影から酷寒のエヴェレストという厳しい環境での撮影が続いたが、見事山岳映画の金字塔を打ち立てた。オファーを受け原作を手にした時には「自分の苦手なことがいっぱい詰まっていそう」と躊躇したそうだ。だが、それよりも原作の持つ力強さや面白さに惹かれて、「これは何がなんでもやり遂げたい!」と決断。


everest-kami-s-di-240-1.jpgそこで、「やるからにはエヴェレスト撮影しよう!」と、2014年5月、試しにプロデューサーや脚本家ら5人でヒマラヤ登山の拠点ナムチェバザール(標高3,440m)へと向かう。高山病にもならず無事に帰って来られたので映画製作を決行することになったという。主役の深町誠には武闘派でスポーツ万能の岡田准一、羽生丈二にはストイックな役作りで定評のある阿部寛、さらに羽生のかつての恋人・岸涼子には尾野真千子というパワフルなキャスティングが揃い、エヴェレスト・ロケから撮影はスタート。2015年3月、いざ世界最高峰のエヴェレストへ。


everest-kami-500-4.jpg30名の日本人とネパール人のスタッフ、総勢120名は10日間かけて登ったり下りたりを繰り返す高度順応をしながら5,200mのゴラクシェプへ。その道中、岡田准一と阿部寛の二人は自然の力によって次第に山男の顔になっていったらしい。また、山屋さんという登山のエキスパートの存在は、役者への登山家としての精神面や肉体面のフォローをはじめ、「分からないことはすべて山屋さんに聞いて!」と監督にとっても頼もしい存在となる。ゴラクシェプに到達してからは、その近辺のアイスフォールや岩壁などで3週間にわたり撮影。山屋さんの指示に従って安全を確保しながら撮影に臨めたが、現場への行き帰りが大変危険で怖かったという。天候によってはすぐに-20℃以下になったり、強風に吹き飛ばされそうになったり、地上の半分の空気しかない場所での激しい演技は、岡田准一や阿部寛は無論、スタッフにとってもかなりの難行苦行となったようだ。


everest-kami-s-di-240-3.jpg映画化困難とされた原作について、「原作をそのまま映像化すると6時間はかかるので、政治的なことや恋愛の部分を削って、男と男の人間ドラマを中心にした」。そして、「なぜ山に登るのか?」という問いについては、「自分の中ではまだ整理しきれていない」。ロケ場所へ行くだけでも命懸けの仕事をやり遂げて、「今となっては、よくエヴェレストまで行ったな。この映画の製作自体が大冒険だった」と述懐。もう一度やりたいかと言う問いには、「今度はラクして行く方法を考える(笑)」と。同時期に韓国も映画撮影を行っていたが、近隣の街からヘリコプターで往復していたそうだ。


また、撮影終了後の4月25日に発生したネパール大地震については、「エヴェレスト・ロケを先行したお陰でこの映画を完成させることができたが、協力してくれたネパール人スタッフの多くも被災しているので、地震に遭わなくて良かったなどとはとても言えない」。さらに、「予定していたカトマンズでの上映会もまだ実現できていない。1日も早い復興を願うばかり」と、ネパールの被災者への気遣いを滲ませた。


岡田准一が、阿部寛が、平山秀幸監督をはじめとする撮影スタッフが命懸けで撮影した渾身作『エヴェレスト神々の山嶺(いただき)』は、3月12日(土)から全国ロードショーされる。

(河田 真喜子)

 

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アミール・ナデリ監督×坪田義史監督『シェル・コレクター』トークイベント

~「坪田監督はこれからの日本映画界を担う新星!」ナデリ監督が太鼓判!~

 第45回ロッテルダム国際映画祭Bright Future部門正式出品
リリー・フランキー15年ぶりの単独主演作


日米合作、リリー・フランキー15年ぶりの単独主演最新作『シェル・コレクター』の公開を記念して、坪田義史監督、本作のプロデューサーであるエリック・ニアリ、そしてそのニアリがプロデュースした西島秀俊主演映画『CUT』の監督であるアミール・ナデリがトークイベントに登壇。

自身も熱狂的な映画マニアであるアミール・ナデリが同じく映画狂の西島秀俊を主演に据え、日本で撮り上げた『CUT』と、同じく映画マニアで知られるリリー・フランキー、寺島しのぶ、池松壮亮、橋本愛が出演し、米原作を日本で舞台に置きかえた『シェル・コレクター』。商業作品に媚びない作品を手がけてきた監督同士の映画トークに花が咲きました。


【日程】3月6日(日)12:10~12:40(10:40の回上映後)

【場所】テアトル新宿

【登壇者】坪田義史監督、エリック・ニアリ(プロデューサー)、アミール・ナデリ監督(『CUT』)

<イベント内容>
ナデリ監督『CUT』のプロデューサーで、本作のプロデューサーでもあるエリック・ニアリ氏を介して『シェル・コレクター』にアドバイザーとして参加していたナデリ監督。開口一番「日本映画を20年来教えてきているが、坪田監督は素晴らしい!」と絶賛。色使いや台詞の少なさ、リリー・フランキーや池松壮亮など日本で一番おもしろい役者たちの起用など、映画の面白さを挙げながら、ナデリ監督は興味津々の様子で坪田監督を質問攻めに!最後は「坪田監督はこれからの日本映画界を担う人!」と太鼓判を押しました。


shell-500.jpg★ラッシュ段階で見てナデリ監督が衝撃を受けた映画『シェル・コレクター』

ナデリ:エリックさんは私の前作『CUT』や新作「Monte(原題)」のプロデューサーで、彼は鋭くもあり優しい意見をいつもシェアしてくれるのです。そういった関係性もあって、はじめに彼は僕に坪田監督の8ミリ作品と『シェル・コレクター』を編集段階で見せてくれました。

エリック:坪田監督の8ミリ作品『でかいメガネ』をナデリ監督に見せたらとても気に入ってくださって、「『シェル・コレクター』で私にできることがあれば是非!」とおっしゃってくださったのです。そして(昨年の)夏に編集段階で映画を見せて貴重なアドバイスをたくさんいただきました。今日完成したものをよくやく見てもらうことができました。

坪田:NYで編集していたのですが、ある日を境にエリックさんの意見がとても論理的になったんです。「これは裏に誰かいる!」と思ったら、それがナデリ監督でした。

ナデリ:日本映画を20年教えてきていて、常に新しい才能を探していますが、坪田監督は久しぶりに現れた新星だと感じています。監督はみな他の作品から影響を受けていることが多いと思いますが、坪田監督の作品は自分自身の経験や内から湧き上がってきたものが描かれていると思います。それはとても大切なことです。海や水、その関係性、そこにいる魚や貝類の描き方が、自分でもこう撮るだろうと思うものに近く、関わりたいと思うようになりました。

若い監督は自分の言いたいことを言葉や台詞で伝えようとすることが多いと感じますが、彼は違って水や水中、空気感、雰囲気など、ロケーションで語ろうとしているのが素晴らしいです。


★原作の選択、色彩、キャスティング…オリジナリティあふれる世界にナデリ監督敬服!

ナデリ:なぜこの原作を選び、日本の沖縄を舞台に置き換えてどう映画化しようと思ったのですか?

shell-b-240-2.jpg坪田:2012年に渡米し、異国の地で日本人としてアイデンティティを打ち出せる作品を作りたいと思っていました。震災後だったので、自然と人が対峙する映画を撮りたいと思ったときにアンソニー・ドーアの『シェル・コレクター』が浮かびました。日本人としてのアイデンティティを提示するのに、西洋の文芸作品を日本の情景に脚色してみたかったんです。

ナデリ:私は原作を知らなかったので、日本の話だと思っていました。リリーさんのボディランゲージが日本的だし、海との繋がり方、キャラクターの立ち振る舞いも非常に日本的に感じました。これほど日本のものにしてしまうとは、お見事です!水彩画を思わせる色使いも日本的で印象的でしたね。

坪田:私は色には過敏な方で、16ミリのフィルムが捉える鮮やかな色にはこだわりました。海の青さだけでなく、植物の緑であったり、(橋本愛演じる)嶌子の着ているドレスの赤など、色はポイントになるように設計しています。

 
★日本を代表するシネフィル俳優たちがすごい!

ナデリ:日本でいま一番おもしろい役者たちが出演していますね。演出はどうしたのですか?

shell-240-2.jpg坪田:リリーさんはアーティストであり、役者であり、小説家でもあり、とてもボーダーレスに活躍されている方です。今回ファンタジーと現実の境界線上を演じてほしくて、「現実と寓話の狭間」についてリリーさんとよく話し合いました。リアルではなくファンタジーを跨ぐ芝居をしてほしいと。

ナデリ:まさにボディランゲージを通じてそれが綴られていますね。台詞は少ないけれど、掃除をしているだけでも、その立ち振る舞いからどんなことを考えているのかが伝わってきます。情報を役者に与えすぎなかったのではないですか?伝えすぎることがなかったから、演じる側のイマジネーションが触発されて良い演技を引き出したのではないかと思います。

坪田: (『無伴奏』の)矢崎仁司監督とも話しましたが、池松壮亮さんは日本映画を助けてくれる、映画を豊かなものにしてくれるひとだと思います。作品との関わり方が誠実です。池松さんの存在で、商業とアートをつなぐことができるのだなと思っています。

ナデリ:池松さんは『CUT』を見に来てくれて、その後話をしました。「監督と仕事をしたい」と言ってくださいました。『シェル・コレクター』を観たとき、「彼を知ってる!」と驚きましたね。『CUT』を見たあとに映画について熱く語るその姿から、彼がいかに映画が好きなのかが伝わってきました。この作品では、イノセンスがあって、感じているものが観客に伝わる演技でしたね。


★坪田監督についてナデリ監督から一言!

ナデリ:坪田監督は新しい、素晴らしい、これからの日本映画界を担っていく監督になると思います。間違いなく将来日本を代表する監督になると確信しています!


『シェル・コレクター』 <本作の紹介>

★美大出身者勢ぞろい!!
リリー・フランキー(武蔵野美術大学卒)、坪田義史監督(多摩美術大学卒)、抽象映像監督・牧野貴(日本大学芸術学部卒)、脚本・澤井香織(東京藝術大学大学院卒)。美大出身者たちが創りだす、新感覚映画が誕生!

★日米の才能が集結!!
原作:アンソニー・ドーア「シェル・コレクター」(米)、音楽:ビリー・マーティン(メデスキ,マーティン&ウッド)(米)、プロデューサー:黒岩久美(『スモーク』『ブルー・イン・ザ・フェイス』プロデュース)、エリック・ニアリ(『CUT』プロデュース)(米)、劇中絵画:日本とアメリカで活躍する画家・下條ユリ、抽象映像監督:牧野貴……と日米の才能が集結して、未体験の映像世界が完成!

 
<貝の螺旋が描き出す官能的な美しさに魅入られた人々の物語>

shell-240-1.jpg盲目の貝類学者を演じるのはリリー・フランキー。本作が実に15年ぶりの単独主演作となる。
いづみを演じるのは日本映画界に不可欠な女優、寺島しのぶ。学者の息子・光役に、受賞が続く若手実力派俳優・池松壮亮、いづみと同じ奇病に冒された娘・嶌子には話題作の公開が相次ぐ女優、橋本愛。貝が魅せる螺旋の美しさ、沖縄の海と空の雄大さ、そして実力派俳優たちが織り成す孤独と再生……。

貝の毒は奇病を救う薬なのか、それとも自然が人間に与えた警鐘なのか。自然の中で生きる人間に向けたメッセージが詩的な映像美で描き出されます。


◆ストーリー

貝の美しさと謎に魅了され、その世界で名を成した盲目の学者は妻子と離れ、沖縄の孤島で厭世的生活を送っていた。

しかし、島に流れ着いた女・いづみの奇病を偶然にも貝の毒で治したために、それを知った人々が貝による奇跡的な治療を求めて次々と島に押し寄せるようになる。その中には息子・光や、同じく奇病を患う娘・嶌子を助けようとする地元の有力者・弓場の姿もあった。


出演:リリー・フランキー  池松壮亮 橋本 愛 普久原明 新垣正弘 / 寺島しのぶ
監督・編集:坪田義史(『美代子阿佐ヶ谷気分』
脚本:澤井香織、坪田義史
原作:アンソニー・ドーア『シェル・コレクター』(新潮クレスト・ブックス刊)
(C)2016 Shell Collector LLC(USA)、『シェル・コレクター』製作委員会
公式サイト⇒ 
www.bitters.co.jp/shellcollector
配給:ビターズ・エンド

テアトル梅田にて大ヒット上映中! 3/5~京都シネマ、シネ・リーブル神戸にて公開