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2012年12月アーカイブ

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『二つの祖国で 日系陸軍情報部』すずきじゅんいち監督舞台挨拶&取材

(2012年 日本/アメリカ 1時間40分)

企画・脚本・監督:すずきじゅんいち

原題:MIS Human Secret Weapon

12月29日(土)~テアトル梅田、神戸映画資料館

★作品紹介⇒こちら
★公式サイト⇒http://mis-film.com

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 futatunosokoku-3.jpg 日系アメリカ人の第二次大戦前後と戦争中の歴史を描く長編ドキュメンタリー映画三部作の完結編『二つの祖国で 日系陸軍情報部』の公開が関西でも始まり、公開初日、神戸映画資料館と大阪のテアトル梅田で、すずきじゅんいち監督の舞台挨拶が行われました。舞台挨拶の前にわずかですが、監督からお話をうかがうこともできましたので、併せてご紹介します。 本作は、MIS(ミリタリーインテリジェンスサービス。アメリカ陸軍の秘密情報機関)の中心メンバーであった日系二世の元兵士たちの証言をベースに、太平洋戦争の米国側の極秘情報を取り上げて描いた作品です。
 

futatunosokoku-s3.jpg━━━日系アメリカ人をテーマに映画を撮りはじめたきっかけは?
僕はアメリカに丸11年住んで、日系人と出会い、自分自身、彼らの歴史をあまりにも知らないことに呆然としました。もっと多くの日本人に日系アメリカ人のことを知ってもらいたい、日系人の歴史をきちんと残さなければならないと思ったんです。儲からなくてもいい、自腹を切ってでも残したいと思って、日系史三部作(※注1)をつくり始めました。
 

━━━映画づくりはどのように進めていったのですか? 
通常は、まず構成をつくって、それにあわせてインタビューしていくと思うのですが、ぼくは歴史を残すことを重視したいと思っていたので、とにかく、彼らの語りたいことを聞こうと、まず自由にインタビューを行いました。最初からあらすじ、シナリオや構成を準備するのでなく、語りたいことを語ってもらって、歴史に残すべき有意義な話、今まで知られていなかった話、感動的な話だけを残し、それから、どう組み合わせるか、構成を考えました。だから予定調和ではありません。このほか、アメリカのナショナル・アーカイブズから購入した白黒の資料映像が50時間分あり、あわせて1時間半位を目途に編集しました。基本的に2つのカメラで撮っていて、基本的なインタビューはエリカ・ジョ-ンズさんというバイリンガルの人にお願いしました。
 

━━━「帰米」と呼ばれる人たちに興味を持たれたのは?
「帰米」というのは、米国で生まれ、教育などのために日本に数年滞在し、再び米国に戻った日系アメリカ人のことです。日本人の両親が、アメリカでお金を稼ぎ、故郷の日本に錦を飾って戻ることを想定し、子どもたちも日本語が十分でき、日本の文化がわからないと困るということで、子どもたち自身も、実際にすべての日本を身体で体験できるよう、日本に数年、行かされました。なかには、両親の片方が病気などで亡くなり、日本に住む両親に子どもの養育を頼むケースも少なくなかったようです。教育や養育のために日本に行かされた日系アメリカ人の子どもたちは、日本では、アメリカ人として差別され、アメリカに戻っては、英語も不自由なジャップとして差別されていました。
ところが、対日戦争が起きた時、彼らの日本語の技術と日本理解の能力が評価され、MIS(日系陸軍情報部)の中心として、大いに活用されたのです。

帰米の人たちの多くは、兄弟のどちらかが米国に戻り、片方がまだ日本の学校などにいる時に戦争が始まったので、兄弟が日米それぞれの軍隊に入り、日米に分かれて戦った人たちも少なくありませんでした。
 

futatunosokoku-2.jpg━━━MISの人たちが、今まで黙していたのは?
日本人はスパイ的なことを嫌いますよね。一般の日系人の中でも同じで、情報をやりとりすることは、あまり重要じゃなく、武器を持って戦うことのほうが、日系人の地位をあげる名誉ある仕事だと思われていました。MISという秘密情報部員の仕事ぶりに対して評価も高くなく、彼ら自身でもそれほど自信がなかったのだと思います。つい最近になってようやく光が当たってきたんです。1972年に「内密にしておかねばならない」という法令が解除されても、日系アメリカ人にとっては、自慢できることじゃないと思われていて、あまり表に出ていませんでした。だから、日系人の中でも知られていない事実が非常に多かったんです。

太平洋戦争時、日本は、本当に情報を大事にせず、英語教育も禁止してしまいましたが、アメリカは情報を大事にして、大学でも、日本語を教える学科を開設したりしています。情報の大事さについての認識の差は、露骨に違うと思います。


━━━日系人の元兵士の老人と白人の義理の息子との会話が印象深いですね。
日系人はアメリカ人なのに、自分たちが、白人と同じアメリカ人とは思えていませんでした。差別の厳しい時代を生きてきたからだと思います。彼のお父さんはチャップリンの庭師で、チャップリンにも何度か会ったことがあるそうで、映画史的にもおもしろい人でした。この親子の話は、MISとは関係ありませんが、白人から差別され、同じアメリカ人としての感覚を持てなかった、当時の日系人の思いが如実に出ていて、映画の中に入れました。


━━━イタリアやドイツの敵戦国にも同じようなドラマはあったのですか。
ヨーロッパ系の人々に対しては、それほど極端な人種差別はなかったと思います。アメリカでは、新しく入ってきた人たちを差別する傾向があって、日本人が入ったのは比較的新しく、大変な差別を受けていました。その上、真珠湾攻撃で、敵性国民となり、強制収容所に入れられたのです。(※注2)
 

futatunosokoku-s2.jpg━━━日系アメリカ人の二世の人たちについては?
アメリカで生まれ、アメリカ国籍をもつ日系アメリカ人の二世たちは、アメリカ人でありながら、敵国日本の血を引く者、敵性国民として、強制収容所に入れられ、国民の権利をすべて奪われ、非国民となり、当初は、兵役にも参加できなくなりました。このため、アメリカ国家のために頑張るのをみてもらおうと、戦争に行って奮闘する442日系部隊のような人々と、徴兵される前にまず、民主主義を排した収容所から解放してから、戦争に行かせろという二つに分裂しました。僕は、どちらのことも描こうと思いました。


━━━日系人への取材を通じて感じられたことは?
日本が、戦後、戦争という記憶とともに消してしまった、日本人のよさ、明治・大正頃の日本人の美点を、日系アメリカ人は、明治の祖父母たちから教えられて、大事に持っています。日本人は戦争を悔い改めすぎて、日本人のよさまで失ってしまったのではないでしょうか。
靖国神社も映っていますが、これは、兄弟で敵味方に分かれて戦い、生き残った兄が戦死した弟を弔うため靖国神社を訪ねたという実話の中で紹介したもので、事実を残したにすぎません。日系人の方が日本人の原点を持っているということを、右にも左にも偏らず、事実を残すという姿勢で、つくりました。


━━━日系3世、4世の人たちの反応は?
アメリカ各地で上映会をした時に、劇場に立っていると、「つくってくれてありがとう」と言われました。歴史に残り、きちんと評価されることになったことを大変感謝され、嬉しかったです。
 

futatunosokoku-s1.jpg ━━━特に観てほしいところがあれば?
日系四世のジェイク・シマブクロというウクレレで世界ナンバーワンの若い人も出演していますし、96歳のベテラン元兵士もたくさんしゃべっていますので、それぞれの顔をみているだけでも味があります。いろいろな情報がたくさん入っていますので、何度も観られたら、きっと新しい発見があると思いますので、何度も観てほしいし、全部を観てほしいです。私の意見を押し付けるのではなく、知らなかった歴史を伝えたいという思いでつくりましたので、理解してもらいやすいつくりになっていると思います。
 


  戦争映画ということで、重い、暗い、難しいと思われがちですが、観てもらったら、きっと感動するでしょうし、いろんな知識がプラスになると思いますので、ぜひ多くの方に観てほしいです。

(伊藤 久美子)
 


※注1:日系史映画三部作とは、すずき監督による、東洋宮武の500枚以上の写真を中心に、米国政府による差別的な日系人強制収容所を描いた『東洋宮武が覗いた時代』(2008年)、日系人の米国内での地位を戦後大幅に上げるきっかけになった、大和魂で戦い欧州戦線で大活躍した『442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍』(2010年)と本作のこと。

※注2:真珠湾攻撃から2か月後、1942年2月19日に大統領令9066が発せられ、この法令に従って米軍は、米国本土の太平洋岸に住むすべての日系人約十二万人を、主にアメリカ大陸の半砂漠地帯などの内陸部に急造された鉄条網で囲まれた十か所の収容所に、自主的に太平洋岸から退去する日系人を除いて、強制的に入れることを決定した。

参考文献「1941 日系アメリカ人と大和魂」(すずきじゅんいち著、文藝春秋)

boku-naka-550.jpgboku-naka-s1.jpg『僕の中のオトコの娘』窪田将治監督インタビュー
(2012年 日本 1時間40分)
監督・脚本・編集:窪田将治
出演:川野直輝、中村ゆり、草野康太、木下ほうか、ベンガル
2012年12月29日(土)~シアターセブン、2013年1月5日(土)~元町映画館他全国順次公開

公式サイト⇒http://www.boku-naka.com/
(C) 2012『僕の中のオトコの娘』製作委員会
※第36回モントリオール世界映画祭のフォーカス・オン・ワールド・シネマ部門に正式出品作品

~マイノリティーの人たちへの応援歌、そして一歩踏み出す勇気を伝えたい~

心はオトコだけれど、女装をするのを楽しむ男子を“女装娘(じょそこ)”と呼ぶことを、みなさんはご存知だろうか。ここ数年一つの個性として認知されながらも、まだまだ偏見の目で見られてしまう女装娘を取り上げた青春物語が誕生した。就職したものの、会社に馴染めず半年で退職、以来5年も引きこもっていた謙介(川野直輝)が、女装に興味を持ったことがきっかけで、自分らしさを取り戻し、社会で胸を張って生きていくまでを、魅力いっぱいなキャラクターや、主人公を取り巻く家族との関係を絡めながら、瑞々しく描いている。自ら脚本、編集も務める窪田将治監督に、異色成長物語である本作着想のきっかけや、その狙い、そして生きづらい世の中で「自分らしく生きること」について話を聞いた。


boku-naka-2.jpg━━━女装娘を映画で取り上げようとしたきっかけは?
もともと7年前に友人と新宿で飲んでいたときに、偶然仲良くなったカップルに連れて行かれた店が女装バーだったんです。お客さんは皆女装をしていて、おかまバーかと思ったら、「ここは女装を楽しむ店だ」と聞いてびっくりしました。最近はテレビでも女装家が登場して活躍していますが、7年前はまだ全然知られていなかったので、ものすごく面白くて、異性が好きなのか同性が好きなのかも曖昧で、それを名言しないのがきまりとしてあるというのも面白くて、これは映画になるのではないかと思いました。それから時が流れ、2年前次の企画を考えていたときにプロデューサーが女装の企画があったことを覚えていて、今だったらいけるのではないかと、ようやく動き始めました。

━━━女装娘を題材に、どのようにストーリーを組み立てていったのですか?
ニッチなマイノリティーの世界が自分の立場にすごく似ているんです。映画界という狭い世界にいて、最初の頃は自主映画を撮っていても「おまえ、バカじゃないの。食えるの?」と言われましたが、好きだからやり続けるんですね。ニッチの世界に生きている人、女装はまさにそうだろうし、周りから「バカじゃないの。気持ち悪いね」と言われながらも、自分たちはそれがやりたいからやるという部分は、すごく近くて、マイノリティーの世界と映画の世界が表裏一体みたいな感じなので、そこに投影したような感じです。そういうマイノリティーの人たちへの応援歌のつもりで作りました。

boku-naka-1.jpg━━━女装娘を、就職がうまくいかず引きこもる主人公に結びつけたのはユニークですね。
一人の男の子が女装をきっかけに成長していく物語にすることが前提にありました。脚本を書き始める最初のきっかけは、ベンガルさん扮するお父さんが最後に「胸を張って生きろ」と言うのですが、それを言わせたいがために逆算した感じです。

主人公の立ち位置がマイナスであればあるほど、最後の台詞が効いてきます。引きこもりから社会復帰をするけれど周りから非難も受け、これ以上続けられない、今までさんざん迷惑をかけてきたから真っ当になろうとしたときにお父さんがその台詞を言うといった形を作りたかったんです。

━━━お姉さんは何があっても徹底的に弟を尊重するような天使のようなキャラクターなのに驚きました。
もっと言えば、そういう姉だから引きこもるんです。弟のやりたいようにさせてあげる姉だから引きこもるのであって、別にいい意味でもないんです。もし何やかんや言う姉だったら、5年間も引きこもれないと思いますね。

━━━脚本を書く際に実際に女装をされている方に取材されたと思いますが、その中で実感したことや、映画に活かしたことはありますか?
全くありません。というのも、極力最初は脚本を書くときに情報を入れないようにしているからです。キャラクターがどう生きていくのかを考えるので、謙介が(職場で)失敗して、引きこもりになって、社会復帰するという分かりやすいベクトルがあって、その中でどういう風に動いていくのか。それを作った上で、これでいけるかどうかを確認してもらった感じです。文化的な面で、最初はネットを通じてなど、今どのように女装娘に出会っていくのかは調べましたが、一人間のキャラクターとしては謙介がどうなったかということだけなので自分で作り上げましたね。

━━━川野さんを主役に起用した理由は?
最初キャスティングにすごく難航し、半年から一年ぐらいかかりました。その最大の理由は、引きこもりに見えないといけないのである程度根暗に見えなければいけない。また映画的な部分で女装したときに見栄えがよくないと、全体の流れとして最後が効いてこない。そうなるとなかなか難しかったのですが、川野さんを紹介してもらい、一緒にお酒を飲んで話をして、最終的には川野直輝という人間性で選びました。女装も似合いそうでしたしね。

boku-naka-s2.jpg━━━もっと重く描いたり、コミカルにも描けそうなテーマをある意味爽やかな路線にしたのはなぜですか?
確かに僕の作品で初めて人が死なないし、血も出ないですね(笑)。マイノリティーに対する応援歌にしたかったので、自分自身葛藤がある中で、どういう形を作れるのか模索した部分はあります。あと、震災の時に公開したのが前作の『CRAZY-ISM クレイジズム』で人がメチャクチャ死ぬような映画で、その瞬間が重たかったので、多少は震災の影響で心境の変化もあったと思います。

━━━木下ほうかさん、草野康太さんは監督の過去作品にも出演されていますが、監督から見てお二人の魅力は?
僕は個性のない役者が好きなんです。スクリーンの中だけで個性を出してくれたらいいと思っています。草野さんや木下さんや柳憂怜さんはスクリーンの中だけで輝いてくれるんです。僕の中では役者として最高です。何にでも見えるし、脇役でも邪魔をしないで輝いてくれるのがいいですね。

━━━実際に女装娘をされている方は、謙介のようにかなりの逆風を受けているのですか?
もちろんそういう方もいますし、自分勝手にやっている方もいるし、ひっそり誰にもバレずにやっている方もいます。実際に東京での試写会で女装娘の方に見ていただいた時には、身につまされるという方もいますし、ちょっと違うよねという意見もありました。ただ一般的に女装娘と呼ばれている人たちには受け入れられている感じはあります。

━━━親身にしてくれていたゲイの客とラブホテルに行くシーンでは、女装娘の謙介が男性を受け入れるのかをあえて見せているのですか?
謙介の悩みは親バレから、オカマだと言われたり色々ありますが、本人が女装したいからやっている訳です。それで家から出れたというプライドもあれば、頼りにしている静香ママに聞いても「そんなこともあるわよね」と軽く聞き流される。そうなると、謙介自身もどうしたらいいか分からなくて、優しくしてくれる男の子にいってみてもいいかなと一瞬思ったんですね。でも駆け出しだからまだ男同士で関係を持つところまでは行けないという部分を見せておきたかったのです。

boku-naka-4.jpg━━━子どもが自由にやっていることを認める覚悟を、親自身も持つ必要があるのでしょうね。
そうあってほしいという希望はあります。家族は難しいですね。かつての大家族が核家族になって、本当に今はペットまで家族になってきたという家族の形があり、しまいには子どもを捨てる親もいれば、何もコミュニケーションを取らない親もいます。自分も父親に謝ることもないし、父親から「胸を張って生きろ」と言われることもない。応援していたとしてもリアルな家族は放っておくだけです。ただ映画だから言わせることでそれが効いてくるし、今の家族に対するアンチテーゼだったり、一つのメッセージになればと思っています。そして結局、子どもが犯罪を犯したときに守れるのは家族しかいないんです。そういうものをちょっと忘れかけているかなと自分を含めて思います。

━━━モントリオール国際映画祭に3年連続選出されていますが、同映画祭の選出作品の特徴や、現場での反響についてお聞かせください。
3作品とも全然作風が違いますので、僕はちょっと気に入ってもらっているのかもしれませんね。今回は8月に行ってきましたが、日本のお客さんと反響は全然違います。ゲラゲラ、ドッカンといった感じで、たくさん笑ってくださいます。こんなに受けるんだと思うぐらいですね。3年行っていると、全作品見て下さっているお客さんや、全上映を見て下さっているお客さんもいらっしゃって、現地の方が「来年も絶対フィルムをもってこい」と言って下さるとすごくうれしいですよね。がんばる!と思います。

━━━最後に生きづらい世の中ですが、「自分らしく生きる」とはどういうことなのでしょうか?
やりたいことをやるのは本当に大変で、年をとればとるほど新しいことをするのがスゴく大変なんです。本作で言えば女装という新しい文化に入っていく若い人たちがたくさんいるわけですが、年をとればとるほど、女装一つにしても一歩踏み出るのはなかなか大変です。だから一歩踏み出る勇気や、新しいことを始める勇気というテーマを伝えたいという部分もあります。それもある意味震災の影響があるかもしれませんね。すごく生きづらい場所になったけど、頑張って踏み出す訳じゃないですか。頑張って歩んで、最後に「ざまぁみろ」と笑いたいです。
(江口由美)

kiiroizou-s550.jpgkiiroizou-1.jpg『きいろいゾウ』舞台挨拶レポート
(2012.12.23 大阪ステーションシティシネマ)
ゲスト:宮﨑あおい、向井理  サプライズゲスト:本田望結
(2012年 日本 2時間11分)
監督:廣木隆一 
原作:西加奈子著『きいろいゾウ』小学館
出演:宮﨑あおい、向井理、柄本明、松原智恵子、リリー・フランキー、緒川たまき、濱田龍臣、本田望結
2013年2月2日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、T・ジョイ京都他全国ロードショー

公式サイト⇒http://www.kiiroizou.com/
(C) 2013西加奈子・小学館 / 「きいろいゾウ」製作委員会

作品レビューはコチラ

 西加奈子のロングセラー小説『きいろいゾウ』が、自身も同作の大ファンという宮﨑あおいと向井理を迎えて映画化され、『軽蔑』、『ヴァイブレーター』の廣木隆一監督がファンタジーとリアルが交錯する原作を、実感ある夫婦の物語に仕立てあげた。
 2013年2月の公開を前に、大阪ステーションシティシネマで行われた先行有料試写会では、上映後に主演の宮﨑あおい、向井理が登壇し、作品の余韻に浸る観客を前にツマとムコさながらのゆったりトークを展開、途中からサプライズゲストの本田望結がサンタクロース姿で登場し、会場からも歓声が沸く場面もあった。一足早いクリスマスプレゼントとなった、宮﨑あおい、向井理、本田望結による舞台挨拶をご紹介したい。


kiiroizou-s1.jpg(最初のご挨拶)
宮﨑:みなさん、こんばんは。今日は見に来て下さって、本当にありがとうございます。とても大好きな原作で、この作品の中に自分が入れたことを光栄に思います。みなさんが見られてどんな感想を持たれたのかとても気になりますが、心を込めて作った作品なので、好きでいてもらえたらいいなと思います。
向井:こんばんは。ムコ役を演じさせていただいた向井理です。この映画は今年の4月に三重県で撮影していました。とてもいい所で、ロケーションの力にも助けられた作品になっていると思います。よろしくお願いします。

━━━お二人は初共演ですが、宮﨑さんが最初に向井さんにどんなイメージを持っていましたか?
宮﨑:なんかシュッとしてますよね。背が高くて、スキがないイメージがありました。でもお会いして、ツマとして時間を共有している間はシュッとした感じが全然ないんです。現場でもムコさんとしてぼぉ~っとしていて。
向井:シュッとしているのは、仕事用なんです。
宮﨑:こんなにちゃんとスキがある人なんだなと、すごく面白かったです。

kiiroizou-s2.jpg━━━向井さんは最初宮﨑あおいさんにどんなイメージを持っていらっしゃいましたか?
向井:あまり誰に対しても「こういう人なのではないか」というイメージを持たないので、印象としてこんな人だと思ったことはないですね。(実際に共演してみると)面白い人ですよ。鼻歌歌っているし、変な絵を書いているし。でも芯が強いんですよ。お互い同じ場所にいるのですが、別々のことをしていて、現場で話すこともあったりなかったりで、むしろ会話は少ない方だと思います。それでも、お互いに無駄に自分たちのテリトリーを壊さないで、自分たちの距離間を保っていたので、本番でも本番じゃないときもずっと同じテンションでいられて、やりやすかったです。居心地が良かったです。

━━━映画でもファンタスティックな場面や現実的な場面が登場し、演じる上では難しいのではないかと思いましたが、宮﨑さんはツマを演じるにあたって、こうしようというイメージはありましたか?
宮﨑:こういう風にやろうというのは、いつもないですね。こういう服を着ているなとか、こういう髪型をしているなというイメージが沸くことはあります。(前髪を切ったことについて)原作を読んだときも、台本を読んでもちょっと変わっている印象があったので、自分で切っちゃった前髪といった感じかなと思いました。だんだん短くなるんですよ。ほとんど順撮りで撮っているので、前半戦は割と長めのまゆげからちょっと上がったぐらいなのですが、後半戦はムコさんがいなくなってから大変なことになっていて、前髪が全部立つぐらいになっているので、その辺を注目して2回見てください。

━━━向井さんは無精ひげをはやしていらっしゃいましたが、ムコさんはこんな感じとイメージされたのですか?
向井:監督とも相談して、物書きということもあったので、特に外見にこだわりのない人だと思ったので、髪型もボサボサですし、ヒゲもはやして、メイクもせずスッピンでした。

━━━あと、関西弁がなめらかで、全然違和感なかったですよね。
向井:大丈夫でしたか?結構不安だったのですが。(会場拍手)

━━━ツマとムコがデートするなら大阪ではどこがいいですか?
向井:どこやろね~(会場笑)彼らに対してあまりハイカラなイメージがないので。大阪はすごく近代的だから・・・食べるのが好きな二人なので、食い倒れたいです。

kiiroizou-s3.jpg~本田望結ちゃんが、サンタクロースの姿でプレゼントを手に登場!~

━━━ご挨拶をお願いします。
向井:宮﨑あおいさんの子どもの役を演じた本田望結です。よろしくお願いします!

━━━映画の中で髪が短かったですね。
本田:髪の毛の短い子の役は初めてだったので、びっくりもあったし、不思議な感じもあったし、すごく楽しかったです。

━━━今日は大きな袋を下げていますが、プレゼントがあるんですか?
本田:ツマさんとムコさんの似顔絵を書きました!

~宮﨑さんと向井さんに望結ちゃんからプレゼントを贈呈~

━━━宮﨑さん、向井さん、感想はいかがですか?
宮﨑:私はよく目が離れていると言われて、魚顔だと自称しているのですが、目がちゃんと離れているのでうれしいです。ありがとうございます。
向井:すごいね。ちょうどくせ毛でいつもこうなるので、よく見てるね。髪質がそっくり。
本田:向井さんと宮﨑さんに、書くときは似てると言ってもらえたらうれしいなと思っていたけど、似てると言われてちょっとほっとしました。

━━━望結ちゃんは映画の中で絵本を読むシーンがありますが、どんな気持ちで撮りましたか?
本田:絵本の中に出てくるのは初めてだったので、楽しいのもあるし、うれしいのもあるし、向井さんと望結で二人で声を撮ったときはドキドキもあったし、楽しかったし、うれしかったし、いろんな気持ちがありました。
向井:僕はきいろいゾウ役もやっているので、あの時は本当に手をつないで撮影したもんね、監督の指示で。
宮﨑:私はその撮影の時、見学に行きました。一日だけだったので、どんな風に撮影しているのか見たかったので。二人で声を撮っているときも、はしっこでニヤニヤしながら見ていました。

kiiroizou-s4.jpg━━━最後に、ご挨拶をお願いします。
向井:この映画はご覧になっていただいたとおり、これが僕たちの作った『きいろいゾウ』です。キャストもとても少なく、登場人物も少なく、人物設定も分かりやすく、こだわりのある映画になっていて、僕もこの映画をどう表現していいのか正直まだわからないところもあります。後半から全然違う映画になって、初めて見たときは2本映画を見たような、それぐらい前半のゆるい雰囲気と後半のとがったカットと、色々な要素が入った映画になっています。この映画がどんどん大きくなるのは、自分たちの力だけではできませんので、ぜひ多くの方に伝えていっていただきたいと思います。今日はありがとうございました。
宮﨑:この映画の中では心が痛くなったり、悲しくなったりするシーンがたくさんあったと思います。でもきっと自分が大切だと思う人と向き合うということは、もちろん幸せなことはいっぱいあるけれど、そういう痛い部分も必ず付いてくることで、それと一生懸命向き合おうとする夫婦のお話だと思います。ぜひ、みなさんがこの作品を広めていってくださればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。(江口由美)

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『東京家族』舞台挨拶

(2012年12月19日(木)御堂会館にて)
ゲスト:山田洋次監督(81)、橋爪功(71)、吉行和子(77)

 

(2012年 日本 2時間26分)

監督:山田洋次

出演:橋爪功 吉行和子 西村雅彦 夏川結衣 中嶋朋子 林家正蔵 妻夫木聡 蒼井優

2013年1月19日(土)~全国ロードショー

★作品紹介はこちら

★公式サイト⇒ http://www.tokyo-kazoku.jp/
(C)2013「東京家族」製作委員会



~時代の変化を背景に、日本人の心を描き続けてきた山田洋次監督の集大成~

 

tokyokazoku-s5.jpg 山田洋次監督といえば『男はつらいよ』シリーズで有名だが、『家族』(1972年)『息子』(1991年)『母べえ』(2008年)『おとうと』(2010年)などと、家族の絆をテーマにした作品も多い。寅さんシリーズでも、とらやの家族が寅さんを心配する様子が基本となって、毎回寅さんの恋愛模様が展開される。久しぶりに帰ってきたのにケンカして、居辛くなって出て行く寅さんを妹のさくらが駅のホームで見送るシーンが好きだ。世間並の幸せに浸れない渡世人の兄を心配する肉親ならではの情愛にあふれ、思わず共感して泣けてきた思い出がある。そんな『男はつらいよ』シリーズは、日本の風物詩となって、「寅さんを見ないと盆も正月も来ない!」と言われたほどで、毎年劇場へ行くのが楽しみだった。

 幸せって何だろう? 時代の変化と共に変わる家族の形態・・・人と接することを拒み、語り合うことも、ケンカすることもなくなり、孤立していく人々。『東京家族』は、小津安二郎監督の『東京物語』を現代に置き換えてはいるが、今まで日本の家族を見つめてきた山田洋次監督の特色がしっかりと織り込まれている。家族それぞれの心情をより露わにし、思いやる気持ちの貴さを浮き彫りにしている。山田洋次監督の誠実で優しい想いに心が洗われるようだ。

tokyokazoku-1.jpg 山田洋次監督の50周年記念作品。その集大成ともいえる『東京家族』の試写会の舞台挨拶に、この秋文化勲章を受章したばかりの81歳の山田洋次監督は、71歳の橋爪功と77歳の吉行和子と共に登壇。日本が誇る巨匠の本作に込めた思いが語られた。


――― 最初のご挨拶
山田監督:お寒い中、よくおいで下さいました。ありがとうございます。一昨年の秋から準備しておりましたが、クランクイン直前に東日本大震災が起こり、撮影延期となりました。脚本も練り直し、今年の3月から撮影を開始し、今日の大阪での試写を迎えることができて、感慨感無量です。

tokyokazoku-s4.jpg橋爪:私は役者としての経歴は長いのですが、このような試写会のキャンペーンは初めてでして、ちょっと照れくさいです。私は生まれも育ちも大阪は東住吉区でして、ここで標準語でしゃべると怒られそうですね(笑)。私が子供の頃は、ヨーロッパやアメリカ映画が一度に入ってきて映画が大量に公開され、映画館に入りびたりでした。そんな少年時代を過ごした私は、スクリーンというより銀幕という言葉がふさわしいと思ってまして、その銀幕に自分の顔が映るのは、こっぱずかしいです。皆様にご覧頂くのは不安、是非優しいお気持ちでご覧頂きたいと思います。

吉行:すっかり冬となってまいりましたが、今日はお寒い中ありがとうございます。山田監督も橋爪さんも大阪出身なんで、ちょっと肩身が狭いです。私が演じております富子はとても心が広くて優しい役でしたので、撮影中は毎日優しい人でいられました(笑)。どうか優しい気持ちでご覧ください。

tokyokazoku-s8.jpg――― 50周年を迎えたお気持ちは?
山田監督:ただ長くやっているだけでして、そんなに威張れることではありません。巨匠という人はそんなにいっぱい作らないものなんですが、僕はちょっと作り過ぎだなと思っています。「長生きも芸のうち」と言いますが、私はこうして長生きをして、沢山映画を撮ることができただけです。

――― 小津安二郎監督への思いは?
山田監督:小津さんの『東京物語』は世界のベスト1に選ばれるような大傑作ですが、60年前に家族が消えていくのではという不安を預言しているような映画ですね。そして現代、小津さんの預言が当たっているかのように家族の絆が希薄になってきて、日本人がどのような思いで親や兄弟に対しているのか、小津さんの頃とはまた違った家族の現状が見えてくるのではないかという気持ちで作りました。

――― 橋爪さんと吉行さんの夫婦役は?
tokyokazoku-s3.jpg橋爪:実は吉行さんと夫婦を演じるのは3度目でして、「吉行・橋爪夫婦三部作」と勝手に呼んでいるんですけど(笑)。舞台でも何度かご一緒したことがあり、ある時、僕がアメリカのおばあさんの役で、吉行さんは日本から来た留学生のお嬢ちゃんの役というワケの分かんない役でした(笑)。俳優同士で遠慮はなく、最初妻役が吉行さんと聞いて、「は~良かった!」と思いました。何も心配せずに、そのまんま夫婦になれたという感じです。

吉行:そんな意味では「愛してるんですよ~」(笑)。1回目も長年連れ添った夫婦役でして、長~いこと一緒にいる感じです。休憩中に橋爪さんがだらけて足をさらけ出していたのですが、それがあまりにも白くて綺麗な足だったので、思わず「ちょっと触るわよ~」と言って触らせてもらいました(笑)。橋爪さんも平気な顔で触らせてくれました。そんな風に、私達は信頼しきって、愛し合ってきたんですよ。

――― “家族の絆”とは別に、もうひとつのテーマ“故郷”については?
山田監督:寅さんシリーズで28年も日本中をあっちこっち撮影して回り、いわゆるシャッター通りになっている所が多くなっています。今回は瀬戸内の島ですが、そこも同様で、胸を痛めてきました。今後、10~20年後が心配です。どういう解決策があるのか・・・今日に至っています。そういう寂しい故郷でひとり暮らす主人公。そこに課題が残されているのではと考えて頂きたい。

tokyokazoku-s2.jpg――― 観客へのメッセージをお願いします。
山田監督:皆さんが楽しんで満足して頂けるかとても不安です。試写会というのは判決を待っているようで、有罪判決だけは受けたくないなと思っています。様々な年齢の方がそれぞれに思いを抱いて、自分たちは幸せなんだろうか? 幸せな未来に向かっているのだろうか? というようなことを考えて頂ければ幸いです。どうぞ楽しんでご覧ください。本日はどうもありがとうございました。

(河田 真喜子)

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『レ・ミゼラブル』

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皇太子殿下のご臨席たまわりました
『レ・ミゼラブル』特別チャリティ試写会
敬意を表し、ヒュー・ジャックマンらも
本試写会のためだけに緊急再来日!

12月21日(金)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇

 

本作は、初演以来、世界43カ国、21ヶ国語で上演され、各国の劇場観客動員数記録を塗り替えるとともに、27年間という驚異的ロングランと6千万人を超える動員数を達成した、伝説の大ヒット舞台ミュージカルの映画化『レ・ミゼラブル』。

第70回ゴールデングローブ賞にも作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)、助演女優賞、主題歌賞の堂々の4部門でノミネートされ、アカデミー賞候補呼び声高い超大作です。

12月21日(金)の日本公開を目前に控え、12月18日、皇太子殿下のご臨席をたまわり特別チャリティ試写会を行いました。それに敬意を表し、主演のヒュー・ジャックマン、トム・フーパー監督、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュが駆けつけ、本試写会のためだけに緊急再来日いたしました。


【イベント概要】
イベント実施日:1218日(火)
場所:イイノホール(東京都千代田区内幸町)
特別ご招待:皇太子殿下
出席者:ヒュー・ジャックマン、トム・フーパー監督、キャメロン・マッキントッシュ(プロデューサー)

【イベント内容】
皇太子殿下 ロビーにご入場〜お出迎え
「ヒュー・ジャックマンです。」と日本語で挨拶したヒューと、皇太子殿下が握手を交わされました。

皇太子殿下ホール内にご入場〜ご着席
満席の会場より温かい拍手。皇太子殿下はヒュー・ジャックマンと隣り同士でご着席されました。

ヒュー・ジャックマン舞台挨拶

※上映終了後は、鳴りやまない拍手の中、スタンディングオベーションでヒュー・ジャックマンらが見送られました。


舞台挨拶内容

ヒュー・ジャックマン:
コンニチハ!私は日本に来れてとてもうれしいです。(ここまで日本語)
トム・フーパー監督、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュと一緒に日本に来られたこと、また、皇太子殿下のご臨席をたまわり、とてもうれしく思っております。

私には日本で3つの夢があり、それを実現できました。
1つめは、12歳の息子と富士山に登頂できたことです。
2つめは、ミュージカル映画に出演できたこと、それもアカデミー賞監督の『レ・ミゼラブル』に参加でき、うれしく思います。
3つめは夢というより大変光栄なことになりますが、皇太子殿下とご一緒にこの映画を観られることです。
(日本語で)アリガトウゴザイマス。

上映終了後のコメント

Q.この本試写会のためだけに日本に来てくださったとのことですが、
出席されてみていかがでしたか?

ヒュー・ジャックマン:大変光栄なことです。
皇太子殿下とお会いでき、いっしょに本作品を観られたこと、また、皇太子殿下は慈善活動もされている素晴らしい方で、今日のことは本当に忘れられない経験になりました。

Q.上映前に皇太子殿下をお出迎えした際、また、上映後も皇太子殿下とお話された際、どのようなことを話されましたか?

ヒュー・ジャックマン:お出迎えさせていただいたときは、日本語でいくつか挨拶させていただき、皇太子殿下からも上手に話せているとOKをいただきました。
上映後、若いころ『レ・ミゼラブル』の原作を読んでいて、また舞台も観ておられたと話されていて、忙しくて映画をあまり観られないけれど「この映画は素晴らしく興奮した」と、おっしゃっていただきました。

Q.ゴールデングローブ賞主演男優賞ノミネートおめでとうございます!

ヒュー・ジャックマン:(日本語で)アリガトウゴザイマス!
この作品の一部としてノミネートされたことは本当にうれしい。
ハリウッドではミュージカル映画が成功することは難しいけれど、この作品がきちんと認知されてうれしいです。
これからもミュージカル映画がたくさん作られることを望みます。
そして、この作品は感動的な映画で、人の心を動かせる作品に出演できたことがうれしいです。

皇太子殿下より「素晴らしい映画を観させていただきました。感動いたしました。」
とのお言葉に、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュは「来年は舞台のほうも
ありますので、そちらもご覧ください。」と返していました。

皇太子殿下とトム・フーパー監督は、同じオックスフォード大学出身ということで、大学時代の思い出を長く語っていました。

                                                   


 【作品概要】

1985年の初演以来、世界43カ国、21ヶ国語で上演され、6000万人を超える観客を動員。
27年間休むことなく上演が続き、人々の心をつかんで離さないミュージカルの最高傑作。

「英国王のスピーチ」にてアカデミー賞(R)監督賞を受賞した名匠トム・フーパーと、唯一無二の豪華キャストが、映画の最高傑作へと昇華させる。

1862年の『レ・ミゼラブル』出版から150年。
ヴィクトル・ユゴーによる原作の壮大なスケールはそのままに、時を超えて、世界中の人々の心に訴えかけるメッセージが、映画に命を吹き込んだ。

スーザン・ボイルが歌って、その楽曲の素晴らしさが改めて広く知られることとなった
「夢やぶれて」(I Dreamed a Dream)をはじめ、「ワン・デイ・モア」(One Day More)、
「民衆の歌」(The People's Song)など、心揺さぶる数々の音楽に彩られ、偽りや飾り気のない人間のありのままの感情が、時には激しく、時には優しく、浮き彫りにされていく。

全編を通じて謳われるのは、愛と勇気、そして希望。
どんな逆境でもくじけずに、今日という一日を全力で“生きる”ことの尊さを教えてくれる登場人物たちの姿に、温かい涙を流さずにはいられなくなる。


 【ストーリー】

19世紀のフランスを舞台に描かれる、敗れた夢と叶わぬ恋の物語は、情熱、自己犠牲と再生といったテーマを盛り込みながら、決してくじけることのない人間の魂を感動的に謳い上げる。

元囚人のジャン・バルジャンは、保釈の条件を破って脱走したことから情け容赦ない警官ジャベールに何十年にもわたり執拗に追われる身となる。そんなバルジャンは、女工ファンテーヌに彼女の幼い娘コゼットの面倒を見ると約束する。
それが彼らを取り巻く運命を大きく変えていくことになるとは知らずに・・・。
 


■監督:トム・フーパー
■作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■原作:ヴィクトル・ユゴー
■脚本:ウィリアム・ニコルソン、アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク、ハーバート、クレッツマー
■作詞:ハーバート・クレッツマー
■作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■製作: キャメロン・マッキントッシュ
■出演:ヒュー・ジャックマン/ラッセル・クロウ/アン・ハサウェイ/アマンダ・セイフライド/エディ・レッドメイン/サシャ・バロン・コーエン/ヘレナ・ボナム=カーター

  2012年12月21日(金)~全国ロードショー  

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MA-s1.jpg『マリー・アントワネットに別れをつげて』ブノワ・ジャコー監督トークショー

(2012年12月1日 京都文化博物館にて)

原題:Les adieux a la reine

(2012年 フランス-スペイン 1時間40分)

監督;ブノワ・ジャコー

出演:レア・セドゥ、ダイアン・クルーガー、ヴィルジニー・ルドワイヤン、グザヴィエ・ボーヴォワ、ノエミ・ルボフスキー、ミシェル・ロバン他

2012年12月15日(土)~TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、OSシネマズミント神戸 他全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://myqueen.gaga.ne.jp/

© 2012 GMT PRODUCTIONS – LES FILMS DU LENDEMAIN – MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – EURO MEDIA FRANCE – INVEST IMAGE
 



~ブノワ・ジャコー流 ルポルタージュ フランス革命~
 

marie-1.jpg 12月1日~9(日)までの京都の各所(京都シネマ、京都文化博物館、東映京都撮影所、松竹撮影所)にて開催された『第4回京都ヒストリカ国際映画祭』は、世界の時代劇だけを集めた映画祭です。時代劇製作の本場である京都で、こうした国際映画祭を開催することは、今後の京都の映画産業を支える上でもその意義は大きい。初日に『大奥~永遠~右衛門佐・綱吉篇』と『マリー・アントワネットに別れをつげて』が上映され、それぞれ上映後にゲストによるトークショーが開催されました。

 30年ほど前に来日して日本にひと目惚れ…「こんなに日本を好きになったのも日本映画の影響」と語るフランスのブノワ・ジャコー監督。新作『マリー・アントワネットに別れをつげて』の上映後トークショーに登壇。独特の作風と新作について語ってくれました。NHKから京都の雅楽奏者のドキュメンタリー撮影を依頼されたのが、日本という国に想いを寄せるキッカケだったといいます。

MA-s2.jpg――― 特に京都でオススメの所は?
一言でどことは言えない。季節によって、気候によって、その日の気分によって変わりますから。

――― 時代劇を撮る魅力は?
どの映画でも、各々の時代を捉えたものは時代劇と言えます。時には時代を再現した作品の方が、現代を鏡のように反映していることが多い。本作でも、私が撮ったもので、宮廷人が撮ったものではない。今日は、宮廷人の恰好をして登場すればよかったですね~(笑)

――― マリー・アントワネットについて?
他国の見方より低いと思います。彼女の処刑については罪悪感があり、彼女を殺さなくても革命は成し遂げられたのではと。客観的に見て、人民が飢えているのにベルサイユをミュージックホールのようにしたのは罪深いと思います。私自身が彼女に興味を持ったのは、バスティーユ襲撃後の4日間だけに注目して、“悲劇の王妃”というそれまでの彼女のイメージが変化していく瞬間だったのです。

marie-2.jpg――― 歴史上登場しないシドニーについて?
誰もが知っている歴史ドラマを、シドニーという朗読係を主人公にすることによって、彼女の目を通して、今まさに起こっている事件をルポルタージュとして撮ろうとしました。シドニーを証言者として、当時のベルサイユ宮殿の中をガイドされているような感じでね。シドニーという想像上の人物を若い女性にしたのは、瑞々しい感性とイノセンスが必要だったからです。映画は彼女が目覚めるシーンから始まり、夜の闇に消えるシーンで終わっています。シドニー以外は歴史上の人物ですが、彼女だけは映画の中でしか存在していない人物なのです。

――― ベルサイユ宮殿について?
歴史の舞台であり、正に歴史の証人でもあります。ですが、宮殿の威容さを中心に据えず、召使たちがこそこそ噂話をしたり、貴族たちが革命の恐怖に狼狽する廊下とか、普段注目されない場所を選んで撮影しています。そう、タイタニック号が沈没するように、ベルサイユ宮殿を象徴とする貴族社会が徐々に崩壊していく様子を撮りたかったのです。

――― 若い女性を使うことについて?
カメラを通して彼女の視線を感じる。私自身は思い入れをもって追いかけていて、それをまた後から見ているのが観客という訳です。

MA-s3.jpg――― 監督の視線に愛情を感じるのですが、女優の演出法は?
映画の対照とするのは、思い入れや惹きつけるものが必要です。私の場合は、それが女性なんです。溝口健二監督の偉大さに比べれば、私など虫みたいな存在ですが(笑)

――― ドキュメンタリーっぽく撮る意味は?
映画の本質そのものを描き出すため。現実を取り入れて何かを語るとフィクションが生じます。女性というリアルな存在を、人物を演じることでフィクションが生じ、意外なものを創り出しているのです。

――― 若い女優とベテラン女優へのアプローチの違いは?
どちらにも共通していることもあります。若い女優へは、彼女が進むべき方向へと導きます。ベテラン女優へは、今までやったことのないところへ導くのです。イザベル・ユペールとは特殊な関係で、はじめは20代だった彼女とは5本も撮っています。仕事が終わると、暗黙の了解で「また会おうね」という感じです。

――― カトリーヌ・ドヌーヴやイザベル・アジャーニなどは、彼女ら自身の素の部分に触れているように感じることがあるが、それは意図的?
おそらく、彼女たちが全幅の信頼を寄せてくれているので、今までとは違う非凡なものが映像に表れているのかもしれません。勿論、彼女たちもそれを承知しています。

MA-s4.jpg――― 本能を解き放つという意味ですか?
そうですね。私との仕事の時はそういうことだと思います。そうならなければ、彼女たちはガッカリするでしょうねぇ。こうした話を皆さんの前でするのは、慎みがないと言われそうです。時として、深い関係になることもありますし、もう少し複雑かもしれません。
私が求めているのは、女としての境界線上をまたぐ様子を撮るのが好きです。抑圧というより、自分自身を解放し、限界を踏み越えることが核心になっていることが多いです。どの年齢の人も、大人になるという通過時期は、私にとっては進歩ではなく、失うものが多いという風に考えています。



 今年の京都ヒストリカ国際映画祭では、〈ブノワ・ジャコー監督特集〉として、『肉体の森』『イザベル・アジャーニの惑い』『トスカ』『発禁本-SADE』が京都シネマで上映されました。フランス映画界のミューズたちをスクリーンに開花させてきたブノワ・ジャコー監督の世界観や感性、美学について堪能できるプログラムとなっていました。

marie-3.jpg 溝口健二は勿論、小津安二郎、成瀬巳喜男、黒澤明などの巨匠から北野武と、予想以上に日本映画を見て影響を受けているようでした。特に、京都を舞台にした作品がお好きだとか。新作『マリー・アントワネットに別れをつげて』では、今まで見たことのないマリー・アントワネット像を目撃することになるでしょう。また、ベルサイユ宮殿とは別のトリアノン離宮での撮影にも注目して見て頂きたい。(河田 真喜子)



ouoku2-s550.jpg『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』合同記者会見

(2012年11月30日(金)大阪堂島ホテルにて)

ゲスト:堺雅人・菅野美穂

 

(2012年 日本 2時間04分)

原作:よしながふみ『大奥』

監督:金子文紀

出演:堺雅人、菅野美穂、尾野真千子、柄本佑、宮藤官九郎、西田敏行、要潤、三浦貴大、郭智博、満島真之介、永江祐貴、竜星涼

2012年12月22日(土)~丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://ohoku.jp/top.html

© 2012男女逆転『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』製作委員会

 

~”「草食系”というより”植物”」と菅野美穂にいわれた堺雅人って!?

 

ouoku2-2.jpg 大ヒットした2010年の映画『大奥〈男女逆転〉』(二宮和也・柴咲コウ)。将軍吉宗を演じた柴咲コウの颯爽ぶりが記憶に新しいが、姉妹篇として、2012年秋のTVドラマ『大奥~誕生~[有功(ありこと)・家光篇]』(堺雅人・多部未華子)に続いて、映画『大奥~永遠~[右衛門佐(えもんのすけ)・綱吉篇]』(堺雅人・菅野美穂)が公開される。史実の男女を逆転させた〈よしながふみ〉原作のコミック『大奥』の映像化は、江戸時代の将軍家大奥を舞台に、世継ぎをめぐる陰謀渦巻く世界で、男女逆転しているとはいえ、信頼と忠誠、そして真心と愛情という普遍的な情景を、豪華絢爛な時代劇として現代に甦らせている。

 

【STORY】
ouoku2-1.jpg 江戸時代に男性にしか罹らない赤面疱瘡という奇病で男性の割合が激減し、世の中の要職には女が就き、男は子種をもたらす希少な存在となってしまった。まさしく男女逆転の時代に、一人の女将軍のため、その希少な男性3000人を集めた江戸城大奥では、日々将軍に子種をもたらそうと勢力争いを展開していた。将軍綱吉(菅野美穂)の生母父・桂昌院(西田敏行)をけん制するように御台所(宮藤官九郎)は京都から公家の右衛門佐(堺雅人)を呼び寄せる。容姿端麗で学問に精通し品格を持ち合わせた右衛門佐を、綱吉は一目で気に入るが、側室としてではなく、大奥総取締に大抜擢する。綱吉に忠誠を誓い、愛情を抱きながらも、家臣として仕える右衛門佐。世継ぎを授かろうとする綱吉の苦悩をただ見守るばかりだったが……。

2012年12月22日(土)の公開を前に、主演の堺雅人と菅野美穂が来阪し合同記者会見が行われた。


 

――― 公開を前に今のお気持は?

堺:TVドラマの続編になりますが、ドラマの方も佳境に入り、映画の『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』に向かって盛り上がっているところです。ようやくこの日が来たかと嬉しく思います。

菅野:撮っている間はどんな作品になるのか期待でいっぱいでした。今は映画の楽しみをかみしめています。

 

ouoku2-s1.jpg――― 男女逆転の魅力については? 日頃男女逆転だなと感じることは?

堺:男女逆転ということだけがフィクションの時代劇です。肉食系の女子と草食系の男子という構図は現代にも繋がっているので、まるで日本の歴史を見つめ直す大きな合わせ鏡のようなお話だと思います。その面白さを伝えることができればいいなと。既に、世の中は逆転していると思うので、別に違和感なく日々細々と暮らしております(笑)

菅野:最初は大胆な設定だなと思いましたが、男女逆転にしても最後に残るのは、愛や純粋さだということが分かって面白いと感じました。そのままでも変わらないものは変わらない。今年の夏ブータンへ行って来たのですが、ブータンは女系国家でして、それでも国民は幸せだと感じて暮らしています。それがとても興味深いなと感じました。また、そうありたいと思いました。

 

――― 本作でスケール感を感じたところは?

堺:私が参加した時点では既にプロジェクトは動き出していて、プロデューサーたちの話を聴いているだけでワクワクしました。今でも続いている原作そのものがスケールが大きくて壮大な物語ですので、身震いするようでした。

菅野:衣裳合わせや現場の空気感が、自分が思っているのとは違うなと感じました。京都撮影所での撮影でしたし、スティール撮影を見せて頂いた時に、光明寺の吊りの豪華さに驚きました。

堺:元禄時代のお話ですから衣装も豪華で、菅野さんはそれを着こなしておられ、下から見上げた時、とても素敵に似合っておられるなと感じました。

 

ouoku2-sk1.jpg――― 男女逆転とはいえ、それぞれの立場で演じ分けた点は?

堺:私が演じた右衛門佐は上昇志向の強い男らしい役で、TVドラマの有功は女性的な人物と、自分としてはなんとなくイメージを分けて演じていました。

菅野:表では男性的な振る舞いを、でもプライベートでは女性的な面を見せるという、ひとつの人物ですが演じ分けていました。原作では天真爛漫で支離滅裂という、ある意味危ういというか、いつも反対側の要素を残して演じるようにしていました。

 

ouoku2-ss2.jpg――― 役作りについて?

堺:原作が面白いのでそのまま伝えたいと。右衛門佐の家系は「水無瀬」という公家の出で、その水無瀬家ゆかりの宮司さんをしておられる方とお話をさせて頂き、役のイメージが固まりました。

菅野:女性で将軍の役をやれるのは一生に一度しかないだろうと思ったが、でもどうやって演じればと考えると、ムリ!……そこで、理解しようとせず、自分とは別ものだと割り切ることが大事だと考えました。女性としては、子供を失った悲しみや、自分が次第に崩れていくところなどを表現しようと思いました。堺さんをはじめ西田さんや小野さんなど、共演の皆様が本当に素晴らしい方々ばかりで、皆さんの目を見て演じました。

 

――― お二人は初共演ということですが、お互いの印象は?

堺:菅野さんの作品はいくつか拝見しておりまして、何を考えているのかわからない、怖いイメージ(笑)。大竹しのぶさんとは違う天真爛漫さで、いろんな役を見ても、素でやっているのでは?と思えるくらい役に憑依しているようでした(笑)。
私の役はある意味綱吉に一本の矢を深く深く突き刺すような役なのですが、いくら突き刺しても堪えない。でも、ラストシーンでは、ちゃんと受け止めてくれていたことが分かる演技をして下さり、改めてよく分からない人だなと思いました。

菅野:堺さんは、どんな役の時もご自身でテーマをもって臨んでおられ、それが役に滲み出ているように感じました。私には、草食系というより植物のような人だなと思えて(笑)。研究熱心なのは想像以上でした。今回も、江戸時代のことなのに鎌倉時代まで遡って研究して、堺さんにそんなこと訊かれて監督が困っておられたくらいです。穏やかな中にもキビキビとして、時代劇では衣裳をつけるので心情表現は難しいのですが、それを自然体で演じておられ、素晴らしいと思いました。

 

ouoku2-s2.jpg――― 観客へのアピールを。

堺:男女逆転という特殊な物語ですが、本格的な普通の時代劇になっていると思います。京都撮影所のスタッフが丹精込めて作り上げた作品です。多くの方に楽しんで頂けると思います。TVドラマを見ておられない方も、男女逆転ということだけを知ってご覧になると楽しめると思います。

菅野:元禄時代なので、男性の衣装が艶やかなのは男女逆転ならではです。世界遺産の京都で撮影した見応え十分の時代劇です。お気軽に映画を見て楽しんで頂ければ嬉しいです。

 


 天然といわれる菅野美穂だが、質問に対しては言葉を選び、思慮深さを感じさせた。一方、研究熱心といわれる堺雅人の方は、役に対する理解度と、作品に対する責任感の強さを感じさせた。また堺雅人は、映画からTVドラマと京都撮影所での撮影期間も長く、時代劇のコスチュームの着こなしはピカイチ! これほど品良く時代劇に映える俳優もそうはいないだろう。男女逆転劇の中にも、菅野美穂は女将軍の苦悩を、堺雅人は凜とした品格のある男らしさを見せていた。(河田 真喜子)