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インタビューの最近の記事

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世界一有名なMI6局長から、イギリス史上“最も意外なスパイ”へ挑む!

広島の原爆投下がジョーンのスパイ活動の動機⁉︎

「私自身も広島のことはよく覚えてる。」

ジュディ・デンチ インタビュー映像解禁!

 
英国映画・演劇界の至宝、ジュディ・デンチを主演に迎え、イギリス史上、最も意外なスパイの実話から生まれた衝撃作『ジョーンの秘密』8月7日(金)TOHOシネマズ シャンテ他ロードショー)につきまして、主演ジョーンを演じた、ジュディ・デンチのインタビュー映像を解禁いたします。
 


Joan-550.jpgのサムネイル画像【イギリス史上、最も意外なスパイの実話から生まれた衝撃作】
 
世界がミレニアムに浮かれていた2000年、英国では驚愕のニュースが国内を駆け抜けた。ロシアのKGBに核開発の機密を漏洩していた“核時代最後のスパイ”が、MI5の手によって暴かれたと報道されたのだ。だが、人々に衝撃を与えたのは、その事実よりも容疑をかけられた“その人物”だった。まさに私たちの隣に住んでいるような80代の老女だったのだ。ジョーンは信じられないほどの過去を隠し続けて静かに生活を送ってきたのです。この数奇な実話をもとに、英国の作家ジェニー・ルーニーが書き上げ、ベストセラーとなった小説の映画化が実現。ジョーンは祖国を裏切ったのか、KGBに利用されたのか、レオへの愛のためなのか、それとも──スリリングな謎解きに息をのみ、クライマックスのジョーンのスピーチに、今を生きる私たちに深くつながる物語であることに気づかされる衝撃作が完成しました。
 


Joan-500-3.jpg【ジュディ・デンチ インタビュー映像はこちらから】≫≫≫≫≫
 

私たちの隣に住んでいるような80代の老女を演じた、主演ジュディ・デンチのインタビューが公開!

デンチは、自身が演じたジョーンについて、「ジョーンはとても普通の女性よ。ごく普通の家に住んでいるの。でも高齢者になってから1940年代にソ連のスパイだったと判明するのよ。」と説明する。イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていたジョーンは、2000年5月、突然訪ねてきたMI5に連行されてしまう。信じられないほどの過去を隠し続けて静かに生活を送っていたが、そこまでジョーンが秘密を守ったことについて「ジョーンはとても上手に秘密を守ってた。彼女なりの信条を持って行動していたし、ずっと隠し通してきたの」と優しく温かな表情の下に、ドラマティックな半生を、実の息子にも隠していたジョーンを彷彿とさせる表情で語った。
 
(実際に存在した)ケンブリッジ・スパイの存在を知った時は?という問いには、「(ガイ・)バージェスと(ドナルド・)マクリーンをよく覚えてるわ。王室の絵画鑑定士だった(アントニー・)ブラントもね。ごく普通に見えた彼らに裏の顔があったことが突然暴露されたの。権威ある仕事に就いている人もいたのに、まさかその裏でスパイ活動をしていたなんて。衝撃的だったわ。」と思いを馳せる。
 
そして1945年。日本に8月6日に広島原爆投下、
さらに8月9日長崎市への原爆投下という歴史的な悲劇が起こる。
 
ソ連のKGBに核開発の機密を漏洩していた“核時代最後のスパイ”ジョーン。仲間や家族を裏切ってまで、何を守ろうとしたのか、そして、ジョーンを突き動かしたものとはいったいなんだったのか?
 
本作で描かれた「ジョーンの動機について」聞かれたデンチは、「映画の中では 彼女は広島の原爆投下を知り、行動を起こすの。私自身も広島のことはよく覚えてる。そのあとすぐに長崎が続いたのよね、ショックを受けたから彼女の気持ちも分かる。彼女は不公平を是正すべきだと信じてた。“一方に情報が偏るべきではない”とね。」と、語る。
 
「巨大なテーマを扱った小さな映画」と監督のトレヴァー・ナンが表現する『ジョーンの秘密』。ジョーンをスパイ行為へと駆り立てたものは広島と長崎への原爆投下に恐怖を感じ、二度とこんなことが起きないようにしなければという気持ちだったーー。すべての国が同じ機密情報を持っていれば、世界はより安全な場所になると考えたジョーンのとった行動は果たして正しかったのか?奇しくも日本では8月7日(金)に公開し、新たな視点からこの問題に向き合うきっかけとなる本作、是非劇場で確かめて欲しい。
 

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【STORY】
夫に先立たれ、仕事も引退したジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)は、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていた。ところが、2000年5月、ジョーンは突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。半世紀以上も前に、核開発の機密情報をロシアに流したというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、先ごろ死亡した外務事務次官のW・ミッチェル卿が遺した資料から、彼とジョーンがロシアのKGBと共謀していた証拠が出てきたというのだー。彼女の息子で弁護士を務めるニック(ベン・マイルズ)立ち会いのもと、次々と明かされるジョーンの驚くべき真実ー。仲間や家族を裏切ってまで、彼女は何を守ろうとしたのか。そして、ジョーンを突き動かしたものとは?
 
【STAFF・CAST】
出演:ジュディ・デンチ、ソフィー・クックソン、トム・ヒューズ、スティーヴン・キャンベル・ムーア、ベン・マイルズ
監督:トレヴァー・ナン 原作:ジェニー・ルーニー著「Red Joan」
2018/英語/イギリス/101分/5.1ch/カラー/スコープ/原題:REDJOAN/PG12
© TRADEMARK (RED JOAN) LIMITED 2018 字幕翻訳:チオキ真理  配給:キノフィルムズ 
WebサイトURL : https://www.red-joan.jp/
 

2020年8月7日(金)~TOHOシネマズ シャンテ他ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

 

 
 

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ジョーンのモデルとなった、核時代最後のスパイ!

“ばあばスパイ”ことメリタ・ノーウッドとは?

 
英国映画・演劇界の至宝、ジュディ・デンチを主演に迎え、イギリス史上、最も意外なスパイの実話から生まれた衝撃作『ジョーンの秘密』の初日が8月7日(金)TOHOシネマズ シャンテ他ロードショーにて公開いたします。この度、本作の原作となるジェニー・ルーニー著「Red Joan」のモデルとなった女性、メリタ・ノーウッドについて、本人の写真とコメントをご紹介いたします!
 

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イギリス史上、最も意外なスパイの実話から生まれた衝撃作。          

世界がミレニアムに浮かれていた2000年、英国では驚愕のニュースが国内を駆け抜けた。ロシアのKGBに核開発の機密を漏洩していた“核時代最後のスパイ”が、MI5の手によって暴かれたと報道されたのだ。だが、人々に衝撃を与えたのは、その事実よりも容疑をかけられた“その人物”だった。まさに私たちの隣に住んでいるような80代の老女だったのだ。ジョーンは信じられないほどの過去を隠し続けて静かに生活を送ってきたのです。この数奇な実話をもとに、英国の作家ジェニー・ルーニーが書き上げ、ベストセラーとなった小説の映画化が実現。ジョーンは祖国を裏切ったのか、KGBに利用されたのか、レオへの愛のためなのか、それとも──スリリングな謎解きに息をのみ、クライマックスのジョーンのスピーチに、今を生きる私たちに深くつながる物語であることに気づかされる衝撃作が完成しました。
 

原作でジョーンのモデルとなったメリタ・ノーウッドとは?

 
イギリスでベストセラーとなった小説の原作(Red Joan/ジェニー・ルーニー著)を脚色し映画化された『ジョーンの秘密』。本編で描かれたジョーンは、共産主義に賛同せず、アメリカが広島と長崎に原爆が投下された映像を見て激しく動揺したことが、最初のスパイ活動の動機だとして描かれている。しかし、原作にはモデルとなった実在の人物がいた。そのモデルとなった女性メリタ・ノーウッドは、熱心な共産主義者でソ連の諜報員として、核開発の機密情報をソ連に横流しをした。劇中の冒頭でも描かれているが、その約50年後に静かに過ごしていた自宅で突然連行されたのである。
 
 
【プロフィール】

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メリタ・ノーウッド(コードネーム:Hola)

1912年3月25日―2005年6月2日(享年93歳)
80代の時に、KGBの元スパイだと判明。原爆の資料をソ連に渡したことを郊外の自宅前で行った記者会見で認めたが、高齢のため不起訴処分だった。“ばあばスパイ”と呼ばれ、93歳で死亡した。
社会主義者の両親の影響で幼いときから熱心な共産主義者。イギリス人だが共産主義に賛同し、KGBのもっとも重要な女性スパイだった。
1930年代から活動を始め、密かに英国共産党に入党。そしてイギリスの核技術開発を担っていた非鉄金属研究協会に勤め、ソ連のためにスパイ行為を行った。ソ連の核兵器計画を促進するために、核兵器関連の機密書類を横流ししていた。
1945年と1965年に、防諜機関MI5(英国保安局)がノーウッドの素性について嫌疑をかけたが、2度とも十分な確証を得られなかった。
1972年には定年退職となり、ソ連の諜報員としての役目を終えた。亡くなるまで、自分のしたことを決して後悔しなかった。彼女はソ連政府から名誉ある勲章を喜んで受け取った。
 
《当時のイギリスの時代背景について》
当時のイギリスについて、川成洋法政大学名誉教授の解説によると、「ジョーンがケンブリッジ大学に入学した1938年から45年までのイギリスは、企業の連鎖倒産のために拡大する失業問題、左右勢力の激突、第2次世界大戦の勃発そして辛勝など、まさに「疾風怒涛」の時代であった。この時代の真っ只中で、ケンブリッジ大学で学び、卒業後にソ連のスパイになった人もいた。その典型的な事例は、王室美術鑑定官を筆頭に、外務省、秘密情報部などの5人の高官が、ソ連のスパイで「ケンブリッジ・ファイブ」(、あるいは『ケンブリッジ・リング』)と呼ばれた。」
 
原作の映画化を熱望した、監督のトレヴァー・ナン「ケンブリッジは、この物語の重要な要素です。情熱的で理想主義的な若き共産主義者たちがケンブリッジ大学にいたという知識が重要。作品はケンブリッジ・ファイブ自体を描いたものではないが、史実には忠実だと思います。大戦の大部分を追っているし、観客はあの時代に関して、より多くの知識を得ることができるはず。ケンブリッジ、そしてロンドン市内とその周辺でロケーション撮影された本作は、根本的に真実であるストーリーを、真摯に伝えようとしています。」と語り、「ジョーンのとった行動は正しかったのか、とこの映画は問いかけています。観客の皆さんがこの問題について話し合いたい、熟考したい、討論したいと感じてくださることを願っています。」と本作を製作した“意義”についてコメントしました。
 
メリタ・ノーウッドは告発された当時、
「私はお金が欲しかったのではない。私の関心があったのはそこではない。私はソ連が西側と対等な足場に立つことを望んでいたのだ」と語っている。メリタが持ち続けた強い信念を、是非本編で確かめて欲しい。
 

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【STORY】
夫に先立たれ、仕事も引退したジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)は、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていた。ところが、2000年5月、ジョーンは突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。半世紀以上も前に、核開発の機密情報をロシアに流したというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、先ごろ死亡した外務事務次官のW・ミッチェル卿が遺した資料から、彼とジョーンがロシアのKGBと共謀していた証拠が出てきたというのだー。彼女の息子で弁護士を務めるニック(ベン・マイルズ)立ち会いのもと、次々と明かされるジョーンの驚くべき真実ー。仲間や家族を裏切ってまで、彼女は何を守ろうとしたのか。そして、ジョーンを突き動かしたものとは?
 
【STAFF・CAST】
出演:ジュディ・デンチ、ソフィー・クックソン、トム・ヒューズ、スティーヴン・キャンベル・ムーア、ベン・マイルズ
監督:トレヴァー・ナン 原作:ジェニー・ルーニー著「Red Joan」
2018/英語/イギリス/101分/5.1ch/カラー/スコープ/原題:REDJOAN/PG12
© TRADEMARK (RED JOAN) LIMITED 2018 字幕翻訳:チオキ真理  
配給:キノフィルムズ WebサイトURL  https://www.red-joan.jp/
 

2020年8月7日(金)~TOHOシネマズ シャンテ他ロードショー


(オフィシャル・レポートより)


ジュディ・デンチ主演 最新作!

世界一有名なMI6局長から、イギリス史上“最も意外なスパイ”へ挑む!
 

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共産主義を広めることに心酔していく

「危険な香りのする男を」演じた

英国イケメン俳優トム・ヒューズ

 
英国映画・演劇界の至宝、ジュディ・デンチを主演に迎え、イギリス史上、最も意外なスパイの実話から生まれた衝撃作『ジョーンの秘密』の初日が8月7日(金)TOHOシネマズ シャンテ他ロードショーにて公開いたします。この度、スパイ容疑で告発されたジョーン(ジュディ・デンチ)が若かりし頃に恋い焦がれた相手として出演している、英国イケメン俳優トム・ヒューズのインタビューをご紹介いたします。
 

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イギリス史上、最も意外なスパイの実話から生まれた衝撃作         

世界がミレニアムに浮かれていた2000年、英国では驚愕のニュースが国内を駆け抜けた。ロシアのKGBに核開発の機密を漏洩していた“核時代最後のスパイ”が、MI5の手によって暴かれたと報道されたのだ。だが、人々に衝撃を与えたのは、その事実よりも容疑をかけられた“その人物”だった。まさに私たちの隣に住んでいるような80代の老女だったのだ。ジョーンは信じられないほどの過去を隠し続けて静かに生活を送ってきたのです。この数奇な実話をもとに、英国の作家ジェニー・ルーニーが書き上げ、ベストセラーとなった小説の映画化が実現。ジョーンは祖国を裏切ったのか、KGBに利用されたのか、レオへの愛のためなのか、それとも──スリリングな謎解きに息をのみ、クライマックスのジョーンのスピーチに、今を生きる私たちに深くつながる物語であることに気づかされる衝撃作が完成しました。
 

Joan-500-8.jpgトム・ヒューズ インタビュー解禁!

本作では、恋と政治の駆け引きで若かりし頃のジョーンを翻弄するロシア人の恋人レオを演じたトム・ヒューズ。
 
ジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)は、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていた。ところが、2000年5月、ジョーンは突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。ロシアに機密情報を流したというスパイ容疑だった。捜査官の取り調べは、1938年まで遡るーー
 
その過去の時代を生きたレオというキャラクターについて、「共産党の活動に深く関与していたケンブリッジの学生なんだ。彼は闘争、発展、共産主義を広めることに心酔していく。そこで、初めてジョーン(ソフィー・クックソン)を紹介されたとき、レオはすぐに二つの何かを感じたんだよ。それは恋愛への情熱と政治的な理想を追求する情熱なんだ。二人は惹かれ合って、同じ世界で生きていくことになる。」その強烈なカリスマ性については、「彼は社会にとらわれていない存在だから、常に魅力的なんだよね。そういう人たちはとにかく自由で、快活さのような不思議な何かがあって、悪びれない。潜在的に人を引き付けるものを持っている。それはたいてい自滅的だったりするんだけど、彼と一緒にいる人には中毒性があるんだ。」とレオの魅力について分析する。そんなレオにたちまち恋におちてしまうジョーンだが、彼女に対して「ジョーンはあらゆる面において未熟で、たぶんレオと一緒にいることへの危険性に対して認識できていなかったから、夢中になって、魅了されてしまったんだと思う。小さな町で育った彼女が知っていたものとは正反対で、典型的な、型破りな男だったから。」と語った。
 
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ジョーンの心を奪い、彼女と情熱的な恋愛関係になるレオという役は、礼儀正しくてチャーミングで、危険な香りがただよう男だ。キャスティングに対して「マクベス」や「冬物語」などジュディ・デンチの名作舞台を何作も演出した、本作の監督トレヴァー・ナンは、「僕が最初に考えたのがトムだった。彼が250人の聴衆を相手に長いスピーチをする大きなシークエンスがあるんだけど、トムは文句ひとつ言わず、全力でそのシーンを14回も演じてくれたよ。」と「かなり前から一緒に仕事をしたいと思っていた」念願のキャスティングだったことを明かした。
 
なぜジョーンは祖国を裏切ったのか、KGBに利用されたのか、レオへの愛のためなのか、それとも──スリリングな謎解きに息をのみ、クライマックスのジョーンのスピーチに、今を生きる私たちに深くつながる物語であることに気づかされる本作。ジョーンが夢中になった「危険な男」レオの、説得力のある魅力的な姿からも目が離せません。是非、本編をご期待ください!
 

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【STORY】
夫に先立たれ、仕事も引退したジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)は、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていた。ところが、2000年5月、ジョーンは突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。半世紀以上も前に、核開発の機密情報をロシアに流したというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、先ごろ死亡した外務事務次官のW・ミッチェル卿が遺した資料から、彼とジョーンがロシアのKGBと共謀していた証拠が出てきたというのだー。彼女の息子で弁護士を務めるニック(ベン・マイルズ)立ち会いのもと、次々と明かされるジョーンの驚くべき真実ー。仲間や家族を裏切ってまで、彼女は何を守ろうとしたのか。そして、ジョーンを突き動かしたものとは?
 
【STAFF・CAST】
出演:ジュディ・デンチ、ソフィー・クックソン、トム・ヒューズ、スティーヴン・キャンベル・ムーア、ベン・マイルズ
監督:トレヴァー・ナン 原作:ジェニー・ルーニー著「Red Joan」
2018/英語/イギリス/101分/5.1ch/カラー/スコープ/原題:REDJOAN/PG12
© TRADEMARK (RED JOAN) LIMITED 2018 字幕翻訳:チオキ真理  配給:キノフィルムズ WebサイトURL 
公式サイト: https://www.red-joan.jp/
 

2020年8月7日(金)~TOHOシネマズ シャンテ他ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

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人情味たっぷりに描く、阪神・淡路大震災で一人娘を亡くした夫婦が過ごした23年間。
『れいこいるか』いまおかしんじ監督インタビュー
 
   阪神・淡路大震災から25年を迎え、今や再開発された場所の方が多くなってしまったが、今でも震災前の風情や人付き合いが残る、観光地ではない等身大の神戸が映し出され、とても心地よさを覚える。阪神・淡路大震災から現在までの震災の痛みや葛藤を抱えながら生きる人々を描くいまおかしんじ監督(『つぐない』)最新作、『れいこいるか』が、8月8日(土)より新宿K’s cinema、シネ・ヌーヴォ、元町映画館、8月14日(金)より京都みなみ会館、他全国順次公開される。
 
  震災で大事な人を亡くしても、家族にはそれから続く人生がある。そこには、ささやかな喜びもあるが、まだどこかで一緒に生きているような気持ちになったり、ふとその日のことが蘇ったりもする。そんな震災から23年間の夫婦の年月を、愛嬌いっぱいのキャラクターを散りばめ、人情味たっぷりに描いている。実は神戸弁の「だぼ(「あほ」「ばか」の意味)」をはじめ、裏神戸の魅力も存分に感じられる、とても味わい深い作品だ。
本作のいまおかしんじ監督に、お話を伺った。
 

 

■神戸とウルトラセブン、そして変わらないものを象徴するヒロシが繋がって。

――――まず、朝日映劇第一回制作作品ということで、朝日映劇について教えてください。
いまおか:この作品に出資してくださった川本じゅんきさんは、自分で好きな映画を上映する活動を長くやっておられ、その上映会の名前が朝日映劇なんです。その川本さんが初めて映画の制作に携わるということで『れいこいるか』が第一回制作作品になっています。
 
――――川本さんは特撮モノの上映会もされていらっしゃるので、ウルトラセブンに心酔しているヒロシが、セブンが神戸に上陸したエピソードが出た時、つながりがあるのかと思いました。
いまおか:僕はそのエピソードをすっかり忘れてたんです。川本さんはもちろんご存知ですが、脚本の佐藤稔がシナリオに書いていたので、そういえば神戸のポートタワーをキングジョーが壊していたなと思って。
 
――――ヒロシは、20年以上の月日を描く物語の中で度々登場する、とても印象的なキャラクターですね。
いまおか:20年ぐらいに渡る話なので、いろんなことが変わっていくじゃないですか。そこにはあんなことも、こんなこともある訳ですが、何か変わらないものも入れたいと思って、シナリオに反映してもらいました。
 
 

■震災当時から構想。20年以上経ち「その後どうしているかを描いたら、今撮る意味があるんじゃないか」

――――ちなみに阪神・淡路大震災時は、どのような状況だったのですか?
いまおか:ちょうど助監督をやっている時期でした。東京という離れた場所にいましたが、実家が大阪なので、震災発生時もすごく気になり、電話をしていたんです。何かすごいこと起こってるとショックを受けました。その当時、僕らの先輩の監督はピンク映画を撮っていましたが、その中に当時起きた事件や、その時あったことを映画の中に入れていたんです。当時は阪神・淡路大震災やオウム真理教事件などが相次いで起こり、世紀末的雰囲気が漂い、すごく不安な感じでしたから、そういうことを映画に取り込んでみたいという気持ちは当時から持っていたのです。
 
――――阪神・淡路大震災を描く映画を早い段階から考えていらっしゃったのですね。実際に実現するまで時間が経っていますが、この作品を見るとそれは必然だった気がします。
いまおか:折に触れてやりたいとは思っていました。ただ震災や事件が発生したすぐ後だと撮る意味がありますが、少し時間が経ってしまうと撮る意味を見つけづらくなってしまった。20年以上経ち、なんとかできないかなと思って、脚本の佐藤に相談したところ、震災が起き、あの時描いた夫婦はその後どうしているのかという時間を描ければ、今撮る意味があるんじゃないか。そういう思いで作った映画です。
 
 
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■震災の被害を逃れたところを選んだロケ地。長田区は、大体の酒屋で立ち飲みができるのに感動。

――――今まで阪神・淡路大震災を描いた作品は、みなさんが思う神戸のイメージを感じる場所(三ノ宮、元町、六甲など風光明媚なところ)が多かったのですが、本作は地元の人間の生活が息づく、裏神戸とも言えるような場所(新長田、鷹取、須磨)かつ、被害が甚大だった地域が舞台になっているのに、地元民として非常に好感が持てました。
いまおか:神戸のことは詳しくないので、最初は異人館とか有名な場所をシナリオに入れていたのですが、やはり観光地的場所ではなく、もう少し的を絞った方がいいのではないかと思ったんです。ロケハンで何回も廻り、舞台を長田区に設定しました。本当にいい街で、大体の酒屋で立ち飲みができるんですよ。こんなに飲める街、ないよ!みたいな(笑)
 
――――主人公、伊智子の実家の立ち飲み酒屋は、時間が経過する中の定点観測的な位置付けで、一番映画で登場する場所ですね。
いまおか:周りは火災に遭ったり、被害が甚大だったのですが、あの酒屋は震災の被害を免れた場所なんです。商店街や路地もそうですが、なるべく震災の被害を逃れたところを選んで、ロケをしています。
 
 

■脚本担当、佐藤さんの優しさが、作品のカラーに。

――――震災当日を含め、誰かを責めるような人がいないことが、とても救いに感じられる作品ですね。
いまおか:震災からの20数年を描くということは決まっていたのですが、僕だったら、もっと乱暴に残酷なことを考えてしまうところを、脚本の佐藤は妙に優しくて、飲み屋で呑んだくれているようなおっさんに目がいくんですね。
 
――――悲しみを泣くことで表現するのは簡単ですが、泣くのではない悲しみの表現があり、そちらの方がリアルですね。
いまおか:亡き娘を思って涙する時間もあるでしょうが、普通にご飯を食べたり、笑ったり、生活の中で実際にはずっと泣いている訳ではないはずです。ただ、その中でもふっと悲しい気持ちが蘇ることがあると思うので、そこをどういう風に切り取るかですよね。なるべく深刻な暗い話にはしない方がいいと思って作っています。
 
 

■キャスティングのため関西でオーディション。劇団で活躍する俳優が集結。

――――伊智子を演じた武田暁さんは、主に舞台で活躍してこられたそうですが、どのような経緯でオファーしたのですか?
いまおか:関西で撮影するなら、地元の俳優を起用する必要があったのでオーディションを行いました。武田さんは本作で出演している西山真来さんからいい人がいると紹介してもらいました。僕は関西を離れて長いので、同じ関西でも神戸の言葉がどうなのかあまりよく分からなかったのですが、イントネーションや「だぼ」などの地元言葉を含め、みなさん頑張って練習してくれましたね。他にも劇団テンアンツ主宰、上西雄大さん(映画『ひとくず』企画・監督・脚本・主演)がオーディションに来てくれ、「劇団員がたくさんいるから、使ってもらっていいよ」と言ってくれたので、キャスティング面では色々協力してもらい、本当に助かりました。
 
――――タイトルの『れいこいるか』もそうですが、伊智子と太助がじゃれあうように言葉遊びをしたりするのも、映画の中の遊び的な要素になっています。
いまおか:『れいこいるか』は、当初いくつかあったタイトル案の中の一つでしたが、仮で『れいこいるか』になったとき、「いるか」を使って言葉遊びができるとシナリオに書き込んでくれたのは佐藤のアイデアですね。「いるか、いらないか」とか、どちらの意味にもとれる感じも出て、タイトルとしてもいいかなと思っています。
 
 
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■実際のエピソードを盛り込みながら、自然と生まれてきた設定。

――――回想シーンを使わず、震災で亡くなった幼い娘、れいこに買い与えた「いるかのぬいぐるみ」を、娘のように大事にし続ける太助の姿が印象的でした。シナリオを書く段階で、須磨水族館(スマスイ)をエピソードに入れるつもりだったのですか?
いまおか:震災の前日、須磨水族館(スマスイ)のいるかショーでいるかがジャンプしなかったというエピソードが、今や都市伝説のように残っているそうで、そこから触発され、いるかショーを娘の誕生日に見るという設定を考えていきました。映画で使っているぬいぐるみは、実際にスマスイで売っているものです。
 
――――芥川賞を目指していた太助にはじまり、伊智子が付き合う男性は書くことがライフワークという共通点があります。他にもシナリオ教室や、そこで伊智子が詠む短歌など、文学的な香りがそこここに感じられますね。
いまおか:シナリオを書く前に、佐藤と手分けしていくつもの資料を読み込んでいくうちに、自然と生まれてきた設定です。映画で登場する「圧死せし…」という短歌も、実在するものなんです。
 
 
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■長い時間の中でしか表現できないものもある。

――――全体的にはそれからの日常が人情喜劇風に描かれながらも、ディテールに阪神・淡路大震災の記憶を挿入しているんですね。25年を描く中で、あの世へと見送っていった人たちとどこかで繋がっているような気持ちが込められているのでしょうか?
いまおか:時間を描きたいというのがあったんですよね。大切な人が死んだら、残された人はこの先どう生きていけばいいのか。長い時間の中でしか表現できないものもあるという感じでしょうか。
 
――――ちなみに監督の中で、一番印象深いシーンは?
いまおか:終盤、スマスイから帰ってきた伊智子と太助が初めて本音を出すシーンがあります。それまで二人は震災での出来事を含め、向き合えていなかった。シナリオにはそこまで詳しく書いていなかったのですが、あそこで初めて本音で向き合うシーンを作り上げることができて、良かったと思います。このシーンの武田暁さん、河屋秀俊さんの演技はぜひ観てもらいたいですね。
 
――――私も、この映画を観て、本音を語るようになれるには、やはり時間が必要だなとしみじみ思いました。『東京の恋人』の監督、下社敦郎さんが音楽を手がけておられます。エンディング曲もまだお若いのに、昭和の雰囲気がわかっていらっしゃるなと驚きました。
いまおか:下社さんとは何本か仕事をしていますが、こちらが何か言わなくても、大体勝手に作ってくる。何も言ってないのに「主題歌、できました!」と自信満々で持ってきたりするんですよ。
 
――――阪神淡路大震災1.17のつどいの様子も映し出されますが、実際に足を運ばれて、どんな思いを抱かれましたか?
いまおか:映画に登場するのは2018年に撮影したものですが、それ以前にも2016年にロケハンで行き、それから毎年行っているんです。僕の恒例行事にしようと思っています。やはり初めて行った時はとても寒くて、この時期に地震で家を追い出されてしまったら、どれだけ大変なんだという思いが強く残りました。
 
――――1.17のつどいでも祈りを捧げたヒロシは、震災後、長田シンボルとなった鉄人28号共々、長田を見守り続けるような存在ですね。
いまおか:この先、伊智子や太助がこの地を離れても、ヒロシだけは変わらずにそこにいる。この先に続くイメージですね。ヒロシに限らず、変な人を描くのが好きだし、僕の映画にはそういう人しか出てこない。僕も変な人になりたいんです。
 
 
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■自分の意図しなかったものがたくさん映っている映画、それがうれしい。

――――長い構想を経て完成した本作を、実際にご覧になった時の感想は?
いまおか:こういう風に作ろうと最初構想したものが、その時は作れず、20数年後にそれが実現し、自分が予想していなかったものがどんどん入ってきた。今回はそういう、自分の意図しなかったものがたくさん映っている映画だと思いますし、それがうれしいですね。俳優やスタッフの力、場所の力など色々な力が働かないと、そうはならない。1.17のつどいも、たまたま雨が降り、雨の音がすごく良かった。自分で観ても、そういうものが「いいな」と感じられたんです。
 
――――本作は8月8日公開ですが、コロナ禍で公開予定の変更はあったのですか?
いまおか:元々8月8日公開と決めていました。ソーシャルディスタンスを保った状況での公開ですが、今やる方が意味はあると思うんです。やはり、コロナ禍でも映画を観ることができる環境はあるべきですし、お客さんの数や、収益など考慮すべき点はあったとしても、上映できる機会があればやった方がいいと考えています。
 
 

■自分も世の中との関わり合いも変わっていく先で、一番ヒリヒリするものをやっていきたい。

――――これからは映画を撮る状況も、観る状況も変わらざるを得ませんが、これから映画でどんなことを撮っていきたいですか?
いまおか:今まで自分が考えていなかったもの、やったことがないようなものをやりたいですね。いい映画、下手な映画とか、予算が高い、低いとかは何でもよくて、何か変なことをやりたいなと思っています。やはり、30代とは体力も違うし、僕も老人になっていく。その中で、世の中との関わり合いは良くも変わるし、悪くも変わるでしょう。その変わった先で、一番ヒリヒリするものをやっていきたいですね。
(江口由美)
 
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※第15回大阪アジアン映画祭でワールドプレミア上映後のいまおか監督、キャストらが集合!映画祭用ポスターは、いまおか監督がご自宅で本作ではれいこ役で出演のお嬢さんと手作りしたそう。
 

 
<作品情報>
『れいこいるか』(2019年 日本 100分)
監督:いまおかしんじ 
出演:武田暁、河屋秀俊、豊田博臣、美村多栄、時光陸、田辺泰信、上西雄大、上野伸弥、
石垣登、空田浩志他
8月8日(土)〜新宿K’s cinema、シネ・ヌーヴォ、元町映画館、8月14日(金)〜京都みなみ会館他全国順次公開
(C) 国映株式会社

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★第69回ベルリン国際映画祭 銀熊賞(審査員グランプリ)受賞★

フランソワ・オゾン監督最新作!『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』

「フランス版“スポットライト”だ」インタビュー特別映像 解禁!
 



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フランスを震撼させた、神父による児童への性的虐待事件。

トラウマを抱えてきた男たちの、人生をかけた告発のゆくえは──?

鬼才フランソワ・オゾンが挑む、衝撃の実話。

 
フランスでは今現在も裁判が進行中の「プレナ神父事件」。
一人の勇気ある告発者から端を発した児童への性的虐待事件は、結果的に80人以上もの被害者が名乗りをあげ、プレナ神父が教区を変えながら長年にわたって信者家庭の少年たちに性的暴力を働いていたという驚くべき事実が白日の下にさらされた。
 

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本作の物語は、20年、30年経っても、なお虐待のトラウマに苦しむ男たちが、告発するまでの〈葛藤〉と、告発したことによる周囲との軋轢という〈代償〉、それでも告発によって確かに生まれた〈希望〉を紡ぎ出す。あらためて男女の差なく人生を破壊する性的虐待という暴力の恐ろしさと、そこから再生していく人間の力強さ、そしてそれを支える家族の愛が描き出され、まさに人間という存在の光と闇が、ここにある。
 
出演は、若き天才グザヴィエ・ドラン監督の『わたしはロランス』で圧倒的な存在感と美しさを発揮したメルヴィル・プポー、『ブラッディ・ミルク』でセザール賞を受賞したスワン・アルロー、ヴェネチア国際映画祭で監督賞を受賞した『ジュリアン』の父親役が記憶に新しい実力派のドゥニ・メノーシェ。本作で3人揃ってセザール賞にノミネートされ、心をうがつ傷を繊細かつリアルな演技で表現したアルローが見事助演男優賞を獲得した。フランスのみならずヨーロッパを震撼させたこの衝撃の事件に、今やフランス映画界のトップにして最先端に立つフランソワ・オゾン監督が、挑む。
 

インタビュー映像解禁!⇒こちら


「実在の関係者に会って映画化の意思を伝えると、最初に出た言葉は「フランス版“スポットライト”」だ」とオゾン監督は語る。本作について「リヨンで起きた実話から、本作は着想を得ている。きっかけは偶然だった。男性のもろさを描く作品を描きたいと思っていて、題材を探す中でロビー団体のサイトを見つけた。多くの証言の中にアレクサンドル(本作の主人公)のものもあった。カトリック教徒の彼は幼少期に自分に性的虐待し、未だ活動を続ける神父を告発したという。連絡をとって彼に会うと大量の資料を見せてくれた。すぐに事件に引き込まれたよ」と、当時を振り返る。

現実の出来事に最大限に忠実であろうとしたオゾン監督は、「リアリティを重視して、語り手が変わっていく構成になっている。まずアレクサンドルが沈黙を破り、教会に訴える。フランソワが引き継ぎ、記者会見を開きメディアに訴える。そして3人目が法的手段に訴える。3人の話が次から次へと切り替わることで、連鎖反応が起こり、ドミノ効果が生まれる」と、人々が連携していく姿を描きたかったと監督の意図を明らかにしました。
 
最後に、「これは世界に議論を促す映画だ。映画には政治的側面があり、世間を変えられずとも、関心を高める力がある。本作はコミュニティや人々の葛藤を描いているので、政治的にならざるを得ない。しかし私は宣伝映画を作ったわけではない。本作を作った目的は問題提起だ。ある質問で終わることで人々に考えてもらい、物事を変える議論をしてもらいたい。小児異性愛や性的虐待にある沈黙の掟を変えてもらいたい」と本作への強い想いを語り、締めくくりました。
 
フランスでは連日テレビやラジオで報道され、誰もが知る「プレナ神父事件」を基にした本作は、公開されるやいなや91万人を動員する大ヒットを記録した。事件のあらましだけではなく、その内部に観客を導き、心揺さぶるヒューマンドラマとして魂を吹き込む。最後に映し出された男たちの瞳の中にある、オゾンからの鋭い問いかけと深いメッセージを是非劇場で確かめてほしい。
 

【STORY】

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妻と子供たちと共にリヨンに住むアレクサンドルは、幼少期に自分を性的虐待したプレナ神父が、いまだ子供たちに聖書を教えていることを知り、家族を守るため過去の出来事の告発を決意する。最初は関りを拒んでいたフランソワ、長年一人で傷を抱えてきたエマニュエルら、同じく被害にあった男たちの輪が徐々に広がっていく。しかし、教会側はプレナの罪を認めつつも、責任は巧みにかわそうとする。アレクサンドルたちは、沈黙を破った代償──社会や家族との軋轢とも戦わなければならなかった。果たして、彼らが人生をかけた告発のゆくえは──?
 
 
・監督/脚本:フランソワ・オゾン 『しあわせの雨傘』『彼は秘密の女ともだち』『2重螺旋の恋人』
・出演:メルヴィル・プポー、ドゥニ・メノーシェ、スワン・アルロー、ジョジアーヌ・バラスコ、エレーヌ・ヴァンサン
・2019年/フランス/2時間17分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題: Grâce à Dieu / 日本語字幕:松浦美奈
・提供:キノフィルムズ 配給:キノフィルムズ/東京テアトル  G 
・©2018-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-MARS FILMS–France 2 CINÉMA–PLAYTIMEPRODUCTION-SCOPE          
・公式サイト:graceofgod-movie.com
 

7月17日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、なんばパークスシネマ、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸ほか 全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)
 
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本州から来た少女の目線で、ウチナーンチュの心を映し出す
『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』平良いずみ監督インタビュー
 
 沖縄のフリースクール、珊瑚舎スコーレに通っていた石川県出身の坂本菜の花さん。学校に通いながら北陸中日新聞で「菜の花の沖縄日記」を連載していた菜の花さんの言葉の力、そして相手に対する思いやりと、自分が感じた驚きや疑問の奥にあるものに向き合う勇気が、観る者を惹きつける。そんな若い菜の花さんの目線で、沖縄の過去、現在を映し出す、沖縄テレビ放送開局60周年記念作品となるドキュメンタリー映画『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』が、7月24日(金)より京都シネマ、7月25日(土)より第七藝術劇場、今夏元町映画館他全国順次公開される。
 
 監督は、沖縄テレビ放送でキャスターを務めながら、ドキュメンタリー番組の制作にも力を注ぎ、高い評価を得ている平良いずみ。沖縄県内、県外問わず、特に若い世代がSNSやネット記事の断片的な情報を鵜呑みにしてしまう今、沖縄に横たわる様々な問題、そこに住む人たちの暮らしが脅かされているということを、どうすれば抵抗なく観てもらえるかに心を砕いだという本作は、津嘉山正種さんの柔らかい語りと、菜の花さんの言葉で、沖縄の人たちの葛藤や生きる力を優しく紡ぐ一方、辺野古新基地反対運動の最前線、高江に足を運んでの取材、そして菜の花さんが初めて故・翁長知事と出会ったという5万人以上が参加した県民大会など、米軍基地が集中することによる被害に対する沖縄の人たちの闘いも刻み込んでいる。
本作の平良いずみ監督に、お話を伺った。
 

 
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■人間的に澄み切っていて、本当に素晴らしかった主人公、菜の花さん。

――――沖縄の情景を映し出しながら、上間綾乃さんによる、うちなーぐちバージョンの「悲しくてやりきれない」で始まり、エンディングは南アフリカで白人支配への抵抗歌として歌われた賛美歌「コシ シケレリ アフリカ」を菜の花さんたちが合唱して終わります。鎮魂歌のような2曲に包まれ、優しく心に染み入る作品になっています。
平良:本当に肩の力を抜いて、観ていただきたいという思いがありました。三上智恵監督作品(『戦場ぬ止み』他)のように、私も普段は、沖縄の人たちの基地反対への思いを直球で描いていたのですが、私のドキュメンタリーの恩師から「そろそろ変化球も覚えた方がいい」とアドバイスされたのです。だから今回は、入りは柔らかくし、その中で沖縄に横たわる問題を観ていただけるように構成しました。
 
――――本作のナビゲーターとなる坂本菜の花さんの存在感と彼女が紡ぎ出す言葉に心洗われますね。
平良:菜の花さんは人間的に澄み切っていて、本当に素晴らしかったです。また菜の花さんが通うフリースクール、珊瑚舎スコーレの星野人史校長は「人は文章を書く生き物だ」とおっしゃっておられ、自分の言葉をいかに持つかということに重点を置いた教育をされています。それもあり、菜の花さんの言葉が、直球でズシリと響くんです。
 
――――石川県出身の菜の花さんが沖縄の珊瑚舎スコーレに入学したきっかけは?
平良:菜の花さんの実家である旅館には文化人の方がよく集まり、交流があったそうなのですが、石川テレビのディレクターから珊瑚舎スコーレのことを押してもらったのがきっかけだったそうです。そのディレクターとは、菜の花さんの父親が地元の珠洲市で原発反対運動を先頭に立って30年間続けてきた関係で知り合ったそうで(結局原発計画は消滅)、菜の花さん自身も嫌なことを嫌と主張することで成功体験を得ることができることを知っているし、分断される悲しみも小さい頃から知っているのです。実際に、原発反対運動をしているがためにお客様が減ってしまった商店へ、菜の花ちゃんが遠路はるばる足を運んでいる姿を偶然目撃したテレビ局の方もいらっしゃいました。
 
 
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■「被害者意識はもうたくさん」という観る側の気持ちも受け止めなければいけない。

――――この作品を作るにあたっては、様々なジレンマがあったそうですね。
平良:沖縄のメディアに身を置いていると、無力感にさえなまれない時はないですね。伝えようと思っても、なかなか伝わらない。でも2017年12月、普天間第二小学校で体育の授業をしている時に、運動場に米軍ヘリコプターの窓が落ちたのです。一人の親として、こんな事件が起きても尚、アメリカや米軍に対して黙っているこの国は、おかしくないかという怒りがこみ上げました。保護者にインタビューをしても、怒り、不安、悲しみが押し寄せるばかりで、お互いにただただ泣いてしまって、取材にならないんです。ただ、私の仕事は伝えることですから、そこで諦めては、もし重大な犠牲が出てしまったら悔やんでも悔やみきれない。一方、「被害者意識はもうたくさん」「もうお腹いっぱいなんだよね」という観る側の気持ちも受け止めなければいけない。そういう意味で、今回菜の花さんという逸材に出会えたのは、大きな突破口になりました。
 
 

■対岸の火事ではく、住民の意思表示が簡単に踏みにじられてしまう今の国のあり方を感じてほしい。

――――テレビ版を映画化したことで、より伝えたかったことや、その狙いを教えてください。
平良:沖縄で放送したテレビ版はありがたいことに大きな反響をいただきました。年に一度、FNSドキュメンタリー大賞という系列局のドキュメンタリーを全国放送する枠があり、本作のテレビ版も深夜に全国放送されたのですが、なかなか気づいていただけない。地方のドキュメンタリストたちが届けたくても届けられない中、系列の東海テレビが映画化の道を開いてくださったので、絶対に映画化したいと思っていました。今回映画版に入っている菜の花さんの卒業後の沖縄というのは、本当に激動の時期でした。翁長知事が急逝され、県民が意思を示して、若い青年がハンガーストライキまでしてようやく県民投票が実現し、全県民がそれぞれの立場で心を砕きながら、懸命に自身の一票を投じたのです。でも翌日すぐに辺野古の埋め立てが再開してしまった。本当にこの国の民主主義は大丈夫だろうか。沖縄のことだけだろうという対岸の火事ではなく、みなさんが住んでいる所でも住民投票で意思を示したのに、それが簡単に踏みにじられてしまう今の国のあり方を感じていただきたいと思っています。
 
――――県民大会では翁長知事の掛け声とともに、県民が一丸となっている姿が映し出されますが、生前最後の県民大会は、まさに命がけで魂の言葉を遺しておられました。
平良:翁長知事は元々、辺野古推進派だったので、メディアとしては本当にこの人が辺野古反対を貫くのかという視点を持つことも必要でした。でも、亡くなる直前に参列した慰霊の日では、ご自身が余命いくばくもないことを知りながら、献花台に自らの足で花を手向け、自分が県民の代弁をするという使命感を貫かれた。あの命をかけた姿はフィルムに刻まなければという思いもありました。
 
 
 
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■「ちむぐりさ」という言葉に込められたウチナーンチュの思い。

――――タイトルになっている「ちむぐりさ」という言葉は、沖縄の人にとってどんな言葉なのでしょうか?
平良:今まで20年ぐらい、いろいろな所で取材をしているのですが、「ちむぐりさんさね」という言葉を度々聞いています。先ほどの、米軍機の窓が落下した普天間小学校取材で、お母さん方も「普天間基地は明日にでもなくなってほしいけれど、それが辺野古に移ることに関して、絶対に許せない。自分たちと同じ気持ちを、辺野古の人がするなんて、それはちむぐりさんさね」と。どうしてこんな小さな沖縄の中で、基地をたらい回しにしなくてはならないのかという思いも、この言葉には込められています。
 
――――沖縄の人たちを分断させるという国の思惑が、まさにここにありますね。
平良:映画化するにあたり、沖縄の若い人や県外の若い人たちに、沖縄が今に至る経緯をちゃんと伝えたいという思いもありました。インターネットで辺野古のゲート前に座り込んでいる人たちを見た人が、すごく嫌悪感を抱かせるような言葉をSNSに投稿したり、テレビ版を県外の大学で上映してもらった時、「なぜ国がやるということに対し、沖縄はずっと反対をしているのか」「ゲート前に座っている人たちに対し、地元ではすごく嫌悪感を抱いているのではないか」という質問が寄せられたのです。私たちの暮らしが脅かされているから悔しい思いをし、そこに座り込んでいるのだという、そこに座る人たちの怒りや、座る行為の向こう側を見せる努力を今までしてこなかったことを反省しました。切り取った映像だけで状況を判断している人たちに対し、私たちができることは何なのかを考えて、今回は作っています。
 
 
 
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■夜間中学に通う高齢者のみなさんの証言から、今に続く沖縄の問題を感じて。

――――珊瑚舎スコーレでは菜の花さんのような若い生徒と共に、若い頃戦争で学ぶことができなかった高齢者のみなさんが共に学び、劇や行事も一緒に取り組んでいる姿が、とても印象的で、沖縄の歴史がここからも垣間見えました。
平良:実はこの作品を撮るきっかけになったのは、3年前に撮った夜間中学に通う高齢者のみなさんを主人公にしたドキュメンタリーなんです。取材していたみなさんがご卒業されるのと同時に入学してきたのが菜の花さんで、彼女が書いた新聞が貼られているのを見て、目から鱗が落ちました。
 
戦後70年企画として作っていたので、最初はこちらも戦争で傷ついた方達だと思い、肩に力が入っていたのですが、実際にお会いすると、みなさんが底抜けに明るくて、「お姉さん、おいで」とか「分数分からないから、おばあに教えなさい」と声をかけてもらい、毎日楽しく取材に行っていたのです。そこから実際に若い頃のお話を聞きはじめると、学校に通っていなかったことが、これだけ人生に暗い影を落とすのかと痛感しました。字が読めないから、商売相手から騙されても泣き寝入りするしかなかったり、役所に補償金の手続きに行っても、字が書けないことで傷つけられることも多く、結局は手続きできずに帰ってきたりもしたそうです。若い人たちに、それが今も続いている問題だと少しは感じてもらえたらという気持ちで作りましたね。
 
――――菜の花さんには、観客の私たちも教えられること、目を見開かされることがたくさんありましたが、作り手の平良監督にとっては勇気付けられる存在だったのかもしれませんね。
平良:本当に勇気付けられています。今年の慰霊の日の前日も、嘉手納基地で火災が発生し、塩素ガスが発生したにも関わらずアメリカ軍はすぐに地元に通報もしないという事故が起き、日々無力感を突きつけられ、きちんと伝えられているのかと自問自答しました。そんな時に菜の花さんの言葉や、彼女が引用したガンジーの言葉を思い出し、自分を変えられないために、頑張らなくてはと思っています。今まで人に魅せられて作品を作ってきましたし、被写体に惚れ込みすぎる長所を生かして頑張りなさいと恩師も背中を押してくれたので、これからも人間賛歌を作っていきたいですね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』
(2020年 日本 123分)
監督:平良いずみ 
語り:津嘉山正種
出演:坂本菜の花他 
7月24日(金)〜京都シネマ、7月25日(土)~第七藝術劇場、今夏元町映画館他全国順次公開
※第七藝術劇場、7/25(土)14:45の回 上映後、平良いずみ監督、山里孫存さん(本作プロデューサー)によるリモート舞台挨拶あり
公式サイト → http://chimugurisa.net/

ichidomo-550.jpg『一度も撃ってません』阪本順治監督インタビュー

(2020年3月30日(月)@ホテル阪急インターナショナルにて)


 

~唯一無二の俳優たちの“本気のやりとり”が味わい深い~

 

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映画ファンも俳優も「こんな映画を観たい」というより、「こんな映画に出たい」と思うのではないか。阪本順治監督の新作『一度も撃ってません』はベテラン俳優・石橋蓮司主演の“殺し屋”映画だが、中身はくせもの俳優たちの“本気のやりとり“ が味わい深い。先ごろ、来阪キャンペーンにやってきた阪本監督に思いのほどを聞いてみた。


〇映画の企画はいつから?

5年ぐらい前、(脚本の)丸山昇一さんと打ち合わせして“芳雄さん”の映画を作ろうとなった。伝説の俳優・原田芳雄さんゆかりの俳優仲間、(桃井)かおりや(岸部)一徳、(大楠)道代がたちどころに集まり、配役が決まって「(石橋)蓮司さん、やってよ」となった。


ichidomo-500-2.jpgつまり“原田芳雄愛”が結集した記念の阪本順治監督作品。当然、気合の入りようが違う。阪本監督は原田芳雄さんとはデビュー作「どついたるねん」(1989年)から原田芳雄さんの遺作になった「大鹿村騒動記」(2011年)まで。阪本監督にとっては最初からおしまいまで面倒みてもらった俳優だった。いかにも役者らしい役者でちょっとアウトロー的な役どころが多い。この映画でたちどころに主要メンバーが集まったように抜群の抱擁力があった。


〇「芳雄号に集まった蓮司祭り」

数年前の年末、(脚本の丸山昇一さんと原田芳雄さんの家で打ち合わせをした。すぐさま話がまとまって、それからクランクインして2週間で撮り上げた」という。阪本監督は「ハマらないパズルずくめをどうするか、という難問だった」という。芸達者な面々だからこそ出来た離れ業だろう。


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(撮影現場での石橋蓮司(左)と阪本順治監督)

「(石橋)蓮司さんは“俺が主演で大丈夫か?”と不安そうで、辛そうな時もあったけど、原田芳雄さんとやってる30年前と同じ感じだったな」。

“伝説の殺し屋”映画は大人のファンタジー、嘘話の主人公・市川進(74歳)の正体は「理想のハードボイルドを極めるただの小説家」だった、というから、人を食ってる。殺し屋が主人公なのに「一度も撃ってません」とは!? 「嘘ごと」をオーバーにやろう、と賑々しく騒いでみせた、ゆとりの作品。中高年向けだけど、全世代に分かる映画ではない。芳雄さんの遊び心を引き継いだ一人遊び、映画の仮想空間、そこを突き詰めて行こう、と監督・阪本順治の新たな方向性まで悟った画期的な映画になったようだ。「次はあっと驚くSF」を構想しているとか。嘘話はよりスケールアップしていきそうだ。  


(安永 五郎)



【STORY】
ichidomo-pos.jpg市川進(石橋蓮司)はオン年74歳。タバコにトレンチコート、黒い帽子が決まる“伝説のヒットマン”。旧友のヤメ検エリート(岸部)や元ミュージカルの歌姫(桃井)と夜な夜な酒を酌み交わし、ヒットマンらしく行動する。ある時、殺しの依頼が来て引き受けるが、彼の正体はハードボイルドを極めるただの小説家だった。なんと!妻・弥生(大楠道代)の年金で暮らし。担当編集者からもいつまでも完成しない小説に愛想を尽かされている。


だが、市川は本物のヒットマンの今西に仕事を頼み、その暗殺の模様を細密に取材しては小説にしているのだった…。そんな市川についにツケが回ってきた。妻には浮気を疑われ、敵のヒットマンに命を狙われることに。伝説のヒットマンは大ピンチをどう切り抜けるのか?
 



2020年 日本 1時間40分
監督:阪本順治  脚本:丸山昇一
■出演:石橋蓮司 大楠道代 岸部一徳 桃井かおり佐藤浩市 豊川悦司 江口洋介 妻夫木聡 新崎人生 井上真央 柄本明 寛 一 郎 前田亜季 渋川清彦 小野武彦 柄本佑 濱田マリ 堀部圭亮 原田麻由
公式サイト⇒ http://eiga-ichidomo.com/
配給:キノフィルムズ
©2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ

★安永五郎の作品紹介はこちら

 

2020年7月3日(金)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ(なんば、二条、西宮OS)、神戸国際松竹他  全国ロードショー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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上の写真、左から、
①川崎 僚 (KAWASAKI Ryo)(33)     『あなたみたいに、なりたくない。』 
②島田欣征(SHIMADA Yoshiyuki)(33) 『Le Cerveau - セルヴォ -』
③山中瑶子(YAMANAKA Yoko)(22)     『魚座どうし』


日本映画の次世代を担う新たな才能3人の監督作品とコメント紹介

 
《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》とは? 
次世代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的とした《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》は、文化庁からNPO法人 映像産業振興機構(略称:VIPO)が委託を受けて2006年からスタート。今回も、学校や映画祭や映像関連団体などから推薦された中から3人の監督が厳選され、最終課題である35ミリフィルムでの短編映画(約30分)に挑戦した。日本映画の次世代を担う新たな才能3人の監督に作品に込めた意図や作風についてお話を伺った。
 


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■監督:川崎 僚(KAWASAKI Ryo)
■作品:『あなたみたいに、なりたくない。』
■作家推薦:シナリオ・センター 
■制作プロダクション:ダブ 
■出演:阿部純子、小島 聖、鳥谷宏之、吉倉あおい、藤田真澄
(2020年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2020 VIPO)


【あらすじ】
ndjc2019-「あなたみたいに、なりたくない。」-sub3.jpg30歳までに結婚しようと結婚相談所に入会したOLの鈴木恵(28)は、職場の小山先輩(42)のように、「婚期を逃した孤独な女性」にはなりたくないと思っていた。だが、何人かとお見合いするも適合する相手には巡り合えず。ようやく優しく誠実そうな相手に出会えたかと思ったのだが、先々まで決めてしまう相手の積極性に臆して連絡を絶ってしまう。少しトラブルになりかけたところを小山先輩に助けられ、初めて彼女の自宅に招かれる。そこで小山先輩の意外な一面を知り、結婚について相談していく内に、自分自身について考え始める。

 
【感想】
川崎僚監督はプロット作成やシナリオライターの経験者だけあって、安定感のある構成や心を掴むセリフに、特徴を捉えたキャラクター描写に優れ、完成度の高い作品に仕上げている。タイトルの「あなたのように、なりたくない。」をキーワードにして、エッジの効いたユーモアを生み出して爽快。久しぶりにスクリーンで見た小島聖の包容力のある自然体の演技が、作品により説得力を持たせていた。誰もが共感し勇気付けられるような作風で、川崎監督の他の作品も観たくなった。
 

【インタビュー】
ndjc2019-kawasaki-1-1.jpg川崎僚監督は、自身が28歳の時に結婚相談所やアプリなどを利用して婚活していた経験を基に脚本を書いたそうだ。「いま頑張らないと!女性は20代でないと選ばれないから!と言われ焦っていたが、中々相手を選べなかった」。そして「自分はどう生きたいのか?と自分自身を見つめ直し、性別や世間の常識から解放されたい」という想いを作品に込めたという。

また、こだわった点は「足元のカット。この作品は“現代のシンデレラ”。理想の相手と巡り合うまでは慣れないヒールを履いて見栄を張っていたが、最後はラフな格好でスニーカーを履いている。様々なシーンで主人公の気持ちを足元で表現したかった」。

演出については、「ガラス細工のような阿部純子さんには、一緒に主人公を演じるような気持ちでずっと寄り添っていた。小島聖さんは、私が思っている以上の心情をセリフに込めてくれた。表現したいことを“どう伝えるか”が難しかった」。好きな映画は伊丹十三監督の『マルサの女』。「知らない世界を教えてくれるのが映画だと思っている。複雑な人間同士が意外な展開や結末を迎えるのが面白い。外連味のあるものも好き」。周囲の意見も尊重しつつ、自分の世界観を創れる監督になりそうだ。
 
【プロフィール】
1986年大分県生まれ。
早稲田大学第二文学部卒業。シナリオライターとして映画・ドラマの企画開発に携わる傍ら、ニューシネマワークショップにて映画製作を学ぶ。その後「笑女クラブ」「彼女のひまわり」等の短編映画を製作し、数々の国内映画祭に参加。2018年に初長編映画「wasted eggs」を監督し、タリン・ブラックナイツ映画祭に正式招待、イタリアのレッジョ・エミリア アジア映画祭でも上映された。
 


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■監督:島田欣征(SHIMADA Yoshiyuki)
■作品:『Le Cerveau - セルヴォ -』
■作家推薦:デジタルハリウッド大学
■制作プロダクション:東映京都撮影所
■出演:田中沙依、藤崎絢己、南 岐佐、八田浩司、上瀧昇一郎
(2020年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2020 VIPO)
 
【あらすじ】

ndjc2019-「セルヴォ」-sub1.jpgシングルマザーの前川早弥の息子・蒼太はネオン症という奇病にかかっていた。蒼太を救うための生体移植に早弥自身の身体が適合することが分かって喜んでいた矢先、交通事故に遭う。目覚めると、見知らぬ研究所のような部屋に拘束された上に、奇妙な子供博士とボディガードが立っていた。早弥は蒼太の手術のことが心配になり脱走して病院に向かうが、自分が全くの別人に入れ替わっていることに気付き、さらに蒼太の傍には早弥そっくりの女が居てパニックになる。蒼太の病気はどうなるのか?別人になってしまった早弥は蒼太を取り戻すことができるのか?

【感想】
最愛の息子を救うため、母の強い想いが最後に選択するものとは?――島田欣征監督の専門であるデジタル技術を活かしたSFサスペンスは、突如別人になってしまった恐怖と焦りと息子を想う母の強い愛を描くことによって、人間とロボットとの相違点を浮き彫りにする。さらに、「子供のためなら他者を犠牲にしてまでも」という母親のダークな面の表現に挑戦し、人間性の本質に迫ろうとする意図が伺える。緊迫感を出すためか、全体的にぎこちない感じがした。できれば作品の中で生きるキャラクターの情景(演技や背景)に少し柔軟性を持たせてもよかったのではと思った。

【インタビュー】
ndjc2019-shimada-1.jpg「『マトリックス』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『E.T.』も好きだけど、いろんなジャンルの映画が好き。SFやビジュアルや機械ものとかでサスペンスを作りたい。観終わって、“踊らされたな”という感じで観客を巻き込めるようなもの」。テーマに関しては「暗めのものが好きなので、モヤモヤを抱えた生き方や他者を犠牲にせざるを得ないキャラクターがいてもいいのではと思っている。自己犠牲が美徳という捉え方とは対照的な嫌な気分にさせるダーク路線も表現していきたい」。

撮影中苦心した点については、「未経験のことばかりで、しかも設定は空想でしかないので、そこにリアリティを持たせるのに苦労した。機械なのに人間らしい、アンドロイド系はドライという考え方ではなく人間らしく描きたかった」。作風について「技術は日々進歩するので最重要という訳ではない。時代の先を行く描写で、子供心をくすぐるような誰が見ても面白いストーリー性のあるものを作っていきたい」。人間のダークな面にも注視するユニークさといい、子供の頃に感じたわくわくドキドキ感を忘れない感性は貴重だ。

【プロフィール】
1986年 東京都生まれ。
大学時代に実写の撮影、編集、3DCGを専攻。イギリス留学中にファインアート、写真、VFX、グラフィックを学ぶ。CG制作会社、デザイン会社を数社経て2013年に独立。監督として広告映像やMVを企画・演出、CGデザイナーとしても映画やCMの制作に携わる。また一方で、CGを教える大学の非常勤講師も務める。初監督作品の短編映画『宵の棒鱈』(2016) が海外や国内の映画祭に選出・招待上映。
 


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■監督:山中瑶子(YAMANAKA Yoko)
■作品:『魚座どうし』
■作家推薦:PFF
■制作プロダクション:オフィス・シロウズ
■出演:根本真陽、外川 燎、山田キヌヲ、伊東沙保、カトウシンスケ
(2020年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2020 VIPO)ふたりが出会う、わかってしまう。
 
【あらすじ】
ndjc2019-「魚座どうし」-sub2.jpgみどりと風太は、川を隔てた別々の町の小学校に通う4年生。なんの接点もないふたりだが、あえて言えばふたりとも大人の事情に振り回されて、子供らしく生きられないでいること。みどりの家庭は、外国へ行ったきりで帰って来ない父親のせいで笑顔が絶えてしまった母親と二人暮らし。みどりが熱を出しても、嫌々病院へ連れて行って「あなたのために生きてるんじゃないから」と吐き捨てる冷たい母親。一方、風太は、新興宗教の布教活動に余念のない柔和な表情の母親と、反抗期の姉との3人暮らし。母の活動を手伝う風太は時々怖い目に遭うこともある。そんな風太の唯一の慰めは優しい理髪店の主人だったが……。みどりの学校では異様にテンションの高い担任が何やら事件の犯人捜しを始めて……。
 
【感想】
大人になると忘れてしまうことがあれば妙に記憶に残っていることもある。子供の頃、大人の心無い言動に傷つき、それがトラウマになることもある。二人の小4の子供を通して、大人の子供への無関心や勝手な振舞いによって子供が孤独になったり抑圧されたりして、子供らしく生きられないことを映像で訴えようとする意欲作である。ただ、子供の自然な表情を捉えようとする意図は理解できるが、映像が暗くてその表情が分かりにくい。昨年公開の『存在のない子供たち』(レバノン)のように強い意志で大人に訴える訳ではなく、振り回されている状況を描くだけでは感情移入しにくいように思った
 

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【インタビュー】
山中瑶子監督は、「子供の時の学校と家の中の世界が全てだった頃、人間関係が日々変わってしまう小学校って結構残酷だなと思っていた。親や先生たち大人を1人の人間と気付き始めたのが小4か小5の頃で、その時の大人の見え方を作品に盛り込んだ」。学校のシーンでは、「子供たちの自然な表情から物語りたかったので、子供たちはコントロールしてはいけない存在だと思っていた。エキストラの扱いはかなり大変で、拘束時間も午後4時まで。スタッフともどうする?どうする?と言いながら、一番最後の学級会のシーンは10分しかない状態で1テイクで撮った。子供たちの“何が起こったの?”という感じの表情が撮れたのは良かった」。

また、山中監督は、「人間の複雑さを描いた、音がなくても観られる映画が好き」だそうで、ドラマと映画の違いについても常に考えていて、「人間性を重視しているのか?何を求めているのか?内容にこだわった、“画で見せる”作品を撮りたい」。山名監督の22歳という若い感性と吸収力で、さらなる成長が期待される
 
【プロフィール】
1997年長野県生まれ。
日本大学芸術学部中退。独学で制作した初監督作品『あみこ』がPFFアワード2017に入選。翌年のベルリン国際映画祭に史上最年少で招待され、香港、NYをはじめ10カ国以上で上映される。監督作に、オムニバス映画『21世紀の女の子』(2019)の『回転てん子とどりーむ母ちゃん』。
 


《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》

このプロジェクトからは、『湯を沸かすほどの熱い愛』で数々の賞に輝いた中野量太監督や、『トイレのピエタ』の松永大司監督、『ちょき』の金井純一監督、『話す犬を、放す』の熊谷まどか監督、さらに『嘘を愛する女』の中江和仁監督や、『パパはわるものチャンピオン』の藤村享平監督、『花は咲く』『ANIMAを撃て!』などオリジナル脚本で活躍中の堀江貴大監督、そして今年も活躍が期待される『おいしい家族』のふくだももこ監督などを輩出している。
 


ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2019「合評上映会」のお知らせ
<大阪> 
期間▶3月13日(金)~19日(木) 連日18:30~ 
場所▶シネ・リーブル梅田
舞台挨拶▶3月14日(土):映画パーソナリティの津田なおみさんと、ndjc2019監督3人とのトークセッション
公式サイト▶ http://www.vipo-ndjc.jp/
 

(河田 真喜子)

 
 
 
 
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どう生きたいかは「何を見たいか、そこから何を選ぶのか」
『Red』三島有紀子監督インタビュー
 
 直木賞作家・島本理生の人気長編小説を三島有紀子監督(『幼な子われらに生まれ』)が映画化した『Red』が、2月21日(金)より梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、T・ジョイ京都他全国ロードショーされる。
 何不自由ない結婚生活を送っているように見える子持ちの専業主婦・村主塔子。かつて愛した男・鞍田と再会し、少しずつ本当の自分に気づいていき…。
 塔子を演じるのは、若手実力派女優の夏帆。自分の中に積み重なる違和感や、孤独感を余すことなく表現する。ある覚悟を持ち、塔子を全身で愛そうとする鞍田を妻夫木聡が演じる他、また塔子に興味を持つ同僚・小鷹を柄本佑、エリートサラリーマンの夫・真を間宮祥太朗が演じている。籠の中の鳥が飛び立つように、社会とのつながりを経て、人生には他の選択肢があることを実感した塔子。映画オリジナルのラストをどう受け取るのかも含め、小説とは違う世界観を味わえる大人のラブストーリーだ。
 本作の三島有紀子監督にお話を伺った。
 

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■現代的なヒロイン、塔子が、自分の中にきちんと尺度を持ち、自分の人生を生きる話になれば、価値のある映画になるのではないか。

――――原作とは設定や構成を大胆に変え、映画らしい表現が光る三島版『Red』になっていますが、三島監督が最初、原作を読んで抱いた感想は?
三島:『Red』の主人公・塔子は専業主婦で、幸せに生きていると思っている。だけど、自分の希望ややりたいことを少しずつ抑え込んで生きている事に気がついていない。自分のやりたいことを考える前に、皆が喜ぶことや気に入ることをやってしまい、世間の多くの人がいいと思うものをいいと思うようになっている。それを私は「尺度が外にある」と言うのですが、そういう日々を重ねると、だんだん自分が本当はどう生きたかったのかを忘れ、自分を見失ってしまう。今はそういう人が多い時代になっていると普段から怖いなと思っていたので、『Red』の主人公・塔子が非常に現代的に感じましたし、100年以上前に書かれたヘンリック・イプセンの戯曲「人形の家」のノラみたいだと感じたのです。大体、いつも原作を読むときは、自分がこの原作の何に反応するのかを面白がりながら読むのですが、そんな塔子が自分の中にきちんとした尺度を持てるようになり、自分の人生を生きることができるようになるという物語にすれば、きっと今を生きる皆さんに観ていただける、価値のある映画になるのではないかと思いました。自分の中に尺度があると、きちんと対話が生まれると思いますしね
 
 
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■覚悟を持って生きる人の傍らにいると、自分にも問いかけざるをえない。

――――かつて愛し合っていた鞍田との再会が、ある意味自分の尺度を取り戻すきっかけになりますね。
三島:興味深かったのは鞍田には秘密があり、それゆえ、自分の人生で何が大事か、非常に明確に見えている訳です。そういう人が10年前に深く愛した塔子と再会し、ぶつかり、「君は何を愛し、どう生きたいか」と問いかけてくる。言葉ではなく、そういう覚悟を持って生きている人が傍にいると、自分にも問いかけざるをえないですよね。そういう化学反応にとても惹かれます。
物語の後半、出張で大雪のため帰れなくなってしまった塔子を鞍田が車で迎えに来るくだりがありますが、それを読んだ時、これだ、と。非常に映像的だし、大雪という舞台が男と女を描くのに説得力があり、この雪の中の一夜を描きたいと思ったのです。夜から朝を迎えるまでを主軸として描きながら、二人が再会してから何があったのかという過去を入れ込む形にしたいという構想が、読み終わってすぐに思い浮かびました。
 
 
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■鞍田のテーマ曲・ジェフ・バックリィの「Hallelujah」が蘇らせる二人の思い出

――――一番描きたいと思われた雪の中の一夜、二人が乗る車の中で流れるジェフ・バックリィの「Hallelujah」が、雪とこだまするような余韻があり、非常に印象的でした。選曲の理由は?
三島:「Hallelujah」という曲の存在は、いつも自分に寄り添ってくれるものの一つでした。歌い方もある種エロスを感じつつ、哲学者的な深遠で美しい声で、いつも問いかけてくるものがある。そんな曲なのです。鞍田も塔子にとっては生き方を問いかけてくる存在でもあるし、鞍田のテーマとして使いたいと思っていました。一方で、鞍田のキャラクターを考えた時、建築家という職業で、古い型のボルボに乗っている…、そしたらおそらくジェフ・バックリィの「Hallelujah」が好きな人だろう。そして10年前、塔子と車の中で一緒に聴いていただろうと想像したのです。歌は歴史を一瞬にして感じさせるもので、二人が「Hallelujah」を車で聞いた時、一瞬にして10年前の思い出が蘇ってくる。そして、今どんな気持ちで二人は聴くのかを撮りたいと思ったのです。
 
――――「Hallelujah」にある種のエロスも感じるように、塔子と鞍田の情愛をどう表現するかもこの作品の大きな見どころです。
三島:最初二人が交わる時は、「鞍田が塔子を」慈しみ、塔子の存在を感じながら抱くわけです。塔子の心と体がだんだん開いていく過程を見せていくため、彼女が少し声を出せるようになる過程や、心の扉を開いていく表情の変化をつぶさに捉えていくことを心がけました。上り詰める顔ではなく、達した後にどういう顔をするかで塔子がどれだけ満たされているのか分かる。少しずつ撮るのではなく、キスして脱ぎ始めてから達した後、夏帆さん演じる塔子が観音様のような神々しい顔になるまでをワンテイクで一連の流れとして撮っていきました。そして、ラストのラブシーンは、塔子が全細胞を使って鞍田のすべてを記憶するように、「塔子が鞍田を」抱くシーンにしたいと考えました。
 

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■二人の気持ちを体感するような、体内に届く音作り。

――――吐息や二人が触れ合う音など、繊細な音が2人の体温までも感じさせるようでしたが、音作りについて教えてください。
三島:今回は2人の気持ちを体感してもらいたかったので、音を付けるときに、2人が感じている音を付けてほしいと依頼しました。2人がどんな音を聞いているのか。相手の心臓の音や、実際には鳴っていないけれど、その人には聞こえているような音など。波の音にもぜひ注目していただきたいですし、映画館でなければ体感できないような、体内に届くような声になっています。おそらく、塔子や鞍田が隣にいるような気分になれるのではないでしょうか。
 
――――塔子の夫・真は精神的に母親に依存気味のエリートサラリーマンですが、日頃はトンがった役の多かった間宮祥太朗さんの新たな一面が見えました。
三島:バラエティー番組での間宮さんを見て、単語の選び方が非常に上品だと感じていました。悪びれた野性的な役をやりたいお気持ちが大きいかもしれませんが、今回はクレバーで品のある間宮祥太朗を出してほしいとお願いしました。
 
――――一方、柄本佑さんが演じる鞍田の同僚・小鷹の身のこなしや細かい気遣いが、抜群に魅力的でした。何かアドバイスしたことはありましたか?
三島:佑さんはそもそも達観した自由さを持っているので、彼が演じれば間違いないと思って、小鷹役をお願いしました。ただ一つだけ、佑さんが「小鷹は塔子のことが好きで、でも最終的にはフラれるということでいいですよね」と聞いてきたのです。小鷹は塔子を好きだけれど、鞍田のことも尊敬していて、好きなのです。つまり塔子も鞍田も、うまくやれない不器用さや孤独さを持っており、そんな二人のことを憎めない。むしろ2人のことを一番理解していて、愛しているのが小鷹だという話をしましたね。
 

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■難しい塔子役を演じた夏帆さんを、万全の態勢で受け止める。

――――夫である真、鞍田、そして小鷹と3人の男の前で、それぞれ別の表情を見せる塔子に、女の多面性を見た思いがしました。塔子を演じた夏帆さんの目の表情が、どれも印象的でしたが、難しい表現も必要だったこの役について、どのような演出をしたのですか?
三島:みなさん、お芝居が上手な俳優ですから、環境さえきちんと整っていれば、芝居が自然と生まれると信じています。こんな空間にこういう小道具を用意しておけばこんな芝居が引き出せるとか、灰皿を向こうに用意しておけば、ここから周って行くだろう等、制作部と空間を選び、美術部と一緒にお芝居できる環境をまず整えます。そこで感じ取っていただいて、自然とお芝居になるというのが、理想ですね。
 
今回は塔子が住む豪邸で、本当は大きな窓があったのを、美術部と相談して窓を塞ぎました。そうすると、塔子はそこに立っていると自然と息苦しい気分になっていくので、自宅でのシーンはそこから演出していきました。また雪の夜、鞍田が主張先の塔子を迎えに行くシーンで、塔子が信じられないという表情で鞍田の頬を触るのですが、彼女に指示を出すのではなく、妻夫木さんに「亡霊のように立っていてほしい」とお願いしました。そうすると自然と夏帆さんが、本当にここにいるのかと思い、自然と手が出る。そういうことの積み重ねで、夏帆さんがそれらに反応していけば、自然と相手によって表情も変わり、見えている側面が変わっていったと思います。そこを目指して皆で頑張っていました。
 
――――監督の演出を受けた相手役の俳優の動きにその場で反応しながら、夏帆さんは塔子としてそこにいるような自然な演技になったのですね。
三島:それぞれの相手役に対してとても自然に反応してくれたのがよかったなと思います。ただ子持ちの専業主婦という役は夏帆さんも初めてだったので、相当悩み、もがいていました。でも主役は自分の殻を破り、新しいものを掴むために、もがく方がいいと思っているんです。理屈で分かることだけやっていても、新しいことは生まれませんから。我々キャスト・スタッフ全員で夏帆さんを受け止めるつもりでいたので、頭でわからないことでも思い切ってやってみてくれと伝えました。
 
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■どう生きたいかは「何を見たいか、そこから何を選ぶのか」

――――最後に、二人が作った家の模型の窓から見える風景や、鞍田の車のフロントガラスから見える風景など、フレーム越しの風景が象徴的に使われています。その狙いを教えてください。
三島:建築家の方と話していると、家を建てる時には、ご家族が何を見て過ごしたいかを聞くそうです。それによって、窓の方向や場所が決まるのだとか。その話に感銘を受け、鞍田を建築士に設定しました。どう生きたいかは、何を見たいか、そしてそこから何を選ぶかではないかと思うのです。『Red』は、窓越しに二人が何を見たかったのかを辿っていく映画とも言えますね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『Red』
(2020年 日本 123分)
監督:三島有紀子
原作:島本理生「Red」中央公論新社
出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗、片岡礼子、酒向芳、山本郁子、浅野和之、余貴美子ほか
2月21日(金)より梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、T・ジョイ京都他全国ロードショー
公式サイト → https://redmovie.jp/
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「一歩踏み出したから成長できる、それが人生」
『37セカンズ』HIKARI監督、佳山明、大東駿介インタビュー
 
 脳性麻痺で体が不自由な女性、ユマが、母の束縛や親友に依存される環境から抜け出し、新しい可能性に向かって歩み出す姿を描き、第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門にて日本人初の観客賞と国際アートシネマ連盟賞パノラマ部門をW受賞した感動のヒューマンドラマ『37セカンズ』が、2月7日(金)より大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショーされる。
 
 

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  母(神野三鈴)の束縛を振り切り、新しい世界へ踏み入れる中、介護士の俊哉(大東俊介)や舞(渡辺真紀子)と出会い、諦めの人生を、前向きな人生に変えていくユマ。一人の女性の成長物語として、ポジティブなメッセージがたくさん込められているヒューマンドラマだ。
本作のHIKARI監督、演技初体験で主演のユマを演じた佳山明さん、ユマの自立を助ける介護士、俊哉役の大東駿介さんにお話を伺った。
 

 
――――日本では女性自身の性や、障害者のリアルな生活や葛藤など、なかなかリアルに描かれない中、本作はその両方を取り入れ、とてもエネルギッシュに描いており、感動しました。この作品の企画のアイデアはどこから生まれたのですか?
HIKARI:熊篠慶彦さん(映画『パーフェクト・レボリューション』のモデル、原作者)から男性障害者の性についてお話を伺う機会があり、その時にふと、女性の障害者はどうなのかと思ったのです。当時今とは違う内容の、障害者の性に関する脚本を書いていたのですが、1年後、熊篠さんと訪問し、インタビューしたセックス・セラピストの方から「下半身不随の女性も、セックスで達することができるし、自然分娩もできる」と聞いたのです。他にも下半身不随で自然分娩をした方にインタビューし、本来ならおしっこもカテーテルを入れなければならないぐらいなのに、赤ちゃんが出てこようとする命の素晴らしさに感動しました。また以前から漫画家に興味を持っており、アダルトものは女性漫画家が多いそうなのです。しかも、性体験がない人も実際に書いておられ、人間の想像力や性と脳の働きなど、様々なことが入り混じり、この脚本に結実していきました。
 
 

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■「嘘はつきたくない」ぶれない思いが、スタッフ、キャストを一つに。(HIKARI監督)

――――ユマを描くリアリティについて教えてください。
HIKARI:映画は長い時間とお金をかけ、スタッフやキャストが一つになって作るわけですから、パッションがなければ作れない。今回、皆が一つになれたのは、嘘はつきたくないという思いに、全員が気持ちを一つにしてくれたからです。やはり障害者の人に主役を演じてもらうには、撮影日程を2週間延ばしてもらう必要がありましたが、最初からそこはブレませんでした。
 
――――佳山明さんの魅力とは?
HIKARI:初々しさ、ピュアさにすごく惹かれました。演技をするというより、目の前にあることを真っ直ぐに受け止め、それに対してリアクションをしてくれる。そういう姿勢がすごく良かったです。
 
 
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■障害者視点からくるセリフに感情移入(佳山)

 「一瞬一瞬に心を動かし、一瞬一瞬に詰め込む」明さんの演技や監督の演出が自分の糧に(大東)

――――ユマ役に共感した部分や、演じるのが難しかった部分はありますか?
佳山:ヒロインも障害当事者なので、障害者視点からくるセリフが色々あり、そこは感情移入できるなと思いました。色々なことが思い浮かびますが、ラブホテルのシーンだったり、やはり初めてのことなので、難しいことが多かったです。
 
大東:僕らは仕事として色々な作品を経験していますが、明ちゃんは初めての現場ですから。よく明ちゃんが演じるユマの生き生きした表情が良かったという声をいただくので、それを伝えると「私は用意スタート!からカット!まで、監督から言われたことを演じるのに必死で、カメラが回っていることを精一杯生きることに必死だったんです」と答えてくれました。その一瞬一瞬に答えていくというのが、明ちゃんの作品との向き合い方であり、この作品がすごく生命力豊かになったのも、その姿勢からきているのではないか。それは、今回僕が明ちゃんからすごく教わったことでもあります。
また、HIKARIさんの演出は、日本で生まれ育った自分の価値観をすごく広げてくれました。一瞬一瞬に心を動かし、一瞬一瞬に詰め込む。僕への演出だけでなく、明ちゃんに演出しているHIKARIさんも含めて、全てがメッセージとして自分の糧になったと思います。
 
――――なるほど。撮影現場の熱気が伝わってきました。
HIKARI:うれしいですね。大東さんは、舞台の経験もありますし、まじめで一緒に仕事をしていてすごく安心できます。あとは役者さん同士や、監督の私とのキャッチボールでした。映画自体を良くするために彼も私に意見を言ってくれるし、明ちゃんも「これはちょっと、違うと思います」と教えてくれました。とにかく、駿介さんと明ちゃんは、現場でも一緒に演技をすることが多かったですから、二人にこちらも教えられましたね。
 
大東:HIKARIさんは、誰に対しても分け隔てなく、ものすごく人間っぽい方です。コミュニケーション能力が高くて、親戚ぐらいの身近な距離感で接してくれるので、すぐ仲良くなれる。以前、トーク番組の司会をされている先輩に「人から何かを引き出す時には、まず自分からさらけ出すこと」と言われたことがありますが、HIKARIさんがまさにそうです。打ち解けた人と仕事をする時、親しいからこその妥協点を見出そうとしてしまいがちなのですが、HIKARIさんは仕事に対して、非常に厳しかったですね。
 
 
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■演出は彫刻のようなもの。大東さんはいかに削いでいくか、明さんは少し付け加えてユマを見出す。(HIKARI監督)

――――具体的に監督からどんな指摘を受けたのですか?
大東:「この瞬間のことだけでなく、あなたがこの先役者をやって行く上で、絶対に苦しむから、今のうちに絶対考えて、直した方がいい」と。言葉としてはストレートすぎて、すごくダメージを食らうのですが、結果的にはすごく薬になる。インフルエンザの予防接種みたいに、注射されると翌日は熱を出したりするけれど、免疫がついて強くなるみたいな効果がありました(笑)
 
HIKARI:基本的に自然体で演じてもらうスタンスです。日本に限らず、役者さんはすごく勉強をして撮影に臨んでくれますから、今回も大東さんの中にすでにあるものをいかに削いでいくかを考え、俊哉を作り出していきました。明ちゃんは、彼女自身がピュアな状態ですから、少し付け加えたり、変えることでユマを見出していきました。
 
――――役者としての大東さんに期待を込めたアドバイスだったのですね。
HIKARI:オーディションの1年ほど前に、園子温監督に誘われた会でご一緒したのが初対面でしたが、大東さん自身も非常にオープンな方ですし、お互い大阪出身ということで意気投合し、その時から心を許し、言いたいことが言える関係ができていました。ただ撮影現場で俊哉を作りあげながら、今まで苦労してやっとここまで来たのだから、もっと高いところに行ってほしいという気持ちがありましたね。
 
 
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■平気で人を傷つける暴力的な生き方を選んでしまうのは、心の障害。(大東)

――――脚本を読んでの感想は?
佳山:当事者の方にたくさんインタビューをして書かれた脚本なので、リアリティがありますし、私としてはそのリアリティにぐっと来ました。
 
大東:人間は知らない人に対しては暴力的になれるので、知るということは救いになりますし、知らないことは他人を傷つける可能性を孕んでいます。平気で人を傷つける暴力的な生き方を選んでしまうのは、心の障害に近づくのではないでしょうか。映画バージョンでは描かれていないのですが、俊哉は過去に家族を失い、その原因が自分にあったかもしれないとずっと自分を責めている男です。考えても仕方がないので、人のために生きる道を選ぶべく介護士になった訳ですが、それでも前に進めずにいる。未来を知ろうとしないので、心の障害のように前に進めなくなってしまうのは、今の日本のムードでもあるし、自分にも刺さる気がしました。
 
この映画に参加し、試写で作品を見たことで、知らないという自分を肯定でき、ものすごく外の世界に興味を持つようになりました。世界が興味に溢れたような気分です。僕はこの映画を色々な人に届けたいし、映画は娯楽ではあるけれど、時にものすごいサプリメントのような力があると感じています。
 
――――渡辺真起子さんが演じた、ユマが自立するのをバックアップする障害者専門のデリヘル嬢、舞はとてもカッコよかったです。
HIKARI:私自身、日本人でありながら、人生の半分以上はアメリカにいるのですが、日本はすごく素敵だと思うのです。古くからの文化があり、食べ物は美味しいし、綺麗し、平和だし、安全だし、素晴らしいと思う一方、どうしても「きちんとしなければ」と思う人たちもたくさんいます。舞さんのようなデリヘル嬢も、世間的には軽んじられるような存在ですが、私は他人のことなど構う必要はないと思うのです。日本では大概の人が、他人が気になって仕方がないし、メディアも書き立ててしまう。舞の常連客である障害者にとって彼女は女神のような存在ですから、舞をカッコよく描きたかったですし、他人をジャッジすること自体間違っていると伝えたかったのです。
 
――――障害者を題材にした映画は、自己犠牲的な展開に陥りがちですが、本作は非常にポジティブなメッセージが込められています。
HIKARI:小さい頃から大人の嫌な部分もたくさん見て、「絶対こんな大人にならない!」という体験もしてきましたし、一方母子家庭でしたが祖父母をはじめ多くの周りの人に育ててもらう体験もしました。また家族が経営する鉄工所で体が不自由な従業員の方達もたくさんいたので、私も普通に接していました。障害者だからという隔たりを感じることがなかったのです。今回は障害者というだけでなく、女性や性のことを色々な人に理解していただければという思いがあります。
 
 
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■一歩踏み出したから成長できる、それが人生。(HIKARI監督)

――――18歳で渡米してからの体験も、映画に反映されているのですか?
HIKARI:20代はとても苦労し、嫌な目にも遭いましたが、そんな中でもまずは自分を愛し、他人に優しくなることを心がけていると、周りはそのエネルギーを感じ取ります。社会的な問題が世界中に渦巻く中、どうすれば愛に満ちた幸せな世界になるかと考えた時、映画を見て、ふっとポジティブな、明日は頑張ろうと思える作品に出会えると、私は嬉しいと思うのです。人を通して環境を良くし、この世の中を良くしていけるポジティブな作品を届けたいですね。
 
あとは、人生は選択で、こちらの道を選んだがために失敗をすることもありますが、ピンチは100%チャンスだと思うし、それを取って上に登るかどうかは自分次第なのです。自ら一歩を踏み出したユマがいるからこそ、俊哉に出会い、舞に出会い、全然違う場所にいて、精神的にも大きく成長している。凝縮していますが、それが人生であり、描きたかったことなんです。
 

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■「私の幸せ」から「色々な人の幸せ」にどんどん波動を広げてほしい。(HIKARI監督)

――――本作に取り組んで、障害者に対する見方は変わりましたか?
大東:僕も障害者の人が周りにいる環境だったので昔は意識していなかったけれど、大人になり、どう接していいか分からないという感覚がありました。でもこの映画に参加し、自分も当事者だと感じます。90年代終わりからゼロ年代にかけて、今の社会は良くないとSNSも拍車をかけ、自己否定や社会否定に走っていきましたが、令和前後の今は面白い現象が起きています。流行っているYoutuberも究極の自己肯定ですし、「社会が黒と白で闘っているなら、私は黄色でいい」というような人が出てきて、次世代は自分を認めるムードがある、すごくいい時代になってきていると思います。皆、他人のことを否定することに疲れているんですよ。自分だけの考えで動く時代に、実はなってきているのではないかと、僕なりに捉えています。
 
HIKARI:ワガママでいいし、謙虚が美徳なのは問題です。実際に「私なんて」と言う女子が多いのですが、いつかきっと「私が!」と爆発する時がくる。それが怖いのです。言霊と言いますが、響き、波動、言葉はとても大事で、自分から発することが大事です。言いたいことを言い、やりたいことをやる。自分が幸せなら、周りを絶対幸せにできます。「私なんて」と言わず、私のことを一番に考えてもいいぐらいです。私の幸せから、色々な人の幸せに、どんどん波動を広げてほしいですね。
(江口由美)
 
 

<作品情報>

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『37セカンズ』
(2019年 日本 115分)
監督:HIKARI
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、
宇野祥平、芋生悠、渋川清彦、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり、板谷由夏 
2月7日(金)より大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト → http://37seconds.jp/

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