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侯孝賢(ホウ・シャオシェン)プロデュース、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ俊英・シャオ・ヤーチュエン監督による台湾・日本合作映画『オールド・フォックス 11歳の選択』が6月14日(金)より新宿武蔵野館ほかにて絶賛公開中です。この度、10代からの夢だったという台湾映画の出演を果たした門脇麦さんのインタビュー、コメントをご紹介いたします
 

台湾ニューシネマの旗手・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)が

次世代を託したシャオ・ヤーチュエン監督最新作!

台北金馬映画祭で4冠達成の感動のヒューマンドラマ、いよいよ本日公開!


oldfox-pos.jpgバブル期の到来を迎えた台湾。11歳のリャオジエ(バイ・ルンイン)は、父(リウ・グァンティン)と二人で台北郊外に暮らしている。自分たちの店と家を手に入れることを夢見る父子だったが、不動産価格が高騰。リャオジエは現実の厳しさと、世の不条理を知ることになる。そんなリャオジエに声をかけてきたのは、“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主のシャ(アキオ・チェン)だった。他人にやさしい父と違い、他人なんか見捨てろと言い捨てるシャ。果たしてリャオジエは、どちらの道を歩んでいくのか…。


1989年『悲情城市』でヴェネツィア国際映画祭グランプリを受賞。2015年『黒衣の刺客』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。小津安二郎への敬愛から『珈琲時光』を製作し、昨年10月には引退を発表した侯孝賢。そんな侯孝賢監督作品の助監督を務め、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ俊英・シャオ・ヤーチュエンが監督を務めた本作。これまでのシャオ・ヤーチュエン監督作全てのプロデュースを侯孝賢が務めており、本作が最後のプロデュース作となる。昨年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映され、人生の選択肢を知って成長していく少年と、彼を優しく見守る父の姿に心打たれる人が続出。2023年の第60回台北金馬映画祭で監督賞、最優秀助演男優賞(アキオ・チェン)、最優秀映画音楽賞、衣装デザイン賞の4冠を達成。先日発表された2024台北電影奨では、10部門でのノミネートを果たすなど、新たな台湾映画の傑作が誕生した。


oldfox-main-500-1.jpg主演のリャオジエには『Mr.Long ミスター・ロン』などで日本でも知られている日台のダブルで、台湾では神童と呼ばれる天才子役バイ・ルンイン。そして日本でもスマッシュヒットを記録した『1秒先の彼女』のリウ・グァンティンがW主演としてリャオジエの父親役に扮し、慎ましやかに支え合いながら生きる父子役を演じている。リャオジエに影響を与える“腹黒いキツネ”(オールド・フォックス)と呼ばれる地主のシャ役には、台湾の名脇役アキオ・チェン。シャの秘書役に『怪怪怪怪物!』のユージェニー・リウ。そして、門脇麦が経済的には恵まれているが空虚な日々を生きる人妻・ヤンジュンメイを演じ、初の台湾映画出演を果たした。
 



門脇麦インタビュー&クランクアップコメント、新場面写真も解禁

「幸せすぎて何度もぐっと来ました」

 

oldfox-sub-500-1.jpg10代の頃からの夢だったという台湾映画への出演という夢を叶えた門脇麦。この度、『オールド・フォックス 11歳の選択』でまさかの台湾人役で大抜擢された門脇麦のインタビューが到着した。オファーがあった時の気持ちを聞かれると、「もともとアジア映画が大好きなんです。特に台湾映画はどこか生々しさがあって、湿度や匂いが伝わってくるような感覚があるなと感じていました。そういう作品に参加したいと思っていたので、監督が「浅草キッド」(Netflix)をご覧になって、私を起用したいと言ってくださったと聞いて本当に嬉しかったですね」と喜びの声を上げた。


さらに、脚本を読んだ感想と台湾人役という異例のオファーについては、「人生に何を望むか」といった、哲学的なメッセージを感じました。私が演じさせていただいた役についても、極端な言い方をすれば、いなくても成立するお話だと思うのですが、そういう人物までもがきちんと描かれていて、物語の豊かさを感じられて好きだなと思いました。最初は「私が台湾人の役を?」とは思いました。言葉は2ヶ月くらいすごく練習しました。でも、撮影に対しての不安は全然なかったです」と本作への想いと、大抜擢への驚きを語った。


oldfox-sub-240-1.jpg門脇が演じたのは、主人公の心優しき父親タイライの初恋の相手ヤンジュンメイという本作に艶を与えてくれる役所なのだが、演じるにあたって気遣ったことを尋ねられると「私が演じたヤンさんは寂しい人です。彼女の孤独や悲しみを感じさせる瞳、そこをとにかく心掛けました。あと衣装とヘアメイクに助けられた部分が大きかったですね。当時の台湾の空気感は日本人の私には分かりようがありませんが、彼女の扮装をした時にどういう佇まいでどのような表情をすればいいのか、役に入り込めた気がします。」と台北金馬映画祭で衣装デザイン賞を受賞した、衣装の存在の大きさを教えてくれた。


憧れだった撮影現場の雰囲気に関しては、「現場はとても熱量が高くて、皆さんとても温かかったし、愛に溢れていました。そこで感じた空気はとても熱かったです。1シーンにかける時間が贅沢で、2シーンくらいを1日かけて撮影するんです。リハーサルの回数も日本より多かったです。でも日本と一番違うのはご飯で、いつも温かい食事が用意されていて、夜ご飯の休憩時間は2時間近くありました。私の撮影日数は短かったですが、私が求める物作りの全てが詰まった現場で、幸せすぎてグッと来ることが何度もありました。」と感激しきりだった。


同時にクランクアップコメントも解禁され、レストランのシーンでクランクアップを迎えたようでカメラに向かい英語で「帰りたくないです I don’t wanna go back.」と日本語と英語で寂しい思いを述べ、さらに「I want to stay here.(ここに残りたいです)4日間すごい短かったけど、昔からずっと台湾映画が大好きで憧れてきた世界観なので、自分がそこにいることがすごく不思議だったし、本当に幸せでした。また皆さんと仕事をできるように日本で台湾語をしっかり勉強して出直してこようと思います(笑)ご飯も美味しかったし楽しかった。本当に帰りたくないです」と憧れの台湾映画の撮影現場の満足感と次回の目標も含めたリベンジを笑顔で誓った。


oldfox-sub-500-2.jpgまた、門脇の出演シーンの新たな場面写真も解禁された。煌びやかなアクセサリーや装飾品を身につけ、いかにも裕福そうだがどこか寂しさを感じさせる空虚な表情でタバコを燻らすシーン、タクシーでどこかへ向かうシーン、そして初恋相手のタイライと共にタイライの働くレストランの前で横並びに並んでいるもの。最後は同じ傘に入り、タイライの顔に両手を這わせ見つめ合う二人。ヤンジュンメイの目元には傷が見られる。ただの客と店員のそれではない妖艶な空気が感じられるシーンだ。果たして二人の関係はどう転がっていくのか・・・?


また、主演の11歳の少年リャオジエを演じたバイ・ルンインの来日が急遽決定し、新宿武蔵野館にて6月15日(土)10:00の回上映終了後に舞台挨拶&パンフレットサイン会の実施が決定している。詳細は公式HPをご確認ください。

 


『オールド・フォックス 11歳の選択』

<STORY>

台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエ。コツコツと倹約しながら、いつか、自分たちの家と店を手に入れることを夢見ている。ある日、リャオジエは“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには他人なんか関係ないと言い放つシャ。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、父子の夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始める。図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは…!?

■出演:バイ・ルンイン リウ・グァンティン アキオ・チェン ユージェニー・リウ 門脇麦
■監督:シャオ・ヤーチュエン 
■プロデューサー:ホウ・シャオシェン、リン・イーシン、小坂史子

原題:老狐狸/英題:OLD FOX/2023年/台湾・日本/112分/シネマスコープ/カラー/デジタル/字幕翻訳:小坂史子
配給:東映ビデオ 
HP:https://oldfox11.com/ 
公式X:@OLDFOX0614
©2023 BIT PRODUCTION CO., LTD. ALL RIGHT RESERVED

映画『オールド・フォックス 11歳の選択』は新宿武蔵野館他全国にて絶賛公開中


(オフィシャル・レポートより)

『お終活 再春!』6.1-高畑さん-2.JPG
 
人生百年時代に人生を謳歌するための新しい「お終活」を提唱し、シニア世代に笑顔と勇気を与えた『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』(21)がパワーアップ!青春ならぬ「再春」をテーマに大原家の新たな家族模様を描く『お終活 再春!人生ラプソディ』が、5月31日より絶賛公開中だ。
前作から1年後を舞台に、ひょんなことから、若い頃に思い描いていた夢である「シャンソン歌手」への一歩を踏み出しはじめる主人公、大原千賀子を演じた高畑淳子さんに、今までのキャリアについて、また誰かと語りたくなる本作についてお話をうかがった。
 

 
――――前作の『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』はコロナ禍で公開され、舞台挨拶もできなかったそうですが、反響を呼び、続編では主演で再びスクリーンに戻ってこられました。まず今のお気持ちをお聞かせください。
高畑:主演とクレジットされていますが、本作は青春群像劇の逆の、中高年群像劇ですし、今回は藤原紀香さんも友情出演してくださいました。紀香さんは1作目を劇場でご覧になり、あまりに面白かったので、2回目はお父様を誘って一緒にご覧になったと教えていただきました。2作目でオファーがまさか来るとは思わず、すぐに出演を決めてくださったそうです。また、わたしは石橋蓮司さんの大ファンなので、最初にご一緒したときは感動しましたし、本当にいいお芝居をされるんですよ。営業畑で、ああいう仕事の仕方をされていたのがありありと想像できる真一の友人を演じておられます。本当に豪華なキャストの皆さんと一緒に演じさせていただきました。
 
 
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■何を演じても「よくなかった」劇団駆け出し時代と転機

――――高畑さんは、キャリア初期は舞台がメインだったのですか?
高畑:21歳で劇団青年座に入りましたが、力が強かったのでずっとスタッフだったんです。ロクロク(6尺×6尺)という畳2枚分の大きな平台があったのですが、当時は「ロクロクを持てる女優が入ってきたぞ」と重宝がられました。大ヒット映画『飢餓海峡』の原作者としても知られる水上勉さんの「ブンナよ、木からおりてこい」という輪廻転生の作品の舞台が大ヒットしたのですが、人間ではなくカエルやトンボの役だったんですよ。わたしが深窓の令嬢を演じても全然よくない。浮世絵のモデルになる女を演じようにも、水泳をやっていたので肩幅は張っているし、背が高いので和装のかつらをつけると、さらに背が高くなり、何をやってもよくなかったんです。
 
――――そんなご苦労があったとは。意外でした。
高畑:「顔立ちもそこそこ整っているのに、何か足りないのよね」と言われ、30歳で地元香川に帰ろうと思っていたときに二人芝居のイタリア女性役を演じたんです。それが前の年に、小川眞由美さんと橋爪功さんが演じ、大ヒット作「セームタイム・ネクストイヤー」でした。今は消防法により立ち見は禁止されていますが、当時は本多劇場で客席350席では足りず、300人の立ち見客が入ったこともあったんです。SNSがまだない時代ですが、評判が評判を呼び、お客さんが押し寄せた。そこでわたしも自分がイタリア系の雰囲気を持っているということに気づいたのです。わたしの母も見合い話を決めてくれていたのですが、「もう1年待ってみようか」と。わたしも本当に演じるのが楽しかったので、もう少しやらせてと言っているうちに、東京がバブルになって劇場が林立し、あちらこちらでプロデュース公演が上演されたので、外部出演で呼ばれ、1年で12〜13本ぐらい出演しました。そこでようやく俳優としてのキャリアが実質的にスタートしましたね。
 
――――演劇のキャリアを重ねていく中、テレビのご出演には少し時間がかかったと?
高畑:テレビでみなさんに認知していただくきっかけになったのは「仮面ライダーBLACK RX」(1988~1989)の諜報参謀・マリバロン役です。悪役で口から火を噴くんですよ。役者で生きていくのは難しいなと思いました(笑)。30歳を過ぎて、はじめて「3年B組金八先生」(第4シリーズ 1995)に呼んでいただいたのですが、その後「淳子さんは普段は面白いのに、演技になると生真面目になるね」と指摘されたことがあり、ちょうど「白い巨塔」(2003〜2004)に出演したころに、バラエティーに出演しはじめ、そこからテレビ出演も増えていきました。
 
 
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■大ヒット作「セームタイム・ネクストイヤー」で演じた女性の年齢ごとの生き様

――――どの役でも全力投球されていますが、役作りの源は?
高畑:30歳でこれが最後の演劇生活と思って挑んだ「セームタイム・ネクストイヤー」は、どんなことがあっても年に一度しか会わないふたりの6つの場面から構成される演劇です。23歳からはじまり、すでに家庭があるのにジョージに電話してしまう28歳、ジョージとの逢瀬の間に出産してしまう33歳…と、53歳までの6場面を演じたことで、演技のベースができたのかもしれません。男性はずっと公認会計士のままですが、女性は若い頃に出産したため学校に行けなかったのですが、ジョージに出会ったことで知識欲に芽生え、30歳ぐらいから大学に通い出し、その後会社を経営するまで成長していきます。まるで6人の女性を演じているような気持ちになる演劇で、こう変えたら少し違うキャラクターに見えるかなという演技のエッセンスを覚えたのかもしれません。
 
――――ひとりの人間だけど、年代ごとにまるでキャラクターが違うかのように演じたというのは、実際にわたしたちが無意識にやっていることなのかもしれませんね。
高畑:わたしは常日頃から五芒星のように役を演じていきたいと思っています。優しいお母さんを演じたら、次は結婚せずに仕事に打ち込んでいる検事官を演じるとか、今度はアル中のお母さんなど、そういう役の選び方をしたいと。そうでなければ、どうしても優しいお母さんの役ばかりになってしまうんですね。わたし自身も多重人格の部分があるので、自分の知らない面をいつも見ていたいという部分はあるかもしれません。
 
――――高畑さんの俳優としての突き抜けぶりが素晴らしく、そこに魅力を感じている女性ファンも多いと思います。
高畑:何かに近づきたいという気持ちがすごく強いですね。稽古場で、何かに近づくためにトライしたいことは、何も恥ずかしくないと思っているし、逆に中途半端に近づけないまま舞台に立つことが一番恥ずかしい気がします。
 
――――この作品は人生百年時代の生き方がテーマですが、心身健康でいつづけるために、どんなことに取り組まれていますか?
高畑:健康オタクだった母も90代の今、施設からしょっちゅう連絡が入る状態で、ああはなりたくはないと思う一方、誰もが通る道であると思うと、これからどうしようかと考えたりもします。実は映画を観た後におしゃべりをするというのは、ものすごくいいんですよ。しゃべるという行為がまず非常にいいし、自分の考え方と違う人がこんなにいるんだということを学習するのに最適だと思います。今の戦争もそうですが、自分と同じ考えの人だと思っていると悲劇が起きるわけで、他者を理解する上でも本当にオススメしたいです。
 
 
 
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■歌っていたシャンソンが役に繋がって

――――高畑さんはもともとシャンソンを歌っておられたそうですが、千賀子がシャンソン歌手を目指すという設定はそこから生まれた、いわゆるあて書きなのかと想像していました。
高畑:わたしがシャンソンを歌い始めたのは、宮本亜門さんの「Into the Woods」にパン屋の女房役で出演していたときに、シンデレラの王子様役で出演され、わたしとキスシーンもあった劇団四季の藤本隆宏さんがきっかけだったのかもしれません(笑)。それが楽しい思い出になり、藤本さんがパリ祭の司会をなさっていると知るや、「それなら出演します!」と手を挙げたんです。そのパリ祭は多分野の方が出演されるチャリティーコンサートだったので、歌が上手くなくてもいいと言われ、そこへの出演がシャンソンデビューになりました。翌年からは本当のパリ祭に出演し始めたのですが、もう緊張してしまって…。実際、プロの方も緊張されるような舞台なのですが、その中で戸川昌子さんの歌が一番好きでした。歌に芯があるんです。お芝居もそうかもしれないと、すごく学ぶことが多かったですね。
 香月監督は、わたしが出演したパリ祭に来てくださり、それなりにシャンソンを歌っている姿を見て、シャンソン歌手を目指しながらも志半ばで家庭に入ってしまったというプロットを考えられたのではと思いました。ですから、収録のときも、上手に歌うのではなく、そうではなかった人がもう一度お稽古をして、人前で歌えるところまで漕ぎ着けたという歌でいいんだとか、やってみたかったことが実現したという歓びを表現できればという気持ちで挑みました。
 
 

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■世の夫を体現した真一役の橋爪功

――――夫婦のコミュニケーション問題を実にリアルに演じておられるのが、夫、真一役の橋爪功さんです。もしあの真一が高畑さんの家に夫としていたらどう思われますか?
高畑:早いうちに教育しておけばよかったと思うでしょうね(笑)。橋爪さんはNGが出ても「いいんだよー、どうやってもいいんだよー」といなすのですが、前作の金婚式のラストシーンで、夫婦の若い頃の思い出ムービーが流れたとき、横でだだ泣きしているんですよ。本当に可愛らしくて、全てをかっさらっていく素晴らしい俳優です。世のご主人は大概あんな風ではないかと思いますので、ぜひ、ご主人を映画に引っ張ってきて、「あなたはこれよ!」と。ご夫婦でも観ていただきたいし、親子でも観ていただきたい。家に篭っているお友達がいたら、ちょっと出かけないと声かけをしたり、ぜひお誘い合わせの上、劇場にお越しください!
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『お終活 再春!人生ラプソディ』(2024年 日本 118分)
脚本・監督:香月秀之
出演 : 高畑淳子 剛力彩芽 松下由樹 水野勝 西村まさ彦 石橋蓮司  
藤吉久美子 増子倭文江 LiLiCo 窪塚俊介 勝俣州和 橋本マナミ
藤原紀香(友情出演) 大村崑 凰稀かなめ 長塚京三 橋爪功
2024年5月31日(金)より全国ロードショー
公式サイト→https://oshu-katsu.com/2/
©2024「お終活 再春!」製作委員会  
 
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 ノルウェーの青春音楽ロードムービー『ロスバンド』で知られるクリスティアン・ロー監督のスウェーデンを舞台にした最新作『リトル・エッラ』が、4月5日より新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺、シネマート心斎橋、アップリンク京都で公開中、4月20日より元町映画館、以降全国順次公開される。スウェーデンの街やファッション。フードのカラフルさだけでなく、個性豊かな登場人物が次々登場し、人種、ジェンダーの壁を軽やかに超えて、最後はそれぞれが、かけがえのない友情や愛情に気づく。ぜひ親子でご覧いただきたい、ハートウォーミングな作品だ。本作の公開を記念し、来日したクリスティアン・ロー監督にお話を伺った。
 
<ストーリー>
人と仲良くするのが苦手なエッラが、唯一仲良くできるのは、おじさんで“永遠の親友”であるトミーだけ。両親が休暇で出かけている間、トミーと過ごすのを楽しみにしていたエッラだったが、オランダからトミーの恋人スティーブがやってきて、夢の1週間は悪夢へと変わる。親友を取り戻したいエッラは転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦に出るのだが…
 

 

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■最高の児童映画があるスウェーデンで、子どもの映画を撮れたのは本当に光栄

―――まず、監督は今までどんな映画に影響を受けたのかを教えてください。
ロー監督:『ロスバンド』も『リトル・エッラ』もインスピレーションを受けたのは『リトル・ミス・サンシャイン』です。また『ロスバンド』は『セッション』にもインスピレーションを受けました。自分が小さい頃は『グーニーズ』やアストリッド・リンドグレーンの作品が大好きで、特に「長くつ下のピッピ」がお気に入りでした。『リトル・エッラ』ではおばあちゃん役のインゲル・ニルセンさんが、テレビシリーズに出演していたので、彼女に演じてもらうのは素晴らしいことでした。小さい頃から、スウェーデンの児童映画は最高のものだと思っていたので、自分がスウェーデンの子どもの映画を撮ることができたのは、本当に光栄だと思っています。
 日本の映画ではジブリ作品が大好きで『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』がお気に入りです。今回は妻子と来日していますが、三鷹の森ジブリ美術館にも行きました。
 
―――ロー監督はノルウェーのご出身ですが、今回隣国のスウェーデンで撮影され、新たな発見や文化の違いはありましたか?
ロー監督:実はノルウェーとスウェーデンはとても似ている国で、言語も非常に似ているのですが、わずかに違うのが、スウェーデンにはフィーカというコーヒーブレイクがあります。映画でもモンスターケーキを食べるシーンが出てきましたが、ああいうお菓子を食べながらコーヒーを飲むんです。昼休み以外にも、スウェーデンでは、みんなフィーカのお休みを取ろうとすることすることが多かった。わたしはノルウェーではとてもスピーディーに仕事をするタイプなのですが、スウェーデンではフィーカの休みに引きずられ、撮影もいつものようにテキパキとはいかなかったですね。
 
 
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■嫉妬という感情やおじさんとの友情を軸に、オリジナルの“いたずら”を加えて

―――本作は、スウェーデン出身の絵本作家ピア・リンデンバウムさんの『リトルズラタンと大好きなおじさん(未訳)』が原作ですが、一番心惹かれた点や、映画化するにあたり大事にした点を教えてください。
ロー監督:この絵本は素晴らしいと読む前から噂を耳にしていましたが、実際映画化の企画が立ち上がってから読んでみると、嫉妬という感情について描かれているのが素晴らしいと思いました。この感情は全ての人間が持つもので、そこを描くことにとてもやりがいを感じました。あとは絵本で描かれているおじさんとの友情についても素晴らしいと思いました。絵本のスタイルを大事にする一方、原作はたった30ページしかなかったので、映画化するにあたっては大幅に要素を付け加えることが必要でした。例えばカーチェイスのシーンを付け加えましたし、エッラと友達になりたがり、スティーブ追い出し作戦に協力してくれる転校生のオットーは新たに作り出したキャラクターです。そして、あとはユーモアが必要でした。映画化においては、エッラが繰り出すさまざまないたずらを付け加えています。
 
―――なるほど。エッラのいたずらは、ほとんど監督が考えたのですか?
ロー監督:原作ではスティーブの靴の上に塩を振るシーンはありましたが、付け加えたのはネズミとか、コーヒーに塩を入れるシーン。そしてスティーブの髪を刈り上げるシーンですね(笑)。
 
―――エッラのいたずらを受け止める大人たちの寛容さにも驚きました。日本では人に迷惑をかけないように、大人がすぐ叱ることが多いのですが、ノルウェーやスウェーデンでは子どもに対してどのように接しているのですか?
ロー監督:映画の中のトミーは非常に我慢強いですよね(笑)。わたしたちの文化は叱りつけるというよりは、もう少し穏やかに子どもと話をするという文化かもしれません。ただ、トミーほど(いたずらをされ続けても)寛容でいられるかは難しいですね。
 
 
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―――多様性が違和感なく伝わってきて、見終わってとても幸せな気持ちになれます。
ロー監督:わたしも『リトル・エッラ』の原作者であるピア・リンデンバウムさんが大好きで、トミーおじさんに男性の恋人がいることがごく自然に描かれていたので、映画の中でも活かしたいと思いました。
 
―――前作の『ロスバンド』でも、不器用な子どもを主人公にした作品を作られていますが、ご自身の作家性についてどのように捉えておられますか?
ロー監督:第一に若い観客を非常に大事にしているし、彼らが好きですね。若い観客が受ける映画体験は非常に強いものがありますから。わたしは少し疎外感を覚えている登場人物を描く傾向があります。わたしも小学校の時、自分の居場所はここにはないと感じていました。『ロスバンド』でも4人のキャラクターがそれぞれ、さまざまな葛藤を抱えていますが、一緒にバンドを組み、友達として乗り越えていくことを描きました。『リトル・エッラ』も友情について描いた作品だと思っています。
 
 
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■子どもたちがさまざまな芸術家と触れるノルウェーの教育事業「カルチャースクールリュックサック」

―――若い観客を大事にした映画づくりは本当に大切で、日本のミニシアター界でも若い観客を育てるのが喫急の課題であり、大事なのは学生時代に映画を見る体験だと思っています。スウェーデンでは児童映画の秀作も多いということで映画が教育の中に根ざしているのではと思ったのですが、ノルウェーでは映画を教育に取り入れたプロジェクトはあるのですか?
ロー監督:ノルウェーの小中学校では、(国からの予算で運営され、芸術家にも報酬が支払われる)カルチャースクールリュックサックという取り組みがあります。子どもたちがさまざまな分野の芸術家たちに出会える機会を作るというもので、『リトル・エッラ』もいろいろな街の映画館で上映し、地元の小中学生が観客として訪れ、監督とのQ&Aの時間や話し合いの時間を設けています。子どもたちにとってさまざまな芸術家に直接出会える体験は非常に大切だと思います。高校ではメディア学科があり、大学は僕の出身地、リレハンメルに国立の映画大学があります。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『リトル・エッラ』 “LILL-ZLATAN OCH MORBROR RARING”
(2022年 スウェーデン・ノルウェー 81分)
監督:クリスティアン・ロー  
出演:アグネス・コリアンデル、シーモン・J・ベリエル、ティボール・ルーカス 他
現在、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺、シネマート心斎橋、アップリンク京都で公開中、4月20日より元町映画館、以降全国順次公開
(C) 2022 Snowcloud Films AB & Filmbin AS
 

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ヒューゴー賞受賞SF小説「三体」原作者による同名短編小説を基に豪華キャストで映画化した『流転の地球 -太陽系脱出計画-』が、3月22日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開となります。

ウー・ジン、アンディ・ラウら中国豪華キャストが集結!


流転の地球0-sub1.jpg本国でシリーズ累計2千万部を超える超ベストセラーとなり、SF界のノーベル文学賞と呼ばれるヒューゴー賞をアジア人として初受賞した、今春Netflixドラマシリーズが配信されるSF小説「三体」。その原作者リウ・ツーシンによる同名短編小説を基に、中国映画界が誇る才能を結集して映像化。
 

圧倒的なスケール感、精緻な映像美と、練り込まれたストーリー

ハリウッドをも唸らせた、メガヒット中国SF超大作が日本上陸!


流転の地球0-sub2.jpg精緻な映像美で描かれる練り込まれたストーリーに、ドラマティックに描かれるさまざまな人間模様。さらに圧倒的なスケール感で繰り広げられるパニック描写など、3.2億元(約65億円)の製作費を費やし、ハリウッド大作も圧倒する究極のSFエンタテインメント超大作が誕生した。中国本土で初登場第一位に輝き、興収40億2900万元(約815億円)を突破し、歴代興行収入ベストテン入りを果たすメガヒットを記録! さらに、北米でも大ヒットとなり、世界興収は約6億米ドル。第96回アカデミー賞国際長編映画賞中国代表作品選出され、すでにシリーズ3作目の製作も決定するなど、社会現象となっている。
 


【グオ・ファン監督インタビュー】


――監督が続編ではなくエピソード0を描くことにした理由とは?

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前作『流転の地球』は中国初のブロックチェーンSF映画として2019年春節シーズンに公開された。続編を製作することになったグオ監督は、続編のプロットとして物語の続きを描くのではなく、「前日譚」を描くことを選択した。その理由に『流転の地球』では物語の世界観や背景、登場人物たちがどんな経験をしてきたのかを描写するエピソードが不十分であったこと、そして多くの観客がウー・ジン演じる主人公の宇宙飛行士リウ・ペイチアンの復活を望んでいたことを挙げている。


――ウー・ジンは前作の製作に全財産を投じた監督のため、ノーギャラで出演するだけでなく、自ら出資するなど、全力で映画を支援。

グオ監督は、そんなウー・ジンに対し、「『流転の地球 -太陽系脱出計画-』の製作は、前作でのウー・ジンの献身に対する製作陣の感謝の表れだ。ウー・ジンは撮影時、数えきれないほどの無私の支援を提供してくれた。だから私も彼を続編に登場させるべきだと思った。しかし『流転の地球』での結末から考え、リウ・ペイチャンを復活させることは明らかにナンセンスで、そうはしたくなかった。そこで物語の続きではなく、エピソード0を描くことにした」と語っている。


流転の地球0-sub3.jpg――『流転の地球 -太陽系脱出計画-』は、人類が過去の不和を乗り越えて地球連合政府を結成し、地球を太陽系から移動させる「移山計画」を実行していく過程を描いている。

宇宙での新天地を探して家族と共に別の恒星に向かって旅立つ『流浪の地球』のプロットとは異なり、本作では登場人物たちの内面への探求を主題としている。


現在『流転の地球』はNetflixにて放送されているが、前作を観ずとも前日譚『流転の地球 -太陽系脱出計画-』を観ても全く問題ないどころか、本作を観てから前作『流転の地球』を観たほうがより楽しめそうだ。
 


<STORY> 
そう遠くない未来に起こりえる太陽系消滅に備え、地球連合政府による1万基に及ぶロケットエンジンを使って、地球を太陽系から離脱させる巨大プロジェクト「移山計画」が始動!人類存亡の危機を目前に、各国の思惑や、内紛、争いが相次ぐ中、自らの危険を顧みず立ち向かった人々がいた。亡き妻への想いを胸に、宇宙へと旅立つ飛行士・リウ(ウー・ジン)。禁断のデジタル技術によって、事故死した娘を蘇らせようとする量子科学研究者・トゥー(アンディ・ラウ)。そして、大きな決断を迫られる連合政府の中国代表・ジョウ(リー・シュエチェン)。多くの犠牲を払いながら、地球と人類の存亡、そして希望を懸けた最終作戦が始まった!


監督:グオ・ファン(「流転の地球」) 製作総指揮・原作:リウ・ツーシン
出演:ウー・ジン、アンディ・ラウ、リー・シュエチェン、シャー・イー、ニン・リー、ワン・ジー、シュ・ヤンマンツー
2023年/中国/中国語・英語/173分/カラー/シネスコ/5.1ch/DCP/
原題:流浪地球2/英題:THE WANDERING EARTH Ⅱ/字幕翻訳:神部明世/字幕監修:大森望
配給:ツイン  
公式サイト:https://rutennochikyu.jp/
COPY RIGHT©2023 G!FILM STUDIO [BEIJING] CO., LTD AND CHINA FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

2024年3月22日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、大阪ステーションシティシネマほか全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

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 井上淳一(『福田村事件』製作・共同脚本)が脚本・監督を務める『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』が2024年3月15日(金)よりシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ、3月16日(土)より第七藝術劇場ほか全国ロードショーされる。
 
 『止められるか、俺たちを』(白石和彌監督)に続き、若松孝二監督を演じる井浦新をはじめ、シネマスコーレ初代支配人の木全純治を話題作への出演が続く東出昌大、映画監督への夢を断ち切れない大学生アルバイト、金本法子を芋生悠、シネマスコーレで若松監督と出会い、弟子入りを志願する井上淳一を杉田雷麟が熱演。80年代半ば、VHSの普及で映画館への客足が遠のき始めた時期に、特色のある編成と、それまで自主上映するしかなかったインディペント映画を育てる場として、新しい映画館(ミニシアター)を作り上げるまで、運営する木全と井上や金本らの青春物語がクロスする。
 来阪した井上淳一監督、出演の芋生悠さん、杉田雷麟さんにお話を伺った。
 

 
――――前作から10年後のシネマスコーレ誕生の舞台裏と、井上さんを含むそこに集う人たちの群像劇を撮ったいきさつは?
井上:『止められるか、俺たちを2』を作ろうなんて一度も思ったことがありませんでした。コロナ禍のシネマスコーレを追ったドキュメンタリー『シネマスコーレを解剖する。』のパンフレットに「スコーレを作る時の話だったら、止め俺2ができるんじゃないか。タイトルは『止められるか、木全を』で」と100%冗談で書いたら、スコーレ界隈から「面白いから本当に作ってほしい」と声が上がって、助成金(ARTS for the future! 2)を使って、1千万円ぐらいで撮れるんじゃないかと思い始めた。でも、木全さんの話だけじゃもたなくて、仕方なく自分のことを書くしかなかった。さすがに「取り返しのつかないことになるかも」と思ったけど、逆に構想何年でいつか自伝をやりたいみたいな感じじゃなかったのが良かったのかもしれません。
 
 
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■井浦さん、東出さんの厳しい目があったからこそ書けた脚本(井上)

――――なるほど、当初からの狙いではなかったんですね。
井上:最初は1千万で作れる規模のものを考えていて、第一稿はお金のかかりそうな撮影シーンとかを全部、木全さんと井上のインタビューの中で語るというふうにしていた。そしたらそれを読んだ東出さんから「(前作が)好きなので、それを超える熱量、かつ新しい地平にどうすれば辿り着くのか、想像の羽を大きく羽ばたかせながらこの台本に向き合い続けたいと思います」というメールが来た。ということは面白くないということじゃないですか。それでこれはヤバいと本気になった。
 
――――どんな改変を加えたのですか?
井上:まずインタビューで語らせていたところを全部シーンにしていった。もう製作費のことを考えるのはやめよう、こんなことを書いて撮れるかな?という自分の演出力を考えるのもやめよう、まずは面白いシナリオを書こうと。他には、例えば金本はお姉さんキャラで、一緒にスコーレでバイトするのは後輩だった。それが、スコーレの常連だった田中俊介さんが出たいと言ってくれたんだけど、役がなくて、その後輩を先輩にすることが思いついた。それで金本と一度ネている設定にして、金本より先に就職という問題に直面するようにした。それで、物語にも幅が出来たし、金本にも陰影が加わった。そうやってキャスティングで豊かになったところも多い。撮影の蔦井孝洋も「面白いホンだけど、傑作になるには何かが足りない」と言い続けてくれたし、東出さんもだけど、(井浦)新さんもいろいろ言ってくれたし。スタッフ、キャストの厳しい目がなければ、シナリオでここまで粘れなかったかもしれません。
 
――――ちなみに、井浦さんからはどんなご指摘があったのですか?
井上:やはり何かが足りないと言っていて、ある時、この時期の若松さんって、淋しかったんじゃないかと思ったんです。前作の登場人物たちはアラフォーになり、みんな売れて離れていった。盟友の足立正生さんは日本赤軍と合流してアラブに行ったまま。そこに子ども世代の僕が言ったわけですが、一緒に闘うという感じじゃなかったと思うんです。それでそのことを書いて、新さんにLINEしたんです。そしたら「それに気づいたのなら、脚本に書いて下さい。ただ僕は古いアルバムさえ用意してもらえたら、やることは分かっていますが」と返信が。しかし、そこは僕も脚本家としても意地がありますから、それで書いたのが、若松プロの事務所で井上が目覚めると若松さんが静かに電話しているシーンです。いいシーンになったと思っています。あと、新さんとクレジットの話になったことがあるんです。そしたら新さんが「この映画のトップは芋生さんだ」と。この映画の中で一番変わるのは金本なんです。そういう意味では主役は金本と言っても過言ではない。それを新さんは読み取っていた。さすがだなと思いました。
 
――――シナリオ段階での密なやりとりの結果は、作品を見れば分かりますね。
井上:東出さんもクランクイン直前まで、どう演じるべきか悩んでいたと思います。木全さんって、ドラマの基本である「対立と葛藤」がないんですよ。本人は「ないんじゃなくて、しないんだ」と言っていますが、とにかく悩みを見せないし、怒らない。だから芝居場を作れないんです。東出さんも撮影前に木全さんにはじめて会った時、「ガーッと怒ったりしないんですか」とか訊いていたけど、木全さんは「ないない」としか言わない。最初は木全さんが主役のつもりだったので、東出さんにも主役オファーだったんですよ。だから僕は降りられても文句は言えないなと思っていた。でも、たぶんシフトチェンジして、若い二人をサポートする触媒のような存在を見事に演じてくれた。東出さんはスゴいですよ。外見はあんなに違うのに、木全さんにしか見えないし。
 
 
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■井上さんの脚本に信頼を寄せ、オファーを快諾(杉田)

――――杉田雷麟さんは若松監督に弟子入りする頃の井上さんを演じていますが、いつ頃オファーされたのですか?
杉田:『福田村事件』の撮影前です。
 
井上:『福田村事件』のオーディションで500人近い俳優さんに会ったのですが、杉田さんが来た時に別の惑星から違う生き物が来たかと思うくらいオーラがあって、驚きました。これは僕だけでなく、みんな言っていた。僕は福田村のオーディションなのに「ラッキー、井上が来た!」と一人で喜んでた。雷麟くんは10代から売れているのに、何も余分なものが付いていない感じと、どこか今の自分に満足できていない感じがものすごく良くて、『福田村事件』で役が決まる前に、本作の出演をオファーしました。
 
――――監督本人役というのはプレッシャーがありましたか?
杉田:『福田村事件』のラストシーンで脚本の改訂を巡っていろいろな意見がありましたが、僕と井上さんは同じ意見だったし、こういう差し込み(脚本)を書く人なんだと信頼が厚くなりました。井上さんが書く脚本なら、僕はなんの心配も要らないと思ったし、演じるにあたり最初は緊張しましたが、あとは僕が演じてみなさんにどう思っていただけるかなと。それだけでしたね。
 
――――井上監督と同世代なので、80年代地方都市の高校生映画デートとその後のエピソードがリアルかつ面白かったです。
杉田:あのシーン、ダサくていいですよね(笑)。僕も演じた井上のようなダサい部分があるんですよ。相手の興味の有無など気にせず、自分の知識をひけらかしてしまうとか。演じていて恥ずかしくなって来たりして…。
 
井上:僕、ほとんど演出してないんですけど、あのシーンだけは「映画の知識をひけらかすところから、すでに口説きに入ってるからね」と言いました。そんなこと、上手くいくわけないのに、ずっと勘違いしてきた。もう自虐というか、カミングアウトというか、ごめんなさいという感じで。でも、自分のことだといいですよね。どれだけダサく書いても、誰にも怒られない(笑)。前作は遠慮してないと言いながら、どこかでやっぱり遠慮してましたから。
 
 
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■インディーズ映画に育ててもらったので金本役で恩返しがしたい(芋生)

――――なるほど(笑)。それでは、芋生悠さんのキャスティング理由は?
井上:『37セカンズ』から芋生さんのファンだったんです。あの映画、後半で脳性麻痺の主人公が対まで双子のお姉さんを探しに行くんですけど、それまでがあまりに良かったんで、変なお姉さんが出てきたら台無しじゃないかと不安だった。そしたら、出てきたのが芋生さんで。もうこれしかないっていうくらいピッタリで、3シーンだけなのに圧倒的な存在感だった。僕、誰だろうって、映画館出た途端に検索しましたからね。それ以来、芋生さんとはいつか仕事したいと思ってきたんです。
 
芋生:映画館や映画愛の話なので、これはやりたいと強く感じました。いままでインディーズ映画に育ててもらったので、金本役を演じることで映画に恩返しができるのではないか。そう思ったんです。今、自分で脚本・監督した短編映画も撮り終わったばかりですが、全部実費で挑んだので、気がついたらすごくお金がかかってびっくりしています。
 
井上:映画を作るときはしっかりしたプロデューサーがいないと、お金がいくらあっても足りない(笑)。芋生さんは、寂しげで何かが足りないというイメージの役が多いけれど、『37セカンズ』のようにきちんと自分の足で立って、強くて、そんな人がちゃんと最後に笑えるような話にしようというイメージがありました。
 
 
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■コロナ禍の批判に対するカウンターになるのではないか(井上)

――――芋生さんがおっしゃるようにミニシアターの日々の運営のこと、特に立ち上げ時の苦労が細かに描かれているのも胸アツな部分です。やりたいプログラムと動員力のあるプログラムの乖離とか、潰さないように運営する苦労もたっぷり描かれていますね。
井上:映画も同じで、この企画をやりたいけれどお客さんは来るのかとか、インディーズでもそこを外して考えられないし、逆にそれがあるからこそ鍛えられる部分も間違いなくある。コロナ禍で、「SAVE the CINEMA」や「ミニシアター押しかけトーク隊」(荒井晴彦、森達也、白石和彌、井上淳一の4人が全国の映画館を応援するため行ったオンライントーク)という活動をやったのですが、その時に「映画の作り手なら、ヒットする映画を作って、ちゃんと客を入れることがミニシアターへの最大の応援なんじゃないか」という声を聞きました。何もしない人に言われたくないし、それが出来たら苦労しないとは思ったけれど、その批判はある意味当たっている。ミニシアターはコロナで危機になったわけではなくて、その前から苦しかった。だから、ミニシアターの映画を作ることでもしミニシアターに貢献できたら、その批判に対するカウンターになるのではないかと思いました。なので、お客さんが来ないとホントにシャレにならないんですが(笑)。
 
――――確かに時代が変わっても変わらないものが写っている一方で、若松監督と井上さんとの師弟関係は、映画関連の学校で映画作りを学ぶことが主流な今ではなかなか得られない体験ですね。叱り飛ばされる事も度々ですが、師弟関係を疑似体験した気分です。
杉田:(若松監督に弟子入りするなら)僕は自分では根性がある方だと思うので、続くと思います。理不尽に怒られたら、逆に突っかかるタイプなので。元々サッカーや、ボクシングはプロになろうと思ってやっていたぐらいですし。
 
芋生:わたしも空手10年ぐらいやっていますが、それは根性ありますね。
 
井上:あの頃って、今よりもう少し人と人との距離が近かったというか、ガンガン人の絶対防衛ラインに踏み込んできたし、踏み込まれてきた。今はお互いに手探りというか、ちょっと慎重になり過ぎてる気がするんですよね。それで救われている人もいると思うから、単純に昔は良かったとは言いたくないけど、それでももう少し「幅」や「余白」みたいなものはあってもいいかなという気はするんですよ。それを若松さんとの関係で描きたかったというのはあるかな。
 
芋生:『青春ジャック〜』で井浦さん、東出さんや井上さんなど本当にいい先輩に出会えたし、スタッフのみなさんも本当に熱くて、繋がっている感じがして、すごく嬉しかったですよ。撮影から帰ってきても、「ああ、幸せだったな」と思うぐらい、本当に楽しかった。
 
 

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■競い合っていた方が相乗効果でよくなることを井浦さんは知っていた(芋生)

――――若松監督を演じた井浦さんの、魂が乗り移ったような演技も熱かったですし、名古屋でミニシアターという当時他がやっていないことに着手し、みんなで映画を作り上映して来た熱というものも伝わってきましたね。
芋生:井浦さんが撮影前に、私と杉田さんを呼んで「この二人にかかっているから」と。
 
杉田:僕も撮影前日に「この映画は、明日の芝居にかかっているから」と井浦さんに言われました。当日もずっと現場にいて、自分の出番は終わっているのに、写真を撮ったり、最後の屋上のシーンもいらっしゃいました。
 
井上:映画の中でも、僕の初監督作が若松さんにジャックされていくシーンがありますが、今回も若松さんに見守られている気分ですよ。若松さんじゃなくて、新さん演じる若松さんなんですけど。でも、僕、本番中に新さんが雷麟くんに「井上!」と怒鳴るシーンで「ハイッ!」って返事しちゃいましたからね(笑)。本番中なのにスタッフが笑うからなんだろうと思ったら、僕が返事していたという。『福田村事件』でもそうだったけど、新さんは座長として、本当に現場全体を見てくれている。あそこまでの人はなかなかいないんじゃないかな。本当に若松さんがいるみたいでした。
 
芋生:現場全体を見て、私と杉田さんはバチバチした関係の役だけれど、競い合っていた方が相乗効果でよくなることを、井浦さんは知っていたんでしょうね。最初はハッと思ったけれど、ありがたかったです。東出さんも面倒をよく見てくださいましたし、木全さんぶりが見事でした。
 

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■ミニシアターへの応援歌みたいな作品(杉田)

――――ミニシアター黎明期からインディペンデント映画を上映する場所として育っていく過程を紐解くという意味でも、意義のある作品ですね。
井上:この映画で若松プロの事務所として撮影したのは、名演小劇場の事務所なんですよ。その時はまさか名演が3ヶ月後に閉館するとは思ってもみなかった。昨年は名古屋シネマテークも閉館したし(ナゴヤキネマ・ノイとして2024年4月に再始動)、ミニシアターの危機は終わっていない。むしろ、これからだと思う。だからこそ、この映画に限らず、本当にミニシアターに映画を観に行って欲しい。
 
杉田:図々しいかもしれませんが、ミニシアターへの応援歌みたいな作品ですから。やはりミニシアターの空間が好きですし、スタッフが手書きで感想を書いたり一つ一つの作品に愛をもって、送り出してくれている気がします。
 
芋生:だからこそ(ヒットするように)私たちも頑張らなくてはと思います。
 
井上:ガザで虐殺が続いていますが、例えばそんな時にガザのドキュメンタリーや劇映画を上映できるのはミニシアターだけなんです。シネコンでは絶対にかからない。沖縄の映画も福島の映画もシネコンではかからない。そういう意味で大袈裟でなくミニシアターは「表現の自由の最前線」なんです。若松さんがそこまで考えて、シネマスコーレを作ったわけじゃないだろうけど、若松さんの蒔いた種が少しずつ開いてる気がするんですよ。だから、絶対になくしてはいけない。
 
――――そして芋生さんや杉田さんが演じた映画や映画館に魅せられた若者たちの青春映画としても末長く愛される作品なのではないかと思います。
井上:TikTokが日常に入りこんでいる今の若者たちの青春はたぶん書けないけれど、まさかこんな手があったかと自分でも驚いたんです。パンフレットに寄稿してくれた人たちがなぜかみんな自分の青春時代のことを書いているんですよ。誰もが最初から何者かであったわけではなく、何かになりたい、なろうとした時期があったはず。この映画は、誰にでもあるそういう柔らかい部分にふれる映画になっているみたいなんですよ。青春を描くというのはこういうことなんだなと自分でも驚いています。
 
杉田:ひたむきに若松監督を追いかける井上が羨ましく思いましたが、今の時代でも似たようなことはできるんじゃないかと思っています。
 
芋生:金本はずっとメラメラと燃え続けているけれど、ずっと空回りしていて、生きるために表現は絶対に必要な人だと思うのです。そういうもがく姿は共感する部分があり、青春しているなと感じました。私は今、女性の監督とご一緒することが多いんです。映画監督の吉田奈津美さんと仲がいいのですが、撮影時に川向こうでカメラマンと吉田さんが意見をぶつけ合っているのが聞こえてきて、本当にたくましい。ドラマの現場だと女性の方が多いぐらいだし、時代は変わってきています。金本みたいな人が頑張ってくれた結果が今に繋がっているのだとしたら、そのときに諦めないでくれて、ありがとうと言いたいですね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(2023年 日本 119分) 
脚本・監督:井上淳一
出演:井浦 新 東出昌大 芋生 悠 杉田雷麟 コムアイ 田中俊介 向里祐香 成田 浬 吉岡睦雄 大⻄信満 タモト清嵐 山崎⻯太郎 田中偉登 髙橋雄祐 碧木愛莉 笹岡ひなり
有森也実 田中要次 田口トモロヲ 門脇 ⻨ 田中麗奈 竹中直人
2024年3月15日(金)よりシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ、3月16日(土)より第七藝術劇場ほか全国ロードショー
©若松プロダクション
 

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ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシーら豪華キャストが集結したロマンティック&ヒューマン・コメディ『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』3月8日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国公開いたします。


本作は不器用な大人たちの“幸せ探し”を描いた感動作。6人の主人公による、最高の人生の見つけ方をユーモアと感動を交え綴るのは、『クイズ・ショウ』でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞作品賞にノミネートされ、ニューヨーク映画批評家協会賞を受賞したマイケル・ジェイコブス監督。ニューヨークタイムズから「観た後に愛する人たちと語り合いたくなる、楽しくて完璧な脚本」と評された。その脚本に惚れ込んだオスカー俳優のダイアン・キートンスーザン・サランドンウィリアム・H・メイシーリチャード・ギア、ジュリア・ロバーツの姪エマ・ロバーツルーク・ブレイシーら豪華俳優陣が奇跡の共演。ニューヨークを舞台に最高にお洒落でチャーミングな6人が、愛と人生のアンサンブルを奏でます。観る者を心地良い世界へといざなってくれる、極上の音楽にも大注目!!


ミシェル(ロバーツ)は交際中のアレン(ブレイシー)との結婚を望む一方、煮え切らないアレン。2人は親たちの経験から結婚生活について学ぼうと、両家顔合わせのディナーの席を設ける。だが驚いたことに、互いの両親はすでに顔なじみだった。なんとお互いの配偶者同士で不倫をしていたのだ!厳しい状況に追い込まれた親たちは、子供たちに自分たちの不倫を隠しながら、配偶者の愛人と正面対決を図る。だがある事をきっかけに6人の運命は予測不可能の展開に…。
 



「映画を見たあと観客が愛する人たちと語り合えるような作品になることを願っています」

マイケル・ジェイコブス監督オフィシャルインタビュー

 

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この映画は私が20歳の頃に書いた脚本がもとになっています。まだ人生経験が乏しい時に書いたんですが、それを60代になった自分の視点で書き直しました。脚本を書き上げるうえで分かったのは、“愛してる”という言葉は簡単に言えるのに、その言葉に責任を負うのはなんて難しいんだろうということです。


700話以上のテレビドラマ、ブロードウェイでの2人芝居、オフブロードウェイでの1人芝居、そして作品賞にノミネートされた映画の脚本を書いたあと、僕が人生で重きを置いていることを題材に脚本を書きたいと思いました。僕は38年間結婚生活を続けています。妻と共に人生を歩んでいく中で、どんな苦難を経験しても、別れようと思ったことは一度もありません。同時に、夫婦の絆が固く見えた友人夫婦が離婚していく様子もたくさん見てきました。夫が妻に失望し、妻が夫に「人生を台なしにされた」と愚痴をこぼす。間違った決断や破滅した人生の物語を聞いているうちに、「これはコメディ作品のテーマになる」と常々思っていました。そして、やっと脚本にできるほど十分な人生経験を積んだのです。


脚本はキャスティングする前に書き上げました。特定の俳優を想定して書いたつもりはなくて、このような幸運に恵まれるとは思ってもみませんでした。


aboutlife-500-1.jpg本作品の脚本の執筆中、登場人物たちや彼らが感じるフラストレーションについて理解が深まると、笑いが込み上げてくるようになりました。彼らが感じるフラストレーションは、人生の終わりが見え始めた年齢に近づいたことで、これからをどう生きるかという疑問から生じたものであるからです。結婚の価値や、なぜ我々がこんな失態をおかしてしまうのかを探るうえで、リアルなだけでなく普遍的に共感を覚えるようなシーンが次々と浮かんできました。登場人物たちが陥った状況に大笑いし、時に涙を流し、そして物語に入り込んだ瞬間が最も印象深いです。『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』には現実と創作のバランスをうまく取ったコメディになってほしい。恋愛と結婚を題材に、恋愛と結婚のどちらが勝つか期待しながら、映画を見たあと観客が愛する人たちと語り合えるような作品になることを願っています。


【作品情報】

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監督・脚本:マイケル・ジェイコブス
製作:ジョナサン・モンテパレ『ボーンズ アンド オール』
音楽:レスリー・バーバー『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
撮影:ティム・サーステッド『リトル・ミス・サンシャイン』
編集:エリカ・フリード「セヴェランス」
出演:ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシー
2023/英語/95分/原題:Maybe I Do/字幕翻訳:長夏実
配給:AMGエンタテインメント
© 2023. FIFTH SEASON, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:https://aboutlife-movie.jp

 

2024年3月8日(金)~新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA 、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinéma神戸国際 ほか全国順次ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

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1970年代後期、ソ連占領下のエストニアを舞台に兵役中に出会ったパイロット将校との愛と葛藤を描く『Firebird ファイアバード』が、2月9日よりなんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIXあまがさき、kino cinema 神戸国際ほか全国で絶賛公開中だ。エストニア初のLGBTQ映画であると同時に、本作のエストニアでの大ヒットが同国で同性婚法が成立する後押しになったという。本作が長編デビュー作となったペーテル・レバネ監督とセルゲイ役のトム・プライヤー、ロマン役のオレグ・ザゴロドニーが来阪し、2月10日(土)なんばパークスシネマでの舞台挨拶後に行ったインタビューをご紹介したい。


―――遠方から来日いただき、ありがとうございます。すでに1週間近く滞在されているとのことですが、日本の印象はいかがですか?

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レバネ監督:国も美しいし、文化もとても美しい。日本人の哲学なのかもしれませんが、ディテールにこだわっているのを非常に感じます。例えば、(シネルフレ 河田より)差し入れていただいたイチゴ大福!細かいところにも気を使っているところに感銘を受けています。


オレグ:日本のいろいろな人を見てきましたが、皆自分自身のことを気に留めていて、素晴らしいですね。あとは新鮮な魚。寿司が本当に美味しいです。


トム:特に日本語の響きが好きです。内容はよく理解していませんが、すごくソフトできれいな響きですね。あとは食べ物で、わたしはワサビとかスパイシーな食べ物が好きなので、何かお勧めがあれば教えてください(笑)


■戦争が終わり、平和が戻ったらキーウでも上映したい(レバネ監督)

―――2011年にレバネ監督が原作と出会い、今年日本でようやく公開されましたが、いまのお気持ちはいかがですか?またオレグさんが住んでいるウクライナ・キーウでの映画への反響についても教えてください。

レバネ監督:最初に、ウクライナではまだ公開されていません。というのもこの作品は2021年完成しましたが、翌年の2月にウクライナでの戦争が始まってしまったので、映画のキャンペーンや配信ができなかったのです。ですから、戦争が終わり、平和が戻ってきたら、キーウで上映したいと思っています。

昨日東京で舞台挨拶イベントがあったとき、ひとりの女性が上映後に感想を寄せてくれました。彼女も女性同士で恋愛をしており、周りにそのことを言うのは怖いと明かしてくれた。『Firebird ファイアバード』がもっと多くの場所で上映され、同性愛者に対する差別が取り除かれるようになることを祈っています。

 

―――『Firebird ファイアバード』はエストニアで最初のLGBTQを描いた作品と聞いていますが、社会的抑圧など今までは作れない理由があったのですか?

レバネ監督:本作を作るにあたり特に困難なことはなく、むしろ予算面も含め様々な支援を受けてきました。エストニアは人口1200万人の小さな国で、年間で作られる映画の本数もかなり少ないので、今回たまたま初めてのLGBTQ作品になったのではないかと思います。多分他の監督はLGBTQという題材に対し、それほど情熱を持っていなかったから作らなかったのでしょう。映画の感想もかなりポジティブなものが多く、人々に大きな影響を与えることができたと思っています。
 

■原作者セルゲイの生き様に触れたことが、脚色や役作りの決め手に(トム)

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―――舞台挨拶でオレグさんはオーディションでロマン役に選ばれたと話されていましたが、トムさんはどのような経緯で本作に参加し、共同脚色することになったのですか?

トム:わたしは当時ロサンゼルスで映画プロデューサー関連の仕事をしていたのですが、そこでの会議で知り合った方からレバネ監督のことを紹介され、2〜3週間後にロンドンで初めて監督とお会いしました。最初に資金集めのことを話し合い、それがうまくいったので原作の脚色をするためにふたりで2年ぐらいやりとりを重ねました。レバネ監督と共に原作者のセルゲイに会いにロシアを訪れ、彼の生き様に触れたことがその後の脚色や役作りの決め手になりました。


―――70年代、ソビエト連邦占領下のエストニアで愛し合う主人公たちを演じるにあたり、おふたりはどんな準備をされたのですか?

オレグ:リハーサルに3ヶ月、映画撮影に55日間(オレグさんは42日間)と撮影にかかった時間が非常に長かったので、その間ずっとトムと一緒にいたのは事実です。そこで軍隊の規律を学んだり、肉体的なトレーニングをはじめ、様々な準備や台本読みなども行いました。ふたりの関係性を築くにあたってのコミュニケーションについては私たちだけの秘密です。他のファンタスティックで深い愛を描く作品を演じる俳優にスキルを盗まれてしまいますから(笑)


レバネ監督:実際、オレグさんは最初、英語をあまり上手に話せなかったので、会話がないところからのスタートだったんですよ。


―――そんなふたりの距離がぐっと近づく舞台鑑賞のシーンではオリジナル振り付けの「ファイアバード」が登場しますが、登場シーンが少なく残念でした。

レバネ監督:ちょっとしたバレエ映画が作れるぐらい長時間撮影したのですが、編集でかなりカットすることを余儀なくされたんです。


―――本作はロマンの妻で、セルゲイの同僚だったルイーザ(ダイアナ・ボザルスカヤ)を含めた三角関係が、より物語を深く、そして苦悩にも満ちたものにしていますが、ルイーザ、しいては演じたダイアナさんについてどのように感じて演じていたのかを教えてください。

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オレグ:ダイアナさんは私と同じくオーディションでルイーザ役を射止めました、非常に優れた女性であり俳優であることは間違いないのですが、彼女はロシア人なので私よりも置かれている状況は深刻です。彼女の夫もロシアの有名俳優なのですが、残念ながらロシアは私たちの敵でもあるので、私の中で複雑な感情があることは事実です。

ロマンは愛を貫くために、そしてパイロットとしての自分の人生を守るためにルイーザを利用してしまった。そしてそんな自分自身に対して嘘をつくことが難しくなり、結局はセルゲイを苦しめることにもなるわけで、散々愛する人たちを傷つけてしまったのは間違いありません。彼が選んだのは空で、結局そこが自分の最期の場所になってしまったと思っています。


■この作品でウクライナでは見られなかった世界が開けた。国際的な映画にも積極的に参加したい(オレグ)

―――オレグさんは、この作品に出演され、俳優としてご自身が変わったことはありますか?また今後外国の作品に積極的に出たいと思われているのかお聞かせください。

オレグ:この作品に出演したことで、私の人生は非常に変わりました。ウクライナで活動するだけでは見ることができなかった世界が開けましたし、様々な機会をいただき、そして驚いたことに今私は大阪にいます!ベルリン、ニューヨーク、エストニアと広く上映されている国に行くことができました。将来的には国際的な映画にも積極的に参加していきたいです。多くの監督や演劇人は世界をターゲットにしていますので、そういう人たちと話し合いながら、今後の活動を進めていきたいと思っています。

 

―――トムさんは俳優だけでなく、脚本家やプロデューサーの顔もお持ちですが、今後どのような分野に興味を持っているのですか?

トム:私が今、興味を持っているのはリアリティーの本質です。日頃から物事を深く考えるタイプで、人生とは何かを考えるようにしています。人によって人生に起こることは様々ですし、一歩引いた目でこの先自分にどんなことか起こるのかを見ているところです。ですからプロデューサーや演劇など、いろいろと自分を取り巻くであろうものを受け止めようと思っています。


FIREBIRD-inta-2.10-500-1.【3S】レバネ監督→トム→オレグ.jpg(上の写真:3人とも逆三角形の素晴らしいスタイルなので日頃から鍛えているのかと質問すると、「いえ、親からもらった体のままです!」とオレグ)

―――最後に、この作品はLGBTQの枠を超えて、人間が持っている愛の表現の仕方や愛の意味についてしっかりと描かれており感動しました。レバネ監督は冒険家やイベントプロデューサーなど様々なキャリアを積まれていますが、映画は今回が初長編ということで、今後も映画を撮り続ける予定でしょうか?

レバネ監督:正直に話すと、この映画を撮り終えたときは、もう絶対に映画はやらないと思いました(笑)。映画を作るのはもちろん驚くべきことですが、同時に1日13時間働くこともあり、日頃寝る時間を大切にしている身としては非常に厳しかった。寝不足でも翌朝はまた撮影が始まり、大変だけど濃縮した時間でした。

一方で、ストーリーを作り、みなさんに届けることは、お金やキャリアなど関係なく、かなり楽しいプロセスだと思っています。そしてエキサイティングですよね。ラブストーリーの映画を作ることや、人々がどれだけそれに情熱を傾けることができるかを考えるのは楽しかった。やはり情熱なしに成し遂げることは難しいですから。今回の体験を経て、この12月から1月ぐらいには次回作の脚本を書こうかという気持ちになっています。
 


【 Introduction 】

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2011年ベルリン国際映画祭、監督のペーテル・レバネは見知らぬ男に声をかけられた。「この本を読んで貰えないか」本の表紙には、『ロマンについての物語』と書かれている。その週末、ペーテルは一気にこの本を読み終えた。そして、すぐに映画化を決めた。それほどに、無名の俳優セルゲイ・フェティソフが綴ったこの回想録は、ペーテルの心を深く衝き動かしたのだった。


ペーテルは2014年に、俳優のトム・プライヤー(『博士と彼女のセオリー』『キングスマン:シークレットサービス』)と知り合うと意気投合、彼らはセルゲイに多くの時間をかけてインタヴューを重ね、脚本の準備を始めた。セルゲイのことを知れば知るほど、二人はこの企画にのめり込んでいった。―― 彼の生き方は愛の力そのものであり、勇気と歓びと人生への驚きを喚び起こす―― こうして三人の共作による脚本は完成した。

ところがそんな矢先、ペーテルとトムの元に想像もしなかった報せが届く。
2017年、セルゲイ急逝。65歳の若さだった。
ペーテルとトムはもう後戻りできないことを理解していた。

4年後、『ファイアバード』は、ペーテル、トム、そしてセルゲイの想いを乗せて、漸く完成に漕ぎつけた。


【 Story 】

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1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属されてくる。セルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。ロマンも、セルゲイと目が合ったその瞬間から、体に閃光が走るのを感じていた。写真という共通の趣味を持つ二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエトでは同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。


【ファイアバード】
※火・熱・太陽の象徴である“火の鳥(ファイアバード)”には、永遠の命と大きな愛の力が宿っている。しかしその圧倒的な強さゆえ、触れると火傷をすることもある。


【作品情報】

(2021年 エストニア・イギリス 107分)
ペーテル・レバネ監督・脚色作品 共同脚色:トム・プライヤー / セルゲイ・フェティソフ
原作:セルゲイ・フェティソフ
出演:トム・プライヤー / オレグ・ザゴロドニー / ダイアナ・ポザルスカヤ
配給・宣伝:リアリーライクフィルムズ
関西地区宣伝:キノ・キネマ/Ngrowing
© FIREBIRD PRODUCTION LIMITED MMXXI. ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms

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2024年2月9日(金)~新宿ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際、MOVIXあまがさき 他にて絶賛公開中!


(取材:河田 真喜子、江口 由美 文:江口 由美   場所:なんばパークスシネマ)

 

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韓国年間最長No.1記録を樹立、2023年韓国国内映画賞で【25冠】と最多受賞を記録した、史実に残された最大の謎に迫る<全感覚麻痺>サスペンス・スリラー『梟ーフクロウー』が、2月9日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショーいたします。


朝鮮王朝時代の記録物<仁祖実録>(1645年)に残された‟怪奇の死“にまつわる歴史的な謎に、斬新なイマジネーションを加え誕生した『梟―フクロウ―』は、観客の無限の想像力を刺激し、2022年の韓国年間最長No.1記録を樹立。


韓国エンターテイメント界の最高峰を決める百想芸術大賞で作品賞・新人監督賞・男性最優秀演技賞の3冠を受賞。11月に開催された第59回大鐘賞映画祭でも新人監督賞、脚本賞、編集賞の3部門を受賞し、公開後も注目を集め続けている。
 

‟盲目の目撃者“が謎めいた死の真相を暴くために常闇を奔走する予測不可能な物語は、圧倒的な没入感と、緊張感をもたらし、息もできないほどの狂気が支配する118分は、観る者すべての五感を麻痺させる―。
 



【リュ・ジュンヨル & ユ・ヘジン オフィシャルインタビュー】

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これまでのコミカルな役のイメージを覆し、本作で初めて王の役を引き受けたユ・ヘジンは「自分自身のカラーを王の役を演じる際にどう溶け込ませればいいのかと大いに考えました」と明かし、朝鮮王朝第16代国王・仁祖の心理的な変化を表現するために「彼の心理状態と合った役を演じようと努力しました」と語り、特殊メイクを使わずに、顔の筋肉の僅かな痙攣を操るという超人的な演技を見せている。


対して、卓越した鍼の技術を持つ盲目の鍼医を演じたリュ・ジュンヨルは、「初めて盲目の人物を演じる中で、感情を表現することは、僕にとっての挑戦となりました」と心境を明かし、「目で演技をすることができないという大きな壁があったように思います。目が見えない演技をしている間は、感情を表現することが難しかったですね。視覚以外の感覚全てを使うことで、ギョンスの感情を伝えようと努力しました」と、これまでとは違ったアプローチで盲目の役に挑んだという。


fukurou-500-1.jpgそんなリュ・ジュンヨルの演技についてユ・ヘジンは、「リュ・ジュンヨルの演技は、より繊細になっています。これは表現が容易な役ではありませんでしたが、彼は全ての細かいディテールにまで細心の注意を払っていました」と絶賛し、『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』、『The Battle: Roar to Victory』(英題)に続き、本作で3度目の共演となるリュ・ジュンヨルとユ・ヘジンのコラボレーションに期待が高まる。


さらに、『王の男』以来17年ぶりにアン・テジン監督と再びタッグを組んだユ・ヘジンは、「デビューを果たす監督とは違って、注意深い目で映画全体を見ていました」と監督の印象を語り、「この作品は、昼夜に隠された謎を巡る、スリルに満ちた映画です」と、斬新さと真新しさをもって誕生した新しいスタイルのスリラー映画であることをアピールした。
 


【STORY】 
fukurou-pos.jpg盲目の天才鍼医ギョンスは、病の弟を救うため、誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働いている。しかし、ある夜、王の子の死を‟目撃“し、恐ろしくも悍ましい真実に直面する。見えない男は、常闇に何を見たのか―?追われる身となった彼は、制御不能な狂気が迫るなか、昼夜に隠された謎を暴くために闇常闇を駆ける―。絶望までのタイムリミットは、朝日が昇るまで―。


・監督・脚本:アン・テジン 撮影:キム・テギョン
・出演:リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジン
・2022年/韓国/118分/原題:올빼미/英題:THE NIGHT OWL/日本語字幕:根本理恵/G
・配給:ショウゲート
・© 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.
・公式HP: fukurou-movie.com  
・公式X:@showgate_youga

2024年2月9日(金)~新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほかにて全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

 
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 作家、村山由佳が大正時代の女性解放運動家・伊藤野枝の生きざまを描いた吉川英治文学賞受賞の評伝小説「風よ あらしよ」。NHK BSプレミアムでテレビドラマ化され、22年放送された同作が、『風よ あらしよ 劇場版』として2月9日(金)よりシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、キノシネマ神戸国際、シネマサンシャイン大和郡山、2月10日(土)よりユナイテッド・シネマ橿原、2月16日(金)より京都シネマ、以降元町映画館、シネ・ピピア、洲本オリオンにて順次公開される。
 本作の演出を手がけた柳川強さんに、お話を伺った。
 

 

■村山由佳さんの評伝と#MeToo運動の広がりが推進力に

――――伊藤野枝が関東大震災後に大杉栄と共に惨殺されてから、昨年がちょうど100年でしたが、本作を鑑賞し、改めて彼女の生き様や主張にしっかり焦点を絞って描いた映像作品は今までなかったなと実感しました。もともと柳川さんが伊藤野枝に興味を持ったのは、舞台がきっかけだったと?
柳川:宮本研さんが書かれた『ブルーストッキングの女たち』を学生時代に鑑賞し、大正時代の男女の群像劇ではありましたが面白いと思いましたし、ドラマ制作に携わるようになると、いつか自分でドラマ化したいという想いが芽生え、1、2度企画書を出したこともありましたが、震災で虐殺される人間の話ですから、なかなかGOサインが出ない。やはり今回原作となった村山由佳さんの評伝が出版されたのが大きかったですね。当時ちょうど#MeToo運動が広がりをみせ、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんなど女性一人で世の中に堂々と訴える人も出てきた。時代の動きと伊藤野枝がリンクしたことを認識し、ドラマ化に向けて動き出す下地がようやくできたのです。
 
――――わたしも小説は発売後すぐに読み、胸にズドンと響きましたが、柳川さんが原作を読んでの感想は?
柳川:長いなと(笑)それと、村山さんが作家として伊藤野枝にかける熱量が凄まじかった。読み終わってから、伊藤野枝を描くなら、井戸に葬られた野枝の眼差しではじまり、殺されてからの彼女の眼差しで終わるというのが映像的だと思ったのです。あと野枝が「組合」による助け合いの中で育ってきたことを語るところも、自分ではできるだけ野枝が書いた文献を読んできたけれどその中では見つけられず、村山さんが書いてくださったことで知ることができた場面で、その2点から野枝の物語を映像化する糸口を掴むことができました。
 
――――いわゆるコモンズという考え方は現在も社会の様々な場面で取り入れられつつありますよね。
柳川:やはり28年の短い生涯で、最後は虐殺される訳ですから、よく「彼女は何を成した人なのか」と聞かれるのです。でも、コモンズという考え方にたどり着き、それを論文に綴っているので、これがあるじゃないかと。そこに気づけたのは大きかったですね。
 

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■感受性豊かな野枝役は、吉高さんしか思い浮かばなかった

――――柳川さんが演出された連続テレビ小説「花子とアン」も拝見していましたが、いざ企画が通ったとき、同作でタッグを組んだ吉高由里子さんがすっと頭に浮かんだのですか?
柳川:朝ドラから10年経ち、もう一度ご一緒したいと思っていました。女性からはともすれば主張が強すぎて嫌われるかもしれない伊藤野枝を、いかにも主義者然とした人が演じると観客層が狭まってしまうかもしれない。野枝という人は実は愛嬌があり、人たらしな部分があると思うのです。また谷中村の話をしたときにすぐ泣くような感受性豊かな人だと思ったときに、吉高さんしか思い浮かばなかったです。
 
――――伊藤野枝を演じている吉高さんは声の太さが違うと思いました。オファーに対し、吉高さんの迷いはなかったですか?
柳川:吉高さんは「これに賭けている」というようなことは絶対に言わない方ですが、撮影が終わってから、タイトルに重なる「吹けよ、あらしよ」というナレーションを撮らなくてはいけなかったんです。その録音を撮り終わったときにはじめて「やった!終わった!」と吉高さんがおっしゃるのを聞いて、きっとそれまではずっと日常生活の間、野枝のままでいたのではないかなと感じました。
 
――――自由にならない現状への怒りが、パワーの源泉のようにも映りました。
柳川:吉高さんも野枝も感受性のおばけなので、いろいろなことを怒りとして溜め込まざるを得なかったのかもしれませんね。
 
 
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■一番好きなキャラクター、辻潤を演じた稲垣吾郎

――――伊藤野枝の文学的才能を開花させた最初の夫、辻潤を演じた稲垣吾郎さんには、どんな演出をしたのですか?
柳川:稲垣さんは、僕がNHKに入局して最初に携わった連続テレビ小説「青春家族」でヒロインの弟を演じていたので、30年ぶりにお会いしました。今回は、大人の色気も感じましたし、まず自分の役柄の立ち位置を丁寧に確認されました。最初に、敵役ですよねと聞かれた覚えがあるのですが、実は僕の一番好きなキャラクターが辻潤なんです。なぜかと言えば、個人が自由になることが、この社会が自由になることだという考え方を徹頭徹尾、自分一人の中で哲学的に完結させた人だからで、昭和19年に孤独死(餓死)しています。萩原朔太郎も、辻潤の人生は一つの芸術であると語っているような人ですから、稲垣さんにも彼の生き方は素晴らしいと思って描きたいとお伝えしました。
 
――――結婚させられそうになった九州の田舎から逃げてきたばかりの伊藤野枝に様々な知識を与えた存在だったと思います。青鞜社に入り、野枝がはじめて演説を行ったシーンは、大杉栄をはじめ、多くの男性たちにも伊藤野枝ここにありと示す重要な場面で、野枝の言葉が体を突き抜けるようなインパクトがありました。撮影はどうでしたか?
柳川:吉高さんもあのシーンが成立するかどうかはずっと悩んでいました。演説のセリフが文章から引用したものだったので、もう少し主観的に話せるようにセリフを調整したり、声を相当張り上げていたのでスタッフ一同、極力1回で撮りきれるように集中しました。表現が本当にしっかりとしてきて、本当にいいシーンでした。
 
――――永山瑛太さんが演じる大杉栄も、パワフルで、かつ人たらしでしたね。
柳川:実は、野枝の最初の演説シーンで、大杉は目を見開いて彼女のことを見ているんです。村山さんの原作にも大杉栄は「眼の男」と書かれているので、瑛太さんもそれを意識して演じておられたと思います。
 
 
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■こだわったのは共助になる大杉との共同生活

――――長い原作を映画化するにあたり、特に描きたかった場面は?
柳川:本当は青鞜社のシーンを多くした方が面白くなるのですが、彼女の人生の中ではまだ序章に過ぎないと思ったので削り、辻との出会いと別れを丁寧に描きました。思想的な考え方の違いから離婚に至るケースなので、そこを大切にしたことと、キーワードで言えば「共助」になる大杉との共同生活を具体的に描いていきました。主張や主義を訴えるシーンより、むしろ子どもが一人ずつ増えていくとか、村木源次郎や大杉が子育てを手伝い、野枝が原稿を書くという日常生活の描写を割と大事にしたかもしれませんね。
 
――――そういう描き方をすることで、人間、伊藤野枝の生き様や様々な表情が観客に伝わる気がしますね。死後はスキャンダラスな取り上げられ方をし、なかなか正当な評価を得られなかったという野枝ですが、ようやく彼女の成し遂げたことが評価される時代になったのではと思います。むしろ当時と今とそんなに変わらないことにも気づかされます。
柳川:ひとりの人間として自由を守るために何が必要で、何を言わなくてはいけないかを問うている作品でもあると思います。大杉の自由恋愛も、瑛太さんは女性陣に総スカンをくらう覚悟を持って演じてくれました。大杉の考え方は、一人ひとりが自由な精神を持つことで、社会も自由になるという思想ですから、あながち間違ってはいないのでは、という風に、描き手としてはあえて価値づけをせずに描こうと思いました。道徳の範疇を超えるかどうかという問題はありますが、それをダメだと断罪してしまうのも、どこか不自由な気がするので、そういう事は意識しました。そこはいろいろな議論が出てきていいと思っています。
 
 
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■野枝の怒りが込もった言葉を連呼させて

――――関東大震災後に虐殺されるまでの描写は、昨年公開された森達也監督の『福田村事件』とかぶる部分でした。特にフォーカスした点は?
柳川:歴史的には甘粕大尉が大杉らを虐殺したかどうかは定かではありません。ドラマ上そのように描くのは簡単ですが、逆に歴史修正主義と同じ土俵に乗ってしまう懸念がありました。だからそこは描かないことに決めました。また、吉高さんが演じる伊藤野枝に何度も「イヌ!」と叫んでもらうようにしました。ドラマでは野枝の最期の言葉になるわけですから、そこに怒りを込めてもらいたかったのです。また、実際には雨天ではなかったと思いますが、そこはフィクションなので「風よ あらしよ」というタイトルの通り、嵐の中、井戸に打ち捨てられ大杉が死んでいった過酷さを見せたかったですね。
 
――――平塚らいてうを演じたのは松下奈緒さんですね。
柳川:松下さんご自身が日頃から太陽のような方なので、平塚らいてうを演じていただくのにぴったりでした。らいてうは当時のアイコンのような存在でしたから。
 
――――野枝は憧れのらいてうを、ある意味あっという間に追い越してしまうような勢いがありました。そのパワフルさにも魅せられます。
柳川:らいてうは上流階級出身ですが、野枝はどちらかといえば野良犬のような野性味がありますから、その対比も松下さんと吉高さんなら出せるのではないかと。
 
――――本当に野枝はずっと、バタバタとこなれていない泥臭い走りをしていたのでは?
柳川:野枝を走らせるのと、厳しい人生の象徴である雨風をふんだんに当てることは撮影中しっかりやりましたね。吉高さんからは「筋肉痛になるよ〜」「また走るの!?」と言われましたが(笑)。
 
――――印象的だったのが、関東大震災後、親戚の家に行く前に真っ白の衣装を着た大杉と野枝が源次郎や子どもと一緒に楽しそうに踊っていたシーンです。
柳川:あのシーンは瑛太さんにどんな踊りにするかを任せたんですよ。するとYoutubeでコサックダンスを探してきて、吉高さんと話ししながら楽しそうにやっていましたね。
 

■無政府主義者に対して刷り込まれた負のイメージに気づく

――――日常の中のささやかな歓びが見える、いいシーンですね。
柳川:よかった(笑)。とかく無政府主義者は怖い人というイメージを持たれがちですが、そうではない等身大の部分を見ていただきたいという想いがありました。当時は政府から監視対象になっていましたが、彼らは本当に危険な人物だったのかと考えますよね。僕もこの作品を機会に、アナキズムについて勉強しようと思って、本を読んでいます。「アナーキー」という言葉が、人と変わったことをやる人とか暴力的な人という刷り込みが僕にもありましたが、今、そうではないということにようやく気づいた感じですね。
 
――――ありがとうございました。最後にメッセージをいただけますか。
柳川:生きづらさを抱えている人間がいて、その人が自由を求めて何をしたのかを観ていただきたいし、大正時代の女性の着物の美しさにも触れられると思います。吉高さんは今、大河ドラマ「光る君へ」で紫式部を演じていますが、彼女らしい軽やかさが垣間見える平安貴族とは違い、こんなに野太い演技もできるんだというところもぜひ観ていただきたいですね。僕自身が吉高さんのファンですから。
(江口由美)
 

<作品情報>
『風よ あらしよ 劇場版』
2023年 日本 127分 
原作:村山由佳「風よ あらしよ」(集英社文庫刊)
演出:柳川強 
出演:吉高由里子、永山瑛太、松下奈緒、美波、玉置玲央、山田真歩、朝加真由美、音尾琢真、石橋蓮司、稲垣吾郎
2月9日(金)よりシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、キノシネマ神戸国際、シネマサンシャイン大和郡山、2月10日(土)よりユナイテッド・シネマ橿原、2月16日(金)より京都シネマ、以降元町映画館、シネ・ピピア、洲本オリオンにて順次公開
公式サイト:https://www.kazearashi.jp/
製作・配給:太秦
(C) 風よ あらしよ 2024 ©村山由佳/集英社
 
 

 

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韓国年間最長 No.1 記録を樹立、2023 年韓国国内映画賞で【25 冠】と最多受賞を記録した、史実に残された最大の謎に迫る<全感覚麻痺>サスペンス・スリラー『梟ーフクロウー』が、2 月 9 日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショーいたします。


この度、本作のメガホンをとったアン・テジン監督のオフィシャルインタビューが解禁となります。併せて、本作を一足先にご覧いただいたインフルエンサーやライター、芸人など著名人の方よりいただいた絶賛コメントも到着いたしました。


朝鮮王朝時代の記録物<仁祖実録>(1645 年)に残された‟怪奇の死“にまつわる歴史的な謎に、斬新なイマジネーションを加え誕生した『梟―フクロウ―』は、観客の無限の想像力を刺激し、2022 年の韓国年間最長 No.1 記録を樹立。韓国エンターテイメント界の最高峰を決める百想芸術大賞で作品賞・新人監督賞・男性最優秀演技賞の 3 冠を受賞。11 月に開催された第 59 回大鐘賞映画祭でも新人監督賞、脚本賞、編集賞の 3 部門を受賞し、公開後も注目を集め続けている。


‟盲目の目撃者“が謎めいた死の真相を暴くために常闇を奔走する予測不可能な物語は、圧倒的な没入感と、緊張感をもたらし、息もできないほどの狂気が支配する 118 分は、観る者すべての五感を麻痺させる―。
 


【アン・テジン監督オフィシャルインタビュー】

「実際(ファクト)の歴史と架空(フィクション)の2つの側面を持つ物語を作り上げようとしました」


fukurou-240Director photo_An Tae-jin.jpg1,000万人以上もの観客を動員した映画『王の男』で助監督を務めたアン・テジンは、それ以来、キャリアを通して様々な作品で確かな経験を積み、本作で長編監督デビューを果たした。


アン監督は本作で「初めから現代的なスリラーを作ろうと意図していました」といい、「本作は、実際(ファクト)の歴史と架空(フィクション)のキャラクターを結び付けた物語である一方、スリラーの要素もあります。私は、それら2つの側面を持つ物語を作り上げようとしました」と明かした。


「この映画は目撃者と秘密を巡るスリラーなので、その秘密が解き明かされるシーンがあります。私はその秘密を目撃するシーンを書くことを心から楽しみましたし、それを撮影するのも楽しかった」と語り、“予測できない物語”が必見ポイントだという。撮影セットについては「宮廷を巨大な牢獄のように閉ざされた印象に見せたかったんです。そのような場所から逃げるという主人公の奮闘が、よりスリル感をもたらすと思ったからです」とこだわりを明かした。


朝鮮王朝時代の記録物<仁祖実録>に残された‟怪奇の死“にまつわる歴史的な謎に、斬新なイマジネーションを加え誕生した本作。「映画の鑑賞後に調べると、『これも歴史的な事実なの?』と思ってしまうような非常に多くのディテールが映画を通して見られます」とこれから映画を観る観客へとアピールした。


また、本作で『王の男』以来 17 年ぶりに再びタッグを組んだ俳優のユ・へジン演じる仁祖王の役については「ユ・へジンにしか演じられない王があると彼を説得したのですが、完成した映画を観ることで、私の選択は間違っていなかったと証明されるでしょう」と自信を覗かせた。
 


映画評論家の松崎健夫さん、韓国系インフルエンサーなど総勢 18 名から絶賛コメントが到着いたしました。

「これほど奇想天外で息詰まる物語など予想だにしなかった!」「韓国映画の“最先端”を味わえる快作」「没入感をもたらすこの映画に、完全に唸った!!」など、韓国だけでなく日本でも“極上のスリル”に納得の声が続出!見た人にしか味わえない<全感覚麻痺>を体感してほしい!


▽以下、絶賛コメント(五十音順・敬称略)

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タイトルの意味を理解した瞬間、歪に捩れながら一気に加速する物語。
ポスタービジュアルにも使われているシーンでは、思わず声を上げてびくりと震えてしまった。暗く閉ざされた世界が生み出す極上のサスペンスを堪能してほしい。

―葦見川和哉(映画・映画音楽ライター)

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目に見えない真実を目撃した時、おもしろさは一気に加速する!!
盲目の鍼師というキャラ!史実に残された謎!四転五転する物語!寿命が縮む程の緊張感!全てがツボに刺さった!!この映画間違いなく、今年 No.1 候補!

―あんこ( 映画超好き芸人)

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盲目の鍼師は針で大山を穿てるか。歴史の行間を想像するにしても、これほど奇想天外で息詰まる物語など予想だにしなかった!そこに真実味を宿す精緻な衣装と美術、鋭く闇夜を捉える撮影の見事さに思わず唸る。

―ISO(ライター)

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暗闇でこそ見えてくる物がある。隠しても明かされる事がある。しかし、それを知ることは覚悟がいるのだ。『梟』は我々に歴史の、そして世の闇を暴く術を教えてくれる。まるで夜を支配するフクロウのように。

―氏家譲寿(ナマニク)(文筆業/映画評論家)

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練りに練られた脚本、細部まで作り込まれたセット美術、研ぎ澄まされた音響効果。
韓国で大ヒットしたのも納得の「テレビではなく映画館で観るべき作品」だった。

―宇野維正(映画ジャーナリスト)

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物凄い映画と出会ってしまったと思わずにはいられない 118 分。
1 秒足りとも無駄な時間がなく、巧みな演出によって気付いた時には自分自身が登場人物の 1 人に。「目を閉じて下を向きたくなる瞬間こそ、目を見開いて生きよ」という強いメッセージが心にぶっ刺さる。

韓国ドラマ好きのだらだら子(韓国作品ライター)

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映画を観て〝鳥肌が立つ〟とは、まさにこの作品のことだ。息つく間もないスリル満点の展開。気づけば最後まで没頭し、観る人の感情を刺激する映画だった。本国で大ヒットを記録したのも納得。果たして、盲目の主人公が見えてしまった〝真実〟とは…。

―KEI (韓国系インフルエンサー)

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サスペンス映画と盲目の主人公という設定は相性抜群だが、ここにきてこんな変わり種に出会えるとは!しかも、単純に見えないというよりは…(ここは映画見た人にじゃないと言えません!)という設定が斬新!かつ、映画の大事なテーマにも繋がっているという上手さ。
巨悪に対峙する彼が追い込まれた時、状況としては最悪ですが、映画としては最高です。

―ジャガモンド斉藤(映画紹介人/お笑いコンビ)

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観るだけで血流が改善していく快感。設定と設計、人物造形に映像表現……
視界に映る、どこもかしこも上手い。快作のツボを熟知した、鍼灸サスペンス。暗闇の物語=映画を感じる才が開眼する。

―SYO(物書き)

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朝鮮王朝時代の”怪死事件”にエンタメ的最適解を与えた娯楽作、悠久の歴史に触れつつも映画的カタルシスも忘れない離れ業、韓国映画の”最先端”を味わえる快作。暗闇しか見つめられない者が見出す”光の形”とは…

―末廣末蔵(ジャンル映画大好きツイッタラー)

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また面白い韓国映画に出会ってしまった。
歴史映画のダイナミズムを体感し、リュ・ジュンヨル×ユ・ヘジンの演技合戦に目を見張り、最後の最後までどうか映画館で"ハラハラドキドキ"してください。夜こそ見えても黙るが利口な時代に君ならどうする?
次の時代を見るべきだと言う王子が殺害され君ならどうする?これは一線級のサスペンスでありながら生き様の映画だ。史実を基に大胆な解釈にして、人間の見ることのできない闇を炙り出す、映画やからできた奇跡。あっぱれなり!

-ダイノジ・大谷(芸人)

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この映画を見て、昨今の韓国のポリティカノワールを見たような感覚を持った。よく考えたら、『梟ーフクロウー』も、時代は違えど、史実を元に、政治の腐敗とそれに立ち向かう人物を描いているのだから、その感覚は当然なのだ。

―西森路代(ライター)

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息詰まるほどスリリングで、盲目の設定を活かした物語の牽引力が凄まじい。重厚だけどユーモアもあり、肩の力を程よく抜いてくれる。完璧なバランスの本作を手掛けた監督は、何とこれが長編デビュー作!改めて韓国映画界の層の厚さを思い知らされた。

―人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)

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瞬き惜しくなる。宮中でのスリリングなサスペンス、ドロドロした人間関係は昼ドラ的な求心力が!ああ、ヒリヒリする。リュ・ジョンヨルの変幻自在の芝居は近年稀にみる吸引力で、物語の世界に思いっきり引きずられる。朝鮮王朝時代の危険な闇夜にタイムスリップしたみたいな没入感をもたらすこの映画に、完全に唸った!!

―東紗友美(映画ソムリエ)

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敵も味方も信用できないスリルと、推理が二転三転するサスペンス!見て見ぬ振りこそが生きる術の世界で、見えない者が「見た」真実を梟のごとく鋭く突く!

―ビニールタッキー(映画宣伝ウォッチャー)

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恐ろしくも片時も目が離せない、ダーク・エンタテインメントの傑作だ。歴史ミステリーと聞くだけで二の足を踏んでしまうジャンル映画ファンもいるかもしれない。
しかし、雰囲気は完全にホラーであり、こだわり抜いた極上の密室スリラーは病みつきになること間違いなし。

―福谷修(WEB 映画マガジン「cowai」編集長)

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盲目の天才鍼師と共に事件を目撃した観客は極上のスリルに放り込まれる。予測不能な展開に固唾を飲んでいると、渦巻く人間の業に正しく鍼を打つ爽快感。韓国映画賞 25 冠も納得の面白さ!!圧倒的クオリティでした!!

―ホラー映画取締役

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この映画は夜間が中心。それゆえ、わたしたちは仄暗い向こう側にある“何か”を注視するようになる。さらに、登場人物が総じて何らかの事情を抱えていることで、“瞬きも許さない”重層的なサスペンスへと導かれてゆくのである。

―松崎健夫(映画評論家)


【STORY】
盲目の天才鍼医ギョンスは、病の弟を救うため、誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働いている。しかし、ある夜、王の子の死を‟目撃“し、恐ろしくも悍ましい真実に直面する。見えない男は、常闇に何を見たのか―?追われる身となった彼は、制御不能な狂気が迫るなか、昼夜に隠された謎を暴くために闇常闇を駆ける―。絶望までのタイムリミットは、朝日が昇るまで―。

監督:アン・テジン
出演:リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジン
2022 年/韓国/118 分/原題:올빼미/英題:THE NIGHT OWL/日本語字幕:根本理恵/G/
配給:ショウゲート
© 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.
公式 HP: fukurou-movie.com
公式 X:@showgate_youga

2024年2月9日(金)~新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

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