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「冬ソナみたい」と言われるより、「日本の映画みたい」と言われる方がうれしい。
『心に吹く風』ユン・ソクホ監督、主演真田麻垂美さんインタビュー
 
北海道・富良野、美瑛を舞台に初恋を忘れられない男女の再会と奇跡の2日間を描いた純愛ラブストーリー『心に吹く風』が、6月17日(土)から新宿武蔵野館、7月8日(土)からテアトル梅田他全国順次公開される。
 
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本作は、『滝を見に行く』(沖田修一監督)、『恋人たち』(橋口亮輔監督)、『東京ウィンドオーケストラ』(坂下雄一郎)に続く松竹ブロードキャスティングオリジナル映画製作プロジェクト第四弾。「冬のソナタ」をはじめとする四季シリーズなど数々の大ヒットテレビドラマを手掛けてきたユン・ソクホ監督の初劇場用映画で、脚本も自らが担当している。主演の主婦、春香役には、俳優ワークショップから選ばれた真田麻垂美(『月とキャベツ』)。本作で16年ぶりの女優業復帰を果たしている。同じく主演のリョウスケ役には、映画やドラマで幅広く活躍している眞島秀和。富良野や美瑛の美しい丘陵地や白樺並木の中で、学生時代のモノクロの思い出と共に、当時の気持ちに戻って心の距離を近づけていく二人の二日間が、ロマンチックに描かれる。自然、とりわけ風を目で、耳で、そして心で感じられる作品だ。
 
本作のユン・ソクホ監督と主演の真田麻垂美さんに、映画ならではの試みや、オーディション秘話、春香の役作りについてお話を伺った。

 


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■「北の国から」がきっかけで富良野へ。「いつかはこの美しい場所を自分の絵の中に収めたい」と思っていた。(ユン監督)

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―――日本で映画を撮るにあたり、なぜ北海道、しかも札幌や函館など一般的に有名な場所ではなく、美瑛や富良野のような場所を舞台にしたのですか?

ユン監督:札幌や函館は都会ですから、ビルが視界を遮り、視野が開けていない印象があります。一方、美瑛や富良野はパッと視界が開けて、自然そのままの姿が生きている場所です。映画で登場する畑や雲の姿、その畑も場所によって新芽が出ていたり、湿って黒っぽい色だったりと表情が違って、パッチワークのようになりとてもキレイですが、それも偶然生まれたものです。また車で移動しているときに眺める空の雲も、毎回変わっていきます。今回の映画の一つのテーマでもある偶然性を、自然の中でたくさん感じられ、それがとても印象的な場所だったので、ここを舞台にしようと決めました。
 
―――ユン監督はドラマでも四季シリーズを手掛け、自然がいつも印象的に使われますが、自然を好きになった原点は何ですか?
ユン監督:私はソウルのど真ん中で生まれ育ちましたが、自然がたくさんある場所でした。実は父がソウル農業大学の教授だったので、大学の中に自宅がありました。牧場やお花畑、森、湖など自然が揃っている特殊な環境で育ったので、大きな影響を受けていると思います。大学の門を出るとソウルの街中なのですが、学校から家に帰ると森でしたから(笑)
 
―――富良野に関心を持たれたのは、ドラマ「北の国から」の影響もあるのでしょうか?
ユン監督:随分前ですが、日本に留学していた先輩から、日本に本当に美しいドラマがあると紹介され、「北の国から」を見たことがありました。その後「冬のソナタ」が日本でも大変愛され、札幌の放送局に招待されて初めて北海道に行ったのです。その時に「北の国から」の話をすると、関係者の方が富良野と美瑛に連れて行ってくださり、倉本先生にもお会いすることができました。またドラマのスタッフも紹介していただき、それからは何度も富良野に足を運ぶようになったのです。いつかはこの美しい場所を自分の絵の中に収めたい。好きなものを誰かと共有したいという気持ちをずっと持っていました。
 

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■ユン監督は人の気持ちをうまく引き出すマジックをかけられる方。(真田)

―――真田さんは女優復帰作となりましたが、ユン監督との撮影はいかがでしたか?
真田:6年前にアメリカに留学し、その後結婚、出産を経て、ヨガのインストラクターとして活動していました。ユン監督の作品は大好きで、全部見ていたのですが、16年ぶりにワークショップに参加したのは本当に偶然で、とてもありがたい出会いだったと思います。ユン監督は、人の気持ちをうまく引き出すマジックをかけられる方です。眞島さんと私が美瑛に撮影で滞在したのは3週間でしたが、その間は完全にユン監督のマジックの中で生きていた気がします。

 

■長年女優業を離れていたけれど、ユン監督の作品に出会うための準備を長年かけてやっていたのかなと思える。(真田)

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―――家庭がありながら青春時代の恋人と再会し、心が揺らぐという精神面の表現が必要な役どころですが、演じた感想は?
真田:ヨガに絡めてお話すると、ヨガのポーズというのは練習の一部に過ぎないんですね。ヨガは自分が何者なのかと考えていく時間がとても大切で、アメリカでヨガを勉強している時代に、私はずっとそれに取り組んできました。それは、女優として役に自分を近づける行為とリンクするのです。私は長い間、演じることから離れていたけれど、ユン監督の作品に出会うための準備を長年かけてやっていたのかなと、後からそう思えるようになりました。というのも、ワークショップで春香役が私に決まったときも、信じられなくて半信半疑。何もしていなかった私が決まるとは、どういうことなのか。本当にその答えが欲しかった。でもそう簡単に答えなど見つからないので、それならば目の前にあることを一生懸命やろうと決め、撮影に挑みました。撮影を通じて、今の自分が何者なのかを毎回考えながらやっていたことはここに繋がるのだと、今ままでの点が一気に線になって繋がったような不思議な感覚になりました。
 
―――具体的に、どのようにして春香役にアプローチしていったのですか?
真田:春香という人物にどこまで自分を投影できるか、春香の感情に自分の感情がどこまで近づけるか、という作業をしました。そして、本読みやリハーサルの度に、ユン監督と春香についてたくさん話をしました。その中でユン監督から「女優ならば美しくと映りたいと思うかもしれないが、春香は痩せないでほしい。むしろ今より太ってくれてもいい」と言われました。その意味はどういうことなのか、自分なり考えました。春香は、色々なものを諦めてきてはいるけれど、日常を大切に生きる女性だと理解したので、家族のためにきちんと三食を用意し、自分も一緒にしっかり食べるという、春香がやっている生活を続けていたら半年で10キロ増えていました。そう生活することで、少しずつ春香という人物になっていくことができたと思います。
 
―――ワークショップやオーディションを通じて真田さんを春香役に起用した決め手は?
ユン監督:私は外国人監督で、過去の情報もないため、今、目の前にいる真田さんを見て感じるものが全てでした。私は韓国でも新人を多く起用するタイプです。その時大事にするのは自分自身のフィーリングで、理由は分からないけれど、もう一度会いたいとか、魅力を感じて飽きないと感じる人を起用するようにしています。真田さんも自分が惹かれるかどうかを第一に選びました。自分が作品の中でこうしたいと感じることが何より大事なのです。春香は、あまり女優っぽい感じがしてはいけないキャラクターです。私が初めて真田さんに会った時は、本当に主婦の女性でしたが、なぜか分からないけれど惹かれるし、美しさを感じました。今、目に見えない美しさは私が演出家として引き出せばいい。見た目の平凡さは映画の中でリアリティーを担当してくれるだろう。たくさんの方の中で、唯一真田さんは最初のイメージからどんどん新しくいいものが見つかっていく方で、最終的に選ぶとき、何の迷いもなく決めることができました。

 

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■編集でロマンチックな部分がそぎ落とされ、本当に自分の作品かと思うぐらい新鮮。(ユン監督)

―――日本の監督は撮れないだろうと思うぐらい、とてもロマンチックな映画ですが、監督はご自身のことをロマンチックと思っていますか?
ユン監督:私が感じる真田さんはとてもロマンチックな女性ですし、私もロマンチックなことは好きです。ただ現実ではそれを表現し続けることはできないので、自分の好きなロマンチックな部分を映画の中で表現しています。
真田:私もすごくロマンチックなことが好きです。リョウスケが足にキスをするとか、実はもっとロマンチックなシーンがあったのですが、眞島さんは「日本人の男性はこんなことはしない」とおっしゃって。私は好きな人ならしたらいいのにと思ったんですけどね(笑)
ユン監督:自らシナリオを書いたので、自分の中では二人の関係ならあり得ると思っていたのですが、意外と眞島さんは恥ずかしがっていました。そこは日本と韓国の感情の違いなのかもしれません。ロマンチックなものをそぎ落とされましたが、実はそれは私がいつも書き慣れている部分なので、ちっとも残念ではなかったです。編集も日本の女性の方でしたが、最終的に仕上がったものは本当に自分の作品なのかと思うぐらい、とても新鮮でした。淡白で、控えめな感じになり、かえって良かったと思っています。「冬ソナみたい」と言われるよりは、「日本の映画みたい」と言われる方がうれしいですね。
 
―――「冬のソナタ」ら一連の四季シリーズとの共通点や、またそれらとの違いは?
ユン監督:共通点は、変わらない愛、初恋の純粋な愛です。愛の美しさは変わらないですから。映画だからできたことは、作家主義を大事にすること。つまり、何かを意識せずに私がやりたいことを、やりたいように表現することだと思います。テレビでできなかったことをやってみようと、ロングショットや、観客とゆったり考える時間を共有するロングテイク(長回し)を取り入れています。メタファーもたくさん使うことができました。テレビでは本当に不特定多数の様々な年齢層の方が見るので、親切な案内が必要です。今回はそんな制約を外して、映画だからできることをやれたと思います。

 

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■人間と自然とのつながり、時間と偶然に対して感じたことを、『心に吹く風』で表現したかった。(ユン監督)

―――ロングショットで美しい風景とその中にいる二人が描かれていましたが、風景に込めた思いとは?
ユン監督:映画の中でキーワードとなるのは、一つは偶然、もう一つは過去と現在の出会いです。それが二人の男女の中で起こる訳ですが、それを自然の中でも見せたいと思いました。ロングショットのシーンが意味するのは、自然と人間を対等な立場に置き、物語を引っ張っていきたかったのです。『心に吹く風』というタイトルも、心は人間の現象、風は自然の現象で、それを一つの言葉とし、人間と自然が繋がっていることを表しました。過去と現在の出会いというのは、時間を表しています。時間は過ぎていくもので、人間は過去に戻ることはできません。ただ自然の中ではそれが可能な時もあります。例えば劇中で倉庫の壁が出てきますが、色あせている壁に雨粒が落ちます。壁は過去のものですが、雨は現在のもので、過去と現在がこの瞬間存在するのです。青池も外側の木は生きていますが、中にある木は全て死んでおり、死んだ木と生きた木が同じ画面の中に収まっています。また、オープニングのロングショットでは、リョウスケが乗る赤い車がずっと道を走っていくのですが、その背景の山々の頂きには過去に降った雪が残っています。その手前には新芽が徐々に芽吹いている緑色の畑があり、自然の中の過去と現在の共存も、一つの画面に収めています。軸として引っ張るのはラブストーリーですが、時間と偶然に対して感じたことを、私はこの作品で表現したかったのです。
 

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<作品情報>
『心に吹く風』(2017年 日本 1時間47分)
監督・脚本:ユン・ソクホ 
出演:眞島秀和、真田麻垂美、長谷川朝晴、菅原大吉、駒井蓮、鈴木仁他 
2017年6月17日(土)~新宿武蔵野館、7月8日(土)~テアトル梅田他全国順次公開
公式サイト⇒http://kokoronifukukaze.com/
(C) 松竹ブロードキャスティング
 

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“奪われる側の痛み”を刻み込んだ映画『昼顔』 西谷弘監督インタビュー

人の痛みを感じてこそ、人間らしく生きられる。
「不倫、されど純愛」から「奪われる側の痛み」を刻み込む、愛の結末とは? 

 



映画『昼顔』
■2017年 日本 2時間05分
■出演:上戸彩 斎藤工 伊藤歩 平山浩行 
■監督:西谷弘  ■脚本:井上由美子  ■音楽:菅野祐悟

■(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社
公式サイト: http://hirugao.jp/

2017年6月10日(土)~全国東宝系にてロードショー


 

「夫のある身で奥さんのいる人を好きになってしまった私は、罰を受けました。」というモノローグから始まる映画『昼顔』。2014年の夏、センセーショナルを巻き起こした上戸彩主演のTVドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』の3年後を描いている。「不倫、されど純愛」というテーマがさらに昇華して、「奪われる側の痛み」を刻み込みながら衝撃のラストへと疾走する。ドラマファンならずとも、運命の恋の道行に引き込まれる快感と、さらに、抗えない“人間の業”を鮮烈に植え付けられる衝撃作である。


hirugao-550.jpg不倫によって多くの人を傷付け多くのものを失った主人公・紗和(上戸彩)。紗和への想いを封印することによって紗和を守ろうとした北野(斎藤工)。強引に夫を取り戻したものの孤独を抱えて生きる北野の妻・乃里子(伊藤歩)。二度と出会ってはいけない紗和と北野が再会した瞬間の溢れ出た感情に、胸キュン必至。そして、奪い、奪われる女たちの対峙には、怒りと絶望と悲しみが入り交じった恐怖の緊張が走る。


男と女のドロドロより、女同士の対峙に重点を置いた、大人のための新しいラブストーリーを完成させたのは、TVドラマに引き続いてメガホンをとった西谷弘監督。敢えて「一番不倫が似合わない人」をイメージして上戸彩を主役に抜擢。「逆境の中でも生きる力を失わない強さと色っぽさを表現してくれた」と絶賛。いつも明るい笑顔の上戸彩が世間から冷たい言葉でボコボコにされる様は、か弱い中にも意外な強さを感じさせて新鮮。


hirugao-500-2.jpgまた、俳優として絶大な人気を誇る斎藤工には恋に奥手な純真な教師役を。「どんな役にも染まる覚悟を持った俳優」と絶大な信頼を寄せる。そんな二人の前に立ちはだかる乃里子を演じた伊藤歩は、最初、役柄に感情移入できず苦しんだという。それを「一所懸命生きている一人の女性を演じてもらいたい」と話し合いを重ねたそうだ。ようやく取り戻した夫を気遣ったり、心ここに在らずの夫との生活に孤独感を覚えたりと、それまでの人物の関係性を明確に表現。再び紗和と対峙して激情をぶちまけるシーンでは目が覚めるような迫力で圧倒する。さらに理性で感情を抑え込むシーンなど、彼女の的確な演技に激しく共感してしまった。


不倫に対する風潮も変化する中、「自分の気持ちに正直に生きることをよし」としながらも、「いかに奪われる側の痛みを刻み込めるか」という西谷弘監督の強い想いが伝わってくる。人の痛みを感じてこそ人間らしく尊厳ある生き方ができるのではと、映画『昼顔』は教えてくれているようだ。


【西谷弘監督のインタビューの詳細は下記の通りです。】



――TVドラマ以上に衝撃的なラストでしたが、映画化するにあたり特に工夫した点は?
ドラマから3年の月日の間に不倫への世間の意識は変わりました。映画化が決まる頃には風当たりが強くなってた。今、映画にするべきか否か躊躇もしましたが、折角吹いた風。追い風にするか?向かい風と捉えるのか?は、我々制作側にかかってると前向きに考えるようにしました。ドラマ当初は「不倫、されど純愛」と掲げていましたが、「奪われる側の痛み」をどれだけ制作側が意識できるのかが重要だと思いました。その痛みを紗和の胸にどう刻みこむかが映画作りの起点でもありました。但し、ドラマからのアンサーだけの映画ではなく、独立した新たな一作品を目指しました。

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――表情の変化を細かに捉えた映像が印象的でしたね?
雑多な中で視聴するTVは「わかりやすさ」が常に求められますが、整った環境の映画は観客がスクリーンといかにコミュニケーションとれるかが大事。ドラマで多投した“紗和の独白”を映画では物語が進むにつれて削っていきました。紗和の言葉で感情を知らせるのではなく、その表情で伝え、探ってもらえればと。よりヒロインに感情移入していただけると思います。


――現場での演出は細かい方ですか?
ドラマ当初は、紗和と北野への注文は細かく厳しかったと思います。でも、今作は上戸さんも斎藤さんも2年振りに役を演じたのですが、二人とも紗和と北野がしっかりと体の中に浸みついていました。だから、二人の体内から湧き出す芝居を大切にしました。できる限り、自然体を生かしドキュメントを撮るように描きました。


――それまでのイメージを払しょくするような演技を見せた上戸彩さんについて?
ドラマ撮影の時以上に、演技の幅を感じましたね。劇中、説明的なセリフがあっても、喉を絞ったり、開いたり、時に声を胸の奥から発したり。そうすることによって、紗和の言葉になり、自然なカタチで観客に伝わる。また、セリフのない長回しのシーンでも、その表現力は圧巻でした。とてもスクリーン映えする女優さんだと思います。今後は映画女優としても活躍していくのではないでしょうか。


hirugao-500-6.jpg―――親しみやすい笑顔が魅力の上戸彩さんだからこそ、共感しやすい?
最初、上戸さんにキャスティングのオファーを入れたとき断られたんです。恋愛ものを演じるのに苦手意識があり、不倫に対しても嫌悪感があると。でも、そんな背徳の似合わない上戸さんだからこそ演じて欲しいと、粘り強く口説きました。ドラマの第1話は、紗和が隣町の火事を眺めているところから始まり、最終回では自分の家に火をつけてしまう。不倫は決して“対岸の火事”ではない。昼顔は上戸さんが紗和を演じたからこそ多くの共感を得られたのだと思います。


――斎藤工さんについては?
最初、プロデューサーに斎藤さんを薦められましたが、映像や写真で見る限りカッコ良すぎるのでピンと来ませんでした。紗和同様、背徳の似合わない俳優を求めていたので。でも、お会いしてみたらとても好感が持てました。飾らず気負わない、斎藤さん本来の姿が窺えたからです。ここから北野先生を創っていけるなとワクワクしたのを今でも覚えています。彼自身、監督もする作り手でもあるせいか、とても染めやすい役者、常に役柄に染まる覚悟を持っています。いつもニュートラルで挑むことのできる、勇気ある俳優です。


hirugao-500-4.jpg――乃里子役の伊藤歩さんの存在がドラマに深みを出していましたね?
昼顔の核はラブストーリー以上に女同士の生き様のぶつかり合いです。連ドラでは利佳子(吉瀬美智子)との女同士の友情でしたが、映画は敵対同士。避けては通れないシーンであり、観客が観たいシーンだと思います。クランクイン前、伊藤さんはどちらかといえば紗和の心境に同情的でもありました。それが、本番では「絶対に紗和を許せない!」と言い切るまで乃里子に同化してました。とてもスキルの高い女優さんです。ドラマから映画に至るまで、乃里子という苦しい役を演じきった伊藤さんに感謝しています。

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――接見禁止の誓約書まで交わした北野先生に会おうとする紗和の行動について?
行動原理は“人間の業”でしかありません。紗和と北野が再会してからの物語にウエイトを置くために、紗和の自制心や揺れの表現はテンポを上げて描きました。ルール違反すれすれの逢瀬は、二人にとって、もどかしくも甘い至福の時だったのです。


hirugao-500-1.jpg――紗和が乃里子のマンションに会いに行き対峙するシーンで、乃里子が一瞬見せた夜叉のような表情が衝撃的でしたが?
あのシーンがその後の全てを決めることになります。まさに女同士の生き様のぶつかり合いです。もしも二人に、その先の未来が予測できたとしても、同じ言葉を使い、同じ感情になるのだと思います。それは、人間の「愛」なのか?「業」なのか?観客の皆さんも、自分自身に問いかけてみてはいかがでしょうか?


――「映画はTVドラマのアンサーにしたくない」と仰ってましたが、TVドラマを観てない人でも人物の関係性が分かりやすく作られていましたね?
紗和と北野のラブストーリーの行方や、乃里子との人間模様をより深く掘り下げたかった。もちろん「吉瀬(美智子)さんや木下(ほうか)さんなど、連ドラのオールキャストを見たい!」という声はたくさん聞こえてきましたが、2時間の映画で全てを消化するのは、事象の羅列になるだけなのでキャストを絞り込みました。但し、紗和と北野の素性を知らない、二人を客観視できる人物が必要だなと思いました。さらに、紗和にとって元夫の亡霊となる存在が欲しかった。それは、元夫本人を登場させるのではなく、他人からの言葉で紗和に影響を与えたかったからです。そこで新たに、杉崎という色気のある大人の男を登場させました。また、今まで登場した男たちは、生物教師、画家、編集者といった文化系が多かったので、体育会系キャラに色合いを変えてみました。

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――自分の気持ちに正直に生きようとする紗和のように、今後のラブストーリーの表現が変化してくのでは?
どうでしょうか?日本人には「本音と建前」という文化や、「やせ我慢」を美学とするところがありますからね。


――ラブシーンについて?
紗和と北野のラブシーンは、とても魅力的でした。エロスを醸し出すのに裸で抱き合えばいいという訳ではないと思います。エロスは“生きる欲望”という考えで、逆境の中でも生きる力を失わない強さ。それが二人のラブシーンです。

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――瑞々しい映像でしたね?
許されぬ愛の物語です。悲しみや切なさは必然にやってくる。それは、きっと淋しさを生むことになるだろうと。淋しさを少しでも埋めてくれるのは美しいものを見ることだと思います。ロケーション、シチュエーション、そして人物描写に美しさを追求しました。


――今後、自由企画で撮れる機会があったら?
青春映画です。でも“キラキラ”ではなく“キラ・ギラ”したものを撮りたいです(笑)。


(河田 真喜子)

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熟高年の“究極の恋愛映画”を作りたかった。
『八重子のハミング』佐々部清監督インタビュー
 
若年性アルツハイマーを発症した妻八重子と、亡くなるまでずっと寄り添い介護を続けた夫誠吾の12年間に渡る愛の物語。自らの介護体験を短歌とエッセイで綴った陽信孝(みなみ・のぶたか)さんの原作を映画化したヒューマンドラマ『八重子のハミング』が、5月13日(土)よりシネ・リーブル梅田他全国順次公開される。監督は、『半落ち』(04)『ツレがうつになりまして。』(11)『種まく旅人~夢のつぎ木~』(16)の佐々部清。本作では、監督だけでなく、脚本とプロデューサーも兼ね、実際に八重子が愛した山口県の各所でロケを敢行、風情のある景色が夫婦の思い出を呼び起こす。本作の語り部でもある誠吾役には演技派俳優の升毅、八重子役には近年、小説家としての活動が多かった高橋洋子が28年ぶりに銀幕に復帰。どんどんと記憶を失くし、子どもがえりしていく八重子を持ち前の愛らしさで熱演している。誠吾の愛情深い介護の様子をはじめ、二人を見守る家族や医師、教え子、友人たちの姿が、優しい感動を与えてくれる作品だ。
 
本作の佐々部監督に、プロデューサーとしてゼロから映画制作を行った経緯や、映画で描きたかったことについて、お話を伺った。

 


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■脚本、監督と並行しての初プロデューサー業、「命懸け」宣言で道が開ける。

―――本作は佐々部監督ご自身がプロデューサーになり、他の作品を撮りながら完成にこぎ着けた作品です。そこまでして、この『八重子のハミング』に全てを注ぎ込んだ理由は?
佐々部:僕は原作者の陽さんとは飲み友達で、大好きな人なのですが、陽さんから『八重子のハミング』を出版する前に自費出版した『雲流る』という本をいただきました。別の監督で映画化されることも同時に聞いたのですが、新幹線でこの本を読むと涙が止まらなくなり、こういう題材の映画を自分で監督できれば良かったのにと思いながら、いい映画になることを祈っていたのです。しかし、翌年陽さんに映画化に向けての話を聞くと、シナリオハンティングや取材に誰も来ていないと言うのです。あれ?と思って映画会社を調べると、映画化の話は立ち消えており、原作者に何も知らされていなかった。同じ映画業界にいる人間として憤りを感じながら、陽さんにはこの原作を僕に預けてもらえれば、僕が脚本を書き、映画化の話を持ち込んでプレゼンをしますとお話しました。それが8年前のことになります。脚本は書けても、映画会社に持ち込んで、結果を待ってというプロセスを繰り返すうちに、4年ぐらいはあっという間に過ぎてしまいました。取材の交通費、宿泊費から脚本代まで全て自費で、お金は一切いただいていない状況でしたから、最終的に台本を印刷して、陽さんに渡し、「ここまでが限界です」と伝えるのがやっとでした。
 
―――脚本はできたものの、企画がなかなか通らない中、実現に向けての気運が生まれたきっかけは?
佐々部:『群青色の、とおり道』(15)を撮った時、若いプロデューサーにこの台本を読んでもらったところ、「今の時代に絶対やるべき企画、一緒にやりたい」と僕の背中を押してくれました。お金集めから一緒に、ゼロからやりたいと言ってくれたので、そこからまず行政で資金面の柱を作ろうと交渉をはじめました。僕らは東京なので、山口県にも窓口になってくれる人が欲しいと、企画・イベント会社をしている高校時代の同級生に頼み、そこを山口事務所にさせてもらいました。そこから、資金提供のお願いに行くときは、僕も山口県まで行き、彼と同行したりしながら、土台作りを進めていきましたね。 
 
―――エンドクレジットにもたくさん方のお名前が出ていますが、今までやったことのない、資金集めも自ら行う映画作りを通して感じたことは?

 

佐々部:ほぼ助けてもらった人のおかげで出来た映画です。今まで山口県で4本映画を撮りましたが、それは映画会社が出してくれたお金で撮りましたから、地元に宿泊代やガソリン代などを還元しているし、(映画について)文句は言わないでというぐらいの気持ちでいました。今回は地元の方や、行政の税金からいただいたお金で撮らせていただいているので、本当に1円もムダにしたくない。それに報いるには、たくさんの方に観ていただけるようないい映画にしなければいけないというプレッシャーがありました。
 
でも「命懸けでやります」と記者発表したおかげで、本当にたくさんの応援団が出来ました。僕の年齢で「命懸けで」と宣言したことが、皆さんに響いたようです。とにかく人が動き出してくれ、企業だけでなく、個人や主婦の方にも一人50万ぐらいの金額で出資をしていただきました。元本は保証できませんが、大化けすれば夢は見ることができるかもしれない。山口県での上映を終え、少しですが配当を出させていただきました。今後全国での上映や、DVD化したときも配当が出せるようにしています。
 
 

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■「引退宣言をした覚えはない」キラキラとチャーミングな高橋洋子さんに八重子役を。

―――八重子役の高橋洋子さんは、海峡映画祭のゲストとして来場されていたそうですが、オファーをしようと思った理由は?
佐々部:海峡映画祭には、1回目からゲストの招聘などを含めた顧問という位置づけで関わっているのですが、2015年、『旅の重さ』(72)を上映し、主演の高橋洋子さんにゲストとしてご来場いただきました。『旅の重さ』は僕も大好きな映画で、吉田拓郎さんの音楽も素晴らしい。高橋さんにも興味があったので、空港の送迎から食事まで、ずっとアテンドをしながら、観察していたのです。お話すると、今でも高橋さんは映画が好きで、よくご覧になっているそうで、同世代なので映画の話も弾みますし、高橋さん自身もキラキラされていて、チャーミングなんです。もし八重子さんを高橋さんが演じて下さったら、僕よりも上の世代の方には「あの高橋洋子が…」と観客の方にも興味を持っていただけるのではないかと、色々な考えを巡らせていました。ドラマをそつなくこなすタレントのような人ではなく、やはり映画女優に演じてもらいたかったですし。高橋洋子さんは「引退宣言をした覚えはない」とおっしゃっていて、いいお話があれば、いつでも女優に復帰したいという意欲をお持ちでした。そこで思い切って高橋さんに台本をお渡しして、読んでいただきました。
 

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■熟高年の“究極の恋愛映画”。批判をされてもきれいな映画、美しくありたいという映画にしたかった。

―――男性が介護側になる物語は、悲壮感が漂いがちですが、本作はラブストーリーにも見えますし、非常に落ち着いて介護をしているように映りました。脚本を書く上で念頭に置いたことは?
佐々部:原作者は、若年性アルツハイマーや介護のことを知ってほしくて、この本を出版したり、在命中は奥さんを講演に連れて行ったりしていたのですが、僕は、映画化するときに熟高年の“究極の恋愛映画”を作りたかった。だから高橋さんには限りなくチャーミングで輝かしい人を演じてほしいし、升さんには撮影期間だけでも高橋洋子を愛おしく思い、好きでいてほしい。それしか注文を出しませんでした。それをうまく繋げば、恋愛映画が作れるのです。縦の軸には恋愛を、横の軸には家族の物語を作れれば、背景に若年性アルツハイマーや介護を置けばいい。最初から介護を啓蒙するような難病ものにするつもりはなく、批判をされてもきれいな映画、美しくありたいという映画にしたいと思いました。
また、原作の手記は短歌があり、それにまつわるエッセイの羅列で、ストーリーの作りようがなかったので、脚本化にあたってすごく悩みました。結局、誠吾を今の原作者と同じ年代にし、語り部にすれば、観客が混乱しそうな時に修正することができ、物語を運びやすくなる。それを発見してからは、スムーズに書けました。
 
 
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■認知症の人を介護する側から描くことで、観客が受け取りやすい物語に。

―――自分の介護を振り返るという視点で進行するからこそ、感情的になりすぎず、適度な距離感で観客も観ることができますね。
佐々部:観客の皆さんが、冒頭の講演会のシーンで来場者と一緒に座っている感覚になればいいなと思い、来場者越しで誠吾を捉えるショットにしています。来場者席の延長に観客の皆さんがいるような気分になってもらいたいという狙いです。
 
アルツハイマーを取り上げた映画といえば、ジュリアン・ムーア主演『アリスのままで』(14)や、渡辺謙主演『明日の記憶』(06)、韓国映画『私の頭の中の消しゴム』(04)などがありますが、アルツハイマーになっていく患者の視点で描かれる物語です。『八重子のハミング』は、主役が介護をする側であるのがいい。映画館に来る観客は、99.9%が認知症患者ではなく、介護する側の立場の人ですから、そちら側の人を描けば共感をしてもらえるのではないか。その切り口もこの原作のいいところで、観客が受け取りやすい物語だと思いました。
 
―――映画では病気が進行していく八重子が描かれていながらも、周りの人たちの声かけや、元生徒のエピソードで、元気な時の八重子の人柄を浮かび上がらせています。
佐々部:もう少し元気な時の八重子を描こうともしたのですが、熟高年となったときの八重子を見てほしいのに、別の人が若い時を演じるのは映画としてはマイナスの気がして、僕は苦手です。だから白黒にして、高橋さんと升さんに若い頃のエピソードも演じてもらいました。誠吾が介護に専念するため辞表を書くシーンの前に、当初は、八重子が女先生と呼ばれた若い頃、坊主頭の生徒を叱るエピソードを入れたのですが、編集すると肝心の辞表のシーンの意味合いが薄れてしまった。わざわざ坊主頭になってもらった役者さんには申し訳ないが、そこはカットしました。大人になった元女生徒が訪れる椿原生林のシーンで、10年、20年後に八重子が理想にしていた教育が結果を出したことを見せているので、元気な時の八重子は充分表現できているはずです。
 
八重子のお葬式のシーンでも、200~300人のエキストラさんに並んでもらったのですが、実際には2000人も参列したそうです。テレビだと「橋本橋まで並んでるぞ」と言っておしまい。映画だと、そこからを見せなければいけない。葬儀場の外の橋本橋まで参列者が並ぶシーンはほんの1カットですが、その1カットがあるから映画なのです。
 

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■現場でひらめき、映画に奥行きを与えた名シーン。

―――升さん演じる夫、誠吾は、最後まで妻を「八重子さん、かあさん」と呼び続け、元気な時と変わらぬ接し方で、八重子の尊厳を守っていました。その本質に触れるラストのセリフが、非常に効いていましたね
佐々部:本当は、梅沢富美男さん演じる医者が八重子の死後、誠吾に言う尊厳に関するセリフはありませんでした。あのシーンを撮る前の日、撮影中頑張って下さった梅沢さんに、最後にもう一つ、決めのセリフを言ってもらいたいと思って考えていると、「人の尊厳を守った」というセリフが浮かびました。まさに本質のところを突いているので、梅沢さんには「難しい単語を使っていますが…」と相談してみると、「このセリフ、最後にきちゃう?うれしい!」と喜んでくださり、最後に重みがつきました。
 
八重子が口だけで「ありがとう」と告げるシーンも、助監督からの、八重子の最後のアンサーが聞きたいという言葉から発想を得たもの。本当はそれを受けて誠吾が「こちらこそ」と言うところまで撮っていたのですが、両方入れると映画が甘っちょろくなってしまうので、八重子さんだけにしたんです。すると、映画を観た方が「あれは『アイ・ラブ・ユー』って言っているんですか?」とか、色々な受け取り方をしてくださり、映画として奥行きができました。
 

■作品に馴染む、谷村新司バージョン『いい日旅立ち』。

―――音楽教師であった八重子の介護エピソードに様々な曲が登場する中、エンディングでは谷村新司さんの『いい日旅立ち』、劇中では『昴』が使われています。実際に生前の八重子さんがお好きな曲だったのですか?
佐々部:今回は八重子さんが好きだった場所ばかりで撮影しましたし、谷村新司さんも生前八重子さんが一番好きな歌手でした。『昴』は歌詞が歌えなくなった時でも、ハミングでメロディーを奏でていたそうです。谷村さんにお手紙を書き、谷村さんからは「何かこの映画に協力したい」ということで、楽曲使用を許可していただきました。この作品は、ピアニストの穴見めぐみさんに劇中音楽を依頼し、ピアノがメインになると分かっていたので、還暦を越えた谷村さんがピアノソロだけで歌っているアコースティックバージョンをエンディングに起用することで、全体がうまくリンクできました。『いい日旅立ち』の歌詞も、「母の背中で…」と作品にもリンクしている気がします。最近、佐々部組ではカラオケのラストは決まって、谷村新司バージョンの『いい日旅立ち』を皆で歌っていますよ。
 
―――最後に、これからご覧になる皆さんに、メッセージをお願いします。
佐々部:きっと10年後、20年後、この国で介護はもっと大きな問題になっていきます。そこへ準備する気持ち、こんなことが起こり得るかもしれないということを少しでも考えてもらえるといいなと思います。また、男と女が夫婦となって添い遂げることが、こんなに素敵だということを分かってもらえるといいなと思って作りました。地味な映画ですが、映画館で観ていただけるとうれしいです。
(江口由美)
 

<作品情報>
『八重子のハミング』(2016年 日本 1時間52分)
監督・脚本:佐々部清 
原作:陽信孝『八重子のハミング』小学館刊
出演:升毅、高橋洋子、文音、中村優一、安倍萌生、辻伊吹、二宮慶多、上月左知子、月影瞳、朝加真由美、井上順、梅沢富美男他
2017年5月13日(土)~シネ・リーブル梅田他全国順次公開
配給:アークエンタテインメント
公式サイト⇒http://yaeko-humming.jp/
(C)Team『八重子のハミング』
 

ps-inta-550.jpg『パーソナル・ショッパー』ララ役/シグリッド・ブアジズ インタビュー

≪シグリッド・ブアジズ プロフィール≫
1984年3月10日、フランス・パリ生まれ。フランス国立高等演技学校(Contuvatoire national superior d'Art dramatique du Paris)で学ぶ。2008年、短編映画『Cortege』(未/原題)で映画デビュー。13年に世界的に大ヒットしたデンマーク・スウェーデン合作の北欧ミステリー「THE BRIDGE/ブリッジ」を原作にリメイクされた英国のTVドラマシリーズ「トンネル~国境に落ちた血」に出演し注目を浴びる。その他の出演作にミア・ハンセン=ラブ監督作『EDEN/エデン』(14)、さらにFENDIの広告モデルとしても活躍。


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シグリッド・ブアジズさん、『パーソナル・ショッパー』を語る。

 
「主役を演じるより脇役を演じる方が難しい」――そう言われることがよくある。確かに、どんなに主人公が輝いていても、他の登場人物に魅力がなければ、映画に深みがなくなってしまい、見ていてもときめかないという体験をお持ちの人も多いのではないだろうか?


5 月12日から上映が始まる『パーソナル・ショッパー』で、確かな存在感を放つ脇役の一人が、シグリッド・ブアジズさんだ。クリステン・スチュワートが演じる主人公・モウリーンの義理の姉・ララを演じる。双子の兄を亡くしたモウリーン。そして、彼女と共通の大切な人を亡くしたララ。映画は、モウリーンの悲しみを軸に展開されていくが、伴侶を亡くしたララもまた、スクリーンに映し出されないところで悲しみを抱えている。


ps-inta-240.jpg脇役を演じる難しさはどこにあるのか?
「シナリオに書かれていない部分を自分で想像しなければならないところ」「主役にも脇役にも同じように1つの人生があります。だから、登場シーンが少ない人物は、登場しない部分の生活を、自分の想像力で埋めていかなければなりません」とシグリッドさんは語る。
複数の俳優たちが懸命な姿勢で役に取り組むからこそ、1本の映画にずしりとした重みが出るのだろう。
オリヴィエ・アサイヤス監督は、その重要な任務のひとつをシグリッドさんに委ねた。


彼女がこの映画を出演した経緯は?
「監督から直接依頼がありました。カフェでアサイヤス監督と会って、シナリオを読んだとき、その多様な要素にものすごく感動したんです!」。
トラディショナルな要素と、新しいテクノロジーを駆使したモダンな要素とが混在し、絵に描いたような現代っ子が主人公として登場するが、彼女は「孤独」という普遍的な苦しみをまとっている。キラキラしたモードの世界と、幽霊といったオカルトの世界が混在しているところも面白い。


ホラーやモードを題材にしながらも、哲学的な結末を導き出していくアサイヤス監督。現場では俳優たちにどのように接しているのだろうか?
「とても穏やかな方です。自分の作品に信念を持っているからでしょうか。柔軟性があり、俳優に要求する内容はとてもシンプルです」
シグリッドさんもそんな監督のもとで、のびやかにララを演じた。また、主演・クリステン・スチュワートが醸し出す力強いエネルギーもまた、彼女の演技に大きな影響を与えたに違いない。

ps-500-7.jpg静かで落ち着いた印象のシグリッドさんだが、心の中は”演じることへの情熱”でいっぱいだ。数年前に「自分はジャンヌ・ダルクだ」と思い込む人物を演じたと聞いたとき、彼女の役者としてのはかり知れない可能性を見た気がした。(日本未公開作“Jeanne”/ ブノワ・ジャコ監督作品)


アサイヤス監督は前作『アクトレス〜女たちの舞台〜』で脇を固めたクリステン・スチュワートを本作で主役に抜擢した。シグリッド・ブアジズさんが、アサイヤス監督の作品で主役を演じる日も、遠くはないかもしれない。


(写真・文:田中明花)

■作品紹介⇒ こちら
■公式サイト⇒ http://personalshopper-movie.com/

©2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR

 <写真キャプション>シグリッド・ブアジズさん(2017年4月19日撮影/田中明花)


(オフィシャル レポートより)

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~吉祥寺・井の頭公園を舞台にした青春音楽映画がつなぐ過去、現在、そして未来~

 
橋本愛がギターの弾き語りをし、染谷将太が等身大の若者の言葉をラップにのせて歌いあげ、永野芽郁が公園中の音を拾い集める。トクマルシューゴをはじめ、高円寺、西荻窪、吉祥寺など中央線沿線で活動するミュージシャンたちが、そこここに現れ、ライブでその音色や歌声を響かせる。公園愛、そして音楽愛に溢れた瑞々しい青春映画が誕生した。
 
今年で100周年を迎える吉祥寺・井の頭公園を舞台に、瀬田なつき監督が脚本・編集も手がけたオリジナル長編映画『PARKS パークス』。彼氏と別れ、大学も留年の危機を迎えた純(橋本愛)、亡き父の学生時代の恋人、佐知子の消息を探す高校生のハル(永野芽郁)、佐知子の孫、トキオ(染谷将太)の3人が、佐知子の遺品から見つけたオープンリールのテープに録音された歌を完成させようと動き出す。過去と現在をつなぎ、さらに未来へと遺す物語は、瀬田監督らしい軽やかさと風が吹いたような爽やかさを運んでくれる。何者にもなれず、もがいてしまう青春時代のモヤッツとした気持ち、それを吹っ切り走り出す瞬間が役者たちの豊かな表情から感じ取れることだろう。第12回大阪アジアン映画祭のクロージング作品としてワールドプレミア上映された本作の瀬田監督に、物語の成り立ちや橋本愛をはじめとするキャストたち、様々なミュージシャンと作り上げた音楽についてお話を伺った。
 

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■「(井の頭)公園が映っていれば、好きにやっていい」

  100周年を迎える井の頭公園を映画に遺すプロジェクトで、オリジナル作品を撮る。

―――井の頭公園を舞台にした映画を撮ることになったいきさつは?
瀬田:吉祥寺にはバウスシアターという映画館があり、そこに行けば邦画、洋画問わずいい映画を観ることができたり、特集上映をしてくれる場所だったのですが、2014年5月に閉館してしまいました。バウスシアターのオーナーだった本田拓夫さんは生まれも育ちも吉祥寺で、100周年を迎える井の頭公園の映画を遺したいと企画を立ち上げ、色々なつながりから私に監督のお声がかかったのです。是非やってみたいと快諾し、脚本も自分で書いたオリジナル作品を撮ることができました。
 
―――音楽が重要な要素となる映画ですが、最初から音楽をメインにしようと考えていたのですか?
瀬田:公園が映っていれば好きにやっていいとのことだったので、公園の中で何かを完成させるようなものにしようと考えていました。最初は何かを探すお話にしようと、小説だとか色々考えていたのですが、音楽を作り上げる話を思いついたのです。ゼネラルプロデューサーの樋口泰人さんから、音楽の部分を最初から誰かに頼んで、シナリオを書く段階から参加してもらい、同時に作っていけばいいのではないかとの提案があり、トクマルシューゴさんに最初から参加してもらうことになりました。歌詞も一緒に考えましたし、色々なイメージが膨らんでいきました。
 
―――音楽監修をされたトクマルシューゴさんについて、教えてください。
瀬田:トクマルさんも、井の頭公園は小さい頃から遊びに行っていた思い出深い公園だそうです。一人での活動だけでなく、様々なアーティストさんとコラボをしたり、一緒にライブもされてもいるので、トクマルさんのお知り合いで、吉祥寺を中心として中央線沿線の西荻窪や高円寺などのミュージシャンの方も巻き込んでいただきました。トクマルさんには劇中で演奏する曲を何曲か作ってもらい、たくさんのミュージシャンも参加し、面白い形の音楽映画が作れたと思います。

 

■過去や現在、その先の事も見える映画に。ビートルズが上陸する前の音楽を再現。

―――ファンタスティックな部分を併せ持つ作品ですが、物語はどのように作り上げたのですか?
瀬田:結構不思議な世界になっていますね(笑)。「100年」というのがキーワードになっているので、過去や現在、その先のことも見える映画にしたいなと思い、それらがサッとつながる見せ方になりました。過去は1964年という設定ですが、忠実に再現するのではなく、イメージの60年代という世界で面白いものを美術や衣装などで表現してもらいました。音楽も60年代のメロディーのコードなどを調べて下さり、ビートルズが上陸する前の音楽で、その時代の楽器の編成も再現しつつ作ってもらいました。
 
―――60年代の物語ではオープンリールテープが使われていますね。録音するのも一苦労だった当時の様子が伝わってきます。
瀬田:操作を覚えると結構楽しいのですが、撮影中でもたまにテープが切れることがあり、セロファンテープでくっつけたりしました。テープが劣化して続きが聴けなくなるというところから、過去の曲を現代で完成させ、次の時代につなげると面白くなるのではないかと。公園も色々な人の過去の記憶があるけれど、それを今の人が更新していく。そうやってつながっていくといいなと思いました。
 

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■主演、橋本愛の力の抜けたその表情も取り入れ、重さと軽さの両面を映画で見せる。

―――主演、純役の橋本愛さんもギターの弾き語りを披露していましたが、結構練習されたのですか?
瀬田:ご自分でギターを持っていらして、弾いたりされてたようですし、音楽が好きで色々な歌手の歌を歌っていたそうです。こちらが提示した曲も家で練習してくださり、「音楽がちょっと好きだけど、プロフェッショナルほどではない」という丁度いい塩梅で、純役に合っていました。
 
―――いつもヒロインの女の子がとても瑞々しく描かれていますが、今回の橋本愛さんも、ナチュラルな彼女の魅力が引き出されていました。初めて一緒に仕事をしたそうですが、キャスティングの経緯は?
瀬田:前からずっと一緒にお仕事をしたいという気持ちがありました。橋本さんは、普段は割と陰があったり、気の強い役が多いと感じていたのですが、何かの映画のメイキングを観た時に、力の抜けた素の表情を見せていて、日頃見るような凛とした表情とギャップがありました。その両面を映画で見せることができれば、モヤッとしている重さと軽さをうまく演じてくれるのではないかと思い、オファーさせていただきました。橋本さんは自称「風を操れる人」で、彼女がベランダに出ると風がふわっと吹いて、カーテンが揺れたりするんですよ。話してみると、とてもチャーミングな方でしたね。
 
―――瀬田監督の作品で「軽さ」はキーワードのように感じますね。
瀬田:この作品は特に軽やかに撮りたいという部分がありました。永野芽郁さんが演じたハルも普通だと悩みそうな役ですが、過去に行っても、現在でも溶け込んでいて柔軟な表現力がありました。現実なのか、幻想なのかという部分を、永野さんだからふわっと演じてくれました。
 
 
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■大人でも子どもでもないキャラクター、トキオ役を自分で作り、共演者を巻き込んでくれた染谷将太の存在。

―――瀬田監督は、染谷将太さんをよく起用されていますが、染谷さんの魅力はどんなところですか
瀬田:染谷さんは本当にプロフェッショナルな役者さんで、トキオ役を自分でふくらませて作ってくださり、橋本さんや永野さんをうまい具合に巻き込んでくれ、信頼できる人だなと思っています。私からは軽やかにと伝えただけですが、大人でも子どもでもないキャラクターでちょっとテンション高めの男の子になりましたね。
 
―――染谷さんはラップを披露していましたね。即興っぽいラップもありましたが。
瀬田:染谷さんは、園子温監督の『TOKYO TRIBE』でラップをされていたので、トクマルさんと染谷さんに何をやってもらおうかと考えていた時、「きっと染谷さんならラップできるよ」と、フリースタイルで勝手に言葉を選んで歌ってもらおうと考えていたんです。でも、染谷さんから「いや、できないですよ」と言われて(笑)。最後に歌うものは、ceroの高城さんにリリッックを書いて頂いたのですが、そこまでのラップは「池にはカモ」とか、「空には雲」と素人の私が勉強しながら書いて、染谷さんに添削してもらって、トクマルさんも巻き込みながら一緒に考えていく作業でしたね。シナリオ段階は結構不安でしたけれど、染谷さんの技術で歌いこなしてくれました。韻の踏み方も上手でしたね。
 
―――瀬田監督の映画で外せないといえば自転車のシーンですが、今回も冒頭からヒロインの純が桜満開の井の頭公園を疾走していきます。
瀬田:走っているよりもすっと映る疾走感やスピード感があるので、自転車のシーンは好きですね。自転車を撮っているだけで、背景も変わっていくので、一気に街や公園も見せられます。公園は自動車で走れないので、撮影の時もカメラマンの方が電動自転車の後ろにつけたリアカーにカメラを載せて撮影する撮り方を考えてくれました。橋本さんもいい距離感で自転車を漕いでくれましたね。桜のシーンから始めたいというのは、企画の本田さんの希望で、それだけは外せないと。
 

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■編集は表情を重視。鈴木清順監督のような、予想を裏切る展開を心がけて。

―――瀬田監督は脚本だけでなく、編集もご自身でされていますが、心がけている点は?
瀬田:役者の方の表情や動きが1回限りしかできないような形に切り取りたい。その瞬間しか出ないところを残し、魅力的に見せたいという点を重視しています。表情を重視していますね。あとは、驚きのある、予想を少し裏切れるような繋ぎ方を心がけています。鈴木清順監督も大好きで、こういう風にしてもいいんだと勉強になります。
 
―――鈴木清順監督の名前が挙がりましたが、他に影響を受けた監督は?
瀬田:ヌーヴェルヴァーグの監督、初期のゴダールや、フランソワ・トリュフォーやエリック・ロメールは、少ない人数で街に出て、さっと撮っているスタイルや、自然光で撮るなどが参考になっています。街に出てカメラを回せば物語ができる。今回はまさしく公園が撮り放題でしたから。
 
―――クライマックスは、公園を舞台に軽やかなミュージカル風のシーンが用意され、最後まで楽しめました。ミュージカル映画への布石にもなりそうですね。
瀬田:トクマルさんが作ってくれた曲が壮大で盛り上がる曲だったので、エキストラの人にも踊ってもらおうと少しずつ豪華になって、ビデオコンテを作って、公園に人が少ない時間を狙って3日ぐらいに分けて撮りました。音楽がいつの間にか始まり、人が台詞ではなく、音楽で動き始めるようなミュージカル映画も好きですし、日本ではなかなか難しいのですが、街で想像外のことが起こるミュージカル、いわば『ラ・ラ・ランド』のようにもっと音楽の要素を入れた作品にも挑戦してみたいです。
(江口由美)
 

<作品情報>
『PARKS パークス』(2017年 日本 1時間58分)
監督・脚本・編集:瀬田なつき
出演:橋本愛、永野芽郁、染谷将太/石橋静河、森岡龍/佐野史郎他
2017年4月22日(土)~テアトル新宿、5月6日(土)~シネ・リーブル梅田、5月13日(土)~神戸国際松竹、初夏~京都シネマ他全国順次公開
公式サイト⇒http://parks100.jp/  
(C) 2017本田プロモーションBAUS
 

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現代によみがえらせた『雪女』で描きたかったことは?
『雪女』監督・主演、杉野希妃さんインタビュー
 
長編デビュー作『マンガ肉と僕』、全編インドネシアロケの長編2作目『欲動』と、主演や出演、プロデューサー業をこなしながら話題作を世に送り出していた杉野希妃監督。3作目の題材に選んだのは、小泉八雲の「怪談」より、日本人になじみ深い短編「雪女」だ。独自の解釈を加えながらも、「雪女」の世界観を踏襲。自ら雪女/ユキ役を演じる最新監督作『雪女』が、4月1日(土)よりシネ・リーブル梅田、シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館の関西4館で同時公開される。オール広島ロケによる日本の原風景や雪のシーンを交えながら、人間の男を好きになった雪女、そして雪女の娘ウメの生き様を、幻想的な映像で綴っている。
 
監督・主演の杉野希妃さんに、『雪女』を映画化するにあたって原作から膨らませた部分や、現代によみがえらせた『雪女』に込めた思いについてお話を伺った。
 

■『雪女』映画化で出したかったのは、寺山修二監督作品『さらば箱舟』のような世界観

━━━「雪女」を映画化したきっかけは?
杉野:4年前、『おだやかな日常』でトライベッカ映画祭(ニューヨーク)に参加したとき、小泉八雲のエッセイ映画を撮る企画を進めていた現地在住のプロデューサーの方にお会いする機会がありました。小泉八雲の本についてお話するうちに、その方からふと言われたのです。「(杉野さんは)雪女っぽいから、やってみれば?」と。確かに雪女のことはなんとなく知ってはいましたし、映画化すれば面白いかもしれないとその場で思い、まずはきちんと本を読もうと帰国後八雲の「怪談」を買い求めて、初めてきちんと「雪女」を読みました。
 
━━━改めて「雪女」を読み直し、どこに魅力を感じましたか?
杉野:たくさんの驚きがありました。まず、こんなに短いお話だったのかということ。また、子どもを10人も産んでいたとか、雪女の感情が全く描かれていないなど、驚きと謎に満ちていました。ただ、その謎を解き明かしていく感覚がむしろ楽しく、私なりの解釈で映画化すれば、きっと面白いものができるはずだと。ニューヨークでの直感が映画になったのは不思議な気分ですが、神のお導きか、映画の神様が囁いてくれた。そんな気がしています。
 
━━━誰もが知っている「雪女」のイメージを膨らませ、脚本化するのは難しい作業だったと思いますが、どのようなプロセスを経たのですか?
杉野:当初プロデューサーからは、完全な現代ものとして制作することを提案されました。でも雪女のユキが洋服を着て、現代版ファンタジーのように描いてしまうのは、もったいない。私が「雪女」を読んだ時に感じた日本の原風景や雪景色を、現代の設定に織り交ぜて雰囲気を出していくことに違和感を覚えました。時代設定を変えて新しさを出すより、思想的な部分に今の私が考えていることを織り込むことで新しさを出す方が、自分らしい作品になる。そう考えて、現代のパラレルワールド的な、ある村のどこかという設定にしました。寺山修二監督作品『さらば箱舟』のような世界観、つまり「もしかすると、あるかもしれないし、ないかもしれない」というギリギリのラインの世界観が好きなのです。映像的にCGを使って表現するやり方ではなく、淡々とした静寂の中に潜む感情を大切にすることで表現していきました。
 

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■「何といわれても演じたかった」雪女役がもたらした役者人生初の体験とは?

━━━杉野さんが雪女として登場するシーンから、雪女の持つ妖艶さや儚さが漂い、特別な世界に誘われました。演じる上で、プレッシャーはありましたか?
杉野:誰に何を言われても、雪女は自分で演じてみたかった。そもそも、人間でないものを演じてみたいという願望もありましたし、俳優として「このキャラクターは掴みにくい」と思うものこそ、やる気が出ますから。雪女がどのように人間と交わり、人間化していくのかという部分も演じがいがありました。
 
━━━雪女は怖い存在というより、死への渡し人のようなニュアンスを感じますね。
杉野:雪女が死に寄り添うような感覚は残したかったですね。「ホラー映画かと思ったのに…」というご感想もいただきますが、オープニングも怖さだけでなく、どこかやさしさを出しています。おこがましい話ですが、『雨月物語』の京マチ子さんが本当にアップで映っていらっしゃるので、撮影の上野彰吾さんとギャグで「打倒、京マチ子さん!」と言いながら、どの角度やアップがいいかを試行錯誤を重ねて、撮っていました。
 
━━━雪女を演じてみて、杉野さん自身の中に何か変化や感じることはありましたか?
杉野:水野久美さん演じるばあばが死んだ後、ユキとウメの二人が慈愛の目でばあばを見つめるシーンを書いたのですが、撮影中にその表情をしようとしてもできなかったのです。ひたすら無表情で見つめる演技しかできなかった。モニターを見た時に、脚本を読んでいるはずのウメを演じる山口まゆさんも、同じく無表情で見つめていて、演出をした訳でもないのに同じ眼差し、同じ無表情で、二人の動きがシンクロする空気感がその時ありました。演じるためには自分をコントロールしなければいけない部分がありますが、コントロールできないものが確かにあると今回初めて感じました。
 
━━━物語の中心となるのはユキと巳之吉の夫婦関係とその愛ですが、劇中でその愛を表す美しいラブシーンが登場します。女性監督が描くエロスの表現が、艶っぽく、そしてラストシーンに説得力を持たせていました。
杉野:あのラブシーンは絶対に必要ですし、少し長めに撮ろうと最初から考えていました。生々しい感じであり、且つ男目線ではない感じのシーンにしたかったのです。ただ、自分で書いたとはいえ、オールアップ直前の締めのシーンでしたし、夜中からキャメラを回していたので、「なんて大変なシーンを入れてしまったのだろう」と撮影直前は一瞬後悔しましたね(笑)。
 

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■「夫婦だが緊張感のある二人」青木崇高が演じる夫・巳之吉。 

━━━巳之吉役の青木崇高さんは、昔ながらの日本男子がはまり役でした。キャスティングの経緯は?

 

杉野:私がプロデューサーを始めたころから、味のある芝居をされる青木さんと、いつかお仕事をご一緒したいと思っていました。元々海外の監督や映画人と一緒に仕事をしたいというお気持ちが強い方で、今回念願叶って巳之吉役をオファーさせていただきました。原作の巳之吉は朴訥としていて、肝心な場面でうっかり口を滑らせてしまったという雰囲気を持っています。ただ映画となると、雪女が化けて現れるのに、単に朴訥としている人だと張り合いがない。雪女が冷たいなら、巳之吉は情が深いというように、いい緊張感や張り合いのある感じで、両者が対比できる存在であってほしい。青木さんなら巳之吉の中にある感情の軋みを表現していただけると思いました。特に細かい指示は出さず、「夫婦だが、緊張感のある二人」とだけお伝えし、狙い通りに演じていただいたと思います。
 
 
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■ユキの娘、ウメは『雪女』で一番大事なオリジナルの役。

━━━山口まゆさんが演じるユキの娘・ウメは、原作にはないオリジナルの設定ですが、どのような演出をしたのですか?
杉野:山口さんには、ウメというキャラクターが今回の『雪女』で一番大事であることを説明しました。「異種である雪女と、人間の間に生まれた子どもがどういう存在なのかを、この映画で描きたい。原作にないキャラクター、ウメを作り、10人いた子どもを、ウメ一人に集約させているので、頑張って演じてください」と狙いを伝えました。ただ、あえて作り込まなくても、山口さん自身が持つ素質の中に、二代目雪女に通じるものがありました。まだ思春期で、子どもっぽいところもあれば、達観した雰囲気も備え持ち、口を開けば子どもっぽいことも話したりする。そんなアンバランスさや無防備さに色気を感じました。ウメの中には自分は人間なのか、雪女なのかという葛藤もありながら、どこかでその運命を受け入れています。山口さんのポテンシャルがあれば、多くを言わなくてもそのニュアンスを演じてくれると思ったので、安心してウメ役を任せることができました。
 
━━━ウメが成人の儀式に参加しているシーンが2回登場しますが、そのシーンを取り入れた意図は?
杉野:実は儀式のシーンで、ばあばが「儀式の意味を忘れてしまう社会は、滅びるのみよ」という台詞を入れていました。説明的すぎるので最終的にはカットしましたが、代々儀式を行う意味を本当に私たちは知っているのだろうか。そのような問題提起を含め、象徴的に映像へ入れたかったのです。2回目の儀式では、子どもから大人になったウメを描いています。最後に何を思うのか、そのウメの顔で物語を終わろうと決めていました。

 

■運命的な佐野史郎出演秘話と、あて書きの一人二役に込めた狙い。

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━━━茂作役の佐野史郎さんは、ご自身でも小泉八雲の朗読をライフワークとされ、妖怪への造詣も深いそうで、『雪女』にピッタリのキャスティングです。
杉野:佐野さんは『禁忌』という作品で、私が演じるヒロインの父親役でした。ちょうど「怪談」を読み終わり、『雪女』を撮りたいと考えていた頃だったので、撮影の合間に『雪女』の話をしたところ、偶然なことに、佐野さんもアニメーション版『雪女』(イジー・バルダ監督)のプロデュース兼声優をしているとお話してくださり、これはもう運命だと思いました。佐野さんからも「やればいいと思うよ」とおっしゃっていただいたので、その場で「佐野さんにあて書きしますので、ご出演いただけますか」と出演のお願いをしていました(笑)。
 
ずっと脚本の進捗状況をお伝えしては、「待っています」とお返事をいただいていたのですが、いよいよ出来上がった脚本をお届けした時、「大好きな幻想怪奇の世界がきちんと描かれている」と評価していただき、ほっとしました。当初から佐野さんには茂作だけでなく二役演じていただこうと決めていました。茂作は自然寄りの人間ですが、茂作の兄、雨宮は文明寄りの人間で、兄弟でも全然違うという設定になっています。
 
━━━佐野さんを二役にするという設定からも、原作「雪女」から物語が膨らんだ形になっていますね。
杉野:実は、脚本の途中段階までは茂作と神主の二役という設定でした。雨宮的存在、つまり町の権力者を象徴した存在ですが、神道という民俗学的なものを掛け合わせた世界観、しかも少しエロイという役どころです。ただ、「現代社会との対比的存在」の雨宮にする方が、本来の雪女寄りになるのではないか。雪女は自然の化身という見え方もできますし、人間は自然の一部として生きているのに、自然VS人間という二極対立的な視点で世界を見ているのではないかという問題提起が、雪女の中にもあると思うのです。文明VS自然という形で表現した方が分かりやすいのではないかと考え、今の形に落ち着きました。
 
 
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■杉野作品を象徴する川シーンと音楽の考え方。

━━━日本の原風景や雪模様の美しさも大きな見どころです。特に、渡し舟で川を行き来するシーンが意図的に挿入されていますが、何を象徴しているのですか?
杉野:長編デビュー作の『マンガ肉と僕』でも川を象徴的に出していますが、私にとって川はあの世とこの世の狭間であったり、子どもと大人の境界のゆらぎを表現できるものだと思っています。私の出身地、広島が三角州の街なので川が多く、だから私も川を見ると、とても落ち着きます。
 
━━━杉野さん監督作の音楽は、和楽器や民族楽器を使い、作品世界の雰囲気を的確に表現していますね。個人的にも非常に好きな音楽の使い方です。
杉野:私の作品を、例えば久石譲さんのような音楽を付けてドラマチックにすることもできますが、音楽を作って感情を引き出すのではなく、音の一つ一つを自然の一部としてはめ込んでいく形にしたいという狙いがありました。音楽のsowjowさんはそれを汲み取ってくれたと思います。ラブシーンの時も、二人の交わりを描く不協和音を少し入れてもらい、耳障りかもしれないけれど敢えて加えています。

 

■杉野希妃、監督としてのこれから。

━━━『雪女』で長編監督作としては3作目になりますが、どんな手応えを感じていますか?
杉野:3作とも全く違う作風になっていますし、まだ自分自身の個性を掴み切れていない部分があります。それは悪いことではなく、これからの伸びしろと考えて自分自身の作家性を模索していくのが、今はとても楽しいですね。美しさについてのこだわりや、思想の多様性という部分での個性はありますが、映像的な個性はまだまだ模索していきたいと思います。
 
━━━最後に、今の時代に映画で「雪女」を蘇らせた意味とは?
杉野:宿命から逃れられない悲恋という雪女の切ないラブストーリーは、染み入るものがあると思います。また、違う存在と交わることは何なのか、何を意味しているのかを、現代に置き換えて考えていただければうれしいです。
(江口由美)
 

<作品情報>
『雪女』(2016年 日本 1時間36分)
監督:杉野希妃
出演:杉野希妃、青木崇高、山口まゆ、佐野史郎、水野久美、宮崎美子、山本剛史、松岡広大、梅野渚他
2017年4月1日(土)~シネ・リーブル梅田、シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館
※4月1日(土)シネ・リーブル梅田、シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館各劇場で杉野希妃監督による舞台挨拶あり(詳細は各劇場サイトまで)
公式サイト⇒http://snowwomanfilm.com/ 
(C) Snow Woman Film Partners
 

②3lion-di-500-2.jpg『3月のライオン』大友啓史監督インタビュー

(2017年2月28日(火)大阪にて)


将棋の世界で闘う桐山零を、豪華キャストにダイナミックな映像で活写!
大友啓史監督が贈る、静かなる闘志みなぎる感動巨編!


将棋界を舞台に孤独な少年・桐山零の闘いを描いた、羽海野チカ原作の人気コミック「3月のライオン」。この度、大友啓史監督による実写映画版『3月のライオン【前編・後編】』が完成し、この春二部作連続公開される。『るろうに剣心』シリーズでかつてない斬新なアクションやスペクタクル映像で異次元の時代劇を堪能させてくれた大友監督が、いまだ連載中の原作に独自のエンディングで臨んだ感動作。豪華キャストが演じる際立つキャラクターに加え、映画ならではのダイナミックな映像で作品に新たな息吹を与えた、エンタテイメント超大作の登場である。


3lion-550.jpg【STORY】
9歳の時に両親と妹を事故で亡くし天涯孤独となった桐山零(神木隆之介)は、プロ棋士の幸田(豊川悦司)に引き取られ、中学生でプロ棋士になった逸材だった。幸田家の二人の子供たち(姉弟)と共に将棋に精進してきたが、零だけがプロへの道を許された。そのせいで幸田家は家庭崩壊に陥り、とりわけ姉の香子(有村架純)は憎悪を露わにする。厳しい将棋の世界で勝ち抜くことがすべてだった零が、近所に住む川本家の3姉妹と知り合い、初めて家庭の温もりと安らぎを得る。強敵との対局や様々な人々との出会いを通じて、生きるために闘う本当の意味を学んでいくのだった。


この度、公開を前に来阪された大友啓史監督にお話を伺うことができましたので、下記にご紹介したいと思います。


――将棋の世界しか知らなかった主人公・桐山零が、孤独や不安を抱えながら、様々な人々との出会いを通じて成長していく物語ですね?
そうなんです。古典的青春ドラマというか、少年の成長小説の王道をいくようなドラマです。


――人気コミックの実写化ということで映像的にこだわった点は?
③3lion-di-240-3.jpg『るろうに剣心』のような時代劇は、キャラクター化した人物たちをテイストを間違えることなく映し換えるという作業が必要でした。今回は同時代で、将棋会館や佃島や月島など舞台設定も身近でリアルな場所ですから、コミックやアニメのキャラクターとは違って、「本当に生きている人々」という捉え方をして作らなければなりませんでした。あまりマンガチックに単純に作っていくと原作にある人物たちの内面の感情が活かされず、人間が生きているという感じがなくなってしまいます。人間って五面も六面もあるような複雑な感情を持っていると思うので、一面や二面だけを捉えたようなやり方は避けたかったのです。桐山零君も孤独で寂しくて大人しそうに見えるけど、内にはライオンを秘めています。勝負となると父親といえども打ち負かしていく。人物に対してはマンガやアニメ以上に複雑に、より複雑に描いていきたいと思いました。



――そのような感情表現について神木隆之介さんとは相談されたのですか?演出は細かい方ですか?
演出の仕方はTPOや俳優や素材にもよります。神木君とは話している内にお互い何を考えているのか理解し合えたので、彼は早い段階で「僕はアニメのキャラクターを卒業します」と言って、コミックを実写化しただけの演技ではなく、彼自身が“桐山零を生きる”という方向へシフトしていくことができました。あくまで原作を尊重した上で、映画は映画としての表現を目指した訳です。生身の人間が活かされて、生身の人間である私たちの集団芸術として創り上げていくことができたと思っています。


3lion-500-4.jpg――桐山零を精神的に追い詰める有村架純の演技が光ってましたね?
姉といえども零とは血は繋がっていないので、男女の仲になってもおかしくない。そこで、微妙な関係性の一線をひきながら、お互い乗り越えられない状況を描くのも面白いかなと思いました。家族として長い時間を過ごしていろんな事を共有していますから、誰よりもよく理解し合っている二人です。棋士としてはライバルという枷がうまく作用して、有村さんも緊張感のある関係性を生み出せていたと思います。


――それぞれのキャラが際立っていますが、キャスティングは希望通りでしたか?
一応希望は出しますが、俳優の意志やスケジュールなどのタイミングもあります。キャスティングはバランスが重要ですので、その役に似ているかとか、演技力など総合力で判断します。本作では、まず神木隆之介君が決まり、次に佐々木蔵之介さん、そして有村架純さんが決まり、少しずつ役が埋まる度にプロデューサーと相談しながら、長い時間をかけてひとつひとつ決めていったのです。


3lion-500-2.jpg――動きの少ない将棋は映画にしにくいと思われますが、1カットの将棋盤で緊迫した状況を明確に表現されてましたね?
確かに将棋盤自体は分かり辛いですよね。それより向き合っている棋士たちの表情や手の震えなどのコンディションを映すことで、どのような想いで対峙しているのかに重点を置きました。後藤(伊藤英明)が病気の妻のことを心配したり、島田(佐々木蔵之介)が山形の過剰な期待で胃が痛む思いをしたり、零が川本家3姉妹のことを心配したりと、棋士たちの精神状況を前提にした闘いを描こうと考えました。将棋の勝負は心と心の闘いでもあるので、人物の背景にあるものを描いた方が観る方も感情移入しやすくなり、将棋が分からなくてもそのシーンを観ただけで何かを感じて頂けるのではないかと思いました。


――四季折々の美しい風景や、スケール感のある歴史的建造物での撮影が、大きな魅力としてエンタテイメント性を高めていますね?
毎度のことですが、世界市場を視野におき、できるだけゴージャスになるように心掛けています。『るろうに剣心』のような時代劇だと、グレーディングという映像のトーンを決める作業で、今までのやり方だと色を抜いて渋いモノクロに近いものになってしまうところを、アメコミのようなテイストをもった新しい時代劇を目指して、むしろ色を出すように意識しました。

今回も将棋の世界は和の空間や着物が多いので、どうやって艶を出していくか…大きな対局では有名寺院や歴史的建造物などスペシャルな場所で撮影できましたが、基本的には将棋会館のような見慣れた場所が中心となりますので、どうすれば特別な場面として映るかが重要でした。そのために、山本英夫撮影監督と相談してワイドな映像が撮れるアナモルフィックレンズを使って撮影したのです。


①3lion-di-240-1.jpg――作品ごとに新たな世界を創りだしておられますが、今までの経験で何が一番役立っていますか?
ひとつには1997年から2年間、ハリウッドの撮影現場や南カリフォルニア大学等でディレクティングや脚本を学んだ経験が大きいですね。NHK時代の大河ドラマ『龍馬伝』では今までの大河とは違うことをやって相当暴れたので(笑)、殆どのことがOKかなと思えるようになりました。

その後、『るろうに剣心』のような半年かけての撮影では、色々と挫けそうになることもあったし、今回も4か月という長い撮影期間でしたが、『龍馬伝』の1年以上の撮影という密度の濃さに比べたらまだまだだよね、という精神的な耐久力ができているように感じます。


――『るろうに剣心』シリーズでは様々な年齢層に斬新な時代劇を楽しんでもらえましたね?
『3月のライオン』も老若男女に楽しんで頂けるような幅のあるドラマに仕上がっていると思います。主人公の桐山零君が穏やかな顔して内に凶暴なライオンを秘めているように、二面性が必要です。すべての事に対して、優しくて残酷、強くて弱い、常に真逆のものを持っていないと偏ってしまうような気がします。

『ミュージアム』のように人間が究極的に追い込まれていくとどういう状況になってしまうのかとか、『秘密THE TOP SECRET』のような人間の頭の中の記憶の書き換えなど、大きな仕掛けやガジェットに力を注いできたので、『3月のライオン』のような精神的に闘う人々を描いた作品を撮ることで、現実的なドラマを撮りたいという僕自身の渇望を吐き出す必要があった。いいタイミングでこの作品にとりかかれたと思います。


3lion-500-1.jpg――立て続けに新作を発表されてますが、新企画を選択する基準は?
ありがたいことに次々と企画を頂ける環境にあります。自分がやりたい作品にだけ集中すると下手すれば3年位かかってしまうので、撮りながらどうやって他の作品の準備をしていくか。撮らないと腕も鈍るので、先ず撮れるものにリーチすることも大事なことです。自分が撮りたいものを見失わないためにも両方を大事にして、そのバランスをとるのが難しいですね。私が3人くらい居ればいいのですが…(笑)。


――海外では、アカデミー賞監督賞を受賞したデミアン・チャゼル(32歳)のような若い監督が大活躍をしていますが?
彼の才能の豊かさは勿論ですが、冒頭のダンスシーンひとつとってもロスのフリーウェイを2日間貸し切って撮れるという環境が羨ましいですね。日本では絶対無理ですから。そうした撮影環境を整えられるのがロスという街で、映画の街、夢の街、まさに“ラ・ラ・ランド”なんですよ。


――お好きな監督とか影響を受けた監督などは?
ミロシュ・フォアマンやクリストファー・ノーラン、ロバート・アルトマンなど好きな監督は沢山います。この間、『沈黙/サイレンス』を観て、改めてマーティン・スコセッシ監督って凄いなと感じました。自分一人で、勝手に《スコセッシ週間》と決め、彼の過去の作品をいくつか見直してみて、撮り続ける幅も含めて改めて素晴らしい監督だと思いました。アクションだったらジョン・ウー監督。それぞれの監督が武器とするものが作品の中で発見できるような、独自性を持った監督が好きですね。私はTV界で仕事をしてきて、最初から映画監督を目指していた訳ではありません。ですが、最終的にどんな映画を撮っても何か自分のコアなものが見えてくるような、そんな監督になれたらいいなと思っています。



穏やかに、丁寧にインタビューに答えてくれた大友啓史監督。きっと現場でもスタッフやキャストへの説明を分かりやすく伝えられる監督なのだろう。原作の持ち味を、大胆な構成を基に緻密なプロットで積み上げ、新たに生きるキャラクターと躍動感あふれる将棋の映画を創り上げた。観る者を、ドラマチックな展開で惹きつけるだけでなく、主人公・桐山零と共に新たなステージへと導いてくれているようだ。


(河田 真喜子)



【大友啓史監督プロフィール】 (オフィシャルサイトより)

1966年岩手県盛岡市生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。90年NHK入局、秋田放送局を経て、97年から2年間L.A.に留学、ハリウッドにて脚本や映像演出に関わることを学ぶ。帰国後、連続テレビ小説『ちゅらさん』シリーズ、『ハゲタカ』『白洲次郎』、大河ドラマ『龍馬伝』等の演出、映画『ハゲタカ』(09年)監督を務める。 2011年4月NHK退局、株式会社大友啓史事務所を設立。同年ワーナー・ブラザースと日本人初の複数本監督契約を締結する。『るろうに剣心』(12年)、『プラチナデータ』(13年)を公開。 14年、『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』2作連続公開、14年度の実写邦画No.1ヒットを記録。日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞、毎日映画コンクールTSUATAYAファン賞、日本アカデミー賞話題賞など、国内外の賞を受賞。 2016年『秘密 THE TOP SECRET』、『ミュージアム』を公開。2017年は『3月のライオン』前編(3月18日)後編(4月22日)が公開予定。



『3月のライオン』【前編・後編】2部作

3lion-pos.jpg■原作:羽海野チカ「3月のライオン」(白泉社刊・ヤングアニマル連載)
■監督:大友啓史 (『ハゲタカ』『るろうに剣心』シリーズ3部作、『プラチナデータ』『秘密 THE TOP SECRET』『ミュージアム』)
■出演:神木隆之介 有村架純 倉科カナ 染谷将太 清原果耶 佐々木蔵之介 加瀬亮 前田吟 高橋一生 岩松了 斉木しげる 中村倫也 尾上寛之 奥野瑛太甲本雅裕 新津ちせ 板谷由夏 /伊藤英明/豊川悦司
■ 配給:東宝=アスミック・エース
■2017年 日本 【前編】2時間19分  【後編】2時間20分
■コピーライト:(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会


 

■【前編】 3月18日(土) 【後編】 4月22日(土) 2部作連続・全国ロードショー!

★シネルフレ作品紹介⇒ こちら

★舞台挨拶(2/28)⇒ こちら

★イベント(2/28)⇒ こちら

★公式サイト⇒ http://3lion-movie.com/
 

ndjc2016-550.jpg上の写真、前列左から、
★金 允洙(きむ ゆんす) 『白T』 
★吉野 主(よしの まもる) 『SENIOR MAN』
後列左から、
★新谷 寛行(しんたに ひろゆき) 『ジョニーの休日』
★籔下 雷太(やぶした らいた) 『戦場へ、インターン』
★目黒 啓太(めぐろ けいた) 『パンクしそうだ』


【大阪での上映】

日時: 3月18日(土)18:15
           3月19日(日)~3月24日(金)18:30

劇場: シネ・リーブル梅田map

入場料金:(5本まとめて)一般¥1,200円、学生・シニア¥1,000円
*全席指定

◆3月18日(土)/ndjc2016参加監督による初日舞台挨拶
3月18日(土)18:15開映 20:45舞台挨拶開始(21:05終了予定)
※登壇者は変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

登壇者:津田なおみ(映画パーソナリティ)、金允洙監督、新谷寛行監督、目黒啓太監督、籔下雷太監督、吉野主監督

2017年/カラー/スコープサイズ/©2017 VIPO
公式サイト⇒ http://www.vipo-ndjc.jp/



次世代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的とした《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》は、文化庁からNPO法人映像産業振興機構(略称:VIPO)が委託を受けて2006年からスタートした。このプロジェクトからは、昨年『湯を沸かすほどの熱い愛』で数々の賞に輝いた中野量太監督や、『トイレのピエタ』の松永大司監督、『ちょき』の金井純一監督、『話す犬を、放す』の熊谷まどか監督など、オリジナル脚本で活躍中の監督を輩出している。今回も、最終課題である35ミリフィルムによる短編映画(約30分)に挑んだ5人の作品を、3月11日からは東京にて、3月18日からは大阪にて一般公開されることになった。
 


【作品紹介】

ndjc2016-siroT-500.jpg『白T』
監督:金 允洙(きむ ゆんす) 
出演:弥尋、桜井ユキ 般若

タカラは汚れなき日々を過ごせるよう願いをこめて白のTシャツばかりを着ている。同棲中のエリとは一緒に俳優を目指していたが、エリだけが俳優の仕事を続け、タカラは他の仕事の就活中。エリが監督に抜擢されて濡れ場を演じた映像を見て以来、エリとの関係がぎくしゃくしてしまう。ある日コインランドリーで、依頼された相手をボコボコにするという〈復讐屋〉と出会ってから、タカラの気持ちがざわつき始める。

青やグレーを基調としたクールな映像は、潔癖症気味なタカラの脆さを浮き彫りにし、緊迫感を生んでいる。自らを束縛している象徴として「白T」をタイトルにしているところや、塗料を浴びるシュールなシーンなどコンテンポラリーな表現に富んだ、感覚に訴えてくる作品。
 



ndjc2016-joni-500.jpg『ジョニーの休日』
監督:新谷 寛行(しんたに ひろゆき)
出演:金井勇太 川添野愛 大塚千弘 かでなれおん 服部妙子 鈴木一功

35歳のフリーターのタケル(愛称ジョニー)が、20歳の女子大生・道子と本気で付き合おうと彼女の実家を訪ねたところ、次々と現れる都合の悪い女たちに翻弄され、最悪の気まずい思いをするというお話。

特に、台所でいそいそと夕食の準備をするハイテンションの母親と娘たちとの言いたい放題の会話を、隣室の居間で仏頂面の父親と二人でガラス越しに聞くという構図が面白い。金井勇太や大塚千弘の演技もさることながら、舞台劇のような凝縮した会話と場面設定にはインパクトがある。「本質を突けば崩れそうな男」とか「できそうもない理想ばかり語る男」とか、元カノを通じて知る自分の本性に愕然とするジョニーの表情がまたいい。
 


ndjc2016-pank-500.jpg『パンクしそうだ』
監督:目黒 啓太(めぐろ けいた)
出演:亀田侑樹 松山愛里 夛留見啓助 イワゴウサトシ 岩井堂聖子

彼女の妊娠を機にパンクバンドを辞めて彼女の実家の不動産屋を継ぐことになった隆平。披露宴の余興に花婿自らバンド演奏をすることになり、かつてのバンド仲間と練習しながら、パンクしそうな気持ちをパンク演奏にぶつける。そこへオーディションの誘いがきて、プロへの夢を諦めきれない自分に気付く。

目黒監督自身の経験に基づいた物語だという。本当にやりたいことを家族のために諦めて、現実に目を向けて生きていくという選択。それは男女に関係なく、多くの人に覚えのあることだろう。監督なりの結論なのだろうか、夢と現実に折り合いをつけながら生きていこうとする隆平と彼女の後姿が微笑ましい。
 


ndjc2016-inta-500.jpg『戦場へ、インターン』
監督:籔下 雷太(やぶした らいた)
出演:伊藤沙莉 萩原みのり 郭智博 米村亮太朗 青木健 塚本耕司

映画の撮影現場でインターン実習生として参加している麗子は、食事の準備や周辺の交通整理など、撮影隊の雑用をこなしていた。たまたま産気付いた妊婦を乗せた車を止めたことから撮影を中断させてしまい、大騒動となる。撮影のためなら無理難題を通そうとする理不尽さに反発する麗子。だが、自分と同じ歳の女優が不安を抱えながらも成長する姿を見て、撮影の醍醐味を感じていく。

撮影隊と世間とのズレ感をインターンの素直な目を通して浮き彫りにしている。また、想像力を発揮して演技に臨もうとする若い女優の葛藤もまた、撮影にかける人々の想いを象徴しているようだ。現場ならではの雰囲気を活かしながら若者の成長を描いて好感が持てる。
 


ndjc2016-SENIORMAN-500.jpg『SENIOR MAN』
監督:吉野 主(よしの まもる)
出演:峰蘭太郎 田中要次 油井昌由樹 久保晶 外波山文明

身寄りもなく独り暮らしの常吉は80歳。唯一の楽しみは老人ホームでの友人たちとの麻雀。そこで耳にするのは、老人を狙った詐欺事件や、世知辛い世の中を象徴するような噂話ばかり。誰にも迷惑かけずに日々無難に過ごしたいと思っていたが、ある夜強盗に襲われているお婆さんを助けたことで、常吉の中で眠っていたあるものが目覚める。

社会的弱者と見られている高齢者にとって、自分の健康問題と家族や知り合いの近況ばかりが気になるところ。それでも、まだ役に立ちたいと内心思っているに違いない。プロテクターに身を包んだ常吉が颯爽と夜回りに出たはいいが、逆に恐がられたり、バカにされたりと力不足を露呈することに。中々ヒーローよろしくカッコよくできないが、老人ならではの秘策で応戦する。人生諦めるには早い、今こそ“老人力”を発揮する時!

時代劇で活躍してきた峰蘭太郎が、寡黙ながら情に厚い常吉を演じて、時代劇ファンとしては嬉しかった。
 

(河田 真喜子) 


ndjc2016-200-3.jpg★金 允洙(キム ユンス)プロフィール
1986年東京都生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科修了。映画『バイバイ、マラーノ』(2013)、『或る夜の電車』(2014)を監督。HAIIRO DE ROSSI、Dragon One、ZORN、RHYME BOYA、般若などジャパニーズヒップホップのMVを多数手掛ける。第55回日本映画監督協会新人賞にノミネート。UR5ULA FILM POSSE代表。

 

 

 

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★新谷 寛行(しんたに ひろゆき) プロフィール
1980年大阪府生まれ。京都産業大学卒業。大阪の映像制作事務所で修行ののち、2006年上京、イベント会社映像制作部に入社する。2008年に退社後は、様々な制作現場で経験を積む。初めて監督した短編「カミソリ」(2015)が水戸短編映像祭、ショートショートフィルムフェスティバル & アジア、福岡インディペンデント映画祭(優秀賞)、札幌国際短編映画祭などで上映。

 

 

ndjc2016-200-4.jpg★目黒 啓太(めぐろ けいた)プロフィール
1986年新潟県生まれ。九州大学芸術工学部卒業。在学中から自主映画の制作を始める。2009
年より映像制作会社に勤務し、制作部、演出部として映画、CM、テレビ番組等の制作に携わる。2011年「大団円」が第21回シナリオS1グランプリ佳作を受賞。2013年からフリーランスの演出部として映画・ドラマ等の制作に携わる。2016年「ライフ・タイム・ライン」が第5回TBS連ドラ・シナリオ大賞受賞。現在は脚本家としてTVドラマ等に参加。

 

ndjc2016-200-2.jpg★籔下 雷太(やぶした らいた)プロフィール
1984年京都府生まれ。フォトグラファーとして活動する傍ら、ニューシネマワークショッ
プにて映画製作を学ぶ。実習作品の『告白までたどりつけない』(2014)が第五回武蔵野映画祭にて審査員特別賞を受賞。卒業制作の『わたしはアーティスト』(2015)が、SKIPシティ 国際Dシネマ映画祭にて短編部門グランプリ、PFFアワード2015にて審査員特別賞を受賞。


 

ndjc2016-200-5.jpg★吉野 主(よしの まもる)プロフィール
1985年宮崎県生まれ。宝塚造形芸術大学で映画を学ぶ。卒業後、『BALLAD ~名もなき恋のうた~』(2009/山崎貴監督)に助監督見習いとして参加。その後フリーランスの助監督として村川透、平山秀幸、佐藤純彌、佐藤太、井口昇、中村義洋、松本人志、羽住英一郎、大友啓史など、多くの監督のもとで経験を積む。

 

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自然豊かな屋久島を舞台に、東京から有名吹奏楽団を招いたはずが、実はアマチュア楽団だったことから巻き起こる騒動と担当者の成長を描くコメディー『東京ウィンドオーケストラ』が、2月18日(土)から京都シネマ、元町映画館、25日(土)からテアトル梅田にて公開される。
 
『滝を見に行く』(沖田修一監督)、『恋人たち』(橋口亮輔監督)に続く松竹ブロードキャスティングオリジナル映画製作プロジェクト第3弾に抜擢されたのは、本作が商業映画デビュー作となる新鋭坂下雄一郎監督。主演樋口役には、本作が初主演となる中西美帆(『喰女-クイメー』)を起用、監督も主演女優もフレッシュならば、ワークショップを経て選ばれたキャリア、年齢に幅のある楽団員役の面々も個性的だ。
 
 
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島で日々事務仕事をしながら、変化のない日々に倦怠感たっぷりだった樋口が、図らずしも自らが招いてしまった大トラブルを前に、どんどん変貌していく様が痛快。一方、招かれたものの様子がおかしいことに気付いた楽団の動揺やドタバタ劇は、団体ならではの“ゾロゾロ感”がコミカルさを誘う。楽団を招くのが夢だった感激屋の橘(小市慢太郎)や、音楽オンチで不倫相手でもある上司、田辺(松木大輔)など、樋口と共に騒動に巻き込まれていく同僚の慌てぶりが更なる笑いを呼ぶのだ。
 
本作の坂下雄一郎監督と主演の中西美帆さんに、不機嫌キャラ樋口の誕生秘話や、坂下流コメディーへのこだわりについてお話を伺った。
 

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■コメディーの王道を。『迷子の警察音楽隊』や『バグズ・ライフ』に着想を得たオリジナル脚本。

―――本作のオファーがきた経緯は?
坂下監督:プロデューサーと面識はなかったのですが、前作を観ていただいたそうで突然連絡をいただき、当プロジェクト(松竹ブロードキャスティングオリジナル映画製作プロジェクト第3弾)のことをお話いただきました。当時は第1弾の『滝を見に行く』が公開されたぐらいの時期で、第2弾の『恋人たち』は撮影すらしていなかったので、正直よく分からなかったですし、ワークショップもやったことがなく、想像がつかなかったです。でもお話をいただけるのはありがたいことですし、断る理由もないので、お引き受けすることにしました。
 
―――物語の着想はどこから得たのですか?
坂下監督:僕は今までコメディーっぽい作品が多く、プロデューサーもそれを観てくださっていたので、自然とコメディーの方向になり、ゼロから作っていきました。最初に作ったプロットは「ちょっとこれは・・・」と言われ、自由に作っていいという話だったのにと思いましたが、確かに今考えるとやらない方が良かったです。ワークショップの話にしようと思っていたので、あまりにも題材が近すぎました(笑)。そこからは、なるべく王道っぽい、昔からあるようなものを誠実に作ろうと方向変換し、色々考えていきました。
 
―――コメディーということで笑いを意識されたのですか?
坂下監督:構造や関係性を意識しました。コメディーの王道の一つとして「何かを偽る」というプロットがあり、それをやろう。オーディションで10人ぐらいを集めるという話だったので、10人集めて何ができるか。演奏でもしてみようかと、ほかの作品を参考にしつつ考えていきました。
 
―――具体的にどんな映画からインスピレーションを得たのですか?
坂下監督:ビジュアル的に皆同じ制服を着ているという設定は『迷子の警察音楽隊』からインスピレーションを得ましたが、大もとはピクサーの『バグズ・ライフ』ですね。身分を偽るという意味では『ギャラクシー・クエスト』や『サボテン・ブラザース』。撮り方に関しては『プライドと偏見』を繰り返し見ながら、カット割りを考えました。基本会話中心の映画なのですが、すごくカット割りが上手いのです。
 
―――屋久島をロケ地にしようと最初から決めていたのですか?
坂下監督:最初は単に地方でと考えていましたが、島だと主人公のどこにも行けない感じが出ていいなと思いました。屋久島にしたのは、実際に訪れ、役場の人にお話を聞く機会があったとき、ホールを借りることにも非常に寛大な対応をして頂き、またエキストラの人もたくさん来ていただけることが決め手になりました。島の風景も、中央が山で、三角錐みたいな形状なので、外のシーンを撮ると、バックは山の緑か海という状況が面白いと思ったのです。
 

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■不機嫌キャラ樋口の演出は、「棒読みでお願いします。感情を抑えて」

―――中西さんは、今回初主演ですが、オファーされた時の様子は?
中西:喫茶店で私はマネージャーと、監督は二人のプロデューサーと一緒の状態で小一時間ほど世間話をしただけたったので、オーディションというよりはお見合いみたいな感じでした(笑)。その後主演が決まったという連絡をいただいたときは、実感が全然湧かなかったです。この企画の第1弾、第2弾は当時映画界でも話題になっていたので、第3弾の主演を私がいただいていいのかと思ったりもしました。楽団のメンバーとは本読みの時に初めてお会いしたのですが、皆さんはワークショップを経て団結されている中、私一人が初対面状態だったので、最初は緊張しましたね。
 
―――中西さん演じる町役場職員の樋口は不機嫌キャラですが、元々は朝ドラのようなさわやかキャラだったそうですね。
坂下監督:本読みの段階で、あまり面白くなかったので、そこから試行錯誤が始まりました。不機嫌キャラにして100%面白いという確信は持てなかったのですが、それでもこちらの方がいいと信じてやっていきました。
中西:私も朝ドラヒロインのイメージでキャスティングされ、そのイメージで脚本を読んでいたので、変わったことへの戸惑いはありました。でも今までおとなしそうとか、いい子という決まったイメージの役が多かったので、初主演の作品でここまで今までガラリと雰囲気が変わる役を演じることができたのは、役者としてはターニングポイントになる作品となり、すごく良かったと思います。
 
―――喜怒哀楽を表現しない役で、演じる上で難しかったのでは?
中西:普段の私は本当に喜怒哀楽が激しいし、よく笑うのですが、樋口は日本一の楽団にオファーしたつもりが、間違った楽団を招いてしまったと気づいた時、落ち込むのではなく、むしろ逆ギレ気味になります。窮地でもあまり動揺しないのはどんな風なのだろうと考えていたのですが、途中で監督が「樋口役は自分を投影している」と話して下さったので、そうか監督を見ておけばいいんだと。全然動揺せず、「あ、はい。別に」という風なので、そういう感じか!と腑に落ちました。
 

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■個性豊かなキャラクターの中でキャラ立ちした、樋口の冷めた目線。

―――樋口が表情に出さない分、橘や田辺の喜怒哀楽が際だっていました。主役として周りの演者に対する受けの芝居も見所ですね。
中西:こんなにも感情を出さない演技をしていて、周りの楽団員や上司の橘、不倫相手の田辺など、とても個性豊かなキャラクターの中で埋もれるのではないかと心配していたのです。撮影中盤ぐらいに、監督が真顔で、「初号でエンドロールに中西さんではなく楽団員の名前が一番上だったらどうしますか?」と、私が心配しているのに、追い打ちをかけるような言葉をかけられた時は、本当に落ち込みました。今は監督が冗談を真顔で言う方だと分かってるので、あれは冗談だったと思えるのですが。
 
―――その言葉に奮起したのですか?
中西:奮起しようとしたら、翌日の現場で「棒読みでお願いします。感情を抑えて」とずっと言われたので、感情を出すことはできなかったんです。
坂下監督:コミュニケーションを取るためにと、助監督と中西さんと4人で食事のセッティングしてくれたみたいなのですが、僕は、突然呼び出されて、なぜ中西さんと食事を一緒にしているのか、その意向に気づかなくて。
中西:結局コミュニケーションを取ることもなく、追い打ちをかける言葉が出てきて(笑)。でも出来上がった映画を観てみると、周りがとても個性的な分、樋口がずっと冷めた目で状況を見ているのがある意味キャラ立ちしているんです。やはり、初主演だったので現場では必死で、周りが見えていない部分もあったのかなと後から反省しました。

 

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■編集で変えられない「台詞のスピード」を大事に。

―――セリフは多くないですが、登場人物たちの会話の間やテンポが緻密に計算されていました。
中西:落語の「間」に近いかもしれません。楽団が偽物だと分かった後、ホールの客席で、樋口が楽団員を問いつめるシーンでは、指揮者の言葉に被さるようにセリフを言っていました。監督からは「早口で」「間を詰めて」と言われたのが印象的でした。演じている時は、なぜ早口なのかと思っていましたが、作品を見ると樋口の面倒くさい感じがより引き立った気がします。監督からは「楽団員をゴミだと思ってください」とも言われたのですが、ゴミに対して、さっさとその仕事を終わらせたいという面倒くささにも繋がったのではないかと。
坂下監督:間は後の編集で何とかなる。後から変えられると思うのですが、セリフのスピード感は変えられない。間を詰めてもゆったりしゃべっていると、そこは詰められないので、早口で話してもらい、なんとなく出来上がりを想定しながら修正もできるように考えて撮りましたね。
 

■キャスト、スタッフ全員が愛している作品。真逆のキャラクターを演じる楽しさに気付いた。

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―――できあがった作品を見た印象は?
中西:完成した作品を見て、すごくかわいらしい映画だなと思いました。沖田監督(『滝を見に行く』)のコメントにもあるように「大人なのに、楽団員が子どものようだ」と。劇的な変化を描いているのではなく、日常のおかしみを描いた作品で、樋口も前半はふてぶてしくてイヤな女性に見えますが「後半すごく愛おしく見えた」という感想をたくさんいただきました。私も樋口詩織という役がとても愛おしくて、終わってからも寂しいし、なかなか忘れられない存在になりました。役者にとっての初主演作品だからといって、必ずしも全員がこのように自分の役や自分の作品を好きになるものではないでしょう。
 
―――作品にも役にも惚れ込まれたようですね。
中西:私だけではなく、楽団員役の方たちもこの作品を愛していて、東京公開時は毎日劇場ロビーに出向いています。私もキャンペーン以外は劇場に顔を出していますし、本当に一人でも多くの人に観てもらいたいと皆心の底から思っています。小さな規模の映画ですが、その中に私たちキャストやスタッフ、この映画に関わってくださった皆さんの思いと夢が詰まっています。観て下さる人に必ず伝わると思っています。
 
―――樋口役を演じて、役者としての引き出しが増えたと思いますが、今後どんな役を演じていきたいですか? 
中西:自分とは間逆のキャラクターを演じる方が楽しいということに気づかされた現場でした。役者は基本待つことが仕事。辛さ9割ですが、残りの1割は普通の仕事では味わえない幸福感があります。色々な人の人生を演じることができる仕事だから、辛くても頑張ろうと思えます。一回一回が勝負なので、悔いのないように、これが最後かもしれないという気持ちで常に望まなければいけない。定年も退職もないのが俳優という仕事ですから、自覚と覚悟があるか、最終的に演じることが好きかどうかだと思います。
(江口由美)
 

<作品情報>
『東京ウィンドオーケストラ』(2016年 日本 1時間15分)
監督:坂下雄一郎 
出演:中西美帆、小市慢太郎、松木大輔、星野恵亮、遠藤隆太、及川莉乃、水野小論、嘉瀬興一郎、近藤フク、青柳信孝、川瀬絵梨、松本行央、武田祐一 
2017年2月18日(土)~京都シネマ、元町映画館、25日(土)~テアトル梅田他全国順次公開
公式サイト⇒http://tokyowo.jp/
(C) 松竹ブロードキャスティング
 

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~小芝風花(『魔女の宅急便』)×香川京子の新旧ヒロインが贈る、ズレズレ女子の成長物語~

 
史跡や自然の豊かな奈良県葛城地域を舞台に、周りとズレているために仕事やコミュニケーションがうまくいかない新米司書の成長を描くヒューマンストーリー『天使のいる図書館』が、2月11日(土)からTOHOシネマズ橿原、イオンシネマ西大和、18日(土)から大阪ステーションシティシネマ、シネマート心斎橋にて公開される。
 
監督は、『リュウグウノツカイ』(14)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門「北海道知事賞」を受賞、『桜の雨』(16)で合唱を通して成長する高校生たちを瑞々しく描いた奈良県出身の新鋭ウエダアツシ。『魔女の宅急便』以来の主演作となる小芝風花をヒロイン、さくらに、巨匠たちに愛され、今も現役の大女優・香川京子を、さくらが図書館で出会い大きく心動かされていく女性・礼子に配し、世代を超えた友情と、時を越えた愛の詰まった優しい物語に仕立て上げた。
 
 
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周りとズレているさくらのコミカルなキャラクター造詣や、忘れられない人を胸に抱き続ける礼子の人生が滲み出る演技など、両女優の演技に惹き込まれる本作。図書館を舞台にしているだけあり、司書の仕事ぶりや図書館の日常だけでなく、名書『天の夕顔』(中川与一著)に重なるエピソードや、『海辺のカフカ』(村上春樹著)の主人公を彷彿とさせるような謎めいた青年(横浜流星)も登場。本好き、図書館好きの楽しめるツボが満載だ。また、奈良県民の日常が垣間見える細やかなエピソードも随所に盛り込まれているのも見どころだ。
 
本作のウエダアツシ監督に、小芝風花×香川京子の新旧ヒロインを起用した理由や、撮影での印象的なエピソード、本作の見どころについてお話を伺った。
 

■『ミツコ感覚』山内ケンジ監督の「フィクションでリアリティを突き詰める」演出法に影響を受ける

―――ウエダ監督は、映画は独学で撮り方を身に付けてこられたとのことですが、映画監督を目指したきっかけや経緯を教えてください。
ウエダ監督:大学は経済学部でしたが、この4年間で何かしら掴みたいと思っていました。当時は楳図かずおや手塚治虫にはまっていたので、漫画家になれなくても、自分で面白いお話を書きたいという欲求が芽生えていたのです。その頃、同級生から映画研究会の上映会に誘われ、映画は観るものと思いこんでいたのに作れることを知り、「僕でもできるかもしれない」と2年生から映画研究会に所属しました。そこからは映画ばかり撮る生活でしたね。その後関西で情報誌の編集をしていたのですが、東京事務所から「昔映画を撮っていたらしいな」と声をかけてもらい、映画関係の記者会見、インタビュー動画や出版社が作るWEBシネマのメイキング、出版物につけるDVD映像を手がけるようになりました。誰に教えてもらった訳でもありませんが、仕事をしながら映像のノウハウを身につけました。演出もメイキングで映画現場に入ったときに、監督の手法を学んでいきましたね。 
 
―――演出で一番参考にしている監督は? 
ウエダ監督:DVD特典映像のディレクションをしたのが山内ケンジ監督の『ミツコ感覚』で、監督インタビューも撮らせてもらいました。アドリブかと思うようなリアリティのあるお芝居ですが、脚本を見ると全てきちんと書かれているんです。わざと言い間違いをする台詞まであり、フィクションできちんとリアリティを突き詰めているところは影響をすごく受けましたね。 
 
 
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■小芝風花へのお題は、「コメディーで通用する女優に」「香川さんとの共演から学んで」

―――『天使のいる図書館』というタイトルから想像すると、気持ちの良い地域映画のように思えましたが、作品を観ると、小芝風花さん演じるさくらのキャラクターがかなり個性的で驚きました。コメディエンヌの素質がありますね。 
ウエダ監督:角川映画を観ていた世代なので、自分の作品のヒロインには羽ばたいてほしい。時間は限られていましたが、色々なアイデアを小芝さんと出し合いながら、キャラクターを作り込んでいきました。小芝さんが、新垣結衣さんみたいなコメディエンヌが似合う女優になってくれればうれしいですし、関西弁がしゃべれるので、大阪でも活躍してほしいですね。
 
―――小芝さんと初対面時の印象は? 
ウエダ監督:『魔女の宅急便』を初めて観たときは、お芝居以上に伝わる懸命さ、観ている側に芝居を越えて訴えかけてくる純粋さみたいなものを感じました。それは、主演女優の素質です。実際にお会いすると、お芝居がしたくてたまらない時期の人だという印象がありました。今回、小芝さんがさくらを演じるにあたって、2つのお題を出しました。一つは、彼女は今までまじめな役が多かったそうですが、僕は絶対にコメディーに向いていると思うので、コメディーで通用する女優になってほしい、挑戦してほしいということ。もう一つは、香川京子さんとの共演は、僕にとっても小芝さんにとっても勉強になることがたくさんある。 学んでほしいということでした。
 
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■監督人生、この作品で終わってもいいと思えるぐらい感動的な香川京子の出演と、『夜明けの歌』採用秘話

―――さくらが図書館で出会い、心を通わせていく老婦人礼子役、香川京子さんの存在感が物語を豊かにしていますね。 
ウエダ監督:僕が香川京子さんの大ファンだったので、出演していただけるのならと、オファーさせていただきました。ずっと香川さんの作品を拝見していましたし、撮影前にも25本ぐらいは見直しました。成瀬巳喜男監督の『おかあさん』や、今井正監督の『ひめゆりの塔』は特に好きな作品です。 
 
―――礼子のエピソードの中で、中河与一の小説『天の夕顔』が大きな役割を果たします。まさに小説のヒロインの晩年の姿は礼子演じる香川京子さんと重なりました。 
ウエダ監督:今でもすっとした佇まいをされていて、お美しいですし、僕の中では「スクリーンの中の人」なので、初めてお会いしたときは、同じ空間にいるんだと感激しました。日本映画界で伝説の女優ですから。溝口、小津、成瀬、黒澤という4人の巨匠と仕事をされ、今現役の女優は香川さんしかいらっしゃらないのではないでしょうか。そんな方が僕の作品に、しかも僕の生まれ育った奈良県まで来てくださったのですから、僕の監督人生、この作品で終わってもいいと思えるぐらい、感動的なことでした。  
 
―――香川さんには、どんな演出をされたのですか? 
ウエダ監督:「お任せされるより、ご指摘いただいた方がいい」とおっしゃっていただいたので、こちらから色々とご提案させていただきました。例えば、劇中で礼子が『夜明けの歌』を歌うシーンがありますが、実は脚本にはなかったのです。撮影前に香川さんの出演作を観たり、調べものをしていたときに、2年ぐらい前に香川さんが出演されたテレビ番組「サワコの朝」で歌を紹介するコーナーがありました。そこで思い出の歌として挙げておられたのが、この『夜明けの歌』。歌詞の内容も礼子のことを歌っているような、「悲しみに暮れている女性が、前を向いて生きていこうとしている」ものでした。僕の中では、『ひめゆりの塔』のように香川さんは劇中で歌っているイメージがあったので、本読みの時に、劇中で『夜明けの歌』を歌っていただけないかとお願いしました。香川さんも喜んでいただいて、「練習してきます」とおっしゃってくださり、あのシーンが出来たのです。 
 
―――香川さんと小芝さんは共演シーンが多かったですが、現場ではどのような感じでしたか? 
ウエダ監督:小芝さんは役柄もそうですが、物怖じしない人でしたね。前半はあの大女優の香川さんに対してすごく無礼ですが(笑)、そこは役柄として遠慮なくやっていただきました。二日目ぐらいから二人のシーンを撮りましたが、最初から安心して観ていられましたし、小芝さんも長セリフをすぐに覚えてくれたので、撮影期間が限られた中プラスアルファの演出も色々できました。大変なことをやらせたかったので、突然左利きに変えてみたりもしましたね。
 

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■「映画女優の中で引き継がれていくものがある」と感じた香川×小芝の撮影エピソード

―――お二人のシーンで、特に印象に残ったエピソードは?
ウエダ監督:最後、すすきの原で、さくらが泣くシーンがあるのですが、小芝さんは気持ちがなかなか入らず、苦労していました。日没も近づき、リテイクしてもダメで、しばらく時間を置くことにしたのですが、その時に小芝さんの隣で、香川さんが自分の台詞を小さな声でやさしく呟き続けてくださったのです。撮影中に香川さんから、「役者には浮き沈みがある」というお話を伺っていたので、小芝さんのためにずっとそれをやって下さっている風景を見て、手を差し伸べてくれているのだなと。こうして映画女優の中で、引き継がれていくものがあるのだと感激しました。小芝さんもずっとその声を聞いて、感情を高めた後に撮ったのが、映画のシーンに使われています。
 
―――本作はリファレンスサービスをはじめ、図書館員の日々の仕事や、図書館の日常が細やかに描かれ、図書館映画の一面もあります。
ウエダ監督:色々な世代が集い、本を借りるだけではないコミュニケーションスペースとして図書館は成立していますし、それが必ずどの地域にもあるというのは、とてもいいことだと感じます。さくらという偏った知識を持つ女の子がコミュニケーションによって心が開けるようになり成長していく物語ですから、そういう意味でも図書館という場所の意義を改めて認識しました。
 

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■「大阪の食い倒れ、京都の着倒れ、奈良は寝倒れ」奈良の空気感を大事に

―――舞台となっているのは、奈良でもいわゆる修学旅行で行くような観光地ではない、非常にのどかな場所ですね。
ウエダ監督:舞台の葛城地域は、のどかで、歴史のある場所や綺麗な景色がたくさんあります。奈良県は少し歩けば、歴史の教科書に載っているようなものがある場所ですから、「ここに竹取物語の場所があったんだ」とか、調べていても楽しかったです。奈良は昔から悠然としていますから、小芝さんにも「大阪の食い倒れ、京都の着倒れ、奈良は寝倒れ」と、のんびりと穏やかな人たちがたくさんいて、そのような空気感をこの映画では出したいという話をしましたね。
 
―――最後にメッセージをお願いします。
ウエダ監督:奈良県葛城地域の魅力が詰まっていますし、更に図書館の普段利用しているだけでは分からない司書のお仕事も取り上げているのも魅力の一つです。ヒロイン映画としては、小芝風花さんをぜひ観ていただきたいし、85歳で現役の香川京子さんも観ていただきたい。魅力がたくさん詰まった作品です。
(江口由美)
 

<作品情報>
『天使のいる図書館』(2017年 日本 1時間48分)
監督:ウエダアツシ 
出演:小芝風花、森永悠希、小牧芽美、飯島順子、吉川莉早、籠谷さくら、櫻井歌織、松田岳、美智子/内場勝則、森本レオ、香川京子 
2017年2月11日(土)~TOHOシネマズ橿原、イオンシネマ西大和、18日(土)~大阪ステーションシティシネマ、シネマート心斎橋他全国順次公開
※2月12日(日)15時~の回、上映前舞台挨拶あり(登壇者:小芝風花、ウエダアツシ監督)
(C) 2017「天使のいる図書館」製作委員会