
■日常会話を普通にみせる青年団の演劇に出会った時、「これだ!」と思った(永井)

■普通に見える人を探して、永井さんに迷わずオファー(串田)
■究極的にはしゃべらずに、そこにいるだけで成立するような俳優になりたい(永井)
■役作りは特にせず、その一瞬一瞬が面白くなることを考えて(永井)

■上演後、「出ていらしたんですか?」と驚かれるのは役者冥利に尽きる(永井)

製作ウェイポイント・エンターテインメント×監督テレンス・マリック×撮影エマニュエル・ルベツキ
「自分にとってはテレンス・マリック作品に出演するのは夢」
「皆、テレンス・マリック作品に出演したい、一緒に仕事がしてみたいと思っている」
マイケル・ファスベンダー、ライアン・ゴズリングが大絶賛!テレンス・マリック監督の魅力を語る。
日本での『mid90s ミッドナインティーズ』のヒットも記憶に新しく、『沈黙 ―サイレンス―』『女王陛下のお気に入り』などアカデミー賞の候補作を続々と送り出すなど、世界中の映画好きから注目の的となっている気鋭の映画スタジオ、ウェイポイント・エンターテインメントがルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマン、ケイト・ブランシェットら豪華俳優陣を迎えた最新作『ソング・トゥ・ソング』が12月25日(金)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開となります。
アメリカで指折りの音楽の街、オースティンで、それぞれに幸せを探す4人の男女の人生が交差する。個性豊かな4人を演じるのは、ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマン。主役クラスの豪華な面々が奇跡の共演を果たした。さらにリッキ・リー、イギー・ポップ、パティ・スミス、ジョン・ライドン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなど様々なミュージシャンが出演して多彩な音楽と共に映画に彩りを与えている。
監督・脚本を手がけたのはアカデミー賞7部門ノミネート作『シン・レッド・ライン』の他、『地獄の逃避行』『天国の日々』『名もなき生涯』といった名作を生み出してきた巨匠、テレンス・マリック。これまでアカデミー賞を3度受賞した名カメラマン、エマニュエル・ルベツキとの見事なコラボレーションも冴え渡り、魔術的とも言える映像美で4人の愛と裏切りのドラマを描き出した。人生は選択の連続。愛、友情、家族、成功……何かを手に入れるために、誰かを(時には自分を)裏切らなければならないとしたらどうする?巨匠と名優たちが「人生にとって本当に必要なものは何か」とう大切なテーマを、独創的なスタイルと圧倒的な映像で描き出した本作は、感動のラストまで見るものを捉えて離さない!
『ソング・トゥ・ソング』で初めてテレンス・マリック監督作品に出演したライアン・ゴズリングとマイケル・ファスベンダーが、その独特な撮影方法で知られるテレンス・マリック監督について語り、互いに監督の仕事を大絶賛し合うコメントが到着した。
テレンス・マリックとの仕事について?
マイケル・ファスベンダーは「今まで経験したことのない感じだった。とても激しく、何かに挑戦する感じで、やりがいのある、面白く、恐ろしい経験でもあった。彼は常に執筆していて、特に決まった台本があるわけではないので、台詞を短時間に覚えるのは大変だった。監督は書いたセリフを読ませてくれるが、ほとんど即興でやらなくてはいけない。作品は、監督が実権を握っている即興で成り立っている。監督は唯一無二の存在で、この国の偉大な詩人のひとり。自分にとってはマリック作品に出演するのは夢であり、学校に戻っていろいろと学び直しているような感じだった」と、そのオリジナルな撮影方法に苦労しながらも監督の仕事を大絶賛。
ライアン・ゴズリングも「まったくそのとおりです。皆、マリック作品に出演したい、一緒に仕事がしてみたいと思っていて。テレンス・マリックは、作品を数秒観ただけで彼の作品だと分かる数少ない監督です。これは非常に稀有なことで、その監督作に出演するのも同じように貴重で刺激的です。ふつうの映画作りとまったく異なるやり方、アプローチで映画を作るし、常に何かを探しているというか求めていて、毎日自分がそれのお手伝いができるのが嬉しい。全く新しい未知の経験でした。例えば、突然パティ・スミスが現われて数日一緒に過ごしたり、撮影したり。ユニークな経験の連続で、今まで培ってきたものや知ったり学んだりしてきたことをすべて置き去りにして、ただただ飛び込んでいく。本当に素晴らしい経験でした」と作品に参加できて喜びを語った。
プロデューサーの二人が語る撮影裏話&出演者についての
『フリーダ』で第75回アカデミー賞主演女優賞など6部門にノミネート経験を持つサラ・グリーンは、本作でテレンス・マリック監督と6作品目のタッグとなる。サラ・グリーンは、音楽フェスでの撮影について「私たちは長年少数のクルーで仕事をしてきた。その撮影スタイルが音楽祭の撮影によく合っていたの。少人数で会場に入ることができたから。できるだけ人数を減らし、そっと出入りしたの。照明も当てず自然光で撮影したわ。私たちのチームは自然光を使った撮影が得意だし、撮影は成功したわ。自由なスタイルの少人数での撮影と制作が合っていたのよ」と、その撮影方法を評価した。ルーニー・マーラのキャスティングに関しては「テレンスが気に入ったのは彼女の柔らかな雰囲気だと思う。彼はこんな人物を描きたがっていた。純真そうでかわいらしいけれど、うまく自分を制御できていない女性。何かを感じたくて極度の経験をする、世界とつながるためにね。ルーニーとは何度か話し合いをしたわ。彼女は興味深い人物で非常に深みがあり、彼女自身も矛盾を抱えていた。彼女ならすばらしいキャラにできると思ったわ」と明かした。
もう一人のプロデューサー、『mid90s ミッドナインティーズ』『沈黙 -サイレンス-』『女王陛下のお気に入り』などで知られるケン・カオは、パティ・スミスの出演について「パティは独創的だ。私たちは彼女の音楽と共に育ってきた。彼女の音楽も好きだけど「ジャスト・キッズ」を読んで大好きになった。彼女と仕事ができてよかった。彼女は皆に刺激を与えたんだ。ルーニーもフェイのように影響を受けたと思う」と語った。
大物スター俳優たちも魅了するテレンス・マリック監督の最新作『ソング・トゥ・ソング』は12月25日より全国公開。ぜひ劇場でお楽しみください!
【STORY】
音楽の街、オースティン。何者かになりたいフリーターのフェイ(ルーニー・マーラ)は、成功した大物プロデューサーのクック(マイケル・ファスベンダー)と密かに付き合っていた。そんなフェイに売れないソングライターBV(ライアン・ゴズリング)が想いを寄せる。一方、恋愛をゲームのように楽しむクックは夢を諦めたウェイトレスのロンダ(ナタリー・ポートマン)を誘惑。愛と裏切りが交差するなか、思いもよらない運命が4人を待ち受けていた…。
監督・脚本:テレンス・マリック 製作総指揮:ケン・カオ 撮影:エマニュエル・ルベツキ
美術:ジャック・フィスク 衣装:ジャクリーン・ウェストー音楽:ローレン・マリー・ミクス 編集:ハンク・コーウィン
出演:ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマン、ケイト・ブランシェット、ホリー・ハンター、ベレニス・マルロー、ヴァル・キルマー、リッキ・リー、イギー・ポップ、パティ・スミス、ジョン・ライドン、フローレンス・ウェルチ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
2017年/アメリカ/128分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/PG12
原題:SONG TO SONG
配給:AMGエンタテインメント 提供:キングレコード、AMGエンタテイメント
© 2017 Buckeye Pictures, LLC
公式HP:songtosong.jp
公式TWITTER:@SONGTOSONG_JP
2020年12月25日(金)~新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、アップリンク京都、ほか全国公開
(オフィシャル・リリースより)
2020年12月4日(金)大阪芸術大学にて
聞き手:武部 好伸(エッセイスト)
アニメは決して嫌いではないんですが、正直、あまり深入りしておらず、映画と言えば、もっぱら実写ばかり。それは俳優の演技が見られないからだと思います。そんなぼくが12月25日公開のアニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』を試写で観て、思いのほか心が動かされ、この作品にどっぷりハマってしまいました。
原作は、昨年亡くなられた芥川賞作家、田辺聖子さんの同名短編小説(1984年)。2003年には妻夫木聡、池脇千鶴の共演、犬童一心監督の手で映画化もされ、今回、新たにアニメ映画として登場。大阪を舞台にした作品です。生まれも育ちも、そして今暮らしているところも大阪市内という生粋の浪花っ子を自負しているぼくにとっては必見の作品。執筆テーマの1つにもなっており、非常に興味深く観ることができました。
車イス生活を送るジョゼと海洋生物学を専攻する大学4年生の恒夫との刺激的な交流が描かれています。原作、実写とは異なり、恒夫が夢を追い求める優等生なんですね。しかも標準語を話す何ともスマートな青年で、きつい大阪弁を放つジョゼとは対照的です。そのジョゼも、絵を描くのが大好きな女性に変わっていました。
そんな2人のラブ・ロマンスだけではなく、むしろ成長する姿に重きが置かれていたのが新鮮に感じられました。そのテーマ性としなやかな、それでいてメリハリのあるストーリー展開、そして美しい筆致の作画が見事に相まってハイレベルなアニメ映画に仕上がっていました。コテコテの白々しい大阪ではなく、ごく日常的な大阪が活写されていたのが何よりもうれしかった。
この作品、実はぼくもほんの少し関わっているんです。スタッフロールの「協力」のところに名前が出ています。2年前の春、本作を手がけたアニメ制作会社ボンズで働いている大学の教え子(大槻真之君)から「先生、ロケ地を探しています。ご協力ください」と連絡があり、その後、設定制作のスタッフとしてぼくの伝えた候補地をロケハンしたそうです。ジョゼの家のモデルがぼく推しの長瀬川(東大阪市)ではなく、もう少し南東部の玉串川(八尾市)に設定されていたのは意外でした。やはり川幅が広い方が見映えがするからでしょうね。
こうした流れから、ボンズの南雅彦社長にインタビューする機会を得ました。12月4日、南さんの母校、大阪芸術大学で学生向けに開催された『ジョゼ~』の上映会とトークショーのあとでお会いしました。学生時代に所属していた軟式テニス部のOB会以来、10年ぶりに芸大を訪れたそうです。
初対面です。挨拶したとき、実に柔らかい、温かみのある声だったので吃驚しました。ええ声~! きっとカラオケがお上手なんやろなぁ。いや、それ以上に古巣新聞社の科学部記者のときに取材した某大学病院の小児科ドクターとそっくりだったんです!(笑)。そのことはご本人には言いませんでしたが……。
まずは教え子のことを伝えたら、「そうでしたか」と笑みを浮かべ、続いて作品の感想を素直に言うと、大きく破顔し、照れてはりました。最初に訊きたかったことは、社長としてこの作品にどう関わったのかということ。そこが気になるところです。
「ぼくは縁の下の力持ち。すべて監督のタムラコータローありきでした。監督とプロデューサーから『ジョゼ~』をやりたいと言われたとき、まぁ、普通なら『ん?何、言ってるのかな!』となるんですが、脚本を読むと、ジョゼと恒夫の2人が求めているものが明確に築かれていて、小説の結末からその先の人生の時間を映像で見たいと素直に思いまして。実は小説と実写映画のことをすっかり忘れていて、あわてて同時に見直したんです」
ボンズ制作の『ノラガミ』(2014年)で監督デビューしたタムラコータロー監督、一体、どんなお人なんでしょう。
「スタイリッシュなフィルム(作品)を手がけ、アニメに対して真面目な人です。恥ずかしがり屋さんでしてね」。ここで、なぜか身をよじらせて大笑い。そして一息つき、「制作していく過程で、自分の作品に恋愛感情を抱き、そのことに照れている、そんな人です。とにかく愛が強い。この作品にはタムラ監督の人生観が詰まっています」
なるほど、登場人物が生き生きしていたのは、タムラ監督の魂がこもっていたからなのか。その演出とリンクした桑村さやかさんの脚本も実によくこなれていました。原作ではジョゼが恒夫のことを「あんた」、アニメでは「おまえ」と呼び捨て。上下(主従?)関係を明確にさせ、2人のコントラストをよりいっそう際立たせていました。そうそう、名脚本家として知られる渡辺あやさんのデビューが実写版でした。
「桑村さんはタムラ監督が推した人で、彼女は実写版の『ジョゼ~』が大好きな方でした。実写だと絵一枚で見せられるんですが、アニメだと説明するところが多くなるので、脚本が大変だったと思います。それにしても、渡辺さんのあとでよくぞやってくれました」
ここで、ふとコロナ禍のことが気になりました。制作に支障が出なかったのでしょうかね。
「本来は3月に完成させる予定だったんですが、コロナ禍で映画館が営業休止されたりして、9月いっぱいまでの完成になりました。その半年間、スタッフが連携し、より監督が求めていたものを実現させてくれましてね。最終的に半分ほど直したんです」
『ジョゼ~』のような「大阪映画」には、やはり大阪弁(関西弁と一括りにせんといて!)がキーポイントになります。そこが大阪人の一番、気になるところ。ジョゼの声を担当した清原果耶さんは大阪生まれとあって、イントネーションはほぼ完璧でした。「ほぼ」としたのは、少し違和感を持ったところが2、3か所あったからです。
「今の大阪の若者は、武部さんのような本来の大阪弁を喋れません。今風の若者ことばです。武部さんはコテコテですね(笑)。大阪弁なら、おばあちゃん役の松寺千恵美さんがよかった。『ふたりっ子』や『ちりとてちん』などのNHK連続テレビ小説で大阪ことばを指導されていますからね」
確かに、関西芸術座に所属している松寺さんの大阪弁は〈昭和〉を感じさせてくれます。恒夫役の中川大志さんの落ち着いたトーンも素敵でした。で、ぼくのお気に入りのシーンは、後半に登場する図書館のシーンです。世間知らずのジョゼが一皮むけた瞬間で、正直、感涙してしまった。社長さんはどうなんでしょう。
「あのシーンも素晴らしいですね。ぼくの一押しのシーンは、ジョゼが舞(恒夫がバイトしているダイビング・ショップの後輩)に対して叫んだところです。1人の人間として、自分の想いをぶちまけて強く言い放った……ライバル関係にあるあの2人をどう見せるか、その山場みたいなシーンですね」
この作品には、大阪人ならたいてい知っている場所がポンポン出てきます。しかし、ダイビング・ショップのある南海電車の高架下「なんばEKIKAN」、天下茶屋駅の改札口、アメリカ村の三角公園、道頓堀川に架かる深里橋から望む湊町リバープレイスなどシブイ場所が多い。それもかなり写実的で、作品にのめり込んだ感情が中断されることがなかったです。こうした大阪ご当地のリアル感が大きな効果を生んでいました。何はともあれ、定番の通天閣が出てこなかった! それがすごくよかったです。
「この作品のセールスポイントは?」。そう訊くと、南さんはしばし考え込み、こう答えてくれました。「ジョゼと恒夫のように自分の横にいる人と感情をぶつけ合ってみるのもいい、そう思わしめるところでしょうか」
おーっ、グッド・アンサー! 2人は本音でぶつかり合っていますからね。「この回答、いいですね」とご自身もご満悦。愉快なお人です。
ところで、南さんお気に入りの映画は?
「実写では、相米慎二監督の『魚影の群れ』(1983年)です。俳優がみな演じさせられている、そんな相米さんの〈えぐり〉がたまりません。夏目雅子がきれかったなぁ。学生時代、『ションベン・ライダー』(83年)とか、『台風クラブ』(85年)とか相米映画の追っかけをしてましたよ。アニメなら、『機動戦士ガンダム』と言いたいところですが、『伝説巨神イデオン』にしときましょ。えっ、ボンズの作品でですか? みんないい子で悪い子……、うーん、どの作品も気に入っているところがたくさんあるので、この作品、とかは言えません(笑)」
最後にぜひ訊きたかったこと。日本のアニメの将来展望はいかに――?
「10年前は厳しかったですよ。しかしマーケットとして年々、海外に進出しており、表現の幅も広がり、制作環境的にはうれしいです。『ジョゼ~』もアニメでは表現しにくい原作ではあるのに、ちゃんとアニメーション作品としてできていますしね。作り手が面白がっているだけではなく、〈映像表現としてのアニメだから〉ときちんと自覚すべき時期に来ていますね」
★右写真(左から、南雅彦社長とエッセイストの武部好伸氏)
こんな具合に和やかな雰囲気で南社長とのインタビューを終えました。どちらかと言えば、対談のような感じ。ぼくとのツーショット撮影で締めたとき、「めちゃめちゃ阪神ファンですねん」と言うと、南さんは「ぼくは中日です」ハハハ、実に楽しいひと時でした。ありがとうございました!
【南雅彦社長(プロフィール)】
三重県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像計画科(現・映像学科)卒。同期にアニメーターの庵野秀明、漫画家の島本和彦らがいる。アニメ制作会社サンライズに入社し、『機動武闘伝Gガンダム』『カウボーイビバップ』などをプロデュース。1998年に独立し、ボンズ(BONES)を設立、代表取締役に就任。『鋼の錬金術師』『交響詩篇エウレカセブン』『僕のヒーローアカデミア』などの話題作を制作、テレビ、映画で発表している。
【STORY】
フランスの輝ける至宝カトリーヌ・ドヌーヴが贈る、愛おしくもほろ苦い家族ドラマ『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』が、2021年1月8日(金)にYEBISU GARDEN CINEMA他にて全国公開となります。
夏のある日、フランス南西部の豊かな自然に囲まれた邸宅で、母アンドレアの70歳の誕生日祝いが開かれようとしていた。だが行方不明だった長女の突然の帰郷が、誕生会を大混乱へ導いていく――。思い出の家をめぐる問題や複雑な親子関係、それぞれが抱える過去や秘密が次々に暴かれ、激しく感情をぶつけあう家族。幸福なはずの一日はどんな終わりを迎えるのか…? 過激で強烈、でもどこかユーモラスなフランス流家族のめくるめく大騒動。愛するからこそ衝突する―母と娘、そして家族が織りなす人間模様は、国も世代も超え、やがて普遍的な愛の物語をつくりだす。
フランスを代表する豪華キャストが勢ぞろい!
本作で何より目を引くのは豪華な出演者たち。国民的女優カトリーヌ・ドヌーヴ、監督としても活躍するエマニュエル・ベルコ、個性派俳優ヴァンサン・マケーニュ、本作の監督セドリック・カーン、また小説家として日本でも人気の高いレティシア・コロンバニ、期待の新人ルアナ・バイラミらも出演。フランスを代表する名優たちが奏でる見事なアンサンブルが、おかしくも愛しい家族の一日を豪華に彩る。
今年77歳を迎えたカトリーヌ・ドヌーヴ。代表作『シェルブールの雨傘』、『8人の女たち』など、いわずと知れたフランスの大女優だが、現在もコンスタントに約1年に1本のペースで主演作に出演し、第一線で活躍し続けている。最新作『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』では、一家の中心としてバラバラになった家族をひとつにまとめる優しく頼もしい母親を演じている。物語はカトリーヌ・ドヌーヴ演じるアンドレアの70歳の誕生日を祝うため、いつもは離れて暮らす子供や孫たちがお祝いに駆け付ける場面からはじまる。そこへ、3年間行方不明だった長女が戻って来たことで、混乱の一日が幕を開ける…。
トラブルメーカーの長女クレール役を監督としても活躍する女優のエマニュエル・ベルコが演じ、芸術家肌の次男ロマン役を個性派俳優ヴァンサン・マケーニュが、しっかり者だが融通のきかない長男ヴァンサン役を本作の監督を務めているセドリック・カーンが演じている。それぞれ個性の強い役者たちが集まった本作だが、そんな個性豊かな役者たちに負けず劣らず、カトリーヌ・ドヌーヴはずば抜けた存在感を放ち、作品全体をおかしくも愛しい家族物語としてまとめ上げている。
セドリック・カーン監督は本作のキャスティングを決める際に、まず家族の土台となる母親役をカトリーヌ・ドヌーヴに決めたらしく、「彼女のステイタス、オーラ、ファンタジー、人間性、すべてがこの人物と共鳴していました。彼女からすぐにOKの返事をもらえたので、彼女を中心に家族を作っていきました」と語っている。出演作の絶えないカトリーヌ・ドヌーヴだが、去年(2019年)11月6日、『De Son Vivant』(原題)の撮影中に軽い脳卒中を起こし数週間入院。現在は無事に回復し、退院して自宅で過ごしているという。第一線で活躍し続けているカトリーヌ・ドヌーヴの今後の活躍にも期待しつつ、ぜひ『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』の公開を楽しみにお待ちください。
【STORY】
70歳になったアンドレアは、夫のジャン、孫のエマとフランス南西部の邸宅で優雅に暮らしている。そこへ、母の誕生日を祝うため、しっかり者の長男ヴァンサンと妻マリー、二人の息子、そして映画監督志望の次男ロマンが恋人ロジータを連れてやってくる。家族が揃い、楽しい宴が始まったそのとき、3年前に姿を消した長女クレールが帰ってくる。アンドレアは娘をあたたかく迎え入れるが、他の家族は突然のことに戸惑いを隠せない。案の定、情緒不安定なクレールは家族が抱える秘密や問題をさらけ出し、大きな火種をつくりだす。やがてそれぞれの思いがすれ違い、混乱の一夜が幕を開ける――。
監督:セドリック・カーン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベルコ、ヴァンサン・マケーニュ、セドリック・カーン
2019年|フランス|101分|5.1ch|ビスタ|カラー
原題:Fête de famille 英題:HAPPY BIRTHDAY
提供:東京テアトル/東北新社 配給:彩プロ/東京テアトル/STAR CHANNEL MOVIES
©Les Films du Worso
公式サイト:happy-birthday-movie.com
2021年1月8日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
(オフィシャル・レポートより)
2020年12月1日(火) 大阪にて
久しぶりに対面した井筒監督は少々ご機嫌斜めだった。その日、取材が立て続けだったせいもあっただろうが、先に取材した質問者から「これが100パーセントですか」と聞かれた、という。井筒監督からすれば新作公開を前にして「何ちゅうこと聞くんや」という気持ちだったんだろう。
質問者の気持ちは分からなくもない。デビュー作「ガキ帝国」(68年)以来、「岸和田少年愚連隊」(96年)、「パッチギ!」(04年)など一貫してはみ出し者、はぐれ者たちを描いてきた井筒監督が昭和を生き抜いた無頼の徒たちに焦点を当てて描きあげた一作。昭和から平成、令和と時は移っても「貧困や差別、孤立の構造は何も変わっていない」。そんな“無頼の男”を2時間20分間にわたりみっちり描いたのは井筒監督の気概=反骨精神にほかならないだろう。
主演に初代EILEのパフォーマーで現在は俳優の松本利夫を抜擢、並みのスターシステムにはない、新顔の投入も新たな“井筒監督の試み”。見るからに“昭和の匂い”のするキャスティング=顔ぶれもまた、井筒戦略だろう。
「世間の良識から排除された“ネガ画像”を敢えて描いてみせた僕なりの昭和史。あらゆる抑圧に対して、1歩も引かなかった無頼の彼らの生き方を通した男たちがいたことを見せたかった」。確かに、無頼派・井筒監督の集大成と言ってもおかしくない。
映画には東映任侠映画、という裏街道の輝かしい伝統、遺産がある。オールドファンには“鶴田浩二、高倉健らそうそうたる任侠スターの記憶”が色濃く残る。だが井筒監督は「まだ中学、高校の時代。俺はほとんど見てない。あの頃はアメリカン・ニューシネマに(関心が)行ってた」という。だから「無頼」は伝統の任侠映画否定でもない。
ただ任侠映画が終焉を迎える頃、深作欣二監督らによる実録映画「仁義なき戦い」には影響を受けたそうで、実際、「仁義~」に出演した松方弘樹の“素晴らしいセリフ”も「無頼」で再現される。井筒監督はわざわざ作家協会に連絡し許可も得たという。マフィア映画「ゴッドファーザー」へのオマージュといい、アウトロー映画作りに命をかけてきた異端児監督にはより深い繋がりがあるのだろう。
最近はテレビのドキュメンタリーに時間を取られていた、という。映画では沖縄を舞台にした“沖縄ヤクザ戦争”を構想、さらに次の映画として九州の炭鉱地帯を題材に、“川筋もの”の歴史をと構想を膨らませている。異端派・井筒和幸監督作品「無頼」は「100%達成」どころか、まだまだ異端の羽を伸ばして行く「予感の映画」と言えそうだ。
(安永 五郎)
『無頼』
・(2020年 日本 2時間26分 R15+)
・監督:井筒和幸 脚本:佐野宜志、都築直飛、井筒和幸
・主題歌:泉谷しげる
・松本利夫、柳ゆり菜、中村達也、清水伸、松角洋平、遠藤かおる、佐藤五郎、久場雄太、阿部亮平
・公式サイト: http://www.buraimovie.jp
・配給:チッチオフィルム
・(C)2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム
◆映画『無頼』作品紹介(安永五郎)⇒こちら
2020年12月12日(土)~K’scinema、12月19日(土)~第七藝術劇場、12月18日(金)~京都みなみ会館、出町座 他全国順次公開
ハリウッド随一のアクション映画の名匠とアジアを代表する豪華キャストが集結!!