レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

2023年10月アーカイブ

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日時:2023年10月29日(日)18:30~(上映前)

場所:大阪ステーションシティシネマ(大阪市北区 3-1-3 ノースゲートビルディング 11F)

ゲスト:竹野内豊、山田孝之、桃果、武田玲奈、石橋義正監督



森の中で出会った妖艶な六人の女たち――森の精の化身なのか?

人間の欲望も狂気もすべてを覆い尽くす自然のチカラ

 

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神秘的な深い森に迷い込んだ二人の男が出会うもの言わぬ6人の女たち。二人の男の本性が露呈されるにつれ、女たちの使命もまた明るみになっていく……森に生かされている人間と自然の共生の重要性をテーマに、奈良・京都・大阪で撮影された映画『唄う六人の女』が10月27日(金)より全国公開された。『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』以来12ぶりの共演となる竹野内豊と山田孝之がW主演となる本作の公開を記念した舞台挨拶が大阪で開催され、W主演の二人のほか石橋義正監督と 6 人の女のうち、“見つめる女”役の桃果と“包み込む女”役の武田玲奈が登壇し、それぞれの作品にかける想いを語った。


山田孝之の異質な演技力を高く評価した竹野内豊は、固定観念を排除して“心の3D”で感じながら観てほしいと語り、近くにいるだけ和む存在の竹野内豊を遠目で見ていたという山田孝之は、よく喋る水川あさみの騒音にもめげず集中して頑張った自分の演技を見てほしいと語った。純粋無垢という役柄を受難を恐れるのではなく「なんでかな?」と不思議そうに思う演技で表現した桃果。竹野内豊が演じる萱島の恋人と森の中の“包み込む女”の二役を演じた武田玲奈は、細部までこだわった衣装や美術のチカラで切り替えができたと語った。そして、貴重な原生林の中で撮影できたことに感謝しつつ、多才な出演者たちの素晴らしいパフォーマンスにも感謝しているという石橋義正監督は、この映画を観て「自然と人間の共生」の重要性を未来に繋げられるような気運になることを期待していると、作品に懸ける想いを語った。


(舞台挨拶付き特別上映会のチケットは即完売となり、注目の高さが窺える。)


(詳細は以下の通りです。)

――最初のご挨拶。

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竹野内:本日はどうもありがとうございます。ようやく公開されました。石橋監督が数年掛かりで作った作品です。是非最後まで楽しん頂けたらと思います。

山田:宇和島役の山田孝之です。東京で2度舞台挨拶をしてから奈良へ移動して、今日奈良で舞台挨拶をして大阪にやってきました。全ての会場が満席となり多くの方に観て頂けて本当に嬉しいです。今日は機嫌がいいです!(笑)

桃果:見つめる女役を演じました桃果です。今日は沢山の方に来て頂いて本当に嬉しいです。本日はよろしくお願いします。

武田:包み込む女役の武田玲奈です。撮影をしました関西に戻って来れて嬉しいです。本日はよろしくお願いします。

石橋監督:この映画を監督しました石橋義正です。私は京都生まれで京都在住でして、関西でこの映画を撮れて、本日こうして沢山の関西の皆さんに観て頂けることを本当に嬉しく思っております。


――竹野内さんと山田さんは久しぶりの共演ですね?

竹野内:もう十数年前になりますが、戦争映画(『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』2011)で山田君と共演しまして、その時から異質な空気感が…

山田:スっと言うんですね、奈良とかでは凄く言葉を選ばれてたんですが…(笑)

竹野内:彼が内に秘めているものが他の同世代の俳優さんたちとは違うなと感じながら見てました。その時の役も今回もそうですが、あまりプライベートで仲良く話をする雰囲気の役でもないので、別に仲が悪い訳ではないのですが(笑)、素晴らし役者さんだなと思って見てました。

山田:(そう言われて)嬉しいですね。竹野内さんは多くを語られる方ではないので、雑談するという訳ではないのですが、異質なほど穏やかで大らかな方なので、近くに居るだけで、見ているだけで勝手に和むようで、いつも遠目で見ています(笑)。


――このお二人をキャスティングされた理由は?

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石橋監督:観て頂いたらお分かりだと思いますが、お二人とも萱島と宇和島という役柄にピッタシに演じて下さると信じていました。期待以上のパフォーマンスを見せて頂いて、今ではこのお二人以外考えられないですね。


――竹野内さんは石橋監督からオファーがあったらいいなと思っておられたとか?

竹野内:山田さんが主演された石橋監督の『ミロクローゼ』という作品を観て、とても独創的で面白かったんですよね。自分はこういう作品を作る監督とは縁が無いだろうなと思っていたら数年後にお声掛け頂いて、新たな自分が発見できるかもとワクワクして、とても光栄に思いました。お声掛け頂きどうもありがとうございました。(と石橋監督にお礼を)

石橋監督:こちらこそありがとうございます。今回の作品は『ミロクローゼ』のような歌やダンスやアクションはなかったので申し訳なかったですね。是非踊ったりしてもらいたかったです(笑)。

山田:石橋監督はすごくダンス上手いんですよ。あの作品では10㎝位のヒールのある靴で踊らなきゃいけなくてとても難しかったんですが、監督が「こうやるんだよ」とお手本見せて下さって、それがメチャクチャ上手くて…(監督の方を見て)すごく綺麗ですよね?

石橋監督:そうですね(笑)ダンスの経験は全くないのですが、踊るのは好きですね。


――このお二人を森の中で翻弄していく6人の女たちの内、今日はお二人に来て頂いてますが、役名が無いのですが、どういう役なんでしょう?

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桃果:「見つめる女」は、6人の女たちの中で一番純粋で無垢な少女や子供のような役なんです。山田さんが演じられる宇和島に何か悪いことをされそうになる時も、恐怖心よりもこの人は自分に関心があるのかなという無垢な気持ちで演じました。

――武田さんは二つの役を演じておられましたが、大変だったのでは?

武田:そうですねぇ、場所が全く違ったり、衣装も全く違う物でしたので…特に衣装は6人の女たちそれぞれに合わせて細部にまでこだわって作られてましたので、衣装のチカラに助けられて役の切り替えもスムーズにできました。


――この作品のテーマ性について?

石橋監督:今回の作品は「自然との共生」がテーマとなっています。人間が生きていく上での欲望や自分たちの都合を否定する訳ではなく、そうした人間らしさを持ちながらもどうやって自然と共生していけるのかをテーマにしています。この映画を観て一緒に考えて頂き、未来に繋げていけたらいいなという想いで作りました。


utau6-main-550.jpg――森の中のシーンについて?

石橋監督:森の中のシーンは主に京都府南丹市美山町にある「芦生(あしう)の森」で撮影しました。そこは京都大学が管理している原生林に限りなく近い森でして、貴重な動植物も多くて簡単に入れる所ではなかったんです。去年の夏頃、初めてガイドさんに連れて行ってもらった時、とても美しかったんです!

単に目で見て美しいだけではなく、体で感じて感動する美しさだったんです。今自分が感じているこの感動を何とか映像で表現できないかと…単純に綺麗な森を撮影するだけなら近くの人工林でスモーク焚いて幻想的に見せることはできるのですが、そこで撮影することに本当の意味があるのではないかと思ったんです。スタッフやキャストが実際そこへ行って、自分たちの役割で感じたことを体現してもらえることが大事なことだと考えました。

でも、それには厳しい条件がありましたが、何とか許可を頂けて本当にありがたく思っております。


utau6-sub1-takenouchi-500-1.jpg――この映画の注目ポイントについて?

竹野内:この映画には多くの俳優さんが出演してますが、それまでの固定概念は捨てて“心の3Dメガネ”でもって、映画の世界に集中して心で観て頂きたいです。

石橋監督:“心の3Dメガネ”、いい表現ですねぇ。映画を観るというよりも、心で観て頂きたい。特に、このような大きな劇場で、サウンドも細部まで鮮明に聴こえるように編集しておりますので、是非心で体感して頂けたらいいなと思います。

山田:6人の女が登場しますが、セリフがなくてそれぞれ意味のある役柄を表現しています。エンドロールまで見て頂ければ彼女らが表現している意味が判るのですが、セリフなしで表現するってとても難しいことなんです。でも、それより難しかったのは、今日は来ておりませんが、22年来の旧知でもある水川あさみ、これがよく喋る人で、今回は特にセリフ無しということで溜まっていたのか空き時間にうるさくて仕方ない状況の中で、僕が如何に集中して芝居をしたか!に注目して観て頂きたいです。よく頑張ったなと(笑)

武田:衣装、小道具も細部までこだわっていて、撮影中も興味深く観ておりました。

桃果:宇和島の悪い部分と萱島の優しさ、悪と善という人間が本来持っているものも映画の中で表現されていると思います。人それぞれ捉え方は違うと思いますので、観終わった後に色々語り合ってほしいですね。


――最後のご挨拶。

竹野内:感覚的で捉え方が難しい部分もあるかと思いますが、コロナ禍以降、人生について自分と向き合うことも多くなる中、石橋監督がこの映画に込めたメッセージはご覧になられる方の心の奥深くまで届くと思います。是非心で観て頂きたいです。

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山田:なぜ今このメンバーでこの映画が作れたのか、言葉ではうまく説明できないのですが、きっと意味があるものだと思っています。映像や音楽もとても美しく、単純に芸術作品としても楽しめると思います。それと、山田孝之は芝居が巧い!(笑)こんな人ではないのによくこんな役ができるな!しかも現場では水川あさみのあのうるさい中でよく集中できるな、凄いわ~!#山田孝之凄い!ということでもいいのかも知れません(笑)。それでは皆さん、その一部始終をお楽しみ下さい!

(大拍手が沸き起こる中、…)

石橋監督:まだ私の挨拶がありますんで…(笑)。皆さん色々語って頂きましたが、キャストの皆さんは素晴らしいパフォーマンスを発揮して下さいました。それもこれもこの作品に愛情を持って下さったお陰だと思います。本当にありがとうございました!先ずはそれをお楽しみ頂きたいです。

それから、撮影にご協力下さった「芦生の森」の理事長からメッセージを頂きまして、「自分たち自身もこの映画を観て気付いたことがある。(森のシーンは一切CG加工をしていない)毎日美しいと感じている森のありのままの姿が映し出されており、改めて森の力強さを感じた。これを未来に繋げていかなければならない!」という感想にとても感激いたしました。

私もこの映画ですぐに何とかなる訳でもないでしょうが、どうやって人間と自然が共生していけるのかどうか、みんなで考えていきたいです。そして、それを未来に繋げていきたいという気持ちでこの映画を作りましたので、皆様も心に引っ掛かるものがございましたら、是非一人でも多くの方に伝えて頂いて、議論のキッカケになればいいなと思っております。本日はどうもありがとうございました。
 


『唄う六人の女』

【STORY】

長年音信不通だった父親死亡の報せを受けた写真家の萱島森一郎(竹之内豊)は久しぶりに生まれ故郷に戻ってくる。そこで不動産屋の宇和島凌(山田孝之)と土地売買の手続きを行い、その帰り宇和島が運転する車で事故に遭う。気が付くと、宇和島と共に美しい妖艶な女たちの家に囚われの身となっていた。横柄で乱暴な宇和島と共に深い森を逃げ惑う中、次第に甦る子供の頃の記憶。そこには、父の姿と不思議な女の姿があった…この森から逃げ出すことはできるのか?

(2023年 日本 112分)
監督・脚本:石橋義正
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈、竹中直人
制作協力:and pictures
配給:ナカチカピクチャーズ/パルコ
(C) 2023「唄う六人の女」製作委員会
公式サイト:https://www.six-singing-women.jp/

2023年10月27日(金)~全国のTOHOシネマズ系、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ OSシネマズ神戸ハーバーランド 他全国公開中


(河田 真喜子)

 

 
 
 
 
 

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【日時】10月28日(土) 舞台挨拶/1154

【場所】新宿シネマカリテ(新宿区新宿3-37-12 新宿NOWAビルB1F)

【登壇者】倉悠貴、芋生悠、前田弘二監督 



変わり者のトワと、変わり者の園子。二人にしか分からない世界。

二人にしか分からなくていい関係を作り出すラブストーリー。


『まともじゃないのは君も一緒』の監督・前田弘二と脚本・高田亮が贈る〈おかしな二人の物語〉第二弾『こいびとのみつけかた』が、いよいよ全国公開いたしました。


koibitonomitukekata-pos.jpgコンビニで働く女の人・園子に片想いをしている植木屋でトワは、毎日植木屋で働きながら、彼女がどんな人か想像している。なんとか話したいと思った彼がついに思いついたのは、木の葉をコンビニの前から自分がいる場所まで並べて、彼女を誘うことだった。二人は言葉を交わすようになり、周囲にはよく理解できない会話で仲を深めていくのだが、園子にはトワにうまく言い出せないことがあり…。
 

世の中に馴染めない、ちょっぴりエキセントリックな2人が繰り広げる、〈可笑しくピュア〉なラブストーリー。


世の中の〈普通〉に馴染めない、おかしな二人のおかしな会話の応酬で繰り広げる『まともじゃないのは君も一緒』の監督・前⽥弘⼆×脚本・⾼⽥亮コンビの最新作。主演に『夏、至るころ』(20)、『OUT』(23)と主演作が続く倉悠貴、ヒロインに『ソワレ』(20)、『ひらいて』(21)の芋生悠を迎え、成田凌、宇野祥平らが脇を固める。また、川瀬陽太、奥野瑛太、高田里穂、松井愛莉らも名を連ねる。
 

 



映画『こいびとのみつけかた』の公開を記念して10月28日(土)、東京・新宿のシネマカリテにて舞台挨拶が行われ、出演者の倉悠貴と芋生悠、前田弘二監督が登壇した。

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“世になじめない、ちょっと変わった”男女の姿を描いた『まともじゃないのは君も一緒』に続く、前田監督と脚本家・高田亮のコンビによる本作だが、前田監督は「『まともじゃないのは――』が出来上がって、高田さんと初めて一緒に見た時、『次、どうしようか…?』という感じで、おかしな2人の話をもう1回、メロドラマというかラブストーリーみたいな形でやってみたいなと思いました。『まともじゃないのは――』が2人の掛け合いの映画だったので、もう少ししっとりした感じの話ができないかと」と本作の着想の経緯を明かす。


koibitonomitukekata-500-1.jpgその言葉通り、本作のオープニングではわざわざ「これはメロドラマである」という宣言(?)が映し出される。倉さんは「僕はメロドラマが何なのかよくわかんなかったけど(笑)、あそこまで定義されたので『あぁ、メロドラマなんだな…』と思いながら見ました。もちろん、恋愛話ではあるけど、僕としては人間の生き方を描いたヒューマンドラマなんじゃないかと思いました。僕のメロドラマデビューがこれなので、これがメロドラマなんだなと(笑)」と語り、芋生さんも「私もメロドラマがちょっとよくわかってなくて(笑)、これを見て『メロドラマってこれなんだ!』と思いました」と率直な思いを口にする。


前田監督はこのメロドラマ宣言が当初から台本に書かれていたことを明かしつつ、その真意について「(普通のメロドラマは)こういう2人ではないというか、あんまり変わった2人じゃない話が多いですが、ある種のギャグというか『これのどこがメロドラマだ?』と思わせておいて、最終的にメロドラマになっていく――どこかヘンテコだけど、そこに着地していくのが面白いなと思いました」と語る。ちなみに、タイトルを全てひらがなにした意図についても前田監督は「漢字を入れると洋画のロマンチックコメディの邦題みたいだなと思って、それはキライじゃないんですけど、ちょっとひねってみました」と説明。芋生さんは「わかります!」と納得した様子で深く頷いていた。


koibitonomitukekata-500-2.jpg劇中、倉さん演じるトワが、黄色く色づいた葉っぱを道に並べていくシーンが印象的だが、倉さんは「僕もあのシーンは好きです!」と明かしつつ「並べる時に、間違えたことがあって…。(まとめて葉っぱを並べるのではなく)いちいち丁寧に(1枚ずつしゃがんで)置くというやり方をしてしまって、しんどかったです。ハードな1日でした(苦笑)」と撮影での苦労を明かしたが、前田監督は「それが良かったです」と語り、芋生さんも「あの姿、あのほうが絶対に良いです!」と同意。このシーンは初日に撮影され、風で葉っぱが飛んでしまうことが心配されたが、前田監督は「奇跡的に無風だったんです。8日間の撮影でしたが、天候に恵まれました」とニッコリ。ちなみに、葉っぱは前田監督が自ら拾ってきたものだそうで「すぐに色が変わってしまうので、当日の採れたてじゃないとダメで、朝早く起きて、懐中電灯を持って近くの神社で集めました」と明かした。


園子を演じた芋生さんは、お気に入りのシーンとして、トワと園子が公園で餃子とケーキを食べるシーンを挙げ「2人の空気感が、誰も入れない感じがあって、無言でも全然いい! ただ食べているだけでいい! という感じが好きです。あの日は、すごく良い陽気で、公園が気持ちよくて、2人とも風を感じたり、日が暮れてきて『気持ちいいな。ポカポカするな」という感じでした」と心地よい撮影をふり返る。前田監督もこのシーンについて「『餃子とケーキ、どっちが好き?』と聞かれて、食べて、『おいしいね』、『おいしいね』という2人だけで成立しちゃう感じ――2人にしかわからなくて良い感じで、気の利いた言葉とかを全て排除しても成立しちゃう2人が良いなとグッときました」と倉さんと芋生さんが作り出した絶妙な空気感を称賛する。


koibitonomitukekata-500-3.jpgトワと園子が演奏と歌を披露するシーンは、実際に倉さんも芋生さんも楽器を演奏し、歌っているが、倉さんは「一発で撮ってOKになりました。リアルに人前で歌って、緊張して声が震えたり、周りのみんなの顔が温かいから、自然と笑顔になったりしました。『この瞬間は大切にしたいな』と思えるシーンでした」と充実した表情を見せる。これまで楽器の経験がなかったという芋生さんは「難易度が高かったです」と苦笑を浮かべつつ「あの曲、すごく好きなんです。途中でラップも入るし、感情が乗りました」と楽しそうに明かしてくれた。


本作のトワの人物像には、前田監督自身が投影されている部分が大きいようで、倉さんは監督とつながる部分を感じるか? という問いに「つながるどころか、(前田監督は)トワって感じです」と即答し「現場でもいつもニコニコしてて、こんなピュアな人いるのかと思った」と述懐。芋生さんも「(前田監督は)リアル・トワです」と即答し「私たちが歌っているところをモニタで見ながら揺れてました(笑)。かわいすぎません?」と愛らしそうに語る。前田監督は「みんな、トワ的なところってあると思います」と照れくさそうに笑みを浮かべていた。
 

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舞台挨拶の最後に前田監督は「つらい現実や厳しい日常があったり、世の中、おかしなことばかり起きたりして、そこへの不安もあると思います。そういうところからのガス抜きや疲れた日常の筆休みになればと思ってこの映画を作りました。映画を観て、ちょっとでも気持ちが楽になっていただけたらありがたいです」と語る。


芋生さんも「ひとりではどうしようもないくらい、しんどくなったり、つらくなったり、生きづらさを感じる瞬間があると思いますけど、そういう時にこの映画を観ると、自分だけで抱え込まないで、誰かともっと外の世界に飛び出してみようかなと思えたり、そういう人に対して周りも『逃げてる』じゃなく『生きようとしてるんだ』と捉えられて、周りももっと優しくなれたり、そういう優しい世界を望んでいる映画だなと思います。たくさんの人に観ていただき、多くの人を助けられたらいいなと思っています」と呼びかける。


最後に倉さんは「この映画は、悪い人が出てこない温かい作品で、たぶん、僕自身も数十年後とかに観てホッとする気持ちになる映画だと思っています。もしそういう気持ちになれる人がいたら、僕もこの映画に携われてよかったなと思います。まだ公開がスタートしたばかりなので、たくさん広めていただければ幸いです」と語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
 


◆監督:前田弘二 脚本:高田亮  音楽:モリコネン
◆出演:悠貴 芋生悠 成田凌 宇野祥平 川瀬陽太 奥野瑛太 高田里穂 松井愛莉
◆2023年/日本/99分/5.1ch/スタンダード 
◆©JOKER FILMS INC. 
◆公式サイト:http://koimitsu.com
◆制作プロダクション:ジョーカーフィルムズ、ポトフ 
◆企画・製作・配給:ジョーカーフィルムズ

2023年10月27日(金)~新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田、アップリンク京都、出町座、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開中!


(オフィシャル・レポートより)

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今では日本産メガネの95%を生産している福井県ですが、明治時代にこのメガネ産業をゼロから立ち上げた兄弟がいました。豪雪地帯のため冬は農作業ができず、収入の道がなくなる村の状況を変えようと奮闘したのが、増永五左衛門(小泉孝太郎)と幸八(森崎ウィン)の兄弟です。そして、その二人を信じて支え、見守り続けた五左衛門の妻・むめ(北乃きい)を主人公に、挑戦と情熱、家族の愛の物語を描いたのが、映画『おしょりん』です。10月20日(金)より福井県先行公開、11月3日(金・祝)より角川シネマ有楽町ほかにて全国公開されます。


この度、全国公開を前に舞台となった福井県で先行公開記念舞台挨拶を実施致しました。主演の北乃きい、共演の森崎ウィン、小泉孝太郎、そして監督の児玉宜久が登壇いたしました!


マスコミ試写でも、感動のストーリー展開やオール福井ロケによる映像美が大きな話題となっており、ついに公開を迎えられる喜びを語りました。


◆日程:10月20日(金)

◆会場:鯖江アレックスシネマ(福井県鯖江市下河端町16-16-1 アル・プラザ鯖江 内)

◆登壇者:北乃きい、森崎ウィン、小泉孝太郎、児玉宜久監督


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人生を懸けてメガネ作りに挑んだ人々の情熱と愛の物語、映画『おしょりん』!11月3日(金)の全国公開を前に、舞台となった福井県での先行公開を記念した舞台挨拶が10月20日(金)に福井県鯖江市の映画館で行われ、北乃きい、森崎ウィン、小泉孝太郎、そして児玉宜久監督が登壇した。天候不良のため飛行機の到着が遅れ、予定の5分遅れでスタートした舞台挨拶だったが、4人が登場すると会場からは万雷の拍手が起こり、会場は熱気に包まれた。


明治時代に福井で眼鏡産業の礎を築いた増永五左衛門、幸八兄弟の挑戦と、2人を支え続けた五左衛門の妻むめの姿を描く本作。増永むめ役の北乃は、「(福井の人は真面目な人が多いと聞きますが)そんな福井の人たちと、真面目な監督と一緒に作った作品です」と笑顔で挨拶。


増永幸八役の森崎は、劇中で演じた増永兄弟が創業した増永眼鏡が作ってくれたというメガネをかけて登壇し、「福井は、他県から来た自分をファミリーのように迎えてくれた温かかったです」と述懐。


oshorin-500-2.jpg開口一番、「かたいけの(=お元気ですか?)」とロケ中に覚えた福井弁を披露して観客の心を鷲掴みにした増永五左衛門役の小泉は、「増永五左衛門という偉大な人物を神奈川県出身の僕が演じていいんだろうか?福井の皆さんは受け入れてくださるのだろうか?とひるんだんです。だけど、福井でいろんな人に“五左衛門さん役、楽しみにしています”と声をかけていただいて僕はスイッチが入りました」と挨拶した。


福井を舞台にした作品は前作『えちてつ物語 ~わたし、故郷に帰ってきました~』に続いて2作目となる児玉監督は、「福井の映画5部作の2作品目です。普通は3部作ですが、私の中では最低限5本は福井で撮るつもりです」と大胆な構想を披露して観客を驚かせた。


和やかなクロストークが繰り広げられた舞台挨拶だったが、意外にも北乃は小泉に緊張をしていたようで、「孝太郎さんにはすごく緊張を与えられて、『あ、よかったな』って孝太郎さんに感謝していました。その緊張感がないと出ない夫婦の距離感がありまして、孝太郎さんのお陰でそれを出すことができました」と、撮影秘話を披露した。
 

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それを聞いた小泉は「北乃さんと一緒の横須賀出身で地元の話とかしたかったんですけど、明治時代の夫婦の役だったのでプライベートの話を控え、あまり会話をしないようにしていたんです。それを感じ取っていただけてよかったです」と笑顔を見せた後、「でも、“緊張する”って言ってますけど、何年か前に僕の実家を覗き見しにきたんでしょ?」と思いがけないエピソードを暴露すると、会場を爆笑させた。


実生活でも長男の小泉が、「五左衛門さんと同じ長男なので、長男の気持ちとか苦労なんて弟にはわからないだろうな~っていう、五左衛門さんの気持ちがよくわかった」と役への共感を語ると、弟役を演じた森崎は、「兄の苦労とかまったく考えていなかったです(笑)。実生活では長男なので、弟役を演じるのは『甘えられる!』って嬉しかったです」と人懐っこく笑いをとっていた。


舞台挨拶の後半には、ロケ地となった福井県の杉本達治知事と、制作委員会の新道忠志委員長が映画の公開を祝して花束ゲストとして登場した。

「屋外のシーンだけでなく、室内のシーンもオール福井ロケで撮影いただき、福井の空気感が非常に出ていました。皆さんが福井人にしか見えなかったです」と杉本知事。


oshorin-500-3.jpg最後に主演の北乃は「13歳からこの仕事をやってきた中で勉強させてもらってきたことや自分が今までいろんな作品で経験したこと、自分のすべてを出し切った作品です。これ以上はもう何もないっていうくらいにこの作品で出し切りました。福井の素晴らしい街並みとか、努力を惜しまずひたむきに1つの目標に向かって諦めず進んでいく福井の人の強さを、福井以外の人に見ていただいて、福井に行きたいなって一人でも多くの方に思ってもらえたらと思っています。皆さんの心に少しでも響いたら嬉しいです。本日はどうもありがとうございました」と挨拶。


また、児玉監督は、「私がこの作品を撮りたいと思ったのは『おしょりん』というタイトルにあります。登場人物たちの生き様を示しているタイトルで、これからご覧になる皆さんにこのタイトルの意味をそれぞれの心の中で感じ取っていただけたらと思います。本日はどうもありがとうございました」と締めくくった。
 


<ストーリー>

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時は明治37年、福井県足羽郡麻生津村(現・福井市麻生津)の庄屋の長男・増永五左衛門(小泉孝太郎)と結婚したむめ(北乃きい)は、育児と家事で忙しい日々を送っていた。ある日、五左衛門の弟の幸八(森崎ウィン)が勤め先の大阪から帰郷し、村をあげてメガネ作りに取り組まないかと持ち掛ける。今はほとんど知られていないメガネだが、活字文化の普及で必ずや必需品になるというのだ。成功すれば、冬は収穫のない農家の人々の暮らしを助けることができる。初めは反対していたが、視力の弱い子供がメガネをかけて大喜びする姿を見て、挑戦を決めた五左衛門は、村の人々を集めて工場を開く。

だが、苦労の末に仕上げたメガネが「売り物にならない」と卸問屋に突き返され、資金難から銀行の融資を受けるも厳しく返済を迫られ、兄弟は幾度となく挫折する。そんな二人を信じ、支え続けたのが、決して夢を諦めない強い心を持つむめだった。彼女に励まされた兄弟と職人たちは、“最後の賭け”に打って出る──。


<作品情報>

出演:北乃きい 森崎ウィン 駿河太郎 高橋愛 秋田汐梨 磯野貴理子 津田寛治 榎木孝明 東てる美 佐野史郎 かたせ梨乃 小泉孝太郎
監督:児玉宜久 原作:藤岡陽子「おしょりん」(ポプラ社)
脚本:関えり香 児玉宜久 
エンディング曲:MORISAKI WIN「Dear」(日本コロムビア)
製作総指揮:新道忠志 プロデューサー:河合広栄
ラインプロデューサー:川口浩史 
撮影:岸本正人 
美術:黒瀧きみえ 装飾:鈴村高正 衣装:田中洋子 
制作プロダクション:広栄 トロッコフィルム 
配給:KADOKAWA 製作:「おしょりん」制作委員会
©「おしょりん」制作委員会
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/oshorin/


(オフィシャル・レポートより)
 
 

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◆実施日時:10月12日(木)17:25〜17:55

◆会  場:MOVIX京都 シアター12(京都市中京区桜之町400 新京極商店街内

◆登壇者:くるり 岸田繁、佐藤征史、森信行 ※MC:野村雅夫


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くるり初のドキュメンタリー映画『くるりのえいが』が、いよいよ明日10月13日(金)より、なんばパークスシネマ、MOVIX京都 他全国劇場3週間限定公開&デジタル配信を開始いたします。1996年に結成して、多彩な活動を通じて日本のロック・シーンで異彩を放ってきたくるり。今回新作アルバム制作のために岸田繁と佐藤征史が声をかけたのは、オリジナルメンバーの森信行だった。結成当時のプロモーション映像、ライヴ映像を交えながら、なぜ今、またこの3人による曲作りを選択し、どのように曲が生み出されていったのか、くるりの創作の秘密に迫るドキュメンタリー映画が誕生しました。本作の監督を務めるのは細野晴臣のドキュメンタリー映画『NO SMOKING』、『SAYONARA AMERIKA』を手掛けた佐渡岳利監督。バンドのひたむきな創作の情熱から、音楽を奏でることの面白さを再発見できる必見の作品です!

この度、公開に先駆け10月12日(木)に『くるりのえいが』先行上映会 in 京都を実施いたしました。

くるり・オリジナルメンバーの3人が、彼らのホームである“京都”にて本作の撮影秘話をたっぷりと語りました。
 


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東京に続き、公演前2回目の舞台挨拶となったのは、くるりの地元である京都。この日行われた2回の先行上映会では、150席がそれぞれ完売ということで、人気を伺わせた。10月4日(水)に発売された14枚目のアルバム「感覚は道標」に収録されている「California coconuts」をBGMに、岸田繁、佐藤征史、森信行の3人が登場すると、会場は大きな拍手に包まれる。まず岸田が「こんにちは」と挨拶。舞台挨拶はなかなか慣れていないと断りつつ、「見た目以上に緊張してます」と笑わせると、改めて「ご覧いただきありがとうございました」と会場に感謝を伝えた。


kururi-bu-240-satou.jpg佐藤もまずは感謝のコメント。そしてこの会場に来るのはトム・ハンクス主演の『クラウド アトラス』をメンバーと一緒に観に来て以来10年ぶりくらいと明かすと、岸田が「『クラウド アトラス』越えやね」とツッコミ。佐藤は、「その次(にここへ来たの)が『くるりのえいが』を見てくれた人の前っていうのが、なんか感慨深い感じです」と笑顔を見せた。


森はまず「オリジナルメンバーの森信行です」と挨拶。「僕がいた頃のくるりを知ってる人は?」と会場に問いかけると、8割ほどの観客が挙手する様子に「あ〜、うれしい!」と笑顔を見せつつ、「知らない方もいらっしゃると思うので、それも含めて楽しんでいただければ」と話した。


司会から撮影を通して印象的だったエピソードを聞かれた岸田は、作中に出てきたエビフライに言及。「大きいのが1人3尾ついてたんですわ。その他にもあの日はエビフライと湯豆腐、メインが2つ出てくるんです。それですかね」ときっぱり。岸田は「食べることが大好き」と話すと、ライブやレコーディングの現場でもお弁当などが置いてあるが、「あんなに食事も充実しているレコーディングはしたことがないですよ、ホンマに」と、これまでのバンド歴の中でもかなり印象深かったことを告白。佐藤も、レコーディング中は朝ごはんの味噌汁が何かが一番の楽しみだったと話し、「今日取れたメカブやワカメがごちそうになる伊豆、最高でした」と伊豆レコーディングを振り返った。


kururi-bu-240-kishida.jpgそのレコーディングが合宿形式で行われたことについては、岸田が「同じ釜の飯を食うという言葉があるけど、久しぶりに集まって同じご飯を食べて、同じところに寝て、おはようってレコーディングする、それが音に反映した」とあまり日常的でない感覚が作品に影響を与えたことを示唆。森も合宿だったことは大きかったと振り返ると、「くさい言い方になるかもしれないけど」と断りを入れつつ、「感動を共有するみたいな、リフレッシュで伊豆の海に行って風が気持ちいいな、海がきれいだな、今日は暑いな、ご飯がおいしいな、そういう感覚を共有できるのがチームワークにつながるような気がしていて、それが映画の中に入ってる気がします」と話した。


「コロナ禍ではリモートで音楽制作をしていたこともある」と岸田。3人でセッションしたことについては「3人で集まって、貴重というか、懐かしくもあるんやけど、人と集まって音楽作るのが楽しいなっていう気持ちでした」と改めてバンドで音を出すということのよさを実感した様子。森も3人いっしょにモノを作ることについて「インスピレーションの仕掛けあいも、こう来たらこう出てみたいなやりとりがすごい楽しかったですね」と振り返った。そして「久しぶりに制作して(昔と)いっしょやなというところもあるし、すごく成熟している新しい形も見られて、それは新鮮な体験でした」と心境を吐露。オリジナルメンバーである森に関して佐藤は「瞬発力のすごい人やな」と評すると「4小節だけのギターリフのイントロが流れただけで、自分のなかの道筋を作って、疑いなくこれ正解ですというのが出てくる、だから曲が進んでいく」とベタ褒め。そして以前は話したことのなかったという、ドラムに対してどういう気持で臨んでいるのか、といった話もしたと明かした。レコーディングについては、曲が生まれた瞬間からレコーディングまでがむちゃくちゃ短かったと話し、「曲の良さをみんなが忘れてないうちに、じゃあ録ってみようってできたっていうのが一番良かったのかなと思います」と、やはり3人が顔を合わせてのスピード感、ライブ感が今回のレコーディングで大きなウエイトを占めていたことを話した。


kururi-bu-500-3.jpgニューアルバムの「感覚は道標」の反響について岸田は、SNSなどでいろんな声を見聞きして、「ありがとうございますというのがいっぱいある」と明かすと「曲は少しずつ育っていくものだと思うので、最初にすごく祝福していただいた感覚」と笑顔。作中でも登場する拾得でのライブについて話題が及ぶと、そのライブに行っていたという観客が多数挙手するひと幕も。岸田が「いっぱいいっぱいではあったんですけど、楽しんで演奏したと記憶しています」と話すと、佐藤も「最近のライブの平均よりBPM20くらい上がってたんちゃうかな」とうなずいていた。


kururi-bu-240-mori.JPG森は今後について「映画のなかでできたものはオギャーと生まれた瞬間の感じ、その瞬間が映画に映っているのでそれをまず楽しんでいただいて、アルバムに入っているのは実はちょっとそこから青年くらいに成長してる、次はツアーで大人になった曲が見られるかもしれない」と、曲が生き物であることを伝えると、岸田が「グレんようにしないと」と合いの手。森も「ぜひツアーに足を運んでいただいて」とアピールした。佐藤は「森さんといい付き合い方をしていけたらと思ってる」と笑わせ、過去に森と共にした「チミの名は。」というツアーを挙げると、それ以上に楽しんでいければと期待を込めた。


ここで森からツアー名が発表されることに。しかし森は「えっとなんやったっけ……」と一旦ボケてからハードにキマる!つやなし無造作ハッピージェル》というツアー名を明かすと、岸田から「どういう意味なんですか、それは?」とツッコミが。その岸田は、今後についてたまに考えると話すと、「ケセラセラでございます」。さらに「さっきもっくん(森)も言うてはりましたけど、オギャーから成長の過程で、作者である自分たちが得ていくものもあると思うんで、見守りながら育てながら、ケセラセラ、ですかね」とさらり。最後に改めて会場に感謝を伝えると「この映画は音楽作品でもあるので、繰り返し見ていただくといろんな発見があるんちゃうんかな、長く付き合ってください」と締めくくった。
 


『くるりのえいが』

出演:くるり 岸田繁 佐藤征史 森信行
音楽:くるり 主題歌:くるり「In Your Life」 オリジナルスコア:岸田繁
監督:佐渡岳利 
プロデューサー:飯田雅裕 
配給:KADOKAWA 
公式サイト:vb-eigaeigyo@ml.kadokawa.jp 

2023年10月13日(金)より全国劇場3週間限定公開&デジタル配信開始


(オフィシャル・レポートより)

 
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 20世紀を代表する建築家で、母国フィンランドのみならず、世界中に「アアルト建築」と呼ばれる建築を作り上げてきたアルヴァ・アアルトと、彼と共に建築、内装、家具の分野で多大な貢献をしてきたアイノ・アアルトの人生やその仕事を描くドキュメンタリー映画『アアルト』が、10月13日(金)よりシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、アップリンク京都にて公開される。
 アルヴァとアイノが手がけてきた建築や家具たちも続々と登場。ドイツのバウハウスなど、建築に新しい風が吹いていた時代、万国博覧会のフィンランド館を手がけたことから時代の寵児となり、アメリカでも人気を博していく様子や、戦争による復興需要により、新しいまちづくりに取り組んでいく姿は、建築家が果たす役割の大きさを実感させられる。人たらしで、パトロンを得て外での仕事を楽しむアルヴァと、家具の会社の経営から子育て、そして自身のクリエイティブワークまで黙々とこなしていたアイノ。50代でアイノが病死し、アトリエで勤めていたエリッサと再婚してから、人生の最晩年までアルヴァの老いもしっかりと見つめた稀有なドキュメンタリーだ。
 本作のヴィルピ・スータリ監督にお話を伺った。
 

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■小学校時代に通ったアアルト設計の図書館は「特別だった」

――――スータリ監督は小学校時代からアアルトがデザインした図書館が好きで訪れていたそうですが、その当時その場所でどんな気持ちを抱いたのでしょうか。
スータリ監督:幼いからこそ世界が新鮮に見えるし、幼い時の記憶ほど長く自分のなかに残るものです。子どものころ、アアルトがデザインした図書館は日常の生活に何気なくあるものでしたが、なぜわたしがそんなに特別だと思ったのかを追求したいという気持ちが、この映画を作るきっかけになったと思います。当時、わたしの故郷の冬はマイナス30度ぐらいまで気温が下がり、とても寒かったのですが、とても特殊な形をした図書館の取っ手を引いて中に入ると、素晴らしい空間が広がっていたのです。ここはまさにわたしのリビングルームだと感じました。アアルト&アイノの作品は触らずにはいられなくなるような感覚に訴えてくる美しさを備えており、レンガの壁を触ってみたり、革張りの椅子に座ってみたり、真鍮のランプが照らす中読書をしたりと、リビングのように過ごしました。
 
――――それは特別な体験ですね。
スータリ監督:でも当時のわたしには、何が特別なのかを理解することができなかった。映画を撮るということは、当時毎日触れているものが、なぜそんなに特別だったのかを解き明かすという試みでもあったのです。アルバート・アアルトは、わたしの父母世代は建築家として敬愛していました。
 
 
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■アアルト夫婦の間で取り交わされた書簡をみつけ、映画化を確信

――――なるほど。他にも本作を作る動機になったことはありますか?
スータリ監督:当時、わたしの故郷は戦争によって完全に焼け落ちてしまい、本当に醜い状態でした。そこで復興を急ぐため、アアルトら建築家が招聘され、都市計画を立てて、新しい建築物を作り、焼け出されてしまった人たちの尊厳を取り戻したのです。そんないろいろなことがわたしの頭の中にあり、この作品を作ろうと思ったのです。それまでにドキュメンタリー作家として30年のキャリアを積んでいたので、わたしは建築家ではありませんが、建築家アアルトの作品になぜ感銘を受けたのかを語っていこうと思いました。実際に、彼がどんな人物であったかを具体的に知らなかったのですが、取材を通じて妻、アイノ・アアルトという非常に興味ふかい人物を見出しましたし、ふたりの間で取り交わされた書簡をみつけたことで、映画が作れると確信したのです。
 
――――まずは調査が必要ですが、まずはどんなことから始めたのですか?
スータリ監督:4年間製作に携わり、2年間はフルタイムでかかりっきりとなって、大量の資料を形にするわけですから思い出すのも大変なぐらい(笑)。調査を進める中で、100名以上の人間が関わってくる、一種の前世紀の文化研究に近いリサーチが必要だったのです。ロックフェラー財団所有の資料や、国連が持っている資料など世界中の資料保存場所にアクセスしましたし、家族が保管している手紙や写真も一番大事でした。そこで重要だったのは、人と人との研究者同士のネットワークを、網の目のように広げ、背景についてインタビューしたことで、それも大きな仕事でした。様々な人の解釈を組み上げていくのは大変でしたが、ゆっくりと時間をかけて取り組むというアプローチをとり、アアルトの家族からの信頼も時間をかけて築き上げていきました。ちなみに編集のユッシ・ラウタニエミさんは、フィンランド版アカデミー賞の編集賞を受賞したので、苦労が報われたと思いますよ。
 
 
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■記録映画ではないシネマ性を出すことを意識して

――――それは、おめでとうございます。ちなみに編集では特にどんな点に苦労したのでしょうか?
スータリ監督:建物はそもそも動かないし、家具も動かない。登場人物も亡くなっている方ばかりで、生きて動いているものが一つもない状態で撮影するのは、非常に難しかったです。フィルムの中で物語の流れを感じさせ、有機的かつイキイキとした感じを出すのが大変で、編集も大変でした。記録映画ではないシネマ性をきちんと出すことを意識しましたね。専門家や関係者のインタビューを出すのではなく、たくさんの人の話を取り入れながら、ひとりのナレーターが話をする形にしました。そういう考えのもと、アルヴァやアイノをいきいきと描くことに心を砕いたのです。
 
 
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■フィンランド人でも知らなかった建築家、アイノ・アアルトに光を当てる

――――アルヴァ・アアルトを調べるうちに、アイノ・アアルトという興味深い人物に出会ったとおっしゃいましたが、スータリ監督はアアルトをどんな人物と捉えたのですか?
スータリ監督:アイノに、今スポットライトを当てるべきだと思ったのです。フィンランド人でさえ、彼女のことを知りませんでしたから。ただアイノはアルヴァと若い時に知り合い、いろんなことを一緒に発見するなど対等な立場にいましたし、ドイツのバウハウス運動にも関わり、有機的なモダニズムを一緒に生み出していました。アアルトの世界観の土台はふたりで作り上げたもので、その上にアルヴァが建築していったのです。実際、アルヴァの建築の内装は、ほとんどアイノが手がけており、バウハウス運動のように建物も含めた全体性としてのアートを成し遂げる上で、非常に重要な役割を果たしていました。ですから、映画の中でも、まずアイノが建築家であることを盛り込みたいと考えていたのです。
 
――――日本でも展覧会「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド-建築・デザインの神話 AINO and ALVAR AALTO: Shared Visions」でアイノのことを知った人も多かったと思います。
スータリ監督:アイノは並々ならぬ審美眼を持っており、アルヴァは自分が何かを作る際はまずアイノに見せて、意見を求めていたそうで、そういう点でも全幅の信頼を置かれていました。ただアイノは寡黙で、いつも周りの観察しているような人だったのに対し、アルヴァはとても外交的で誰とも友達になれる魅力的な人物でした。ふたりは愛し合っていたので良いと思うのですが、わたしがアルヴァを夫にすることは、あり得ないですね。アイノの死後に再婚した若いエリッサに対し、自分の好きな髪型や服に変えさせるような束縛的なことをしていたこともありましたから。ただ、アルヴァの魅力にわたし自身が恋をした部分もあるのです。でもそれ以上に100年前の女性でありながら、現在にも通じるようなアイノの建築家や大工としてのスキルを持ち、家具会社の運営をし、ふたりの子どもを育て、何よりも扱いが複雑な夫アルヴァの世話をする、とても先進的かつエネルギッシュな女性でしたから、大きなインスピレーションを得ることができました。ちなみにアルヴァの声を演じたのはわたしの夫ですが、彼はアルヴァのような「ありえない」夫ではないことを付け加えたいです(笑)
 
 
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――――晩年はお酒で身を滅ぼすような部分もあったアルヴァですが、いずれにせ、アルヴァのあらゆる部分を描き出していましたね。
スータリ監督:アルヴァが人として抱えていた問題を、しっかりと映しだそうと思っていました。彼は晩年になると若い世代とコミュニケーションが取れなくなり、恐竜の生き残りのように扱われました。昔は先鋭的な建築家だったのに、最後は自分の殻の中に閉じこもり、余計にアルコールのせいで悪循環を招いてしまったのです。ドキュメンタリーで人物を描くにあたり、フォーカスする人物を聖人君主化はしません。人としてのアアルトを出していくわけです。最後に、アルヴァは、「人は悲劇と喜劇との組み合わせである」と語っていたのですが、まさにそれを映画に反映させたかったのです。
(江口由美)
 

<作品情報>
『アアルト』”AALTO”(2020年 フィンランド 103分) 
監督・脚本:ヴィルピ・スータリ 
出演:アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト他
2023年10月13日(金)よりシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、アップリンク京都にて公開 
配給:ドマ
公式サイト https://aaltofilm.com/
(C) FI 2020 - Euphoria Film
 
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 『ミロクローゼ』で山田孝之とタッグを組み、独自の世界観を強烈に印象付けた石橋義正監督の12年ぶりとなる最新作『唄う六人の女』が、2023年10月27日(金)より大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランド他全国ロードショーされる。
 父親の訃報を受け、山奥の生家に帰った萱島(竹野内豊)は、幼少期に両親が離婚して以来疎遠だった父親が、毎日山で何かを探していたことを近所の人から聞く。父から相続した山を買うために訪れた東京の開発業者、宇和島(山田孝之)との契約を済ませ、宇和島に最寄り駅まで送ってもらう途中、事故に遭ってしまう。ふたりが目覚めると、森の奥で六人のミステリアスな女性たちに監禁されてしまい…。
ふたりの男を森の中で監禁する六人の女性たちを演じるのは、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈。それぞれの魅力を活かし、艶っぽさやスリリングさを感じさせると同時に、身体表現の美しさにも心を奪われる。女性たちの正体は?そしてその狙いは何なのか。京都府南丹市の原生林をはじめ、豊かな自然の森の中で繰り広げられる壮大なミステリーだ。
濡れる女を演じたアオイヤマダさん、見つめる女を演じた桃果さんにお話を伺った。
 

■セリフがない役にワクワク、ドキドキ(桃果)

  大好きな石橋義正ワールドで、自ら挑みたい役を直訴

(アオイヤマダ)

――――ホラーの要素が強いのかと思いきや、観終わると実写版ジブリではと思わせる壮大なテーマを感じました。おふたりのオファーをいただいたときのことや脚本を読んで、どのように解釈したかを教えてください。
桃果:最初からセリフがない役だと伺い、ずっとどういうことなのか考えていたので、脚本を読み、六人の女たちが皆セリフをしゃべらないことに、むしろワクワクする感覚がありました。現場に入る前は、セリフがない分、表情や仕草で伝えなければとドキドキしましたね。
 
アオイヤマダ:普段ダンサーとして活動しており、日常的に体を動かして表現しているので、言葉がないことにはあまり抵抗はなかったです。わたしは石橋義正ワールドが大好きで、オファーをいただいたときは、やらせてくださいと即答したのですが、一方で何か壁にぶち当たりたい気持ちがありました。どんな役があるのかを監督に聞くと、水で泳ぐ役があることを知り、「どうしてもやらせてください。水に潜らせてください」と自分からお願いしました。水に慣れた人にオファーする方が、演出側もリスクは少ないと思うのですが、石橋監督に特訓をさせてほしいとお願いし、大阪のプールで指導の先生をつけてもらい、通って水中での練習を重ね、本番に挑みました。
 
――――アオイヤマダさんが石橋ワールドを好きになったきっかけは?
アオイヤマダ:『バミリオン・プレジャー・ナイト』をYoutubeで拝見したとき、そこに『唄う六人の女』があり、わたしはその世界観が大好きでした。ちょっと毒があり、今の世の中でNGすれすれの表現を恐れずにやる反骨精神や、人間が本来持っている欲のようなものを常に映している作品で、音楽もいい。だから、『唄う六人の女』が長編映画化されるとは、一体どういうことになるのかと驚き、期待を胸に今回演じさせていただきました。実際に完成した映画は、観終わると素直に自然と向き合える作品になっていると感じました。わたしが好きだと思う石橋義正ワールドとは違うけれど、おっしゃったように実写版ジブリとも言える、自然と人との関係について考える壮大な世界観になっていますね。
 
 
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■特殊なキャラクターを演じる上で、インスピレーションを得たものは?

――――唄う六人の女のひとりとして、どのように役作りを行ったのですか?
桃果:セリフがない特殊なキャラクターという設定だったので、どれぐらい感情を持てばいいのか悩みながら撮影に挑んだのですが、山田孝之さんが演じる宇和島とのシーンで、宇和島が何か話すと、どうしても表情で反応してしまうんです。石橋監督からは、とにかく相手をひたすら見つめ、瞬きもこらえて表情には出さないようにとの演出がありました。宇和島に対して興味は持っているけれど、細かな感情は持たないように心がけました。
 
アオイヤマダ:濡れる女という特殊なキャラクターなので、その気持ちがわかるのだろうかと撮影前はいろいろ考えていたのですが、撮影で山田孝之さんと初対面だったのでご挨拶し、ちょっと緊張した雰囲気が流れた瞬間、わたしの手にバッタが止まったんです。人間はいきなり距離を詰められると拒絶してしまうけれど、虫は人間に対して距離感がなく、勝手に体にまとわりつくことだってある。いきなり距離感ゼロの感じが、竹野内豊さんとの初めて一緒に演じるシーンで役立ちました。だから、撮影中はバッタだけでなく、実際に森にいた生き物たちからインスピレーションをいただいていましたね。普通に生活していたらタブーとされることを一度取り払い、どのようにアクションを起こすかを集中して考え、役に反映させていきました。
 
――――アオイヤマダさんの場合、日頃ダンサーとして活動する中で、いろいろなものからインスピレーションを得ることが習慣づいているのでは?
アオイヤマダ:わたしが踊っているときに好きなのは、地位や権威、肩書きが全て外れる瞬間です。踊ることでその空気、空間だけが移動している。そこに魅力を感じているので、バッタからインスピレーションを得たのも、日頃の習慣と言えるかもしれません。
 
――――濡れる女が水中で美しい動きを見せるシーンは、本作の大きな見どころです。
アオイヤマダ:水中では重力がないのでなんでもできるけれど、物理的に呼吸ができない。陸の上で踊るときは呼吸を意識しないと体が堅くなってしまうのですが、水中で呼吸を止めながら伸び伸び動くことは、実際難しいんです。それに加えて、「死ぬかも」と常に思いながら動いていることが、逆に「生きたい」につながるのです。生と死の間で踊るというのも、わたしにとっては貴重な経験でした。
 
――――桃果さんが演じる「見つめる女」は、山田孝之さんが演じる宇和島とのハードなシーンもありましたね。
桃果:わたしはお芝居をする上で、ハードなシーンでも手加減はあまりされたくないし、むしろ「来るなら来い!」ぐらいのタイプなんです。実際、そのシーンでちょっと擦り傷ができたとき、その傷を山田さんが見たら少し気にしてしまうかなと思い、こっそり傷口を洗っていたのですが、結局山田さんに気づかれ、絆創膏をいただきました。(笑)。それぐらい山田さんも本気で向かってきてくださったので、わたしもすごく演じがいがありましたし、いい経験になりました。
 
 
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■森での撮影で感じた自然の力

――――京都府南丹市の森の中での撮影でしたが、撮影を通して、どんなインスピレーションを得たのでしょうか?
桃果:通常、撮影ではキツいと思うことも多いのですが、森の中で撮影している間、すごく楽しかったんです。ストレスもなく、むしろ癒される感じで、自然があるから、自分たち人間も生きられると思いますね。あと、わたしは虫が大嫌いだったのですが、見つめる女を演じながら、森の生き物や虫と向き合うようにしていたんです。おかげで、虫に対する苦手意識が減りました。
 
アオイヤマダ:わたしは長野県生まれで、幼少期は家の近くには川があり、虫とも遊ぶような自然の中で育ちました。でも15歳で上京してから、自分のことに一生懸命で自然のことは他人事になっていたんです。今回、森の中の撮影で、わたし自身が元気になり、やる気もでて、何かに取り組もうと前向きな気持ちになりました。それはやはり自然の力なんです。自然というと漠然としてしまいますが、周りの環境に目を向けられるようになると、周りの人にも目を向けることができ、優しい気持ちになれる。これからもそういうことは大事にしていきたいですね。
 
――――石橋監督にもふたりの森での撮影の感想をぜひお伝えしたいですね。
アオイヤマダ:石橋監督の作る世界観を掴む上で、監督自身のことを理解したいという思いがあり、でもどこかずっと腑に落ちていない部分があったんです。昔から女性を艶っぽく描くのが特徴だと思っていたのですが、打ち上げのとき、いつから女性へ関心を持ったのかをお聞きすると「3歳です」と即答されて(笑)。でもこの答えを聞いて、わたしの中で、全ての点が繋がりました。3歳から女性像を俯瞰してみることができておられたのかと。
 

 

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■六人の女、それぞれの美に衝撃(桃果)

 思いやりのある世界観を描く(アオイヤマダ)

――――ありがとうございました。最後に、唄う六人の女というのはどんな存在と言えるでしょうか。
桃果:現場でご一緒する機会はあまりなかったのですが、完成した作品を観ると、みなさんそれぞれのエロスや女性らしさがあり、それぞれの美を描いていて、わたしは衝撃を受けました。
アオイヤマダ:わたしは思いやりを持つことだと思うんです。自然対人間という二者択一にするのではなく、思いやりがあれば、自然や人間とコミュニケーションを取り続けられるのではないでしょうか。石橋監督ご自身が思いやりがある方なので、そういう世界観を描けるのだと思います。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『唄う六人の女』(2023年 日本 113分)
監督・脚本:石橋義正
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈 
2023年10月27日(金)より大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランド他全国ロードショー
配給:ナカチカピクチャーズ/パルコ
© 2023「唄う六⼈の⼥」製作委員会
 

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『ミロクローゼ』の石橋義正監督が10年ぶりに山田孝之とタッグを組んだ最新作『唄う六人の女』が、10月27日(金)より大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都シネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランド他全国ロードショーされる。


W主演の竹野内豊と山田が、森の中で六人の女性たちに監禁される男を演じる本作。個性豊かな六人の女を演じる水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈が、森の中でそれぞれの魅力を活かし、ふたりの男と不思議な体験を繰り広げる。京都府南丹市の原生林をはじめ、豊かな自然の森の中で繰り広げられる壮大なミステリーだ。

 本作の石橋義正監督山田孝之さんが語った本作への想いをご紹介したい。

 


■人間の嫌な部分を際立たせる役(山田)

―――10年ぶりに新作を作るに至った経緯は?

石橋監督:前作以降は、舞台や展覧会活動をしていたのですが、5年前から本作のシナリオに着手しました。ある程度それが出来上がった段階で、山田孝之さんに見てもらい、そこから1年ほどかけてシナリオを修正し、撮影に臨んだわけです。


utau6-9.16kakomi-yamadai-240.JPG山田:石橋監督と本当にしばらくぶりにお会いして、新作を山田さんと竹野内さんにお願いしたいとオファーされた数日後に、竹野内さんとバッタリお会いしたんです。もともとご近所に住んでいたのにそれまで全くお会いすることなかったので、これはご縁があるということなのかなと思い、出演を正式に決めました。人間の欲がとても強く出ている役で、欲を追いすぎるとこうなるという象徴にならなければいけなかった。人間の嫌な部分を際立たせ、そこを痛感してもらう必要がありました。


―――山田さんはプロデューサーも担当されていますね。

山田:撮影をしているときは芝居をするだけですが、映画ができあがってから、どんなイベントをやるか、どういう打ち出し方をしているかは、いつも通り監督と話し合いながらやっています。今回はロケ地である京都府南丹市の自然の中で上映しましたし、屋内で上映するときも自然を感じてほしいと思っていたところ、香りを使ってはどうかという提案をいただき、特別イベントとして現在進めているところです。


■山田さんは、オリジナルを作ることが難しい中、実現のため力を貸してくれた(石橋)

―――実際に10年ぶりに映画でタッグを組んでの感想は?

石橋監督:『ミロクローゼ』は全然違うキャラクターを一人三役で演じわけてくださいました。演技だけでなく、多彩なパフォーマンスを要求される中で、殺陣のシーンも僕が思っていたイメージを超える動きをやってくれました。山田さんでなければ絶対に作れない作品でした。今回も、ファンタジーの中でリアリティーを持たせるためには、山田さんの鬼気迫る演技が活きているし、企画段階から本作が実現するように尽力いただいた。普通にタッグを組むという部分だけでなく、オリジナルを作ることが難しい中で、それを実現できるように力を貸してくださっていることに、本当に感謝しているし、山田さんしかできなかったことだと思います。


―――山田さんや竹野内さんへはどんなディレクションをしたのですか?

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石橋監督:山田さんに説明はしましたが、あとは自分で考えて役を作ってくださいました。竹野内さんとは、時間をかけてこの映画のテーマをお話しさせていただく時間を作りました。共感していただいたからこそ、ひとつひとつの萱島の心情や精神的な状態を説明しました。シナリオを読むだけではわからないような、わたしの中で設定している裏テーマやさまざまなレイヤーがあるので、どのレイヤーを伝えると演者にとっていいのかを考えて、竹野内さんに伝えました。撮影中も竹野内さんとやりとりを多く重ねましたね。


―――『唄う六人の女』というタイトルですが、女たちはしゃべらないのが印象的でした。

石橋監督:声を全く発しない方が、逆に強いメッセージになり、伝わるのではないかと思いました。もう一つは本作を音楽劇にしたかったんです。劇伴は40曲ほど作りましたし、夜の儀式のシーンでは、自分で劇伴を作り、編集をしたりと同時進行し、その後プロの方にアレンジしてもらう形をとりました。自分の記憶に残っている映画は音楽が非常に重要なので、今回の作品もそうしたいと思いました。


■最初は昔話みたいな映画にしたかった(石橋)

―――ファンタジーであり、とても寓話的だと思いましたが、何かインスピレーションを受けた昔話などがあれば教えてください。

石橋監督:最初のプランを考えるときに、何か懐かしさがある昔話みたいな映画にしたいというアイデアはありました。「食わず女房」という昔話があるんですよ。よく働く女と結婚したのだけど、全然食べない。おかしいなと思って外出したふりをして天井裏から覗くと、女の頭が割れて、そこが口になってご飯を山盛り食べていた。そんな話なんだけど、見た目とのギャップという意味で、ひょっとしたらこの作品に影響しているかもしれませんね(笑)


utau6-main-550.jpg―――原生林での撮影についてや、それを経てより自然に対してどんな考えを抱くようになったのかを教えてください。

石橋監督:最初、東京でもそれっぽく撮れるのではと思いましたが、実際に芦生の森に入ってみると、そんな撮り方では絶対に伝わらないと感じました。芦生の森に入ったときの感動や、気持ちを伝えて撮影をお願いしたときの感動が、すごく作品に影響しているし、そのことをスタッフと共有しなければいけないと思いました。現在、本作を漫画化していますが、著者にも丸一日芦生の森へ一緒に入ってもらい、いろんなところを回りました。やはり五感で感じないとわからないですから。森は空気がきれいで気持ちいい一方で、何が起こるかわからない緊張感がある。ヒルに噛まれるかもしれないし、そういうことも含めて生き物とともにいるのが森なんです。

 

(江口 由美)


『唄う六人の女』

(2023年 日本 112分)
監督・脚本:石橋義正
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈
制作協力:and pictures
配給:ナカチカピクチャーズ/パルコ
(C) 2023「唄う六人の女」製作委員会
公式サイト:https://www.six-singing-women.jp/

2023年10月27日(金)~全国のTOHOシネマズ系、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ OSシネマズ神戸ハーバーランド  他全国ロードショー