レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

記者会見の最近の記事

 

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(2018年9月27日(木)TOHOシネマズ梅田にて)
ゲスト:山田裕貴(28)、齋藤飛鳥(20)、長谷川康夫監督(65)

 

初本格主演映画に大興奮の山田裕貴と、
映画デビュー作をクールに検証する齋藤飛鳥との温度差に胸キュン!?

 

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高校最後の年、想いを募らせながらも伝えられなかったあの頃、大人になって振り返るかけがえのない日々、その輝きとせつなさに誰しもが心震わせた台湾映画『あの頃、君を追いかけた』(2011年・日本公開は2013年)が、この度日本でリメイクされた。主演は映画・ドラマで大活躍中の山田裕貴、相手役には本作が映画デビューとなる乃木坂46の齋藤飛鳥という新鮮なツーショット。さらに、同世代の新進若手俳優5人が加わり、大人になる前の子供っぽさや将来への不安、男女による価値観の違いによるアクシデントなど、あの頃特有の想いが散りばめられた感動のラブストーリー『あの頃、君を追いかけた』が完成。


10月5日(金)の公開を前に開催されたプレミア上映会には、山田裕貴と齋藤飛鳥と長谷川康夫監督の3名が舞台に登壇。初めての本格主演に興奮気味の山田裕貴に対し、冷静に自分の演技を検証する齋藤飛鳥との温度差が、想いを伝えられなかった劇中の浩介と真愛に重なり、可笑しいやらせつないやら、胸キュンの舞台挨拶となった。
 



【舞台挨拶】
anokoro-yamada-240-2.jpg――最初のご挨拶。
山田:この劇場の座席数を聞いてびっくりしています。東京でもこんな大きな劇場ですることはないので…しかも満席! 映画は観て頂かないと評価されませんので、本当に嬉しいです。今日は楽しんでいきましょう!(と片手を挙げてジャンプ! ひとり意気を吐く山田裕貴。)

齋藤:私も座席数を聞いて「さすがにそれは無理だろう」と思いましたが、こんなに沢山の方に足を運んで頂いて嬉しく思っています。大阪の皆さんは温かく面白い事が好きだと聞いてますので、今日は何を言っても大丈夫だろうと…楽しい時間を過ごしたいなと思っています。

(山田に「(片手挙げてジャンプを)やんないの?」と急かされ、「私は大丈夫です!」とクールに対応する齋藤飛鳥。)

長谷川監督(以後「監督」と表記):ホントに大きな劇場でびっくりしています。これから2時間弱、スクリーンの中の二人の表情をゆっくりじっくり見て楽しんで下さい。

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Q:大阪の印象は?
山田:僕は名古屋出身なんですけど、吉本新喜劇を見て育ったので、関西弁を聴いてるととても落ち着くんですよ。関西弁の役も演じたことがありますし、吉本新喜劇の内場さんとお仕事したこともあり、ご縁を感じています。

齋藤:大阪は乃木坂46の活動では何度もお世話になっております。大阪の皆さんは元気な方が多くてリアクションが大きいので、とても楽しいです。関西弁で好きな言葉は、「ほなね~」かな(笑)。

監督:昔近鉄劇場というところで芝居をやったことがあって、大阪はノリが違って、反応がバシバシ来るので、演じていてとても楽しかったことを覚えています。

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Q:演技が自然体に見えましたが?
山田:小・中・高と僕は問題児で、いつもバカばっかりやっているいじられキャラだったので、その頃の自分を思い返しながらやれました。

齋藤:私もよくクールだと言われることが多いのでやりやすかったです。普段自らアクションを起こすタイプではないので、浩介に対する真愛のアクションは自分とは違うなと思いながらも、ちょっとだけ自分の中の積極性を出しながら演じました。

監督:2人の演技がどうだという感覚ではなく、そこに居てくれるだけで嬉しくなるような……いや~この2人で良かったな~と、いや、あの7人で良かったなと、感謝しています。


anokoro-500-7.jpgQ:同世代の7人が集まりましたが、現場の雰囲気は?
齋藤:男性たちは最初からとても仲良しでワイワイやってました。それを松本穂香ちゃんと「またバカやってるね」と距離を置いて眺めていたのですが、次第に寄って来て笑わされたりふざけてみたり、和気あいあいと楽しかったです。

山田:みんなの自然な空気がこの映画にはとても重要だと思いました。男子の思春期の時の価値観や男子より先に大人になるみたいな女子の価値観がシンクロして映画に活かせればと思ってましたので、とにかくみんなで楽しくやりたいと心掛けました。


anokoro-500-8.jpgQ:台湾でのロケについて?
山田:台湾版と同じ場所でロケしたいと思っていたのですが、1箇所だけ撮れない所があり、それを飛鳥ちゃんがとても残念がって泣いていたと聞いて、それがすごく嬉しかった。普段クールな飛鳥ちゃんがそれほどこだわりを持ってこの映画に臨んでいることが分かって嬉しかったのです。

齋藤:台湾では2人でデートを楽しむシーンがあって、台湾版と同じ場所で丸いアイスが食べられて、撮影しながら聖地巡礼ができたようで嬉しかったです。


Q:主題歌のタイトルが「言えなかったこと」とありますが、監督があの頃言えなかったことは?
anokoro-saitou-240-1.jpg監督:私も浩介のようにバカやってましたたので、何でも全部言ってました。この場で、2人に質問したいのですが、撮影終了時に泣いた理由は?

山田:僕はこの作品をもの凄く大切に思っていました。この作品の評価によって僕自身の俳優としての見られ方が変わっていくんだろうなと。何より、飛鳥ちゃんは映画初出演だし、この映画の出演が決まって芸人辞めてきた人もいるし、みんなにとって報われる作品になってほしいと思っていました。クランクアップして、撮影中の日々やみんなの楽しい顔やスタッフさんたちの温かい眼差しなどが浮かんできて、感情がこみ上げて泣いちゃいました。今でもヤバいです!(笑)

齋藤:私は違います(笑)(さすが、飛鳥ちゃん!感情に流されない)。泣いてはいたんですけど…確かに同じような気持ちはありましたが…私たちより一番泣いていたのは監督です!(笑)

監督:ただ歳をとって涙もろくなっただけです。僕のはもらい泣き!


anokoro-yamada-240-1.jpg―――最後のご挨拶。
監督:今日は若い方が多いですが、おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんにも是非薦めてあげて下さい。

齋藤:大事なものを思い出させて、かけがえのない時間を過ごしてきたことが実感できる映画です。それぞれご自分の頃と重ね合せて楽しんで頂きたいです。

山田:大人が観られる恋愛映画。壁ドンもなければキラキラしたものもないカッコ悪い主人公ですが、真愛を追かけていた時間の素敵に輝いているものを受け取って頂けたらいいなと思います。主人公の浩介が「凄い人間になりたい。俺がいると少しだけ世界が変わるような人間に。」と言うのですが、この映画を観た後に「この映画良かったな」と言ってもらえたら、それだけで皆さんの世界をちょっとだけ変えたことになると思うので、そう言って頂けること祈りつつ、皆さんに楽しんで頂きたいと思います。
 



【舞台挨拶後の記者会見】
Q:山田さんは沢山の映画に出演されていますが、主演となると違いますか?
山田:そんなに主演が多い俳優ではないので、こんな大きな劇場で掛かるような作品の主演は初めてで、やはり違いますね。いつもだったらどう作品をかき回すかを考えてますが、今回はみんなのことを考えて、みんながどう輝けば自分も輝けるだろうかと思いながら臨みました。


anokoro-500-1.jpgQ:10年というブランクを経る役柄でしたが、演じ分けについては?
山田:浩介と自分は似た処があったので、自分のことに置き換えてみました。僕は地元の友達に「お前、ホント変わんねえな!」とよく言われるので、浩介もそんな男なのかなと。想いを突き通せる人というイメージだったので、高校生の時は朝からギアアップしてテンションを高めていました。でも、内面ってあまり変わらないのではと思い、大人の落ち着きを出すために声を低めにするとかは嘘っぽくなるので、あまり意識せずに演じました。


Q:齋藤さんは台湾版のファンということですが、意識されたことは?
齋藤:最初は台湾版がすごく可愛らしくて私も好きになったのですが、こんな魅力的な女性を私が演じられるのかと不安になって、他の人の方がいいのではと思いました。でも、監督に「台湾版とは別物と思って、同じように演じなくていいよ」と言って頂いて、気持ちが少し軽くなりました。真似をする必要もないし、無理して創ることもないんだなと思ったのです。


anokoro-500-2.jpgQ:乃木坂46のメンバーも観られたのですか?
齋藤:一人か二人「観たよ」と連絡があって、「泣いた」と言われ、「嘘だ~!」と言っちゃいました(笑)。

山田:オレは信じたいよ(笑)。


Q:齋藤さんは泣かなかったのですか?
齋藤:初めて観た時には客観的に観られなくて、とにかく自分の粗探しをしていました。じっくり落ち着いて観たら、グッときたり、フッと笑ったりして、心を動かすいい作品になったなと思いました。


Q:台湾でクランクアップした時の泣きっぷりはどんな感じだったのですか?
齋藤:山田さんは大号泣でしたよ。私はそんなに泣いてなかったんですけど(笑)。

山田:いやいや、飛鳥ちゃんが泣いてたんでびっくりして、それがすごく良かったなと思ったよ。勿論僕も思いが溢れて号泣したけど、飛鳥ちゃんがそこまで泣いてくれたことや、みんなの想いを受けて泣けてきました。


Q:撮影中、齋藤さんが「クールやな」と思ったことは?
山田:映画の中の2人の関係のように、朝からテンション上げようと乃木坂46の曲を掛けていたら、「うるさいよ」と叱られました。でも飛鳥ちゃんに叱られて悪い気はしなかった(笑)。


Q:西野七瀬さんの乃木坂46卒業について?
齋藤:アイドルはいろんな職業にお邪魔させてもらっているのですが、表現すると言う意味ではどれも繋がっていると思います。ライブ活動も個人のお仕事もグループ活動に繋がっていると。七瀬さんは昔からグループの先頭に立って引っ張ってくれたので、その姿を見てきて、自分もグループのために何かしら貢献できたらなと思っています。


(取材・撮影:河田 真喜子)

 



『あの頃、君を追いかけた』

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【STORY】
担任の依頼で問題児の浩介(山田裕貴)の面倒みることになった優等生の真愛(斎藤飛鳥)。やんちゃでバカなことばかりしている浩介と、ちょっと大人びたクールな真愛は正反対の性格。最初は険悪な雰囲気だったが、浩介のために手書きの問題を作ってきたり、勉強に付き合ってくれたり、みんなの憧れの的の真愛に浩介は次第に惹かれていく。一方、真愛も屈託のない明るい浩介を放っておけない気になる存在となっていく。愉快な仲間7人と楽しく過ごした高校最後の年…煌めいていた日々もそれぞれの道へと分かれていき、浩介と真愛もお互いの気持ちを伝えられぬまま時は過ぎていく……。


・(2018年 日本 1時間54分 キノフィルムズ)
・出演:山田裕貴、齋藤飛鳥、松本穂香、佐久本宝、國島直希
・監督:長谷川康夫
・原作:九拍刀(ギデンズ・コー)『あの頃、君を追いかけた』
公式サイト: http://anokoro-kimio.jp/
・(C)「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ

2018年10月5日(金)~TOHOシネマズ梅田 ほか全国ロードショー

 

 

 
 
 
 
 
 
 

MI6-kaiken-550.jpg『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』記者会見

日時:7月18日(水) 11:00頃 場所:ザ・リッツ・カールトン東京
登壇者:トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、サイモン・ペッグ、クリストファー・マッカリー監督


<記者会見内容>

トム・クルーズが、ヘンリー・カヴィル、サイモン・ペッグ、クリストファー・マッカリー監督らとともに、本作のプロモーションのために来日しました。トム・クルーズの来日は『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』以来約2年ぶりにして実に通算23回目!トム演じるイーサンの前に立ちはだかる敏腕CIAエージェントのウォーカーを演じたヘンリー・カヴィルは『マン・オブ・スティール』(13)以来5年ぶり、前回『スター・トレック BEYOND』(16)の来日時に一際大きな声援を浴び日本での大人気ぶりを示したサイモン・ペッグは約2年ぶり、そしてトム絶大の信頼のもとシリーズ初の続投監督を務めたクリストファー・マッカリー監督は前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)以来3年ぶりとなります。


7月17日(火)に、一行が羽田空港に到着すると、待ち構えていた約1000人のファンは大熱狂!白熱した雰囲気の中、キャスト、監督それぞれが、一人ひとり丁寧にファンサービスを行いました。その中で一番ファンが白熱していたのがトムの神対応のファンサービス!いつまでもおさまらぬ、来日史上最大規模の熱狂ぶりに、トムの不動の人気ぶりを証明しました。


そしてそんな興奮冷めやらぬ中、18日(水)には、記者会見を行いました。

スチール、ムービー合わせ約400名ほどのマスコミが取材に訪れ、会場から溢れ出すほどの大盛況ぶりをみせた本会見。トムを筆頭に、キャスト、監督が登場すると、大量のフラッシュが浴びせられました。



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―― 骨折した“ビルジャンプ”の影響は?

トムは「日本に戻ってこれて本当に嬉しく思っている。家に戻ってきたような気がするし、今回このように仲間と一緒に来れたことが嬉しい。この後のプレミアが待ち遠しいよ」とコメント。通称“ビルジャンプ”と呼ばれる、ビルからビルへ飛び移るシーンでの撮影の中断が大きなニュースとなったことについてMCから質問が及ぶと、「あのシーンで骨を折って、足をくじいたんだ。飛び移るときに壁にぶつかったんだけど、その途端折れたと思った。でもその後、我慢して走ったよ(笑)映画には、実際のそのシーンが使われているんだ」と明かし、続けて「医者に診てもらったら9カ月かかると言われた。だけど僕は、6週間で撮影に戻ると伝えたんだ。そして、実際に6週間で戻った。その後、ロンドンでの撮影で、全速力で走ったよ(笑)」と脅威のエピソードを披露!すると、「トムの怪我についてはかなり重要なことだけど、怪我したのは彼だけではないんだ」と神妙な面持ちで話し始めたヘンリーは「僕は紙で手を切って、三週間撮影を中止したよ」とジョークをいい、トムをはじめ会場は大笑い!トムは「今は治ったよ」と完治したことを報告しました。


MI6-kaiken-500-2.jpg――撮影中のエピソードについて?
撮影中のエピソードを問われたヘンリーは「トムほど素敵なエピソードはないんだけど(笑)」と前置きしたうえで、「トムとマッカリー(監督)と仕事をできたことが最高だった。学ぶことも多かったし、シリーズの新しい仲間に加われて嬉しい」とコメント。また、サイモンは「レベッカ(・ファーガソン)と一緒に、トムのヘリスタントのシーンを見ていたんだ。その当時は、彼がヘリから落ちることを知らなかったから、その様子をみてかなり驚いた。そして、残念ながら今日は早く撮影が終わることになると思ったんだ」と明かすと、その瞬間をみたときの表情を再現!その迫真の表情に再び会場を笑いに包みました。そのときのことについて、マッカリー監督は「ヘリからぶら下がっている荷物にトムが落ちたときに、ラジオ無線上でスタッフが、トムを失った!とパニックを起こしていたんだ」と明かすと、一方のトムは「とても楽しかったよ!でも、みんなは楽しくないよね(笑)」とあっけらかんと振り返り、笑いを誘いました。


――前作に引き続き監督を務めることになって?
前作に引き続き監督を務めることについて問われたマッカリー監督は、「前作での飛行機にしがみつくトムの姿を観て、もうやり尽くしたと思ったので、続編を務める監督はかわいそうだなと思っていたら自分がやることになってしまった(笑)だけど、今回は前作を超えようという気持ちではなく、シリーズに相応しい作品にしようと決めていたんだ」と明かし、続けてテスト試写でのエピソードについて「テストで観客に観てもらった際、アクションが多すぎると言われたんだ。なので、少しカットした。ごめんね、トム(笑)、ヘンリーもごめんね(笑)」とお茶目にいうと、サイモンが「僕のアクションもカットされた!」と再びジョークをいい、会場を笑いに包みました。


MI6-kaiken-500-3.jpg――“超絶ヘリスタント”について?
その後、記者から質疑応答タイムでは、はじめに、トム自ら操縦した“超絶ヘリスタント”について質問が及ぶと、トムは「あのシーンは、アイスキャンディになってしまうんじゃないかと思うくらいとても寒くて、ヘンリーと一緒に凍えながら撮影していたんだ。あのシーンはCGがゼロでミスは許されなかったので、一年半、身体の一部となるくらい練習をして挑んだ。『トップ・ガン』や『バリー・シール/アメリカをはめた男』でも操縦していたけど、今作での良いウォームアップになっていたといえるね(笑)」と明かすと、マッカリー監督は「あのヘリでのシーンを撮影していたカメラマンは、顔が緑色になって二度とこのヘリには乗らないといって辞めちゃったんだ(笑)」と仰天エピソードを披露し、笑いを誘いました。


――過激なアクションに挑戦し続ける理由は?
次に、一作目から20年経っていてもなお、過激なアクションに挑戦し続ける理由を問われると、トムは「自分のキャリアを通じて、どんな映画でもチャレンジしてきた。観客の為に全力を尽くすことが趣味なんだ。映画に人生を捧げているし、これからもそうしていきたいと思っている」と語り、その発言を受けてマッカリー監督は「トムと仕事をするまでは、白髪がなかったけど、一緒に仕事をし始めてから、一人で二人分老けた(笑)」といい笑いを誘うものの、続けて「何度も言っていることだが、トムほど映画に全てを捧げている人はいない。そして、彼のその情熱は他人にも感染するんだ。なので、みんな今までのどの作品よりも努力するようになるし、できると思っていなかったこともできるようになるんだ」と称賛、またトムの人柄についても「トムは、いろんなひとを立てることができる。そんな俳優は唯一無二だ。そして、トム自身人間らしさをみせてくれるので、とてつもないことをやっているんだけど、親密感が持てる」と語りました。


MI6-kaiken-henry-240-1.jpg――スーパーマンより大変だと思ったシーンは?
次に、スーパーマンより大変だと思ったシーンはあるか尋ねられたヘンリーは、シャワールームでのファイトシーンを上げ、「あのシーンは凄かった。怪我については、トムが引き受けてくれたけどね(笑)次回作では、僕が右足を骨折するよ(笑)」とジョークを披露。続けて、「スーパーマンとの違いは、今作でのスタントは全て自分でこなしている。スーパーマンは、正直にいうとほとんどがCGなんだ、かの有名なコスチューム以外はね(笑)」と明かし、またこのファイトシーンについてトムは「よりリアルにみれるよう、本気で殴り合ったよ。だから撮影後は、身体の節々が痛かった(笑)」と明かしました。


――トムの秘密について?
次に、貴方だけが知っているトムの秘密を教えてという要望に、「私はすべてを知っています」としたり顔で話し始めたサイモンですが、「トムは素晴らしい。だから本当の彼は少し退屈かもしれないよ」というと、逆にトムが「サイモンの秘密をばらしちゃおうかな!」といい「サイモンは6パック(腹筋が割れていること)を持っている。だけど、僕が甘いものを食べさせて、それを崩壊させているんだ(笑)」とお茶目なエピソードを披露!サイモンは「トムは、みんなに糖分を与えることで有名なんだ。ココナッツクリームケーキというものが自宅に送られてくるんだけど、僕はそれを通称“クルーズケーキ”と言っている」と明かすと、トムがすかさず「自制心を試す為に贈っているんだよ!」とコメントし、またもや会場を笑いに包みました。


――“ヘイロー(HALO)ジャンプ”について?
次に、上空7620mから時速320キロで落下する、トムが長年の夢だったという”ヘイロー(HALO)ジャンプについて質問が及ぶと、アラブ首長国の助力があったことや、ヘルメットをつくるにあたり、一年半かけて科学的検証を踏まえてデザインをしたこと、日没前の一分間の撮影で成功させなければならないこと、カメラマンはわざわざスカイダイビングを練習させていたエピソードなどを披露!その熱を帯びた語りに、会場にいる記者たちも前のめりで真剣に耳を傾けました。


フォトセッションでは仲睦まじく肩を組み、笑顔で撮影に応じた四人。軽妙なトークで会場から何度も笑いが起こった今回の会見。それぞれの会話のやりとりからも仲の良さ、チームワークの良さが垣間見えました。

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『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

原題:MISSION:IMPOSSIBLE -FALLOUT日本公開:8月3日(金)全米公開:7月27日(金)予定
監督・製作・脚本:クリストファー・マッカリー『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『アウトロー』
製作:J.J.エイブラムス『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『スター・トレック』シリーズ、トム・クルーズ
出演:トム・クルーズ、サイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス、レベッカ・ファーガソン、アレック・ボールドウィン、ミシェル・モナハン、ヘンリー・カヴィル、ヴァネッサ・カービー、ショーン・ハリス、アンジェラ・バセットほか
公式Facebook:https://www.facebook.com/missionimpossibleJPN/
公式Twitter:https://twitter.com/mimovie_jp
(#mijp)
公式サイト:http://missionimpossible.jp/
© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

8月3日(金)~全国ロードショー(2D/3D/IMAX/4D)


(オフィシャル・レポートより)

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「是枝組と過ごした時間、温度はまだ自分の中に残っている」。
安藤サクラが語る『万引き家族』
 
第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』が、6月8日(金)から全国ロードショーされる。受賞を記念し、6月4日(月)NHK大阪放送会館で行われた記者会見では、一家の母親的存在である信代を演じた安藤サクラが登壇し、パルムドール受賞の報告を受けた時の様子や、今回の“家族”への思いについて語った。
 

「本当にすごいですね。『おめでとうございます』ですね」。

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花で飾られた演台を前に、戸惑いと喜びを滲ませながら最初の挨拶をした安藤。受賞の瞬間を生中継で観るつもりが眠ってしまい、共演のリリー・フランキーのメールや、マネージャーからパルムドール受賞を知らされたという。「信じられなくて、すぐにテレビをつけ、(受賞のニュースを)残さなきゃと、使い捨てカメラで一生懸命テレビ画面の写真を撮りました。今は、(共演者たちのいる関東ではなく)私だけ大阪にいるので、感動を分かちあったり、監督に『おめでとう』も言えていない。まだふわふわした気持ちです」と、現在の心境を明かした。
 
今回の受賞で、是枝監督から、一緒にカンヌに行った母の安藤和津によるエッセーが送られてきたそうで、「久しぶりに母の仕事をみて、母親として喜んでくれているのが分かり、とてもうれしかった」と離れて暮らす母の気持ちに胸を熱くする一幕もあった。
 
 
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■是枝組と過ごした時間は、「おつりがくる」どころじゃない。

今回演じた信代は、「生い立ちといい、現在の生き方といい、台本を読んで共感して演じるというより、現場で生まれた家族と過ごした時間がフィルムに映っている」と、撮影を振り返った安藤。「すごく楽しい時間を是枝組『万引き家族』と過ごせました。まだ自分の中にその温度が残っています。信代さんが『おつりがくるどころじゃないよ』と劇中で言いますが、それどころじゃないぐらい。 パルムドールと聞いて、なんという瞬間を一緒に過ごしたのだろうと思いました。運動会で一等賞を取って、やったね!というのと同じぐらいに、是枝監督はパルムドールの喜びを皆で分かち合っているのが、カッコイイなと思うし、その輪の中に、一緒にいさせてもらえたことが、すごくうれしかった」
 
 

■母性が溢れ出ている産後間もない時に演じた、真逆な境遇の信代。

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現在一児の母である安藤は、出産後初の仕事が本作の撮影だったという。演じた信代は過去を持つ女であるだけでなく、子どもを産めない女性という設定だった。
「出産後初めて外に出たのが昨年夏の撮影で、(初めての出産で)自分からあふれでる母性や母乳をコントロールするところまではいたらない状況でした。妊娠中や出産後は、極力子どもと一緒にいる方がいいと思っていたけれど、このタイミングで『万引き家族』の信代に出会えたことが良かったし、是枝組でしか成り立たなかったでしょう。 役柄としては(今の自分の状況と)真逆だけど、産後間もない体で、信代を演じるのはおもしろいなと思いました」
 
 

■公開して、この家族で会うことがないのかと思うと、たまに泣きたくなる。

祥太役の城桧吏や、ゆり役の佐々木みゆという二人の子役と演じたのも、安藤にとってはかけがえのない体験となったようだ。「今は、二人のビデオを見ているだけで、たまらなくなって泣いてしまいます。カンヌに行ってから、この家族が本当に大事な家族のようになっているんです。すごいご縁だと思うのは、みゆちゃんが私の娘と全く同じ誕生日だったこと。血のつながりではないけど、何かのつながりを感じています。劇場公開し、この家族で会うことがもうないのかと思うと、たまに泣きたくなるのです」
 
 
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■きちんと生きていなければ、どんな人物も演じられない。

今年のカンヌ国際映画祭審査委員長、ケイト・ブランシェットは「インビジブルピープル(社会で見過ごされている人)」がテーマだったと総括していた。それについて、女優としてどういう感想を持ったかという質問には、「難しく考えてないですし、人としてきちんと、色々なところに目を向けながらも、自分自身をきちん生きる。演じる側として、(テーマを念頭に入れる等)そういう風に考えて演じるのは向いていないし、これからもしません。考えられるなら監督になっているかもしれません。きちんと生きていなければ、どんな人物も演じられない。だから、きちんと生きたい」と断言。日常をきちんと過ごすことの積み重ねを大事にしたいという気持ちが、随所に垣間見えた。
 
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最後に、公開時の舞台挨拶で是枝監督と久々の再会を果たすにあたり、安藤は「自分の中でできるかぎり、全身で、この瞬間を体験できたことへ、感謝の気持ちを150%で伝えたいと思っています。6月8日に公開となります。久しぶりに是枝監督にお会いできるので、みなさんで監督を祝福しましょう!」と力強いメッセージを送った。
21年ぶりとなる日本人監督のパルムドール受賞。カンヌでの受賞の興奮を胸にした状態で、劇場鑑賞できることがいかに素晴らしく、感動的なものであるかをぜひ体験してほしい。そして、唯一無二の『万引き家族』に会いに行ってほしい。
(江口由美)
 

『万引き家族』
(2018年 日本 2時間)
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒方直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美/柄本明、高良健吾、池脇千鶴/樹木希林他
2018年6月8日~全国ロードショー 
 

omiokuri-s-550.jpg『おみおくり』主演の高島礼子・文音、そして、主題歌を歌った2VOICEによる記者会見

(2018年2月8日(木)朝日生命ホールにて)
ゲスト:高島令子、文音、2VOICE


亡くなられた人も、残された人も救いたい!
女性版“おくりびと”の感動作

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富山県氷見市を舞台に女性の納棺師の活躍を描いた『おみおくり』。妻子ある人とは知らず愛した人を亡くした悲しみを背負いながら生きている主人公・満島弥生(高島令子)と、両親の事故死のトラウマに苦しみながらも弟を励まし生きてきた河村亜衣(文音)。亡くなられた方に美しい死化粧を施し、残された方との心ゆくお別れができるよう取り計らう納棺師という職業を通じ、命の輝きや家族の愛情を感動的に描いた作品。


3月31日(土)からの大阪での公開を前に、全国でもいち早く完成披露試写会が行われました。主演の高島令子さんと文音さん、そして「YOU~120歳のラブソング」が主題歌に起用された2VOICEのおふたりが、試写会前の記者会見に応じて下さいました。詳細は下記の通りです。


――― 納棺師についてどう思われましたか?
高島:私は二十歳ぐらいの時に母を亡くしたのですが、その時には納棺師については知りませんでした。もっとクローズアップされてもいいのでは。この機会に是非知って頂きたい職業だと思います。遺族の選択肢として、亡くなった方をもっと手厚くおみおくり出来るのではないかと思いました。


――― 若くして納棺師に弟子入りするという役柄でしたが?
文音:難しい役でした。7つの葬儀に携わるのですが、悲しい場なのに、満島先生のように感情を隠して淡々と葬儀を執り行わなければなりません。家族の愛情あふれるおみおくりもあれば、そうでない場合もあります。どんな場合でも感情的にならず仕事に徹する職業は素敵だなと思いました。私は元々感情が出やすい方なので、特にそう思いました。

また、亡くなった方のお顔を復元する技術的なことも含めて、女性の納棺師の仕事はとても勉強になりました。


――― この役をオファーされた時のお気持ちは?
omiokuri-s-takashima-240-1.jpg高島:私が演じた満島の役は、不倫とは知らずに愛していた男性を亡くしています。結果的に不倫だったことを知って、他人の不幸の上に自分の幸せが成り立っていたことを悔い、その罪を背負いながら生きています。納棺師の仕事を通じて、人様が救われることによって自分も救われる……つぐないのような気持ちがあるのではないかと感じました。


――― 亡くなった方に向き合う高島さんの表情がとても慈悲深く感じられましたが?
高島:あまり感情を出してしまうとご遺族の悲しみを引きずるようで、ちょっと違うかなと思い、亡くなった方の想いを汲み取るような気持ちで演じました。


――― この難役について経験や参考にされたことはありますか?
高島:大切な人を亡くした経験はあります。納棺師の仕事は、亡くなってから火葬するまでを管理することですから、それらを任せられるような信頼できる人物でありたいと心掛けました。特に、若い人から「そうなりたい」と魅力的に見られるよう、辛い思いばかりでなく、やりがいを持って亡くなった人に接している姿を見せたかったのです。納棺師の仕事に関心を持って頂けたら嬉しいです。

文音:私は両親を交通事故で亡くし心に傷を持つ女性の役柄でした。勿論そんな経験はありません。そこで、私の出番はなかったのですが、事故のシーンの撮影に立ち会わせてもらいました。その現場を見て、自分の中に悲しみの感情をとり入れていったのです。


――― 主題歌について?
2VOICE: 「YOU~120歳のラブソング」は2016年に発表した曲ですが、伊藤秀裕監督の耳に届いて、今回使って頂きました。元々ラブソングとして作ったもので、聴く人によって様々な愛を感じとってもらえて本当に嬉しかったです。

映画はいろんな方が携わっておられますが、それぞれがこの歌に心を重ねて下さいました。初めての経験で、楽曲が独り歩きすることを改めて感じました。


omiokuri-s-ayane-240-1.jpg――― 完成した作品を観た感想は?
文音:女性が主役ということで嬉しく思いました。弟との関係性は、実際私には二人の弟がいますのでとてもやりやすかったです。家族とは普段から連絡し合っていて、メールなどでしょっちゅう炎上したりしています(笑)。この映画を通じて、両親を大切にしなければと思いました。是非両親にも観てほしいです。


――― 撮影中、文音さんに両親(長渕剛と志穂美悦子)を感じることはありましたか?
高島:実は、以前テレビドラマで共演した時に、文音ちゃんのご両親について知らずに、長渕剛さんのコンサートへ行ったんです。そしたらそこで、長渕剛さんと志穂美悦子さんに「娘をよろしくお願いします」と挨拶され、とても恐縮したことがありました。今回は、姉か親のような立場で共演させてもらいました。


――― 文音さんは役柄と違ってとても快活ですが、普段からこんな感じですか?
文音:そうです(笑)。高島令子さんがとても甘やかせて下さるので、現場では安心してリラックスしていました。テーマはシリアスですが、現場は和気あいあいとしてとても楽しかったです。


omiokuri-s-500-1.jpg――― 観客の皆様へのメッセージ。
2VOICE:生きる歓びと輝きを感じ取って頂きたい作品です。是非ご覧ください。

高島:このような作品は引きずることが多いのですが、音楽と作品がマッチしていて、希望を感じさせて温かい気持ちになれると思います。年齢。男女を問わず、多くの方にご覧頂きたいです。

文音:この作品を通じ、お葬式は、亡くなった人のためというより、故人を思い出して話をすることによっておみおくりの準備をする、残された者のためにあるように感じました。女性納棺師について知って頂くと同時に、お葬式について違った視点で見て頂く機会になればと思います。是非ご覧ください。


omiokuri-500-1.jpg『おみおくり』

【STORY】愛する人との悲しい過去を背負う女納棺師・満島弥生(高島礼子)。そこへ、子供の頃、両親を交通事故で亡くし、心に深い傷を抱えた亜衣(文音)が弟子入りを希望してやってくる。友人の家族の葬儀の場で満島弥生の納棺師としての仕事ぶりに衝撃を受けたのだった。生前のように遺体を修復し、遺族がきちんとお見送りができるように尽力する満島の姿は、トラウマを抱える亜衣の心に救いのようなものをもたらしていた。そして亜衣は、自分を見つめ直し、様々な「おみおくり」の現場に接しながら、心の闇から徐々に解き放たれてゆく。


■出演: 高島礼子文音 / 渡部秀 風谷南友 芳賀優里亜 井上奈々/藤田富 / 宮下順子 / 重盛さと美/加藤雅也(特別出演)
■原案及び納棺師監修:永井結子「今日のご遺体 女納棺師という仕事」(祥伝社黄金文庫刊)
■主題歌:「YOU~120歳のラブソング~」2Voice(フジパシフィックミュージック)
■脚本・監督:伊藤秀裕  プロデューサー:芳賀正光、佐藤敏宏 キャスティングプロデューサー:河野優 アソシエイトプロデューサー:間瀬頼彦 ロケーションコーディネーター:中村正一郎
■撮影協力:一般社団法人氷見市観光協会、富山県ロケーションオフィス、立山フィルムコミッション
■制作・配給:エクセレントフィルムズ 配給協力:トリプルアップ
(カラー/ビスタ/5.1ch/117分)
■ Ⓒ2018「おみおくり」製作委員会
■公式サイト:http://www.exf.info/omiokuri/

2018年3月17日(土)~富山県先行公開、3月24日(土)~有楽町スバル座、3月31日(土)~シネ・リーブル梅田 ほか全国順次公開


(河田 真喜子)

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~二人が語り尽すラトビアロケの舞台裏と、オリジナリティーに満ちた作品の魅力~

 
神戸と北欧ラトビアの首都、リガの2都市を舞台に、桃井かおりとイッセー尾形がアレクサンドル・ソクーロフ作品『太陽』(05)以来久々の共演を果たす『ふたりの旅路』が、6月24日(土)からユーロスペース、丸の内TOEI他、7月15日(土)から神戸国際松竹、第七藝術劇場他で順次公開される。
 
監督はラトビア出身のマーリス・マルティンソーンス監督。大阪アジアン映画祭2011のコンペティション部門作品として紹介された『雨夜 香港コンフィデンシャル』で初タッグを組んだ桃井かおりが、『OKI-In the middle of the ocean』に続き3作目となる本作で、イッセー尾形に出演を打診。結婚直前の娘を事故で、ほどなく震災で夫を亡くし、一人神戸の街で生きてきた主人公クミコの夫役として羽織袴で登場する。おとぎの国のように美しい街並みの中、着物ショーに出演するためにラトビア・リガを訪れたクミコに訪れる夢のような出来事に思わず惹きこまれる人生讃歌。異国の地で止まっていた時が動き出すかのように、自らの体験を語るクミコや、夫との思わぬ”夫婦喧嘩“など、桃井かおりとイッセー尾形だからこその名シーンの数々も見逃せない。
 
神戸でのプレミア上映前に神戸市役所で行われた記者会見では、ラトビアでのプレミア上映を終えて戻ったばかりという主演の桃井かおりさん、イッセー尾形さんが、劇中の黒留袖と羽織袴姿で登場。映画の中の夫婦さながらの和気藹々とした雰囲気の中、次から次へと撮影での思い出が沸き上がってくる、温かい時間となった。マーリス・マルティンソーンス監督と3作目になる本作で、初めて日本との合作が実現。名優たちも参加し、意気込み十分のお二人が熱い思いを語った記者会見の模様をご紹介したい。
 

■ラトビア・リガの街を挙げての撮影に感慨。震災の被害に遭った主人公の心がどうやって立ち直るのか、失くしてしまった愛しい人の思い出は進化しないのかを伝える上質な映画になった。(桃井)

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―――まずは、一言ずつご挨拶をお願いします。
桃井:マーリス・マルティンソーンス監督とは本作で3作目ですが、やるたびによく分からない台本で、よく分からないまま終わります。でも、出来上がると「こういう映画は言葉で打合せをしても何も分からないのは当たり前。やってみないと分からない作品を作る監督だな」と納得し、今回は特にその思いが強かったです。日本の俳優で出演するのが私ばかりではつまらないし、そろそろもっといい俳優を(ラトビアに)紹介しなければと思い、イッセー尾形さんに出ていただこうと無理やり引きずりこみました。
 
ラトビア・リガという街をフルに活用させていただき、ストーンブリッジという一番大きな橋も撮影のため閉鎖しましたし、夜中市庁前を貸し切ったり、旧市街は自由に使えました。私が出演したハリウッド映画よりも大規模で、国中が動いているような素晴らしい撮影をさせていただけました。私も昨日初めて出来上がった作品を観て、非常に面白かったです。イッセーさんとも同じぐらいのレベル感でいい映画だねと話をしたところです。記者会見の時にちょっと気に入っていない映画だと本当に辛いのですが、良かったよねと。
 
本当に品の良い上質な映画ですし、笑えますし、私は神戸の震災に遭った女性を演じているので、そのあたりの心境もきちんと伝えたいという気持ちもありました。福島や津波の被害に遭われた方もそうですが、ちゃんと生活は立ち直っても、心はどうやって立ち直るのかという問題。失くしてしまった愛しい人の思い出も失くしてしまわなければいけないのか。思い出は進化しないのか。お化けと一緒に思い出を作る話でもありますから、本当にオススメできる映画になりました。
 

■かおりさんと二人さえいれば、どこでも世界を繰り広げられるという確信があった。(尾形)

尾形:桃井かおりさんとは、30代の頃から舞台で共演しており、日本、ドイツ、イギリスでもやりましたし、映画もロシア・ペテルブルグで『太陽』を撮りましたし、言うなれば、「二人さえいれば、どこでも世界を繰り広げられる」という確信がありました。台湾で『沈黙』を撮影していた時に、かおりさんから「映画をやらないか」と連絡が来て、すごいタイミングだな、縁だな、戦友だなと色々なことを思いました。そのときストーリーはまだ聞いていませんでしたが、何であれ大丈夫だろうと。リガは夢のような、ファンタスティックな街で、羽織袴(イッセー尾形さん演じるクミコの夫の衣装)を着て歩くだけで本当に気分がいいんですよ。「お前は誰?誰でもない!」みたいな感じで、あんな自由を味わったのは生まれて初めてです。
 
台本はあるけれど、それを横に置いて好きにやってもいいと言ってくださる太っ腹な監督で、本当に好きにやったんですよ。それがほぼノーカットで映っていたので、監督の太っ腹さと、根性にビックリしました。その部分がこの映画の柱になっていましたね、自画自賛ですが(笑)。この映画は本当にオリジナルな世界が出来ており、「このような映画です」と例えられるものではない。震災の話や、その思い出という話も出てきますが、僕とかおりさんが出てくると、一つのカップルの日常が作れる。「日常に勝るドラマチックなものはないな」というのが一番の感想ですね。

 

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■イッセーさんは演じながら戯曲が出来ていく天才的な俳優。現場の力を信じている。(桃井)

意味ではなく、イメージ、感覚、五感が大事な映画。かおりさんは、この映画で人生の選択の可能性のドアを全て少しずつ開けていく。(尾形)

―――何度も共演されている桃井かおりさんとイッセー尾形さんですが、お互いにここが素晴らしい、もしくは個性的と感じる点は?
桃井:イッセーさんは、自作のお芝居(二人芝居など)をされるとき、最初は台本がなくやりながら戯曲が出来ていくのですが、それがとても哲学的かつ即興的で、ちょっと天才的なところがあります。そういう俳優さんは日本でも海外でもいらっしゃらない。そのセンスの高さと、現場の力を信じているところや、監督がなんと言おうと、出ないものは出ないと言える。俳優が作っていく力をイッセーさんと一緒にいると味わえるのです。だから海外の作品に出演しても大丈夫なのは、私が一番良く知っています。
 
この作品の現場でも、ただ道を歩くシーンで、台詞は一応作ってあるけれど尺が足りないんですよ。ある時「(台詞を)言っても、言わなくてもいいんだよ」と言われて、私も思わず「言わなくてもいいんですか?」と聞き返すと、「言いたくなったら言えばいいんじゃない?」と。夜のシーンでしたから、影や寒さを全部感じている中、ただ歩いていてもいいかなと思う。そういう判断も入れながら撮っていきました。監督から「ここでしゃべっていてください」と言われたら、即興でしゃべっていきますし。クミコがリガのお料理番組で出演するシーンで、私は一生懸命おにぎりのエピソードを長々としゃべっているのですが、監督は私が何をしゃべっているか分からなかったんですよ(笑)。
 

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尾形:意味ではなく、イメージであったり、感覚であったり、五感であったり、それが大事な映画なのです。言葉が分からないから監督抜きで、二人で作っていったのではなく、監督がいないと出来ない。というのも、僕たちは監督に観てもらいたくて芝居をしていたり、カメラマンにこの即興を投げかけて、彼らがそれを意味ではなく別のセンサーで感じとり、もう1テイク撮ったり、別の動きをしてみたり、様々なアイデアが出てくる。そうやってキャッチボールをしながら作っていくのです。
 
リガはとても不思議な街で、おとぎ話に出てくるようなお城があり、昼間はカッと照るのですが、闇とのコントラストがくっきりしており、夜になると真っ暗な中に店の照明が幻想的に浮かび上がる。「ここをこうしてやろうか」という演技上の邪な考えが消え、浄化されていく中でかおりさんと出会う訳です。かおりさんもそうですが、僕も自分で思ってもみないようなものが出ていました。
 
桃井さんの素敵なところについて一つ例え話をすると、生きている時は色々な選択肢があり、一つ一つ選択しながら皆人生を過ごしていく訳ですが、かおりさんはこの映画で可能性のドアを全部少しずつ開けていくんですよ。ちょっとずつ顔を覗かせて、その表情が万華鏡のように変化するところが素敵だなと思いました。

 

■ラトビアの人の強さにハッとさせられ、神戸と二つの都市で撮る映画は、いい大人のおとぎ話を作れる気がした。(桃井)

―――震災を経験した女性を演じるにあたり、どのような役作りをしたのですか?
桃井:以前の映画もそうですが、ずっと気になっていたことでした。例えば「4年経って、やっと涙が出た」とか、現実的な時間を止めて、元気になるためならどんなことでもしようと、やっと元気になったのだけど、どうしても喪失感が消えない。時間は止まっているけれど、生活は続いていくことを感じながら演じていこうと思いました。ところが、撮影を始めると時間は止まっているだけど、場所は移動して、距離はどこにでも飛んでいける女性になっていたのです。そうすると、嘘でも本当でも(亡くなった夫が)いてくれればいいとか、イメージさえあればいいとか、色々なことを撮りながら体験していきました。
 
ラトビアという国は独立してから20年強。神戸の震災と同じぐらいの時間しか経っていません。独立するまで色々な国に占領されてきた小国ですが、最後にはバルト三国は国境で、パン屋からおじいさん、子どもまでが手をつなぎ、戦車が迫ってきても、手をつなぎ続けたのです。結局戦車もひき殺すことが辛くなって引き揚げ、独立を勝ち取ったという無抵抗の勝利を収めた人々がいる国です。不条理な歴史を抱えており、ドイツに侵攻されればドイツ語を話せるようにし、ロシア語も話せるようになっています。マーリス監督と最初に香港で仕事をしたとき、中国語が全然分からないのに、全く困っていなかった。辛抱強い面も含めて、何だろうこの強さはと感じました。ちょうど、日本が地震など自然と闘わなければならなかった時に、ラトビア人の強さを見ていると何か生き延びることができるのではないかと強く思わされたので、ラトビアと神戸の二つの都市で撮る映画は、いい大人のおとぎ話を作れる気がしました。

 

■ケイコの場合はそういう風に立ち直る予感があると、個人的に優しく手を差し伸べた映画(尾形)

思い出にも未来がある感じがいいなと思う(桃井)

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―――震災の事に触れている作品ですが、神戸の皆さんに伝えたいことは?
尾形:僕が映画を観た時最初に感じたことですが、カオリはラトビアに異邦人として行くけれど、もう一人の異邦人を自分の中に抱えていることに気が付くのです。その異邦人とは時を止めてしまった見知らぬ自分で、夫らしき人に出会うことにより、どういう態度に出ようかと迷う訳です。夫と声をかけ、もし違っていれば、夢が醒めてしまうのが怖いと、ずっと他人のふりをして近づいていく。その近寄り方は彼女が過ごしていた、失くしてしまった日常の延長線上で、その異邦人がもう一度日常を繰り返すのです。そのことにケイコ自身が気付き、もう一度止めた時を自分の時に戻して生き直す。神戸の皆さんにこうですよと投げかけるのではなく、ケイコの場合はそういう風にして立ち直る予感があると、個人的に優しく手を差し伸べた映画だという気がしました。
 
桃井:震災のことを利用していない映画です。実は、ヘルシンキからリガに行くときに日本のご夫婦ばかり乗っていたツアーで、お一人で乗っていらっしゃるお客さんがいらっしゃったので話を聞くと、ご主人とバルト三国ツアーにずっと一緒に行っていたのが、ご主人が亡くなってしまったそうです。お一人での参加でしたが「二人で思い出を作るんです」とおっしゃっていたのが、すごく良かった。失くしただけではなく、それでもやれることがある。思い出が育つ、思い出にも未来があるという感じがいいなと思ったのです。
 
―――引退を決意されたとの噂もありますが、今後の活動について教えてください。
桃井:もう半分リタイアしているんですよ。老後を楽しみにしようかなと思って。私の大好きな叔母さんが「夫婦っていうのは、老後がいいのよ」とおっしゃったのだけど、そう?
 
尾形:俺、今老後だもん。
 
桃井:そうでしょ、いいなぁと思って。仕事もして、老後もしてと。ずっと働くとかは…。だからテレビ局のプロデューサーにも全然媚びないですよ。要らないの、私たちは。
 
尾形:「働く」と「休む」の間の、新しい日本語が欲しいよね。「安らぐ」とか。
 
桃井:でも、非常に清純に仕事ができるいい時間なんですよ。この年頃って。
 
尾形:ご褒美だよね。
 
桃井:多分、前よりも野心がなく、清純に監督と仕事が出来ていると思います。あまりに賞とかくれないから、ちょっと辞めたくはあります(笑)。こんなに頑張っているのに。海外では賞をくれるのに、(日本では)えっくれないのという、ちょっと拗ねる気持ちはありますが。ただ、おととしは『ふたりの旅路』を入れて、一年で5本の映画に出演し、桃井かおり史上最多。そういう意味では、60歳を過ぎてからの方が活気づいていますよ。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ふたりの旅路』“Magic Kimono”(2016年 ラトビア=日本 1時間45分)
監督:マーリス・マルティンソーンス
出演:桃井かおり、イッセー尾形、アルトゥールス・スクラスティンス、マールテインシス・シルマイシュ、アリセ・ボラチェンコ、木内みどり、石倉三郎他
2017年6月24日(土)~ユーロスペース、丸の内TOEI他、7月15日(土)~神戸国際松竹、第七藝術劇場他順次公開
公式サイト⇒https://www.futarimovie.com/
(C) Krukfilms / Loaded Films
 

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美しき日本の文化を伝承する松雪泰子主演『古都』、京都プレミアイベントを開催
(16.11.16 ウェスティン都ホテル京都 葵殿)
登壇者:松雪泰子(主演)、Yuki Saito(監督)、新山詩織(エンディング曲)、小林芙蓉(書道)、松山大耕(禅)、門川大作(京都市長) 
 
文豪川端康成の代表作で、過去に岩下志麻、山口百恵を主演に2度映画化された、京都に生きる生き別れた双子の姉妹を描いた『古都』。原作誕生から50年以上経った現在の京都とパリを舞台に、主人公千重子、苗子の20年後を描く新しい『古都』が生まれた。
 
 
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監督はハリウッドで8年間映画作りを学び、京都ヒストリカ国際映画祭関連企画の京都フィルムメーカーズラボにも参加経験のあるYuki Saito。千重子、苗子を一人二役で演じる松雪泰子、千重子の娘、舞を演じる橋本愛、苗子の娘、結衣を演じる成海瑠子が、伝統を継ぐか、自分の好きな人生を歩むか葛藤する娘と若い頃の自分と重ねる母の姿を小説のように美しく、鮮やかに演じている。京都で暮しているかのようにはんなりと流れる時間を感じる一方、千重子が身に付けている着物や、物語の鍵となり過去の『古都』ともつながる北山杉の帯の美しさや、京都で受け継がれてきた様々な文化の豊かさを体感できる作品だ。
 
 
 
 
 

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作品の舞台となり、全面ロケを敢行した京都で、11月16日にプレミアイベントが行われ、プレスや関係者、一般客の前で、本作にちなんだパフォーマンスや記者会見が行われた。
冒頭に横澤和也さんによる岩笛演奏と共に、本作にも出演され、題字を担当した書道家の小林芙蓉さんによる書パフォーマンスが行われた。舞を踊った後に大筆で、気合いのこもった掛け声と共に全身を使って見事な書が描かれ、池坊専好次期家元による生け花の横に飾られた。映画の世界をそのまま体現した会場に、引き続き主演の松雪泰子さん、Yuki Saito監督、エンディング曲を担当した新山詩織さんがレッドカーペットから登場し、感激の面持ちで挨拶してから記者会見へと移った。
 
 

 

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―――日本文化が色濃く描かれている作品ですが、特にこだわった点は?
Saito監督:まず、全て本物にこだわりました。お茶道具、着物も素晴らしいですが、なぜ本物にこだわったかといえば、そこに宿っている魂、本物だからこそ今まで培ってきたものが備わっているからです。
 
松雪:私は役を通して、この京都で生きることがどういうことなのか、私なりに作品に入る前に様々な稽古を通す中で学びました。できる限り、この土地に存在して生きている女性を自分の感覚と体、表現を通してしっかり体現したいと思い、撮影に臨みました。お茶や着物の所作、着付け、お料理など、肉体を通してしっかりと京都に存在することを丁寧にやりたい。それを体現することで文化を表現したかったのです。 
 

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―――名作『古都』を改めて映画化した意味は? 
Saito監督:偉大な中村登監督や市川昆監督が映画化し、名作として既に存在している映画『古都』ですが、過去あったものやその世界をそのまま焼き増しするのではなく、現代の京都、新しい視点を加えることができれば私でも撮れると思いました。『古都』には、日本人の精神性や、目には見えない宿命が描かれています。 川端香男先生からは「映画と小説は違うから、自由にやりなさい。ただ川端文学にあるように、今の京都をしっかり描く。その精神だけは受け継いでほしい」とおっしゃっていただいたのは、有難かったです。一番気を付けたのは精神性です。登場人物たちが京都やパリで生きることで、ある種の宿命や運命を背負います。私は、運命は変えられるもの、宿命は変えられないものと思っています。その狭間にいる京都の人を描いていきました。
 
松雪:川端先生の『古都』は、本当に偉大な作品です。改めて読み返すと、本当に美しく、京都文化の奥深さが、言葉による表現でありながらも絵のように広がります。その精神はかつての古都の時代から生きて、子をはぐくみ背負う宿命、渡す立場の人間でしたので、しっかり引き継いで表現したいという思いで臨みました。 
 
撮影で建物の歴史や存在する家の空気を感じた時に、全身に歴史の重みを感じながら演じることができました。簡単に「継承」などできませんが、どう若い世代に渡していくべきか。伝統の重みは計り知れない大きなものですが、母である役柄を通して、娘になにをどう伝えるか、苦労しながら演じました。若い世代の娘たちに対し、一方的に想いを押しつけるのではなく、同じ時間軸の中で葛藤しながらお互い成長する。どういう風に表現したら一番伝わるのか、皆でセッションをしながら作品を作り、一生忘れられない体験となりました。
 
―――中島みゆきさんの名曲『糸』をカバーした気持ちは? 
新山:学生時代からふとした時に耳にした曲で、年代を問わずにたくさんの人に響く曲です。 今回この映画の中でエンディング曲として歌わせていただきましたが、映画は京都の美しい景色に優しく寄り添えるように歌いました。名曲なので緊張感はありましたが、それも含めて、新山詩織としてこの曲を歌いましたし、観た方に届けばうれしいです。 
 
 
 
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―――日本の美、心を演じられるにあたって具体的にどのような部分を意識したのですか?

 

松雪:実際に伝統的な織物や建造物にふれていく中で、役を演じるにあたり歴史的背景を学び、そこに息づくエネルギーをすごく感じました。学ぶ機会があることは、日本古来の伝統的な美しさをより感じることができますし、この映画がそのきっかけになればいいなと思いながら、撮影しておりました。 準備にあたっては、着付けのお稽古や京言葉を1ヶ月半練習し、できる限り体現できるように準備をして臨みました。 
 
―――具体的に現場ではどのようなセッションをして、より作品を深めていかれたのですか?
Saito監督:1本の作品を撮るのに2年間準備をさせていただいたのは、すごく幸せなことでした。脚本も50稿まで書きましたし、撮影に入るまでに何度もディスカッッションできました。何度もロケハンで回り、全アングルが頭に入っているぐらいの準備をして撮影に臨みましたが、お着物姿の松雪さんが千重子として、町屋やお寺で現れた時、それらがパッと消えてしまう瞬間がありました。やはり松雪さんや橋本さんのお芝居を見せてもらい、現場で起きていることが正解ですから。町屋の撮影では、例えば「小津監督のフレームに自然と収まるようになるな」と学びながら行っていきましたし、娘と母の距離感は実際の現場でのお芝居を見ながら変えていった。そんなセッションでしたね。 
 
 
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―――川端康成の『古都』の原作が書かれたのは約50年前ですが、当時あったもので現代にはなかったものは?また、それに対してどう対処したのですか? 

 

Saito監督:精神は何かという見えないものを探っていくと、「川端先生はなぜ『古都』を書かれたのか」と考えました。50年前の当時、失っていくものを感じて「これは今、書いておかなければいけない」という思いから始まった。そうすれば、50年たち川端先生が見た景色より、失われたものはさらに多くなっています。特にオープニングシーンでは中村登監督の初代『古都』にオマージュを捧げる意味で、格子や鍾馗さん、瓦という京都のディテールから、クレジットとともに京都の街を描こうとしました。でも、絵を引けないのです。クローズアップでディテールは撮れても、引いた映像を撮ると、どうしても隣接するマンションや駐車場が映り込んでしまう。ただ、そこを排除して、昔の姿が残されている所ばかり撮っても、現代版にした意味がなくなる。ですから、引くことにより、マンションや工事中の現場もしっかり押さえることで、今の京都を描きました。2年間取材をする中でも町屋だったところが更地になったのが何軒もあり、現在進行形で起きているので今のうちに描かないと、と強く思いました。この感覚は50年前に川端先生が感じられたものに、少し近いのかもしれません。 
 
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この後、「奇跡的に発見した」という、東山魁夷の代表作『北山初雪』からイメージした北山杉柄の対の帯についても話が及んだ。「発見したとき、これは映画の軸に入れなくてはいけないと思った。夏の帯と秋の帯で、千重子と苗子がそれぞれ娘に受け継いでいくものを表現した」とSaito監督が語ると、財団法人川端康成記念会事務局長の水原氏は「それまで注目もされていなかった、あの美しい北山杉の美林を発見したのは川端さん。昭和38年に朝日新聞で連載を始めた『古都』で初めて取り上げ、有名になった。昭和30年代の半ば、京都にビルが建ち始めたときに『山が見えない京都は、京都ではない』と嘆き、激変する京都を描いて欲しいと親交が厚かった画家東山さんに頼んだ」と、物語のイメージを形作る北山杉や、東山魁夷と川端康成の秘話を語られた。
 
 

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「『古都』というタイトルが背負う意味として、京都の人が認めていないものを、世界に持っていけないというポリシーが自分の中にあります。まずは京都の人に観ていただき、まだ小さい産声ですが、その声を大きくしていくことでこの作品が成長していくと思います。京都から全国、そして最終的には日本人の精神が詰まったこの映画を世界に発信していきたいと思っています」(Saito監督)、「深く静かに、丁寧に時間が進む作品。今、映画館に足を運び、自分自身と向き合いながら観ることができる作品は少ないです。『古都』はすごく豊かな時間を過ごしていただける作品になったのではないかと思います。」(松雪)と記者会見を締めくくると、新山詩織さんがエンディング曲、『糸』を生演奏で披露。アコースティックギターを演奏しながら、奏でられる若々しくも少しハスキーな歌声が、聞きなれた名曲に新たな命を吹き込んだ。
 
 
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続いてスペシャルゲストとして登壇した書道家の小林芙蓉さんは、「川端康成の心と精神がとても出ている。美しい映像、テーマは水と祈りではないか」と作品にメッセージを寄せた。また、妙心寺退蔵院副住職の松山大耕さんは、「京都の人だったら躊躇して撮れなかったが、Saito監督は外から京都を見てくれた。京都の気持ちを伝えるのに一番難しいのは、歩き方や襖の開け方、足の運び方など日常の所作。若い世代の人が出演しているので、京都の美しい景色やお道具だけでなく、所作の美しさを少しでも味わっていただきたい」と作品の見どころを語った。
 

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最後に、門川大作京都市長が登壇。「伝えられる日本の伝統、伝えたい日本の心という言葉がぴったりの多くのことを考えさせられる映画。1000年を越えて伝わってきた精神文化、書道、華道、茶道、それらを支える伝統産業。なによりも大事なのは京都に伝わる心を京都市民が暮らしの美学、生き方の哲学として伝えていかなければなりません。この50年で日本中の伝統産業が危機的状況にあり、山林も荒れ、京町屋が毎日のように潰されていますが、我々は行動しなければなりません。何を大切にし、何を伝えていくか。それで豊かに暮らしていける循環が大事です。2年後に京都とパリの友好都市が60周年を迎えるにあたり、このような映画を作っていただき、本当にうれしい。どうぞ、多くの方にご覧いただきたい」と挨拶し、映画『古都』京都プレミアイベントを締めくくった。
映画制作のスタッフ、キャストだけでなく、京都の行政、文化人の方々が全面的に協力し、今後残していきたい精神と美を織物のように織り上げた新生『古都』。京都力、そして双子のようなフランスの古都、パリの魅力と共に、いつの世も変わらぬ母娘の絆が心に残ることだろう。
(江口由美)
 

<作品情報>
『古都』(2016年 日本 1時間57分)
監督:Yuki Saito
原作:川端康成『古都』新潮文庫刊
出演:松雪泰子、橋本愛、成海瑠子、蒼れいな、蒼あんな、葉山奨之、栗塚旭、迫田孝也/伊原剛志、奥田瑛二他
2016年11月26日(土)~京都先行公開、12月3日(土)~全国公開
公式サイト⇒http://koto-movie.jp/
(C) 川端康成記念會/古都プロジェクト
 

danchi-kai-550.jpg「阪本」と「藤山」で“SF映画”です!?『団地』爆笑記者会見

ゲスト:阪本順治監督、藤山直美(2016年5月19日(木) ホテル日航大阪にて)



『団地』
■(2016年 日本 1時間43分)
■脚本・監督:阪本順治
danchi-550.jpg■出演:藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工 ほか
■公開情報:2016年6月4日(土)~有楽町スバル座、シネ・リーブル梅田、TOHOシネマズなんば、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国ロードショー
■作品紹介⇒ こちら
■公式サイト⇒ http://danchi-movie.com/
■コピーライト: (C)2016「団地」製作委員会

ベストワンに輝いた傑作『顔』以来、16年ぶりに阪本順治監督と日本を代表する舞台女優・藤山直美がタッグを組んだ下町喜劇。直美のために阪本監督が書き下ろした絶妙の会話劇。さまざまな人間模様が織り成す団地で、平凡な夫婦が“普通じゃない”日常を描く。共演は岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工ほか。
 



公開(6月4日)を前に阪本順治監督と藤山直美が大阪・市内でPR会見を行い、映画顔負けの面白話を披露した。
 

――― まずお二人からご挨拶。
danchi-kai-240-s-1.jpg阪本順治監督:表現は悪いですが、長年たまりたまったものを排泄してスッキリした気分です。16年ぶりですが、16年経ったから出来たと思う。『顔』の直後では出来なかった。『顔』は直美さんとは最初で最後のつもりだった。年月が経ってもう一度出来るようになった。

藤山直美: 『顔』の時は40歳でした。17年経ってあと3年で還暦を迎える。人生後半になり、阪本監督にまた撮って頂くことが出来た。月日の流れは大事やなあと思います。

阪本監督: 『顔』の後、(直美の)舞台見たり、楽屋に行ったり、食事に行くなど普通にお付き合いさせてもらいましたが、もう一度映画を撮ることは予定してなかった。去年、スケジュールが空いている、と聞いて急いで脚本書きました。

藤山: (映画の予定は)まったくなかった。監督はお芝居を見に来てくれたけど、声かけてもらえなかったら、ズーっと映画に出ないままだった。

――― SFを撮りたかったということだが?
阪本監督:阪本と藤山でSFですよ。SMではありません(笑)。まあ、子供のころから、空想や妄想で宇宙のこと考えたり、そこに人の死も入ってくる。実家が仏具屋で人の死と向き合うことが自分なりの宿題と思っていて、答えを出してみたかった。人は死んだらどこへ行くのか、宇宙空間に行く。人の死の疑念をどこまでシリアスにやるのか?あるいはユーモラスに描くのか? 直美さんが主演だからやれた。藤山直美の「団地」だからやれたと思う。

danchi-kai-240-f-2.jpg藤山:仕事断るのに、「日程的に無理」というのと「作品が合わん」というのがあるけど、阪本監督やから“あんなんイヤヤからよすわ”とは言えん。頭おかしいのがマックスに来たんかなとおもた(笑)。監督に任さな仕方ないなあ、と…。

――― 厳しい反応だが…?
阪本監督:いやいや、これでもすごく手加減してくれている(笑)。『顔』は直美さんに“何これ?”と言われたくて書いた。今度は直美さんを出来るだけ遠くへ連れて行きたいと思った。キテレツな部分をどこまで見せるか。どこで寸止めにするかが大事でした。撮った直後は分からない。あとは映画館のお客さんにお任せします。久々のオリジナル(脚本)でハダカになれたんで(公開を)楽しみにしています。

藤山:先ほど、ラジオにも行って来ましたけど、宣伝は苦手です。撮影が無事済んでよかった、と思ってます。あとはお客さんがジャッジしてくれるでしょう。野田阪神あたりのおばちゃんが見て、どうか、チケット買うて来てもらってどうかです。その辺は舞台と変わりませんね。

――― やはり舞台と映画は違い、苦労が多かった?
藤山:舞台は午前11時から午後8時過ぎまでやけど、映画は終わって帰って2時間ぐらい寝て“次の日”というのが普通らしいですね。今回の撮影は真夏だったので、45度ぐらいになったことがありました。

阪本監督:暑い日がありました。監督や俳優さんは日陰に入ることも出来るけど、スタッフには水分補給のタイミングがなく、『闇の子どもたち』のタイでの撮影ではスタッフが倒れたこともありました。直美さんはスタッフをとても気遣っていました。

danchi-kai-240-s-2.jpg――― 直美さんの他は“阪本組”の常連さんですが、ひとり若手の斎藤工さんはいかがでした?
阪本監督:直美さんに台本渡した時、「この“サイトウ・エ”って誰?」 と聞かれました(笑)。でも斎藤君は同年の俳優に比べて気配りも出来、ひとりの人間としてやっていける人。演技力よりも考え方が出来る人。過去の先達俳優をリスペクトしている。直美さんにも可愛がられていた。

藤山:最初は印刷ミスかと思った(笑)。詳しく注目してなかったので知らなかった。いろいろナンバーワンになった人でしょう。“あんた凄いねえ”と言いました。映画が好きなので私は感心しました。

阪本監督:藤山さんが決まった時に常連の3人(岸部、大楠、石橋)を想定して脚本書いた。『大鹿村騒動記』みたいな熱を帯びた現場。こうあってほしいという思い通りの現場になった。岸部さんは「明日、脚本届くから」と電話したら「俺明日からパリ行くわ」だし、石橋さんは「阪本が何か企んでる」と知ってて、ちゃんと来てくれた。ただ石橋さんは入る前に「最後は逃げにならないよう気をつけろよ」と言ってくれて、それが生きましたね。

danchi-kai-240-f-1.jpg藤山:岸部さんには私が19歳の時から恋愛相談とかいろいろ相談に乗ってもらってますし、大楠さんとは子供時代、7つか8つの時に大映で勝さんの『座頭市』で共演しています。「その時は安田道代さんでしたが、それ以来です」とあいさつしました。最後に、石橋蓮司さんと一緒にやりたいと希望しました。

――― 監督が最初に言った、たまったものとは何か?
阪本監督:最近は日本映画が元気だと言うが、ちょっといびつになっているように思う。私の『どついたるねん』も『顔』もインディーズで、みんな自分でお金集めて作ったり、(作るのを)断念したりしている。今、すそ野は広がっているかも知れないが、こういう状況が続くと「もうこんな業界に自分はいなくていいか」というところまで来ている。万人に愛されなくてもいいが、一石投じることが出来るとすれば、こんなおっさんが奇妙奇天烈なことやった、とアピールすることかな。この後は居酒屋で言います(笑)。

藤山:おばちゃんに“見に来いや”とはよう言いませんが、長いことやってきて、かなり世間が五体で分かってくる。この映画は大人がまじめに作ってるんで、おっちゃんおばちゃんが喜んで来てくれるか、パンフレット投げつけるか、ですね。

――― 大阪で初日を迎える感想は?
阪本監督:怖いですよ。大阪は娯楽に対して厳しいところですからね。『顔』の時は、「梅田で立ち見出てる」と聞いて見に行ったら、受付で何かもめてるんですよ。聞いたら、「立ち見やったら300円まけて!」とお客さんがクレームをつけてる。黙って帰りましたよ(笑)。

藤山:お客さんが怖いから役者は育つんですよ。舞台で初日なんかは団体の招待客がいっぱいいます。その人たちは最初は座席にもたれて座ってはる。だけど、最後には身を乗り出させる。そうしないとアカンのや、とうちの父親(藤山寛美さん)が言ってました。大阪のお客さんは一番親切です。
 


 


danchi-kai-240-s-3.jpg◆阪本順治監督
1958年、大阪府生まれ。井筒和幸、川島透ら各監督の現場にスタッフとして参加。89年、赤井英和主演『どついたるねん』で監督デビュー。日本映画監督協会新人賞、ブルーリボン賞最優秀作品賞など多数受賞。以後『王手』『ビリケン』の“新世界三部作”で名を上げる。藤山直美を主演に迎えた『顔』(00年)は日本アカデミー賞最優秀監督賞など賞を総なめした。ほかに『KT』(02年)『魂萌え』(07年)『闇の子供たち』(08年)『座頭市THELAST』(10年)『大鹿村騒動記』(11年)『北のカナリアたち』(12年)など。

 

 



danchi-kai-240-f-3.jpg◆藤山直美
1958年京都府生まれ。初舞台は64年、坂本九主演「見上げてごらん夜の星を」。以後、舞台、テレビに多数出演。00年、初主演した阪本順治監督作品『顔』でキネマ旬報主演女優賞など多数受賞。

 



(安永 五郎)

everest-kami-s-550-2.jpg困った時の阿部さん!? くっついて来る岡田君!? 『エヴェレスト  神々の山嶺(いただき)』合同記者会見

ゲスト:岡田准一、阿部 寛、平山秀幸監督
(2016年2月18日(木)あべのハルカス60F展望台にて)


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■(2016年 日本 2時間02分)
■原作:夢枕 獏「神々の山嶺」(角川文庫・集英社文庫)
■監督:平山秀幸(『愛を乞うひと』『必死剣 鳥刺し』)
■出演:岡田准一、阿部寛、尾野真千子、ピエール瀧、甲本雅裕、風間俊介、テインレィ・ロンドゥップ、佐々木蔵之介

■公開情報:2016年3月12日(土)~全国ロードショー
作品紹介は⇒ こちら
公式サイト:http://www.everest-movie.jp/

■コピーライト:(C)2016「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会


  

~日本映画史上最高のスケールで圧倒する、山に魅入られた男たちの熱き闘い~ 


最も映画化困難とされてきた夢枕獏の小説「神々の山嶺」の映画がついに完成。発行当時から映画化がオファーされてきたが、エヴェレストを舞台にした壮大な物語は過酷な撮影が予想され、スタッフは勿論演じられる役者の確保が困難ということで、長らく実現されなかった。それが動いたのが『さらば、わが愛/覇王別姫』『始皇帝暗殺』などのプロデューサー、高秀蘭氏のオファーからだった。監督は『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』を監督した平山秀幸監督。最初原作を手にして「自分の苦手なことがいっぱい詰まっていそう」と危惧したそうだが、それよりも原作の面白さに惹かれて「これは何がなんでもやりたい!」と決断したそうだ。


everest-kami-500-4.jpgそうした平山監督の熱意に応えたのが、格闘技に精通し登山やロッククライミングを趣味とする岡田准一(深町誠カメラマン)と、ストイックな俳優として知られTVドラマの大ヒットで大忙しの阿部寛(羽生丈二)だった。さらに、羽生を慕う役の尾野真千子もエヴェレストロケに同行。標高5200mにあるベースキャンプを起点にした撮影は想像を絶する危険なものとなったそうだ。


3月12日(土)の公開を前に、世界一高い山エヴェレストにちなんで、日本一高いビル〈あべのハルカス〉60階の展望台で合同記者会見が行われた。快晴のこの日、360度の展望は遠くまで見通せる素晴らしい眺望となった。高所恐怖症だという平山秀幸監督と阿部寛に、高所恐怖症を克服したという岡田准一が登場。その精悍な姿は作品の力強さが相まって、増々熱い男たちの生き様に期待が高まった。
 


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岡田:
世界一高い山エヴェレストにちなんで、日本一高い「あべのハルカス」で記者会見するとは面白いですね(笑)。カメラマンの深町誠を演じました岡田准一です。よろしくお願いいたします。

阿部:孤高クライマーを演じました阿部寛です。撮影は1年弱前になりますが、エヴェレストの5000m以上の所で撮影できたことを幸せに思います。酷寒の地での撮影でしたが、熱い熱い映画になっていると思いますので、よろしくお願いいたします。
平山監督:高所恐怖症の私がエヴェレストの映画を撮り、今日もこのような日本一高いビルにつれて来られ、改めて高い所は苦手だなと思います。公開を前にようやく下山してきたような気持ちです。よろしくお願いいたします。

everest-kami-s-abe-240-1.jpg――― 5200mでの撮影で大変だったことは?
岡田:空気が半分というのは経験したことがなく、強風が吹くと一気に-20℃、-30℃になってしまうので、阿部さんや監督やスタッフの皆で助け合って固まってないと生きていけないような場所でした。崖を上っていくシーンでは、岩肌が手も掛けられないような所をよじ登っていくのですが、本当に命懸けの撮影でした。でも楽しかったですね、幸せな時間でした。
阿部:4500m越えたぐらいから明らかに景色が違ってきました。氷河が現れてその奥にエヴェレストが見えて来た時には距離感が分からない位でした。今まで見たことのない巨大な空間にお邪魔させて頂いているなと感じました。人間など小さな存在ですから、圧倒的な存在の自然の前では自然が機嫌を損ねないようにと、命の危険を感じながらの過酷な撮影現場でした。
平山監督:高所恐怖症だったり酷寒だったりと、僕の苦手なことがいっぱい詰まった原作でした。現地へ行ってからは岡田君も阿部さんも、どこまでが役柄なのか本人なのか分からなくなる位役に馴染んでいきました。その変化は見ていて楽しかったですよ。

――― 何か良かったことは?
岡田:阿部さんが何でも持って来てくれましたので、いつでも阿部さんを頼れば何でも揃いました。具合悪い時も、阿部さんの所へいくとお薬を頂けました。本当に助けてもらいました。
阿部:お医者さんに脅かされていたので、緊急の場合のお薬は勿論、携帯食や非常食など沢山持って行きました。でも途中重くなってきて皆に分けました。具合悪い人が出た時にはお薬がよく効いて、改めて日本製の薬品はいいなと思いました。

――― 岡田さんはこの映画のどういうところを伝えたいですか?
岡田:山岳映画の中でも日本的な映画だと思います。団体で登るのではなく単独で登る男を追い駆けて行く物語ですから、登ることが生きることに繋がると。原作にも力強い言葉が多く並んでいて、やり抜く、生き抜く人を見て震えがくるほど心が熱くなるような原作でした。その熱さをどう伝えられるのかをモチベーションに撮影しましたので、情熱を感じて頂けたらと思います。

everest-kami-s-abe-240-4.jpg――― 役作りについて?
岡田:僕の役はカメラマンで阿部さんを追っかける役なので、10日間の高度順応期間にとにかく阿部さんにくっ付いて行きました。阿部さんがどう役作りをするのかをカメラに収めながら自分も役に馴染んでいきました。それはもうショッピングに付いて行ったり、トイレに行こうとしてるのに「どこ行くんですか?」「トイレだよ!」てな具合に、阿部さんが役を背負う姿を見ながら、ぴったりくっ付いて行きました。
阿部:もう岡田君が付いて来るんでね(笑)…山でもプライベートでも付いて来て、僕はあまりカメラ好きじゃないんだけど、深町カメラマンとして役に入っているようでした。撮った写真を見せてもらったら、僕じゃなくて既に羽生丈二として撮っているんですよ。それを見た時、既に芝居は始まっているんだなと実感しました。日本にいる時から色んな準備をして、山屋さん(山岳の専門家)にいろいろ教えてもらいながら連れて行ってもらいました。撮影途中にリタイアする訳にもいきませんから、自分なりの責任感を持ってやりました。

――― 高い所はどうですか?役柄に対する感想は?
everest-kami-500-2.jpg岡田:僕は高い所は平気です。若い時には苦手だったんですが、色んなことをして克服しました。僕も山岳部を作って部長をやっていますが、「なぜ山へ登るのか?」という疑問はよく出ます。今回阿部さん演じる羽生丈二のように「山へ行かないと死んでるのと同じだ」という極端な人もいますが、僕の知っている山屋さんはとても尊敬できるステキな人ばかりです。「自然には勝てない、自然の中で遊ばせてもらいながら経験や知識を積む」という風に考えて、「山は楽しいから登る」という優しい方が多いです。5~6年前から登山を始めたのですが、危険なスポーツですのでプロの山屋さんに学ぼうと、去年山岳部を作って山登りを楽しんでいます。
阿部:僕も監督と一緒で高い所は苦手ですね。若い時には平気だったのですが、歳と共に怖くなってきました。8mの空中ブランコで怖くてパニックになり、高さに慣れるための訓練を受けたことがあります。今回は、山屋さんに安全を確保して頂きながら役に入ることができたので平気でした。


【P.S】
everest-kami-s-abe-240-5.jpg初めて〈あべのハルカス〉60階の展望デッキに上ったのですが、素敵なゲストによる合同記者会見の興奮冷めやらぬまま、東西南北遥か遠くまで見晴らせるその眺望を楽しむことができました。エヴェレストという世界一高い山からの眺望もさぞかし異次元の素晴らしさだろうなと想像しましたが、映画『エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)』の執念の登山家を思うと安易に近寄れるものではないなと反省。人は、大自然の驚異に感動するとともに、畏怖の念を忘れず謙虚な姿勢で臨まなければならない、とこの映画は教えてくれているようです。
春はもうすぐ、日本映画人の情熱が結集したアツイ映画を劇場で観て、心機一転、フレッシュな気持ちで春を迎えたいと思いました。

(河田 真喜子)

sayonaranokawarini-ki-550.jpg一瞬一瞬を大切に生きよう!『サヨナラの代わりに』ヒラリー・スワンク記者会見@TIFF2015
(2015年10月23日 六本木アカデミーヒルズにて)
 

・原題:You‘re Not You
・2014年 アメリカ 1時間42分
・監督:ジョージ・C・ウルフ
・出演:ヒラリー・スワンク『ミリオンダラー・ベイビー』『P.Sアイラヴユー』、エミー・ロッサム『オペラ座の怪人』、ジョシュ・デュアメル、ロレッタ・ディヴァイン、マーシャ・ゲイ・ハーデン
・作品紹介⇒ こちら
・公式サイト⇒ http://sayonarano-kawarini.com/
・コピーライト:©2014 Daryl Prince Productions, Ltd. All Rights Reserved.
・配給宣伝:キノフィルムズ

・公開日:2015年11月7日(土)~ 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー!


 

★逆境にも前向きに生きる姿を圧倒的演技力で魅せるヒラリー・スワンク
 劇中歌を作詞作曲したエミー・ロッサムとの強力タッグに自信を見せる

 

困難に立ち向かう生き方が似合う女優、ヒラリー・スワンク。2度のアカデミー賞主演女優賞に輝いた演技派女優が、苦境の中でも一瞬一瞬を大切に生きる喜びにあふれた物語に感動して、自らプロデュースを買って出たが映画『サヨナラの代わりに』が11月7日から日本でも公開される。10月22日から開催された《東京国際映画祭2015》でも特別上映され、2度目の来日となったヒラリー・スワンクが記者会見に臨んだ。
 

sayonaranokawarini-550.jpg聡明な美人で誰もが羨むような人生を送っていた主人公ケイト(ヒラリー・スワンク)が、難病ALS(筋委縮性側索硬化症)発症という苦境に陥る。ヘルパーとして雇った歌手志望の学生ベック(エミー・ロッサム)との日々を通して、対照的な二人がお互い影響し合いながら、苦境の中でも自分らしく生きる喜びに目覚めていく。次第に言葉も不自由になり四肢も委縮して動けなくなる過程や、様々な感情を目で表現する難しいキャラクターを、大きな存在力と演技力で力強く生きたヒラリー・スワンクはさすがだ。


性同一性障害がまだ今ほど認知されていなかった時代、男性として生きようとした女性の悲劇を描いた『ボーイズ・ドント・クライ』(‘99)で世界を驚かせ、その5年後のクリント・イーストウッド監督と共演した『ミリオンダラー・ベイビー』(‘04)では一途な想いを貫こうと悲運に見舞われる女性ボクサーを演じて、人気実力共に演技派女優の名を不動のものにしたヒラリー・スワンク。いつも彼女の目力に惹き付けられ、彼女が歩むハードな人生に衝撃を受けてきた。彼女の素顔が知りたくて、一番会いたい女優――それがヒラリー・スワンクだった。


白の総レースのミニワンピースに黒のピンヒールをはいたヒラリー。引き締まったスリムなボディに満面の笑みを浮かべて登場。ひとつひとつの質問に丁寧に自信をもって応じていた。
 



――― 最初のご挨拶
sayonaranokawarini-ki-240-1.jpg皆様こんにちは。再び東京に戻って来られてとても嬉しく思っております。日本の美しい文化や美味しい食べ物を楽しんでおります。

――― 本作では主演だけでなくプロデューサーも務められていますが、制作のキッカケは?
とても美しい物語だと思ったからです。ALSについてはまだ原因も治療方法も解明されていません。二人のキャラクターは苦境の中で予期せぬことで友情を育むことになりますが、そこに人生の美しさや日々の瞬間を大切にしなければと思わせてくれる素晴らしいストーリーだったのがキッカケです。

――― 難病に侵されるケイトを演じてヒラリーさん自身が得たものは?
役者の素晴らしいところは、キャラクターを演じることで一人の人間として沢山の贈り物を得ることです。そのキャラクターの目を通して違う世界を見ることができ、私自身の視野がどんどん拡がっていくように感じられます。ケイトからも、人生は今の瞬間しかないのだから大切に生きなくてはならないということを学びました。また、人生で大切なのは、100%あるがままの自分であることだし、自分自身をちゃんと見てもらうことだと思うんです。ベックはケイトに贈り物をしているようですが、ケイトもまたベックに同じ贈り物を返しているんです。

――― もし、自分が限られた時間しかないとしたら、何をしたいですか?
私は本当に恵まれていると思います。いろんな役をやる度に、世界観が拡がり、世界中を旅して、自分とは違うタイプの人々と触れ合える、それが人生を豊かにしてくれています。数年前、愛する家族との時間を大切に生きていこうと誓いました。それはこの作品に出会ったからです。「一瞬一瞬を大切に生きる」これは「ポケットリスト(死ぬまでにしたいこと)」の一つであり、私は今生きているんです。

――― エミー・ロッサムを選んだ理由と共演した感想は?
sayonarakawarini-500-2.jpgエミーは素晴らしい才能を持った女優さんです。今回はオーディションだったのですが、私はオーディションの時違う作品の撮影のため立ち会えませんでした。後でエミーのテープを見た時に、彼女しかいない!と実感しました。プロデューサーも兼務していますので、こうしてキャスティングにも関われて、エミーを選ぶことができて本当に良かったと思っています。彼女は自由奔放なベックの心理状況を正確に掴んで演じてくれたので、彼女との共演は本当に本当に素晴らしいものでした!

――― 去年、ALSについて動画サイトを使った大規模なキャンペーンが行われましたが、その影響はあったのですか?
私も本作を手掛けるまでALSについては何の知識もありませんでした。あのキャンペーンを通じて世界中の多くの人々がALSに興味を持ってくれて、研究が進むように社会全体が動いてくれたことはとても有意義だったと思います。ただし、『サヨナラの代わりに』の撮影はあのキャンペーンの前に終わってましたので、タイミングは合ったという次第です。

――― 「一瞬一瞬を大切に生きることが大切」と仰ってましたが、どんなことをされているのですか?
sayonaranokawarini-ki-240-3.jpg例えば、誰かのことをふと思い出した時、「どうしているかなあ」とただ思うだけでなく、電話したりメールしたりしています。今チャリティを立ち上げる準備をしていますが、子供たちと捨てられた犬との触れ合いを通じて責任感を育んで行こうという意図です。何事も最初は大変ですが、充実した時間を過ごせます。それから、仕事からもすべて離れた1日オフの時間を取るようにしています。犬と遊んだり、散歩したり好きな本を読んだり、自分のための時間を必ず設けるようにしています。それ以外にも次のプランのために常にアンテナを張っているので、正直自分の時間を作るのはとても難しいですね。

――― 日本の学生に向けてのメッセージをお願いします。
全ての人は人生における生徒だと思います。別に学校へ通ってなくても、生きていく上でどんな逆境に在っても、諦めないで、乗り越えていくことが大変重要なことだと思います。若い時、自分を定義するのは自分自身でやるべきで、自分のために何が必要なのかを考えるべきです。自分のやりたいこと、自分の夢を叶えるために必要な事柄を日々選択していく生き方をすることが大切です。

sayonaranokawarini-ki-240-2.jpg――― しばらく休業されていましたが?
さあ?どうしていたかしら?(笑)実は父が肺の移植手術をして、その看病のため1年間仕事を休みました。

――― アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督とコラボされるとか?
はい、イニャリトゥ監督は素晴らしい監督ですので、一緒に仕事ができるのをとても楽しみにしております。まだレオナルド・ディカプリオの映画を撮っている最中ですので、もうしばらく後になりますが。

――― アニメ映画の声優もされていますが?
凄く楽しかったです。2日間だけでしたが、もっとやりたかったです。機会があればまたやりたいです。

――― オスカーのシーズンになると、受賞した時のことを思い出したり、また3つ目が欲しいと思ったりして落ち着かないのでは?
8歳で女優になりたいと思った頃は、ただいろんなキャラクターを演じたいと思っていたので、オスカーのことなど想像もできませんでした。でも受賞することはとても光栄なことです。また、オスカーのシーズンはとてもマジカルなシーズンでもあります。自分が関係している作品は勿論ですが、他の作品も観る機会が増えますし、多くの方が注目して見て下さるので、ノミネートされただけでも大きく違うのです。



sayonaranokawarini-ki-500-1.jpg「8歳の時に女優になりたいと思ってから、人生の大半を女優として過ごしてきました。人生にインスピレーションを与えてくれる様々なキャラクターを生きられることに心から感謝しています」と語るヒラリー・スワンクの謙虚さこそ、真っ白な状態でそのキャラクターを生きられる秘訣かもしれない。

 (河田 真喜子)

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オダギリジョー、「久しぶりにいい映画を観たなと思った」『FOUJITA』記者会見@TIFF2015
登壇者:小栗康平氏(監督/脚本/製作)、オダギリジョーさん(俳優)、中谷美紀さん(女優)、クローディー・オサール氏(プロデューサー) 
 

~天才画家フジタの生きたパリと日本から、文化や歴史の違いを提示する壮大な試み~

 
10月22日より開催中の第28回東京国際映画祭で、小栗康平監督の10年ぶりとなる最新作『FOUJITA』が、コンペティション部門でワールドプレミア上映された。
 
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エコール・ド・パリの寵児でありパリで画家として成功を治めたフジタこと藤田嗣治の人生を通じて、1920年代のパリと1940年代前半の日本を描いた本作。フジタを演じたオダギリジョーは、2つの全く違う時代の中で、時には自分が望む作品を、時には時代に求められた作品を描く画家の佇まいを見事に表現している。フジタの5番目の妻、君代を演じる中谷美紀も、出番は少ないながら、戦時中に天才画家を静かに支える妻を独特の存在感で表現し、強く印象付けた。まるで絵のように美しいカットの数々に息をのむと同時に、後半の日本部分はこれぞ小栗作品の真骨頂といえる深淵な映像や表現を存分に堪能できるだろう。
 
10月26日に行われた記者会見では、監督/脚本/製作の小栗康平氏、主演のオダギリジョーさん、君代を演じた中谷美紀さん、プロデューサーのクローディー・オサール氏が登壇。小栗監督作品に出演した感想や、小栗作品での演じ方についての話、さらに小栗監督からは今フジタを取りあげた理由や、本作の狙い、さらにオダギリジョーが演じたフジタについて語られた。その内容をご紹介したい。
 

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■小栗監督のおかげで、すごくいい俳優になれた(オダギリ)

 日本にこれだけ素晴らしい画家がいたことを、改めて心に刻んだ(中谷)

(最初のご挨拶)

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小栗康平監督(以下小栗):フジタは実在した人物で、彼が遺した素敵な絵画を映画の中で使わせていただきました。伝記的な映画にはせず、1920年代のパリと1940年代の戦時中の日本の二つを並べて文化や歴史の違いを浮かび上がらせました。オダギリさんはとても素敵なフジタになりましたし、中谷さんは5番目の妻ですが、いい妻になりました。

オダギリジョー(以下オダギリ)さん:小栗監督が10年ぶりに映画を撮られるということで、声をかけていただき、本当に光栄に思いました。正直、藤田嗣治はあまり知りませんでしたし、今もそんなに興味があるわけではありません。「小栗監督の作品に関わりたい」という気持ちで参加したのが正直なところです。出来上がった作品を観て、久しぶりに「ああ、いい映画を観たな」と思いました。今まで出演した自分の映画の中のオダギリジョーの幅を越え、小栗監督のおかげで、すごくいい俳優になれたな、とてもうれしく思っています。
 
中谷美紀(以下中谷)さん:小栗康平監督は『泥の河』、『死の棘』と映画史上に忘れがたき功績を残されていますが、その監督が久々に映画を撮られるということで、喜んで参加させていただきました。オダギリジョーさんが、フジタそのもののような佇まいで、映画の主軸としていてくださり、私は5番目の妻で、最後の妻を演じましたが、ただ映画にいさせていただくだけで幸せでした。フランスの撮影現場を覗かせていただいたときに「オグリ、オグリ」と皆さん小栗教の信者のように監督を慕っておられました。また「ジョーのフランス語も素晴らしい」とスタッフが口々に誉めており、同じ日本人として誇りに思いました。私もフジタという画家に今までそこまで愛情はなかったのですが、この作品をきっかけにフジタのアトリエに行ったり、ランスで最後に手がけた教会の絵を拝見し、日本にこれだけ素晴らしい画家がいたことを、改めて心に刻みました。ぜひ皆さん、ご支援ください。よろしくお願いいたします。
 
クローディー・オサール氏(以下クローディー):私はフランスを代表して来日しております。今回は小栗監督と一緒にお仕事をさせていただくことができ、本当に幸せに思っております。フランスのスタッフも日本のクルーと仕事をすることができ、お互いにリスペクトして仕事をすることができました。この場をお借りして、今や友人となったオダギリジョーさん、中谷美紀さんにもお礼申し上げます。小栗監督も、本当に素晴らしい作品でした。
 

■35歳で監督デビュー、人生の半分かかってフジタに辿りついた(小栗監督)

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―――10年ぶりの新作ですが、この作品を映画化しようとした一番の動機は?
小栗監督:私は1945年に生まれ、今年70歳になります。35歳でデビューしましたから、約半分かかってフジタに辿りついたという印象でしょうか。藤田は矛盾の多い人物です。20世紀という戦争の世紀を生きた故に、多くの矛盾を抱えた。そういう人物を、戦後70年を機に撮れた。その歓びでしょうか。
 
―――フランス語はどのように勉強されましたか?一番難しかった点は?
オダギリ:台詞は決まっていましたので、時間も限られていたので丸覚えでした。ただ、声を吹き込んでくれた先生はフランス語の先生なので、棒読みです。ですから丸暗記しながら、どう普通のフランス人がしゃべる会話調にするのか。そこで、現地の俳優に来ていただき、芝居していただいたものを録音して、その中でどうにか感情を持った言葉にしていきました。
 
―――藤田という画家は日本では複雑な面を持った画家ですが、フランスではどんなイメージを持たれ、またどの程度知られていますか?
オサール氏:フジタはフランスでは大変有名で、本当に愛されている画家です。絵画に日本的な要素を入れ、白背景で書いたものが、フランスでは新鮮だと人気がありました。フランスでも当時絵画で生計を立てるのは難しかったですが、フジタはそれができた、大変いいイメージを持っています。後半部分の、フジタが日本に戻ってからどういった作品を描いていたかは、なかなか知られていません。私自身もこの映画を通じて、後半のフジタの日本での人生を知ることができ、フジタという画家を再認識しました。
 
 
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■フジタの自由さに踏み込めない壁みたいなものを感じながら、妻役を演じた(中谷)

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―――君代を演じるにあたって、どのような女性をイメージしましたか?
中谷:フジタのアトリエにはわずかに君代の写真が残っていたのですが、フジタの最後の作品や、教会で共に眠っている以外は、君代の資料はなかなかありませんでした。とにかく小栗監督が書かれた脚本の行間を探るようにして演じました。オダギリさん演じるフジタは稀代の天才ですので、せめてその方の傍にいて、自分は何も持っていないけれど、せめてこの中の美意識に沿う人間であるよう努めている人ではないか。そう思いながら、フジタの自由さに踏み込めない壁みたいなものを感じながら、演じさせていただきました。
 
 

■自分の我を出した芝居を見せるより、監督の手のひらで転がっていく方が、僕にとっても作品にとってもいいと思った(オダギリ)

―――フジタの人生ですが、前半のパリ編と後半の日本編では、まるで二人の主人公の人生を描いているように思えます。演じるのにどんなところに気をつけましたか?
オダギリ:簡単に監督に丸投げですね。というのも、今まで色々な作品で色々な役を演じてきましたが、小栗監督ほど言っていることが分かるようで分からないようで。非常によく分かるのですが、真実すぎてそれを現実にするのはなかなか度胸がいるようなことを自然に話されます。そこを探ったり、自分の我を出した芝居を見せるよりも、監督の手のひらで転がっていく方が、僕にとっても作品にとってもいいと思いました。確かに前半と後半には大きなギャップがあります。自分が狙って落としていくこともありましたが、8~9割は監督の言うことを素直に聞いて演じました。
 
 
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■オダギリさんは、自分の身体感覚全体で芝居を掴むことができる俳優(小栗監督)

―――最初から、オダギリさんにフジタ役のオファーを考えていたそうですね。
小栗監督:先ほどのオダギリさんの話を補足しますと、芝居のハウツーではなく、いつも考え方を話し合っていたのです。先ほど、フランス語のことを答えたときに「丸暗記ですよ」、今回も「丸投げですよ」と、答えましたが、これはマイナスではないですね。何かに預けるということはとても勇気がいることです。20年代のパリと40年代の日本で、変わらなくてもいい、一つの命がそこをまたいでいるだけですから、変わるために何をしようかと話し合ったことは一度もしていません。
 
オダギリさんはフランス語を音で全体として覚えましたが、それはオダギリさんの芝居全体にも言えることで、彼は分析的に芝居をしません。フジタを伝記映画として演じるのではなく、佇まいとして20年代はこんな姿、40年代はこんな姿だったと表現するとき、オダギリさんがどう感覚的にいられるか。それを出来る役者は少ないのです。オダギリさんは、自分の身体感覚全体で芝居を掴むという難しいことができる俳優だと思います。
 
―――フジタを映画化するにあたり、どんなリサーチをされたましたか?
小栗監督:資料はたくさん残っていますし、エピソードもたくさんある人です。一通りは見ましたが、オダギリさんと一緒に「全部忘れてやろう」と。
 
―――最後に、今回映画を作り、藤田とお友達になりたいと思いましたか?
小栗監督:最後にイジワルな質問ですね。同じ時代に生きていたら、友達にならなかったと思います。2015年の今から1920年代や1940年代のフジタを思い描くと、私にとってのフジタは何かという問いが生まれますので、映画を撮った今は、とても親しい存在です。
(写真:河田真喜子 文:江口由美)
 

<作品情報>
『FOUJITA』
(2015年 日本=フランス 2時間6分)
監督:小栗康平
出演:オダギリジョー、中谷美紀、アナ・ジラルド、アンジェル・ユモー、マリー・クレメール、加瀬亮、りりぃ、岸部一徳
2015年11月14日(土)から全国ロードショー
公式サイト⇒http://foujita.info/
 
第28回東京国際映画祭は10月31日(土)までTOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ新宿、新宿バルト9、新宿ピカデリー他で開催中。
第28回東京国際映画祭公式サイトはコチラ http://2015.tiff-jp.net/ja/