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2014年10月アーカイブ

tensai-S-b-550.jpg福くん登場して、天才子役対決!?『天才スピヴェット』舞台挨拶レポート 《東京国際映画祭2014》
 

◆実施日:1027日(月) 
◆実施場所:TOHOシネマズ六本木ヒルズ2 SCREEN5 (港区六本木3-8-15
◆登壇者:鈴木福くん(10歳)
主演 カイル・キャトレット(12)、監督 ジャン=ピエール・ジュネ(61歳)


tensai-S-2.jpgフランス本国と日本で驚異の大ヒットを記録、観る者すべてを幸せにした『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督待望の最新作で、11月15日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開となる、映画『天才スピヴェット』。

1023()31()まで開催される第27回東京国際映画祭の“特別招待作品”への選出が決定し、 本映画祭にあわせて、ジャン=ピエール・ジュネ監督と共に本作で主演を務める天才子役カイル・キャトレット君が来日、 公式上映の前に、ジュネ監督とカイル君の舞台挨拶を実施。
また、特別ゲストとして日本の天才子役・鈴木福くんが二人の来日を祝し、会場に駆けつけました!

 


tensai-S-b-3.jpgジャン=ピエール・ジュネ監督と、自身が演じたスピヴェットの格好である燕尾服を着用し髪はオールバックでキメたカイル・キャトレット君が登場すると、会場は歓声に包まれ、カイル君の可愛らしい姿には「かわいいい~!」という声が挙がりました。主人公の10歳の天才少年を演じるカイル君は、6ヵ国語を操り、3年連続「総合格闘技の世界チャンピオン」の顔も持つ、正真正銘の天才少年! この日は、その6ヵ国語を使い分けた、華麗なる自己紹介を披露!

また、スピヴェットと同い歳の10歳の日本の天才子役代表として、二人の来日祝いに駆け付けた鈴木福君は、 カイル君と同じ、燕尾服姿&オールバックヘアーで登場!カイル君は、自身が得意とするカンフーも披露し、更なる天才ぶりをアピール、一方の福君もカイル君に特技のけん玉を披露!可愛らしい”天才子役対決”に会場からは歓声と拍手が送られました。

ジュネ監督は、二人の天才子役を前にイマジネーションが駆り立てられたようで、次回作は二人がけん玉とヌンチャクで闘う映画をつくると約束!福君の世界デビューを予感させると共に、天才子役二人の可愛らしさ、そしてジュネ監督の映画さながらの小粋でエスプリの聞いたトークに会場は大いに盛り上がりました。



MC:本日は第27回東京国際映画祭 特別招待作品「天才スピヴェット」上映にようこそお越し下さいました。
それでは、本日のゲストに登場していただきましょう!

<ジャン=ピエール・ジュネ監督、カイル・キャトレットくんが登場>

tensai-S-b-6.jpgジュネ監督:日本でこうやって上映できるのがとても嬉しいです。日本に私のファンが何名かいることは知ってるよ(笑)。僕はモンマルトルのカフェの近くに住んでいるんだ。なぜならば、日本人がこのカフェにあるものを食べにくるから!『アメリ』のポスターが貼ってあるんだけど、僕が座っていると邪魔って言われることもあるんだ(笑)。彼は(カイル君)は、見ての通りちょっと小さい。映画内ではアクションシーンがいくつかあるんだけど、スタントは全部自分でこなしたんだ。しかし、タフで疲れたとは決して言わないし、真の意味で俳優なんだよ!

カイル君:<【私はカイル・キャトレットです】を、英語・ロシア語・北京語・スペイン語・フランス語・日本語で披露。会場から歓声が!>

MC:6ヶ国語ですが?!すごいですね!ありがとうございました!それでは、ジュネ監督に質問です。本作は原作を気に入られて、映画化を決めたそうですが、ご自身初の3D作品となります。なぜ、本作を3Dで撮ろうと思ったのですか?

ジュネ監督:子供の頃、ビューマスターという3D映像がみれるおもちゃが好きだったんだ。
実はこの作品の脚本は元々3Dで撮るという前提だったし、実際とても合っていると思う。
今日はハジの方の席にもたくさんお客さんが座っているけど、3Dの効果というのは本来真ん中で得られるものだから、本当の効果が得られないかも・・・だから是非もう一度真ん中でみてほしいな!

MC:カイル君は今回ジュネ監督の作品に出演されてみていかがでしたか?

カイル君:楽しかったです!素晴らしい監督です!

MC:さて、ここで本日は更にスペシャルゲストが駆けつけてくれました。日本を代表する天才子役といえばこの方、鈴木福君です!

tensai-S-b-2.jpg<燕尾服にオールバックスタイルで鈴木福君登場!花束をジュネ監督とカイル君に手渡す>

MC:福君、ようこそいらっしゃいました!福君は現在10歳ということで、スピヴェット君とまさに同い年、まさに天才子役同士でありますね。一言ご挨拶をお願いします

福君:こんにちは、鈴木福です。本日はこんな素敵な場所に呼んでいただき、 とても嬉しく思っています。映画の天才スピヴェット君をイメージした格好できました。よろしくお願いします!

ジュネ監督:映画は気に入った?!

福君:はい、とても面白かったです!カイル君はアクションシーンもかっこよかったし、映画初出演とは思えないくらい演技が上手でした。

カイル君:(日本語で)ありがとうございます!

MC:カイル君は、7歳以下の武道選手権で3年連続チャンピオンになったそうですね。 是非、武術をここで披露いただけますか?

tensai-S-b-4.jpg<カイル君、見事なカンフー(剣、ヌンチャクなど)を披露!会場からは歓声と拍手が!>

MC:福君、カイル君のカンフーはいかがでしたか?

福君:すごいですね。さすが世界チャンピオンだと思いました!かっこよかったです!

MC:では、今度はお返しに今、福君がはまっている、学校で流行っているというこちらを披露いただきます!


 

tensai-S-b-5.jpg<福君けん玉披露!いつくかの技を見事に成功させるも、大技である“野球”という技がなかなか決められず・・・失敗に終わります。>

福君:かっこいい姿をみせることができなくて・・・負けちゃいました・・・
すごく緊張しまくってヤバイです・・・

カイル君:よかったよ!

MC:ジュネ監督は二人の特技はいかがでしたか?

ジュネ監督:今度ケン玉少年の役を書くよ!ヌンチャクとケン玉で闘う映画をね!

MC:それでは最後に映画の見所をこれから観る観客の方にメッセージをお願します。

ジュネ監督:アメリカの専門誌が、”最高の3D映画”と書いてくれました!私も賛成です(笑)
3D映画なので是非真ん中の席で観てください!

カイル君:今日はありがとうござます!是非楽しんでください!

福君:驚きと発見のつまったおもちゃ箱のような映画です。若い人からお年寄りまで楽しめると思いますので是非みてください


 【STORY】
tensai-S-3.jpgモンタナの牧場で暮らす10歳のスピヴェットは、生まれついての天才だ。だが、身も心も100年前のカウボーイの父と昆虫博士の母、アイドルを夢見る姉には、スピヴェットの言動が今ひとつ分からない。さらに、弟の突然の死で、家族の心はバラバラになっていた。そんな中、スピヴェットにスミソニアン学術協会から、最も優れた発明に贈られるベアード賞受賞の知らせが届く。初めて認められる喜びを知ったスピヴェットは、ワシントンDCで開かれる授賞式に出席するべく、家出を決意する。数々の危険を乗り越え、様々な人々と出会うスピヴェット。
何とか間に合った受賞スピーチで、彼は<重大な真実>を明かそうとしていた──。


監督:ジャン=ピエール・ジュネ『アメリ』『デリカデッセン』『エイリアン4』
原作:「T・S・スピヴェット君傑作集」ライフ・ラーセン著(早川書房刊)
出演:カイル・キャトレット(新人)、ヘレナ・ボナム=カーター『チャーリーとチョコレート工場』『英国王のスピーチ』、
ジュディ・デイヴィス、カラム・キース・レニー、ニーアム・ウィルソン、ドミニク・ピノン
原題:『The Young and Prodigious T.S. Spivet』/105分/フランス・カナダ合作/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
字幕翻訳:松浦美奈 
(c) EPITHETE FILMS - TAPIOCA FILMS - FILMARTO - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://spivet.gaga.ne.jp/

 

onodera-di-550.jpgあり得ない姉弟!?『小野寺の弟・小野寺の姉』西田征史監督(39歳)インタビュー

(2014年10月14日(火)読売テレビにて)


 (2014年 日本 1時間54分)
原作: 西田征史「小野寺の弟・小野寺の姉」(リンダパブリッシャーズ刊)
監督・脚本: 西田征史 
出演: 向井理、片桐はいり、山本美月、ムロツヨシ、寿美菜子、木場勝己、麻生久美子、大森南朋、及川光博

2014年10月25日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、ほか全国ロードショー!

★作品紹介⇒ http://cineref.com/review/2014/09/post-430.html
★向井理&片桐はいり 舞台挨拶⇒ http://cineref.com/report/2014/10/post-172.html
★公式サイト⇒ http://www.onoderake.com

(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会


 

~ちぐはぐ姉弟愛が照らし出す、様々な家族像~

 

まず、片桐はいりと向井理が“姉弟”というキャスティングに惹かれた。適齢期を過ぎても一軒家で一緒に暮らしているという、世間的には微妙な感じの姉弟が織りなすヒューマンドラマは、世間とのズレ感のあるユーモアと温もりのある愛情に満ちた感動で、様々な家族の在り様を見せてくれる。

onodera-550.jpg親を早くに亡くして姉弟だけで生きてきた二人。弟の進は調香師として「ありがとう」の香りを開発中で、姉のより子は商店街のメガネ屋さんで働いている。進は姉に対してある負い目を感じていて、より子は弟にだけは幸せになってほしいと、常日頃から弟のためにいろいろな気遣いをしてきた。お互いを思い遣るあまり思わぬ方向へと物語は進んでいく。家族だからこそ心配せずにはおられない気持ちが空回りしたり、かすかな恋の望みが輝き出してはワクワクしたり、この姉弟に感じる親密さが心を捉えて離さない。

今やTVや映画に舞台とヒット作を次々と打ち出している脚本家・西田征史が、満を持してオリジナル脚本で挑んだ映画初監督作『小野寺の弟・小野寺の姉』。片桐はいりと向井理という顔の大きさだけでも対称的な二人を中心に、絶妙なキャスティングで脇を固め、家族だからこそ生まれる喜怒哀楽を、レトロな雰囲気の中に滋味深く描きだして秀逸。

そのノリにノッテいる西田征史監督に、本作が生まれる経緯やキャラクターに込めた思いなどを伺った。


――― 対称的な二人だが、姉弟という発想は?
いやいや、「あの二人が姉弟に見えないじゃん!」という世間の反応が驚きでした。そうか、そう見えているのかと逆に。以前から二人をよく知っているので、二人の空気感やルール観とかがとてもよく似ているなと感じていたので、家族、姉弟でもおかしくないという認識でした。違和感を与えるつもりではなく、自然と二人をキャスティングしていました。

――― 二人のアンバランスな外見の面白さもあり、また深い想いを内面に秘めながらも脱力感たっぷりの演技を引き出していたが?
片桐はいりさんに言わせると、「遺伝子的にあり得ないんじゃないか?」と。勿論、僕はそうは思っていませんけどね!(笑)。

onodera-5.jpg――― 向井さんは元々進のような感じ?
結構いたずらっぽい処もあるので、クールでカッコイイだけでなく、向井くんの素の可愛らしさを出したいと思っていました。彼自身は無理をしたくない。自分にウソをつきたくない。本質的に飾り気がなく、嘘くさくない人なので、結構こういう空気を持っていると思います。

――― 舞台と同じキャストだが、映画化する際に変えたことは?
舞台表現は発声や動作を大きくしなければならないところもありますが、向井君はそれが生理的に合わないところがあって少し衝突したこともありました。どうしても下を向いてしまうので、「それでは顔が見えない。もう少し顔を上げて気持ちの落ち込みを表現してほしい。」と言うと、「この感情だとどうしても目線を上げられない」と。でも、「進」という人物を表現するための理想の形はお互いわかって、共有できていたので、舞台の表現としては苦しんだ点も、映画で表現する場合は無理なく、というか、理想の進を表現してくれました。

――― 今後向井さんをどう変えていきたい?
今までやってない役を是非。向井君の事務所のある方も、「三枚目は西田のためにとっておくから」と言ってくれました、冗談でしょうけど(笑)。極限までカッコイイとか、もしくは内面的にこじらせちゃうとか、いろんな面を見せていけたら嬉しいですね。

――― キャラクターのモデルは?
それが特にないんですよ。こんな二人のやり取りが見てみたい、と思って書きました。


 
onodera-di-2.jpg――― 脇役も絶妙なキャスティングだったが?特に担任の先生役の木場克己さんが面白かった!

嬉しいな。若い先生役の時にはカツラを付けて頂き、それが妙に似合っていて、フォークソングでも歌っていそうな雰囲気でした(笑)。いやぁ、さすが、味がある俳優さんです。

――― 山本美月さんは?
圧倒的に可愛らしいので、今回はその部分を出せたらいいなと。一番気にしたのは向井君との距離感。向井君は、自分の中に戦略があってでしょうけど、初対面の人とはあまり喋らない方なので、初日はお互い役として距離があるシーンなのでそれで良かったが、後半のデートのシーンではもっと親しくなった方が芝居がしやすいかなと僕的に思って、撮影の合間に二人が仲良く話せるよう共通の話題を提供したこともありましたね。

――― お見合いパーティのコーディネーターみたいですね?(笑)
カメラが回っていない時の空気作りをしただけですよ。

――― 向井さんとの距離感を考慮した上でのキャスティング?
元々の役に合う空気感が重要だと考えています。以前からの友だち付き合いから、「ちょっと出てもらえます?」という感じで麻生久美子さんや大森南朋さんなどにお願いしました。

――― 脇役の妙味は?
憎めない人をキャスティングしています。ムロツヨシさんの場合は、スキがあって完璧過ぎない人がいいかなと。見方によっては悪役となってしまう及川さんも、天然なのかなと許してもらえそうな雰囲気を持っている処。ベテランの木場克己さんは、一見堅実だがどこかユーモラスな人柄とか。


onodera-3.jpg――― よく練られた脚本のようだが、発想は?
「小説書きませんか?」とお話をいただいた時、自分が書きたいことって何かな?と考えました。丁度『怪物くん』や『TIGER&BUNNY』を書いていた頃で、地球を救う!とかのスケールの大きな話が続いていた。そこで、今度は人間の営みを見つめたものを書いてみたいと思ったんです。
何を書こうかなと思った時偶然目にしたのが、50歳の息子が70歳の母親を殺したという事件でした。50歳の引きこもりがいたことに驚いたんですが、20年前から引きこもってたら30歳の引きこもりなわけで、今では普通のこと。もしかしたら、二人はそのまま変わらないのに、20年という年月が世間から異様に見られ二人の関係を危ういものにしていたのでは?と思い、適齢期を過ぎても二人で暮らす姉弟の物語を思いついたんです。

――― 二人はずっと独身のまま?
いやいや、そうではないかもしれないし、そうかもしれない。ただ、今は、こんな二人がいてもいいんじゃない、と受け止めて頂ければいいかなと思っています。

――― 小説の段階から映画化の予定だった?
んー、いきなりオリジナルを映画化しようとしても難しく、原作があった方が企画も通りやすいと知っていたので、映画化できたら嬉しいなと思っては書きましたけど。

――― 映画初監督だが、舞台との違いを感じた点は?
はっきり言って、撮影中はとても幸せな時間だったんです。僕、妄想癖があるので、自分の頭に浮かんだ物語を好きな言葉で伝えていきたいと常々思っていました。舞台って、観客の反応をナマで感じられる喜びがあるが、日々観客の反応も役者のテンションも違うので理想と違う芝居になることもあるんです。そこが面白くもあるんですけど。その点映画は、これだ!というカットも音楽も理想とするものを作ったら、それがブレることなく世の中に出せる。自分の頭の中にあるものを具現化するには理想的なコンテンツだなと感じました。

――― 多岐に渡るジャンルを手掛けているが?
そうですね。自分の中で直前に書いたジャンルではないものを次の作品で書きたくなるんです。

――― 創作の源は?
小さい頃から妄想癖があって、それらを具現化しているだけ、とも言えますね。

onodera-2.jpg――― 映画化に際し、こだわった点は?
そもそもこのテーマは映画向きかなと。TVドラマでは許されない地味さだと思うので、最後まで全体を見てもらって最後に伝えられる映画だから描けたのかな、なんて。舞台だと目線だけでは伝わらないことでも映像では可能ですよね。今回特に二人の芝居が良かったので、1カットで二人の距離感や心情が捉えることができました。これも映画ゆえの表現力かなと。

――― 間のとりかた?
無駄な間は嫌いなんです。でも、その場の芝居が良ければカットを割らずに見せた方がいいと思いました。僕の芝居はテンポが速いんですけど、それを二人はとても心地良く演じてくれました。二人は僕が理想とするテンポと同じ感覚を持ってくれているような気がしています。

――― 演出は細かい?
とても細かい方だと思います。ダメ出しすることも多くて。でも、今回は今までの中では一番少なかった。主演の二人が、より子と進、そのものだったからです。


onodera-di-3.jpg――― 家族観について?
僕が理想とする家族観を載せているかも。親子でも気を遣い過ぎてすれ違うことはあると思んです。些細なことでもお互いを思い遣りながら、時間が過ぎてしまう。映画を撮り終えてから、自分の中にある家族の距離感を改めて感じました。家族によって距離感は違うと思うので、結果としてやっぱりどこか自分の家の家庭像が出ているのだと思います。

――― 昭和的な雰囲気の美術だったが?
元々レトロなものが好きなんです。この映画では、世の中から取り残されているような姉弟なので、その辺りが強調されればいいかなと。

――― 撮影や照明など、雰囲気作りのための工夫は?
色々と提案してほしいと日頃からスタッフにお願いしていたら、いろんな案を提案してもらえ、皆といろいろ話し合って作ることができました。信頼できるキャストとスタッフだったので本当に助かりました。

――― 今回女性にとって切ない描写があったが、女性を意識していた?

いえいえ、あまり男性向けとか女性向けという意識はしていません。いつもそうですけど、女性だからといって、女らしさを無理やりのせるのは止めようと思ってます。一人の人間としてどんな思いで生きているのかを表現したいという考えしかなかったというか。

――― 目指したいものとは?
生と死を見つめたような本作とは真逆なものを作ろうかなと思っていましたが、この映画が完成したら、誰もが温もりを感じて下さるようなハートウォーミングな作品がやっぱりいいかな、と。そんな作品が作れることは本当に幸せなことだと思うんですよねぇ。


あり余るアイデアをひとつの物語に集約させる才能に長けたお方のようだ。速いテンポで演出するには鋭い観察力ときめ細かな配慮も必要だろうが、それらを的確こなせる能力が作品の完成度に繋がっているのだろう。一緒に仕事して共に成長できるような監督。今後、西田旋風によって活性化していく日本のエンタメ界が楽しみだ。

(河田 真喜子)

 

onodera-b-550.jpg(2014年10月22日(水)大阪ステーションシティシネマにて)
ゲスト⇒ 弟・進役:向井理(32歳)、姉・より子役:片桐はいり(51歳)


 
『男はつらいよ』みたいにシリーズ化あり?
“寅さん”“さくら”はどっち?
片桐はいりのテンションに振り回される向井理

 

適齢期を過ぎた姉と弟が、昭和の雰囲気の残る一軒家で暮らしながら、何かと文句を言いつつもお互いを思い遣る様が優しく温もりのある風情を醸し出す映画『小野寺の弟・小野寺の姉』。10月25日(土)公開を前に大阪ステーションシティシネマで開催された先行上映会で、主演の向井理と片桐はいりによる舞台挨拶が行われた。
 

★片桐はいりと向井理がまさかの姉弟になるなんて!?
onodera-b-2.jpg先行上映会に集まった500人を超える向井理のファン(?)の前に二人が登場するや否や、劇場を揺るがすような歓声が沸き起こる。先に登場した片桐はいりが、出遅れた向井理に対し「早くおいで!」と言わんばかりに大きく腕を振る。ここでも“しっかり姉ちゃん”なんだ!「何で出てくるのが遅れたの?」と聞かれ、「上映後の舞台挨拶は初めてだったので、ちょっと怖かった」と。
「持って帰りたいと思うような可愛い向井君が見られます!」と映画を紹介する片桐。進と同じ黒縁メガネをかけた向井理に「いつまでメガネかけてんの?」と一喝。そこで会場からも「外して~!」という声が上がり、メガネを外す向井理。「キャ~可愛い!」とこれまた黄色い歓声。

 

onodera-bk-1.jpg★シリーズ化の可能性は?
恋におくての弟を気遣う姉と、姉に負い目を感じている弟、不器用な生き方しかできない二人の想いが何とも優しくて微笑ましい。「二人はこのまま独身なんだろうか?」という疑問から「シリーズ化の可能性は?」と聞かれ、「〈寅さん〉みたいに?向井君は〈さくら〉?」と言う片桐に、「性別逆だろう?」と向井。「いや、顔の形からしてそうなるんかな~と?毎回マドンナが出て来て向井君がフラれる?それじゃ向井君が〈寅さん〉みたい!」(笑)

 

 
onodera-bm-1.jpg★大阪の印象は?
向井は、「両親が関西出身なので子供の頃からよく遊びに来ていました。大阪湾で釣りをしたり、和歌山の白浜へ遊びに行ったり。最近ではこうしたキャンペーンや舞台で来ることが多いです。大阪はいろんなものをギュッと詰め込んだような濃い感じがする」と。一方片桐の方は、「母親が関西出身なのでしょっちゅう来ています。特に大衆演劇が大好きで、通天閣の辺りなどは日常的にうろついています。」と意外な発言。また「これって大阪をイメージした服装?」と向井に聞かれ、「嫌われないようこんな服着て来たら、逆効果だと言われ落ち込んでます。」(笑)とお茶目な目をキョロキョロさせてファンキーな表情で笑わせる片桐。まるでオモチャみたいな女優さんだ。

 


onodera-b-3.jpg★何の除幕式?
ここで、舞台中央に置かれた白い布をまとった物体の除幕式が行われた。「中に何が入ってるんだろう?西田監督が出てきたりして!?(笑)
」と言いつつ片桐が赤い紐を引き、向井がそれを支える。ジャジャ~ン! 劇中でも登場した小野寺家のクリスマスツリーの登場!!イラストデザインの〈いぬんこ〉による二人の似顔絵が描かれたオーナメントがいっぱい飾られたツリー。「なんか不思議なツリー」と驚く向井。「私の歯まで丁寧に書いて下さっています」と、重要な意味を持つ〈より子〉の歯に注目した片桐。


onodera-bm-2.jpg「全天候型」の映画!?
「こうして向井君と姉弟でいたり、撮影中もとても居心地のいい作品でした。どの層の家族の方に見て頂いても対応できる全天候型の映画になっています。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんと、お一人ずつ連れて何回でも見に来て下さいね。」と片桐はいり。
「西田監督が描き出す世界には悪い人は出て来ない。クセはあるけど憎めない人たちばかりです。日常のエッセンスを集めて物語を膨らませた、これが映画だなと思える作品です。この映画に出会えて本当に幸せだと思っています。いろんな人の気持ちを揺さぶり、心に残る作品だと思いますので、また見に来て下さい。」と向井理が舞台挨拶を締めくくった。

(河田 真喜子)
 


  『小野寺の弟・小野寺の姉』

onodera-550.jpg(2014年 日本 1時間54分)
原作: 西田征史「小野寺の弟・小野寺の姉」(リンダパブリッシャーズ刊)
監督・脚本: 西田征史 
出演:向井理、片桐はいり、山本美月、ムロツヨシ、寿美菜子、木場勝己、麻生久美子、大森南朋、及川光博

2014年10月25日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、ほか全国ロードショー!

(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会

 


★作品紹介⇒ http://cineref.com/review/2014/09/post-430.html
★西田征史監督インタビュー⇒ http://cineref.com/report/2014/10/post-173.html

★公式サイト⇒ http://www.onoderake.com


    

 

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生身の人間同士が触れ合う感覚を大事にしたい~『最後の命』柳楽優弥インタビュー
 

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『最後の命』(2014年 日本 1時間50分)
監督:松本准平
原作:中村文則『最後の命』講談社文庫刊
出演:柳楽優弥、矢野聖人、比留川游、内田慈、池端レイナ、土師野隆之介、板垣李光人、りりィ、滝藤賢一他
11月8日(土)~新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷、梅田ブルク7、シネマート心斎橋他全国公開
※NY「チェルシー映画祭」最優秀脚本賞を邦画初受賞
公式サイト⇒http://saigonoinochi.com/
(C) 2014 beachwalkers.
 

~生きる理由を探す青年がみつけた光とは?~

 
できるだけ他人と関わらないように静かに生きる青年桂人と、婦女暴行犯として追われていた幼馴染の冴木。幼い頃ある事件を目撃したことがきっかけで、運命を狂わされた二人が再会したとき、桂人の部屋で殺人事件が起きる・・・。
 
芥川賞作家の中村文則の小説『最後の命』を、『まだ、人間』で注目を集めた新鋭、松本准平監督が映画化。主演の桂人にはドラマ『アオイホノオ』他、圧倒的な存在感で観る者を魅了する柳楽優弥、桂人と対峙する冴木に蜷川幸雄の『身毒丸』で主役を演じた矢野聖人、二人の男にかかわる同級生香里に本作で映画デビューを飾った比留川游が扮し、緊迫感のあるドラマを説得力のあるものにしている。特に目線や佇まいで、桂人の抱えている過去や性への葛藤を表現する柳楽優弥の演技に惹きこまれ、まさに桂人と冴木の間に流れる空気を感じることができるだろう。
 
キャンペーンで来阪した主演の柳楽優弥に、桂人の人物像や、本作で表現したかったこと、また俳優人生の中で印象的だった現場についてお話を伺った。
 

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―――最初に脚本を読まれたとき、この作品や桂人、冴木というキャラクターに対してどんなことを感じましたか?
柳楽:まず、現代っぽいなという印象を持ちました。先に原作を読んだのですが、すごくインパクトのある小説で、どういう風に脚本化されるのだろうと思っていました。自殺や死、そして生きるということについて考えさせられる内容で、僕らや、もう少し下の世代に何か響くものがあるのではないかと。実際に脚本を読んだときは、すごく難しいと感じました。現場に入る前に頭に浮かんだのは、ショーン・ペン主演の『ミスティック・リバー』で、監督はそんな感じのことをしたいのではないかとも感じました。
 
 
―――目線や佇まいで、過去に何か重いトラウマを背負っている桂人を表現されていましたが、どういうプロセスで役作りをしていったのですか?
柳楽:桂人は言葉で人を説得するのではなく、自分の言いたいことを割と抱え込んでしまっているタイプです。そういうタイプの人は相手の目を見て話さない印象があるので、監督に目線の提案をしてみたら「いいですね、やってみましょう」とGOサインを出してくれました。目線の表現は意識して取り入れていきましたね。過去のトラウマや葛藤を抱えているような、あまりポップではない役を演じるときは、現場に入る前に少し憂鬱になることがあります。今回は作品のテーマも重いので、「よし、頑張るぞ」と気合を入れて臨みました。「撮影でどれだけ自分が闘えるか」という戦闘モードでしたね。
 
 
―――古書で埋め尽くされていた桂人の部屋も、桂人という人物を読み解くヒントになりますね。
柳楽:すごい本を読むなと思いました。(笑)高校生でドストエフスキーの『罪と罰』を読むような人物ですから。それよりもレベルの高い本が桂人の家には積まれていて、きっと本に救われて選択肢が広がっているような人なのでしょう。
 
 

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―――子どもの頃に同じ事件に巻き込まれた桂人と冴木の間には、二人にしか分からない世界があり、観る方はその世界に引きずり込まれていく感じがしました。柳楽さんは、桂人と冴木の関係をどう捉えて演じたのですか?
柳楽:僕も小学校や中学校のときは、目立つ人や何かに長けている人を羨ましいと思うタイプだったので、桂人にとっての冴木も羨望の眼差しを向ける存在だったのではないでしょうか。監督には冴木が兄で、桂人が弟のような関係だと言われたのですが、時間が経った後に再会すると、冴木の方が追い込まれていた気がします。
 
 

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―――冴木役、矢野聖人さんとの初共演はいかがでしたか?
柳楽:矢野さんは蜷川幸雄さんの舞台『身毒丸』に出演され、舞台慣れされているので、今回も役をかっちり組み立てて臨まれていた印象があります。僕は矢野さん演じる冴木に振り回される普通の青年役なので、矢野さんが現れた途端「冴木だ」と思え、全信頼を寄せて挑めました。とても魅力的な方でしたね。比留川さんもとても素敵な方でした。精神を病んでいく桂人の彼女役ですが、年上ながらとても親しみやすい雰囲気を出してくれ、僕は共演していて落ち着きました。
 
 
―――重いテーマのストーリーですが、最後に光射すイメージを残しますね。
柳楽:キャラクターたちが真っ暗なトンネルで出口を探しながら走っていると、エンディングでCoccoさんの歌が流れ、「出口はここだよ」と光を照らしてくれた気がします。僕はエンディングがCoccoさんの歌だと知らなかったので、初めて聞いた時いい意味で衝撃を受けました。
 
 
―――柳楽さんの目がすべてを物語る力を持っていたと思います。まさに柳楽さんあっての作品なのでは?
柳楽:やはり、監督が僕の目の力に注目してくれたことが大きいです。脚本が難しかったので、撮影前半はこちらから腑に落ちない点を監督に聞きに行くようにしていました。
 
 
―――役の幅も広がりましたね。
柳楽:本当に色々な役のオファーが来るようになりました。次は時代劇がやりたいです。最近は仕掛ける方の役が多いのですが、そちらの方は遊べるし楽しいですね。今回は俳優をはじめた頃に演じていたような、割と受け身の役です。最近の主役はどの作品を見ても受け身芝居が多い気がするので、こういう受け身の役もきちんと演じられるようになりたいです。
 

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―――最初は受け身ですが、最後に一皮むける桂人の成長ぶりは、柳楽さんの繊細かつ大胆な演技でリアリティーがありました。傷つきあいながらもぶつかっていく主人公たちの姿に心揺さぶられます。
柳楽:『アオイホノオ』で昭和時代の芸大生を演じて以来、僕の中で昭和と平成を比べるのがブレイクしているのですが、昭和50年代は相手に対してしっかり伝えるというイメージがあります。平成は相手に対して、インサイドになるのが癖になっているイメージです。桂人はインサイドすぎる存在で、自分の意思はあるのですが、感情の爆発する方向がネガティブになりすぎている気がします。今いろいろな事故や事件が起こっている中で、自死しか選択肢がないと思わないでほしい。そういう光をこの作品から見つけてほしいです。
 
トンネルから見える小さな光や、自分がふと前向きに考えられることというのは、ふとした瞬間に声をかけられた言葉を一生覚えているような、意外と日常の中に溢れているものではないでしょうか。そんな瞬間を捉えられないぐらい鈍感になるのは個人的にはイヤで、「SNSをしすぎて、感じることに鈍感にならないで」と思います。恋愛に対してのドキドキ感や、優しくされてうれしいと思う気持ちなど、生身の人間同士がふれあう感覚を大事にしてほしいですし、「すぐに死に結びつけないで」と言いたいです。
 
 
―――柳楽さんは今年で俳優生活13年目ですが、その中で自分を変えたり、壁を越えさせてくれた作品は?
柳楽:『許されざる者』ですね。共演者の方も大先輩ばかりだし、ほとんどの若手がびっくりするような現場で、そこに参加できたことは非常に光栄でした。李監督は本当に厳しかったですが、いい意味でパンチを喰らい、成長できる現場でした。これからもいい現場に出会いたいです。
 

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―――影響を受けた俳優は?
柳楽:僕が高校生の頃は、ジョニー・デップが大ブレイクしていた時期でした。ジョニー・デップを好きな人ってみんな狂いだしますよね。アーティスティックに反逆する感じで、カリスマ性がすごいですし、僕らの世代だけではなく色々な世代の人が憧れると思います。僕はその頃にジョニー・デップ主演の『ブロウ』を観て、「ロン毛や穴あきジーパンなのに、こんなカッコいい人を見たことない!」とのめり込みました。目指す人がいるということは大事ですね。
 
 
―――最後に、役者という職業をする上で一番大事にしていることは?
柳楽:先輩たちを見ていて思うのですが、役者の方はいい人しかいないですね。柄本明さんは大好きな先輩ですが、出演される舞台にお誘いいただくこともあり、温かいし、色っぽくってカッコいいです。僕も後輩にそういう風に言われるように、頑張りたいです。
(江口由美)
 
 

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偽オカマで魅了しちゃう!?『小川町セレナーデ』大阪初日舞台挨拶
(2014年10月18日(土)シアターセブンにて)
ゲスト:須藤理彩、藤本泉、原桂之介監督
 

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『小川町セレナーデ』
(2014年 日本 1時間59分)
監督:原桂之介
出演:須藤理彩、藤本泉、安田顕、小林きな子、高橋洋、阿部進之介、濱田ここね、大浦龍宇一、金山一彦、大杉漣(特別出演)他
2014年10月18日(土)~シアターセブンにて絶賛公開中
公式サイト⇒http://ogawacho.com/
(C) 2014「小川町セレナーデ」製作委員会
 

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昭和の香りがするスナック「小夜子」を舞台に、ちょっと不思議な面々が集まる、味わい深くて温かい家族ドラマが誕生した。女手一つで娘を育てるシングルマザーの真奈美と、スナックと同じ名前であることを嫌がり、町を出た一人娘小夜子、そしてかつて真奈美が働いていたオカマショーパブのスターダンサーであり、小夜子の実の父親であるエンジェルらが織りなす『小川町セレナーデ』。
 

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須藤理彩が演じる真奈美の一人で子どもを育てる覚悟や、藤本泉演じる小夜子のスナック小夜子再建をかけた偽オカマ修行ぶり、そして安田顕演じるエンジェルの真奈美や小夜子との絶妙な距離感やオカマならではの悲哀など、スナック小夜子の運命と共に綴られる家族の行方から目が離せない。また、昭和風スナックから一転して煌びやかなオカマショーパブに転じるスナック小夜子とそこで歌って踊られるダンサブルなナンバーの数々も楽しめる。既に公開されている東京では「エンジェルさんの姿を自分に重ねて涙が止まらなかった」というオネエサマの声から、真奈美や小夜子に共感したという声まで、様々な反響が届いているという。

 

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関西での公開初日となった10月18日(土)、シアターセブンにて初日舞台挨拶が行われ、本作が初監督作となる原桂之介監督、須藤理彩、藤本泉が登壇。立ち見も出る満席となった会場から大きな拍手が沸き起こった。まず最初に「現在京都にて撮影中で、初めて京都から新幹線で新大阪入りという贅沢な来阪を果たした」(須藤)、「関西に親戚がいるのでプライベートではよく訪れているが、舞台挨拶では初めて」(藤本)、「『どついたるねん』など阪本順治監督の初期作品が大好きなので、大阪も大好き」(原監督)と大阪舞台挨拶の感想が語られた。

 

 
 

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シングルマザーとしてスナックを切り盛りしながら娘を育てた真奈美の役作りについては、「私自身も現在子育て中だが、真奈美は私以上に『一人で子どもを産んで育てる』覚悟があり、きっと心の中に秘めたことや辛いことを抱えている女性。演じる上では、いかに誰もいない時にふと見せるような表情で真奈美の心情を表現するかに苦労した」(須藤)とキャラクターの内面を掘り下げて演じたことを明かした。一方、訳ありの両親から生まれた小夜子の役作りについては、「小夜子は小さなときからコンプレックスを抱えて大きくなった娘。私自身演じながら、この家族はどうなるのかと現場でも思っていた。須藤さんと安田さんが現場を離れても同じような距離感で接してくださった結果が演技にも出ていると思う」と藤本が語れば、「親子は成長していくと微妙に離れていく時期があり、真奈美と小夜子は少し距離をとっている感じ。逆にエンジェルと小夜子の方が本当の親子のように女子トークができたりする。とても面白い関係」(須藤)と小夜子を中心にした父親、母親との関係にまで話が及んだ。

 
 

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途中で、10月21日(火)に23歳の誕生日を迎える藤本泉に、原監督と須藤さんからバースデイケーキがプレゼントされるサプライズも。感激の面持ちでの記念写真の後、「撮影中は1館しか上映が決まっていなかったが、今では25館で上映されるまでになった。絶対満足していただける自信がある作品なので、ぜひ一人でも多くの方に観ていただいて、勧めていただきたい」(須藤)と熱のこもった挨拶で舞台挨拶が締めくくられ、改めて会場からは温かい拍手が送られた。

 
 
 
 
 
 

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作品の舞台となった1階が店舗、2階が自宅のスナック小夜子は、「役作りが必要ないのではと思うぐらいの生活感がそこにあり、役者として非常にありがたい空間だった」(須藤)、「現場の空気が小夜子を作ってくれた。スナック部分も細かいところまで作り込まれていて、最初入ったときに驚いた」(藤本)と、その作り込み具合も注目ポイントだ。また、物語の後半部分では須藤が「最初に台本をいただいたときから、とことんそのワンシーンのために考え抜いた。20年近く女優という仕事をしているが、初めて『私の考える真奈美は・・・』と思いを伝えた」と語る、小夜子とエンジェルを巡る心に残るシーンも登場する。どんな現実も受け止め、自分らしく逞しく生きていくスナック小夜子の面々や、訳ありだけど素敵な家族に、きっと心掴まれることだろう。(江口由美)
 

hercules-550.jpg『ヘラクレス』

全能の神であるゼウスの息子として生まれた“ヘラクレス”が、数々の恐ろしい魔物との戦いを乗り越え、ギリシア神話最大の英雄へとなっていった伝説の物語を、ライブ・アクションの迫力と最新のVFX の融合によるヴィジュアルワールドで描いた、かつてないアクション・アドベンチャー超大作。

(HERCULES 2014年 アメリカ 1時間39分)
監督: ブレット・ラトナー(『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』 『ラッシュアワー』シリーズ)
製作総指揮: ピーター・バーグ、サラ・オーブリー、ジェシー・バーガー
製作: ボー・フリン、ブレット・ラトナー
主演: ドウェイン・ジョンソン(『ワイルド・スピードMEGA MAX』『G.I.ジョー/バック2 リベンジ』)、ジョン・ハート(『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』)、ジョセフ・ファインズ(「アメリカン・ホラー・ストーリー)、イアン・マクシェーン(『パイレーツ・オブ・カリビアン4』)
公式サイト⇒ http://www.hercules-movie.jp/
(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

2014年10月24日(金)~TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田ほか、3D/2D全国ロードショー!!


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森脇健児、17年ずっとピンチだった!?『ヘラクレス』公開記念特別イベント

ナニワのヘラクレスとして、美女アスリートを引き連れ登場!!
 

・日時:2014年10月14日(火)9:30~
・会場:スパワールド世界の大温泉『ギリシャ風呂』
・ゲスト:森脇健児さん、青木愛さん(北京五輪シンクロ日本代表)

 



パラマウントピクチャーズジャパン配給、映画『ヘラクレス』が10月24日(金)より、いよいよ全国公開となります。2013年、“最も興行収入を稼いだ男”ドウェイン・ジョンソンが神話最強の英雄ヘラクレスを演じ、かの有名な12の難行を成し遂げた「その後」の物語を描いた本作。

hercules-re-2.jpg公開を前に、“ナニワのギリシャ”として阿倍野にあるスパワールドのギリシャ風呂にて、公開記念イベントが実施されました。ゲストにはタレントの森脇健児さん、北京五輪シンクロ日本代表の青木愛さんが、それぞれ映画に登場する英雄ヘラクレス、女戦士アタランテに扮して登場。共にアスリート(?)目線で、【肉食系アクション】と銘打った今作についてトークを繰り広げました。 

MCの呼び込みにより会場へ入ってきたゲストの森脇健児さんと青木愛さん。森脇さんはライオンのかぶりものと言う“まさにヘラクレス!”と言ったいでたち。青木さんは弓を持ち、女戦士風のスレンダーな衣装で登場。まず衣装について尋ねられ、森脇さんは「着た瞬間、いつでも闘えると思いましたね。隣は動物園やし、この格好で外歩いても違和感ないんちゃうか!?」と言って笑いを誘うと、青木さんは「カッコイイ女性に憧れているので、この衣装はピッタリだと思います!」とテレビ番組で紹介されていた通り、男前な感想を伝えました。

続いて映画のキャッチコピー「肉食系アクション」にちなみ、それぞれの肉食系談話を披露したお二人。肉食系ですか?と言う質問に森脇さんが「青木さんは恐らく肉食系ですね(笑)」と答えると、青木さんからは「何でやねん!」とすかさずのツッコミが。「ただ食に関しては肉食ですね。焼肉が大好きで10人前くらいは全然いけます。」と答える青木さんに対し、森脇さんは「僕は鶏肉専門です。牛肉は食べないんですよ。牛肉は足が遅くなるでしょ?牛は足が遅いから。本当はチーターの肉が食べたいんですけどね!」と、先日テレビ番組のマラソン企画で入賞するなど、ランナーとしての独自の意見も交えながら至ってまじめに返答していましたが、周りからはその回答に笑いがこぼれていました。

hercules-re-3.jpg劇中、ヘラクレスがピンチに陥る場面があることに引っ掛け、二人に訪れたピンチについて聞かれると、「ピンチなんてあったかな~?」とまたも男前な発言をする青木さん。すると何か思い出したようで、「シンクロの演技で使うノーズクリップ(鼻の留め具)が試合中に外れてしまって、パニックになりました!」と現役時代に体験したハプニングを披露しました。それに対し森脇さんは「夢がMORIMORI(SMAPと共演していたテレビ番組)が95年に終了して、それから京都に戻ってきて17年間ず~っとピンチの連続です。」としみじみと語っていました。

その後映画のヒットを祈願するため森脇さん得意のシャドーボクシングを披露。「一番大事なのはボディブロウ。この映画も10月24日までガード固めておいて、公開日にボディやー!!」とテンションMAXで祈願を行いました。青木さんにもシャドーボクシングをレクチャーすると、すぐに「青木さん、一人でやってみて」とむちゃぶり。青木さんは困りながらも見事なシャドーボクシングを披露、ヒット祈願を行いイベントは終了しました。

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心に残る人物を描きたい!『蜩ノ記』小泉堯史監督(69歳)インタビュー
(2014年10月2日(木)ホテル阪急インターナショナルにて)

『蜩ノ記』(ひぐらしのき)
(2014年 日本 2時間09分)
原作:葉室麟「蜩ノ記」(祥伝社刊)
監督:小泉堯史  脚本:小泉堯史、古田求
出演:役所広司 岡田准一 堀北真希 原田美枝子 青木崇高 寺島しのぶ 三船史郎 井川比佐志 串田和美
 

2014年10月4日(土)~全国ロードショー

公式サイト⇒ http://www.higurashinoki.jp/
©2014「蜩ノ記」製作委員会


 

~“あっぱれ侍”の生き様に勇気付けられる、小泉流時代劇~

 

higurashi-di-2.jpg黒澤明監督のもとで28年間務めた小泉堯史監督。『雨あがる』『阿弥陀堂だより』『博士の愛した数式』『明日への遺言』と発表する作品のすべてが、清廉な人物像を描いて見る者の心を豊かにする。現在の日本映画界に在って、信頼される監督のひとりだろう。「私が会ってみたい!と思える人の物語に興味がある」という。今回小泉監督が惹かれた人物は、封建社会の中で理不尽な藩命でも潔く死を受け入れる戸田秋谷。原作者の葉室麟の世界観が好きで、『蜩ノ記』が直木賞を受賞する前から映画化を希望していたという。

 

higurashi-550.jpgお家騒動の責任をとって10年後の夏に切腹することを命じられた戸田秋谷の人柄や生き様を、家族や彼を見張る若侍・庄三郎の目を通して描かれる。さぞや悲壮感漂う映画かと思いきや、その清廉潔白な生き様に感動し、最後は晴々とした気持ちで秋谷を見送ることができる。勤勉で慎ましい生活の中に美徳を見出す日本人の心象風景が、乾いた思いで生きる現代人の心を清涼水のように潤してくれる。


東北や中部地方など各地でロケーションを敢行し、きめ細やかな人物描写と共に味わい深い美しい日本の風景をフィルム撮影で捉えている。スタッフには黒澤組からのベテランも多く、こだわりを持った丁寧な映画作りに情熱を傾けた職人の技と心が活かされた、いまどき稀有な作品である。

 



 今回小泉堯史監督にインタビューする好機を得て、作品にかける想いの程を伺った。

 

――― 『雨あがる』以来の時代劇ですが、作品を決める上で一番重要視することは?
時代劇とか現代劇とかではなく、私の場合は主人公の人物像に惹かれるかどうかが重要となります。『阿弥陀堂だより』ではおうめ婆さん、『博士の愛した数式』の数学者、『明日への遺言』では岡田中将、今回は戸田秋谷とその家族などと、そういう人達に会ってみたい!という気持ちを強く持つのです。時代劇でも現代人の心に響かなければ意味がないと思っています。

higurashi-di-3.jpg――― 人物像を深める工夫は?
先ず、シナリオの上で人物像をきちんと捉えて作り上げることから始まります。次に、キャスティング。その人物がいかに形造られていくか、立体的に描いてくれるかを考えながら決めることが重要です。

――― 脚本は必ずご自分で?
黒澤監督にも「脚本は必ず自分で書けなければダメだよ」と言われていましたので、監督する以上脚本にも携わるようにしています。映画化されなくても褒められればいいやと思って、黒澤監督にも私が書いた脚本を何本か読んで頂きました。

――― 黒澤監督から教えられたことは?
作品に黒澤監督から教えられたものが活かされていればいいなと思います。具体的に何を教えられたかという説明はできませんが、現場だけでなく御殿場の別荘へもご一緒させて頂きましたので、一緒に時間を過ごせたことが私にとっては一番貴重なことです。
ただ、黒澤監督は「現場には白紙で来てくれ」とよく言われていました。特にチーフ助監督は、監督が描く人物像やその方向性、さらに監督が要求していることを素早く察知して準備しなければならないので、そのためにも素直な気持ちで監督の言われることをスッと理解することが重要でした。

――― 劇中でも師弟関係が描かれているが、黒澤組の多い現場では若い世代へノウハウの継承は?
それは自然に覚えるものだと思います。黒澤監督は「芸術家と呼ばれるより、職人と呼ばれたい。」と仰ってました。職人というのは経験の積み重ねです。誰かに事細かに教えてもらえる訳ではないので、現場を走り回って経験を積まないことには何の成長も期待できないのです。
今の助監督たちも『乱』の頃からのスタッフですから、黒澤監督への想いは同じように持っています。そうした想いが他のスタッフとの絆を強めているのです。今でも、現場でよく黒澤監督の話をします。それは僕にとても嬉しいことですし、皆が同じ方向を向いて映画作りしていると実感できる瞬間であり、信頼関係が築かれている証しでもあります。

 

higurashi-3.jpg――― 役所広司さんや原田美枝子さんのようなベテランに対し若い役者は?
岡田さんはもう20年のキャリアがあり、また努力家でもありますから全面的に信頼していました。苦労したのは、育太郎と源吉の子役ですね。現代っ子ですから、正座したこともなければ着物を着たこともない、ましてや刀を差したこともない。細かい所作から話し方まで指導しては、何回もリハーサルしました。そうしなければ、他の俳優さんたちとレベルが合わないのです。主人公の秋谷の息子らしく、または身分の違いも佇まいから感じさせなければなりませんのでね。

――― 時代劇ですが、殺陣よりドラマ性?
そうですね。一人一人の生き方を描く方が大事だと思いましたので、ドラマの方に重点を置いて作りました。

――― 『蜩ノ記』は不条理な武家社会を描いているにもかかわらず、悲しみや怒りより崇高なまでの人間性を謳っているが?
時代劇は不条理な物語ばかりです。原作者の葉室麟さんの世界観が影響していることもありますが、悲痛な怒りしか残らないものより、晴々とした後味の良いものにしたかったのです。古くはギリシャ悲劇も悲劇だけどカタルシスがあります。不条理なことで悲劇が起きても、最後はカタルシスを感じて、いい気持ちで劇場を出て頂きたいですからね。

――― その方が今の社会には合っていると?
もっと悲劇的なことが頻繁に起こっている現代においては、人の悪意的なものをわざわざ掘り起こしてまで描かなくてもいいのでは?一人でも多くの方に見て頂きたいのは勿論ですが、スタッフの家族に特に見てほしいと思っています。映画の世界は厳しい状況にあります。それを日頃支えてくれている家族に見てもらって、どんな仕事をしているのかを受け止めてほしいのです。

――― 泰然として死を受け入れる主人公の秋谷に迷いはなかった?
迷いはあったと思います。遺される家族もいる訳ですから、僧侶のような悟りの境地とは違う、武士としての覚悟が彼をあのように見せたのでしょう。至道無難(しどうぶなん)禅師の「生きながら死人となりて成り果てて 思ひのままに するわざぞよき」という有名な歌のように、死んだつもりで生きた武士の在り様を描いているのです。

――― 戸田秋谷の生き方そのものとは?
死を見つめた中で日々輝かせる生き方こそ、一生を全うしたと言えると思います。そうした秋谷の生き方は周りにも伝わり、庄三郎の「在るがままに正直に生きていこうかな」というセリフに繋がっていきます。秋谷は日々淡々と晴朗に、尚且つ潔く日々を過ごす生き方を周りに示すことで、残される者を力付けていたのでしょう。

――― そこまで考えた上での覚悟だった?
自分を律しながら生きて行く強さが、そこにはあります。

higurashi-di-1.jpg――― いろんな立場や組織の中で生きている現代人にとって、とても勇気付けられる秋谷の生き方ですね?
そのように受け止めて頂けると嬉しいです。このような人物に出会えたことは私にとっても希望となったのです。ご覧頂く皆様にもそう感じて頂きたいです。

――― 欲のない人ほど恐いものはないですよね?
確かに、欲のない人は強いです。

――― 時間をかけて丁寧に映画を撮ることへのこだわりは?
特に時間を掛けて撮っている訳ではなく、映画製作は自分の力だけではどうにもなりませんからね。それに、他のスタッフも主人公を好きになって愛情を込めてくれることが大事なんです。少しでもいい映画にしようと、登場人物のために衣装や鬘を準備したり、情況表現のため美術が背景を創り上げたり、撮影や照明なども努力しているのです。

――― 衣裳担当の黒澤和子さんについて?
素材から染料に至るまでこだわって仕事する方です。当時の雰囲気を出すために、野良着の風合いにもこだわり、日本では手に入らない素材をインドネシアで調達したり、なじみ感を出すためにわざわざ洗い張りしてから縫ったりと、人物に合せた色や素材選びなど、徹底した仕事ぶりです。それに、黒澤監督の娘さんですので、監督の意を汲んで下さるのがとてもありがたいです。

――― ロケ地選びは?
今回各地でロケをしているのですが、撮影・美術担当らと一緒に周ってロケ地を選びました。

――― 現存する江戸時代の家屋を使ったようですが、室内の撮影は難しいのでは?
全てロケ地で撮っています。岩手県遠野にある秋谷の家のシーンでは、照明器具の取り付けが許されたのと、3台のカメラを置くスペースがあったので、本当にありがたかったですね。私はアップを撮る際にはロングで撮るので、カメラを引くスペースが必要なんです。そうしないと役者さんの自然な表情を引き出せないですからね。


――― 観客の皆様へ、特に若い人へのメッセージは?
こういう人物を心の中に思い留めてほしいと思います。時々思い出してもらえれば、スクリーンの中の人物たちも生き続けることができるのです。黒澤監督作品にはそういう人物が沢山います。例えば『生きる』の中の癌に犯されながらも公園完成に尽力する渡辺寛治や、『七人の侍』の「白い飯が食べられればそれだけでいい」と言って農民のために命を投げ出す官兵衛みたいな人たちとかが、自分の心の中で生きていてくれるのが非常に嬉しい。映画はそういうところを表現するのが大切なのかなと思います。

――― 歴史上の人物のように?
歴史を知るということは、年代と出来事を覚えるより、その時代に生きた人物を知ることが大事です。今でも心の中に響いて生きていることが大事です。少しでも戸田秋谷のことを覚えて頂ければ、一所懸命作った甲斐があるというものです。

 



終始穏やかに話される小泉監督だが、黒澤明監督を心から尊敬するスタッフと共に映画作りすることが嬉しくて堪らないご様子。共有する思いを持って、同じ方向を向いて一斉に作品に情熱を傾けられる映画人の心は、いつまでも“青春”の輝きを放っているように感じられた。

(河田 真喜子)


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10/25(土)~12/19(金)シネ・ヌーヴォにて)詳細はこちら