レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

2020年10月アーカイブ

手塚監督(シネルフレ江口).jpg
 
稲垣吾郎と二階堂ふみが魅せる、美しくエロティックな「大人の純愛映画」
『ばるぼら』手塚眞監督インタビュー
 
 手塚治虫の作品の中でも禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど様々なタブーに挑戦し評価が高い一方、映像化は難しいと言われてきた「ばるぼら」を、長男の手塚眞監督が映画化。昨年の東京国際映画祭コンペティション部門で世界初上映後、世界の映画祭で話題を呼んだ映画『ばるぼら』が11月20日(金)よりシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、なんばパークスシネマ、京都シネマ、MOVIXあまがさき他全国ロードショーされる。
 
 成功を手に入れたものの、それを失い、堕ちていく作家の美倉洋介を稲垣吾郎が美しく熱演。美倉の運命を狂わせる謎のフーテン女、ばるぼらを演じる二階堂ふみの表情豊かな演技にも魅せられる。撮影にはその映像美で見るものを魅了するクリストファー・ドイルを招聘し、舞台となる新宿の喧騒を印象的に捉えている。美しくエロティックな大人の幻想物語は、リモート生活に慣れつつある今、強烈な余韻を残すことだろう。
 
 本作の手塚眞監督にお話を伺った。
 

 

■クリストファー・ドイルにキャスティング前からオファー、企画実現へ強い後押しをしてくれた。

―――手塚監督の代表作『白痴』(公開20周年記念デジタルリマスター版を10月31日よりシネ・ヌーヴォで公開)は巨大なオープンセットで自由にビジュアルを構築していましたが、『ばるぼら』はセットの部分が少ない一方、現代の新宿がまさにセットになっていました。名キャメラマン、クリストファー・ドイルさんが街を切り取ることで、作品に新しい魅力が生まれています。
手塚:この作品は非常にエロティックな映画です。通常日本でエロティックな映画といえば汗臭いとか、泥臭いものになりがちですが、僕は昔のヨーロッパ映画のような品のあるニュアンスを持つ、綺麗なものにしたいと思っていました。それには人間だけでなく街、しかも新宿の隈雑な雰囲気がする場所を綺麗に撮れる人が必要でした。そこで真っ先に思い浮かんだのがドイルさんで、出演者が決まる前にキャメラマンを彼にと決めていました。
 
―――キャスティング前の段階で、まずはドイルさんにオファーされていたんですね。
手塚:当時、映画会社や色々なプロデューサーに企画をプレゼンテーションしても、『ばるぼら』の実写映画化に対して、みなさん及び腰になっていたんです。「原作は面白いけれど、映画にするのはちょっと難しい」と方々から断られてしまった。さすがに僕もこれは映画化するのは無理かもしれないと気落ちしてきた時に、ドイルさんだけは「絶対俺が撮るから、絶対やろう!」と言ってくれたんです。彼一人が味方についてくれているだけで、僕もこの企画をなんとしてでも実現させようと思えました。
 
―――ドイルさんの参加が決まったことで、映画会社の風向きも変わったのでは?
手塚:ドイルさんご自身もそのことが分かっていて、一緒にやろうと言ってくれたのだと思います。釜山国際映画祭の映画マーケットに足を運んで、セールスエージェントを見つけは話を聞いていただいていたんです。すると通りがかりのアジアの女性監督が企画書を見て「『ばるぼら』だ!」と。なぜ知っているのかとお聞きするとドイルさんから聞いたというのです。ドイルさんは自分の仲間やアジアの映画人たちに、日本で『ばるぼら』を撮ると宣伝してくれていたようで、それぐらいドイルさんもやりたいと思ってくださっていた。周りからはこだわりが強いという部分で他のキャメラマンを推す声も少なくなかったのですが、僕はドイルさんしか思いつかなかったので、それらの声を振り切りました。
 
 
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■子どもの頃から好きだった父親の大人向け漫画。現実と非現実を行き来する感覚が面白かった。

―――ちなみに手塚監督が原作漫画の「ばるぼら」を初めて読んだのはいつ頃でしたか?
手塚:父親が連載中に読んでいたので、12歳ぐらいだったと思います。父親が描いた漫画本は家の中に普通に置いてあったので、どれを手にとって読もうが自由だったんです。だから父親が描いていた大人向けの漫画は全部読んでいたし、むしろそちらの方に僕の興味が向いていました。明らかに子どもを意識した漫画は当時あまり興味がなかったのです。
 
―――芸術とはという問いかけや、根源に深い問題を内在する作品ですが、当時の感想は?
手塚:第一印象は「不思議な話だな」。悩む小説家の描写も出てきますが、幻覚の中に入ったり、どこまでが夢でどこまでが現実かわからないという感覚が面白いと思ったんです。僕はもともと現実と非現実の境界が曖昧であったり、もしくはそこを行き来する物語が好きで、その中で人間が振り回されながらも成長していく姿に興味がありましたから、「ばるぼら」は特に印象に残っていたんですね。
 
 

■これまでの自分の作品ともつながる「ばるぼら」、コンパクトな作品にできると思った。

―――映画化を構想したのはいつ頃ですか?
手塚:一般的に手塚治虫の作品を映画化するなら「ブラック・ジャック」や「リボンの騎士」といった有名な作品から始まるのでしょうが、5年前に純粋に次に自分がどんな作品を作りたいかと考えたとき、ふと「ばるぼら」のことを思い出しました。それまで自分が作ってきた映画たちともすんなりと繋がっていく感じがしましたし、内容的にも自分の好きな世界だと思いました。もう一つ思ったのは、『白痴』と比べて非常にコンパクトな作品にできるということ。ストーリー的にもそうだし、登場人物も小説家の美倉と少女ばるぼらに絞り込める。場所も新宿に絞り込めるので作りやすくなります。いつも僕の作品はあれもこれも盛り込み、2時間を超えるのが普通だったので、もっと短くてシンプルな映画を作るのにちょうどいい題材でもあったのです。
 
―――原作の魔女や黒魔術という要素を、本作ではあまり強調していませんね。
手塚:オカルティックな要素は今まで散々やりましたし、自然に出てしまうでしょうから、むしろそれを抑えめにして、インテリジェンスな表現を心がけました。オカルティックなシーンには日本で一番魔術に詳しい方に監修者として参加していただき、儀式や道具立を検証していただきました。原作では「エコエコアザラク」という正統的な魔術の呪文を使っていますが、別の作家による同名の漫画があるので、映画では実際に儀式で使われている別の呪文を用意していただきましたし、原作にあっても正確ではない要素を外すこともありました。
 
 
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■稲垣さん、二階堂さんは非常に聡明、何の躊躇もなく演じてくれた。

―――やはり稲垣吾郎さん演じる美倉と二階堂ふみさん演じるばるぼらが素晴らしく、この二人に魅せられました。こだわりのキャスティングだと感じましたが。
手塚:キャスティングは一番大変で、このお二人に決まるまで時間がかかりました。最初から稲垣さん、二階堂さんは候補に上がっていたのですが、企画したのは5年近く前の話ですからそれぞれに事情があり、プレゼンテーションするのが難しかったのです。それから時間が経ち、やはりこの二人しかいないとオファーをしたところ、お二人とも一も二もなく「やります」とおっしゃってくださり、うれしかったですね。稲垣さん、二階堂さんは、脚本を読んで内容を理解したら、あとは演じるだけというスタンスで、非常に難しいシーンやデリケートなシーンも何の躊躇もなく、疑問も抱かず演じてくださいました。素晴らしかったです。
 
―――インテリでモテ男の美倉はまさに稲垣さんのはまり役ですね。
手塚:芸術家きどりの作家で、インテリでモテる男である美倉と、稲垣さんのパブリックイメージとは重なる部分がありますね。実際にかなりインテリな方なので、美倉役は似合うのではないかと思ったし、そんな美倉がだんだん内面をさらけ出し、ある意味堕ちていく姿を、稲垣さんなら美しく演じることができると思いました。
 
―――売れっ子作家と呼ばれることへの違和感や真の芸術家を追求するあたりは、稲垣さん自身が歩んできた道にも重なる気がしました。
手塚:稲垣さんの歩まれてきた芸能人性から、そのリアルさが出たのではないでしょうか。稲垣さん、二階堂さん共に非常に聡明で、正しい方向にきちんと演じ、時には僕が思った以上に演じてくださった。クライマックスの場面も二人に任せ、「あそこまでやってくれるんだ」と僕が感心するぐらいの素晴らしい演技をしてくださったので、嬉しかったですね。
 

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■原作からピュアな要素を抜き出し、「純愛を見せつけたかった」

―――稲垣さんが演じた美倉は、原作よりも欲深さをそぎ落とし、ピュアな人物造詣になっていますね。
手塚:原作にもピュアな要素はありますが、今回はあえてそこを抜き出しました。今の時代だからこそ、肉体の触れ合いも含めて、とてもピュアなラブストーリーを作って見せたいと思いましたし、この原作がちょうどそこに当てはまりましたね。今はどうしても相手の裏を詮索したり、どちらかが騙したりという話が多いですが、むしろ純愛を見せつけたいという思いがありました。これは二重の驚きになると感じています。まずは僕が「ばるぼら」を選んだこと、そしてオカルティックな要素があるにも関わらず純愛の映画になっていること。僕の映画をご存知の方にはいい意味で驚きになるのではないでしょうか。
 
―――二階堂さんが演じたばるぼらも非常に魅力的ですが、どのようにキャラクターを作り上げていったのですか?
手塚:最初は原作とは全然違う現代の格好や、ゴシック要素が強いのでいわゆるゴスロリファッションもいいのではないかと考えていたのですが、衣装の柘植伊佐夫さんと二階堂さんから原作のままでいいのではと逆におっしゃっていただきました。二階堂さんは柘植さんの衣装で『翔んで埼玉』を撮っていた頃だったので、漫画をそのままにするとコスプレっぽくなってしまうのではと危惧したのですが、最初の衣装合わせで二階堂さんが原作の格好にオレンジのかつらを被って、部屋の隅に座っているのを見た時、これでいいと実感しました。撮影では、二階堂さんがご自分の私物衣装を「これもばるぼらっぽいのでは」と持参してくださったんです。映画の中でばるぼらが着用している服の半分は二階堂さんの私服です。有名ブランドの服だけど、フーテンのばるぼらの世界観に溶け込んでいる。二階堂さんの着こなしもあるでしょうし、そのチョイスもばるぼららしさが出ていたんでしょうね。
 
 
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■クリストファー・ドイルが手持ちカメラで撮った「ばるぼらの表も裏も見せている」シーン。

―――生々しい現実の中を生きる美倉に対し、ばるぼらはテーマ曲にのって新宿の街を彷徨い歩くシーンが登場し、幻想的な美しさがありました。
手塚:今回の撮影はタイトなスケジュールだったのですが、あのシーンは事前にドイルさんに、「ばるぼらを1日あなたに貸すので、好きなように撮ってください。二階堂さんを自由に演出してください」とお伝えして撮っていただいたものです。実際に新宿は撮影できる場所とできない場所があり、結局限られたものしか撮れず、撮影を終了したのですが、解散した時にドイルさんが「ちょっと待って」と言い出したのです。二階堂さんに戻ってきてもらい、「この道を歩いて」と急に道を歩かせ始め、ドイルさんが手持ちカメラでそれを撮り始めた。10分間ぐらい自由に撮ったのですが、その映像が本当に素晴らしかったのです。予定にない映像でしたが、そこから随分使いました。橋本一子さんの音楽にもぴったり合いましたし、そこに稲垣さんが読むヴェルレーヌの詩を重ねると本当に好きな場面になりました。思ってもいなかった場面ですが、一番自分が撮りたかったのはこれなんだという感じです。演出していないのだけど、ばるぼらの表も裏も見せている。映画は時々このような奇跡が起きる。作っていて一番喜びを覚える瞬間ですね。
 
 

■肌と肌が触れ合うエクスタシーを純愛に取り込む感覚を忘れてほしくない。

―――『星くず兄弟の新たな伝説』の取材で「百年後観てもいい映画を作りたい」とおっしゃっていましたが、『ばるぼら』もそういうお気持ちで作られたのでしょうか?
手塚:今は男性が草食的だと言われ、肉欲的なものから離れていこうとしています。いい面もあるのですが、やはり肌の触れ合いは純愛の中でも大事な要素です。今の若者たちの純愛は手も握らないとか、精神的なニュアンスだけかもしれないけれど、もっと大人の、肌と肌が触れ合うエクスタシーを純愛に取り込むことをこの映画で感じてほしい。それを意識して作りましたし、そういう感覚を忘れてほしくない。スマホが流行った瞬間から、スマホでしかコミュニケーションを取らない風潮もありますが、僕はそれが自然ではない感じがするし、そんなコミュニケーションはセクシーでもエロティックでもない。エロティックは普段悪い意味で使われがちですが、僕はもっとポジティブに考えていくべきだと思っていますし、こういう時代に一番エロティックな『ばるぼら』を作れて良かったです。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『ばるぼら』(2019年 日本・ドイツ・イギリス 100分 R15+)
監督・編集:手塚眞 原作:手塚治虫 撮影監督:クリストファー・ドイル/ 蔡高比
出演:稲垣吾郎 二階堂ふみ 渋川清彦 石橋静河 美波 大谷亮介 片山萌美  ISSAY  / 渡辺えり 
11月20日(金)よりシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、なんばパークスシネマ、京都シネマ、MOVIXあまがさき他全国ロードショー
(C)2019『ばるぼら』製作委員会 
※11月3日(火・祝)第21回宝塚映画祭(シネ・ピピア)にてプレミア上映
※10月31日(土)よりシネ・ヌーヴォにて『白痴』ロードショー、【手塚眞実験映画集】【短編集】をはじめ、過去作品を一挙上映する「手塚眞監督特集」も同時開催。
 
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「国の制約がある中でも神戸の人は常に世界に向けて開かれていた」黒沢清監督、神戸の魅力を語る。『スパイの妻』凱旋舞台挨拶
(2020.10.18 神戸国際松竹)
登壇者:黒沢清監督 
 
 第77回ヴェネツィア国際映画祭で見事、銀獅子賞(最優秀監督賞)に輝いた黒沢清監督最新作『スパイの妻<劇場版>』が、10月16日(金)よりシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹他にて絶賛公開中だ。
 
 太平洋戦争前夜を背景に、時代の嵐に翻弄されながら愛と正義の間で揺れ動く夫婦の姿を描き出す歴史ロマン。濱口竜介、野原位の『ハッピーアワー』コンビによるオリジナル脚本は、戦前の神戸をその文化も含めて描き出し、国家による思想統制や監視の強化は現在の不穏な空気にも重なる。高橋一生が演じる優作の、時代の雰囲気に負けない行動力と、蒼井優が演じる妻、聡子が度重なる苦難を経て、強い意志を持ち、時代に立ち向かう姿に心打たれる。黒沢監督が惚れ込んだという神戸・塩屋の旧グッゲンハイム邸が、夫婦二人の住居である福原邸としてロケ地に使われているのも見どころだ。
 
 
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 公開2日目を迎えた10月18日、黒沢監督の出身地であり、本作のロケ地にもなった神戸の神戸国際松竹で凱旋舞台挨拶を行った。満席の観客を前に、初めて手にしたという銀獅子賞受賞証明書を眺めながら、黒沢監督は「残念ながら現地には行けなかったので大層な賞をいただいたという実感はなかったのですが、こうして(証明書を)見ると、『スパイの妻』が映画の歴史の片隅に名を刻めたのかなと感無量です。神戸でもかなりの部分を撮影させていただき、ありがとうございました」と挨拶。神戸を舞台にした映画を作るきっかけとなった東京芸術大学大学院映像研究科で教鞭をとっていた時の教え子である濱口竜介と野原位が脚本を持ってきたときのことを振り返り「神戸を舞台にした時代もののオリジナルストーリーが書かれていて、大変面白かった。お金のことを考えるとダメかと思ったが、NHKや映画プロデューサーらが気に入ってくれ、企画が実現しました」と脚本段階で惚れ込んだことを明かした。
 
 
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 当時の神戸が世界に向いて開かれていたことも、物語の核になったという黒沢監督。「1940年前後、日本はかなり内向きになり、国が外部との間に高い塀を作って行き来を閉ざそうとしていた時代だったが、人の心までは閉ざすことはできなかった。国の制約がある中でも神戸に住む人は常に世界に向けて開かれようとしていた。洋装はしないようにという国からのお達しがあったにも関わらず、神戸は皆洋服を着ていたと聞いている。そんな象徴的な街が神戸なのです」と、映画の登場人物たちの描写を重ね合わせながら神戸の魅力を語った。
 
 
 
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 聡子役の蒼井優の演技は本作の大きな見どころだが、黒沢監督は「本当に(演技が)上手い方。役になりきる憑依型の女優と思われているが、全部計算して演じておられるので、カメラが回る直前までは全く普通なんです。用意スタートがかかった瞬間に福原聡子になり、カットがかかった瞬間に『今のはどうでした』と聞きにきてくれる。撮影現場がすごく楽でした」とその実力に最大限の賛辞を贈る場面も
 
 最後に、神戸市より神戸市芸術文化特別賞が贈られた黒沢監督は「昨年大変撮影でお世話になったので、こちらから(神戸市に)感謝状をもらっていただきたいぐらいです。映画のスタッフ、キャストと共有したいと思います。映画はあそこで終わっていますが、もし余裕がありましたら、登場人物たちがあの後、生き残ってどういう人生を送ったのかと想像を掻き立てていただければ。その先に現在がありますので、そこまで思いを馳せていただくような映画になっていればうれしいです」と現代と地続きの物語であることを示唆し、舞台挨拶を締めくくった。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『スパイの妻<劇場版>
(2020年 日本 115分)
監督:黒沢清 
脚本:黒沢清、濱口竜介、野原位
出演:高橋一生、蒼井優、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史
10月16日(金)よりシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹他全国ロードショー
公式サイト → https://wos.bitters.co.jp/
(C) 2020 NHK, NEP, Incline, C&I
 
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主演:草彅剛×脚本・監督:内田監督登壇!
日本外国特派員協会での記者会見10/9(金)
 
 
草彅剛主演、内田英治監督オリジナル脚本映画『ミッドナイトスワン』が9月25日(金)より全国にて公開中。
本作は、トランスジェンダーとして日々身体と心の葛藤を抱え新宿を舞台に生きる凪沙(草彅)と、親から愛を注がれず生きるもバレエダンサーを夢見る少女・一果(服部樹咲)の姿を通して“切なくも美しい現代の愛の形”を描く「ラブストーリー」。

midnaighswan-pos.jpg日本映画界が注目する『下衆の愛』の俊英・内田英治監督が手掛けるオリジナル脚本に、唯一無二の存在感を放つ草彅剛が初のトランスジェンダー役として挑む。さらに、オーディションでバレエの才能を認められ、ヒロイン役を射止めた服部樹咲が本作で女優デビューし、真飛聖、水川あさみ、田口トモロヲが華を添える。ヒロインが躍る「白鳥の湖」「アルレキナーダ」などの名作に乗せて、主人公の母性の目覚めを“現代の愛の形”として描く、常識も性も超えた、感動作が誕生しました。
 
この度、欧米、アジア、中東などの海外メディアから『ミッドナイトスワン』の会見開催を望む声が協会に多数あり、熱烈なオファーを受け、主演:草彅剛と、本作の脚本・監督を務めた内田英治が日本外国特派員協会の記者会見に登壇いたしました。外国記者からの質問からの質問や、世界中で本作を応援しているファンに向けてメッセージを語りました。
 

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冒頭の挨拶で、内田監督は「映画の公開は3週目を迎え、大変多くの人に観ていただいています。オリジナル脚本の映画が、これだけの劇場数で公開され、多くの人に観ていただけるということはなかなかないことです。小説や漫画が原作の映画が多い日本で、たくさんの方にオリジナルの脚本映画を観ていただけているこの状況を、とてもありがたく思っています」とコメント。
 
草彅は「映画は今、公開中ですが、今日のこの会見をいろんな方が見ることで、よりたくさんの方に関心を持っていただき、1人でも多くの方々に作品の魅力が伝わることを願っています。いつもの会見とは少し雰囲気が違うということからも、この作品がいろんな方に注目され、広がっていることを実感しています。『ミッドナイトスワン』が、大きく遠くに羽ばたいているのかなという気持ちです。今日はよろしくお願いいたします」と笑顔で語った。
 
役を引き受けた理由について草彅は「この作品は、監督のオリジナルの脚本です。初めて脚本を読んだときには、トランスジェンダーの役で難しいとは思いましたが、それ以上に、脚本から、今まで感じたことのないような温かい気持ちが込められているのを実感できました。もちろん、すごく難しい役だとは思いましたが、それよりもこの素晴らしい作品に参加したいという気持ちが勝ってしまいました。そして、すぐに撮影に入りたいという気持ちにもなった作品です」と説明した。
 

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トランスジェンダーや、LGBTQの友達がいるかどうか、さらに、役作りにおいて、そういった方々と実際に話をしたかどうかという質問に、草彅は「これまでの芸能活動で知り合った方の中に数人LGBTQの方々がいました。みなさんとても優しい方で、いろいろと僕を助けてくれた方たちです。役作りに関しては、トランスジェンダーをあまり意識せずに、脚本が持っているエネルギーのようなものをのせていきたいと思っていました。僕自身が脚本を読んだときに流した涙は、どんな涙なのか、なぜ涙が流れたのかはよくわかりませんでした。でも、自分自身、とても素敵な涙だと感じました。そのエネルギーや気持ちを役にのせることが一番の役作りだと思い、演じました」と役作りの様子を明かした。
 
トランスジェンダーの役者の起用を検討したかという質問に内田監督は「脚本が出来上がり、次はキャスティングとなった段階には、トランスジェンダーやシスジェンダーの役者など、あらゆる可能性を考えましたし、すごく悩みました。先日の足立区議会厚生委員長・白石正輝氏の性的マイノリティーに対する発言からも分かるように、日本はまだその段階じゃないとも感じていました。トランスジェンダーの役者は非常に少ないし、何よりも、トランスジェンダーに関する世間の意識も低く、まず認知がされていないという状況です。この映画は、多くの方が観てくれる作品にすることがまず大事だと感じていました。そのためには、演技がちゃんとできて、日本で広く認知されている方ということで、草彅さんにオファーさせていただきました。
 
トランスジェンダーの役にはトランスジェンダーの俳優を、という世界的な流れがあるのは十分承知しています。日本もいずれはそうなるべきだと思っていますが、残念ながら、日本はそのスタート地点にも立ってないという状況です。まず、初歩の段階で必要なのは、トランスジェンダーの方で役者をやりたい人が増えることだと思っています。この作品には、トランスの女優である真田怜臣(さなだれお)さんが出ています。彼女は、舞台の経験は多いのですが、映画に出演するのは初めてでした。現場で草彅さんと真田さんの芝居を見て感じたのは、草彅さんの演技に感化されて、どんどん演技が良くなっていくということ。今回の経験を経て、彼女が僕の次の作品にも出演すればいいなと思ったくらいです。これから俳優をやるぞという方たちにとって、草彅さんのような立場の方、影響を与えられる方というのはすごく必要だと感じています。改めて、草彅さんに出演していただいてよかったと思いました」とキャスティング、撮影現場の様子を振り返った。
 

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トランスジェンダーの凪沙に、今までなかった母性が芽生えていく物語。役作りについて訊かれた草彅は「撮影に入る前に監督からトランスジェンダーの方のドキュメンタリーDVDや、監督が自らまとめた資料などをたくさんいただきました。また、トランスジェンダーの方たちとミーティングする機会を設けてくださって、それが役作りに大いにつながった部分はあります。映画の中で、凪沙というキャラクターが、徐々に母性に目覚めていかないといけない。そこはすごく難しいところではあったけれど、“何かを育てる気持ち”というのはジェンダーレスに芽生えるものであって、男性も女性も変わらないと感じました。植物を育てたりとか、工作とか図工で何かを作ったりなど。何かを育てていく、育んでいくという気持ちで演じていくうちに、自分の中で”もしかしたらこれが母性なのかな”と目覚めていった感じです」と解説した。
 
タブーのようなテーマを扱うと決めたときの反応と、難しさを訊かれた内田監督は、「僕自身は、この問題がタブーだとは思っていません。どうしても、トランスジェンダーの映画という形でくくられてしまうけれど、基本的には血は繋がっていない関係に芽生えた母性と愛情の物語。トランスジェンダーはあくまでもキャラクターの背景です。草彅さんとはいつも、凪沙というキャラクターをどう作り込んでいくか、凪沙という主人公の映画をどう展開していくのかについて話していました。映画作りの難しさは、この作品だからという特別なことはありませんでした。ただ、映画公開後には、SNSなどでもとてもたくさんの意見が出てきました。
 
今まで、LGBTQやトランスジェンダーの問題を語ることを怖がっていた、躊躇していた人たちが、シスジェンダー、トランスジェンダーとは、と語るようになりました。日本においては、まだまだジェンダーへの理解度や認識が低い傾向の中で、多くの若い人がこの映画に反応してくれたことをすごくうれしいと感じています。映画館では多くの若い人を見かけます。草彅さん演じる凪沙は、テレビに出ている、いわゆるニューハーフと呼ばれていた方々とは違うと知り、何かを感じてくれただけでも、この映画をやってよかったなと思いました。そして、そういった若い人たちが観るきっかけとなったのは、草彅剛という俳優がいたからこそだと思っています。映画監督としてとてもよろこばしく感じています」と笑顔を浮かべた。
 
改めて、先日の足立区議会厚生委員長・白石氏の性的マイノリティーに対する発言についてどう感じているかという質問を受けた内田監督は「あの発言は、許しがたい発言だと思っています。こういう映画を作っているからではありません。政治家と名乗る方があのような発言をすること自体、言葉にならないくらい許しがたい発言だと思っていますし、抗議したい気持ちでいっぱいです。実際に、彼のインタビューを読んだのですが、とても無知で保守的な考えだと感じました。LGBTQ含め、様々な事柄に無知な部分が多い日本において、これから若い人を中心に一歩一歩進むしかないと思っています。あのような発言をする政治家が急にいなくなることはありません。草彅さんは俳優、僕は監督なので、こういう作品を作ったからといって、こうしなさいという立場ではありません。ですが、この作品が何かを考えるきっかけになるといいと思っています。“あの政治家おかしなことを言ってるんじゃないか”と感じるきっかけになればいいかなと思っています」と訴えた。
 
オリジナル作品が成功するのは難しい日本の映画業界の問題点はどこにあると感じているか、という質問に内田監督は「オリジナル作品は非常に少ないのが現状です。全国規模の作品の中でオリジナル作品が占める割合は、アメリカは4割くらいあるけれど日本は恐らく5パーセント以下じゃないでしょうか。ビジネスとしては、ベストセラー小説や漫画を映画化した方が安心です。日本のプロデューサーは会社員であることが多いので、会社からOKが出る企画、なるべくリスクを取らないものを選びがちです。もちろん、それも大事なことですけれど、個人的には映画はビジネスでもあり、もちろん芸術でもあると思っているので、本人たちの作家性が前面に出たものは、もっとあってほしいのです。リスクを取らないという意味で、オリジナル作品には、新人俳優を起用することも多いのですが、今回は草彅剛という日本のトップスターが出演してくれたことも含めて、意義のある作品になったと思います」と胸を張った。
 
最後の挨拶で草彅は「世界中の皆さんにこの作品を観ていただきたいと思っています。とてもデリケートな問題も描かれていますが、みなさんが考えるきっかけになっていただけたらうれしいなと思っています。自分自身が本当に“いい作品だな”と思える映画に出演できたことがとてもうれしいです。この感動を1人でも多くの方に届けられたらいいなと思っています。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします」と呼びかけた。
 
内田監督は「おかげさまで、興行的にもヒットしていて、大変よろこばしいことと思っています。規模としては決して大きくないけれど作家性の強い作品を、多くの人が観てくれていることがうれしいです。さらに多くの人に観てほしいと思っています。作品の背景にある差別やジェンダーの問題について、少しでも考えるきっかけ、その第一歩になってくれたらいいなと願っています」とアピールし、記者会見を締めくくった。
 

【STORY】
故郷を離れ、新宿のショーパブのステージに立ち、ひたむきに生きるトランスジェンダー凪沙。
ある日、養育費を目当てに、育児放棄にあっていた少女・一果を預かることに。
常に片隅に追いやられてきた凪沙と、孤独の中で生きてきた一果。
理解しあえるはずもない二人が出会った時、かつてなかった感情が芽生え始める。
 
 
出演:草彅剛 服部樹咲(新人) 田中俊介 吉村界人 真田怜臣 上野鈴華 佐藤江梨子 平山祐介 根岸季衣
水川あさみ・田口トモロヲ・真飛 聖
監督・脚本:内田英治(「全裸監督」「下衆の愛」) 
音楽:渋谷慶一郎  
配給:キノフィルムズ   ©2020 Midnight Swan Film Partners

(オフィシャル・レポートより)
 

amaiosakede-ivent-550.JPG【日時】10月5日(月)18:20の回(上映前イベント)
【場所】テアトル新宿(新宿区新宿 3-14-20 新宿テアトルビル B1階)
【登壇】大九明子監督、鈴木もぐら(空気階段)、前野朋哉
 
 
映画『甘いお酒でうがい』が、9月25日(金)より公開し、全国にて好評上映中です。シソンヌじろう原作の日記小説を、松雪泰⼦、⿊⽊華、清⽔尋也ら実⼒派キャストで映画化!『勝⼿にふるえてろ』や『美⼈が婚活してみたら』などで⼈⽣を上⼿く渡り歩き切れていない⼥性を撮らせたら右に出る者がいない大九明子が本作の監督を務めました。そしてこの度、大九明子監督と、本作に出演する鈴木もぐら(空気階段)前野朋哉が、今夜、テアトル新宿にてトークイベントを行いました。
 


amaiosakede-pos.jpgお笑いコンビ「シソンヌ」のじろうが長年、コントで演じてきた架空の独身OL・川嶋佳子の物語を日記形式でつづった小説を映画化した『甘いお酒でうがい』。本作の公開を記念して10月5日(月)に東京・新宿のテアトル新宿でトークイベントが開催され、大九明子監督、本作に出演しており、先日の「キングオブコント2020」ではファイナルに進出した「空気階段」の鈴木もぐら、同じく本作に出演している前野朋哉が出席した。
 
この日は大九監督、鈴木さん、前野さんの共通点をテーマにトークが展開。まず最初に、鈴木さんと前野さんの共通点として挙がったのが、共に大阪芸術大学の映像学科に在籍していたということ。鈴木さんは「ドキュメンタリーに興味があって、原一男さん(※『ゆきゆきて、神軍』監督)が(教授で)いるということで」と進学の意外な理由を明かしたが、「大学の近くにパチンコ屋があって、そこに通い詰めてしまい、学費が払えなくなって除籍になりました」とわずか1年未満で除籍となってしまったと告白。
 
鈴木さんよりも1年早く入学していたという前野さんは、このパチンコ屋に「たまに『エヴァ』を打ちに行っていた」とのことで「(店で)会ってたかもしれませんね」と驚いた様子だった。
 

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続いて、大九監督はもちろん、前野さんも「映画監督」として活動しているという共通点に触れ、互いの監督としての魅力について尋ねると、大九監督は「俳優の魅力の引き出し方をわかっていて演出が素晴らしい」と絶賛。一方、大九作品の常連である前野さんは「毎回、映像で(完成した映画を)見たときに、こういう作品だったんだ! とびっくりします」と大九マジックを語る。
 
また前野さんは「僕のことを寄り(アップ)で撮ってくれるのは大九監督だけ」と明かすと、前野さんのことが「大好き!」だという大九監督は「そりゃ寄りで行っちゃうよ!これは」と興奮気味に語る。
 
さらにトークはこの『甘いお酒でうがい』の映画化についてに。大九監督は「じろうさんの原作が本当に美しくて、何度か泣きながら読みました」と明かす。じろうさんは、大九監督の『美人が婚活してみたら』の脚本を担当しているが「じろうさんと2本目を組むなら、絶対にこの原作でやりたいとお願いし、好きなエピソードを組み込んで何事も起こらない映画を作ろうという覚悟で作りました」と思いを語る。
 
前野さんは「黒木華さんの役が、メチャクチャかわいい!現実にこんな子がいたら、好きになっちゃうよねという話をしていました。かわいすぎて、こんな子、いるはずがない!何か裏があるんじゃないかって…」と興奮気味に魅力を語る。
 
鈴木さんも同意見のようで「スクリーンの中にちゃんと存在してるってすごいですよね」とうなずく。撮影現場で、鈴木さんは主演の松雪泰子さん、黒木さんを前に「実在するんですね」と思わず言ってしまったそうで、劇中では松雪さんに触れるシーンも! 「松雪さんを触った手で次の日、パチンコに行ったら当たりました(笑)」と語った。
 

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大九監督と鈴木さんは撮影時が初対面となったが、大九監督は「私が一方的にファンだったので、ドキドキしていました(笑)」と告白。鈴木さんは、当時はいまほど売れておらず「歌舞伎町のカラオケバーで」バイトをしていたそうで「(配給会社である)吉本の社員が(撮影)現場で驚いてました。『なんでいるんですか?』って(笑)」と振り返る。
 
一方で、大九監督は空気階段の飛躍を予期していたそう。本作に続き、大九監督が演出を務めたドラマ「時効警察はじめました」にも鈴木さんは出ているが、昨年のキングオブコントの決勝は、「時効警察」の撮影の翌日だったとのことで、同作にも出演している前野さんは「その日、撮影は(朝の)4時までかかったんです(笑)。『ここから行くんだ? すげぇ!』って思いました」と懐かしそうに振り返る。
 
鈴木さんは「実は、(昨年の)準決勝も撮影の後、すぐに飛び出したんです。逆にそれがよくて、それがなかったら固くなってたと思います」と明かした。
 
大九監督は、今年の結果を受けて鈴木さんに「てっぺんが見えてきましたね」と期待を寄せる。鈴木さんは「てっぺんを見る前に、まずは借金を返さないと…。そこからですね」と笑いを誘っていた。
 
ちなみに、鈴木さんだけでなく大九監督、前野さんも「芸人」として活動していた経験があるというのも意外な共通点。大九監督は養成所のJCAに1期生として通っていたが「私は、グダグダに挫折してしまい、何をしていいかわかんない中で映画だけが趣味で、映画館で映画美学校の1期生の募集を見て、作る側にシフトした人間。完全なる挫折を…」と苦笑する。前野さんが「どんなネタをやってたんですか?」と尋ねると「ピンでえげつないネタをやってて、放送できるネタがあまりなかったんです。何度かTVに出させていただいたんですが、いつも『そこ変えましょうか』って言われちゃう…」と照れくさそうに明かした。
 

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一方、前野さんは映画、ドラマで漫才師の役を演じたことから、プロモーションを兼ねてM-1グランプリにも挑戦し、1回戦を突破した。この挑戦について「いい経験でしたし、芸人さんのことを心の底からすごいなと思うようになりました。決まった時間で笑わせないといけないというのは別次元のスポーツのようでした」と述懐。
 
お笑い芸人でありながら、俳優としても高い評価を得るマルチな才人が増えているが、大九監督は「私が(監督として)ご一緒した方たちはコントの方が多いんですが、手数が多くて、現場で『こう変えましょうか?』と指示を出した時の対応力が素晴らしい。安心して委ねられる」と指摘。
 
前野さんは、「時効警察」での鈴木さんの演技に触れ「オダギリさんたちが来るのを察して、白目になるシーンがあったんですけど、ああいうのは普段、お芝居してて出てこない!」とその瞬発力を大絶賛。大九監督も「あのシーンは、白目にしてなんて言ってないし、ト書きにもないけど勝手にそうなった」と鈴木さんの役者としてのポテンシャルを讃えていた。
 
鈴木さんが、自身(鈴木)を主演に据えて映画を撮るとしたら? と2人に問いかけると、前野さんは「セリフのないタヌキをやってもらいたい」と珍提案! 「悪いタヌキを石橋蓮司さんとかにやっていただいて、もぐらさんは、ちゃんとした“いい”タヌキをやってほしい。捕まって、タヌキ汁にされて、かわいそうに…という感じで」と具体的な物語まで即興で提案する。
 
一方、大九監督は「実はもぐらさん主演で、既にプロットがあります!」とニヤリ。「タイトルも決まってて、何人かのプロデューサーにも話してあって、ショートフィルムの企画が来たら、心に決めている」と既に練られた構想があることを明かす。気になる役柄は「人間ですが、ちょっと変わった人と“何か”の間みたいな感じ」とのこと。
 
鈴木さんは思わぬオファーに「楽しみにしてます!オファーをお待ちしてます!」とノリノリで語り、会場の笑いを誘っていた。
 
最後に、「波風立てないように、じろうさんと細心の注意を払って作った映画なので、静かにひたひたと味わってほしいです。」と大九監督から観客に向けてメッセージが届けられた。
 


amaiosakede-550.jpg≪Story≫
これは私の日記。誰が読むわけでも、自分で読み返すわけでもない、ただの日記・・・
ベテラン派遣社員として働く40代独身OLの川嶋佳子(松雪泰子)は、毎日日記をつけていた。撤去された自転車との再会を喜んだり、変化を追い求めて逆方向の電車に乗ったり、踏切の向こう側に思いを馳せたり、亡き母の面影を追い求めたり・・・。そんな佳子の一番の幸せは会社の同僚である若林ちゃん(黒木華)と過ごす時間。そんな佳子に、ある変化が訪れる。それは、ふた回り年下の岡本くん(清水尋也)との恋の始まりだった・・・
 

出演:松雪泰子(川嶋佳子 役)、黒木華(若林ちゃん 役)、清水尋也(岡本くん 役)ほか
監督:大九明子
脚本:じろう(シソンヌ)
原作:川嶋佳子(シソンヌじろう)『甘いお酒でうがい』(KADOKAWA 刊)
音楽:髙野正樹
製作:藤原寛  エグゼクティブプロデューサー:坂本直彦  スーパーバイザー:黒井和男、古賀俊輔  企画:佐々木基
プロデューサー:高島里奈、大森氏勝、八尾香澄  共同プロデューサー:田中美幸  ライン・プロデューサー:本島章雄
撮影:中村夏葉  照明:渡辺大介  美術:秋元博  録音:小宮元  編集:米田博之  装飾:東克典、奈良崎雅則 
衣裳:宮本茉莉  ヘアメイク:外丸愛  音響効果:渋谷圭介  助監督:成瀬朋一  制作担当:今井尚道
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント  制作:吉本興業、テレビ朝日
製作・配給:吉本興業
2019/カラー/日本/107 分/アメリカンビスタ/5.1ch
<公式ウェブサイト>https://amasake-ugai.official-movie.com 
<公式Twitter>https://twitter.com/AmaiOsakeDeUgai
映倫区分:G コピーライト:©2019 吉本興業

ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル新宿ほか、全国上映中!


(オフィシャル・レポートより)
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「自分の作家性から思い切って離れ、一気に描ききれたのは原作があることの強さ」
『本気のしるし《劇場版》』深田晃司監督インタビュー
 
 仕事はできるが流されるままに社内で二股をかける会社員辻と、彼の前に突然現れた謎の女、浮世。星里もちるの人気漫画を映像化、共感度ゼロの登場人物たちが織りなす予測不可な破滅型ラブストーリー『本気のしるし』が10月16日(金)から出町座、10月17日(土)から第七藝術劇場、シネ・ヌーヴォ、元町映画館、10月23日(金)から豊岡劇場 にて公開される。
 
 深田晃司監督初の連続ドラマで2019年10月からメ〜テレでオンエアされたと同時に話題になった「本気のしるし」を劇場用にディレクターカット版として再編集。コロナ禍で発表された今年のカンヌ国際映画祭では、深夜ドラマ発としては異例のオフィシャルセレクション2020に選出の快挙を成し遂げた。4時間弱という長さを全然感じさせない目まぐるしい展開と徐々に変化していく主人公二人の関係性の描写は、深田監督が常々取り組んでいる「鑑賞者の想像力との駆け引き」の真骨頂のようにも映る。
 
 本作の深田晃司監督に、コロナ禍で発表した新作『ヤルタ会談オンライン』『move / 2020』(いずれも東京国際映画祭2020 Japan now 気鋭の表現者 深田晃司 短編プログラムで上映予定)も含め、お話を伺った。
 
 
 
――――テレビ版をモバイルで一気見したので、劇場版となり大スクリーンで観ることができるのはとてもうれしいです。特に踏切音や日常生活の中で聞こえてくる虫の声など音の印象が非常に残りました。
深田: テレビ版を作る際は時間も限られていたので、6週間で全話分一気に撮影し、その後編集して各話ごとにリリースしていく形でした。生活の環境音がある中でテレビを観ることを前提にしているのでとにかくセリフを立たせ、効果音は抑えめに。劇場版はスクリーンで観てもらうことを前提にするので、まずは環境音を足し、逆にセリフは立たせすぎないように環境音となじませていきます。あとは、5.1チャンネルにして空間を作るという作業を行いました。テレビと映画では音の出し方が違うので、結局は一から作り直しという形で大変でしたね。ドラマ版でもみなさんがイメージするような作法、例えば寄りの絵が多いとか、ナレーションでわかりやすくとか、音楽で情緒を伝えやすくする等のことは何もやっていない。僕としてはいつも通りやっただけなのですが、放映がはじまり最初は珍しいという声が多かったものの、それはネガティブな反応ではなかった。だからテレビドラマにおける作法は意外と作る側の思い込みなのかもしれないという気がしました。
 

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■ハタチの頃から好きだった「本気のしるし」。ドラマ化は持ち込み企画だった。

――――深田監督が初めて漫画の原作を映像化したということで、満を持してという気もしますが、「本気のしるし」をドラマ化した経緯を教えてください。
深田: これまでも平田オリザさんの演劇を基にした『さようなら』やバルザックの短編小説が原作の『ざくろ屋敷』など自分がやりたい原作を映画化でき、また作る際に変なバイアスがかかることなく自分なりに解釈したことを出すことができている。僕は非常に恵まれていると思います。「本気のしるし」はハタチの頃好きで読んでいた漫画で、会う人会う人に「映像化したらおもしろい」と言い続けていたら、『さようなら』のプロデューサーだった戸山剛さんが興味を示してくれてメ〜テレさんに企画を持ち込むことになりました。連続ドラマは未経験でしたが、他の人が監督するならぐらいなら僕がやりたいとメ~テレに持ち込んだ企画でした。
 
――――原作を少し拝見しただけでも、今まで深田監督が映画で試みてきたようなことがまさに含まれているなと驚きました。
深田: ハタチの頃に読んでいたので、無意識のうちに原作の影響を受けていると思います。自分の映画の中で我ながらよく出てくるなと思う符号がビンタのシーンなのですが、原作でもビンタが象徴的に出てくるのでそこに影響を感じますね。また想像力を少しずつ裏切ることで物語を引っ張るというのも、原作と重なります。
 
――――土村芳さん演じる浮世と北村有起哉さん演じる脇田と、先が読めない人が二人もいることで、面白さが倍増していますね。
深田: 北村さん演じる脇田はちょっと引いた目線で辻と浮世の恋愛を楽しんでいる人で、ある意味観客の立場に近いですね。辻が二股をかけている会社の先輩役の石橋けいさんは山内ケンジさんの舞台で、マイペースに独特の調子でしゃべり続けるのを見て、すごく好きだったんです。また山内ケンジさんが静岡で撮った「コンコルド」というシュールなCM
シリーズに常連で出演されている時のメガネ姿が細川先輩のイメージに近かったこともあり、オファーさせていただきました。
 
 
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■新しい表情を見せた辻役の森崎ウィン。

――――辻役の森崎ウィンさん、浮世役の土村芳さんはオーディションだそうですが、決め手は何だったのですか?
深田: 森崎さんは総合的にイメージに近く、比較的早い段階で決まりました。まずは女性何人かと同時に付き合う男性という設定に説得力を持たせられる甘いマスク。演技面では浮世と出会うコンビニシーン、酔っ払った浮世と話すファミレスシーン、波止場で喧嘩するシーンと3シーンを演じてもらったら、非常に自然に演じてくれたんです。森崎さんは役を演じるというより、きちんと自分の言葉でしゃべっていることを実感できた。それが決め手になりましたね。
 
――――あんな表情の森崎さんは見たことがなかったです。
深田: 最後のほうでいろいろなものを失ってしまい、すごく厭世的になっている森崎さんの演技が本当に素晴らしく、撮影現場で彼にオファーして良かったと心底思いました。あそこまで気取りがなくせるんだなと。
 

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■男女の“駆け引き”ではなく“対等ではない関係”を表現できた浮世役、土村芳。

――――辻は浮世に出会ったことでどんどん堕ちていきますが、愛を知った浮世はまた違う感情の流れをみせます。その対比もすごく興味深かったですが、この浮世役はキャスティングも演出も難しかったのではないですか?
深田: 企画が決まった段階でプロデューサーとも浮世役がうまくいかなければこの企画は失敗すると危惧していたのですが、実際オーディションも非常に難航しました。漫画の浮世はデフォルメされ見た目もとてもチャーミングなのですが、では実写化するときにスーパーモデルのような記号的に誰もが美しいと思える人を配置し、周りの人たちが惚れていくという感じにしてしまうとニュアンスが違う。そこで辻役のオーディション同様に、ファミレスで浮世が酔っ払って「私、辻さんに油断しているのかな」と男をドキリとさせるセリフを言ってもらったんです。大体の人が男女の恋愛の駆け引きのように演じてしまうのですが、そもそも駆け引きというのはある程度対等な力関係の間で展開するもので、今回は対等ではない感じにしたかった。土村さんは本音で自然に言っているように演じてくれたのが決め手になりました。
 
――――確かに自分が面倒を見なければという辻の使命感がいつの間にか愛に変わるという、男性の優位性があらわになっている関係ですね。
深田: 浮世と辻の恋愛関係は非対称性が強く、対等に男女が向き合う形ではなかった。もともと主体性がなく周りに流されて生きていた二人で、浮世はもっとヒリヒリしたものがあり、自分の身を守るため擬態のように男性にウソをついて生きている。辻は周りに好かれるがままに生きている。そんな二人が恋愛関係となるわけですが主体性がないとはいえ、辻は男性社会の中でそれなりに社会的な地位も得ている。一方浮世は大変なことになっていくので、辻は引っ張り上げなければと思うわけで、男性が優位な恋愛という歪みが生じているのです。だから浮世が何度も口にする「すいません」が真実味を帯びる必要があるし、その姿に辻はなんとか関わってあげなければと思う。でも他の人が現れたら浮世との関係は簡単に逆転してしまうんです。
 
 

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■物語で性差別の問題を描くことはとても重要。

――――最初は浮世に全く共感できないのですが、だんだん彼女のように隙があるとひどい目に遭う世の中の方がおかしいことに気付かされます。女性は常に男性に付け込まれないようにガードを固めなければいけないのかと。
深田: 原作から絶対にカットせず残したのが、浮世の昔の女友達が辻の男性的な考え方にはっきりとNOを突きつけるシーンです。現代社会でも女性が性被害に遭った時、そんな服装をしているから悪いと非難したり、同性からも同様の声が上がることは結構多い。そんな風潮の中、物語で性差別の問題を描くことはとても重要です。「本気のしるし」が青年誌で連載されていたことも意味があると思っています。女性といえば男性の恋愛対象として描かれる青年誌で女性の痛みを生々しく描いている。今、社内恋愛が発覚したら女性が異動させられる会社があるか分かりませんが、本質的な部分は全然変わっていないと思います。
 
――――浮世がそうせざるを得なくなったのは誰のせいなのかが分かると、生き延びるために必死な女性と見え方が変わってきます。
深田: 女性の描き方もいろいろで、象徴的なのはマーベルのように男勝りで強いヒロインです。ジェンダーバランスが50:50にはほど遠い中、そういう「強い」ヒロインを描くことには一定の意義がありますが、そればかりだと現実にある性差別を覆い隠す危険性があります。そういう中で浮世のようなアプローチで女性を描くことは重要だと思いながら取り組んでいましたね。
 
――――浮世や辻を演じるにあたり、お二人にどんな演出をしたのですか?
深田: 撮影に入る前に自分の演技に関する考え方を座学的にお話させてもらい、目の前の共演者ときちんとコミュニケーションを取ってほしいと確認した感じですね。まずは二人から出てくるものを見たいと思っていたので、こちらからそんなに注文はつけていないです。森崎さんはもともとダンスグループの活動をしていて、時々ちょっとした仕草がカッコよくなりすぎたり、セリフが甘く聞こえてしまうことがあるので、「そこ甘すぎるので抑えて」とお願いすることもありました。走るシーンが多いのですが、土村さんは新体操をしていて運動神経が良いせいか走りがあまりにも完璧すぎて、「もう少し崩した感じにして」とお願いすることもありました。
 
 
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■原作の世界観を借りて、ストレートに感情を表現するセリフが書けた。

――――深田作品のエンディングはいつも驚かされますが、今回は原作通りですか?
深田: ラスト30分は原作とだいぶん違っています。大概自分の映画はいつも直したいところだらけですが、今回のラストは何度見ても「いい映画だな」と満足しています。原作があることの強さで自分の作家性に捉われ過ぎず、あそこまで一気に描ききれました。セリフもオリジナルならここまで踏み込んだセリフを書かないというぐらい、原作の世界観を借りてストレートに感情を表現するセリフになっています。
 
――――前日、豊岡での先行上映では濱口竜介監督とトークもされたそうですが、どんな感想を話されていたのですか?
深田: 土村さんを絶賛して下さいましたね。面白かったのは自分が土村さんを選んだ理由から、濱口さんが『寝ても覚めても』で唐田さんを選んだ理由と近いという話になったことですね。僕はロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』がすごく好きで、物語は探偵物のハードボイルドなのですが、撮り方が奇妙でズームをとにかく多用しているんです。今回は普段やっていないことを試すつもりで、カメラマンにも『ロング・グッドバイ』を見てもらい、ズームワークを多用したエピソードも話しましたね。
 

■コロナ禍で誕生したZoom演劇による最新作『ヤルタ会談オンライン』

――――ここでコロナ禍で深田監督がされた様々な取り組みについても伺います。日本時間で5月30日深夜から10日間Youtubeチャンネルで開催された「We Are One: A Global Film Festival」では『ヤルタ会談オンライン』のワールドプレミアが話題になりました。ミニシアターエイド基金の運営が忙しい最中に、よくぞと。お見事です。
深田: 計21の国際映画祭が参加するデジタル映画祭で、東京国際映画祭(TIFF)も参加するということで声をかけてもらいました。Youtubeで流すのは権利関係が大変なので結構ハードルが高かったのですが、どうせやるなら新作をと思ったんです。あれほどZoomでやるのに適した演劇はないし、多分オンラインでリモート撮影する様式は来年には古臭くなっているだろうから、このタイミングで発表するのが一番だとTIFFの矢田部さんに相談し、役者の皆さんもずっと演じていてセリフが入っているので2週間で作りました。
 
――――世界同時配信されましたが、どんな反応が寄せられたのですか?
深田: 最初は映画を観ながらチャットをするなんて映画人としてそれでいいのかという気持ちがあったのですが、リアルタイムで世界中から様々な言語で書き込みが寄せられるのを見ているのは楽しかったですね。どこまでこちらの意図が伝わったか分かりませんが、ヤルタ会談は結局アジア人差別で、戦勝国のアメリカ、イギリス、ロシアで戦後処理を決めてしまう。映画祭という文化自体もヨーロッパが発祥の文化という面もありますが、価値観がヨーロッパ中心で今でもアジアの映画祭がヨーロッパのプログラマーや監督を審査員に呼ぶことが通例になっている。ヨーロッパの3大映画祭(カンヌ、ヴェネチア、ベルリン)が映画祭的な映画の価値観を決め、アジアの映画祭がそれを後追いしている感じが拭えない。それに対するアンチテーゼとしてぶつけるのにちょうどいい作品だという狙いもあったんです。
 

■今まで目を背けていたことに目を向けざるを得なくなった人はたくさんいるはず。

――――【SHINPA 在宅映画制作】企画では3分の短編『move / 2020』を発表しています。ステイホーム中のみなさんを楽しませようというエンタメ系作品が多い中で、こんな静かな作品があってもいいのではないかとコメントされていますね。
深田: 元気が出るリモート作品が次々と現れる中、そういう傾向の作品だけになることに違和感を覚えていたのですが、残念なことに自殺者も増えています。コロナ禍で生活様式が変わり、できていたことができなくなり、仕事もなくなり価値観が揺さぶられています。正直に言えば自分はヒトが生きなくてはいけない意味はないと思っています。でも普通は意味もないのに生きるのは辛すぎるからそこには蓋をして忘れるようにして、生きる時間を騙し騙し進めてきたのです。その蓋は仕事かもしれないし、恋愛や家族を持つことかもしれない。でもコロナによってその蓋を開けられてしまった。これまで大切だと思ってきたものも不要不急と言われてしまう。生きることの根源的な意味に目を向けざるを得なくなった人はたくさんいるはずです。『move / 2020』を作ったのは、世の中の変化についていけない人が一定数以上いて、負けるなと励ますのではなく、ただそういう感情を写しとりたいという気持ちがありました。
 

■「ハラスメントはダメ」ときちんと口にすることは大事。

――――最後にアップリングのパワハラ訴訟問題後、深田監督は早々にご自身の考えを書面で公表されました。まさに映画界全体の問題ともいえるこの件についてのお考えを改めて伺えますか?
深田: 21歳の時に撮った自主映画『椅子』を初めて上映していただいて以来ほぼ全ての作品をアップリンクで上映しているので、無関係ではないです。僕自身は浅井さんと直接やり取りすることはなく、浅井さんと言葉を交わしても嫌な思いをすることはなかった。でも自分の作品を上映してくれているスタッフがハラスメントに遭っていたことは事実です。自分の映画を上映するときはそれに関わるスタッフの安全が担保されていることは最低限の信頼関係のはずなのにそれが崩れてしまった。だから上映予定だった『本気のしるし《劇場版》』は一旦引き下げることに決め、解決するかどうかを見守ることにしました。アップリンクとの関わり方は人によって濃淡がありますから各人の考えでいいと思いますが、一方で各人それぞれに態度表明が求められるような流れも高まっている。結局パワハラはそれが起きると当事者だけではなく多くの人が傷つくことになります。また昨年末、自分が深く関わっていたスタッフによる俳優へのセクハラが複数報告され、本人は無自覚ながらも行為自体は認めたので、一切仕事上の関係を絶たせてもらいました。今、文化の場での安全性が問われていると思います。これからこの業界に入りたいと思っている人たちにここは安全であると信用してもらうためにも、何事もなかったかのように進んでしまうのは危ういので、誰もが知っていることでも「ハラスメントはダメ」ときちんと口にすることは大事だと思います。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『本気のしるし《劇場版》』“THE REAL THING”(2020年 日本 3時間52分) 
監督・脚本:深田晃司
原作:星里もちる「本気のしるし」小学館ビッグコミックスペリオール
出演:森崎ウィン、土村芳、宇野祥平、石橋けい、福永朱梨、忍成修吾、北村有起哉他
10月16日(金)から出町座、10月17日(土)から第七藝術劇場、シネ・ヌーヴォ、元町映画館、10月23日(金)から豊岡劇場 にて公開。
 
<深田晃司監督舞台挨拶情報>
●10/17(土)京都 出町座 10時00分の回上映後
●10/17(土)大阪 第七藝術劇 15時05分の回上映後
●10/17(土)大阪 シネ・ヌーヴォ 18時40分の回上映後
●10/18(日)神戸元町映画館 12時10分の回上映後
 
公式サイト⇒https://www.nagoyatv.com/honki/ 
(C) 星里もちる・小学館/メ~テレ
 
 

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