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◆日程:11月17 日(金)18:30~

◆会場:TOHO シネマズ梅田 【シアター8】
     (大阪市北区角田町 7-10 本館 8F 劇場ロビー/7F シアター8)

◆登壇ゲスト:馬場ふみかさん(28)、北村優衣さん(24)、仁同正明監督(50ちょい)


 

大阪人ならではのあっけらかんと飄々とした“カッコつけへんカッコ良さ”

通天閣の見える大阪下町にある“レトロ”というか、お湯も出ない、お風呂もない、古いおんぼろアパートを舞台に、そこに流れ着いた訳あり老若男女の群像劇。
 

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茶髪ロン毛のヤンキー風だが至ってクールなねえちゃん・ユリ(馬場ふみか)を主人公に、管理人でもないのにやたら住人の世話をやきたがるおっちゃん・宮地(笹野高史)、時々キレるニッカポッカ履いてる建設作業員の鉄平(倉悠貴)、いつもビシッとスーツでキメてる色男の中条(東出昌大)、そして、誰彼構わず「タバコ交換しよう」と話し掛けてくるおばちゃん(藤原しおり)という、少々変わり者の入居者たちの人生模様をユリの目線から描出。お互い干渉しないが全くの無関心でもない。付かず離れず、何かあれば玄関先で様子を見守るという不思議な関係。


それぞれいろんな事情を抱えながらも誰に頼る訳でもなく、大きな法を犯すこともせず、地道に最低限の生活を送っている。今にも立ち退きを通告されそうなおんぼろアパートなのに、妙に居心地が良さそうに思えてくるから不思議だ。それもこれも、個性派俳優たちが醸し出す飄々とした雰囲気がそうさせているのかもしれない。


そんなアパートに時々遊びにくる場違いな女子大生の高橋(北村優衣)や、悩みを抱えるユリの弟のカズオ(前田旺史郎)に、いきなり娘にビンタする強烈なおかん(片岡礼子)など、ドラマチックな展開とは無縁だが、愛すべき人々への優しい眼差しに癒される不思議な映画だ。


公開初日を迎えた11月17日(金)、大阪を舞台にした映画『コーポ・ア・コーポ』の舞台挨拶がTOHOシネマズ梅田で開催された。「公開初日に舞台となった大阪で舞台挨拶ができることはとても嬉しい!」と主人公のユリを演じた馬場ふみかと女子大生役の北村優衣、そして仁同正明監督が登壇して、その歓びを語った。
 


(詳細は以下の通りです)

――最初のご挨拶

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馬場:皆さん今晩は!舞台となった地で初日を迎えることって中々ないことなので、とても嬉しく思っております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

北村:今日は大阪で初日が迎えられてとても嬉しいです。上映前ということでお話できないこともありますが、皆さんと楽しい時間が過ごせたらいいなと思っております。

仁同監督:平日のお忙しい処をお越し頂いて嬉しいです。どうもありがとうございます。


――大阪が舞台の映画で初日を迎える率直な感想は?

馬場:大阪でも撮影した作品を一番最初に皆さんに観て頂いて、とても嬉しく思っております。

北村:実は私は大阪での撮影には来ていないので、こうして来られて嬉しいです。

仁同監督:18歳まで堺で育ちまして、監督になりたいと上京して、こうして監督作を持って舞台挨拶をさせて頂いてとても嬉しいですし、ありがたいと思っております。


copocopo-bu-240-kitamura-1.jpg――大阪の印象や想い出は?

馬場:大阪へはお仕事で何度か来る機会があったのですが、丁度1年前になるかな?この映画の撮影で来た時に、東京より街が元気な印象がありました。東京は常にせわしなく暗い感じがする時があるのですが、大阪はとても元気な感じがしました。まだ暗い内の早朝から自転車で街を走るシーンがあるので、そこを楽しみに観て頂ければいいなと思います。

北村:大阪へは観光で何度も来たことがあります。海遊館へも行ったことがありますが、ただただ食べてました。美味しい物が多いですからね。


――大阪が舞台のこの映画を作られた経緯は?

仁同監督:この作品は漫画が原作なので、出版社の編集者の方に「こういう本を作ったんだけど映画化とかできない?」と相談されたのが最初です。読んでみたら何とも言えない大阪独特の“カッコつけへんカッコ良さ”とか、あっけらかんと飄々とした大阪人ならではの雰囲気が出ていて、とても懐かしく、是非やりたいなぁと思いました。


copocopo-240-jindou-1.jpg――そういうお気持ちで撮影された訳ですが、撮影中何か気を付けられたことは?

仁同監督:撮影中の苦労というか、馬場さんも北村さんも大阪の人ではないので、北村さんは役柄上、標準語で話す関西風の人という感じだったので、まだそんなに心配することはなかったのですが、馬場さんは新潟出身でほぼ東京暮らしなので、大丈夫かな~と心配しました。他の役者さんも大阪弁を使う時には同じように課題になってくると思いますが、イントネーションとか大阪弁にばかり気を取られると、エモーショナルな演技が損なわれてしまうことになり兼ねないのですが、馬場さんは完全に大阪人のユリになりきって演じて下さいました。きっと馬場さんはそういう努力を見せないタイプの俳優さんだと思います。カッコいいなと思いましたよ。


――バリバリの大阪人・ユリを演じられた馬場さんは自身で気を付けられたことは?

馬場:普段周りに大阪弁で話す人はいるのですが、私自身は新潟出身ですし、お芝居でも大阪弁を喋ることもなかったので、「これはヤバい!」と思って沢山練習しました。共演者の皆さんは結構関西出身の方が多くてネイティブに話されるので、これはちゃんと話せるようにならなきゃと思いました。

――大阪の人間から見ても何の違和感もなくて、後から新潟出身と聞いてびっくりしたぐらいです。

馬場:ほんとですか~嬉しいです。クランクインする前に時間を掛けて練習しました。本作にも出演されている芦那すみれさんに付きっ切りで教えて頂きました。


copocopo-550.jpg――北村さんは何か気を付けられたことは?

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北村:私が演じた高橋という女子大生はアイドルみたいな存在だなと思ったので、どうにかこのイメージを壊さないようにしなきゃと思いました。コープの人とは違う風を運んでこられるように、キラキラしたアイドルを意識しました(笑)。

馬場:撮影現場に北村さんが初めて来られた時に、「うわぁ、アイドル来た!」って思いました(笑) 凄い!眩しい!ってね(笑)

北村:普段しない髪型やレトロな服装に助けられて、ニコっと笑えました(笑)。


――監督にとっても北村さんのアイドル感というものは問題なかったのでしょうか?

仁同監督:僕もアイドルに憧れて育ってきましたが、「アイドルって表に出ていない時ってどんなんやねん?」と思ってましたので、北村さんのお陰で、アイドルに変身する瞬間を見ることができたんです。凄いエネルギーでアイドルに変わっていったので、そこは凄かったですね。

――コープに住んでいる住人って濃い人たちばかりですので、北村さんが演じる高橋は爽やかな風のような存在ですよね?


――馬場さんは初めて脚本を呼んだ時の感想は?

馬場:とても面白かったです。あまり読んだことのない不思議な空気が流れている作品だと思いました。大阪の言葉が喋れないのに大丈夫かな?と思いつつも、作品自体が面白くて魅力的でしたので、是非やりたいなと思いました。


――クランクイン前に打ち合わせとかされたのですか?

馬場:監督から長いメールを頂きました。ユリについての設定というかプロファイルみたいなものをいっぱい送って頂いて、お陰でよく理解できました。

仁同監督:勿論原作もありますが、すべてが書かれている訳ではないので、想像したり編集者の人に聞いてみたりしてユリというキャラクターを創り上げていったんです。

――そういうことは他の俳優さんたちにもされていたんですか?

仁同監督:いいえ。ユリは主人公なのにあんまり喋らないしリアクションも控え目なキャラクターなんですよ。ですから、しっかりと人物像を準備しておかないと、存在感を示せないというかリアクションの意味が伝えられないと思ったので、僕も予習復習の意味も兼ねて馬場さんに長いメールで説明したんですよ。


copocopo-bu-240-baba&kitayama-1.jpg――本作を初めて観た時の感想は?

馬場:不思議でした!凄くゆっくりと時間が流れる映画だと思いました。

北村:あまり観たことのない映画でしたよね。でも、こういう映画を観たかったような…大きな波がある訳ではないけれど、生き様も表れていて、人間味あふれる愛おしさを感じるような映画だなと思いました。

馬場:撮影現場もそんな感じだったんです。現場って普通時間に追われてぴりぴりしているものですが、今回はとてもゆっくりと時間が流れていて、それだけ順調に撮影が進んでいたということもあるのですが、こういう作品は今までなかったなと思いましたね。


 

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――共演者とのエピソードは?

馬場:ず~っと喋ってました(笑)。そのまんまこのコープに住んでいるんじゃないかと思える程。実際、コープの脇にある駐輪場でみんなで輪になって喋ってました。

北村:笹野さんが凄いお喋りで(笑)、豆知識みないなものをいっぱい教えて下さって、とてもありがたかったです。


――監督から見た馬場さんと北村さんの魅力とは?

仁同監督:北村さんは、アイドル的な存在の高橋に変身する瞬間のエネルギーが凄かったですね。目つきや一挙手一投足とかに入れ込む情熱が強く、演じることがとても好きなんだなぁと思いました。

馬場さんは、言葉をはじめ衣装やヘアスタイルもユリになり切っておられて、カットになってもユリのまんまでしたね。一見何を考えているのか分からない役なので、「どんなこと考えてんだろう?」ともっと知りたくなってくるんですよ。観ている人をグッと惹き込ませる女優さんだなとずっと思ってました。

馬場:めっちゃ褒められましたね~(笑) 実際、ユリと近い部分が多いかなと…例えば、常に客観視できる目を持っているとか、他人に流されずに自分自身をしっかり持って生きているとか、私もそういう風になりたいなと思っています。

北村:馬場ふみかさんのいい気の抜け方がとても心地が良くて、お芝居する時も変な緊張をしないので、一緒に居てとてもやりやすかったですね。


copocopo-500-yuri-1.jpg――本作の注目点は?

馬場:ユリはコープで皆と一緒にいる時もそうですが、弟や母親と一緒にいる時に見せるユリの人間性にも注目してほしいです。

北村:高橋としては、石田君と二人きりになる時のドキドキ感が伝わってくれればいいなと思いますし、ユリちゃんと一緒に公園を散歩するシーンなど、違う世界の高橋がコープにどうしようもなく好奇心を抱くあたりにも注目してほしいです。

仁同監督:自分でも「この映画はどんな映画なんかな?」と問い続けてきましたが、やっぱり「囚われない生き方」ということではないかと思います。世間体とか収入のためとか、他人と比較するとか、良きにつけ悪きにつけうるさい世の中ですが、それらに囚われないで自分らしい生き方を貫く逞しさがこの映画の中には存分に描かれていると思います。そんなことを感じ取って頂けたら嬉しいですし、僕もそんな生き方をしていきたいなと思っています。


copocopo-500-2.jpg――最後のご挨拶

北村:私も大好きな映画が出来ました!このキャッチコピーにあるように、「世の中いろいろあるけど、まあいいか!」と思えるぐらい気の抜けた愛おしい人がいっぱい登場しますので、それらを楽しんで頂けたら嬉しいです。

馬場:初日に大阪に来られるのが幸せだなと。この映画にはどうしようもない人たちがいっぱい出てくるんですけど、それでも愛おしい気持ちになり、そして不思議な時間が流れる映画ですので、楽しんで頂ければ嬉しいなと思います。

仁同監督:観て頂いて、多分めちゃくちゃ感じて頂けることが多いのではないかと思います。自分で言うのも何ですが、いい映画なんでよろしくお願いします!
 



出演:馬場ふみか 東出昌大 倉悠貴 笹野高史 前田旺志郎 北村優衣 藤原しおり 片岡礼子
原作:岩浪れんじ 「コーポ・ア・コーポ」
監督:仁同正明
脚本:近藤一彦
主題歌:T字路s「愛おしい日々」(Left Brain Inc.Mix Nuts Records)
製作:ジーオーティー  制作プロダクション:アットムービー
配給:ギグリーボックス
2023 年/日本/97 分/ビスタサイズ/5,1ch/映倫区分:G

公式サイト:https://copo-movie.jp/

2023年11月17日(金)~TOHO シネマズ(梅田、二条、西宮OS他)、あべのアポロシネマ、 109シネマズHAT神戸 他全国ロードショー!


(河田 真喜子)

 
 
 

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◆日程:11月15日(水)18:30~19:00

◆会場:大阪ステーションシティシネマ 【シアター1】
(大阪府大阪市北区梅田 3-1-3 ノースゲートビル 11F)

◆登壇ゲスト:上野樹里さん、林遣都さん



rinjinX-pos.jpgもし、人間と同じ姿形をした他の惑星から来た難民Xがいたらどうするだろう?触れることで人間そっくりにコピーしてしまい、人間社会に紛れて生活をする。人と争わず傷付けることなく静かに生きる人間以上に優しい存在だという。だが、コロナ禍のパンデミックのように、誰かが感染しているのでは?と不安と恐怖で疑心暗鬼になって人間同士で攻撃し合う事態になり兼ねない。誰がXなのか? Xの正体を突き止めようと犯人捜しのように誰彼なく疑って見てしまう。そんな世の中にあって、ある崖っぷち状況の週刊誌の記物がⅩのスクープを獲ろうとターゲットの女性を騙して近付いていく。だが、次第に大切な何かを見失っていく自分に気付いて、本来為すべき行動をとっていく。


人間とは何か? 偏見や思い込みで他者を判断していないだろうか?日々不安を掻き立てられるような事が次々と起こる世の中で、何を信じて、何に拠り所を求めて生きていけばいいのだろうか?そんな不安な気持ちや自分自身のものの観方を改めて考えさせてくれるミステリーロマンス、『隣人X-疑惑の彼女-』がいよいよ12月1日(金)から全国公開される。Xの嫌疑を掛けられた主人公の柏木良子を演じた上野樹里と、崖っぷち週刊誌記者を演じた笹憲太郎を演じた林遣都が、公開を前にして開催された先行上映会の舞台挨拶に登壇。


二人とも厳しくも丁寧な演出で定評のある熊沢尚人監督とは2度目のコラボとなり、30代を迎えた俳優としての意欲を監督にぶつけては手応えを感じ取っていたようだ。そして、初共演となるお互いの魅力についても語ってくれた。
 


(詳細は以下の通りです。)

――最初のご挨拶

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上野:今日は週の真っ只中のお忙しい中お集り頂き誠にありがとうございます。今日は楽しんでいって下さい。

林:今日はお忙しい処をご来場下さいましてありがとうございます。(お二人とも関西出身ということもあり…)関西弁出ないね?

上野:出ないんですよ~。

林:今日は取材などで記者さんたちと話している時には関西弁が出ていたのに…僕も関西出身なのに人前で関西弁で話すのは無理ですね~(笑)


――今日は朝から大阪のマスコミ取材を受けられていましたが?

林:関西弁が出るのは僕にとってオフモードなんでしょうね、仕事時には出ないもんですね。

上野:大阪の記者の皆さんはしっかり作品を観てから楽しい質問をして下さって、今日はとても充実した時間を過ごすことができました。


――上野さんは加古川出身で加古川市の観光大使もされてますけど、大阪の思い出とか印象とかはありますか?

上野:そうですね~大阪は、長年CMをさせて頂いている大和ハウスの本社があるとか、以前大阪NHKで朝ドラに出演させて頂いたこととか…ユニバーサル・スタジオへは行ったことがありますよ。叔母と一緒だったのですが、叔母が乗り物酔いしちゃって支えるので精いっぱいで、ゾンビが襲って来てもそれどころじゃなくて、もうゾンビも追っかけて来ませんでした(笑)


rinjinX-bu-hayashi-240-1.jpg――林さんは大津市出身ですが、今回の作品では大津市での撮影が多かったようですね

林:はい、ほぼオール大津ロケです。

――ご家族の方も撮影を見に来られていたのですか?

林:良子さんと二人で歩くシーンで港が見える所があるのですが、そこは僕が学生の頃の悩める時期によく行っては自分自身と向き合っていた場所でして、実家からも近いので、今回も家族に撮影を見に来てもらっていました。まさかそこで上野樹里さんと一緒に歩ける日が来るとは…とても感慨深く、その日の撮影は素敵な一日となりました。


rinjinX-500-2.jpg――お二人は初共演ということですが?

上野:はい、そうです。林さんは今回、無精髭を生やした記者の役なんですが、それがとても大人の色気が出ていたように感じました。独りでひっそりと暮らしていた36歳の良子が笹という記者にどんどん距離を縮められていくのですが、ドキッとするシーンもあったので、林遣都さんのファンの方は、そんな林君にドキドキしながら映画を楽しん頂けると思います。

それと、林さんはとても真面目な方で、最初のリハーサルの時から凄い熱量で臨んでおられたので、この映画は絶対面白くなると思いました。この映画で共演できて、とてもいいタッグが組めたと思っています。


林:本当に上野樹里さんと出会えて良かったなと思います。撮影後も取材などで何度かお会いする機会があったのですが、毎回思う事は人間力が凄い方だということです。考え方とか生き方とかがお芝居に滲み出ていて、今の時代に必要な何かをお持ちの人だなと思います。映画の中の良子さんもそういう人なんですが、その良子さんを樹里さんが演じられたから良かったと心から思っています。皆さんもこれから映画を観て頂ければ、僕が言いたいことを分かって頂けると思います。


――この良子さん役は是非上野樹里さんにと熊沢尚人監督がオファーされた訳ですが、熊沢監督とは『虹の女神』(‘06)以来ですね?

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上野:はい、二十歳の頃に岩井俊二さんプロデュースの映画で熊沢監督とご一緒させて頂きました。でもその時は岩井さんも編集に携わっておられたので、今回のような熊沢監督・脚本・編集のような密な作業に携わったのは初めてです。17年ぶりですので、どれだけ成長した姿を見せられるのか?台本頂いた時にすぐに読んで、すぐに電話をしました。監督の電話番号も知らなかったので調べまくって掛けました。それから1年半をかけて良子という女性を創り上げていったのです。


――林さんも熊沢監督とは『ダイブ』(‘08)以来だそうですが?

林:当時、まだこの仕事を始めたばかりでしたので、とても厳しい監督という印象が強かったです。年を重ねていくと厳しく指導して下さる監督とは中々出会えないもので、今回お話を頂いた時には15年ぶりですが、今の自分を確認するためにも是非ご一緒したいなと思いました。愛情のある厳しさは全く変わってなくて、一つの役をやるにも丁寧に向き合って下さるし、足りてない部分があると細かい部分まで詰めて来て下さいました。『ダイブ』の時には若者が集まる青春映画だったので、熊沢監督のことを陰で“鬼沢”と呼んでいたくらいです(笑)ああ、思い出しましたね、“鬼沢の千本ノック”!でも、そうして追い込んで頂いたからこそ発揮できる表情や演技もあるので、今回15年ぶりにご一緒させて頂いて、いいことばかりでした。


――上野さんはキャラクターに合わせて衣装とか小物にこだわられたとか?

上野:脚本が徐々に形になっていくと、良子さんのシルエットやイメージも膨らんでいき、街中を歩いていても良子さんを探している自分がいました。髪型を変えてみたりアクセサリーや服でも自分の私物を使ったりしていました。実は良子さんと同じカーディガンを他の作品でも着ていたんですよ(笑) 監督とも相談しながら選んでいましたが、そこで意見がズレることもなかったので、良子さんのビジュアルや声のトーンなど、徐々に創り上げていきました。


rinjinX-500-1.jpg――上野さんは撮影中の住居も借りられたとか?

上野:本当は良子みたいにアパートを借りて住みたかったのですが、それはさすがに危ないだろうということで、プロデューサーからお許しが出ませんでした。そこで、マンスリーの家を借りて色々持ち込んで、仕事の帰りにスーパーに寄って自炊してました。ホテルに缶詰になるのは息苦しいので、そこで暮らすように過ごせたらと思って…。


――林さんは週刊誌記者の役だと聞いた時の感想は?

林:記者は身近なお仕事でもあるので、一度覗いてみたいな面白そうだなと思ってやらせて頂きました。笹という役はこの映画の目線としても描かれているように、笹が何かに気付いて変わっていくことはこの映画の大事な部分でもあるので、その役割をしっかり果たさないといけないなと思っていました。


rinjinX-500-4.jpg――この映画の注目点は?

上野:観終わった後、どこが印象的だったかをSNSとかでも話し合ってほしいですね。心の中って自分自身でもよく分からないし、偏見や何かしらのフィルターを通して物事を見ていることを、笹という人物を通して体感してほしいです。一度観て頂いて全部わかった上でもう一度、今度は良子の目線で観るとか、男性と女性の立場で見直すとかして頂いたら、また違った楽しみ方ができるのではないかと思います。


――上野さんはインスタライブでもこの作品について答えておられますが?

上野:はい、92分!皆さんに沢山の質問を寄せて頂きましたので、それに答えていきました。


――林さんの注目して欲しい点は?

林:やはり良子さんですね。彼女を始めとする登場人物は我々が無くしてはいけない大切なものを持っている人たちなんです。それぞれが大変な思いを抱えながら生きているのですが、そういう人たちに感じるものがとても大切なことで、怖い世の中ですが、日常の中に目を向けてみるとこんなにも素敵なことが散らばっていることに気付かされると思います。


rinjinX-500-3.jpg――最後のご挨拶

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林:これから名古屋へ行きます!(笑) 今回は大阪を満喫する時間がありませんが、またゆっくりと来たいと思います。最近僕もユニバーサル・スタジオへ行きまして、「ザ・フライング・ダイナソー」に乗りまして…あれは凄かった~!(笑) コロナ禍からしばらく経っても世の中まだまだ不安なことがいっぱいあります。この映画が身近にある素敵なことに目を向けるキッカケになればいいなと思います。それぞれの感想をSNSなどで発信して頂ければ嬉しいです。僕、探しますので! 今日はどうもありがとうございました。


上野:今日は公開前なのに観に来て下さいまして本当にありがとうございます!世の中目まぐるしくどんどん変わっていっています。勿論いい部分もありますが、惑わされたり自分の大切なものを見失ったりして、大切な人の心の中がどれだけ見えているのだろうとか、また耳を傾けて生きているのだろうかと考えてしまいます。生きていくだけも精いっぱいだし、生きていくためにはお金が必要だし、いろんなことに気を付けながら恐怖と向き合いつつ日々を重ねていきます。

コロナ禍で入学していろんな行事を楽しめないまま卒業していく高校生などを見ていると、この隣人Xのように世の中から孤立した存在というものがよく理解できると思います。私も一番忙しかった20代の頃にあらぬ記事を書かれて傷付いたことがいっぱいありました。人を楽しませたいという想いでやっているのに、それが報われない。でも、そういう時代を経たからこそ、この縦社会から離脱して生きている良子を今演じることができるのだろうし、笹という記者との関係性も20代の私にはよく理解できなかったでしょう。

そうしたパーソナルな部分にも注目して楽しんで頂きたいです。もっと素直に、何のフィルターもかけていない目で世の中を見ていくってどんな感じなんだろう?と、この映画を観て自分なりの想いを見つけて頂けたらいいなと思います。どうぞお楽しみ下さい。
 


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二転三転する真実、交錯する想いと葛藤―

予測不能なラストが待ち受ける、異色のミステリーロマンス

【STORY】

世界中に紛争のため故郷を追われた惑星難民Xが溢れ、日本にも既に潜入して来ているのではないかとパンデミック時のように疑心暗鬼になっていた。人間の姿をそっくりコピーして日常に紛れ込んだ X がどこで暮らしているのか、誰も知らない。X は誰なのか、彼らの目的は何なのか。犯人探しのように世間の関心を集める中、週刊誌記者の笹憲太郎(林遣都)は、ある事情を抱えながらも躍起になってXのスクープを追い掛けていた。そこで、取材対象の1人・柏木良子(上野樹里)にターゲットを絞り正体を偽って距離を縮めようとするが、次第に良子の人間性に惹かれていく…果たして良子はXなのか、嘘と謎だらけの関係性に人として向き合うべき信頼が揺らいでいく。

 

◆出演:上野樹里 林遣都 黃姵嘉 野村周平 川瀬陽太 / 嶋田久作 / 原日出子 バカリズム 酒向芳
◆監督・脚本・編集:熊澤尚人
◆原作:パリュスあや子「隣人 X」(講談社文庫)
◆音楽:成田旬
◆主題歌:chilldspot「キラーワード」(PONY CANYON / RECA Records)
◆製作:2023 映画「隣人 X 疑惑の彼女」製作委員会 (ハピネットファントム・スタジオ AMG エンタテインメント ポニーキャニオン 恆星多媒體股份有限公司 講談社 スカーレット)
◆配給:ハピネットファントム・スタジオ
◆2023 年/日本/120 分/カラー/シネスコ/5.1ch
◆©2023 映画「隣人 X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社

◆公式サイト:https://happinet-phantom.com/rinjinX/

2023年12月1日(金)~大阪ステーションシティシネマ 他全国ロードショー!


(河田 真喜子)

 

 
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 モニカ・ベルッチ主演の『アレックス』(2002)やシャルロット・ゲンズブール、ベアトリス・ダルを起用した『ルクス・エテルナ 永遠の光』(2020)など、大胆な暴力や性描写で、賛否両論を巻き起こしてきたギャスパー・ノエ監督の最新作、『VORTEX ヴォルテックス』が、12月8日(金)よりシネ・リーブル梅田、ユナイテッド・シネマ橿原、12月15日(金)よりシネ・リーブル神戸、アップリンク京都ほか全国順次公開される。
 認知症を患った妻と、心臓に持病を持つ夫。80代の老夫婦が老老介護をしながら暮らす日々を、その命が尽きる日まで追い続けるヒューマンドラマ。夫婦それぞれの行動を2つの画面で同時に追い続けるという驚きの手法で、老いや妻に隠した秘密、それぞれの人生を紐解いていく。たまに訪れる息子との会話は、親の介護世代には他人事とは思えないリアルさ見事に映し出しているのだ。
11月16日(木)、シネ・リーブル梅田で行われた先行プレミア上映では、上映前にギャスパー・ノエ監督が登壇。最初のご挨拶が「儲かってまっか?」と、必死で覚えた関西弁を披露。東京へは映画(『エンター・ザ・ボイド』)を撮影するぐらい何度も足を運んでいたが、周りから関西を絶対に気にいると推され続けていたというノエ監督。念願の観客との交流に大きな笑みを見せた。
 
 
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■実体験をもとに、老人が登場するメロドラマを

2年前のロックダウン中に、1ロケーションで完結し、俳優2〜3人という制限の中で作れる企画をプロデューサーから打診されたノエ監督は、母が認知症で10年前に亡くなっていたこともあり、認知症や老いについての映画を構想していたという。そこから10ページぐらいの脚本を書き、ロケーションを探し、1ヶ月後には撮影に入るというハイスピードで進行したことを明かした。もう一つのコンセプトはメロドラマ。
「暴力やセックスなど刺激的なものではなく、もっと大人らしいテーマで撮りたかった。2020年は個人的にも体調が悪く、ずっと家に引きこもっていたが、溝口監督や木下監督の映画をたくさん観ていたんです。中でも『楢山節考』に大きな影響を受けたことが、この映画につながっています。登場人物が若い人より、老人が出演している方がさまざまな人に共感してもらえます。誰にでも家族に祖父や祖母がいるでしょうし、観終わってから自分の家族のことを思い出したという感想もいただきました」
 
 
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■2画面構成で表現する老夫婦の心の距離

 本作の特徴はなんといっても、夫婦それぞれの動きを2画面構成で見せる点だ。過去2作品ですでにこの手法を使っていたというノエ監督は、脚本を書いた後、どうやって撮ろうかと考えたときに、2画面構成を使うことが一番適しているのではないかと考えたという。「同じ屋根の下に住んでいる老夫婦がどんどん離れていくという表現に的確。また、映画をよく観る人ではなくても、どういう感情を伝えようとしているのかわかります。2台のカメラで撮影しましたが、撮影しやすい場面もあれば、しにくい場面もありました。中盤に、夫と息子、妻と孫の4人がテーブルを囲むシーンがありますが、妻を演じるフランソワーズ・ルブラが僕の指示はないところで突然泣き始めると、夫を演じるダリオ・アルジェントが手をすっと取る姿を2台のカメラで撮影したのです。分割されているので、微妙に手の位置がずれていて、そのシーンのことを褒められることもありますが、アクシデントで撮れたシーンでした」
 
また本作はドキュメンタリーっぽいという感想も多いそうで、ノエ監督は、自然光を使っていることや、シチュエーションを説明し、その中で俳優が即興でキャラクターを作るからこそ生まれる自然さもあったことを明かした。
「ダリオ・アルジェントは『サスペリア』や『インフェルノ』などで非常に有名な映画監督ですが、ぜんぶ即興で、セットの上でキャラクターを作り上げていくので、セリフを覚えられないなど気にしなくてもいいと、この役を演じてもらうように説得しました。老人が自分の飼ってる犬の世話をできなくなるダリオと僕が好きな映画『ウンベルト・D』(1952)や、黒澤監督の『生きる』などを引き合いに出し、俳優でなくても演技はできると。実際の演技は素晴らしかった」と絶賛。
 
 
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■現場はアドリブの競い合い!?

現場ではダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、そして息子役のアレックス・ルッツダリオの3人とも、自分の方のアドリブがよいとお互いに競争しながら作っていたという。コロナ中の撮影でうつらないようにという緊張感があったというノエ監督。
「ダリオは、自分が撮影するときも2〜3テイク以上は絶対に撮らない。僕がもっと撮りたくても、2〜3テイクで完璧だからと去ってしまい、それ以上は撮れなかったんです。彼は
実際に映画監督になる前は映画評論家でしたし、実際にフランスに住んでいたことがあるので、フランス語も堪能でうまく役を演じていました。加えて、フランソワーズは70年代に公開された主演作『ママと娼婦』の大ファンで、妻役をぜひとオファーしました」
 
 大阪では大好きな映画ポスターを買いに行きたいと語ったノエ監督。最後に「ぜひ泣いてくださいね。そして楽しんでください」と観客にメッセージを送り、上映後にもふれあいタイムを作ることを自ら公言。初大阪舞台挨拶を大いに楽しみ、語ってくださった。誰しもが通る老いと死を見つめたノエ監督のまさに新境地と言える作品は、親世代、子世代、孫世代とさまざまな世代に共感をよび、自分の人生と照らし合わせたくなることだろう。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『VORTEX ヴォルテックス』” VORTEX”
2021年 フランス 148分 
監督・脚本・編集:ギャスパー・ノエ
出演:ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ
劇場:12月8日(金)よりシネ・リーブル梅田、ユナイテッド・シネマ橿原、12月15日(金)よりシネ・リーブル神戸、アップリンク京都ほか全国順次公開
© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – LES CINEMAS DE LA ZONE - KNM – ARTEMIS PRODUCTIONS – SRAB FILMS – LES FILMS VELVET – KALLOUCHE CINEMA
 
 
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水上恒司、筋トレで落ち込む倉悠貴を見て「優越感に浸ってました」『OUT』特別上映会 in 大阪(2023.11.4なんばパークスシネマ)
登壇者:倉悠貴、水上恒司、品川ヒロシ監督 
 
累計発行部数650万部を突破するヤンキー漫画「OUT」が、『ドロップ』で大ヒットを打ち出した品川ヒロシによる監督・脚本で実写映画化される。11月17日(金)からの全国ロードショーに先立ち11月4日(土)、なんばパークスシネマで行われた映画『OUT』の特別上映会では、上映後に井口達也役の倉悠貴、副総長・安倍要役の水上恒司、品川ヒロシ監督が登壇した。
 
地元大阪での舞台挨拶に緊張の面持ちで挨拶をし、「大阪のお客さんはあったかいですね」とほっこりする倉悠貴。そのあとで水上恒司が、「緊張している倉くんの隣だと緊張がほぐれます」と挨拶すれば、品川ヒロシ監督は短く刈り込んだヘアスタイルで「JO1の品川です」と挨拶し、水上と品川監督が倉に愛あるツッコミを入れる、笑いの絶えない舞台挨拶となった。その模様をご紹介したい。
 

 

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―――倉さんと水上さんの共演ははじめて?
倉:初対面でご挨拶したときは水上さんの腰が引くかったのに、どんどん態度が大きくなっていって。(映画で演じた副総長の)要みたいな感じで接してくるのでちょっと怖い(笑)
 
水上:彼にはそれぐらいの接し方がちょうどいいんです。撮影中には僕にとってそれが(演じる)ヒントになればいいと思ったし、ちょっとでも倉さんのヒントになればと思って、心地よくいじめていました。
 
倉:終わってもずっと同じ態度なので、怖いです。取材では(水上さんが自分のことを)嫌いと言われますけど。
 
水上:嫌い、嫌いも好きのうちです。
 
品川:いつもこんな感じです。水上くんがなんか言うと、倉がなんかブツブツ言っている。今日も倉が「人が少ないから、前よりはしゃべれるな・・・」とか、「緊張してきた・・・」と言うので、「緊張しないで!」という感じで接していますね。
 
倉:東京のパパみたいな感じで、家が近所なので遊びに行かせてもらっていますし、品川さんに対しては緊張しなくなりました。
 
品川:トボトボと現れて、トボトボと去っていくんだよね(笑)
 
 

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―――アクションの迫力がすごかったですね。
倉:今まで全く鍛えたことなかったので体を作るところからはじめたのですが、品川さんが一緒にジムに通ってくれたんです。ほぼ毎日、メニューを組んでもらいました。他のみんなも聞きつけて、大勢で通っていましたね。
 
水上:品川ブラザーズみたいな感じで(みんなで)ウェーっと声を上げらながらやっているんですよ。そういうのを見て、なんか可笑しいなと思っていました。
 
品川:おれと水上くんより重量が軽いのを持ち上げるけれど「こんなの持てないよ」と。
僕がアメ、水上くんがムチという感じでフォローしていました。
 
水上:落ち込んでいた倉くんを見ながら、優越感に浸ってました(笑)
 
―――実際にアクションシーンを演じるのは大変でしたか?
倉:やるしかないので、反復練習をしていました。必死になって毎日、みんなに負けないようにやっていました。
 
品川:アクションといいつつお芝居だから、高度なことをやっているけれど、気持ちを入れて芝居から入っていけばやっていけるよと、アドバイスしていましたね。
 
水上:キャンペーンが始まってから、品川さんやアクション監督らの鼎談を読んだのですが、アクションをただの形ではなく、なんで殴るのだろうとか、殴った人しかわからない痛みや、殴られたときの怒りを込めたと書かれていたんです。そして、それは暴力を肯定したくなかったからだと。それを知って、こういう座組でやれてよかったと思いました。
 

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―――アクションシーンではどんな指示を出したのですか?
品川:絶対にパンチが当たっているように見せたかったので、それを研究し、痛さが見えるように、頑張ってつくりました。ハリウッドだと全てCGだけど、ちょっとアナログ、半分CGというのを頑張って考えたので、具体的なやり方は教えたくない。続編ができたら、もっとすごいことを考えたいと思います。
 
―――品川組はいつもこんな(和やかな)雰囲気ですか?
品川:若い子が集まる現場なので、僕もできるだけみんなと同い年ぐらいの気持ちでいたいという思いで、一緒にいましたね。
 
倉:いい緊張感を持ちながらも、部活みたいな感じ。ライバル心もあるし、友情もある。
みんな同世代で、あいつには負けたくないという気持ちがありながらやっていたんじゃないかと思います。
 
水上:僕自身が同世代の方々と作品を通して一緒にやる作品が少なかったので、同級生の倉さんと一緒に演技をできた時間が貴重でした。
 
―――最後に、メッセージをお願いします。
倉:続編をできるように広がっていけばいいなと思っています。面白い映画なので、どんどん広げてくれたらうれしいなと思います。
 
水上:みなさん、焼肉食べたいでしょ?MTKG(明太子卵かけご飯)があるかわからないけれど、「情熱ホルモン」にぜひ行ってください
 
品川:セリフも冗談っぽく言っていることが後々になって絡んできたり、何度か見ていると気づくところもあると思います。この後漫画を読んでいただき、合わせて楽しんでいただけると嬉しいです。
 
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※フォトセッションごに品川監督が舞台上で倉さん、水上さんと自撮り後のリラックスしたオフショット
 
(江口由美)
 

<作品情報>
『OUT』
(2023年 日本 101分)
監督・脚本:品川ヒロシ 
原作:井口達也/みずたまこと『OUT』(秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊)
出演:倉 悠貴 醍醐虎汰朗 与田祐希(乃木坂46) ⽔上恒司
與那城 奨(JO1) ⼤平祥⽣(JO1) ⾦城碧海(JO1)
 小柳 心 久遠 親 山崎竜太郎 宮澤 佑 長田拓郎 仲野 温
じろう(シソンヌ) 大悟(千鳥)   庄司智春(品川庄司)/渡辺満里奈 杉本哲太 
11月17日(金)よりなんばパークスシネマ他全国ロードショー
 

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今では日本産メガネの95%を生産している福井県ですが、明治時代にこのメガネ産業をゼロから立ち上げた兄弟がいました。豪雪地帯のため冬は農作業ができず、収入の道がなくなる村の状況を変えようと奮闘したのが、増永五左衛門(小泉孝太郎)と幸八(森崎ウィン)の兄弟です。そして、その二人を信じて支え、見守り続けた五左衛門の妻・むめ(北乃きい)を主人公に、挑戦と情熱、家族の愛の物語を描いたのが、映画『おしょりん』です。10月20日(金)より福井県で先行公開されるや、登場人物たちの熱い情熱に満ちたストーリー展開に涙する観客が続出!満を持して11月3日(金・祝)より角川シネマ有楽町ほかにて全国公開となります!


oshorin-pos.jpg全国公開の初日となる11月3日(金・祝)、本作の主演の北乃きい、共演の森崎ウィン、小泉孝太郎、そして監督の児玉宜久が登壇の公開記念舞台挨拶を実施致しました。


熱く感動するストーリー展開は勿論、もうひとつの見どころとして話題になっているポイントが、本編の中での北乃きいと森崎ウィンと小泉孝太郎の純潔な恋模様。成功物語とは別の一面が、本編の冒頭からラストまで貫かれており、三人が互いを心から思い合う姿に、女性客を中心に共感の声が多数届いており、その撮影裏側や撮影エピソードまで、たっぷりお話いただきました! またそれぞれに今後挑戦したいことなどを語っていただき、会場は大盛り上がり!
 


◆日程:11月3日(金・祝)

◆会場:ユナイテッド・シネマ豊洲(江東区豊洲2-4-9 三井ショッピングパーク アーバンドック ららぽーと豊洲 内)

◆登壇者:北乃きい、森崎ウィン、小泉孝太郎、児玉宜久監督(敬称略)



人生を懸けてメガネ作りに挑んだ人々の情熱と愛の物語『おしょりん』が、ついに全国公開。11月3日には都内映画館で公開記念舞台挨拶が実施され、主演の北乃きい、共演の森崎ウィン、小泉孝太郎、そして児玉宜久監督が出席した。


oshorin-bu-11.3-kitano-240-3.jpg明治時代に麻生津村で眼鏡産業の礎を築いた増永五左衛門(小泉)、幸八(森崎)兄弟の挑戦と、2人を支え続けた五左衛門の妻・むめ(北乃)の姿を描く本作。物語の舞台・福井県での満席スタートから早2週間が経つが、監督&キャスト陣も福井県での舞台挨拶に参加した。


福井県での盛り上がりを目の当たりにした小泉は「映画館の中も外も熱気が凄かった。この映画はオール福井ロケなので、福井県の方々の協力がなければできませんでした」と現地の熱狂を報告。森崎は「観客の歓声が大きくて、僕らの声が通らなかった…いや、ちょっと話を盛りすぎか?」と笑いつつも大ヒットに嬉しそう。北乃は「自分でお土産を買わなくていいくらいたくさんの名産品をいただいた。帰りは荷物がパンパンで」と福井県民の愛に感謝。児玉監督は「福井をこのように映してくれてありがとうという言葉をいただきました」としみじみしていた。

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夫婦や兄弟という関係に加え、淡い恋心も交錯するむめ、幸八、五左衛門のプラトニックな三角関係も本作の見どころ。この関係性に小泉は「一歩間違えればドロドロ!」と笑わせつつ「そうはならずに美しい三角関係を絶妙に捉えてくれた児玉監督には感謝です」と手応え。北乃は撮影中の森崎&小泉の様子について「カメラが回っていないところでも役柄のままでいらしたのでやりやすかった」と言うと、森崎から「今も横にいる小泉さんを見てないね!」という指摘が。


 

 

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というのも北乃にとって小泉は、同じ横須賀出身の大先輩だからだ。北乃が「地元が同じだし、子どもの頃から見ているので…。しかも小泉(純一郎)さんの息子と言ったら…。今でもちょっと緊張する」と地元の名士的大先輩への尊敬の念を口にすると、無邪気な森崎は「急に縦社会感ハンパないね!立ち位置交換しようか?」と恐縮する北乃を面白がっていた。当の小泉は、撮影中はあえて距離を取っていたと明かし「増永五左衛門は明治時代の亭主関白な男を絵に描いたようなキャラクターなので、撮影中は距離があってもいいのかなと。それが今のきいちゃんのコメントに繋がったと思う」と苦笑いだった。


<挑戦と情熱>を描いた作品にちなんで、これから挑戦したいことをそれぞれ発表。森崎は「ミュージカル映画を撮りたい。ただし最初から監督を務めるのは難しいと思うのでプロデューサーとか?ミュージカル映画を製作する過程から携わりたい」と意外な夢を明かすと、北乃は「私はミュージカル映画に出たい。日本だとミュージカル舞台はあるけれど、映画が少ないので、いつも“映画で出来ればいいのに”と思っていたので」と返答。これに森崎が「マジで!?」と喜ぶと、北乃は「老婆Aでもいいから出たい」と公開ラブコールで、森崎を「わかりました!」とやる気にさせていた。


一方の小泉は「僕はゴルフが好きで、今年ベストスコアで76が出た。80台とは違う景色があったのでもっと先を見てみたい。パープレイが夢。全部パーに挑戦したい」と具体的な挑戦を明かしていた。


最後に主演の北乃は『おしょりん』について「私たちが全力で撮影に挑んで、沢山のメッセージを込めて出来上がった映画です。撮影地・福井県も素敵なところなので、福井に行ってみたいと思ってもらえたら嬉しいです。一人でも多くの方に『おしょりん』を広めてください」と全国での大ヒットを祈願していた
 


<ストーリー>

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時は明治37年、福井県足羽郡麻生津村(現・福井市麻生津)の庄屋の長男・増永五左衛門(小泉孝太郎)と結婚したむめ(北乃きい)は、育児と家事で忙しい日々を送っていた。ある日、五左衛門の弟の幸八(森崎ウィン)が勤め先の大阪から帰郷し、村をあげてメガネ作りに取り組まないかと持ち掛ける。今はほとんど知られていないメガネだが、活字文化の普及で必ずや必需品になるというのだ。成功すれば、冬は収穫のない農家の人々の暮らしを助けることができる。初めは反対していたが、視力の弱い子供がメガネをかけて大喜びする姿を見て、挑戦を決めた五左衛門は、村の人々を集めて工場を開く。


だが、苦労の末に仕上げたメガネが「売り物にならない」と卸問屋に突き返され、資金難から銀行の融資を受けるも厳しく返済を迫られ、兄弟は幾度となく挫折する。そんな二人を信じ、支え続けたのが、決して夢を諦めない強い心を持つむめだった。彼女に励まされた兄弟と職人たちは、“最後の賭け”に打って出る──。


<作品情報>

出演:北乃きい 森崎ウィン 駿河太郎 高橋愛 秋田汐梨 磯野貴理子 津田寛治 榎木孝明 東てる美 佐野史郎 かたせ梨乃 小泉孝太郎
監督:児玉宜久 原作:藤岡陽子「おしょりん」(ポプラ社)
脚本:関えり香 児玉宜久 
エンディング曲:MORISAKI WIN「Dear」(日本コロムビア)
製作総指揮:新道忠志 プロデューサー:河合広栄
ラインプロデューサー:川口浩史 
撮影:岸本正人 
美術:黒瀧きみえ 装飾:鈴村高正 衣装:田中洋子 
制作プロダクション:広栄 トロッコフィルム 
配給:KADOKAWA 製作:「おしょりん」制作委員会
©「おしょりん」制作委員会
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/oshorin/


(オフィシャル・レポートより)
 
 

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日時:2023年10月29日(日)18:30~(上映前)

場所:大阪ステーションシティシネマ(大阪市北区 3-1-3 ノースゲートビルディング 11F)

ゲスト:竹野内豊、山田孝之、桃果、武田玲奈、石橋義正監督



森の中で出会った妖艶な六人の女たち――森の精の化身なのか?

人間の欲望も狂気もすべてを覆い尽くす自然のチカラ

 

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神秘的な深い森に迷い込んだ二人の男が出会うもの言わぬ6人の女たち。二人の男の本性が露呈されるにつれ、女たちの使命もまた明るみになっていく……森に生かされている人間と自然の共生の重要性をテーマに、奈良・京都・大阪で撮影された映画『唄う六人の女』が10月27日(金)より全国公開された。『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』以来12ぶりの共演となる竹野内豊と山田孝之がW主演となる本作の公開を記念した舞台挨拶が大阪で開催され、W主演の二人のほか石橋義正監督と 6 人の女のうち、“見つめる女”役の桃果と“包み込む女”役の武田玲奈が登壇し、それぞれの作品にかける想いを語った。


山田孝之の異質な演技力を高く評価した竹野内豊は、固定観念を排除して“心の3D”で感じながら観てほしいと語り、近くにいるだけ和む存在の竹野内豊を遠目で見ていたという山田孝之は、よく喋る水川あさみの騒音にもめげず集中して頑張った自分の演技を見てほしいと語った。純粋無垢という役柄を受難を恐れるのではなく「なんでかな?」と不思議そうに思う演技で表現した桃果。竹野内豊が演じる萱島の恋人と森の中の“包み込む女”の二役を演じた武田玲奈は、細部までこだわった衣装や美術のチカラで切り替えができたと語った。そして、貴重な原生林の中で撮影できたことに感謝しつつ、多才な出演者たちの素晴らしいパフォーマンスにも感謝しているという石橋義正監督は、この映画を観て「自然と人間の共生」の重要性を未来に繋げられるような気運になることを期待していると、作品に懸ける想いを語った。


(舞台挨拶付き特別上映会のチケットは即完売となり、注目の高さが窺える。)


(詳細は以下の通りです。)

――最初のご挨拶。

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竹野内:本日はどうもありがとうございます。ようやく公開されました。石橋監督が数年掛かりで作った作品です。是非最後まで楽しん頂けたらと思います。

山田:宇和島役の山田孝之です。東京で2度舞台挨拶をしてから奈良へ移動して、今日奈良で舞台挨拶をして大阪にやってきました。全ての会場が満席となり多くの方に観て頂けて本当に嬉しいです。今日は機嫌がいいです!(笑)

桃果:見つめる女役を演じました桃果です。今日は沢山の方に来て頂いて本当に嬉しいです。本日はよろしくお願いします。

武田:包み込む女役の武田玲奈です。撮影をしました関西に戻って来れて嬉しいです。本日はよろしくお願いします。

石橋監督:この映画を監督しました石橋義正です。私は京都生まれで京都在住でして、関西でこの映画を撮れて、本日こうして沢山の関西の皆さんに観て頂けることを本当に嬉しく思っております。


――竹野内さんと山田さんは久しぶりの共演ですね?

竹野内:もう十数年前になりますが、戦争映画(『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』2011)で山田君と共演しまして、その時から異質な空気感が…

山田:スっと言うんですね、奈良とかでは凄く言葉を選ばれてたんですが…(笑)

竹野内:彼が内に秘めているものが他の同世代の俳優さんたちとは違うなと感じながら見てました。その時の役も今回もそうですが、あまりプライベートで仲良く話をする雰囲気の役でもないので、別に仲が悪い訳ではないのですが(笑)、素晴らし役者さんだなと思って見てました。

山田:(そう言われて)嬉しいですね。竹野内さんは多くを語られる方ではないので、雑談するという訳ではないのですが、異質なほど穏やかで大らかな方なので、近くに居るだけで、見ているだけで勝手に和むようで、いつも遠目で見ています(笑)。


――このお二人をキャスティングされた理由は?

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石橋監督:観て頂いたらお分かりだと思いますが、お二人とも萱島と宇和島という役柄にピッタシに演じて下さると信じていました。期待以上のパフォーマンスを見せて頂いて、今ではこのお二人以外考えられないですね。


――竹野内さんは石橋監督からオファーがあったらいいなと思っておられたとか?

竹野内:山田さんが主演された石橋監督の『ミロクローゼ』という作品を観て、とても独創的で面白かったんですよね。自分はこういう作品を作る監督とは縁が無いだろうなと思っていたら数年後にお声掛け頂いて、新たな自分が発見できるかもとワクワクして、とても光栄に思いました。お声掛け頂きどうもありがとうございました。(と石橋監督にお礼を)

石橋監督:こちらこそありがとうございます。今回の作品は『ミロクローゼ』のような歌やダンスやアクションはなかったので申し訳なかったですね。是非踊ったりしてもらいたかったです(笑)。

山田:石橋監督はすごくダンス上手いんですよ。あの作品では10㎝位のヒールのある靴で踊らなきゃいけなくてとても難しかったんですが、監督が「こうやるんだよ」とお手本見せて下さって、それがメチャクチャ上手くて…(監督の方を見て)すごく綺麗ですよね?

石橋監督:そうですね(笑)ダンスの経験は全くないのですが、踊るのは好きですね。


――このお二人を森の中で翻弄していく6人の女たちの内、今日はお二人に来て頂いてますが、役名が無いのですが、どういう役なんでしょう?

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桃果:「見つめる女」は、6人の女たちの中で一番純粋で無垢な少女や子供のような役なんです。山田さんが演じられる宇和島に何か悪いことをされそうになる時も、恐怖心よりもこの人は自分に関心があるのかなという無垢な気持ちで演じました。

――武田さんは二つの役を演じておられましたが、大変だったのでは?

武田:そうですねぇ、場所が全く違ったり、衣装も全く違う物でしたので…特に衣装は6人の女たちそれぞれに合わせて細部にまでこだわって作られてましたので、衣装のチカラに助けられて役の切り替えもスムーズにできました。


――この作品のテーマ性について?

石橋監督:今回の作品は「自然との共生」がテーマとなっています。人間が生きていく上での欲望や自分たちの都合を否定する訳ではなく、そうした人間らしさを持ちながらもどうやって自然と共生していけるのかをテーマにしています。この映画を観て一緒に考えて頂き、未来に繋げていけたらいいなという想いで作りました。


utau6-main-550.jpg――森の中のシーンについて?

石橋監督:森の中のシーンは主に京都府南丹市美山町にある「芦生(あしう)の森」で撮影しました。そこは京都大学が管理している原生林に限りなく近い森でして、貴重な動植物も多くて簡単に入れる所ではなかったんです。去年の夏頃、初めてガイドさんに連れて行ってもらった時、とても美しかったんです!

単に目で見て美しいだけではなく、体で感じて感動する美しさだったんです。今自分が感じているこの感動を何とか映像で表現できないかと…単純に綺麗な森を撮影するだけなら近くの人工林でスモーク焚いて幻想的に見せることはできるのですが、そこで撮影することに本当の意味があるのではないかと思ったんです。スタッフやキャストが実際そこへ行って、自分たちの役割で感じたことを体現してもらえることが大事なことだと考えました。

でも、それには厳しい条件がありましたが、何とか許可を頂けて本当にありがたく思っております。


utau6-sub1-takenouchi-500-1.jpg――この映画の注目ポイントについて?

竹野内:この映画には多くの俳優さんが出演してますが、それまでの固定概念は捨てて“心の3Dメガネ”でもって、映画の世界に集中して心で観て頂きたいです。

石橋監督:“心の3Dメガネ”、いい表現ですねぇ。映画を観るというよりも、心で観て頂きたい。特に、このような大きな劇場で、サウンドも細部まで鮮明に聴こえるように編集しておりますので、是非心で体感して頂けたらいいなと思います。

山田:6人の女が登場しますが、セリフがなくてそれぞれ意味のある役柄を表現しています。エンドロールまで見て頂ければ彼女らが表現している意味が判るのですが、セリフなしで表現するってとても難しいことなんです。でも、それより難しかったのは、今日は来ておりませんが、22年来の旧知でもある水川あさみ、これがよく喋る人で、今回は特にセリフ無しということで溜まっていたのか空き時間にうるさくて仕方ない状況の中で、僕が如何に集中して芝居をしたか!に注目して観て頂きたいです。よく頑張ったなと(笑)

武田:衣装、小道具も細部までこだわっていて、撮影中も興味深く観ておりました。

桃果:宇和島の悪い部分と萱島の優しさ、悪と善という人間が本来持っているものも映画の中で表現されていると思います。人それぞれ捉え方は違うと思いますので、観終わった後に色々語り合ってほしいですね。


――最後のご挨拶。

竹野内:感覚的で捉え方が難しい部分もあるかと思いますが、コロナ禍以降、人生について自分と向き合うことも多くなる中、石橋監督がこの映画に込めたメッセージはご覧になられる方の心の奥深くまで届くと思います。是非心で観て頂きたいです。

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山田:なぜ今このメンバーでこの映画が作れたのか、言葉ではうまく説明できないのですが、きっと意味があるものだと思っています。映像や音楽もとても美しく、単純に芸術作品としても楽しめると思います。それと、山田孝之は芝居が巧い!(笑)こんな人ではないのによくこんな役ができるな!しかも現場では水川あさみのあのうるさい中でよく集中できるな、凄いわ~!#山田孝之凄い!ということでもいいのかも知れません(笑)。それでは皆さん、その一部始終をお楽しみ下さい!

(大拍手が沸き起こる中、…)

石橋監督:まだ私の挨拶がありますんで…(笑)。皆さん色々語って頂きましたが、キャストの皆さんは素晴らしいパフォーマンスを発揮して下さいました。それもこれもこの作品に愛情を持って下さったお陰だと思います。本当にありがとうございました!先ずはそれをお楽しみ頂きたいです。

それから、撮影にご協力下さった「芦生の森」の理事長からメッセージを頂きまして、「自分たち自身もこの映画を観て気付いたことがある。(森のシーンは一切CG加工をしていない)毎日美しいと感じている森のありのままの姿が映し出されており、改めて森の力強さを感じた。これを未来に繋げていかなければならない!」という感想にとても感激いたしました。

私もこの映画ですぐに何とかなる訳でもないでしょうが、どうやって人間と自然が共生していけるのかどうか、みんなで考えていきたいです。そして、それを未来に繋げていきたいという気持ちでこの映画を作りましたので、皆様も心に引っ掛かるものがございましたら、是非一人でも多くの方に伝えて頂いて、議論のキッカケになればいいなと思っております。本日はどうもありがとうございました。
 


『唄う六人の女』

【STORY】

長年音信不通だった父親死亡の報せを受けた写真家の萱島森一郎(竹之内豊)は久しぶりに生まれ故郷に戻ってくる。そこで不動産屋の宇和島凌(山田孝之)と土地売買の手続きを行い、その帰り宇和島が運転する車で事故に遭う。気が付くと、宇和島と共に美しい妖艶な女たちの家に囚われの身となっていた。横柄で乱暴な宇和島と共に深い森を逃げ惑う中、次第に甦る子供の頃の記憶。そこには、父の姿と不思議な女の姿があった…この森から逃げ出すことはできるのか?

(2023年 日本 112分)
監督・脚本:石橋義正
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈、竹中直人
制作協力:and pictures
配給:ナカチカピクチャーズ/パルコ
(C) 2023「唄う六人の女」製作委員会
公式サイト:https://www.six-singing-women.jp/

2023年10月27日(金)~全国のTOHOシネマズ系、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ OSシネマズ神戸ハーバーランド 他全国公開中


(河田 真喜子)

 

 
 
 
 
 

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【日時】10月28日(土) 舞台挨拶/1154

【場所】新宿シネマカリテ(新宿区新宿3-37-12 新宿NOWAビルB1F)

【登壇者】倉悠貴、芋生悠、前田弘二監督 



変わり者のトワと、変わり者の園子。二人にしか分からない世界。

二人にしか分からなくていい関係を作り出すラブストーリー。


『まともじゃないのは君も一緒』の監督・前田弘二と脚本・高田亮が贈る〈おかしな二人の物語〉第二弾『こいびとのみつけかた』が、いよいよ全国公開いたしました。


koibitonomitukekata-pos.jpgコンビニで働く女の人・園子に片想いをしている植木屋でトワは、毎日植木屋で働きながら、彼女がどんな人か想像している。なんとか話したいと思った彼がついに思いついたのは、木の葉をコンビニの前から自分がいる場所まで並べて、彼女を誘うことだった。二人は言葉を交わすようになり、周囲にはよく理解できない会話で仲を深めていくのだが、園子にはトワにうまく言い出せないことがあり…。
 

世の中に馴染めない、ちょっぴりエキセントリックな2人が繰り広げる、〈可笑しくピュア〉なラブストーリー。


世の中の〈普通〉に馴染めない、おかしな二人のおかしな会話の応酬で繰り広げる『まともじゃないのは君も一緒』の監督・前⽥弘⼆×脚本・⾼⽥亮コンビの最新作。主演に『夏、至るころ』(20)、『OUT』(23)と主演作が続く倉悠貴、ヒロインに『ソワレ』(20)、『ひらいて』(21)の芋生悠を迎え、成田凌、宇野祥平らが脇を固める。また、川瀬陽太、奥野瑛太、高田里穂、松井愛莉らも名を連ねる。
 

 



映画『こいびとのみつけかた』の公開を記念して10月28日(土)、東京・新宿のシネマカリテにて舞台挨拶が行われ、出演者の倉悠貴と芋生悠、前田弘二監督が登壇した。

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“世になじめない、ちょっと変わった”男女の姿を描いた『まともじゃないのは君も一緒』に続く、前田監督と脚本家・高田亮のコンビによる本作だが、前田監督は「『まともじゃないのは――』が出来上がって、高田さんと初めて一緒に見た時、『次、どうしようか…?』という感じで、おかしな2人の話をもう1回、メロドラマというかラブストーリーみたいな形でやってみたいなと思いました。『まともじゃないのは――』が2人の掛け合いの映画だったので、もう少ししっとりした感じの話ができないかと」と本作の着想の経緯を明かす。


koibitonomitukekata-500-1.jpgその言葉通り、本作のオープニングではわざわざ「これはメロドラマである」という宣言(?)が映し出される。倉さんは「僕はメロドラマが何なのかよくわかんなかったけど(笑)、あそこまで定義されたので『あぁ、メロドラマなんだな…』と思いながら見ました。もちろん、恋愛話ではあるけど、僕としては人間の生き方を描いたヒューマンドラマなんじゃないかと思いました。僕のメロドラマデビューがこれなので、これがメロドラマなんだなと(笑)」と語り、芋生さんも「私もメロドラマがちょっとよくわかってなくて(笑)、これを見て『メロドラマってこれなんだ!』と思いました」と率直な思いを口にする。


前田監督はこのメロドラマ宣言が当初から台本に書かれていたことを明かしつつ、その真意について「(普通のメロドラマは)こういう2人ではないというか、あんまり変わった2人じゃない話が多いですが、ある種のギャグというか『これのどこがメロドラマだ?』と思わせておいて、最終的にメロドラマになっていく――どこかヘンテコだけど、そこに着地していくのが面白いなと思いました」と語る。ちなみに、タイトルを全てひらがなにした意図についても前田監督は「漢字を入れると洋画のロマンチックコメディの邦題みたいだなと思って、それはキライじゃないんですけど、ちょっとひねってみました」と説明。芋生さんは「わかります!」と納得した様子で深く頷いていた。


koibitonomitukekata-500-2.jpg劇中、倉さん演じるトワが、黄色く色づいた葉っぱを道に並べていくシーンが印象的だが、倉さんは「僕もあのシーンは好きです!」と明かしつつ「並べる時に、間違えたことがあって…。(まとめて葉っぱを並べるのではなく)いちいち丁寧に(1枚ずつしゃがんで)置くというやり方をしてしまって、しんどかったです。ハードな1日でした(苦笑)」と撮影での苦労を明かしたが、前田監督は「それが良かったです」と語り、芋生さんも「あの姿、あのほうが絶対に良いです!」と同意。このシーンは初日に撮影され、風で葉っぱが飛んでしまうことが心配されたが、前田監督は「奇跡的に無風だったんです。8日間の撮影でしたが、天候に恵まれました」とニッコリ。ちなみに、葉っぱは前田監督が自ら拾ってきたものだそうで「すぐに色が変わってしまうので、当日の採れたてじゃないとダメで、朝早く起きて、懐中電灯を持って近くの神社で集めました」と明かした。


園子を演じた芋生さんは、お気に入りのシーンとして、トワと園子が公園で餃子とケーキを食べるシーンを挙げ「2人の空気感が、誰も入れない感じがあって、無言でも全然いい! ただ食べているだけでいい! という感じが好きです。あの日は、すごく良い陽気で、公園が気持ちよくて、2人とも風を感じたり、日が暮れてきて『気持ちいいな。ポカポカするな」という感じでした」と心地よい撮影をふり返る。前田監督もこのシーンについて「『餃子とケーキ、どっちが好き?』と聞かれて、食べて、『おいしいね』、『おいしいね』という2人だけで成立しちゃう感じ――2人にしかわからなくて良い感じで、気の利いた言葉とかを全て排除しても成立しちゃう2人が良いなとグッときました」と倉さんと芋生さんが作り出した絶妙な空気感を称賛する。


koibitonomitukekata-500-3.jpgトワと園子が演奏と歌を披露するシーンは、実際に倉さんも芋生さんも楽器を演奏し、歌っているが、倉さんは「一発で撮ってOKになりました。リアルに人前で歌って、緊張して声が震えたり、周りのみんなの顔が温かいから、自然と笑顔になったりしました。『この瞬間は大切にしたいな』と思えるシーンでした」と充実した表情を見せる。これまで楽器の経験がなかったという芋生さんは「難易度が高かったです」と苦笑を浮かべつつ「あの曲、すごく好きなんです。途中でラップも入るし、感情が乗りました」と楽しそうに明かしてくれた。


本作のトワの人物像には、前田監督自身が投影されている部分が大きいようで、倉さんは監督とつながる部分を感じるか? という問いに「つながるどころか、(前田監督は)トワって感じです」と即答し「現場でもいつもニコニコしてて、こんなピュアな人いるのかと思った」と述懐。芋生さんも「(前田監督は)リアル・トワです」と即答し「私たちが歌っているところをモニタで見ながら揺れてました(笑)。かわいすぎません?」と愛らしそうに語る。前田監督は「みんな、トワ的なところってあると思います」と照れくさそうに笑みを浮かべていた。
 

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舞台挨拶の最後に前田監督は「つらい現実や厳しい日常があったり、世の中、おかしなことばかり起きたりして、そこへの不安もあると思います。そういうところからのガス抜きや疲れた日常の筆休みになればと思ってこの映画を作りました。映画を観て、ちょっとでも気持ちが楽になっていただけたらありがたいです」と語る。


芋生さんも「ひとりではどうしようもないくらい、しんどくなったり、つらくなったり、生きづらさを感じる瞬間があると思いますけど、そういう時にこの映画を観ると、自分だけで抱え込まないで、誰かともっと外の世界に飛び出してみようかなと思えたり、そういう人に対して周りも『逃げてる』じゃなく『生きようとしてるんだ』と捉えられて、周りももっと優しくなれたり、そういう優しい世界を望んでいる映画だなと思います。たくさんの人に観ていただき、多くの人を助けられたらいいなと思っています」と呼びかける。


最後に倉さんは「この映画は、悪い人が出てこない温かい作品で、たぶん、僕自身も数十年後とかに観てホッとする気持ちになる映画だと思っています。もしそういう気持ちになれる人がいたら、僕もこの映画に携われてよかったなと思います。まだ公開がスタートしたばかりなので、たくさん広めていただければ幸いです」と語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
 


◆監督:前田弘二 脚本:高田亮  音楽:モリコネン
◆出演:悠貴 芋生悠 成田凌 宇野祥平 川瀬陽太 奥野瑛太 高田里穂 松井愛莉
◆2023年/日本/99分/5.1ch/スタンダード 
◆©JOKER FILMS INC. 
◆公式サイト:http://koimitsu.com
◆制作プロダクション:ジョーカーフィルムズ、ポトフ 
◆企画・製作・配給:ジョーカーフィルムズ

2023年10月27日(金)~新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田、アップリンク京都、出町座、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開中!


(オフィシャル・レポートより)