レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

2017年7月アーカイブ

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『ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~』
映画の大ヒット&夏休みの交通安全祈願イベントレポート

吉本新喜劇初の女性座長就任直前! 酒井藍さん登場!! 
 

7月22日(土)に公開となります映画「ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~」におきまして、吉本新喜劇初の女性座長に就任予定の酒井藍さんを住吉大社にお招きしての公開直前イベントを行いました。

bonvoya-ivent-500-1.jpg<イベント概要>

日時: 7月21日(金)11:00~12:00
場所: 住吉大社(大阪市住吉区住吉2丁目9-89)
11:00~11:20 ご祈祷(屋内:神楽殿にて)
11:25~11:50 映画PR、囲み(屋内:取材スペースにて)
11:50~12:00 フォトセッション(屋外:反橋を背景にして)



ブーブー、ブーブーブー、ブーブー、今日は私クルマですねん!(とブーブーネタで登場)

Q.映画の感想は?
自分も車に乗っているかのように感情移入できるすごくハラハラドキドキの映画でした。この映画に出てくる人は全員おいしいところがあって、私もこういう新喜劇を作りたいなと思いました。
ただ、私、奈良県警の交通課で働いていたもんで、高速道路を160キロで暴走する、しかもドア取れたり、警察側の目線で観させてもらったので、私ははよ捕まえてくれ!捕まえてくれたらこっちで(反則)切符を処理するのでっていう気持ちで観てしまいました(笑)

Q.家族旅行の思い出は?
昔は家族で行くこともあったのですが、最近はなかなか家族での旅行はないですね。でも奈良に住んでいる父と母は変わっていて、大阪のホテルを取って、私と3人で泊まるという謎の家族旅行をしています(笑)。

Q大暴走にまつわるエピソードについて?
先輩の座長たちにも言われるんですけど、大暴走といえばチャーリー浜さんなんですね。本当に私が一番若い座長なんですが、(舞台で)チャーリー師匠のセリフ2行くらいやったのに、7分くらい舞台におるなとか、私がうまいことチャーリー師匠を使いこなせるのか?その大暴走をうまいこと止められるのか、という心配がありますね。(会場爆笑)

Q バカンスで行ってみたいところは?
台湾に行きたいです!台湾めっちゃ好きで、ユーチューバ―の人が台湾に行ってる旅動画ばっかりを見ています。食べ物もおいしそうですし、「千と千尋の神隠し」のモデルになっているところにも行きたいんです。

Q 映画では白バイが出てきて、イケナイことをしていましたが?
コンプライアンス的に注意したいです(笑)
もっとこう回り込まんと(捕まえられないよ)など、私が指示出したいと思いました。ただ、私事務やったので、指導は一回もしたことが無いんです。指導してもらった後の書類を出してもらったら事務処理だけはできますので(会場笑い)

Q 事務処理した中で忘れられない、これはアカンやろうという違反は?
免許証の写真で、めっちゃギャルみたいに(ピースサインした)写真を添付してきた人がいて、正気か?と思ってすぐに電話しました。(爆笑)
(その人の)歳ですか?けっこういってましたよ25か26でした(笑)

Q ご祈祷の間、何を考えていました?
実は、気持ちは「ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~」と「交通安全」なんですが余裕があれば私の座長公演も(成功しますように)って、と神様にお願いしました。
神様もいろんな人にお願い事されてお忙しいと思うんですが、もしお手すきであれば私のことも、とちゃっかりお願いしちゃいました。(会場爆笑)

bonvoya-ivent-500-2.jpgQ ちなみに(登場人物たちが)警察に捕まったらどのような処分になりそうですか?
そうですね、お母さん(ジュリア)が妊娠しているのでとりあえずお母さんは病院で安静にね。
子どもたちは夏休みやし、お父さんのそういう(捕まる)ところを見せたくないので、子供たちもお母さんと一緒に病院にね。お父さん(トム)だけは(警察に)来てもらって警察官に切符切ってもらって、免許取り消しですよね(笑)私が隣で再度(免許証を)取ってもらう場合は、の説明の書類を持って待ってます。
(車がぶつかって)ドアが取れてしまったり、もあるので器物破損的なことも含めて、ちょっと重い罪になると思います。(会場爆笑)

Q おじいちゃん(ベン)は?
おじいちゃんはねぇ、かわいいからなぁ。
う~ん・・・。こんだけ(10年間に30人)恋愛して振られてるんでかわいそうな気持ちもあるけど、すいませんって言って指導させてもらいますね。おじいちゃんには優しく、お父さんは逮捕の方向で(笑)。逃げ切れるのかは映画を最後まで見てもらいたいんですけど(笑)

Q おじいちゃん、飲酒運転してますけど?
だめです、もちろんだめなんですけど、こんだけ振られているので情が入っちゃうんですけど、だめなんですよ。飲酒運転絶対ダメです!だから、(免許証)返納って感じになるんですかね。(会場爆笑)やっぱり高齢者なんで。取り消しというか返納した方がいいよ、とお話しさせてもらうことになると思います(笑)

など映画 同様、爆笑の会見となりました。


bonvoya-500-1.jpg<STORY>
待ちに待った夏休み!整形外科医の父・トム、妊娠中の母・ジュリア、ちょっと不思議な9歳の娘・リゾン、とても活発な7歳の息子・ノエ、四人家族のコックス一家は、おじいちゃんと共に、トムの自慢の最新テクノロジーを搭載したピッカピカの真っ赤な新車でバカンスへ。しかし出発直後、なんとブレーキが制御不能に・・・時速160㎞でハイウェイを大暴走!! 役立たずの無能警官、能天気なカーディーラー、追走する怒り心頭男、さらには後部座席に隠れていた謎の●●??

そしてフランス全土を巻き込み、車内は究極のパニック状態に!!そんな絶体絶命の“密室”で次々明かされていく“秘密”の数々に家族の絆は崩壊<ブレイク>寸前!!そして向かう先には未曾有の大渋滞が待っている! ! 果たしてコックス一家を待ち受ける運命とはいかに?!


bonvoya-500-3.jpg監督:ニコラ・ブナム
出演:ジョゼ・ガルシア『グランド・イリュージョン』 アンドレ・デュソリエ『アメリ』『ミックマック』、カロリーヌ・ヴィニョ
製作:トマ・ラングマン『アーティスト』
配給:ギャガ
2016年/フランス /92分/シネスコ/原田りえ/原題:À fond
© 2016 Chic Films – La Petite Reine Production – M6 Films – Wild Bunch

公式サイト⇒ http://gaga.ne.jp/bon-voyage/

2017年7月22日(土)~シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国順次ドライヴ開始!          


(オフィシャル・レポートより)                        

Dancer-kusakari-550.jpg映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』公開記念イベントレポート

草刈民代、ポルーニンを絶賛!!
「最初、彼の才能を疑っていたが、YouTubeを観て本物だと確信した」


2017年7月15日(土)よりBunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほかにて公開中の『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』。公開初日より連日満席が続出するなど、大反響をいただいております。本作の公開を記念し、女優の草刈民代さんと舞踊評論家の乗越たかおさんが登壇、満席のBunkamuraル・シネマにてトークが繰り広げられました。


【イベント概要】

■日時:2017年7月17日(月・祝)10:30の回上映後 
■会場:Bunkamura ル・シネマ(東京都渋谷区道玄坂2丁目24−1)
■ゲスト:草刈民代(女優) [聞き手]:乗越たかお(舞踊評論家)


 
dancer-pos.jpg女優の草刈民代が17日、都内・Bunkamura ル・シネマで行なわれた映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』の公開記念イベントに出席。「こんな天才ダンサーが現れたことがあっただろうか」と熱いコメントを寄せた草刈が、自身のバレリーナ時代の経験を重ねながら、ポルーニンへの思いを語った。なお、この日は、舞踊評論家の乗越たかおが聞き手を務めた。


本作は、孤高の天才ダンサー、ポルーニンの知られざる素顔に迫るドキュメンタリー。19歳で名門・英国ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルに選ばれるが、人気絶頂期に電撃退団。果たしてその真意とは?全身にタトゥーを纏い、決して型にはまらないバレエ界きっての異端児ポルーニンの生き様を、本人や家族、友人、関係者らのインタビューを交えながらひも解いていく。


映画の予告編でポルーニンの美しい舞に魅せられ、YouTubeで彼のパフォーマンスを何度も観たという草刈。「小さい画面で観てもその凄さがわかった。若いダンサーで素晴らしい人はたくさんいますが、その中で群を抜いている。ミハイル・バリシニコフやルドルフ・ヌレエフに次ぐ才能」と絶賛し、本作を観てさらにその思いは確信へと変わったという。


Dancer-500-3.jpgポルーニンに才能を持て余す危うさがあるのでは?という指摘に対して草刈は、「危ういというよりも、出来上がるのが早過ぎたのでは?もともとのポテンシャルが高い上に、努力も群を抜いていたので、スタートラインが全く違う。だから、子供の頃からバレエだけをやってきた彼が、『踊ることに何の意味があるのだろう?』とふと気付いたところから、自分自身の模索が始まったのだと思う」と分析。


中でも印象に残っているのが、本番前、楽屋で大量の薬を飲むシーンを挙げる。「痛み止めの薬を飲むとか、注射をするとか、栄養剤で気合いを入れるとか、私も何度も経験がありますが、心臓の薬まで飲んでいるのには驚きました。普通、怖さが先に立つものですが、彼は、そこまでやらないと自分の納得した踊りができないから平気で飲める。現在は危険だからやめたそうですが、踊りと身体のバランスを取るために自問自答する時間が必要なんでしょうね。モーツァルトと同じ、あまりにも早熟過ぎたがゆえの悩みですね」


Dancer-500-7.jpgまた、時代の違いにも触れた草刈は、「昔のダンサーは、国を背負って踊っていたので、『やめる』という選択肢はなかったと思う。ところが、ポルーニンの時代はロシアも自由になり、才能があれば中学生や高校生でもロイヤル・バレエ団に留学することもできる。彼の苦悩は、自由の中で育ってきたからこその模索のように思います。私の時代もそうでしたが、身体が衰えて、本当に踊れなくなる時期が来て、初めて踏ん切りがつく。それが普通だと思うんですよね」


 「僕はダンサーであるよりは、1人のアー ティストでありたい」とポルーニンは語っているが、早くも12月公開の映画『オリエント急行殺人事件』に出演し、俳優としての活動をスタートさせている。現役時代、『Shall we ダンス?』で映画デビューを果たした草刈にとって、そんな彼の活動はどう映っているのだろうか?「『Shall we ダンス?』に出演する前は、バレエ以外のお仕事はノイズでしかなかったけれど、主人(周防正行監督)に、『たくさんの人に知ってもらうことの大切さ』を教えられ、考え方が180度変わりました。ただ、私の場合、現役時代はあくまでもバレリーナを貫きましたが」と述懐する。


ダンサーとして、あるいはアーティストとして、10年後のポルーニンが楽しみだと言う草刈。「1度映画に出たからといって芝居がわかるわけでもない。映画を経験して、そこに何を見出だして、何を目指していくのか。あるいは芝居ではなく、やはり自分には踊りしかないと思って、バレエをさらに深めていかもしれない。10年後、彼がどの立ち位置にいるのかをぜひ見届けたい」と、最後は期待を込めて締めくくった。
 


草刈民代(くさかり・たみよ)プロフィール】
1984年に牧阿佐美バレエ団に入団。以降同バレエ団の主役を数多く務める。国立モスクワ音楽劇場、レニングラード国立バレエなど海外のバレエ団へのゲスト出演も数多い。'81年頃から広告、TVCMなどにも起用されるようになり注目を浴びていたが、'96年に映画「Sall Weダンス?」(周防正行監督)に主演。社会的現象になるほど話題作品となり、女優として数々の賞も受賞した。'99年、故ローラン・プティ氏により「若者と死」死神役に選ばれ、プティ氏から厚い信頼を受ける。これ以降プティ作品は最も得意なレパートリーとなり、その数は11作品に及ぶ。'09年、自ら企画・構成・プロデュースした舞台を最後にバレリーナを引退。日本のバレエを一般に広めることに大きく貢献し、日本人バレリーナに新たな可能性を示した。2009年以降、本格的に女優として活動。最新作は2017年10月公開、映画『月と雷』が控えている。 


Dancer-550.jpg【映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』作品情報】

 <ヌレエフの再来>と謳われる類まれなる才能と、それを持て余しさまよう心――
19歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、人気のピークで電撃退団。バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。


ウクライナ出身で、19歳の時、史上最年少で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとなったセルゲイ・ポルーニンは、その2年後、人気のピークで電撃退団。そのニュースは国内メディアのみならず、世界中に報道された。
スターダムから自滅の淵へ――様々な噂が飛び交う中、彼が再び注目を集めたのは、グラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲『Take Me To Church』のMVだった。写真家のデヴィッド・ラシャペルが監督し、ポルーニンが踊ったこのビデオはyoutubeで2,000万回以上再生され、ポルーニンを知らなかった人々をも熱狂の渦に巻き込んだ。
<ヌレエフの再来>と謳われる類い稀なる才能と、それを持て余しさまよう心。本人や家族、関係者のインタビューから見えてくる彼の本当の姿とは…?


監督:スティーヴン・カンター
『Take Me To Church』演出・撮影:デヴィッド・ラシャペル
出演:セルゲイ・ポルーニン、イーゴリ・ゼレンスキー、モニカ・メイソン他
配給:アップリンク・パルコ
(2016年/イギリス・アメリカ/85分/カラー、一部モノクロ/16:9/DCP/原題:DANCER)

★公式サイト⇒ http://www.uplink.co.jp/dancer/
★作品紹介⇒ こちら
★セルゲ・ポルーニン インタビュー⇒ こちら


2017 年7 月15 日(土)~Bunkamura ル・シネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、7/22(土)~シネ・リーブル神戸、8/19(土)~京都シネマ、9/30(土)~豊岡劇場 ほか全国順次公開


(オフィシャルレポートより)

dancer-s-550.jpg『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン世界一優雅な野獣』セルゲイ・ポルーニン インタビュー

 

「自分の心に正直になった時、出てきたことが“アーティスト”になりたいってことだった。」

 

7 月15 日(土)よりBunkamura ル・シネマ、新宿武蔵野館ほかにて公開となる映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』。
映画の公開を記念し4 月に、5 年ぶりに来日を果たしたセルゲイ・ポルーニンは、日本テレビ朝の人気情報番組「スッキリ!!」への生出演や、瞬く間にチケットが完売してしまったジャパンプレミアイベントのパフォーマンス披露など大きな話題をよびました。公開に先駆け行われた、先行試写会での感想も「こんなにも切なく苦しく心かきむしられる作品は初めて!」「いつまでも踊る姿をみていたいと思った」「言葉が追いつかない。踊ることでしか伝わらない言語があるのだと感じた」と熱い感想が続出いたしました。この夏、セルゲイ・ポルーニン旋風が巻き起こること間違いなし!
 


――ご自身のドキュメンタリーをご覧になって、いかがでしたか?
正直に言えば、最初は見たくなかった。ロサンゼルスでデヴィッド・ラシャペルと一緒にいた時に、彼が「これからあの映画を観ることになっている」と言ったんだ。僕はビールを9本も飲んで、彼の隣に座った。本当に緊張して、彼の脚を蹴ってしまったよ。自分を客観的に見てみたかったんだけど、できないね。画面に映し出された自分を見るとそのときの感情が蘇るし、自分の素の部分を呼び覚ましてしまう。まるで感情のジェットコースターに乗ってるような気分だったよ。


Dancer-550.jpg――映画の中で『Take Me To Church』をダンスとの惜別と考えていると言っていました。なぜ続ける気になったのですか?
『Take Me To Church』をラストダンスのつもりで踊った。あの時はダンスが好きじゃなかったし、バレエ界に腹も立ててたから、とにかく終わらせたかった。これで何もかも終わりなんだという気持ち――臨終の感覚のような中で踊っていると、自分の中のもやもやとした霧のようなものが少しずつ晴れていくような気がしたんだ。空っぽになって、感情の赴くままに踊った。すると、僕が捨て去ろうとしているもののことばかりが頭に浮かんで、とても悲しかった。それで思ったんだ、僕は何かを見失っているのかもしれない、と。

撮影が終わって、すぐにゼレンスキーに話したんだ。「ギャラはいらない、ダンスが好きだから踊りたい」とね。“ダンスを愛しているから踊りたいんだ”ということを、僕はきちんと自覚しなくてはならなかったんだ。その後のYouTube の反響を見て、すごく驚いたよ。子供が僕の真似をして踊ってくれたり…バッドボーイでも人々に受け入れてもらえるんだ、僕の踊りは人々になにかを与えることができるんだと改めて感じたんだ。

それに、このMV を監督した写真家のデヴィッド・ラシャペルは素晴らしいアーティストで、楽曲、振付、環境、ビジュアル…すべてが整った、これこそ新たなものを作り出す体験だと思ったよ。もちろんクラシックバレエ(古典)はとても大事なもので、伝統は保たなければならないと思っている。その一方で、創造性をもってただ踊る道具になるのではなく、生み出すことができるアーティストにならなければいけないと思ったんだ。


dancer-s-250.jpg――“プロジェクト・ポルーニン”を始められたきっかけを教えてください。
ダンスを通して現状を変えたい、という思いが今の僕を動かしているんだ。自分のためだけなら、僕はもうバレエを続けていなかったと思う。だけどこのプロジェクトで、ダンサーたちに発言権を与え、踊りに集中できる環境を整えたい。スポーツ選手にはエージェントがついているけれど、バレエにはそれがない。やったことがないことを始めるのはとても怖いもの。一人きりでそんな思いをする必要はないと思う。みんなが助けてくれるようなチームを構築することで、若いダンサーが道を間違えることなく進めるシステム、チームをつくっていきたいんだ。

バレエは常に誰かが誰かのポジションを狙っているような境遇にある。誰かが怪我をしたらデビューできる、というようなね。つねに競争なんだ。だから喜びや聴衆のためという大切なものが置き去りになってしまう。若いダンサーの中には、紆余曲折してそのまま引退してしまう人もいっぱいいる。だからエージェントや広報や収入に関しても交渉してくれる人がいるチームがあれば、ダンサーは演技だけに集中できる。航空券やホテルのブッキングなど、雑務に邪魔されずにダンスだけに集中できる環境にしたい。だから僕らはダンサーを支援する“プロジェクト・ポルーニン”という組織を作ったんだ。

資金提供者や法律家が協力してくれたおかげで、取締役会を作って組織を拡大できた。これからファションや映画や音楽といった他の分野とダンサーをつなぐ役目もする。ダンサー全員に参加してほしいな。僕らの旅は始まったばかりなんだ。


――『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』はあなたの人生のターニングポイントを描いていますね。ロンドンにバレエを学びに行って、ロイヤル・バレエを辞めて、ロシアに移り住んで…。そういった決断で後悔されていることはありますか?
だいたい僕は後悔をしない人間なんだ。良くても悪くても、あらゆることを楽しんでいる。ただ、もし可能だったのなら、あんな風に壊すんじゃなくて、作り上げられればよかったなって。誰かアドバイザーや良き指導者がいたら、違ったのかもしれない。あれは僕の僕だけの考えだったんだ。壊さずにやれたらよかったと思うよ。


Dancer-500-2.jpg――映画で描かれているように、多くの練習をして、バレエに人生を捧げて、世界有数のダンサーになったわけですが、そこにたどり着いた先では「次は何をする?」ということになりますよね。今もそんな気持ちですか?
自分の心に正直になった時、出てきたのがアーティストになりたいってことだった。自分自身に「僕はダンサーじゃない。僕は俳優じゃない」と言った途端、自由になれて何でもできるようになったんだ。自分を駆り立てないで、何も怖がらないで、「時間がない」とか、「あれとかこれをやらない」なんて言わずにね。

アーティストとして、選択権は自分にあるんだ。だからやりたいことをやる自由が生まれる。1日中踊ることもできるし、映画に出たり、振付をしたり、またいろんな写真家とファッションの写真を撮ったり、別のアーティストと仕事をしたりね。途方に暮れることはない。別のレベルに行くんだよ。何でも吸収するんだ。自分を閉じちゃダメさ。何でも試さないとね。僕はまた子供になったような気分なんだ。アーティストは子供なんだ。6才児の気分かな。



Dancer-500-1.jpg<ヌレエフの再来>と謳われる類まれなる才能と、それを持て余しさまよう心――

19 歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、人気のピークで電撃退団。バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。

途方もない才能に恵まれ、スターになるべく生まれたセルゲイ・ポルーニン。しかし彼はその運命を受け入れなかった。バレエ界のしきたり、天才ゆえの重圧、家族の関係。スターダムから自滅の淵へ――様々な噂が飛び交う中、彼が再び注目を集めたのは、グラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲『Take Me To Church』のMV だった。写真家のデヴィッド・ラシャペルが監督し、ポルーニンが踊ったこのビデオはYouTube で2000 万回以上再生され、ポルーニンを知らなかった人々をも熱狂の渦に巻き込んだ。<ヌレエフの再来>と謳われる類い稀なる才能と、それを持て余しさまよう心。本人や家族、関係者のインタビューから見えてくる彼の本当の姿とは…?


監督:スティーヴン・カンター/『Take me to church』演出・撮影:デヴィッド・ラシャペル
出演:セルゲイ・ポルーニン、イーゴリ・ゼレンスキー、モニカ・メイソン他

配給:アップリンク、パルコ (2016 年/イギリス、アメリカ/85 分/カラー/16:9/DCP/原題:DANCER)

★作品紹介⇒ こちら
★草刈民代 ポルーニンを絶賛!!⇒ こちら

2017 年7 月15 日(土)~Bunkamura ル・シネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、7/22(土)~シネ・リーブル神戸、8/19(土)~京都シネマ、9/30(土)~豊岡劇場 ほか全国順次公開


(オフィシャルレポートより)

kanojonojinsei-1.jpg『彼女の人生は間違いじゃない』廣木隆一監督インタビュー


kanojonojinsei-550.jpg■2017年 日本 1時間59分(R-15)
■原作:廣木隆一 「彼女の人生は間違いじゃない」(河出書房新社)
■監督:廣木隆一(『ヴァイブレータ』『さよなら歌舞伎町』)  脚本:加藤正人  撮影:鍋島淳裕
■出演:瀧内公美、光石 研、高良健吾、柄本時生、篠原篤、蓮佛美沙子
■公開情報:2017年7月15日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国順次ロードショー
公式サイト: http://gaga.ne.jp/kanojo/
■コピーライト:(C) 2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会

■配給:ギャガ



「福島だけでなく今の日本が抱えている矛盾を描きたい」
~未来が見えず、満たされない想いに光を~

 

東日本大震災後、被災地を題材にした映画やTVドラマやドキュメンタリーが沢山作られてきた。そんな中、家族や仕事を失った喪失感や未来の見通しもつかない虚無感に苛まれながら、それでも日々の暮らしを慎ましく生きる人々の現状を、これほど濃密な映像で表現した作品はあっただろうか。物語の背後には原発事故後の福島の現状が数多く映しこまれている。それをも豊かな情景として、徐々に前進しようとする人々の精いっぱいの生き様を浮き彫りにしている。その静かだが力強い捉え方に惹き付けられる。


kanojonojinsei-2.jpg年に2~4本の新作が公開されている日本で一番忙しい映画監督、廣木隆一監督、63歳。今年だけでも『PとJK』『彼女の人生は間違いじゃない』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が公開、来年早々には『伊藤くん AtoE』の公開が控える。あらゆるジャンルの作品を手掛け、日本映画界になくてはならない存在である。そんな廣木監督が、東日本大震災後の原発事故により、復興の目途さえつかない福島に生きる人々を主人公にした小説を書き上げた。福島県出身の廣木監督にとって、「整理しきれない気持ち」を小説に書いて映画化したという。他の被災地より復興が長期に渡り、「再生」という一言では済まされないより一層の忍耐を強いられる現状。福島だけではなく誰にでも起こりうる普遍的試練がそこにはある。まさに廣木隆一監督の渾身作である。


仮設住宅で父親と二人暮らしのみゆき(瀧内公美)は、市役所に勤務しながら毎週日曜日になると高速バスで東京へ行きデリヘルの仕事をしている。母親は津波にさらわれ遺体も発見されず、父親(光石研)は酒が入ると母親とのなれ初めを語り、「助けてあげられなかった」と嘆く。放射能汚染で農業ができなくなり、その補償金でパチンコの日々。同じく市役所務めの新田(柄本時生)は、変なカルト教にはまり家庭放棄した祖母と母に代わり、小学生の弟の面倒をみている。スナックで知り合った女子大生に無神経な質問をされて、ひと言では語れない想いが沸き上がり言葉を詰まらせる。一方、大切な思い出の地を写真に収めたいというカメラマン・紗緒里(蓮佛美沙子)との出会いは、新田だけなく多くの人々に思わぬ光をもたらすことになる。


kanojonojinsei-500-1.jpg早朝のバスに乗って東京へ向かうみゆきの目に、福島原発からの巨大な送電線やスカイツリーが見えてくる。暗く停滞したままの福島から、明るく何事もないような東京の風景。みゆきを演じた瀧内公美の、風景に溶け込む福島での素朴な顔と、デリヘルの仕事をしている東京での顔の違いに、身の置き所を求めようとする心の隙間に悲哀を滲ませる。デリヘル嬢の送迎担当の三浦を演じた高良健吾の爽やかな眼差しが救いとなる。


それぞれの俳優は役作りのために取材したという。役になりきらなければ臨めないという緊張感のある現場を仕切った廣木監督。常連の役者が殆どだが、主演の瀧内公美は初参加とあって、その緊張たるや如何ばかりか。どんどん痩せていく彼女をスタッフが心配したほどだったとか。だが、その期待以上に実物大の“みゆき”を生きていたように思う。


廣木隆一監督に作品に込めた想いや現場での様子などについてお話を伺った。詳細は下記の通りです。



――年に2,3本は撮っておられるようなお忙しさですが?
新しい企画が出てきた時に僕が撮ったらどうなるか、と言ってくれるプロデューサーたちがいるので、この歳になってもオファー頂けるのはとてもありがたいことだと思っています。


――福島を扱った作品が多い中、物語の背後に映しこまれた情景の豊かさに驚きました。その濃密な映像について?
最初自分で小説を書いている時に、漠然とですが福島の情況について聞いていました。それらをうまく映像化して、2016年に撮った福島の風景を記録できればいいなと思いました。


――誰もいない桜並木や海上から捉えた福島第一原発のシーンだったり、さらには登場人物の背景に汚染土壌置場があったりと、かなり危険な状況の中で生きている現状がリアルに迫ってきましたが?
原発は絶対撮りたいと思っていたところ、禁漁区域になっている海域に漁船を出して下さる地元の人々の協力もあって、ある程度の近さで撮影することができました。それより危険な場所は、入場時間制限のある帰還禁止区域の町でした。桜並木もその町の一部で、住民の皆さんは未だに仮設住宅などで避難生活をされています。

美術監督の丸尾さんがいわき出身でその人脈にかなり助けられ撮影できてます。


kanojonojinsei-500-4.jpg――未来を見出せずにいる人々の情況が痛い程滲み出ていましたが、みゆきがデリヘルの仕事を選んだ理由が今一つよく理解できませんでした?
三浦との関係は恋愛でも何でもなく、ただ“いい人”という存在です。原作では説明しているのですが、映画では特に説明はしていません。ただ、彼女の“決意”が見えればいいかなと思いました。


――「内面に悩みを抱える女優を選びたかった」といって、瀧内公美さんを選んだ理由は?
瀧内さんはいろんな映画に出ていて、自分の年齢や役の大きさなど役者としての悩みを抱えていました。単純に芝居が巧いとかの理由ではなく、そういう内面性を持った女優がいいなと思ったのです。みゆきの気持ちを理解して役になりきってくれればいいなと。


――みゆきの日常を描くのにお料理するシーンが多かったようですが?
瀧内さん自身はそんなまめに料理するようなタイプではないかも知れませんが(笑)。でも、みゆきが食事をきちんと作るような娘だと思ってもらえるよう理解して演技してくれました。


kanojonojinsei-500-2.jpg――父親が補償金をパチンコにつぎ込んだり、霊感商法に騙されそうになったり、ネガティブな題材が多いように感じましたが?
すべて小説を書いている時に聞いた事柄です。


――それまでパチンコばかりしていた父親がトラクターで畑を耕しているシーンに込めた想いは?
補償金をパチンコにつぎ込んで一見愚かに見える父親ですが、彼にも前向きに生きようと思うまでの時間が必要だったということを理解して頂ければいいなと思います。


kanojonojinsei-500-3.jpg――新田がスナックで出会う女子大生とカメラマンの沙緒里との対比が面白いと思いました。他所から来た者の無神経さが示されていたようですが?
震災後のドキュメンタリーやニュースなどで「今のお気持ちは?」と被災者に普通に訊いて聞いているのを見て、「それはどうかな?」と疑問に感じていました。シナリオライターの加藤正人と相談しながら被災者と温度差の違いを描いていきました。


――東日本大震災の被災者の皆さんは地域によって復興の仕方が違いますね。特に、福島の場合、放射能汚染という問題を抱え、即復興に踏み切れない特別な事情があります。現実問題として本作を通じて特に見てほしい点は?
全部です。福島で静かに生活している人々の生活の中に、今の日本の様々な矛盾や問題を含む現状が表れていると思うのです。どこにいても起こりうる問題として読み取ってほしいです。


kanojonojinsei-3.jpg――福島県郡山出身の廣木監督はずっと福島の映画を撮りたいと思っておられたのですか?
そんなことはありません。津波や原発事故が起きなければ福島の映画を撮りたいとは思わなかったでしょう。自分の中で整理しきれない気持ちを小説に書き、映画化するに当たっては客観的な見方を取り入れるために脚本は他の人にお願いして、そして自分で監督したのです。


――福島を描き切った感はありますか?
僕自身、そんなに映画で描き切ったとは思っていません。映画監督をやる上で作品のひとつとして、メッセージ性の強いものを撮ってみたいなと思いました。映画を撮る限り、「生きていくこととは?」をテーマにした作品を創り続けたいと思っています。


――“廣木監督らしい”と言われることについて?
自分らしさを目指している訳ではなく、むしろそれを無くしたいと思っています。サンダンスに留学している時に「廣木が好きなものを撮っているのだから、廣木らしいと言われるのは当たり前でしょう」と言われたことがあり、普通に意識せずに撮っています。映画は、「自分らしさ」より「何を伝えたいか」が重要だと思いますので。


――キャストについて?
高良健吾とは久々だったのですが、役者としての存在感が出てきて凄いなと思いました。撮影中は緊張感を持ってやってもらわないといけないので、特に今回初めてだった瀧内公美は厳しく感じたのではないでしょうか。柄本時生は、彼が14歳の時から公私共に交流がありましたが、近年の成長は著しいですね。光石研さんとは、彼がデビューの頃から知っていますが、今までの人生を役に反映できるいい役者さんだなと思っています。


――役柄になりきらせるための工夫は?
現場で自分の考えが変化するかもしれないので、自分の考えを理解してくれる役者さんがいいと思いました。東京から新幹線に乗ってやって来てタイトな時間で演技するのではなく、なるべく現場で過ごして、役柄の意味を汲み取ってほしい。ですが、僕は打ち合わせや相談などはしません。現場で悩んでいても仕方ないので、取りあえずやってもらいます。台本読んでイメージ膨らませて演技するのがプロの役者さんなんですよ。


(河田 真喜子)

 

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~第二次世界大戦後のポーランド、悲劇を乗り越え、新しい命のため一つになる女性たちの絆~

 
『ココ・ヴァン・シャネル』『ボヴァリー夫人とパン屋』のアンヌ・フォンテーヌ監督が、第二次世界大戦後のポーランドで起こった修道院での悲劇と、修道女たちの窮地を救ったフランス人女医の実話を映画化した。若手女優ルー・ドゥ・ラージュを主演に迎えた『夜明けの祈り』は、ソ連軍の蛮行により集団妊娠してしまった修道女たちを救うため、宗教や言葉の壁を越えて手をとりあう女性たちの強さと、生まれてくる命の輝きを映し出す。雪深い修道院の神秘的な映像に修道女たちが歌う讃美歌が重なり、厳粛な気持ちになる一方、蛮行の記憶や妊娠に対する恐怖におびえる修道女たちの苦悩の深さが描かれる。彼女たちの光となる女医マチルドの奮闘ぶりは、命に国境はないことを教えてくれるのだ。
 

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『夜明けの祈り』はフランス映画祭2017で、見事エールフランス観客賞を受賞。本作で、行動力のあるマチルドを熱演したルー・ドゥ・ラージュさんが映画祭ゲストとして来日し、インタビューに応えてくれた。

 


■ポーランドでは、悲しい歴史を引きずっている雰囲気を感じた。

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―――第二次世界大戦直後のポーランドを舞台に、実在の人物をモデルにした物語ですが、主人公マチルドを演じるにあたり、どんな準備をして臨んだのですか?
マチルド役に決まってから撮影に入るまでわずかな時間しかなかったので、マチルドは女医ですから、まずは医者という職業を身に付けなければなりませんでした。外科医や助産婦の方に帝王切開の仕方や、お腹の触診の仕方などを教えてもらいました。その後、ポーランドのロケ地に入りましたが、既にセットとなる修道院は出来上がっていましたし、ポーランド人女優のみなさんが修道女役として、そこにいてくださったのです。自然とその中に入ることができ、大変幸運でした。ただ、ポーランドに着いた時はなんとなく悲しい感じを覚えました。ポーランドは第二次世界大戦中に様々な国の侵略を受けましたし、その後も大変な時代を過ごしていますから、悲しい歴史を引きずっている雰囲気が感じられました。
 
―――修道院ではフランス語の分かる人がほとんどいない設定でしたが、実際のキャストはどうでしたか?
私はフランス語しか話しませんし、共演したポーランド人女優の皆さんはほとんどフランス語を話さない方ばかりだったので、そういう意味では私はマチルドと同じ立場になった気がします。マチルドは修道女のことを知りませんでしたが、修道院に入り、修道女たちの世界を知ることになります。マチルドの方がよほど大変で複雑だったとは思いますが、私もフランス語を話さない人たちの中に一人で入って行った訳で、少しはマチルドの感覚が捉えられたと思います。

 

■女性に対する暴力は戦時中も今も起こっている。その状況下で女性たちがどのように再生していくかが大事。

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―――本作は今まで知られなかった戦時下の女性にとって衝撃的な事実も明らかにしていますが、ルー・ドゥ・ラージュさんがそのことを知った時どんな感情を抱きましたか?
シナリオが非常に良く出来ていて、心動かされました。真実がグサリと刺さる感じで、女性に対する暴力は衝撃的ですが、それは戦時中も今も起こっています。そのような状況下で、女性たちがどのように再生していくかが大事だと思います。マチルドは医者としての科学的な信念を持っていましたし、修道女たちは信仰という信念を持っていました。その二者が連帯し、再生しようとすることが大事ではないでしょうか。今はあまりにも運命論者が多く、そういう傾向を描いた映画も多いです。でも、本作は暴力に暴力をぶつけていくのではないということを描いていますし、そこが良かったと思います。
 
―――マチルド役を演じるプレッシャーはありませんでしたか?
マチルドのモデルとなる実在の医者、マドレーヌ・ボーリアックに関しての資料はほとんどなかったのですが、彼女に書かれた手紙が残っていました。そこには「あなたは社会の影のヒロインだから、あなたのことがいつか日の当たる場所に出て、皆に知られるようになればいいのに」と書かれていたのですが、今回それが叶い、しかも私がマチルド役となって世界にこのような人がいたことを知らせることができました。大変光栄で、誇りに思っています。
 
 

■マチルド役の演出は、とにかくクールに。

「目の前の状況、戦争や修道院の悲惨な状況に飲み込まれてはいけない」

―――寒い冬の撮影や、特にセリフが少ない中マチルドの表情で語るというシーンが多かったのですが、撮影で苦労した点、工夫した点は?

 

アンヌ・フォンテーヌ監督からずっと言われてきたのは、「とにかくクールでいなさい。目の前の状況、戦争や修道院の悲惨な状況に飲み込まれるようなことがあってはならない」。医者としてのスタンスを守るために、修道女たちと距離を取るようにとも言われていましたし、硬い表情をしていました。マチルドは最初、科学的に全て解決しようとしますが、途中で彼女たちが負った心の傷は、薬を塗って治る類のものではないことに気付きます。医者として妊婦のお腹を触るのは当然のことなのに、(修道女たちが)触らせてくれないのはどういうことなのか分からなかった。でも修道女たちにとって体に触らせないことには意味がある。そのことにマチルドが気付くプロセスを見せるのは難しかったです。距離を置いた関係でありながら、少しずつ理解していくところを観客に見せる訳ですから。
 
 
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■マチルドと修道女たちは違う世界にいるように見えても、「命を大事にする」という同じ目標に向かっていた。

―――観客もマチルドと同様に、なぜ妊婦の修道女たちが診察の必要な状況にも関わらず、体に触ることを拒絶するのか分かりません。マチルドと共に修道女たちの信念に気付くようになっていますね。
マチルドは無宗教だったので、修道女が持つ信仰への知識はありませんでした。一方でマチルドは行動の人ですから、妊娠したのなら子どもをきちんと出産させることだけを考えるような、医者としての立場を取っていました。ただ修道女はそうではなかったのです。私は修道女の方から実際にお話しを伺ったのですが、修道女になるということは長い間のためらいがありますし、修道院に入る時には「男性とも関わらず、母親にもならない」という決断をする訳です。長い迷いの末の決断はとても大きなもので、だからこそ全てを拒絶するという行動に出たのでしょう。修道女をレイプすることは、女性を犯すだけでなく、男性を拒否する誓願を立てた人を犯すという、二重のレイプです。
 
最初は二つの世界が全く違って見えました。一つは非常に実用的で医者としての信念を持って行動するマチルドがいる世界。もう一つの修道院は全く世間的なことを捨て去り、神の事のみを信じて生きる世界です。でも結局「命を大事にする」という同じ目標があり、その目標に向かって、やり方は違ったけれど同じ言葉をしゃべっていたのです。
 
―――言葉も違うポーランドでの撮影はかなり大変だったと思いますが、どのようにしてその撮影を乗り越えましたか?
私にとって仕事は、人生の中でカッコ付きの期間だと思っています。カッコ付きの期間で様々な人と出会い、様々な体験をするのですが、その次にはぐっと成長したと感じられます。今回のテーマは非常に深いものでしたから、それを通り抜けることで自分の中に成長した部分があると思います。シスター・マリア役のアガタ・ブゼクさんはフランス語を少し話せるので、よく撮影中に話をしたのですが、最後にはほとんど完璧に話せるようになっていました。こういう関係を構築して、全く言葉の通じない人と映画を撮ることができたのは、本当に素晴らしい経験でした。
 

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■根っこの部分で命の大事さや愛という信念があれば、考え方が違っても相互理解できる。

―――日本の女性に、この作品のどんなところを感じてほしいですか?
この映画は宗教ではなく、信念を描いた映画だと思っています。マチルドも確固たる信念を持って行動していますが、無宗教のマチルドと修道女たちが出会い、相互理解ができたことがとても大事なのです。今の時代は考え方の違う人とは相入れない風潮にありますが、意見が違う人でも分かり合うことができる。根っこの部分で命の大事さや愛という信念があれば、それは可能であることをみなさんに分かっていただけたらと思います。
 
―――最後にルー・ドゥ・ラージュさんはお母様が画家だそうですが、幼い頃に親しんだアートや、母親から学んだことは?
母はずっとだまって絵を描いていました。そんな母から学んだことは、沈黙の意味です。もう一つは、絵を見る時は、頭で見るのではなく心で見るものだと教えてくれました。
(江口由美)
 

<作品情報>
『夜明けの祈り』“THE INNOCENTS”
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ルー・ドゥ・ラージュ、アガタ・ブゼク、アガタ・クレシャ、ヴァンサン・マケーニュ他
2017年8月5日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、8月26日(土)~京都シネマ他全国順次公開
公式サイト⇒http://yoake-inori.com/ 
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