レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

2021年4月アーカイブ

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◆4月9日(金)@大阪ステーションシティシネマ スクリーン1<客席50%>

登壇者:大泉洋 吉田大八監督(敬称略)

 

この映画のようなカッコいい大人になりたい!

大泉洋 史上最高の見せ場のオンパレード!

 

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大泉洋という俳優の底知れぬ多面性を「これでもか」と活かした作品。大泉洋が出演しているだけで、その作品の面白さを期待して観客は劇場へと足を運ぶ。アイドル顔負けの超人気俳優。「罪の声」の著者・塩田武士が、大泉洋を主人公にあて書きして小説を書いたなどと、前代未聞!役者冥利に尽きるというもの。それを、『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』など、俳優をキャラクターに活かした演出で存在感を引き出す吉田大八監督が実写映画化!


不況にあえぐ出版社の起死回生を、騙し騙されのどんでん返しで翻弄するが、それだけではない。大泉洋に負けないクセモノ揃いの俳優陣が、急展開を繰り返す物語を分かりやすく演じ分ける。演じる方も観る方も真剣勝負の騙し合いバトルの勃発である。先の読めない逆転連発エンターテインメントで、公開以来大好評を博している『騙し絵の牙』。そのヒット御礼として《ダマキバ感謝祭》と銘打って、大阪ステーションシティシネマにおいて舞台挨拶が行われた。登壇したのは、4月3日に48歳になったばかりの大泉洋と、吉田大八監督。新型コロナ感染拡大の折、徹底した感染対策で、観客の前に登場したゲストに惜しみない拍手が贈られていた。

以下は、舞台挨拶の詳細です。
 



――公開後初めての舞台挨拶となりました。ご挨拶をお願いします。

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大泉:今日はご来場頂きましてありがとうございます。舞台挨拶といいますと東京でやりがちですよね。でも、私は大阪に行きたい!この感謝の気持ちを大阪の皆さんにお伝えしたい!今日はこのためだけに大阪にやってまいりました。(会場から笑い声が)実は、TEAM NACSのお芝居を大阪で公演中でして、大阪に居る訳ですが…(笑)

今日は映画をご覧頂いた後なので何を話してもいいということですが、マスコミの方がいらっしゃるのでネタバレになっちゃいませんか?このままずっと喋ってると、吉田監督が何しに来たのか分かんなくなっちゃいますので、この辺でご挨拶はお終いにしたいと思います。本日はよろしくお願い致します。

 

 

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吉田監督:今日はどうもありがとうございます。コロナ禍の中でこうして観に来て下さったお客様を見ると、感謝の気持ちでいっぱいでございます。公開してからいろんな方から感想を頂いているのですが、「面白かった!」と熱烈な感想を多く頂いて、届くところには届いているな、と手応えを感じております。今日はよろしくお願い致します。

 

――大泉さんもいろんな反響を頂いてますか?

大泉:はい、沢山頂いております。関係者の方から直接感想を聞くことはあまりないのですが、この映画については「面白かった!」と仰って頂いております。取材を受けている時、本気で面白いと言ってるかどうか、何となくわかるんですよ。それが、心から面白いと思って下さってるなと感じます。後は、ウチの親父ですね。まず感想メールなんて寄こさないのですが、珍しく「大変面白く拝見いたしました」とメールが来たんですよ。あれね、最近スマホ換えたんで、メール送れるかどうか試しただけなんじゃないかな(笑)。母は、1作前の『新解釈・三国志』について怒りましてね、「何にも面白くない!なんであんなにふざけてんだ?」ってね(笑)。母には理解できなかったみたいで。でも、今回の映画は大変喜んでました。「こういう映画に出なさい」って言ってました。


damashie-bu-oo-2.JPG――Twitterのコメントで、「あっという間に、ラスト!」「洋ちゃん、カッコいい!」とか「髪の毛くるくるしてないし、氷魚くんと並んでも負けてなかった」と大絶賛なんですが?

大泉:こういうの書いちゃうと、〈どうせ大泉洋のファンが書いたんだろう〉と思われて、中々響かないんですよ。 「“洋ちゃん”って書いちゃダメ!ファンじゃないフリをして書きなさい!」ってね!(笑)


――吉田監督は、Twitterで何か気になるコメントはありましたか?

吉田監督:今回は俳優を褒めて頂くことが多くて、自分の映画でも一番手応えを感じる声ですね。


――ここで、松岡茉優さんからのお手紙を読ませて頂きます。

大泉:あら、茉優ちゃんから!? 宣伝部に「書け!」って言われたんでしょうね(笑)

(松岡茉優の手紙):ご来場の皆様、本日はお越し頂きまして誠にありがとうございます。「もう二度目だよ~」という方もいらっしゃるのではないのでしょうか。本作の見所は〈どんでん返しの騙し合いバトル〉ということで、二度目も三度目も楽しんで頂けるのでは、と思っております。そして、その後ロングラン大ヒット舞台挨拶で、大泉洋さんと北海道へ行きたいのです。大泉洋さんを北海道の大地がどう迎えるのか目撃したいのです。吉田監督も北海道へ行きたいですよね?


damashie-bu-oo-4.JPG――というお手紙を頂きましたが?

大泉:それは是非北海道へ行って美味しい物でも食べたいですねぇ。でも、茉優ちゃんが思ってるほど私は北海道で熱烈に迎えられる訳ではありませんよ。東京で活動し始めた頃に出演した映画の舞台挨拶で、他の会場ではワ~っと大歓迎だったので北海道ではどうなるのでしょう?と、いざ北海道へ行ってみたら、もの凄く会場が静かだったんですよ(笑)。北海道の人にしてみれば、私を見る“ありがたみ”というのがそんなに無いんですよね。ずっと見てますから。親戚の叔父さんみたいな感じで落ち着いて見守ってくれているという感じなんです。

――吉田監督も行きたいですよね?

吉田監督:はい、行きたいです。北海道に限らず、観て頂けるのならどこへでも行きたいです。


――実は、大泉洋さんは4月3日にお誕生日を迎えられました!

(観客から大拍手でお祝い!吉田監督からはお祝いの花束を贈られる)

吉田監督:48歳? 48歳は47歳とは大分違いますから、頑張って下さい。

大泉:はいはい、誰でも分かることです(笑)

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――お誕生日には何をしておられましたか?

大泉:現在公演中のTEAM NACSのお芝居で大阪入りした日で、いつもの代り映えのしないバカな4人と一緒に稽古してました。

――皆さんから何かサプライズみたいなものはなかったのですか?

大泉:いや~、何も~、“おめでとう”すら聞いてないです。でも、スタッフが、リハーサル中の休憩の時に、いきなり私にスポットが当たりまして、リーダーが「古畑任三郎みたいだぞ!」って言うもんだから、任三郎の物まねみたいことやっていたら、♪ハッピーバースデー♪の曲がかかって、可愛らしいケーキを用意してくれましたので、皆で食べました。

――それでは、抱負だけお聞かせ願えませんか?

大泉:いいんですか?私はいろんな所で抱負だけを語る男なんでね(笑)

48歳ということでございまして、大概の方は大人になるのでしょうけど、私はいつまで経っても大人になり切れず、---------『騙し絵の牙』のような映画に出て、カッコいい大人になろうと思います!後ろ指を指されて笑われるような人間にならないよう、頑張りたいと思います。TV「水曜どうでしょう」に出てるから悪いんです。あの番組やめます!(笑)ありがとうございます!


damashie-bu-550-1.JPG――最後のご挨拶

大泉:公開されて何日か経っておりますが、こうして沢山の方に観て頂けて嬉しいです。本編は、「騙し騙されのストーリー」の面白さもさることながら、基本的に「一所懸命に働く大人の物語」かなという気がしております。男性も女性も必死に自分のやりたいこと、面白いことを探し出して、懸命に生きている大人たちの爽やかな映画だと思います。これから働こうという学生の皆さんも実にいい刺激を受ける映画でもあります。いろんな視点で楽しめる映画ですので、多くの方に楽しんで頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

吉田監督:今見て頂いたような面白い大泉洋さんではなく、「違う魅力の大泉洋さんを見られる映画だよ」ということを、周りの方に薦めて頂きたいと思います。今日はどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 


『騙し絵の牙』

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【STORY】
~最後に笑うのは誰だ⁉ 全員クセモノ!仁義なき騙し合いバトル、遂に開幕!~

大手出版社「薫風社」に激震走る!かねてからの出版不況に加えて創業一族の社長が急逝、次期社長を巡って権力争いが勃発。専務・東松(佐藤浩市)が進める大改革で、雑誌は次々と廃刊のピンチに。会社のお荷物雑誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水(大泉洋)も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされる…が、この一見頼りない男、実は笑顔の裏にとんでもない“牙”を秘めていた!嘘、裏切り、リーク、告発。クセモノ揃いの上層部・作家・同僚たちの陰謀が渦巻く中、新人編集者・高野(松岡茉優)を巻き込んだ速水の生き残りを賭けた“大逆転”の奇策とは!?
 

■監督:吉田大八 ■脚本:楠野一郎 吉田大八
■原作:塩田武士「騙し絵の牙」(角川文庫/KADOKAWA 刊)
■出演:大泉洋 松岡茉優 宮沢氷魚 池田エライザ/斎藤工 中村倫也 佐野史郎 リリー・フランキー 塚本晋也 / 國村隼 木村佳乃 小林聡美 佐藤浩市
■コピーライト:©2021「騙し絵の牙」製作委員会
■配給:松竹
公式サイトmovies.shochiku.co.jp/damashienokiba/

2021年3月26日(金)~大阪ステーションシティシネマ/なんばパークスシネマ/MOVIX京都/神戸国際松竹/MOVIXあまがさき/MOVIX八尾/MOVIX堺 他全国絶賛公開中!


(河田 真喜子)

 

 

 
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「自然と一体化したブータンの伝統的な美しさを見せたい」
『ブータン 山の教室』パオ・チョニン・ドルジ監督インタビュー
 
 幸せの国として知られるブータンを舞台に、僻地のルナナ村に教師として赴任することになった青年、ウゲンと、村人や子どもたちとの交流を通じて改めて幸せの意味を考えたくなるヒューマンドラマ『ブータン 山の教室』が、4月30日(金)よりシネ・リーブル梅田、京都シネマ、5月7日(土)よりシネ・リーブル神戸、他全国順次公開される。
 
 監督は、本作が初監督作となるブータン王国出身のパオ・チョニン・ドルジ。数人の主役級俳優を除き、ルナナ村の人たちが映画に出演。映画を見たことのない村の子どもたちが、生徒役としてとても自然な表情を見せている。標高4800メートルのルナナ村への徒歩の旅路や、村の四季の情景の美しさ、氷河を抱く山々にこだまする、ヤクに捧げる歌の響きなど、騒々しい日常を忘れさせてくれる風情も大きな魅力の作品だ。オーストラリアで歌手の夢を叶えようと移住を計画しているウゲンがどのような成長を遂げるかにも注目してほしい。本作の脚本、プロデュースも務めたパオ・チョニン・ドルジ監督にリモートインタビューを行った。
 

 
―――大阪アジアン映画祭2017ではプロデュース作品『ヘマヘマ:待っている時に歌を』のゲストとして来阪されましたね。『ヘマヘマ〜』は非常に前衛的な作品だったので、初監督作の『ブータン 山の教室』は全くテイストが違うことに驚きました。本作は幸せについて考えさせられますが、ブータンが「幸せの国」と呼ばれることに対し、監督自身はどのように感じているのですか?
ドルジ監督:幸せとは非常に主観的なものですが、幸せになる理由や条件は変わり続けています。ブータンは多くの国から幸せと思われていますが、何が幸せなのか、私たちもブータンの人たちも分からなくなっている気がします。うつ病にかかる人や自殺率が多いのが実情ですし、おそらく世界で一番都会への流入率が高いのではないでしょうか。またウゲンのように若い人たちは自分が何をしたいのかわからず、答えはブータンの外にあると考えている人が多いです。
 
以前、私たちにとっての幸せはブータンの伝統文化や精神的な支えである仏教に基づいていました。ブータンは、何世紀にもわたって続いた鎖国状態が、まさに一晩にして開国したような変化を経験し、今の若い人たちが抱く幸せはテレビやインターネットに影響されています。モダンで西洋的な生活が幸せだと考えている人が多いのですが、そういう生活はブータンにはない。自国にないものを求めるので、幸せ度は減ってしまうのです。
 
 
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■プロデュース作の上映禁止を糧に、ユニークさと観客を喜ばせる内容を取り入れる

―――監督ご自身は世界中を旅されておられますが、ルナナ村との出会いについて教えてください。また、僻地での撮影は非常にチャレンジングですが、それを貫いた理由は?
ドルジ監督:『ヘマヘマ〜』はとても実験的な映画で、映画祭界隈では非常に評判が良く、有名な映画祭にも招待されましたが、ブータンでは上映禁止になってしまいました。批評家は物議を醸す作品を好むので、上映禁止により評価はさらに高まりましたが、私自身、非常に深く映画に関わっていたので、とても心が挫ける経験になってしまったのです。その時、自分が監督する映画は、海外の映画祭で上映されるユニークさは持ちつつも、観客を喜ばせる内容のもので、少なくともブータン政府から発禁処分を受けない作品を作ろうと心に決めました。そして色々な人々にアートの力、映画の力を見せたいと思った。それが『ブータン 山の教室』を作る最初の動機です。おかげで海外の映画祭をはじめ、上映後の評判も良く、ブータン政府も上映を許可しているのでその思いは遂げたと思います。
 
 
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■西洋的な価値観を持つ者を誘う正反対の僻地を探して

―――なるほど、前作の経験から作品の方向性が決まったのですね。
ドルジ監督:ブータンに限らず、世界のほとんどの人は西洋的な価値観をもとに幸せについて考えていると思うのですが、その反対を見せたいと思いました。ですから西洋的な価値観を持つ主人公をルナナへ旅させようと思ったのです。私自身も反対のものを見せるために僻地を探し歩き、ようやく出会ったのがルナナでした。ここはブータンの中で非常に伝統的な場所であり、ブータン人にとっても一番辺鄙な場所です。そこに行くために14日間歩き続けなければいけません。また、ルナナという名前は「暗い谷」という意味で、西洋的な価値観で幸せを求めている人が、反対の暗闇に行き、幸せの光の意味を知るという意図でこの場所を選びました。
 
―――僻地、ルナナでの撮影は相当大変だったのでは?
ドルジ監督:電気はなく太陽電池のみだったので、その電源は全て撮影と録音のために使い、ラフカットを作るまで自分たちが何を撮ったのか見ることができませんでした。アメリカでも仕事をしている撮影クルーからは、アメリカには組合があり、撮影クルーは徒歩15分圏外から出てはいけない決まりになっているのに、この撮影は14日間歩かなければ通りにも出ないような場所に連れてきて、ベッドもシャワーもないところで仕事をさせると冗談ぽく言われましたね。ブータンには組合がなくて良かったです。実際、クルー達はルナナでの生活をとても楽しみ、帰るときにはノスタルジックな気持ちになっていましたよ。
 
 
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■ブータンの伝統文化や知恵の美しさを思い出させる「ヤクに捧げる歌」

―――原始的な歌の誕生や、今につながる歌の継承も大きなテーマになっていますが、セデュが歌ったヤクに捧げる歌について教えてください。
ドルジ監督:文明や文化は様々な心情や信仰、伝統を持っていますが、だいたいそれは過去の話に基づいていますし、特に歌は過去を語っていると思います。ヤクに捧げる歌を映画の中心に据えたのは、我々のご先祖様たちが今、忘れられていると感じたからです。ヤクに捧げる歌はブータンの文化や伝統を表しています。カルマや輪廻転生というブータンの人にとても大切な考え方や、山、氷河、水とブータンの人が伝統的に抱いている周りの環境への敬意を歌っています。でも、今は過去のものとして忘れられ、多くの若者はウゲンのように自分が人生に求める答えはブータンの向こうにあると思っていますが、そんな彼らにブータンの伝統文化や知恵の美しさを思い出してもらいたいという狙いもありました。どうしても古臭い音楽と思われがちですが、映画に取り入れることで、むしろカッコいいと再発見してもらいたいという気持ちもあったのです。
 
―――セデュがウゲンに歌を教えるシーンや別れのシーンも印象的でしたね。
ドルジ監督:ウゲンはブータンの現代の若者の代表として描いています。彼はオーストラリアで歌手になり周りから認められたい、有名になりたいと幸せを外側に求めていますが、セデュはその真反対の立場をとる人物です。彼女は鳥のために歌うなど、歌は捧げ物だと思っており、それはブータンの伝統的な価値観を表しています。最後にウゲンは一緒に来ないかと誘いますが、セデュはルナナに居続けるということで、正反対のバランスを保ち続けるだけでなく、ウゲンはセデュからも人生に求めていることを学んでいるのです。二人の間にロマンチックな雰囲気をほんの少しだけ出していますが、それが余計にみなさんの想像を掻き立てているかもしれません。
 
 
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■教室にいるヤクのノルブ(宝)が、自然と一体化したブータン

―――ありがとうございました。最後にどうしてもお聞きしたかったのが、長老のヤク、ノルブのことです。教室で飼われているノルブは授業中の生徒たちと必ず一緒の画に収まっていましたが、この映画でノルブが果たした役割について教えてください。
ドルジ監督:学校の先生が、毎日火起こし用にヤクの糞を拾い回ることに疲れてしまい、ヤクを教室の中に入れたという実話を知り、それに基づいてこのシーンを考えました。ヤクが教室にいることで、ブータンの文化のとんでもないぐらいの美しさ、現代的概念がないぐらい自然と一体化しているところを見せたいと思ったのです。
 
ヤクはおとなしい動物ではないので、最初、私が教室にヤクを入れようとした時に、子どもたちはとても怖がっていました。壁を取り払い、2つの教室を1つの大教室にしたのですが、建物自体が大きくないので、もしヤクが暴れたら壊れてしまうのではないかと心配していました。ノルブを演じてくれたのは、白い斑点があるナカという名前のヤクで、ルナナで一番気が優しいヤクだったのです。高山病の人を下山させる仕事で、人の役にも立っている、とても気のいいヤクでした。だから、撮影が終わってナカを教室から出すとき、悲しい気持ちになりましたし、撮影が終わることを実感しました。ナカは、撮影の後老衰で亡くなってしまったので、映画の中でナカが生き続けていると思い、共に撮影ができたことを光栄に思うと同時に、とても感謝しています。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ブータン 山の教室』(2019年 ブータン 110分)
監督・脚本・プロデューサー:パオ・チョニン・ドルジ
出演:シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップ、ケルドン・ハモ・グルン
2021年4月30日(金)よりシネ・リーブル梅田、京都シネマ、5月7日(土)よりシネ・リーブル神戸、他全国順次公開
公式サイト→https://bhutanclassroom.com/
(C) 2019 ALL RIGHTS RESERVED

 

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(2021年3月13日(土) シネ・リーブル梅田にて)

ゲスト:柳楽優弥(主演)、KENTARO(監督)

 

「ありのままの自分を活かしてくれた監督に感謝」――柳楽優弥

「柳楽君は、役者にとって一番大事なものを持っている」――KENTARO監督

 

日本・モンゴル・フランスの合作映画『ターコイズの空の下で』は、自堕落な生活を送っていた青年がモンゴルの大草原を旅しながら成長していくロードムービーである。

同世代の俳優の中でも抜群の存在感を示す柳楽優弥が主演のタケシを演じ、『誰も知らない』以来となる即興的演出に手応えを感じたようだ。そして、タケシを案内するアムラを演じたのは、モンゴルのスーパースター、 アムラ・バルジンヤム 。遊牧民特有の大らかな逞しさでタケシを導き、その雄姿はモンゴルへの憧憬へと繋がっていく。さらに、俳優でもあるKENTORO監督は、大自然と対峙しながら生きる人々を悠然たる映像で捉え、“本当の幸せって何?”と現代人が忘れてしまった何かを思い起こさせてくれる。


tarcois_sub.jpg柳楽優弥は、約3週間半に及ぶモンゴルロケで、当たり前のように享受していた文化的生活から遮断され、「自分自身を見つめ直す時間が持てたことはラッキーでした。より前向きに仕事に取り組めている自分がいます」と述懐。KENTORO監督も、「携帯も通じない、物のない生活を送ると、本当に必要なものとは何かを考えました」と、映画の主人公同様に、撮影隊全員がテーマを追体験してきたようだ。

柳楽優弥は今年31歳。若手俳優の中でも16年以上のキャリアを持ち、あまり生活感を感じさせないが、他の人より濃厚な俳優人生を歩んでいるように見える。そんな異色ともいえる唯一無二の存在感は、KENTARO監督にも期待されているように、海外を視野にした今後の活躍ぶりが楽しみな俳優だと思う。


関西での公開に合わせて来阪したお二人にお話を伺うことができたので、下記にご紹介致します。


(以下はインタビューの模様です。)

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――美しい映像でしたが、撮影で特にこだわった点は?

K監督:こだわった点?あり過ぎました(笑)。今はTVや小さい画面で観ている時代ですので、どうやったら映画っぽく作れるかという事にこだわりました。映画館で観る価値のある映像を撮るために8Kで撮る。今こそ違いを見せるために、美術や色彩・構図にこだわり、ハイレベルの技術を目指していました。所々、ヌーヴェルバーグへのオマージュを込めたところもあります。


――俯瞰・ロングでのショットなど人物と大自然との対比でよりスケールアップする構図に惹かれました。

K監督:そうですね、構図には強弱を付けました。顔のアップにも、顔のテクチャ―を表現として使いました。例えば、麿赤児さんの顔は最初からアップで撮ると決めていたんです。彼の顔には人生が滲み出ているので、あのマーキングされたような皺ひとつがモンゴルの山を連想させる。モンゴル人ではないけど、モンゴルをイメージさせる顔って、そう居ないですよね。素晴らしいあの声と顔と演技、麿さんはとてもユニークな俳優さんで、三郎の役はファーストチョイスでした。


――柳楽さんは、外国ロケは『星になった少年』以来15年ぶりだと思うのですが?

柳楽:あの時は、『誰も知らない』直後で、いきなり大作に出演することになって、まだどうやって演技したらいいのかよく分からず怖かったです。今回はウランバートルから車で9時間位の所での撮影でした。ラクダや羊や馬はいっぱい居ましたが、携帯も通じないような所で、自分自身を見つめ直す瞬間が沢山ありました。

今までは個性が強い役柄を演じることが多かったのですが、今回は即興演出的な感じもあり、より役者の力量が試されているようでした。でも、「こういうの好きだ!」と初心に戻れたようでした。今までいろんな役を演じてきて、自分でも分からなくなってきていたことに気付けた気がします。20代後半でこのことに気付くことができて、30代のプランみたいなものが見えてきました。それはとてもラッキーなことでした。今、より前向きに仕事に取り組めている自分がいます。

turquoise-550-2.jpg――柳楽優弥さんを起用した理由について?

K監督:役者にとって一番大事な「ピュアで素直」なところを感じたことと、「野性味」を持っているところです。それは俳優やミュージシャンには必要なことで、人間が忘れてしまった野性味を、歳をとってからも保ち続けることはとても難しいことなんです。柳楽君はまだ若いですけどね。

私が旅をして来た中で、モンゴルが一番カルチャーショックを受けた国です。モンゴルは儒教の国ではなく、チンギス・ハーンの国で、同じ東洋人でもプライドの持ち方や価値観などすべてにおいて違います。ましてや、文化的な生活に慣れている日本人にはその衝撃は大きいと思いますよ。アジアの文化圏でも違う文化を持っている国なんです。


――日本人にとってモンゴルに対してのイメージは、相撲界で活躍されている力士や、雄大な大自然への憧れがありますが、特別なシンパシーを感じるものなのでしょうか?

K監督:そうです。モンゴル人の男らしさも、日本のひと昔前の“男らしさ”というイメージかなと思います。モンゴル人も日本人に近いものを感じていると思います。


turquoise-500-4.jpg――撮影中、一番大変だったことは?

柳楽:大変なことが多かったです! 日本から持ってきていたカップ麺を、プレイリードッグに何個か食べられちゃいました(笑)。

K監督:それと必要な物はポン酢ね。ラム料理には欠かせないので、持って行くのをおススメします。

柳楽:大変でしたが、ある意味、心のデトックス効果があったように感じます。とにかく、物がない。でも、より精神的に学べることが多かったように思います。

K監督:世界がこのように大変な状況にある中で、ある意味、根源的な価値観を大事にすることが必要です。だからこそ、モンゴルの暮らしが尊く感じられると思います。

約3週間半の間、携帯電話が使えなかったのですが、私は最初から諦めて、使えなければ「何が大事か?」って他のことを考えました。いろんな国を旅行していますけど、社長と呼ばれるような人でも、モンゴルの風景を見て感動して涙を流していました。モンゴルには心を大きく揺り動かす何かがあるんです。そんな国って、他にはないように思います。

モンゴルは海抜が高く、雲がすぐそこにあり、プラネタリウムのような本物の星空を間近に眺めることができるんです。「この美しい瞬間を撮りたい!」という衝動に駆られました。アムラと出会ってこの話をしたら、「すぐやろう!」ということになって、この映画が稼働し始めたのです。


――今回の役は、祖父の若い頃の体験を追体験しながら成長していくような旅だったと思いますが、即興的演出の中でも、成長に繋がるような演技を意識されましたか?

柳楽:今までも自分の中では常にもっと良くしたいと考えながら演じていたのですが、この作品では、“放り込まれた感”というか、“これが自分の記録だ”なんて開き直った面もあれば、悩んでいた面もあり、すべてを記録してもらった感じです。役作りということはあまりなくて、もう“行って来ます!”という勢いでやりました。


――そんな柳楽さんを監督がしっかり受け止めて描いているのが、この映画の醍醐味ではないかと思うのですが?

K監督:ありがとうございます。この作品は、いい役者+いい役者、全く違う感覚を持った者同士がぶち当たった時に生まれるエネルギー効果が活かされています。それが本当の演技なのだと思います。それはとても難しいことですが、柳楽君はとてもいい役者なので、言葉ではなく役と本当の自分とが混じり合った瞬間を写し撮ったのです。10年後に同じことはできないと思います。この映画は、彼の記録であり、役になり切って本当の涙を流したのもすべて、演技に対するパッションなのです。


――ロードムービーとしていろいろご苦労されたと思いますが、「完成した」と実感した瞬間はありましたか?

K監督:なかったですね。全く「完成した!」という気持ちはなかったですが、いつかはケジメをつけなきゃならないし、映画祭に出品することが決まった時に完成させました。

柳楽:海外の映画祭では、監督が通訳なしで爆笑させるんですよ。これは凄いなと思いました。自分も監督のように、外国の方に直接アピールできるようになりたいと思っています。

 


『ターコイズの空の下で』

【解説】
turquoise-pos.jpg『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭主演男優賞に輝き、以降も『許されざる者』、『ディストラクションベイビーズ』など意欲作に出演する柳楽優弥が、新たな挑戦として臨んだ初の海外合作。資産家の祖父を持ち、東京で自堕落で贅沢三昧の暮らしを送る青年タケシはある日突然、モンゴルに送り込まれる。目的は、第二次世界大戦終了時にモンゴルで捕虜生活を送った祖父と現地の女性の間に生まれ、生き別れとなった娘を探すこと。ガイドは、馬泥棒のモンゴル人アムラ。果てしなく広がる青い空の下、言葉も通じない、価値観も異なる二人の詩的でユーモラスな旅が始まる。監督は、『キス・オブ・ザ・ドラゴン』や『ラッシュアワー3』など多数の欧米作品への出演経験を持つKENTARO。


【STORY】
大企業の経営者を祖父に持つタケシ(柳楽優弥)は、祖父の三郎(麿赤児)からモンゴルへ人探しに行くように言われ、アムラ(アムラ・バルジンヤム)というちょっと得体の知れないガイドと共にモンゴルへ行く。東京で自堕落な日々を送っていたタケシにとって、携帯も通じない、言葉も分からない、迷子になって狼に遭遇するなど、カルチャーショックと共に死ぬほどの思いをしながら、物質的なものではなく精神的な豊かさの中で成長を遂げていく。

タケシの旅には、祖父の若き日の悔恨の想いが込められていた。第二次世界大戦後に捕虜としてモンゴルで強制労働に就かされていた祖父は、モンゴルの女性との間に娘を儲けていたのだが、帰国後行方知れずとなっていた。タケシにとって祖父の娘を探す旅は、祖父が辿った道を追体験する旅と重なり、雄大な大自然の中で暮らすモンゴルの人々の大らかさや逞しさに触れながら、人間として大きく成長していくのである。


■監督・脚本・プロテューサー:KENTARO
■出演:柳楽優弥 アムラ・バルジンヤム 麿赤兒 ツェツゲ・ビャンバ
■2020年製作 日本・モンゴル・フランス合作 上映時間:95分
■配給:マジックアワー マグネタイズ
公式サイト:http://undertheturquoisesky.com
■ (C)TURQUOISE SKY FILM PARTNERS / IFIPRODUCTION / KTRFILMS

■2021年2月26日(金)~新宿ピカデリー、3月12日(金)~シネ・リーブル梅田、アップリンク京都、MOVIXあまがさき、4月9日(金)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開


(河田 真喜子)

 

 

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感情が溶け合い、心を震わせる珠玉の青春群像劇!

さそうあきら原作『神童』『マエストロ!』に続く音楽映画3部作が堂々完結!

映画『ミュジコフィリア』


井之脇海初主演(『サイレント・トーキョー』『俺の家の話』)
松本穂香ヒロイン(『この世界の片隅に』『みをつくし料理帖』)
 山崎育三郎天才作曲家(『イチケイのカラス』『エール』)

3/29(月) 映画『ミュジコフィリア』プレイベント実施!

musico-ivent-500-2.jpg~映画から現代音楽、ダンスまで オール京都アートイベント~


文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞の2度受賞、手塚治虫文化賞マンガ優秀賞など輝かしい実績と数多くのファンを持つ漫画家・さそうあきら。映像化された作品も多く、なかでもクラシックへの深い愛情と造詣に裏打ちされた『神童』『マエストロ!』は、<耳で観る映画>として現在でも高い評価を獲得。そして今回、その2作品に続く、音楽をテーマとした3部作の最終作『ミュジコフィリア』(第16回⽂化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作)が2021年秋、待望の映画化となります!

自然のなかの「音」を理解し、モノの形や色が「音」として聴こえる特殊な才能を持ちながら、著名な作曲家の父と若手天才作曲家として期待される異母兄へのコンプレックスから音楽を遠ざけてきた主人公・漆原朔を、若手実力派として活躍をつづけ本作が長編映画初主演となる井之脇海!朔と同じように自然にある音や物を理解し声で表現する能力を持ち、朔に想いを寄せる芸大のピアノ科生、ヒロイン・浪花凪を松本穂香が演じ、朔の異母兄で天才作曲家としての将来を期待される一方、父親の呪縛から逃れられないでいる貴志野大成をミュージカルからドラマまで幅広い活躍をみせる山崎育三郎が演じます!そして監督は、2010年『時をかける少女』で長編映画監督デビューし、「マザーズ」「人質の朗読会」などドラマでも国内外多数の受賞歴を持つ谷口正晃

京都の芸術大学に音楽へのコンプレックスを持って入学した主人公・朔が、ひょんなことから現代音楽の世界に身を投じ、さまざまな出逢いを経て自分の音楽を創りあげていくーー。



この度、公開に先立ち、329日(月)京都にてプレイベントを実施いたしました!主演・井之脇海、谷口正晃監督、原作者のさそうあきら氏が登壇し、本作への想いを語りました。

【日時】3月29日(月)19:00~20:30
【場所】ロームシアター京都(京都市左京区岡崎最勝寺町13)
【第一部】本作に登場する新作音楽のコンサート+パフォーマンス
【第二部】特別予告編の初上映+ティーチイン
 登壇:井之脇海、谷口正晃監督、さそうあきら氏(原作者) MC:大野裕之(脚本)


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冒頭の挨拶で、さそうは「自分の原作が映画になるのはとても光栄です」とニッコリ。谷口監督は「もうすぐ本編が完成しますが、京都市、そして京都市立芸大のみなさんの多大な協力があったことに改めて感謝いたします」と深々とお辞儀をし、大野は「キックオフとなる最初のイベントにふさわしい理想的なメンバーが集まりました!」と満足の様子。井之脇も「短い時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします」と柔らかな表情を浮かべ会場を見渡していました。


さそうにとって『神童』『マエストロ!』に続き、音楽をテーマにした三部作の最終作となる『ミュジコフィリア』がついに映画化。さそう自身『ミュジコフィリア』が映画になったらいいなと思っていた一番の作品としつつ、「(映画化に)たどり着くことができて、うれしい限りです」とよろこびを語った。さらに、本作の舞台、京都については「古い伝統と新しい創作が出る場所というイメージがあり、現代音楽を(描く)場所として本当にふさわしいと思っています」と解説した。


谷口監督は「音楽をメインに、ダンスなどのパフォーマンスも含めてすべて、出演者本人の体でやってもらいました。出演者が必ずしも音楽をやっている人というわけではないので、映画作りにかかる労力は結構なものと覚悟はしていました。もちろん、撮影はとても楽しみにしていましたが、正直、すごく大変そうだなという思いもありました。あともう一息で完成することにホッとしている段階です」と映画が完成間近であることを明かしていた。地元・京都での撮影は「慣れ親しんでいる場所だからこそ、大事に撮ろうと思いました。京都の良いところを大事に撮るけれど、観光的なものにならない、ご当地映画にならないよう意識しました。映画の中で活きる場所、物語の中で違和感がないようにきれいに撮影することを心がけていました」と思いを語った。


『トウキョウソナタ』(08)で、天才ピアノ少年を演じた経験を持つ井之脇は、音楽にまつわる作品は、自身のターニングポイントにもなっていると前置きし、「『トウキョウソナタ』のときは、12歳でお芝居の武器もまだあまり持ち合わせていない頃でした。唯一の武器が、小学生までやっていたピアノでした。作品が評価されたことで、役者の楽しさを知ることもできたすごく大きな経験です。今回は、音楽をテーマにした僕自身初めての主演映画なので、ピアノも出てくるし、きっとこれも転機になるのではと思っています。だからこそ、誠意を持ってチャレンジしなければいけない作品だと、お話をいただいたときに感じたことを思い出しました」と胸のうちを明かした。


musico-井之脇海.jpg朔との共通点について井之脇は「音楽が好きで、ピアノが好きだということ。音楽への愛情や感情は役作りの中にあったと思います」と説明。撮影中はホテルにピアノを持ち込み練習していたことに触れ「夜な夜な弾いていたので、隣の(部屋の)人は迷惑だったと思います」と気まずそうに微笑んだ。初主演映画へ心境について「この数年、いろいろなお仕事に関わる中で、役者として一歩成長できるような、転機になるような作品に出会いたいと思っていたところに、今回のお話をいただいて。大袈裟かもしれないけれど“運命”だと思いました」としみじみ。


「撮影中はプレッシャーも、不安もあったし、公開を控えた今でもそういう気持ちはあります。でも、ピアノという自分の武器を活かし、素敵なキャスト、スタッフのみなさんと一緒に映画を作ることができたので、完成前ですが、やれることはやり切ったという気持ちです」と清々しい表情を浮かべた。


俳優・井之脇海について谷口監督は「キャリアがあるにもかかわらず、良い意味で技術などが固まっていない。完成されたものに初々しさがあるのは最大の魅力だと思うし、朔役になるべき人がなってくれたと思っています」と絶賛。さそうは「僕の中では、(放送が終了したばかりの)ドラマ『俺の家の話』のイメージが強いです。『ミュジコフィリア』の完成版を観る前なので、この人が朔をやっているのかなんて思っていました」とドラマと朔とのギャップを楽しんでいたことを明かした。


井之脇の京言葉については、京都、関西にゆかりのある大野が「違和感のない京言葉だった」と絶賛。これに対し井之脇は「監督はそう思ってない気がします」と疑いの様子。「芝居に感情が入ってくると、イントネーションや音をうまく表現しきれない。イントネーションや音を優先しているときは、大丈夫なんですけどね。でも、監督は京言葉(の出来)よりも芝居を優先してくれたので、ありがたいと思いました。僕の疑問点や意見にも、きちんと答えを返してくれるので、監督のことを一番信じていればいいんだと思って撮影していました」と撮影時の心境を振り返った。


ここで、朔に思いを寄せるピアノ科生・浪花凪役の松本穂香と朔の異母兄の貴志野大成役の山崎育三郎からのビデオメッセージが到着。松本は「京都の自然に触れながら、気持ち良く撮影を乗り切ることができました。今まで挑戦したことのないギターやダンスにも挑戦しましたが、周りの方たちに支えながら最後までやることができました」と感謝し、山崎は「お芝居だけでなく、京都での滞在中、一番長く一緒の時間を過ごしたのが井之脇くんです。お酒を飲みながら、音楽について語り合った時間はとても楽しく、愛おしいです。音楽は言葉を超える瞬間がある、言葉以上に伝えられるものがあるというのを最後のシーンを演じて感じました。素晴らしい作品です」と自信を見せていた。


イベントでは本作の特別予告編が本邦初公開。さそうは「映像の断片が観れただけでも最高です。ピアノの下から凪が出てくる場面は、映像化できないと思っていました。最高だと思いました!」と最高を連発し大満足の様子。井之脇も「こうやって映像になると感慨深いです。個人的なことになりますが、15年ほど、今の仕事をしていますが、自分の名前が最初に出てくることのよろこびを噛み締めています。ようやくここまで来たという気持ちと、ここが新たなスタートかもしれないし、通過点かもしれない。いろいろ頭を過ぎるものはありますが、映画の公開はこれからなので、音楽のよろこびが溢れる作品を多くの人に観てほしいと改めて思いました」と心境を明かした。


プレイベントの締めはみんなで演奏をして終わりたいという大野の提案で、第一部、第二部の出演者が一緒に演奏をする場面も。『ミュジコフィリア』の世界観にふわさしい、第一部、第二部の出演者が“音楽で繋がる”瞬間を見ることができた。


イベント最後の挨拶で、谷口監督は「音楽、ものを作るよろこびを映画で感じ取ってください」と呼びかけ、さそうは「音楽がBGMのように使われていないのが特徴で、音楽のための映画だと思います」と見どころをアピール。井之脇は「不器用な人がたくさん出てきますが、彼らが大好きな音楽を通じて触れ合っていく姿が描かれています。音楽はもちろん、何か夢中になるものがある人の心に響く作品です。多くの方に観ていただきたいです」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。
 



映画『ミュジコフィリア』

<ストーリー>
京都にある芸術大学に入学した漆原朔は、思いがけず強引に現代音楽研究会にひき込まれる。だがそこには朔が音楽を遠ざけるきっかけとなった異母兄の貴志野大成と、朔が憧れる大成の彼女、小夜がいた。大成は天才作曲家として注目される存在であり、朔はそんな大成を一途に愛する小夜との間で苦悩する。子供の頃からモノの形や色が「音」として頭の中で鳴っていた朔は、やがてそれらが現代音楽を通して表現できることを知る。そして朔と同じように自然の音を理解する女性、浪花凪が現われて、朔は秘めた才能を開花させようとしていたー。
 


原作:さそうあきら(双葉社刊) 第16回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品
出演:井之脇海/松本穂香/山崎育三郎ほか
監督:谷口正晃『時をかける少女』「マザーズ」「人質の朗読会」  
脚本・プロデューサー:大野裕之『太秦ライムライト』『葬式の名人』
撮影期間:2020年10月末~11月中旬  撮影地域:京都市内全面ロケ
製作:「ミュジコフィリア」製作委員会  制作:株式会社フーリエフィルムズ
後援:京都市  特別撮影協力:京都市立芸術大学  
配給:アーク・フィルムズ

2021年秋 TOHOシネマズ日比谷 他 全国ロードショー(京都先行公開)


(オフィシャル・リリースより)

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