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2022年2月アーカイブ

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 『害虫』『抱きしめたい -真実の物語』の塩田明彦監督が、前作『さよならくちびる』に出演した元さくら学院のメンバー、新谷ゆづみと日髙麻鈴を主演に書き下ろした最新長編作『麻希のいる世界』が、3月18日(金)より出町座、京都シネマ、シネマート心斎橋、3月19日(土)より元町映画館で公開される。
 
 重い持病を抱え、ただ「生きる」ことを求められてきた高校生、由希(新谷ゆづみ)は、海岸で、学校でほとんど見かけることのない同級生、麻希(日麻鈴)と運命的な出会いを果たす。麻希の歌声とその才能に魅了された麻希、由希と義理のきょうだいになるかもしれない不安を抱え、麻希に傾倒する由希に嫉妬心を覚える祐介(窪塚愛流)、そして自己肯定感を持てず、男や周りの人間を振り回してしまう麻希の3人が、孤立を恐れず、相手への自分の気持ちをぶつけ、自分の愛にまっすぐな姿は、破滅的である一方、清々しく、そして羨ましくもある。かけがえのない10代を全力で生きる彼らの姿は、自粛を強いられる今の学生たち、そしてわたしたちに強烈なメッセージを伝えているかのようだ。
強い眼差しで、映画を引っ張る新谷ゆづみ、周りを翻弄するキャラクターを歌とともに表現する日麻鈴、そして映画では本格出演作でありながら、ジャックナイフのような繊細さをみせる窪塚愛流。3人がみせる青春のひたむきさや輝きは、その強さとともに近年の青春映画の中で群を抜いている。
本作の塩田明彦監督にお話を伺った。
 

 

 

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■『さよならくちびる』でのふたりの演技に「もう一歩先に進んでもいいのではないか」

――――本作は、『さよならくちびる』のワンシーンで共演した新谷ゆづみと日麻鈴を主演に塩田監督が脚本を執筆したオリジナルストーリーですが、そこまでしたいと思わせたふたりの魅力とは?
塩田:ふたりが以前在籍していたアイドルグループ、さくら学院はその活動から派生したバンドユニットBABYMETALが生まれているので、面白そうな人たちがいると注目していたのです。演技に関しても何かいいものを持っているのではないかという直感から、新谷さんと日さんを『さよならくちびる』でキャスティングしました。小さな役ではありましたが、自分の見る目が間違っていないことを証明したかったという作り手の欲求もあったのでしょう。現場では、日さんが脚本にないのに突然歌い出したり、即興があり、それが確実に映画を面白くしてくれたという手応えがありました。
 
――――なるほど、見る目は間違っていなかったと。
塩田:そうなんです。それならばもう一歩先に進んでもいいのではないかと思ったのが動機の一つでした。もう一つは、様々な若手の女性監督から、僕の初期作で10代の若者を描いた『月光の囁き』や『害虫』が好きで、映画を撮るきっかけになったと言われることが度々あったこと。とても嬉しいし、それならば僕も歳を重ねたけれど、もう一度、今の自分に何がやれるかをふたりと共に試してみたい。そういう僕のチャレンジ精神がふたりと出会ったことでピタリと重なりました。
 
――――本作の脚本を書かれたのは、緊急事態宣言が最初に発出された2020年の春だそうですが、おそらく全ての仕事がなくなった状況下、そのことが脚本にどんな影響を与えたのでしょうか?
塩田:新谷さん、日さんを主役にした物語を書こうと思ったものの、他の仕事もあり、脚本を書くきっかけがないまま時間が過ぎていたところに、緊急事態宣言が発出され、本当に全ての仕事がストップしてしまった。何にもやることがなくなり、この先どうなるかわからない状況の中、いい機会だから懸案だった10代の少年少女たちの話に取り組もうと1ヶ月ぐらい集中して書き上げました。
 
 
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■コロナ下で考えた、人間が生きる意味

――――新谷さんが演じる主人公、由希は、病を抱え、無理をしないように医者からも釘をさされます。彼女の置かれた状況は、コロナ下で生きるわたしたちの状況ともどこか重なる気がしましたが、今だからこそ込めたキャラクターに対する設定はあるのですか?
塩田:命を大事にして生きなさいと言われている女性が、それを理由に自分の手足で色々なことを経験する機会を奪われているというのは、コロナ下の小中高校生たちの有り様そのままですよね。緊急事態宣言の時に、社会がどうあるべきかという議論があり、様々な有識者が持論を語るなかで、わたしが一番しっくりきたのは、イタリアの哲学者の方の言葉でした。イタリアでは、コロナに感染したら、亡くなって埋葬されるまで家族は患者と会うこともままならない。そんな極端な状況に異議を唱え、生きるためには感染しない生き方を第一にしていると、人間が生きる意味を失ってしまうので、そうではない道を模索するべきだと。僕も正にその通りだと思うし、その考えが本作に大きな影響を与えていますね。
 
 
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■振り回される由希は、徹底的に強い人物

――――今の若い世代は共感世代とも呼ばれ、周りと違うことを恐れる傾向にあるなか、本作では登場人物たちそれぞれが、自分の想いを全力で相手にぶつけていきます。破滅的である一方、どこか憧れを抱く部分もありました。セリフも強いものばかりですが、演じたおふたりに対して、どのような演出を行なっていったのですか?
塩田:麻希はファムファタールで、彼女の美しい歌声が、いつの間にか周りを惑わせ、破局へと導くような人です。日さんもファムファタールという言葉をご存知だったので、「すごく精神の強いファムファタールですよね」と意見が一致しました。一方、麻希からひどい目に遭いながらも彼女に食らいついていく由希を演じる新谷さんには「麻希に振り回されているからとか、病弱だからといって、弱い人では決してない」とお話ししました。
 由希が麻希と出会うことで呼び覚まされた力は、彼女が本来持っていたとても強い力であり、それは生きる力であったり、生きる手応えを掴む力かもしれない。今、自分を生きている証を掴むという意志は麻希以上に強いんです。設定的には過度なストレスで急激に健康状態が悪化してしまう人ですが、エモーションも強いし、いまどきこんな人はいないというぐらい、徹底的に強いという人物像にしました。
 
 
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■ふたつの眼差しの物語

――――眼差しの強さ、セリフの強さに圧倒されました。一度決めたことに揺らぎがないという精神面での強さですね。

塩田:ふたりに敢えて伝えなかったけれど、眼差しがとても大切だということは、脚本を書くときから映画が完成するまでずっと自分の頭のなかにありました。特に新谷さんは彼女の眼差しの奥に垣間見える感情がとても豊かで、些細な眼差しで感情表現が上手いことは『さよならくちびる』の芝居から伺い知ることができました。由希にはその眼差しが必要なのです。一方、麻希は人を吸い寄せるような眼差しで見るけれど、その瞳の奥では何を考えているのかわからない。ミステリーを感じさせる瞳なんです。日さんご自身はおっとりした方ですが、ミステリーを感じさせるルックスを持っておられる。そのふたつの眼差しの物語ですよね。
 
――――そのふたつの眼差しのなかに入ってくるのが、窪塚愛流さんが演じた祐介です。強い個性を放つふたりと関わる人物ですから、よほどの存在感がなければ食われてしまいかねない。キャスティングは難しかったと思いますが、窪塚さんをキャスティングした決め手は?
塩田:主演ふたりと祐介の父役で井浦新さんが先に決まっていて、祐介はなかなか決まらなかった。そこで窪塚愛流さんが本格的に俳優活動を始めたという情報を掴み、一度会うことになりました。もう会ったら、まさに一目惚れで、この人しかいないと思いましたね。僕としてはすごくうまくいったと思っています。祐介はマッチョなタイプではなく、繊細な心の持ち主である一方、ストイックに何かを求めている。由希は一途な眼差しですが、それとは少し違う真剣な眼差しを持っているんです。自分を律している人が持つ真剣さですね。
 
 
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■向井秀徳に託した、社会に対する情念の音楽

――――本当に、真剣さゆえの狂気も感じる、見事な存在感でした。最後に麻希の歌声が物語を大きく動かしていきますが、本作の音楽について教えてください。
塩田:脚本を書きながら、自分が思っている以上に世の中に対する静かな、言葉にならない怒りがこみ上げている気配がそこここに漂っていたので、社会に対する情念の音楽といえば、向井秀徳さんだろうとオファーを考えていました。書きあがって映画を作る段階で、すぐにメールを送りましたね。
 
――――劇中歌の「排水管」は、『さよならくちびる』のハルレオの曲とはまた違う野太さというか、突き上げる感情がありましたね。
 
塩田:『さよならくちびる』の設定は、かつて向井秀徳さんのバンド、ナンバーガールが急遽解散が決まったものだから、発表をしてから解散全国ツアーをやったときの記憶から生まれたものでした。映画が仕上がったらナンバーガールも再結成したので、映画とリンクしている気がしたのです。『さよならくちびる』のハルレオの音楽と、向井さんの音楽は違う気がしたので、あいみょんさんや秦基博さんにお願いしたのですが、今回は向井さんだろう!と。
 
――――麻希の辿ってきた人生と重なり、そして力強い曲でしたね。そして麻希の歌声と同様に由希が流す一筋の涙も美しかったです。
塩田:中森明夫さんから、「塩田さんの映画は、いつも美しい叫びなんだ」と言っていただき、とても感動したのですが、美しいのはそこに愛が込められているからなのです。麻希の歌声もある種、呪いのように響いているかもしれないけれど、それは美しい叫びです。それに応える由希の涙もまた、美しい叫びだと言いたいですね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『麻希のいる世界』(2022年 日本 89分)
監督・脚本:塩田明彦
出演:新⾕ゆづみ、⽇⿇鈴、窪塚愛流、鎌⽥らい樹、⼋⽊優希、⼤橋律、松浦祐也、⻘⼭倫⼦、井浦新 
2022年3月18日(金)よりシネマート心斎橋、京都シネマ、出町座、3月19日(土)より元町映画館にて公開
公式サイト https://makinoirusekai.com/
(C) SHIMAFILMS
 

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 ↑ UKプレミアイベント時、実物の「ウェリントン公爵」と一緒に写るヘレン・ミレン)

 

アカデミー賞®受賞製作チーム『ジュディ 虹の彼方に』『クィーン』
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ロジャー・ミッシェル監督『ノッティングヒルの恋人』

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一家の大黒柱として家計を支える、献身的な妻を熱演

ヘレン・ミレン インタビュー映像到着!!

「彼女を通して現実的な人間の声も聞いてほしい」  


「世界屈指の美の殿堂」と称えられるロンドン・ナショナル・ギャラリー史上唯一にして最大の盗難事件の真相を描いた驚きの実話、映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』。このたび、本作に出演するヘレン・ミレンのインタビュー映像が到着した。

★ヘレン・ミレンのインタビューはこちら
 



goyadoro-pos.jpg1961年、ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)。テレビに社会との繋がりを求めていた時代に、孤独な高齢者の生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が…。


『クィーン』の英国君主エリザベス女王、『RED/レッド』シリーズでは元凄腕の殺し屋、『ワイルド・スピード』シリーズではカーアクションもこなし、御年76歳にして年齢を感じさせない活躍を見せるヘレン・ミレンだが、これまでの華麗でクールなイメージから一転、本作では夫ケンプトンに代わって家計を支える献身的な妻ドロシー役を演じている。


今回届いたインタビュー映像では、映画が実話であることに触れ、本作の魅力を「くすりと笑ってもらえるわ。この映画に流れるユーモアは優しくて、思いやりの行動からにじみ出ているものだからよ。物語にも登場人物にもハマってしまうと思うわ」とアピール。


goyadoro-500-1.jpgのサムネイル画像自身の役どころについては、「ドロシーはバントン家の経済を支える大黒柱なの。夢を追い続ける夫のせいで彼女の人生は苦労が多い」「現実的で地に足をつけて生きている」と説明。続けて「誰もが夢を持つし悪いことじゃないわ。でもお金がなければ電気代も払えず日々のパンも買えないでしょ。映画の冒頭では家族の経済は瀕死の状態。逼迫しているの。彼女を通して現実的な人間の声も聞いてほしいわ」と訴えた。


goyadoro-500-7.jpgケンプトンが訴える年金生活者の受信料無料化にも言及。「BBCは有料で、しかもテレビは貴重だった。私もテレビのない家に育ったわ。一部の家庭でしか見られなかった」と当時を振り返り、「興味深いのは昨日もニュースになっていたことね。今でも受信料の問題が取り上げられているの。ケンプトンが主張していたのとまったく同じだったわ。老齢者には無料にすべきだって今だに議論されてるのよ」と本作が現代にも繋がる話であることを強調した。


goyadoro-500-2.jpg主演のジム・ブロードベントとの共演については、「私たちは老いた夫婦役だけど、長年連れ添った雰囲気が観客に伝わらないと元も子もないわ。夫婦の関係がごく自然に見えないとね。ジムが相手役だからすんなり入れたわ。全く苦労せずにね」と語り、「『インクハート』という作品で共演したくらいだったけれど、この作品で知り合え共演できたのは嬉しいわ」と再会を喜んだ。


ロジャー・ミッシェル監督の長編遺作となる本作。ミッシェル監督作への出演は初めてだというミレンは「面白いことに気づいたんだけど、彼が描くのを得意とする人物はとても彼自身に似ているの。紳士的で優しくてユーモアがあるし、すばらしい人生哲学を持っているところなどね。現場での彼のやり方を見てそれが分かったわ」と明かし、「とにかくとても穏やかで楽しい現場で、よく笑ったしすばらしい雰囲気だったわ。ストレスは皆無だった。彼の持つ人柄が登場人物と重なって見事に融合していたと思う」と撮影を振り返った。
 


【PROFILE】ヘレン・ミレン   1945年7月26日、イギリス・ロンドン生まれ。

ナショナル・ユース・シアターで舞台女優としてキャリアをスタート、その後ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに所属し多くの作品で主演を務める。1969年にマイケル・パウエル監督の『としごろ』で映画デビューを果たす。『長く熱い週末』(80)で注目を集め、『キャル』(84)、『英国万歳!』(94)で2度カンヌ国際映画祭の女優賞に輝く。また、91~06年に渡って放送されたテレビシリーズ「第一容疑者」のジェーン・テニスン役でも知られ、英国アカデミー賞主演女優賞に輝くなど高い評価を得た。エリザベス2世を演じた『クィーン』(06)では、アカデミー賞やゴールデングローブ賞はじめ数々の賞で主演女優賞を受賞。近年も『黄金のアデーレ 名画の帰還』(15)や『ワイルド・スピード』シリーズなどジャンルを問わず幅広い作品に出演している。03年に大英帝国勲章を受勲し、デイムの称号を授与された。


【STORY】

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世界中から年間600万人以上が来訪・2300点以上の貴重なコレクションを揃えるロンドン・ナショナル・ギャラリー。1961年、“世界屈指の美の殿堂”から、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。孤独な高齢者が、TVに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が・・・。当時、イギリス中の人々を感動の渦に巻き込んだケンプトン・バントンの“優しい嘘”とは−!?


監督:ロジャー・ミッシェル『ノッティングヒルの恋人』『ウィークエンドはパリで』
出演:ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィオン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グード
後援:ブリティッシュ・カウンシル 配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2020年/イギリス/英語/95分/シネマスコープ/5.1ch/原題:THE DUKE /日本語字幕:松浦美奈
©PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020

公式HP:happinet-phantom.com/goya-movie/

公式Twitter:@goya_movie

作品紹介はこちら⇒

2022年2月25日(金)~TOHOシネマズ シャンテほか全国公開


(オフィシャル・レポートより)

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アカデミー賞®受賞製作チーム『ジュディ 虹の彼方に』『クィーン』

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ロジャー・ミッシェル監督『ノッティングヒルの恋人』

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ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、

フィン・ホワイトヘッド、マシュー・グードら英国俳優が集結

 

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『ノッティングヒルの恋人』のロジャー・ミッシェル監督長編遺作で、オスカー俳優ジム・ブロードベント×ヘレン・ミレン共演の映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』(2月25日(金)全国公開)。本作で描かれる「ウェリントン公爵」盗難事件の舞台となる<ロンドン・ナショナル・ギャラリー>でのプレミアイベントが開催されました。


世界中から年間600万人以上が来訪・2300点以上の貴重なコレクションを揃え、197年の歴史を誇る〈ロンドン・ナショナル・ギャラリー〉。本作は、1961年、この“世界屈指の美の殿堂”で起きたフランシスコ・デ・ゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件に基づいた驚きの実話で、名画で世界を救おうとした男が人々に優しく寄り添う姿を描いた爽やかな感動作となっている。


イベントには、主演のジム・ブロードベント、ヘレン・ミレンをはじめ、フィン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グードら主要キャストが集結。御年76歳のヘレン・ミレンは、深紅のドレスに身を包み、年齢を全く感じさせない美しさを見せつけた。


goyadoro-premia-500-1.jpgレッドカーペットでは、夫婦役を演じたブロードベントとミレンが劇中のシーンを真似て、ダンスを披露。また、展示室に飾られる「ウェリントン公爵」の前でポーズをとる様子も。英国が誇る名優が揃う、華やかなイベントの幕開けとなった。


goyadoro-550.jpgのサムネイル画像惜しくも昨年9月に逝去したロジャー・ミッシェル監督の長編遺作となった本作。過去に『ウィークエンドはパリで』でもミッシェル監督とタッグを組んでいるブロードベントは、「彼はすばらしい監督だった。最も好きな監督とも言える。彼の作品には2本出演して、今後も繰り返し組めることを願っていたんだけどね」とコメント。「彼なしでは実現しなかった作品だ。彼は現場で常にハッピーで、不安やストレスも抱えていなかったし、とても計画的な人間だった。さらに思いやりがあり、クリエイティブで、ユーモアのセンスにも富んでいた。彼はキャスティングに長けていて、人選が完璧だから、リハーサルで苦労することがなかったんだ。今回は脚本が特に優れていたから、僕たちは脚本を信じて、それに従うだけだった。ロジャーはこの作品をとても大切に扱っていたし、誇りに思っていたはずだ」とミッシェル監督の手腕を称えた。


goyadoro-500-1.jpg『クィーン』での英国女王から一転、本作ではエプロン姿の家政婦に扮したミレンは、記者の「これまで演じてきたタイプの役ではないのでは?」という質問に対して、「全然そうとは思わない。役者はあらゆる人物を演じるものだからよ。ドロシーという人間を私は理解できた気がする」と一蹴。本作の魅力について、「とにかく脚本に惚れたの。これがすばらしい作品だということは、ページ全体から伝わってきた。登場人物もみんな魅力的だし、心温まるストーリーだしね。私はこの出来事を知らなかったけど、実話に基づいているということは、この作品にとって重要な要素だと思う」と語った。


goyadoro-500-10.jpg現在24歳、『ダンケルク』での主役大抜擢以降、益々の活躍が期待されるホワイトヘッドは、英国が誇る名優ブロードベントとミレンとの共演について「この上ない経験だった。演じている時はもちろん、一緒にいるだけでも刺激になるんだ。2人とも心優しくて、誰に対しても親切だし、特に若手俳優である僕には寛大だった。僕は2人から何かを学び取ろうと、常に必死だったよ」と振り返った。また、「この作品は社会全体が一体となり、互いに支え合い、助け合う重要さを伝えている。それは今の世の中にとって大切なメッセージだと思う」と本作への思いを語っている。
 


【STORY】

世界中から年間600万人以上が来訪・2300点以上の貴重なコレクションを揃えるロンドン・ナショナル・ギャラリー。1961年、“世界屈指の美の殿堂”から、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。孤独な高齢者が、TVに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が・・・。当時、イギリス中の人々を感動の渦に巻き込んだケンプトン・バントンの“優しい嘘”とは−!?


監督:ロジャー・ミッシェル『ノッティングヒルの恋人』『ウィークエンドはパリで』
出演:ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィオン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グード
後援:ブリティッシュ・カウンシル 配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2020年/イギリス/英語/95分/シネマスコープ/5.1ch/原題:THE DUKE /日本語字幕:松浦美奈
©PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020

公式HP:happinet-phantom.com/goya-movie/

公式Twitter:@goya_movie

作品紹介はこちら⇒

2022年2月25日(金)~TOHOシネマズ シャンテほか全国公開


(オフィシャル・レポートより)

 
 

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(2022年2月11日(金・祝)大阪、梅田ブルク7にて)

ゲスト:甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督



名バイプレイヤー甲本雅裕、映画初主演

「この日が待ち遠しかった。感謝しかない!」

ほか戸田菜穂・錦織良成監督 登壇


公開延期から2年を経て、本日2月11日(金)に全国公開を迎えた映画『高津川』東京はバルト9に続いて、大阪は梅田ブルク7で、甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督による初日舞台挨拶が開催された。
 

一級河川としては珍しいダムが一つも無い日本一の清流「高津川」を舞台に、人口流出に歯止めのかからない地方の現実の中、歌舞伎の源流ともいわれる「石見神楽」の伝承を続けながら懸命に生きる人々を力強く描いた本作。コロナ感染拡大による緊急事態宣言を受け2020年4月に公開延期を強いられていたが、約2年を経て念願の全国公開を迎えた。

 


takatsugawa-bu-240-4.jpgこれまで名バイプレイヤーとして活躍し、錦織監督作品の常連でもあり、監督との兼ねてからの約束通り本作で映画初主演を果たした甲本は、「この日を待ち望んでおりました。世の中の状況はまだ大変ですが、僕はベストな日に公開ができたと思っています。感謝しかありません。頭や心が大変な思いでパンパンになって困っておられる方に、我々は一体何ができるだろうか?そう考えたら、少しでも心に隙間を空けて頂いて、楽しいことだけを詰めて差し上げることができればと思っております」と、公開を迎えた歓びを語った。



 


takatsugawa-bu-240-3.jpgまた、NHK大阪局制作の朝ドラに出演していた戸田は、「大阪でも公開されて本当に嬉しいです。あの頃が思い出されて懐かしい。この映画は、いつ観ても心に響く、心の豊かさとは?自分の幸せとは?本当に大切なものとは?といろんな想いを馳せられる作品だと思います。今日はこの映画を選んで下さいまして、心が響き合えるようです。」と初日を迎えて嬉しそうに語った。


地元・島根県で撮影を行った錦織監督は、「この2年間は長かったです。またしても感染拡大となりましたが、これも運命!キャストを始めスタッフや皆で丁寧に想いを込めて撮った作品です。本日は『スパイダーマン~』や『ウエスト・サイド・ストーリー』ではなく、この地味なタイトルの映画を選んで観に来て下さいまして本当にありがとうございます!舞台は島根ですが、日本全国津々浦々どこにでもある話です。勝手な思い込みですが、皆様の物語として少しでも勇気を持って頂けたら嬉しいです。」と本作への思いを語った。


takatsugawa-550.jpgのサムネイル画像1か月以上に及ぶ撮影期間でじっくりこだわり抜いて撮られたシーンの数々は殆どが現地の方の家や山林や田畑でのロケーションが中心。中でも牧場主を演じた甲本は、「衣装も道具も全て実在の牧場主の方が実際に使っておられる物をそのまま使わせて頂いて、食事のシーンでもそこの奥さんが作って下さった料理を食べさせてもらいました。普通、”消え物“はスタッフが用意するでしょう!? こんな現場ないですよ!」と当時の驚きを語った。


takatsugawa-bu-240-2.jpgそれに対して監督は、「そうなんです!ありのままの状態がいいんです。せっかく綺麗にお掃除して撮影隊を迎え入れて下さったのに、わざわざまた汚したりしてね。戸田さんが演じる役の実家のシーンも、地元のお菓子屋さんの店内や看板をそのまま使わせて頂きました。この映画はフィルムで撮っています。デジタルよりクオリティが高いことは皆様もご存知だと思いますが、細部までこだわろうと、丁寧に撮りました。」と自信をのぞかせた。


監督に地元に馴染むようにと言われた戸田は、「撮影があまりにも居心地がいいので、撮影が終わってほしくなかったです。特にスタッフの皆さんのエネルギーが凄くて最高でした。青々とした山、美しい川や田んぼがあって…」と言いかけると、甲本が、「土手に錦織監督が座ってると、まるでプーさんみたいで!」と場内を笑いの渦に巻き込んだ。確かに、恰幅のいいにこやかな錦織監督はプーさんのイメージにぴったし!


takatsugawa-bu-240-1.jpg最後に、戸田は、「この映画はこれから全国順次公開されますが、それぞれの土地で生きる人々の心の灯になれば嬉しいです。是非ロケ地巡りをしてみて下さい!」。錦織監督は、「少しでも気に入って頂けたらSNSなどで拡散して、皆さんのお力をお借りできれば嬉しいです」。甲本は、「面白かったと思って頂けたなら、観た後に誰かと話すキッカケにして下さい。こんな時期ですが、マスクをしてどんどん出掛けて、誰かとお話をして繋がりましょう!」と締めくくった。


錦織監督のお人柄からさぞかし和やかな現場であったことは容易に想像できる。過疎化が進む地方での暮らしの中で、人と人との繋がりの温もりや、本当の幸せについてなど、忘れてはならない大切なものを思い出させてくれる感動作。今どきこれほど身につまされて心揺さぶられる映画も珍しい。
 


【STORY】

~これはきっとあなたの物語~

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斎藤学(甲本雅裕)は山の上の牧場を家族で経営している。歌舞伎の源流ともいわれる「神楽」の舞いは地元の男たちの誇りだった。だが、息子の竜也は神楽の稽古をさぼりがちであまり興味がなさそうなのだ。多くの若者がそうであるように自分の息子もこの地を離れて行ってしまうのではと心配している。そんな時、学の母校である小学校が閉校になることを知らされ、各地に散った卒業生に連絡して、最後の同窓会を開催することを計画する。

 

■原作・脚本・監督:錦織良成  音楽:瀬川英史
■出演:甲本雅裕、戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英、奈良岡朋子
■2020年 日本 1時間53分
■配給: ギグリーボックス  
■© 2019「高津川」製作委員会 ALL Rights Reserved.
■公式サイト:https://takatsugawa-movie.jp/

2022年2月11日(金・祝)~梅田ブルク7、2月25日(金)~京都シネマ ほか全国順次公開


(河田 真喜子)

 

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(2020年3月11日(水)大阪にて)

 

身につまされながらも清流のような優しさに癒される至福の映画

 

島根県西部の石見地方を中国山地から日本海へ流れる「ダムが一つもない一級河川・高津川」を舞台にした映画『高津川』が、2年間の公開延期を経て2月11日(金・祝)よりようやく公開される。中国地方では2019年11月から翌年の3月までロングランヒットを飛ばした作品の満を持しての全国公開となる。


takatsugawa-550.jpg高津川の清流沿いの豊かな自然の恩恵を受けながら、地元の産業や伝統芸能を大切に守り、そして継承しようとする人々の想いを、柔らかなタッチの映像とストレートに心に響く言葉で綴られている。今どきこれほど激しく共感できる映画も珍しい。「親心、子知らず」と言われるが、まさに我がことのように身につまされ、改めて故郷への想いがつのり心苦しいほど胸を打つ感動作なのである。


takatsugawa-inta-240-1.jpg本作を手掛けたのは、『渾身 KON-SHIN』(13)、『RAILWAYS-49歳で電車の運転手になった男の物語-』(10)や『白い船』(02)など、自身の出身地・島根県を舞台にした作品が多い錦織良成監督。本作では、「古事記」や「日本書紀」などの神話の郷でもある出雲の国の今を、自然の美しさや歌舞伎の源流ともいわれる伝統文化「神楽 KAGURA 舞」などを盛り込みながら、希薄になりがちな人と人との繋がりを今一度取り戻すことに成功している。


この錦織監督インタビューは、2020年3月に、翌月からの公開を前に大阪市内にある島根ビル内で行われた。「コロナ禍は今ここにある危機、『高津川』は20年後の危機。高齢化が進む地方を舞台にした映画ですが、カテゴリーに拘らず、若い人にも観てほしい。そして皆さんに考えて頂きたい。」と本作にかける熱い想いを語った。


takatsugawa-500-1.jpg「親の心、子知らず」、改めて親の心情に触れて、愛されていた自分の至福に気付いて、情けないほど心がかき乱されてしまいましたが――?

地方で生まれ育った若者は、そのまま地元に残る者は少なく、都会へ出て行く者の方が多い。次第に高齢化が進み、先祖伝来の山野や田畑の維持も難しくなりつつある。子供の希望を大事にするあまり、子供に家を継がせたくても言い出せない親。子供の幸せを一番に願う年老いた親の背中がいつの間にか小さくなっていく。進学のため苦労して仕送りし、生活の足しにと愛情いっぱい詰まった物資を送る。でも、卒業したらいつの間にか帰ってこなくなり疎遠になってしまい…「親はつまらん」とこぼしながらも、常に子供のことを心配する親。

そんな親の想いを感じて、たまには田舎に帰ろうかなとか、親に電話してみようかなとか、田舎の家を修理しようかななどと、少しでも思って頂ければ、それだけで嬉しいです。


今回島根の独自性を盛り込みながら家族愛を描いておられますが、地方を舞台にした映画を撮る事について――?

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よく「島根の映画を撮っている人」とか言われます(笑)。島根は「古事記」や「日本書紀」などの伝説の郷として知られていますが、映画は表現のためのコンテンツなので、誰かのためとか宣伝目的で作るものではなく、あるテーマを表現している作品でなければならないと思っています。島根で開催している映画塾でも、「本当に島根のための映画を撮りたいのなら、先入観を壊すような、人の心を動かすような映画を撮るべき」と教えています。YouTubeの時代だからこそ、フィルム撮影でしか出せないものを、じっくり時間をかけて、奇をてらわずふりきって撮りました。若い人も含めて映画の良さを再認識して頂くためにも、是非映画館で観てほしいです。


ストレートなセリフに心を鷲掴みされました。特に甲本雅裕さんと高橋長英さんのシーンに一番泣かされましたが――?

俳優さんたちにも「大丈夫かな?クサくならない?」と確認しながら脚本を書いてました(笑)。甲本さんには7本の作品に出てもらっていて、10年前に「いつか主役で撮りたいね」と言っていたので、今回は甲本さんあてがきにしました。寡黙な父親役ですが、台本変えなくてもキャラクターを理解して演じられるのも甲本さんの才能。高橋さんも3本目ですが、さすがにベテランの妙です。奈良岡朋子さんには、『RAILWAYS - 49歳で電車の運転手になった男の物語 -』(2010年)に出てもらった時、「今後も全部の作品に出るわ」と仰って頂いて、今回実年齢(91歳)より20歳も若い郷土料理が上手なおばあちゃん役を自然体で演じて下さいました。

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演出について?

今さら言うことではないのですが、俳優さんは皆さん素晴らしいので、俳優さんたちの力を引き出すのが僕の仕事だと思っています。才能以上のものを出してもらうための現場作りをするのが監督の役目です。今回は地味なタイトルで勝負しておりますが、WEBなどでいくら便利な世の中になっても、最後はアナログというか、直接心に響くものが伝わると信じて演出しています。
 



■原作・脚本・監督:錦織良成  音楽:瀬川英史
■出演:甲本雅裕、戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英、奈良岡朋子
■2020年 日本 1時間53分
■配給: ギグリーボックス  
■© 2019「高津川」製作委員会 ALL Rights Reserved.
■公式サイト:https://takatsugawa-movie.jp/

2022年2月11日(金)~梅田ブルク7、2月25日(金)~京都シネマ ほか全国順次公開


(河田 真喜子)

 

 

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アカデミー賞®受賞製作チーム『ジュディ 虹の彼方に』『クィーン』
×
ロジャー・ミッシェル監督『ノッティングヒルの恋人』


オスカー俳優 ジム・ブロードベント『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
×
ヘレン・ミレン『クィーン』


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これがヘレン・ミレン?! 英国女王から、エプロン姿の家政婦に!

「40歳以上で最もおしゃれなイギリス人セレブ」ランキング1位の

御年76歳のオスカー女優の変貌ぶりが話題に!

 

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名優ジム・ブロードベントとヘレン・ミレン共演、ロジャー・ミッシェル監督長編遺作となる映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』が2月25日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開致します。この度、掃除婦姿のヘレン・ミレンの追加場面写真と、ヘレン本人と、ミッシェル監督のコメントも解禁されました


『ハリー・ポッター』シリーズや『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の名優ジム・ブロードベントと、『クィーン』でオスカーを受賞したヘレン・ミレン共演の映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』。この度、かつて演じた英国女王から一転、家政婦に扮したヘレン・ミレンの場面写真が解禁となる。


本作は、1961年、ロンドン・ナショナル・ギャラリーで起きたゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件を基にした衝撃の実話。この前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)。TVに社会との繋がりを求めていた時代、孤独な高齢者のために盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が・・・。


goyadoro-helen-500-2.JPGこれまで『クィーン』では英国君主エリザベス女王、『RED/レッド』シリーズでは元凄腕の殺し屋、『グッドライアー』では最恐の悪女を演じ、『ワイルド・スピード』シリーズではカーアクションもこなし、Damart社が実施した英国人が選ぶ「40歳以上で最もおしゃれなイギリス人セレブ」ランキングは堂々の1位を飾る、御年76歳にして年齢を感じさせない活躍を見せるヘレン・ミレン。そんな彼女が本作で演じたのは、ケンプトンの長年連れ添った妻・ドロシー役。職を転々とするケンプトンに代わって、家政婦として働く一家の大黒柱的存在だ。今回解禁となった場面写真では、エプロン姿で掃除機をかけ、スポンジで暖炉を磨き、雇い人のドレスの着替えを手伝う、これまでヘレンのイメージを覆す姿が収められている。


goyadoro-helen-500-1.JPGヘレンは、脚本と自身の役どころについて「愛情あふれる脚本に魅せられました。私は60年代という時代も大好きなんです。私が演じたドロシーという女性は地に足が付いた人。夫のケンプトンは夢想家だけど、いろいろな意味でとても献身的で勇気がある人だと思います」と明かし、続けて「ケンプトンだけでなく、ドロシーの態度も見習うべきですよね。夢を見るのはとてもいいことだけど、月々の支払いは待ってくれないから(笑)。だから、現実的な生活をしている人たちの声も聞くべきなんです」と語っている。


goyadoro-dorosy-240.JPGケンプトンに関する情報はたくさんあったが、脚本とドロシーの1枚の写真(※右写真参照)だけで役作りをしなければならなかったヘレンは、その写真を見て、キャラクターになりきるためには肉体的な改造が必要だと感じたという。昨年9月に逝去したロジャー・ミッシェル監督の長編遺作となる本作だが、生前の監督は「ヘレンがドロシーになりきる準備をしていたことにとても驚きました。彼女は、まったく何の気負いも衒(てら)いもなく自分を変えていったんです。観客は彼女がやったことに驚くはずです」とヘレンの変貌ぶりを称えている。


一方、ヘレンは監督について、「この映画の物語には、彼の優しさ、素晴らしいユーモアのセンスそのものが反映されていると思います。物語と彼自身が真に融合していたんです」と回想している。


映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』は2月25日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開。
 


【STORY】

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世界中から年間600万人以上が来訪・2300点以上の貴重なコレクションを揃えるロンドン・ナショナル・ギャラリー。1961年、“世界屈指の美の殿堂”から、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。孤独な高齢者が、TVに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が・・・。当時、イギリス中の人々を感動の渦に巻き込んだケンプトン・バントンの“優しい嘘”とは−!?
 

監督:ロジャー・ミッシェル(『ノッティングヒルの恋人』『ウィークエンドはパリで』)
出演:ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィオン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グード
後援:ブリティッシュ・カウンシル 
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2020年/イギリス/英語/95分/シネマスコープ/5.1ch/原題:THE DUKE /日本語字幕:松浦美奈
©PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020

公式HP:happinet-phantom.com/goya-movie/ 
公式Twitter:
@goya_movie

作品紹介はこちら⇒

2022年2月25日(金)~TOHOシネマズ シャンテほか全国公開


(オフィシャル・レポートより)

 

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アカデミー賞®受賞製作チーム『ジュディ 虹の彼方に』『クィーン』
×
ロジャー・ミッシェル監督『ノッティングヒルの恋人』


オスカー俳優 ジム・ブロードベント『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
×
ヘレン・ミレン『クィーン』


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知られざる名画盗難事件の背景を、徹底解剖!

 

ロジャー・ミッシェル監督長編遺作となる映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』(2月25日(金)全国公開)。この度、本作の公開に先立ち、2月1 日(火)都内で先行上映を実施し、上映後に評論家・山田五郎さんと、ウェブ版「美術手帖」編集長の橋爪勇介さんが登壇しトークイベントを開催致しました。


◆日程:2022年2月1日(火)

◆会場:ユーロライブ(東京都渋谷区円山町1-5)

◆登壇:山田五郎(評論家)、橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)



オスカー俳優ジム・ブロードベントとヘレン・ミレン共演の映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』公開記念イベントが2⽉1⽇(火)都内で開催され、評論家・山田五郎さんと、ウェブ版「美術手帖」編集長の橋爪勇介さんが登壇した。


goyadoro-pos.jpg本作は、ロンドン・ナショナル・ギャラリー史上唯一にして最大の事件、1961年に起きたフランシスコ・デ・ゴヤの肖像画<ウェリントン公爵>盗難事件の知られざる真相を描いた衝撃の実話。犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。TVに社会との繋がりを求めていた時代、孤独な高齢者のために盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。橋爪さんから映画の感想を聞かれた山田さんは「本作の面白いポイントは台詞。夫婦のやりとりも面白いけど、特に裁判のシーンのセリフ回しは、イギリスらしくユーモアにあふれている」と語り、本作で主人公を陰ながら支える妻役のヘレン・ミレンのことも「実にイギリスらしい女優。エリザベス女王から、スパイ役、本作ではニューカッスルという田舎の労働者の奥さん役まで演じられる。役柄が幅広く、大好きな女優さんです」と語った。


まず、映画に登場するロンドン・ナショナル・ギャラリーについては「ヨーロッパの美術館は王室コレクションがベースとなった美術館が多いが、ここは個人コレクションから始っているのが珍しくて異色。銀行家であるジョン・ジュリアス・アンガースタインの個人コレクションがベースになっていて、その後国が買い上げて市民のために運営していっているので、非常に開かれた美術館であること。イギリスはヨーロッパ全体においてターナーが登場するまで、絵画の分野で美術後進国と言えるので、ナショナル・ギャラリーが美術史を教えようとしている教育的配慮があり、西洋美術史を俯瞰するようなコレクションになっている」と語った。


goyadoro-ivent-500-1.JPG自身の留学時代、パスポートを盗まれ再発行のために1カ月ほど思いがけずロンドンに滞在することになった思い出を語り、「大きすぎない、ちょうどいいコンパクトさで見やすく回りやすい美術館で、自分が一番勉強になった美術館だった。毎日のように大英博物館とナショナル・ギャラリーに通った。当時は地下にあった、今までナショナル・ギャラリーが買ってしまった偽物を展示している贋作の部屋が、本当に勉強になった。そういった絵を展示している美術館は、懐が深いというか、すごいと思った」と語った。


goyadoro-500-8.jpgまた、イギリスの英雄である絵画〈ウェリントン公爵〉のアメリカへの流失を防ごうとする映画のいくつかのシーンについては、「海外では自国の貴重な絵画が流出することに対して世論が高まり、その絵画を国として買い戻そうとした例がいくつかあるが、日本では驚くほどそれがない。さらっと流失して、里帰りして戻ってくることもある」と語った。


「『ウェリントン公爵』の表情については、無表情だ、冷たい顔をしている、と評されることがあって、ゴヤはウェリントン公爵に反感をもっていたのではないかと言われるが、そんなことはない。彼は数多くの戦勝を上げて公爵までスピード出世した軍人であり、ナポレオン率いるフランスからスペインを救った英雄なので、ゴヤは宮廷画家としてきちんと描いた。ゴヤは本当に絵が上手い人で、実際にウェリントンさんは戦争続きで本当に疲れた顔をしていたんだと思う(笑)。トーマス・ローレンスというイギリスの宮廷画家が描いたウェリントンも疲れているから、本来この顔なんだよ(笑)」と山田さんが語り、会場を沸かせていた。


goyadoro-500-7.jpg最後に、「60年代のロンドンが忠実に表現された、時代を感じる映画だと思う。おそらく当時の映像も使用されているんじゃないかな。主人公は労働者だけど、戯曲を書いたり本を読んだり、昔の労働者階級は教養があったんだなと思った。かつての日本も同じだったと思う。この事件が起こった1961年は、ガガーリンが月に行った、ケネディが大統領になった、日本ではトリスを飲んでハワイに行こう、と言っていた時代だった」と懐かしく語った。
 


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【STORY】

世界中から年間600万人以上が来訪・2300点以上の貴重なコレクションを揃えるロンドン・ナショナル・ギャラリー。1961年、“世界屈指の美の殿堂”から、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。孤独な高齢者が、TVに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が・・・。当時、イギリス中の人々を感動の渦に巻き込んだケンプトン・バントンの“優しい嘘”とは−!?
 

監督:ロジャー・ミッシェル(『ノッティングヒルの恋人』『ウィークエンドはパリで』)
出演:ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィオン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グード
後援:ブリティッシュ・カウンシル 
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2020年/イギリス/英語/95分/シネマスコープ/5.1ch/原題:THE DUKE /日本語字幕:松浦美奈
©PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020

公式HP:happinet-phantom.com/goya-movie/ 
公式Twitter:
@goya_movie

作品紹介はこちら⇒

2022年2月25日(金)~TOHOシネマズ シャンテほか全国公開


(オフィシャル・レポートより)

 

 
 

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