(2022年2月11日(金・祝)大阪、梅田ブルク7にて)
ゲスト:甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督
名バイプレイヤー甲本雅裕、映画初主演
「この日が待ち遠しかった。感謝しかない!」
ほか戸田菜穂・錦織良成監督 登壇
公開延期から2年を経て、本日2月11日(金)に全国公開を迎えた映画『高津川』。東京はバルト9に続いて、大阪は梅田ブルク7で、甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督による初日舞台挨拶が開催された。
一級河川としては珍しいダムが一つも無い日本一の清流「高津川」を舞台に、人口流出に歯止めのかからない地方の現実の中、歌舞伎の源流ともいわれる「石見神楽」の伝承を続けながら懸命に生きる人々を力強く描いた本作。コロナ感染拡大による緊急事態宣言を受け2020年4月に公開延期を強いられていたが、約2年を経て念願の全国公開を迎えた。
これまで名バイプレイヤーとして活躍し、錦織監督作品の常連でもあり、監督との兼ねてからの約束通り本作で映画初主演を果たした甲本は、「この日を待ち望んでおりました。世の中の状況はまだ大変ですが、僕はベストな日に公開ができたと思っています。感謝しかありません。頭や心が大変な思いでパンパンになって困っておられる方に、我々は一体何ができるだろうか?そう考えたら、少しでも心に隙間を空けて頂いて、楽しいことだけを詰めて差し上げることができればと思っております」と、公開を迎えた歓びを語った。
また、NHK大阪局制作の朝ドラに出演していた戸田は、「大阪でも公開されて本当に嬉しいです。あの頃が思い出されて懐かしい。この映画は、いつ観ても心に響く、心の豊かさとは?自分の幸せとは?本当に大切なものとは?といろんな想いを馳せられる作品だと思います。今日はこの映画を選んで下さいまして、心が響き合えるようです。」と初日を迎えて嬉しそうに語った。
地元・島根県で撮影を行った錦織監督は、「この2年間は長かったです。またしても感染拡大となりましたが、これも運命!キャストを始めスタッフや皆で丁寧に想いを込めて撮った作品です。本日は『スパイダーマン~』や『ウエスト・サイド・ストーリー』ではなく、この地味なタイトルの映画を選んで観に来て下さいまして本当にありがとうございます!舞台は島根ですが、日本全国津々浦々どこにでもある話です。勝手な思い込みですが、皆様の物語として少しでも勇気を持って頂けたら嬉しいです。」と本作への思いを語った。
1か月以上に及ぶ撮影期間でじっくりこだわり抜いて撮られたシーンの数々は殆どが現地の方の家や山林や田畑でのロケーションが中心。中でも牧場主を演じた甲本は、「衣装も道具も全て実在の牧場主の方が実際に使っておられる物をそのまま使わせて頂いて、食事のシーンでもそこの奥さんが作って下さった料理を食べさせてもらいました。普通、”消え物“はスタッフが用意するでしょう!? こんな現場ないですよ!」と当時の驚きを語った。
それに対して監督は、「そうなんです!ありのままの状態がいいんです。せっかく綺麗にお掃除して撮影隊を迎え入れて下さったのに、わざわざまた汚したりしてね。戸田さんが演じる役の実家のシーンも、地元のお菓子屋さんの店内や看板をそのまま使わせて頂きました。この映画はフィルムで撮っています。デジタルよりクオリティが高いことは皆様もご存知だと思いますが、細部までこだわろうと、丁寧に撮りました。」と自信をのぞかせた。
監督に地元に馴染むようにと言われた戸田は、「撮影があまりにも居心地がいいので、撮影が終わってほしくなかったです。特にスタッフの皆さんのエネルギーが凄くて最高でした。青々とした山、美しい川や田んぼがあって…」と言いかけると、甲本が、「土手に錦織監督が座ってると、まるでプーさんみたいで!」と場内を笑いの渦に巻き込んだ。確かに、恰幅のいいにこやかな錦織監督はプーさんのイメージにぴったし!
最後に、戸田は、「この映画はこれから全国順次公開されますが、それぞれの土地で生きる人々の心の灯になれば嬉しいです。是非ロケ地巡りをしてみて下さい!」。錦織監督は、「少しでも気に入って頂けたらSNSなどで拡散して、皆さんのお力をお借りできれば嬉しいです」。甲本は、「面白かったと思って頂けたなら、観た後に誰かと話すキッカケにして下さい。こんな時期ですが、マスクをしてどんどん出掛けて、誰かとお話をして繋がりましょう!」と締めくくった。
錦織監督のお人柄からさぞかし和やかな現場であったことは容易に想像できる。過疎化が進む地方での暮らしの中で、人と人との繋がりの温もりや、本当の幸せについてなど、忘れてはならない大切なものを思い出させてくれる感動作。今どきこれほど身につまされて心揺さぶられる映画も珍しい。
【STORY】
~これはきっとあなたの物語~
斎藤学(甲本雅裕)は山の上の牧場を家族で経営している。歌舞伎の源流ともいわれる「神楽」の舞いは地元の男たちの誇りだった。だが、息子の竜也は神楽の稽古をさぼりがちであまり興味がなさそうなのだ。多くの若者がそうであるように自分の息子もこの地を離れて行ってしまうのではと心配している。そんな時、学の母校である小学校が閉校になることを知らされ、各地に散った卒業生に連絡して、最後の同窓会を開催することを計画する。
■原作・脚本・監督:錦織良成 音楽:瀬川英史
■出演:甲本雅裕、戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英、奈良岡朋子
■2020年 日本 1時間53分
■配給: ギグリーボックス
■© 2019「高津川」製作委員会 ALL Rights Reserved.
■公式サイト:https://takatsugawa-movie.jp/
2022年2月11日(金・祝)~梅田ブルク7、2月25日(金)~京都シネマ ほか全国順次公開
(河田 真喜子)