レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

2019年2月アーカイブ

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新元号は「北山」で!キスマイ北山宏光が願望を明かす
『トラさん~僕が猫になったワケ~』大阪舞台挨拶
(2019.2.16 TOHOシネマズ梅田スクリーン1)
登壇者:北山宏光(Kis-My-Ft2)、筧昌也監督
  
突然死したダメ男が、ネコの姿で家族の元に戻ってきたら・・・。ファンタジックなストーリーが人気の「トラさん」(板羽 皆/集英社マーガレットコミックス刊)が実写映画化。人気アイドルグループ、Kis-My-Ft2の北山宏光が映画初出演にして初主演、そして初ネコ役に挑戦したのも話題の『トラさん~僕が猫になったワケ~』が2月15日(金)より全国ロードショー中だ。
北山宏光は、ネコ嫌いなのに、ネコが主人公の漫画で大ヒットを飛ばしたものの、その後ヒット作が出ず、娘にも愛想を尽かされている漫画家の高畑寿々男と、猫のトラの一人二役を自然体で好演。『Sweet Rain 死神の精度』「素敵な選 TAXI」などの、筧昌也監督が、アナログながら、ファンタジックな世界観を見事に表現した、感動ドラマだ。
 
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公開2日目の2月16日、TOHOシネマズ梅田スクリーン1で行われた上映後の舞台挨拶では、北山宏光と筧昌也監督が登壇し、「撮影から約1年、やっとみなさんにお見せでき、嬉しい気持ちでいっぱい」(北山)、「アパートの中でぎゅっとスタッフとキャストが一緒になって撮影し、3ヶ月間地味に編集作業をして仕上げた作品を、こんなに大きい劇場で見ていただけるのは感無量」(筧監督)と感動の面持ちで挨拶。
 
 
すでに映画の感想が寄せられているそうで、北山は「Kis-My-Ft2のメンバーやキャイ〜ンの天野さん、オリエンタルラジオの藤森さんが見てくださいました。中盤ぐらいまではコメディーではないかと、まさかあの姿で泣かされるとは思わなかったというお声をいただきましたね」と反響を語れば、筧監督は「普段あまり話さない映画には辛口の兄が、北山くんのオープニングのタバコを吸う姿に、ダメ夫の姿が集約されていたと褒めてくれたので、胸をなで下ろしています」と手応えを感じている様子だった。
 

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現在全国10カ所での舞台挨拶を開催中の二人が、毎回違うお題に答える「みっくん×まーくんのトラさんトーク」では、「●●が好き」というお題が登場。そこはすかさず北山が「『大阪大好きだ』でしょ!!!」と会場のファンを喜ばせると、さらに観客からの「めっちゃすきやねん」という言葉に、「好きレベル5段階中、5!」と会場は、コンサート並みの熱気に。
 
 
そして「平成が終わるまでにやっておきたいこと」では、二人とも「平成最後の映画『トラさん~僕が猫になったワケ~』大ヒット!」と気持ちを一つに。さらに、「新元号は?」というお題にも、すかさず北山が反応。「北山、いいでしょ。新元号の顔になりたいな」と切り出し、筧監督と撮影現場が垣間見えるようなほのぼのトークを繰り広げた。
 
 
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最後に、「数ある映画の中から『トラさん』を選んでいただき、ありがとうございます。映画、今口コミで広がればムーブオーバーします。うまくいけば元号が変わる瞬間も上映しているかもしれない。それで元号が北山になれば!そこまでいきたいですね。ご協力ください」(筧監督)
「この作品は初映画初主演、初ネコで、本当に素晴らしいキャスト、スタッフにめぐまれ、やっとみていただけるのを嬉しく思っています。みなさんに愛してもらうことで、映画が広がっていくきっかけになると思いますので、ぜひ、よろしくお願いします」(北山)と力を込めて挨拶した。
 
 
CGなしの猫スーツで奮闘する北山のハマりっぷり、多部未華子や平澤宏々路が演じる家族の愛に笑って泣ける、平成最後のアナログファンタジー映画をぜひ楽しんでほしい。
(江口由美)
 

 

<作品情報>
『トラさん~僕が猫になったワケ~』
(2019年 日本 91分)
監督:筧昌也
原作:板羽皆「トラさん」集英社マーガレットコミックス刊
出演:北山宏光(Kis-My-Ft2)、多部未華子、平澤宏々路、飯豊まりえ、富山えり子、要潤、バカリズム
公式サイト → http://torasan-movie.jp/
(C) 板羽皆/集英社・2019「トラさん」製作委員会
 
 

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高杉真宙、同級生、安田聖愛との共演は「気恥ずかしかった」『笑顔の向こうに』舞台挨拶
(2019.2.16 大阪ステーションシティシネマ)
登壇者:高杉真宙、安田聖愛 
  
公益法社団法人日本歯科医師会が全面協力のもと、歯科医療の現場で働く若者たちの成長を描いた青春映画『笑顔の向こうに』が、2月15日(金)より全国ロードショー中だ。
 
公開直後の2月16日(土)大阪ステーションシティシネマで行われた公開記念舞台挨拶では、容姿端麗で“王子”の異名をとる若手歯科技工士の大地を演じた高杉真宙と、大地の幼馴染で、東京のデンタルクリニックで働き始めたばかりの新人歯科衛生士真夏を演じた安田聖愛が登壇。
「今年に入ってずっとたこ焼きが食べたかった」という高杉と、初めての大阪に「インスタで見かけるオシャレなカフェが、位置情報を見ると大阪。オシャレな人も多そう。道頓堀のグリコの看板を見たい」という安田の主役コンビによる舞台挨拶の模様をご紹介したい。
 

 

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―――歯科技工士、歯科衛生士という職業を演じた感想は?
高杉:今まで歯医者に行くことはありましたが、歯科技工士という職業があることを知らずに生きてきたので、知る機会をいただき、うれしかったです。違和感がなく、手つきがなれているように、たくさん練習させていただきました。
安田:姉が歯科衛生士なので、遠い職業とは思っていませんでした。姉がどんな仕事、作業をしていたのかわからなかったので、作品が決まって姉の歯医者に見学。こういう感じで患者さんに接しているんだなと知りました。実際に資格のない私が施術シーンをするのはとても怖く、恐怖シーンを体験したようでした。
 

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―――撮影中、印象に残っているエピソードは?
高杉:二人で共通して大変だと思っているのは(真夏が無理やり大地を連れ出し、デートをした)江ノ島のシーン。撮影初日で、あのシーンからだったので、どんなテンションで撮影したらいいかわからず、楽しいシーンを演じるにあたって、(安田やスタッフとの)距離感が掴めなかった。いつも初日はメチャクチャ緊張するので、どうしようかと思っていました。結果的には大地と真夏のテンションの落差につながって良かったです。
安田:江ノ島のシーンは、私もどうしようかと思いましたが、9日間のうち5日間二人のシーンがあり、5日間でどれぐらい距離を詰めたらいいのか悩みました。(同級生なので)初対面じゃないのに、初対面のようになっていましたが、5日間のうちにその緊張がとれていましたね。撮影の裏話ですが、歯科医院でのシーンで、皆、受付の椅子で昼食を食べていたのに、高杉さんだけメイクルームの隅で、体育座りで食べていたので、本当に幽霊みたいでした。
高杉:スタッフさんも含め、女性の方が多かったので、ちょっと落ち着こうと思いました。特にご飯中はどうしたらいいかわからなくて。全ては僕の気遣いですよ。別の現場でも落ち着こうと思った時、ひとりになることが割とあります。
 
 
 
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―――お二人は、堀越学園の同級生ですが、(役での設定のように)同級生だから醸し出るような幼馴染感はありましたか?
高杉:すごく親しいとか、すごく親しくないという距離でもないので、ただただ最初は緊張とやりづらさがあって、一緒に仕事をしたのは気恥ずかしかったですね。
安田:デートシーンや喧嘩のシーンはやりにくかったです。台詞の練習などは手伝ってくれるので、そういう点ではやりやすかったですね。
 

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―――初共演して、俳優としてどう感じましたか?
高杉:僕が安田さんに対して一番羨ましいと思ったのは、スタッフの皆さんとすぐに仲良くなれることですね。今回撮影期間が短かったのですが、僕は人見知りなので、そんなに短い期間で距離を詰めることはなかなかできないですから。学校での姿を見てはいるので、こういう感じでお仕事をされているのかと思いました。
安田:高杉さんは気遣いが素晴らしい。普通の人ができる気遣いより何倍もすごいです。ある意味紳士的なのですが、高校生の時は1ミリも感じたことはなかったので、現場ではこんな感じなのかなと思いました。
 
 
―――お二人の好きなシーンは?
高杉:大地の軸でもある家族との話は、注目してほしい部分です。松原さんとのシーンは結構色濃い時間を過ごさせていただきました。松原さんだから見えた大地の姿があって、大地の人としての成長、歯科技工士としての成長があるので、そこは見て欲しいと思います。
安田:個人的に好きなのは、患者さん(丹古母鬼馬二さん演じる寝たきり老人)の入れ歯がきちっとはまって、うれしそうに歯をカチカチさせるシーン。撮影中もそこにいて、笑わせていただきました。
 
 
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(最後のご挨拶)
高杉:僕が歯科技工士という職業を初めて知ったように、知らない方にたくさん広めていただけたらうれしいです。入れ歯を見るたびにそういう職業があることを思い出してもらいたいです。大地は共感できない役でしたが、演じていくうちに家族のことや様々な軸のゴールがみえてきます。大地は思いやりが足りない人だったけれど、様々な人と接する中で、それを知ることができました。
安田:この作品が初ヒロイン作で、個人的に思い入れも強く、色々な人に見ていただきたいです。今、なる方が少なく、知らない人も多いので、この映画を通して知って増えてほしいです。いいと思ったら広めてください。
(江口由美)
 

<作品情報>
『笑顔の向こうに』
(2018年 日本 89分)
監督:榎本二郎
出演:高杉真宙、安田聖愛、松原千恵子、辻本祐樹、西方凌、木村祐一、中山秀征、藤田朋子、秋吉久美子他
公式サイト → https://egao-mukou.jp/
(C) 公益社団法人日本歯科医師会

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《第91回アカデミー賞®3部門ノミネート》

脚色賞・助演女優賞・作曲賞

第76回ゴールデン・グローブ賞助演女優賞受賞

★★★ 世界が絶賛!賞レース席巻中!★★★

アカデミー賞®作品賞受賞『ムーンライト』監督最新作

『ビール・ストリートの恋人たち』


日時:2/13(水)19:00〜19:30
場所:TOHOシネマズ シャンテ スクリーン1
登壇:バリー・ジェンキンス監督、コムアイさん(水曜日のカンパネラ)

BS-bu-550.jpgバレンタイン・イブに映画オリジナルチョコもプレゼント!

「この映画は日本の皆さんへの招待状」


この度、アカデミー賞®作品賞受賞『ムーンライト』バリー・ジェンキンス監督最新作『ビール・ストリートの恋人たち』が2月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開いたします。前作『ムーンライト』で、『ラ・ラ・ランド』を抑えアカデミー賞作品賞に輝いたバリー・ジェンキンス監督。最新作は監督がずっと映画化を夢見ていた、愛よりも、もっと深い“運命”で結ばれた恋人たちのラブ・ストーリー。本作は、第76回ゴールデン・グローブ賞において、主人公の母親役で熱演を見せたレジーナ・キングが見事助演女優賞を受賞。先日発表された第91回アカデミー賞ノミネーションでは、脚色、助演女優、作曲の3部門に見事ノミネートを果たしました。


本作の公開と日本時間25日(月)に発表されるアカデミー賞受賞式を直前に控え、ジェンキンス監督の初来日が実現!監督の前作『ムーンライト』を絶賛し、その才能に惚れ込んだ「水曜日のカンパネラ」ボーカルとして活躍するコムアイさんを特別ゲストにお招きし、公開記念トークイショーを行いました!


BS-bu-500-3.jpg映画やドラマでも多彩な才能を見せ、いま、若い世代を中心にファッションアイコンとしても注目を集めるアーティストのコムアイさんと、世界中を熱狂の渦に巻き込んだ前作『ムーンライト』から、よりスケールアップした世界観と映像美で極上のラブストリーを作り上げたジェンキンス監督による夢の共演となった本イベント。当日は“恋人たちの日”バレンタインの前日ということもあり、コムアイさんから監督へ、映画に登場する主人公ティッシュとファニーのカップルをイメージしてデザインされた、オリジナル・チョコレートがプレゼントされました!


チケット販売からすぐに完売御礼の大盛況となった本イベント。場内は多くの人々で賑わい、あっという間に満席に。ジェンキンス監督の登場をいまかいまかと待ち受ける熱気が充満する中、満を持して登場した監督は、開口一番「初めての来日ですが、とても楽しんでいます。素敵な国ですね。到着したときの飛行機からの風景がすごく美しくて感動しました。明日、僕のツイッターで紹介しますよ。」と冗談まじりに挨拶すると、今回、最新作『ビール・ストリートの恋人たち』を引っさげての初来日となった喜びをコメント。さらに、前作『ムーンライト』に続き、本年度アカデミー賞で見事3部門にノミネートされている本作。2作品連続でのオスカー獲得が期待される中、授賞式を直前に控えたタイミングでの来日ということで、今の心境を聞かれると「ワクワクしているよ。でも、去年はちょっとした事件があったからね。トラウマだよ(笑)。」と、昨年のアカデミー賞作品賞発表時のハプニングを皮肉交じりに語るなど、サービス精神旺盛なトークで場内を盛り上げます。


BS-bu-500-2.jpg和やかなムードでトークが弾む中、前作と本作に惚れ込み、ジェンキンス監督を愛してやまない特別ゲストとしてコムアイさんが登場。豪華な花束を持って現れたコムアイさんの姿に監督も喜びを隠せない様子。さらに、今日はバレンタイン・イブということで、映画に登場する主人公のティッシュとファニーのカップルをデザインしたオリジナル・チョコレートのプレゼントも!まさかのプレゼントに監督は大興奮で、しきりにチョコレートを覗き込むキュートな姿が。コムアイさんから、「日本では、バレンタインの日は女の子が好きな人に、勇気を出してチョコを贈る日なんです。」と日本のバレンタイン文化の説明を受けると、「チョコレートがたくさん売れる日なんだね。企業の作戦勝ちだ。(笑)」とお茶目なコメントも飛び出しました。


一足先に映画を鑑賞したコムアイさん。「ミルフィーユみたいに、ロマンチックな甘い空気と厳しい現実が交互に押し寄せてくる映画。その中で、逆境をはねのけてそれに立ち向かう、生命力を感じられました。感情のゆらぎというものをすごく感じた作品です。」と映画を絶賛。そんなコムアイさんからのコメントに対し、監督は少し照れながらも「映画の評論家のようなコメントだ。アリガトウ。」と日本語で御礼を伝える一幕も。


BS-500-2.jpgロマンチックな愛と社会性という2面性が描かれていることについて「最近、映画でラブストーリーが描かれるときは、スイートな一面だけが描かれることが多いと思うんだ。でも僕は、映画の登場人物だって、社会に生きる一員として、様々な文脈に付随して物語が紡がれるべきだと思う。この映画の中で描かれているような人種差別もね。この原作をとても気に入った理由の一つもそこにあるんだよ。」と熱弁。真剣な様子で監督の言葉に耳を傾け、しきりにうなずきを返していたコムアイさんは、アーティストならではの視点で自ら監督へ質問も!


「原作には音楽の表記が多いと聞きましたが、なぜ映画の中でオリジナルの音楽を用いたんですか?」という鋭いツッコミが飛び出すと、監督は「これまでの取材で初めてそのことについて触れられた!」と驚きを隠せない様子。「最初はすべて、原作に描かれるジャズを使って映画の音楽を作り上げようと思ったんだけど、原作とは違って、映画はキャラクター、特にティッシュの視点でも物語が進んでいくんだ。そうした時に、彼らキャラクターたちの音楽とはどういうものなのか、というのが頭に浮かんだんだよ。」と本作の製作秘話を明かした上で、本年後アカデミー賞作曲賞にもノミネートされたニコラス・ブリテルについて「彼は、キャラクターと映画が、観客に何を伝えようとしているかを汲み取って、それを増幅して伝えてくれるんだ。」と絶賛した。


BS-bu-500-1.jpgさらに、コムアイさんからは、「なぜ、ヨーロッパでこの映画の脚本を執筆したのか」を聞かれると、「アジアは遠いからね。」とすかさず冗談で場内を和ませる監督。原作への敬意を持って、本作の映画化に挑んだ監督は、脚本執筆時にもその影響を受けていたとかで、「ボールドウィンもあちこち旅をしながら、小説を書き進めていたそうなんだ。だから僕も、旅をしながら脚本を執筆してみたかったんだよ。」と当時の心境を告白し、続けて「実は、映画化権を獲得する前にこの脚本を書き進めていたんだ。あの頃は、実際に映画として発表できるか否かよりも、自分が本当にやりたいと思ったことを進める、クリエイティブへの愛を貫きたかったんだ。」と発言。その言葉に、同じく自身もアーティストとして作曲などを手がけるコムアイさんは「今の言葉にすごく感動しました。どんな人生を生きる人もそうだと思うけど、やっぱり愛が前提の行動をしたいですよね」と強く共感。しかし、そんな感動的なコメントに対しても、「でも、人はお金を稼いで食べていかないといけないからね。(笑)」と冗談で切り替えし、監督のキュートで茶目っ気たっぷりな人柄がにじみ出るイベントとなりました。


終始、和やかなムードでイベントが終了すると、なんと!映画の上映終了後に、ジェンキンス監督から来場者へのサプライズプレゼントとして、ロゴ入りチロル・チョコが全員に贈られるということも明らかに!実際に配布するのは残念ながらスタッフ、ということだが、バレンタイン・イブならではの盛り上がりをみせてイベントが終了となりました。


BS-bu-500-4.jpg“日本の観客にこの作品を伝えたい”という監督たっての強い希望で叶った今回の初来日。ジェンキンス監督は、最後に「実はこの映画は小津安二郎監督の『東京物語』にも影響を受けているんだ。『東京物語』で使われた、キャラクターがカメラに向かって演技する、という手法を取り入れている。そうすることで、映画の中キャラクターと直接目を合わせて、映画を体感できるんだ。日本ではあまり身近ではないかもしれないけど、黒人のロマンチックな愛と現実が描かれたこの物語を、少しでも体験してみてほしい。この映画は、僕から皆さんへの招待状なんだよ。」と本作をアピールし、舞台を後にしました。


現在、数々の映画賞で206ノミネート、71受賞を記録(2/4時点)。映画史を変えた前作に迫る勢いで映画賞を席巻中の本作。より進化した映像美とスケールアップした世界観で2作連続のアカデミー賞®受賞なるか!?オスカー大本命作品として世界中から注目を集める、新たな恋愛映画の金字塔がいよいよ2/22(金)公開されます。



【STORY】1970年代、ニューヨーク。幼い頃から共に育ち、強い絆で結ばれた19歳のティッシュと22歳の恋人ファニー。互いに運命の相手を見出し幸せな日々を送っていたある日、ファニーが無実の罪で逮捕されてしまう。二人の愛を守るため、彼女とその家族はファニーを助け出そうと奔走するが、様々な困難が待ち受けていた…。

監督・脚本:バリー・ジェンキンス 
原作:ジェイムズ・ボールドウィン「ビール・ストリートの恋人たち」(早川書房刊)
出演:キキ・レイン、ステファン・ジェームス、レジ―ナ・キング他
提供:バップ、ロングライド 配給:ロングライド 
公式サイト: longride.jp/bealestreet/ 
(c)2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

2019年2月22日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ(なんば、二条、西宮OS)ほか全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

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子ども達の命を守る疎開保育園の保母たちに光を当てた感動作

『あの日のオルガン』平松恵美子監督インタビュー

 
太平洋戦争末期、学童の集団疎開は知っていても、小さい子ども達がどうしていたのかに思いを巡らせる人は少ないのではないだろうか。戦火を逃れ、毎日食うにも困る生活の中、後手に回る国の政策に先んじて保育所の疎開を提案し、豊かな感性を文化的に育む努力を続けた保母達がいたという事実を知る人も少ないだろう。かくいう、私もその中の一人だった。
 
53人の子ども達の尊い命を守った疎開保育園の実話を基にした感動作『あの日のオルガン』が、2月22日(金)からなんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他で全国ロードショーされる。『ひまわりと子犬の7日間』の平松恵美子監督が自ら脚本を手がけ、戸越保育所の主任保母、人呼んで「怒りの乙女」の板倉楓(戸田恵梨香)と、ドジばかりだが、子ども達を惹きつける魅力を持つ新任保母、野々宮光枝(大原櫻子)を中心にした保母達の奮闘ぶりをハツラツと映し出す。空襲が激しくなる中、皆で疎開保育園を作り上げ、子ども達を守る勇気と信念は、これから新しい時代を迎えようとしている今、時を超えて観る者に痛切に響くことだろう。
 
本作の平松恵美子監督に、映画化までの道のりや、疎開保育園で奮闘した保母達の魅力、この映画が今公開されることの意味について、話を聞いた。
 

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■現場の保母さんたちが声をあげ、小さい子どもたちの疎開を嘆願した実話、映画化までの長い道のり

―――本作は何度も映画化の話があり、実現するまで相当時間がかかったそうですが、オファーされた時の気持ちや、原作を読んだ時の感想を教えてください。
平松:1982年に出版された原作(「あの日のオルガン 疎開保育園物語」)は映画化を念頭に置いて作られましたが、当時関わっていた企画の鳥居明夫さんたちは、予算面や出演者の子どもを揃えることが難しいと判断し、映画化が一旦白紙になりました。
 
時を経て、2012年、鳥居さんの奥様が保育士であることもあり、小さい子どもたちの置かれている状況が虐待やネグレクトも含めてとても厳しいという現状に目を向けたとき、なんとか子ども達の命に光を当てる作品を作れないかと考えたそうです。そこでかつての原作を思い出し、あるご縁で私の元に原作が届いたのです。私も学童疎開のことは知っていたけれど、保育園の疎開があったことに驚きましたし、トップダウンではなく、現場の保母さんたちが声をあげ、小さい子どもたちの疎開を嘆願したということがすごいと思いました。でも、時代劇と同じぐらいセットや衣装にお金がかかる作品になるので、当時聞いていた予算では厳しい。しかも、小さい子どもがたくさん出てくる作品は大変だなと。その時も資金繰りの問題で映画化は見送られたのですが、私だったらこういう風に映画化したいというプロットを書いていたので、鳥居さんに記念のつもりで差し上げたのです。
 
―――今回は、エグゼクティブ・プロデュサーが李 鳳宇さん(『フラガール』)ですね。
平松:2014年に鳥居さんからお電話で「なんとかできそうです!」と言われ、打ち合わせでお会いしたのが李さんでした。「いい話だと思ったので、これぐらいの予算でやってくれ」と2年前の倍の予算を提示してくださったので、これなら映画化できるかなと。「以前のプロットで大丈夫なので脚本化を進めてほしい」とGOサインがでて、ようやく映画化への第一歩が踏み出せた訳です。
 

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■きちんと怒っている主人公のモデル、畑谷光代さんに魅力を感じて

―――自分なりのプロットを書いておられたとのことですが、脚本を書くにあたって、特に意識した部分、膨らませた部分はありますか?
平松:原作を読んだ時、畑谷光代さんという保母さんに非常に魅力を感じました。彼女は一度怒り出すと、顔が真っ赤になって手がつけられない。所長にも噛み付いて、しょっちゅう議論をしている様子は、はたから見ているとまるで喧嘩をしているようだったそうです。現在を顧みると、間違っていることや不条理なことに対し、きちんと怒ることができなくなっている。ヒステリーからくる暴言ではなく、「これは違うでしょ。どうして、こんなことがまかり通るのか」と怒れる人がだんだん少なくなっている。そして叱られる方も、愛情をもって叱られるということに慣れていない。もちろんパワハラというケースもありますが、そうではない時も全てパワハラ扱いにしてしまう風潮が見られます。そんな中、きちんと「怒っている」人はとても魅力的だなと思ったのです。畑谷さんは(戦争末期に)「学童は疎開させているのに、それ以外の小さな子どもたちを疎開させないのはなぜですか」と怒っています。そこから物語を追いかける形にしました。
 
 
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■新米先生を入り口に、少し風変わりな疎開保育園の世界を見てもらう

―――なるほど、映画もいきなり戸田恵梨香さん演じる保母、楓が怒っているところから始まりますね。
平松:ただ、強い人を話の真ん中に置き、その人がそのまま引っ張っていく物語にすると、単純であまり面白くない。右も左も分からない新米が、強い主人公に叱られたり、翻弄されながら成長していくという形にすると、現代の若い人たちに共感しやすいのではないか。本作で言えば、大原櫻子さんが演じるみっちゃんという新米先生を入り口として、疎開保育園の世界を見ることができるようにしようと考えました。
 
―――楓が光代(みっちゃん)を叱る時に口からでた「あんぽんたん!」は、久しぶりに聞いた言葉だなとうれしくなりました。
平松:実は、現場で急遽脚本を変えたときに考えついた言葉です。「怒りをぶちまけたいのだけれど、どういう言葉でぶちまけたらいいのかというもどかしさの中、つい、子どもを叱りつけるように『あんぽんたん!』と口から出たという風にしてください」と戸田さんにもお願いしました。
 

■戸田恵梨香に伝えたことは「楓の怒りには全て理由がある」

―――楓役を演じるにあたり、戸田さんにリクエストしたことは?
平松:楓は怒ってばかりいるけれど、全て理由があり、一つ一つの怒りが違うということをまず伝えました。ただ怒りっぽいという単純な人物ではなく、もっと深い部分があり、陰影のある人物だということは、言葉を重ねて伝えました。
 
 
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■元々持っている人間らしさや心の豊かさを守りたい 

―――楓が何度も訴えていた「現実的生活より文化的生活」は、戸越保育所の考える保育の根底に流れるキーワードですね。

 

平松:戸越保育所は当時では珍しく民主的な考え方の保育所でした。当時戸越保育所で働いていた保母さんたちは、良家の出身の方が多かったからこそ、自分の理想とするところを子ども達に伝えて育んでいきたいという真っ直ぐな気持ちを持てたと思います。疎開生活はもう少し現実的部分があり、理想ばかり追い求めてはいられません。でも、生きるために必要なことだけでは、動物と同じになってしまう。元々持っている人間らしさや心の豊かさを守りたいし、それを無くすと私たちが疎開をした意味がないという気持ちが常々あったそうです。実際にはお花を飾り、オルガンを弾いて歌を歌うとか、まかないのおとみさんの言葉を借りて言えば、「笑いがある」。そういう小さなことの積み重ねですね。
 
―――楓を中心とした保母たちが、夜な夜なその日起こったことを報告しながら、改善案を出すため喧々諤々するシーンは、笑いを誘う一方、民主的な運営を貫こうとしている姿が感じられます。特にベテランの風格すら漂うどっしりキャラの正子を演じる三浦透子さんが、素晴らしかったです。
平松:結局は、どの会議もうまくいっていないですよね(笑)そこをユーモラスに見せようと思いました。三浦さんは実年齢が若いのに、とても落ち着いて見えるんです。正子は力持ちで男勝りなキャラクターなのですが、三浦さんはとても華奢なので、衣装合わせの際にふと思いついて、「(衣装の)中に肉布団を入れてみようか」。うまくハマりました。普通なら本当にぽっちゃりした人をキャスティングするのですが、終戦直前という時代なので極端な体型の人を起用するというより、人柄から滲み出るものを重視しました。やはり子ども達がたくさん出てくる作品ですから、子ども達と向き合える人でないといけない。そういう部分はオーディションで選ぶときに大切にしました。
 
 
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■大原櫻子自身の真っ直ぐな部分が役に重なりながらも「狙ったらだめだよ」

―――光代演じる大原さんは、子ども達とのシーンが一番多く、オルガンを弾きながら様々な童謡を歌っています。平松監督の中で、印象的なエピソードはありますか?
平松:子ども達と林でチャンバラをしていて転んだ光代の上に子ども達が枯葉をかぶせるというシーンはクランクアップの日に撮ったのですが、大原さんとスタッフが大変でしたね。私はそこを綺麗なシーンにしたかったのですが、撮影は3月だったので枯葉しかなかった。そこでスタッフみんなでクラフト紙に色を塗ってから乾かし、葉の形に切って手で揉んで枯葉を作りました。それでもまだ足りないということで、しまいには色を塗っていないクラフト紙をそのまま使って、撮影所からロケ場所までの移動の車の中でチョキチョキ切っては揉んで、ゴミ袋5杯分くらい作りました。でも子ども達は元々あった枯葉や土までかけてしまうものだから、大原さんも口の中がジャリジャリになりながら頑張っていましたよ。
 
―――光代は、楓にはない子供のような心と素直さを持っています。大原さんご自身と重なる部分もあったのですか?
平松:そうかもしれません。ただ、最初大原さんに「一生懸命やっている中で、少しズレてくるのが楽しかったり、皆を笑わせたり、怒らせたりする。その部分が子ども達に好かれるので、狙ってやろうとしてはだめだよ」という話をしました。大原さん自身が真っ直ぐな人なので、そういう部分が演技にも出ていると思います。
 
 
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■童謡「この道」に、疎開場所と往復する「道」や、人生という「道」を重ねて

―――特にお好きなシーンは?
平松:全てが思い出深いですが、挙げるとすれば、よっちゃん先生(佐久間由衣演じる好子)とみっちゃん先生が自転車で二人乗りしながら「この道」を歌うシーンですね。ここでは二人でハモるようにお願いしました。私なりのこだわりがあったので、二人が歌う部分と、光代がオルガンを弾く部分を、音楽を担当いただいた村松崇継さんに依頼し、譜面に書いていただきました。
 
―――監督のこだわりで、「この道」を重要なシーンに起用した理由は?
平松:映画では「ちーぱっぱ」とか「ころころ」のように子どもらしい元気な歌詞の童謡をたくさん選んでいます。一方で、大人の先生たちが歌うときには、しっとりとしたものがいいなと思いました。「この道」の歌詞は深い意味が内在していますから、何度も疎開場所と東京を往復する道や、人生という道ともかけて選びました。

 

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■昭和時代の人たちの思いを継承しながら、私たちが次の時代へつなげる。

―――平成が終わるタイミングで、長い構想期間を経て『あの日のオルガン』が完成し、いよいよ見ていただくことに、どんな意味を感じますか?
平松:私は保母さん達を本当にリスペクトしています。彼女達が行動したから53人の子ども達が救え、その彼女達が戦後、昭和の保育界をリードする人材となっていきました。また53人の子ども達も昭和の日本の復興を支えた人になっているはずです。そのおかげで、平成という時代を日本はなんとか戦争なく終えることができた。そんな思いを継承しながら、私たちは平成から次の時代へ生きていかなければなりません。昭和の時代から今につながっている物語だと思いますし、ラストシーンもそういう気持ちをうまく表すことできたのではないかと感じています。
 

■疎開保育園も映画づくりも「皆でつくるもの」

―――平松監督は松竹撮影所で山田洋次監督のもとキャリアを積んでこられましたが、今自ら監督する中で、受け継いでいることはありますか?また、若い世代に伝えたいことは?
平松:山田さんの作品を見てから劇場を出るとき、暗い気持ちでは出ないですよね。悲しい場面はあっても最終的には表情が穏やかになる。そういう部分は私も目指したいと思います。映画を見ていただいて、明日も頑張ろうと少しでも思ってもらえたら嬉しいですね。
 
保母さんたちもこれだけの人数がいたから疎開保育園を自分たちの力でやり遂げることができた。映画づくりも同じで色々な意見がある中、皆がいるからやっていける。映画は皆の力を借りなければできませんから、自分だけではないということを大事にしてほしいです。
(江口由美)
 

<作品情報>
『あの日のオルガン』(2018年 日本 119分)
監督・脚本:平松恵美子
原作:久保つぎこ「あの日のオルガン 疎開保育園物語」朝日新聞出版
出演:戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵、夏川結衣、田中直樹、橋爪功 他
2019年2月22日(金)~なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都ほか全国ロードショー
公式サイト: https://anohi-organ.com/
 (C) 2018「あの日のオルガン」製作委員会
 

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『半世界』舞台挨拶

(2019年1月31日(木)TOHOシネマズ梅田スクリーン1)
ゲスト:稲垣吾郎(45歳)、阪本順治監督(60歳)

 

ふと自分を見つめ直すキッカケをくれる、
思うようにならない人生でも素直に向き合える――。

「こんな稲垣吾郎、見たことない!」自然体の魅力が光る感動作!

 

阪本順治監督の記念すべき“還暦作品”『半世界』は、昨年の第31回東京国際映画祭で観客賞を受賞。田舎町を舞台にした39歳の仲良し同級生3人組の人生の折り返し点に立つそれぞれの思いと悲哀を描いた、阪本監督完全オリジナル脚本の映画化である。主演には《新しい地図》結成後の初映画出演となる稲垣吾郎を迎え、朝ドラ『まんぷく』で人気急上昇中の長谷川博己に、緩急自在の手堅い演技力で魅了する渋川清彦や池脇千鶴に石橋蓮司という、キャスティングだけでも吸引力のある面々で大いに楽しませてくれる。阪本監督の初期の頃の作品を思わせる笑いあり涙ありの人情物語は、現実的だがどこか懐かしく、心のひだに優しく寄り添うような、そんなヒューマンドラマである。


hansekai-550.jpg2月15 日(金)の公開を前に、主演の稲垣吾郎と阪本順治監督が舞台挨拶に登壇。TOHOシネマズ梅田のスクリーン1の733席のチケットが即完売したとあって、稲垣吾郎人気に改めてびっくりした阪本順治監督は、「無理にこっち見なくてもいいですから(笑)。僕は大阪人なんで大阪の怖さも知ってます。20年前に藤山直美さん主演の『顔』という映画の舞台挨拶の時、立ち見が出るほど満員だというので楽しみにして行ったら、受付でおばちゃんが怒鳴ってまして、何怒鳴ってるかというと、「立ち見やったら300円まけて!」(笑)――これが大阪や!」と、大阪のファンにご挨拶。


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(撮影中の阪本順治監督)


阪本順治監督とは初タッグを組む稲垣吾郎は、「阪本監督が怖かった?」という質問に、「全然!」と即答。『座頭市 THE LAST』と『人類資金』と2本の阪本監督作に出演した香取慎吾から監督について色々と聞かされていたという。「ああ見えて人見知りするタイプの香取君が、“阪本監督、阪本監督”と珍しく心を開いてとても慕っているようだったので、きっと仲良くして下さったんだろうなと思ってましたから」。


hansekai-bu-inagaki-240-3.jpg阪本順治監督はいつも撮影前に主演俳優と二人だけで食事に行くようにしているという。「自分ってこんな人間なんだよってバラした方が、撮影中も相互理解が深められるから」という理由。今回も、稲垣吾郎とホテルの1室で大まかな台本10枚を渡して読んでもらった際も、「とても緊張しましたよ」という稲垣に対し、「えっ?二人きりだったから、違う意味で?(笑)こっちも何言われるかと緊張して、隠れて酒飲んでましたよ。“炭”を焼く役がイヤだと言われたら、じゃ“ピザ”にする?(笑)とかね、返答の仕方を一所懸命考えていたんですよ」と阪本監督。


ロケ地は三重県南伊勢町、2018年2月15日クランインで1ヶ月の撮影期間中、東京から名古屋まで新幹線で行って、近鉄線に乗り換えてロケ地へ行ったという稲垣吾郎。近鉄電車の車両が旧式と新式のタイプがあり、「今日はどっちのタイプかな♪」ととても楽しみにしていたという。


hansekai-bu-500-1.jpg炭焼きの役について聞かれた稲垣吾郎は、「炭焼きは落ち着く感じがして、興味はありました。実際使われている炭焼き小屋で持ち主の方に協力して頂いたのですが、撮影中の炭も実際の商品となる訳ですから、小屋の横に寝泊まりしては炭焼きのタイミングを見計らって、夜中でも撮影していました。伐採のシーンでは初めてチェーンソーを使いました。箸より重たいものを持ったことがないこの僕が!? かなりの重労働だと実感しました」。


hansekai-bu-sakamoto-240-1.jpgこれからご覧になるお客様に向けて、
阪本順治監督、
「映画が始まったら全く違う彼(稲垣吾郎)がいます。この映画に自分なりの思いを込めていますが、基本的にはスター映画は大好きでして、いろんな人物が登場します。その人たちへ思いを寄せてもらえれば嬉しいです。つぶやきはスマホでなくてもできます。横断歩道ですれ違う人に“半世界”と一言つぶやくとか(笑)、ついでに電車の中で友達と話す時も、「今日は寒いね、“半世界”」と(笑)――こんなこと大阪でしか言えませんが、合言葉は“半世界”で拡げて頂きたいと思います。『半世界』というタイトルに込めた想いや、俳優のみなさんが何をやろうとしているのか理解して頂ければ嬉しいです。還暦記念映画でもあります。どうぞお楽しみ下さい」。


 

 

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稲垣吾郎、「阪本監督の記念すべき映画に主演させて頂いて嬉しく思っております。この映画は、一昨年から準備を重ねて撮った作品です。備長炭ではありませんが、我が子のように育て上げた映画ですので、皆さんにきっと気に入って頂けると思っています。合言葉は“半世界”でぶつぶつつぶやくばかりでなく、さっき撮った写真をSNS駆使して拡散して頂きたいです。ここから世界に発信していって、多くの皆さんの観て頂ければと思います。本日はどうもありがとうございました」と、締めくくった。

 

この日はWEB媒体の取材撮影は勿論、観客にもスマホでの撮影を許可するという、ジャニーズ時代では絶対厳禁とされていたことが許された。少し不慣れな様子を見せた稲垣吾郎だったが、観客との近い距離感を楽しんでいたようにも見えた。コテコテの大阪人気質で笑いを誘った阪本順治監督のトークからも、今までに経験したことのないキャラクターを演じる稲垣吾郎を撮影現場でもフォローしていた様子がうかがえる。ベテラン監督のもと、新たな挑戦の始まりを感じさせる記念すべき作品となったようだ。
 


『半世界』

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【STORY】
田舎町の地元で炭焼きをしながら妻の初乃(池脇千鶴)と中3の息子・明(杉田雷麟)と暮らす絋(コウ:稲垣吾郎)は、自衛隊を辞めて帰郷した瑛介(長谷川博己)の姿を見つける。瑛介が何か訳ありで固く心を閉ざす中、同じ同級生で祖父母に両親と未婚の姉という大家族を支える独身の光彦(渋川清彦)と共に彼を助けようとする。だが、瑛介は中々心を開こうとしない。地元で家族と暮らしながらも、心のすれ違いや商売の難しさなど、思うようにならない人生に戸惑いを見せる一方、瑛介の帰郷をキッカケに、39 歳という人生の折り返し点に立つ男3人が、改めて自分を見つめ直していこうとするが、……。

 

■2019年 日本 
■脚本・監督:阪本順治
■出演:稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川晴彦、杉田雷麟/小野武彦、石橋蓮司
■コピーライト:©2018「半世界」FILM PARTNERS
公式サイト:http://hansekai.jp/

2019年2月15日(金)~TOHOシネマズ梅田、他全国ロードショー


(写真・文:河田 真喜子)

 
 

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