原題 | Les adieux a la reine |
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制作年・国 | 2012年 フランス-スペイン |
上映時間 | 1時間40分 |
監督 | ブノワ・ジャコー |
出演 | レア・セドゥ、ダイアン・クルーガー、ヴィルジニー・ルドワイヤン、グザヴィエ・ボーヴォワ、ノエミ・ルボフスキー、ミシェル・ロバン他 |
公開日、上映劇場 | 2012年12月15日(土)~TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、OSシネマズミント神戸 他全国ロードショー |
~西洋史好きを刺激する、華麗で切ない物語~
フランス革命で、ギロチンにかけられることになったストレスのため、その髪が一夜にして白髪になったという逸話でも有名な王妃マリー・アントワネット。どうもそれは科学的にも真っ赤なウソのようだが、フランス史ではかなりの有名人である。オーストリアから出てきて、フランスのルイ16世の妃になったのだが、贅沢の限りを尽くして庶民の反感を買い、それがフランス革命につながったという説のほうはかなり真実を突いているようだ。彼女の奔放さにはどこかミステリアスな色もあり、本当はどんな人だったのだろうと思ったりする。しかし、この映画のヒロインは王妃そのひとでなく、彼女の朗読係を務めた女性シドニーである。そのシドニーの視点から、マリー・アントワネットの残酷さが浮かび上がってくる。
身寄りもない孤児のシドニーだが、王妃に本を読む朗読係として、華麗なるヴェルサイユ宮殿で務めを果たしている。美しい王妃とじかに接することのできるひとときは、彼女にとって自分のアイデンティティを確かめる時間でもあり、それ以上に心の奥がときめく大切な時間でもある。だが、1789年の7月14日、バスティーユが陥落、フランス革命が起こり、王妃を含めた286名の処刑リストが配られたのだ。3日後、王妃はシドニーを呼び出し、断りきれない残酷な命を下す。
ポリニャック侯爵夫人という、王妃の寵愛を受けた存在が三角関係の鍵として登場してきて、気まぐれな王妃がシドニーの気持ちを踏みにじるように、この非常事態に対して命じたことは、あまりにえげつない。そのあたりのシドニーの心模様が、ほとんどサスペンスの色合いをにじませながら描かれ、ラストは胸をえぐる。一方、バスティーユ陥落から、ギロチンリストの配布という事態に対しての宮廷が、意外にものんびりとしているのに驚く。もっと右往左往したんじゃないかと思っていたが、よく考えれば、今の情報化時代と同じはずがないのだなあ。(宮田 彩未)
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