『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』合同記者会見
(2012年11月30日(金)大阪堂島ホテルにて)
ゲスト:堺雅人・菅野美穂
(2012年 日本 2時間04分)
原作:よしながふみ『大奥』
監督:金子文紀
出演:堺雅人、菅野美穂、尾野真千子、柄本佑、宮藤官九郎、西田敏行、要潤、三浦貴大、郭智博、満島真之介、永江祐貴、竜星涼
2012年12月22日(土)~丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー
★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://ohoku.jp/top.html
© 2012男女逆転『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』製作委員会
~”「草食系”というより”植物”」と菅野美穂にいわれた堺雅人って!?~
大ヒットした2010年の映画『大奥〈男女逆転〉』(二宮和也・柴咲コウ)。将軍吉宗を演じた柴咲コウの颯爽ぶりが記憶に新しいが、姉妹篇として、2012年秋のTVドラマ『大奥~誕生~[有功(ありこと)・家光篇]』(堺雅人・多部未華子)に続いて、映画『大奥~永遠~[右衛門佐(えもんのすけ)・綱吉篇]』(堺雅人・菅野美穂)が公開される。史実の男女を逆転させた〈よしながふみ〉原作のコミック『大奥』の映像化は、江戸時代の将軍家大奥を舞台に、世継ぎをめぐる陰謀渦巻く世界で、男女逆転しているとはいえ、信頼と忠誠、そして真心と愛情という普遍的な情景を、豪華絢爛な時代劇として現代に甦らせている。
【STORY】
江戸時代に男性にしか罹らない赤面疱瘡という奇病で男性の割合が激減し、世の中の要職には女が就き、男は子種をもたらす希少な存在となってしまった。まさしく男女逆転の時代に、一人の女将軍のため、その希少な男性3000人を集めた江戸城大奥では、日々将軍に子種をもたらそうと勢力争いを展開していた。将軍綱吉(菅野美穂)の生母父・桂昌院(西田敏行)をけん制するように御台所(宮藤官九郎)は京都から公家の右衛門佐(堺雅人)を呼び寄せる。容姿端麗で学問に精通し品格を持ち合わせた右衛門佐を、綱吉は一目で気に入るが、側室としてではなく、大奥総取締に大抜擢する。綱吉に忠誠を誓い、愛情を抱きながらも、家臣として仕える右衛門佐。世継ぎを授かろうとする綱吉の苦悩をただ見守るばかりだったが……。
2012年12月22日(土)の公開を前に、主演の堺雅人と菅野美穂が来阪し合同記者会見が行われた。
――― 公開を前に今のお気持は?
堺:TVドラマの続編になりますが、ドラマの方も佳境に入り、映画の『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』に向かって盛り上がっているところです。ようやくこの日が来たかと嬉しく思います。
菅野:撮っている間はどんな作品になるのか期待でいっぱいでした。今は映画の楽しみをかみしめています。
――― 男女逆転の魅力については? 日頃男女逆転だなと感じることは?
堺:男女逆転ということだけがフィクションの時代劇です。肉食系の女子と草食系の男子という構図は現代にも繋がっているので、まるで日本の歴史を見つめ直す大きな合わせ鏡のようなお話だと思います。その面白さを伝えることができればいいなと。既に、世の中は逆転していると思うので、別に違和感なく日々細々と暮らしております(笑)
菅野:最初は大胆な設定だなと思いましたが、男女逆転にしても最後に残るのは、愛や純粋さだということが分かって面白いと感じました。そのままでも変わらないものは変わらない。今年の夏ブータンへ行って来たのですが、ブータンは女系国家でして、それでも国民は幸せだと感じて暮らしています。それがとても興味深いなと感じました。また、そうありたいと思いました。
――― 本作でスケール感を感じたところは?
堺:私が参加した時点では既にプロジェクトは動き出していて、プロデューサーたちの話を聴いているだけでワクワクしました。今でも続いている原作そのものがスケールが大きくて壮大な物語ですので、身震いするようでした。
菅野:衣裳合わせや現場の空気感が、自分が思っているのとは違うなと感じました。京都撮影所での撮影でしたし、スティール撮影を見せて頂いた時に、光明寺の吊りの豪華さに驚きました。
堺:元禄時代のお話ですから衣装も豪華で、菅野さんはそれを着こなしておられ、下から見上げた時、とても素敵に似合っておられるなと感じました。
――― 男女逆転とはいえ、それぞれの立場で演じ分けた点は?
堺:私が演じた右衛門佐は上昇志向の強い男らしい役で、TVドラマの有功は女性的な人物と、自分としてはなんとなくイメージを分けて演じていました。
菅野:表では男性的な振る舞いを、でもプライベートでは女性的な面を見せるという、ひとつの人物ですが演じ分けていました。原作では天真爛漫で支離滅裂という、ある意味危ういというか、いつも反対側の要素を残して演じるようにしていました。
――― 役作りについて?
堺:原作が面白いのでそのまま伝えたいと。右衛門佐の家系は「水無瀬」という公家の出で、その水無瀬家ゆかりの宮司さんをしておられる方とお話をさせて頂き、役のイメージが固まりました。
菅野:女性で将軍の役をやれるのは一生に一度しかないだろうと思ったが、でもどうやって演じればと考えると、ムリ!……そこで、理解しようとせず、自分とは別ものだと割り切ることが大事だと考えました。女性としては、子供を失った悲しみや、自分が次第に崩れていくところなどを表現しようと思いました。堺さんをはじめ西田さんや小野さんなど、共演の皆様が本当に素晴らしい方々ばかりで、皆さんの目を見て演じました。
――― お二人は初共演ということですが、お互いの印象は?
堺:菅野さんの作品はいくつか拝見しておりまして、何を考えているのかわからない、怖いイメージ(笑)。大竹しのぶさんとは違う天真爛漫さで、いろんな役を見ても、素でやっているのでは?と思えるくらい役に憑依しているようでした(笑)。
私の役はある意味綱吉に一本の矢を深く深く突き刺すような役なのですが、いくら突き刺しても堪えない。でも、ラストシーンでは、ちゃんと受け止めてくれていたことが分かる演技をして下さり、改めてよく分からない人だなと思いました。
菅野:堺さんは、どんな役の時もご自身でテーマをもって臨んでおられ、それが役に滲み出ているように感じました。私には、草食系というより植物のような人だなと思えて(笑)。研究熱心なのは想像以上でした。今回も、江戸時代のことなのに鎌倉時代まで遡って研究して、堺さんにそんなこと訊かれて監督が困っておられたくらいです。穏やかな中にもキビキビとして、時代劇では衣裳をつけるので心情表現は難しいのですが、それを自然体で演じておられ、素晴らしいと思いました。
――― 観客へのアピールを。
堺:男女逆転という特殊な物語ですが、本格的な普通の時代劇になっていると思います。京都撮影所のスタッフが丹精込めて作り上げた作品です。多くの方に楽しんで頂けると思います。TVドラマを見ておられない方も、男女逆転ということだけを知ってご覧になると楽しめると思います。
菅野:元禄時代なので、男性の衣装が艶やかなのは男女逆転ならではです。世界遺産の京都で撮影した見応え十分の時代劇です。お気軽に映画を見て楽しんで頂ければ嬉しいです。
天然といわれる菅野美穂だが、質問に対しては言葉を選び、思慮深さを感じさせた。一方、研究熱心といわれる堺雅人の方は、役に対する理解度と、作品に対する責任感の強さを感じさせた。また堺雅人は、映画からTVドラマと京都撮影所での撮影期間も長く、時代劇のコスチュームの着こなしはピカイチ! これほど品良く時代劇に映える俳優もそうはいないだろう。男女逆転劇の中にも、菅野美穂は女将軍の苦悩を、堺雅人は凜とした品格のある男らしさを見せていた。(河田 真喜子)