『くろねこルーシー』主演:塚地武雅さんインタビュー
(2012年10月1日(月)シネマート心斎橋にて)
~ダメ男に共感しまくり、塚地武雄の好転のキッカケとは?~
(2012年 日本 1時間47分)
監督:亀井亨
出演:塚地武雅、安めぐみ、大政絢、濱田マリ、山本耕史、京野ことみ、佐戸井けん太、生瀬勝久
2012年10月6日(土)~シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、梅田ブルク7、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都、109HAT神戸 ほか全国ロードショー
公式サイト⇒ http://kuroneko-lucy.info/
© 2012「くろねこルーシー」製作委員会
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【舞台挨拶のお知らせ】
主演の塚地武雅さんの舞台挨拶があります!
10月8日(月・祝)
シネマート心斎橋、梅田ブルク7、T・ジョイ京都にて。
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人生、何がキッカケで好転するかわからない!“甲斐性なし、オーラなし”のダメ男の起死回生のキッカケは、なんと魔女の使いと忌み嫌われる黒猫だった。リストラをキッカケに子供の頃から憧れていた占い師の道を選ぶ。妻と息子とは別居、一人わびしく暮らす男は、占い師としてのオーラもなく、店も閑古鳥がなく始末。しかも、迷信深く気が小さい上に頑固ときているから余計始末に悪い。そんな男の元に、二匹の黒い仔猫が棲みついたことから、男の運気が変わっていく。
黒猫が幸運をもたらしてくれた、と単純に喜べるファンタジックな映画ではない。確かに、それはひとつのキカッケではあるが、気まぐれな猫の面倒をみながら、家族や他人と向き合う姿勢や思いやる気持ちが芽生えたことなど、彼自身の成長と周囲の変化が、見る者を勇気づける要因となる。やはり一人より家族と一緒がいい、その温もりと可愛い仔猫たちに心なごむ作品だ。
愛くるしいネコちゃんと愛情を通わせる不器用な男を演じた塚地武雅さん。共通点が沢山あって他人ごとではなかったという。作品に込めた思いやネコとの共演についてなど、気さくに語って頂きました。
――― 今回の役について?
台本頂いた時点ではうだつの上がらないダメなイメージでしたが、頑固で人付き合いが下手なところとか、次第に共感の嵐でした。自分そのものみたいな気がしてきて……家庭を持っている分だけ、この主人公の方がマシですけどね(笑)
――― 結婚されるご予定は?
いや、まったくないですよ~!
――― 妻役が安めぐみさんでしたが、アズマックスさんから何か言われましたか?
よく共演をキッカケに結婚されるケースもあるので、僕もそれを目指していましたが、安さんは既に結婚が決まっていましたので、がっかりしました。アズマックスさんもこの映画を見て下さったようで、「良かったよ」と仰っていたと安さんから聞きました。ということは、二人で見てたんだ~と、逆にのろけられたようでした(笑)。
――― ネコとの共演は?
ネコも犬も飼ったことがなくて、最初はどう対処したらいいのか分かりませんでした。嫌いじゃないけど、抱き方も分からなかったのですが、撮影が進む速度と同じリアルタイムで仲良くなっていきました。ネコは気まぐれなので、誰かと喋っていると寄って来たり、ヤキモチやいたり……クランクインの時は抱いても暴れてましたが、クランクアップの時はなついて、抱いても落ち着いてました。
――― ネコを飼いたいとは?
飼いたいけど、面倒見きれないし、出会いの場にも行けないし……。
――― ネコを飼うと恋人できないといいますけど・・・?
犬みたいに散歩させられないので、散歩中の出会いにも期待できないし、せいぜいネコがいなくなってネコ探しの時くらいに、同じようにネコ探している人と出会えるくらいでしょうか(笑)。
――― 鮫島家からの帰り、雨宿りするシーンで泣けました。
ありがとうございます。あのシーンでは、最初はもっと強い男らしい口調でネコを励ます予定だったのですが、それがネコと一緒にわびしさを共有しているような感じになりました。
――― この主人公のように、何かのキッカケで運が上向いた経験は?
中学生の時、“ちびっこ漫才師”みたいなもので有名になった同級生がいたのですが、「おまえの方がおもろいで」と言ってくれた友人がいて、その後、高校、大学、就職してからもずっとその言葉が心に引っかかっていました。友人のその言葉がキッカケで、こうしてお笑いの世界に入った訳です。
――― どんな“おもろい子”だったのですか?
いつも明るく朗らかという訳ではなく、何か凝ったことで笑いをとったり、授業中には先生に大喜利的な返しをしてみたり、ちょっと変わっていたかも知れません。
――― そこも商業的な占いを拒む主人公と似ているのでは?
確かにそうですね。
――― “甲斐性なし、オーラなし”なんて、特に芸人には堪える言葉では?
芸人をやり始めた頃は、本当にお金に困ってましたね。借金しても利子しか払えなくて、芸人として食べていける日がくるのか、と心配していました。
――― 監督の演技指導は?
細かい演技指導はありませんでした。撮影に入る前に飲みに行ってお話したら、監督と共通していることが多く、ちゃんとリンクしていたので安心しました。
――― ファンタジーなお話のようだが、妙に現実感のある舞台でしたね。ロケ地は?
木更津です。何となく懐かしさの残る、空気もこの作品にバッチリはまっていたようです。服装もムリしてないような感じで作風に合ってはいましたが、あまりにも普通過ぎて、家の中のシーンの服装のままオフしてたり、ドテラにジャージですからね~和み過ぎてましたね(笑)。
――― 大政絢さんとの共演は?
本当に可愛らしく、ナチュラルな感じの人でした。あんな綺麗な人でも、ペットショップの制服着るとそれになりきっていましたから、さすが女優さんですね。
――― 濱田マリさんは?
急にアドリブで来られるので、もうこちらはナチュラルに応えるしかなくて、ホント驚かされました。面白い方でした。
――― 迷信は信じる方ですか?
全部信じています(笑)。特にスポーツ選手や芸人はゲン担ぎしますので、世の中で知れ渡っている迷信は殆ど気にしていますね。舞台に出る直前、ここよりもっと大きなホールを想像するんです。実際出てみると小さいので、ホットする…緊張をほぐすための私の迷信です。
――― 『ももいろクローバーZ』の大ファンですって?
はい!ライブにも行ってます。最初はじっとして聴いていたんですが、途中で、周りはノリノリなのにカッコ付けている自分に気付いたんです。こんなに元気もらってるんだから申し訳ない、と思い直し、今では最初っからガンガン応援しています(笑)。
――― 今後やりたい役は?
NHK大河ドラマ『平清盛』で悪い公家役をやったのですが、それが楽しくって、結構受けてたみたいです。またあのような悪役をやってみたいです。
――― この映画で一番伝えたいことは?
自分で言いながら納得していたのが、「人間ってキッカケなんだな~」というセリフです。苦手意識のある人や物でも何でも、実際当たってみないと分からない。何かのキッカケで苦手でなくなることもある訳ですから、決めつけないで、積極的に行動することが大事。この映画が、正に背中を押してくれるキッカケになってくれたらいいなと思います。家に帰る道筋でも、ちょっと違う道を歩くと、新たな発見があるかもしれませんし。(河田 真喜子)