★2014年9月28日(日)なんばパークシネマにて
★ゲスト:楳図(うめず)かずお監督(78)、片岡愛之助(42)、舞羽美海(まいはねみみ)(27)
『マザー』
(2014年 日本 1時間23分)
監督・脚本:楳図かずお、共同脚本:継田淳
出演:片岡愛之助、舞羽美海、中川翔子(友情出演)/真行寺君枝
2014年9月27日(土)~全国ロードショー
公式サイト⇒ http://mother-movie.jp/
(C)2014「マザー」製作委員会
~ 関西出身3人衆による、ホラー映画爆笑PR作戦!? ~
楳図かずお先生のせいで、子供の頃“ヘビ女”や“クモ女”のように美しい顔が急に豹変する化け物が恐くて堪らなかった。(今でもホラーは苦手だ)「おろち」「洗礼」「漂流教室」などの恐怖マンガの巨匠かと思えば、シュールなギャグで大ブレイクした「まことちゃん」の生みの親でもあり、“グワシ!”は社会現象ともなった楳図かずお。満を持して77歳にして初監督作品となったのは、母親と息子の歪んだ愛情関係が恐怖を生むという、彼自信にしか書けない自伝的要素を多く含むオリジナル本の「マザー」の映画化である。
深い愛情故に母親イチエの亡霊に襲われる楳図かずおとさくらを演じた片岡愛之助さんと舞羽美海さん、そして監督初挑戦の楳図かずお監督の3人が、公開2日目の〈なんばパークスシネマ〉に登場して舞台挨拶が行われた。3人とも関西出身とあって和やかな雰囲気で悲しくて恐い映画をPRしようとするが、どうしても笑いのノリになってしまう。
――― 最初のご挨拶を。
楳図監督:ご一緒に、“グワ~ッシ!”(いきなりのアクションに会場騒然!)満を持して監督しましたが、ようやく公開に辿り着くことができました。恐かったでしょう?(拍手)ありがとうございます。恐くないホラーというのはどうかな?と思いますので、恐いシーンをしっかり入れました。どうぞお楽しみ下さい。
愛之助:その「楳図かずお」を演じました片岡愛之助です。本日はどうもありがとうございます。「まことちゃん」で育ってきましたので、楳図先生の作品に出られて本当に嬉しいです。現場でもこの調子で和やかな雰囲気だったのですが、これでホラーになっているのか心配だったのですが、最後には「うわっ!」と叫ぶほど恐い映画になっていて安心しました。
舞羽:楳図先生と謎の怪奇現象に立ち向かう編集者の役を演じております舞羽美海です。エンドロール最後まで「ウメズ・ワールド」全開の映画に出演できて本当に楽しかったです。ありがとうございました。
――― 「14歳《FOURTEEN》」(‘90)以来のオリジナル作品ということですが?
楳図監督:そうなんです。やっと「マザー」に辿り着くことができました。辿り着いたら大阪なんばの劇場だったと…(愛之助:ここ笑うとこですよ!)(笑)
――― 監督デビュー作ですが、公開したという実感は?
楳図監督:ここで公開したという後悔はしてませんで…(笑)公開したという喜びに満ち満ちておりますので、ここで失敗して堪るか~!という感じです。
――― とてもホラー映画の舞台挨拶とは思えない雰囲気ですが…?
愛之助:ホントですね。こんなに和気あいあいとして笑って「どうでしたか?」なんて訊くことはあまりないと思うんですが、これも監督の人柄でしょう。撮影中もいつも監督はムードメーカーでした。監督と私の共通点は、「楽しんで仕事をする」。つまりいい意味の遊びの延長で仕事ができたので、本当に楽しかったです。
この作品のマンガ本に、お風呂に入っている楳図先生の所にさくらが素っ裸で入って来るページがあって、「このマンガ、結構キワドイね。本番で出てきたらびっくりするよね?」なんて話していたら、映画の終盤でマンガを書いている僕の後ろから舞羽さんが寄って来て「あっ、私と同じ名前!」というシーンがあるのですが、その時たまたまめくったページがそのお風呂のページだったんです!二人ともびっくりしました(笑)。
舞羽:とても生々しい表情になりましたが…。
楳図監督:微妙なテンションの上がり方が面白いね!(笑)
舞羽:その時の愛之助さんの表情も見てほしいです。
――― 1回見ただけでは分からないシーンがこの映画にはいっぱいあります。他にも思いつかれることは?
舞羽:さくらが初めて楳図先生のお宅に伺うシーンで、部屋の中に「まことちゃん」グッズがあちこちに飾ってあることです。人形やマグカップや隠れまことちゃんがいっぱいで、きっとマニアックな方には堪らないのでは?
――― 舞羽さんは宝塚歌劇の娘役トップでいらっしゃいましたが、ホラーは初めて?
舞羽:初めてです。意外とアクションシーンが多くて、真行寺さんをいろんな物で殴ったり、崖から落ちたりと、走り回ったり、転んだりと。
楳図監督:結構体力要る役でしたね。
――― 愛之助さんは、気付かれた所はありますか?
楳図監督:愛之助さんが気付いたとこ?
愛之助:いえいえ、僕のコーナーです(笑)。僕のボーダーの幅が変わったのを気付かれましたか?赤と白のボーダーは楳図かずおのトレードマークですが、「いざ、やるぞ!」という強気の時には幅が太く、弱気になると幅が小さくなるんです。
楳図監督: (愛之助さんのストールを持って)今日は弱気という訳ではありませんが(笑)。
愛之助:今日は若干控え目という感じですね(笑)。
――― 今日お越し頂いた皆さん関西ご出身の方ですよね?
楳図監督:そうなんです!それでどうしても関西のノリになってしまうんです。
――― 関西のノリで明るかったんですか?
楳図監督:そうですね、多分そんな気がします(笑)。舞羽さんは暗いシーンなのに明るい感じに喋ってしまい、音声さんに注意されてました。関西ということがバレてましたね。
――― 楳図監督が奈良県で、愛之助さんが大阪府、舞羽さんが兵庫県ご出身ということですが…?
楳図監督:今回関西パワーも影響したのですが、血液型も影響していたんです。僕がO型、愛之助さんがB型、舞羽さんがA型、真行寺さんがAB型と、4人ともバラバラなところが面白い。特に真行寺さんは、今まで綺麗な役が多かったのですが、AB型なので綺麗な反面崩れた役もできるのでは?と考えました。あの綺麗で優しそうな表情が恐かったでしょう?
(会場シーン)
楳図監督:はい!
愛之助:監督、自問自答してるじゃないですか?(笑)
楳図監督:人間の実態を見てしまったようで、余計に恐くなると思います。
――― 撮影場所は監督の実際のお家なんですって?
愛之助:そうなんです。よく知られている赤白のボーダーの家ではでなく、監督は沢山のお家をお持ちなんで…
楳図監督:家を建てるのが趣味なんです。家も僕の作品だと思っています。赤と緑のお皿も置いてますよ。
愛之助:緑が多い素晴らしい環境の、とても素敵なお家です。
――― 楳図かずおのプライベートも垣間見れる映画にもなっているんですね?
楳図監督:そこをベースにして物語を作っていくんです。フィクションだけでなく、真実の部分も多いんですよ。例えば、愛之助さんが掌にペンを突き刺すシーンがあるのですが、本当に掌に傷があるんです。経歴や育った場所もすべて本当なんですが、全部足すとウソになってしまうんです(笑)。
――― 是非次回作も撮って下さいね。
楳図監督:ありがとうございます。そのためには皆様の後押しが必要だと思いますので、是非応援して下さい。
――― 最後のご挨拶を。
舞羽:何度見ても楽しい映画だと思います。真行寺さん演じるマザーの深い部分にある愛情のゆがみ方とか、見れば見る程味が出てくる楽しいホラー映画だと思いますので、是非何度でもご覧頂きたいと思います。
愛之助:ホラー映画を見終えた後の舞台挨拶とは思えないほど和気合いあいとしていますが、監督、次は喜劇を作ったらどうですか?
楳図監督:あ~それはいいね!その時は愛之助さんはお笑いの役になっちゃうよ。
愛之助:勿論!喜んで頑張らせて頂きます(笑)。先程からお話に出てきておりますような見落とされた部分を何度でもご覧頂きたいと思います。
楳図監督:恐いだけじゃなくて、人間の心理、普段隠れている奥深い部分とか、人生の中の本能による苦悶などがしっかり裏に張り付いています。是非、ご近所、お友達などともう一度ご覧頂きたいと思います。そして、最後に「うわ~っ!」と脅かしてあげて下さい。
【STORY】
楳図かずお(片岡愛之助)の生い立ちを本にしようと担当編集者のさくら(舞羽美海)は初めて楳図家を訪れ、独特な「ウメズ・ワールド」グッズで囲まれた自宅の中で、母親イチエ(真行寺君枝)の不思議なパワーを感じる。調査のため楳図かずおの生まれ故郷を訪れ、イチエに関する忌まわしい過去が明らかになると同時に、楳図かずおの近親者やさくらの身辺で次々と恐ろしいことが起こっていく……。
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(河田 真喜子)