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『イヴ・サンローラン』

 
       

ive-550.jpg『イヴ・サンローラン』

       
作品データ
原題 Yves Saint Laurent 
制作年・国 2014年 フランス 
上映時間 1時間46分
監督 ジャリル・レスペール
出演 ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ 、シャルロット・ル・ボン、ローラ・スメット、ニコライ・キンスキー
公開日、上映劇場 2014年9月6日(土)~角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、T・ジョイ京都 他全国ロードショー

 

★フランスモード界の寵児イヴ・サンローラン、財団初公認の本格伝記映画

~繊細過ぎた天才デザイナーの華麗なる人生の光と影~

 

ive-3.jpg 今なお古さを感じさせないエレガントなデザインで日本でも人気の高いブランド、〈イヴ・サンローラン〉。その創始者は、若くしてモード界のトップに躍り出て、時代を先取りしたデザインで社会変革を推進した先駆者でもある。それまでの女性のスタイルを根本から変えたパンツスタイルを定着させ、女性の社会進出や地位向上に貢献。本作は、その天才的ファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華麗なる人生の光と影を、公私共にパートナーだったピエール・ベルジェの視点から描いたラブストーリーである。

 ドキュメンタリー映画『イヴ・サンローラン』('10)では、ピエール・ベルジェがナビゲーターとなってイヴ・サンローランの世界観や共に生きてきた栄華をたどり、ベルジェの芸術への深い造詣や力強いサポートが繊細なイヴ・サンローランを支えていた様子が伺えた。だが、それでもなおイヴ・サンローランは満たされぬ思いや不安に苛まれたのはなぜだろうか? 本作は、彼のミステリアスな心の軌跡を細やかに描いて、実像に迫っている。

ive-2.jpg 今回の映画製作には、ピエール・ベルジェ氏が全面協力し、イヴ・サンローラン財団所有の貴重なアーカイブ衣装やデザイン画などが使用され、財団初公認作品ということでも注目されている。また、イヴ・サンローランを演じたピエール・ニネは、持ち前のエレガントさと熱意が認められ、ミステリアスな天才を繊細に体現している。さらに、今回アプローチ役となったピエール・ベルジェを演じたギョーム・ガリエンヌは、今年のセザール賞5部門受賞の大ヒット作『不機嫌なママにメルシィ!』(10/4公開)では監督・脚本・主演を務めるマルチな才能を発揮。二人とも国立劇団コメディ・フランセーズに在籍する俳優だが、ギョームの役者としてのキャリアや人生の先輩としての貫録ある演技が、作品のクオリティを高める要因となっているのは確かだ。
 


 ive-4.jpg<STORY>
 1957年、パリ。クリスチャン・ディオールの死後、21歳の若さでディオール社の主任デザイナーに就任したイヴ・サンローランは、社運を賭けた初めてのコレクションを大成功させ世界を驚かせる。その後、芸術家の支援をしていた26歳のピエール・ベルジェとディナーの席で出会い、恋に落ちる。デザイナーとしての才能やエレガントで美しい容姿のイヴにピエールが一目惚れ。ピエールは、兵役で入隊したイヴが精神を病み苦境に陥ったところを救い出し、デザイナーとして独立させたり、イヴ・サンローラン社を設立したり、公私共にパートナーとなってイヴを支えていく。こうして運命を共にするふたりは、世界のファッション界を変えるほどの影響力を発揮していくことになる。

 ところが、その一方で、繊細すぎるイヴは、次々と新作を発表しなければならないプレッシャーや肉体的疲労に耐えられなくなり、薬物やアルコール、セックスに依存するようになっていく。生涯をかけてイヴに愛情を注ぎ守ろうとしたピエールだが、時代がイヴを追い詰めて行く……。


 
イヴ・サンローランは、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の『昼顔』(‘67)や『暗くなるまでこの恋を』(‘69)などの衣装を手がけている。シンプルな中にもエレガントなゴージャスさでC・ドヌーヴのクールな美しさを際立たせていた。彼女自身も〈イヴ・サンローラン〉の大ファンで、長年に渡りイメージキャラクターを務めていた。オードリー・ヘップバーンによって〈ジヴァンシィ〉が流行ったように、日本での〈イヴ・サンローラン〉人気は高く、劇中にも日本人ビジネスマンとの交渉場面が登場する。

縦のラインを強調してほっそりと見せるイヴ・サンローランのデザインは、マニッシュな中にも女性らしい優しさと品の良さを感じさせる。だが、こうした高級ブランド商品は、小物類は買えても服までは中々手が届かないのが実状。イヴ・サンローランは子供の頃から女性のエレガントな装いに強い関心を示していたようだ。女性を客観的に見られる男性だからこそ、大胆なアレンジで女性を美しく見せるアイデアが生まれるのだろう。

2015年には、ギャスパー・ウリエル主演の『サンローラン』が公開される。モード界の帝王イヴ・サンローランの栄華の影に秘められた苦悩と愛憎を、レア・セドゥ(『美女と野獣』(11/1公開))、ルイ・ガレル(『ジェラシー』(9/27公開))、ジェレミー・レニエ(『最後のマイ・ウェイ』('12))などフランスを代表する若手実力派が物語る豪華版だ。是非、本作『イヴ・サンローラン』を見て、来年公開の『サンローラン』に備えてほしい。

 (河田 真喜子)

★ピエール・ニネ来日レポート⇒ こちら
★ジャリル・レスペール監督トークレポートはこちら
★公式サイト⇒ 
http://ysl-movie.jp/
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