本場、大分県宇佐市のアツアツからあげに舌鼓!主演高橋愛、瀬木直貴監督舞台挨拶『カラアゲ★USA』(14.9.27 シネマート心斎橋)
登壇者:瀬木直貴監督、高橋愛
『カラアゲ★USA』
(2014年 日本 1時間35分)
監督:瀬木直貴
出演:高橋愛、海東健、浅田美代子、石丸謙二郎、中村ゆうじ、ダンテ・カーヴァー、プリンセス・アプラク、菜葉菜、渡辺美佐子他
9月27日(土)~シネマート心斎橋
(C) 2014カラアゲ★USA製作委員会
日本人で、からあげを嫌いな人はいないのではないか?皮はパリパリ、中身はジューシー。晩ごはんに、お弁当のおかずにと我が家でも大人気メニューのからあげがふんだんに登場する『カラアゲ★USA』。冗談のようなタイトルに最初は驚いたが、本作を観ればなぜそんなタイトルがついたのか、納得することだろう。舞台は日本ではじめてからあげ専門店が誕生し、日本で一番一人当たりのからあげ消費量が多い大分県宇佐市。人気店に押され、すっかり客足が遠のいたからあげ店一家に、幼少時から、からあげが苦手の娘が、アメリカ人の夫と離婚し子連れで出戻ったことから始まるコミカルかつ、からあげ愛あふれるヒューマンストーリーだ。のどかな宇佐市の風景に癒されるだけでなく、他ではお目にかかれない「からあけスタンド」や、からあげ専門店が必死になって優勝を狙う「カラアゲ・カーニバル」の模様など、観終わったら思わず「からあげとビール!」と叫びたくなる美味しいシーンもふんだんに盛り込まれている。
からあげ嫌いにも関わらず、お店のために新メニューの開発に情熱を注ぐ主人公、彩音を演じるのは映画初主演となった元モーニング娘。の高橋愛だ。地元宇佐弁だけでなく、夫(ダンテ・カーヴァー)と英語での会話シーンも披露。持ち前の明るさで彩音をハツラツと演じている。映画初出演で娘役のプリンセス・アプラクと母娘仲睦まじい様子も印象的だ。
シネマート心斎橋で公開初日の9月27日(土)に開催された舞台挨拶では、宇佐市よりキャンペーンレディが来場し、本作や宇佐市の見どころを披露。引き続き登壇した瀬木直貴監督、高橋愛から、撮影秘話やご当地映画の良さについて話が展開した。その模様をご紹介したい。
(最初のご挨拶)
瀬木監督(以下監督):監督の瀬木でございます。今日はご来場いただき、ありがとうございます。元々京都から映画人生を始めたので、関西で映画を上映するのは非常にうれしいです。みなさん、からあげが食べたくなりましたか?
高橋愛(以下高橋):撮影したのが昨年の11月だったので、いよいよ公開されるなとすごくドキドキしていました。本当に大分県宇佐市の素晴らしいところがふんだんに盛り込まれていて、からあげが食べたくなるような映画です。私自身は初主演映画ということで緊張しましたが、瀬木監督をはじめとする皆さんに囲まれて、暖かい作品になったのではないかと思います。今日はありがとうございます。
―――最初瀬木監督から『カラアゲ☆USA』の配給宣伝というお話をいただいたとき、全く内容が想像つきませんでした。
監督:東京の劇場からは「タイトルを変えてくれ!」と言われたのですが、やはり『カラアゲ』と『USA』は外せないと頑張りました。
高橋:でも、大分県の方は『カラアゲ★USA(うさ))』って言いますよね。
監督:劇場でチケットを買うときも「『カラアゲ★うさ』1枚」という感じです。大分県以外の方はまず言わないでしょうね。
―――オールロケですが、撮影はいかがでしたか?
監督:撮影期間は約2週間と短かったですが、高橋さんの役は英語を話し、地元の方言も完璧にこなさなくてはいけません。しかも、アメリカから帰ってきた設定なので、最初は共通弁だけど段々方言が戻ってくる感じで、方言を自分の中に入れるのが大変だったと思います。
高橋:北九州の友人がいたので、宇佐弁も少し聞き馴染みがある感じでした。日本語なので、そこまで混乱するほどではなかったですが、英語は大好きだけどしゃべれるわけではなかったので、お風呂やトイレでもとにかく聞いて覚えました。
監督:高橋さん、プリンセスちゃんと親子役の二人とも英語がしゃべれなかったのが、すごくショックだったです。プリンセスちゃんは演技も初体験だし、日本生まれの日本育ちなので、日本語がものすごく達者でした。現場でもずっと二人で話していましたね。
高橋:プリンセスちゃんは普段はよくしゃべるのに、カメラが回ると別人のようになって。楽屋のおしゃべりも、よく声が通るので本番中に何度かカメラマンから怒られてました(笑)
―――瀬木監督といえば、地域映画を多数撮っていらっしゃいますが、今回宇佐市で撮影して、今までと違った点はありましたか?
監督:九州では6本映画を作り、すべて福岡県で撮影していたのですが、福岡県の方は結構気が短くて、いろいろなところで喧嘩が始まることが多かったです。今回は同じ九州でも大分県宇佐市で、すごく穏やかな方が多く、撮影は非常にスムーズにできました。エキストラの方が1400人ぐらいと非常に多く、圏外からも300人ほど来てくださいました。宇佐市の方と県外の方との交流の和が広がったのはうれしいですね。
―――初主演映画が、ある地域と濃い関係を作りながら撮影するということは、日頃なかなかできない体験では?
高橋:クランクイン前日に現地入りしたときは、すごく緊張していました。宇佐神宮にお参りに行った後、撮影スタッフの皆さんにご挨拶をしたとき、この映画に関わってくださる皆さんがズラリと座っていらっしゃって、皆さんの気合いを感じました。皆が同じ方向を向いている感じがして、がんばらなければと背中を押された気がしました。1年以上いろいろな人が準備を進めてくれ、ようやく撮影の日を迎えることができたので、がんばらなければという思いでしたね。
監督:僕は晴れ男なのですが、高橋さんは雨女だと撮影前日の夜に聞かされ、クランクインの早朝が豪雨だったので、「負けた!」と思いました。でも、石橋の上で智也(海東健)と再会する最初の場面を撮影するときからは、さっと晴れてきて、その後は雨知らずでした。
―――空揚げが宇佐市のご当地食と知り、驚きました。どこにでもあるものだと思っていたのですが。
監督:豚骨ラーメン発祥の地、福岡県久留米市で『ラーメン侍』という作品を2011年に撮ったことがきっかけで、大分でからあげをテーマにした作品を撮ってほしいと声がかかりました。からあげは全国どこでもありますが、よく調べると、新聞ではからあげを『空揚げ』と書くのです。その理由は「天ぷらには衣があるが、空揚げは粉をはたく程しかつけない。空っぽだ」ということだそうです。粉に味がついているのではなく、鶏肉をタレにつけ込んで、肉のうまみを引き出す。和食であり、日本を代表する国民食です。世界で有名な日本文化、「カラオケ」に続くのは「カラアゲ」だという想いで作りました。
―――宇佐市はからあげ屋のスタンドもありましたね。
高橋:からあげ専門店発祥の地ということで、私も今回初めて知ったのですが、お店によってぜんぜん味も違いますし、使用する鶏肉の部位も違います。胡椒が効いているものもあれば、醤油ベースのものもありますから。
監督:市内で35ぐらいの専門店があり、スーパーの売場も含めれば60店舗ぐらいありますから、全て食べるのは無理ですね(笑)。
(最後のご挨拶)
監督:からあげの映画ですが、ふるさとムービーになっています。皆さんお一人お一人の中にとても大切な場があると思います。その場と皆さんの人生との距離感をこの映画を通じて考えるきっかけになれば幸いです。また宇佐市は大横綱双葉山の出生地であり、全国四万社あまりある八幡宮の総本宮宇佐神宮がある場所ですので、ぜひ遊びに来ていただければうれしいです。
高橋:私は今回この作品に携わらせていただき、大分県の宇佐市がこんなにすばらしい場所で、からあげがソウルフードであることを初めて知りました。私のようにこの作品で宇佐市のことを知ってくださる方かたくさんいらっしゃると思います。また、監督がすごくこだわっている映像もまた観ていただけたらと思います。本日はありがとうございました。
舞台挨拶後、来場のお客様に映画グッズと、からあげがプレゼントされた。ビッグステップ1階では本場宇佐市のからあげ(しかも揚げたて!)が振る舞われ、私も本場の味を堪能させていただいた。味付けは醤油ベースだそうだが、意外にあっさりとしており、思った以上にジューシー。一切れが通常のからあげの2倍ぐらいのボリュームながら、もっと食べたくなるような「おかわりしたくなる」美味しさだった。宇佐市の美味しいからあげの秘密が分かるかもしれない!?、日本のソウルフードからあげ映画『カラアゲ★USA』はシネマート心斎橋で絶賛公開中だ。(江口由美)