『王になった男』イ・ビョンホン 記者会見&ジャパンプレミア
(2012年 韓国 2時間11分)
監督:チュ・チャンミン
出演:イ・ビョンホン、リュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ、キム・イングォン、シム・ウンギョン
2013年2月16日(土)~新宿バルト9、丸の内ルーブル、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ西宮OS、他全国ロードショー
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『王になった男』のプロモーションとして「悪魔を見た」以来約2年ぶりに記者会見に登壇したイ・ビョンホン。想像をはるかに超えるマスコミ陣で会見場があふれる中、ひとつひとつの質問に真摯に、そしてユーモアを含めて答える彼の一問一答の様子と、ジャパンプレミア&大ヒット祈願調印式の模様をお届けします。
【記者会見】
―――最初のご挨拶
ビョンホン:来日するのも久しぶりですし、このように記者の皆様の前で記者会見を行うのも久しぶりなのですが、非常に嬉しくて胸がときめいています。
―――初めての時代劇、しかも暴君である王と彼の影武者となる心優しい道化師の一人二役を演じるのはかなりの「挑戦」という意味合いが強かったのでは?
ビョンホン:私にとって時代劇も王の役を演じるのも初めてでした。これまで時代劇を避けていたわけでもなく、今回の作品も時代劇だからといって挑戦しようと思ったわけでもありませんでした。とにかくこの作品の物語が非常に素晴らしく、楽しい作品だったので出演を決めました。そして撮影中はとても楽しく過ごせましたし、とても多くのことを学ぶことができました。
―――「王になった男」は韓国で興行成績3位を収めたが「イ・ビョンホンさんが考える要因」と日本の観客にどういう所を見てほしいか教えてください。
ビョンホン:まずはイ・ビョンホンが出演している作品だからではないかと思います。…冗談です(笑)。この作品は歴史的事実を基盤にしている物語ですが、実際の王の日記を見ると、映画の中で描かれている15日間というのは空白になっているんですね。そこからヒントを得てモチーフにし、空白の15日間に「こういうことがもし起きていたら?」というフィクションを加味して作られました。時代や国を問わず、どの人達も世の中に対して鬱憤や不満や悲しみを持っていたりすると思うんですが、それをこの映画では代わりに露吐してくれたように思います。観てくれた観客は代理満足を得られたのではないかと思います。そういった点が非常にたくさんの方に痛快で楽しく観ていただけた所ではないかと思います。
日本の観客の方には見どころというよりも「もし自分が王様だったらどうだっただろう?」と思いながら観ていただけると楽しめると思います。この作品は歴史的な根拠を基にしているけれども、そういったことを知らなくても、国の習慣や文化を知らなくても楽しんで観られると思います。その例として先ごろプレミア上映されたアメリカやイギリスなどでも非常に楽しんでもらえたので、尚更そんな思いを強くしました。
―――数々の作品で現場をひっぱってきた主演という立場と、王には共通する所はありますか?
ビョンホン:表面的には似ている部分があると思います。いつもまわりの視線を集める所や、それによって制限された生活をしなければならない所、権力を持っていても乱用してはいけない所とか、似ている所はたくさんあります。自分が何かを仮に命令したとしても、そこには必ず責任が伴うということも似ている点だと思います。ただ、俳優としては王とは違う部分もあると思うんですね。王は民の思いに耳を傾け、民の求めていることをやっていきますが、俳優というのはファンの好みだけに合わせてしまうと自分のカラーを失くしてしまう、ということが演技の面ではあると思います。ですので作品を選ぶ時も自分の意思で選択すべきだと思っています。もちろん耳を傾けはしますが、傾けすぎると自分の所信を失ってしまうので、そういった所は違うと思います。
―――イ・ビョンホンさんがコミカルに踊るシーンなどは初めて見ましたが、何かエピソードはありますか? あなたのような素敵な笑顔になりたくて練習しているが何か練習方法はありますか?
ビョンホン:ハソンという人物は突拍子がなく滑稽で、人を笑わせるキャラクター。
パフォーマンスのシーンは実はとても大変だったんです。最初は大したことないんじゃないかと思っていたんですが全く違っていました。韓国舞踊というのは基礎から学ばないといけなくて、歩き方ひとつにしても長時間練習してようやく身につくもの。踊るシーンは最初の撮影で撮るはずだったんですが、練習が足りなくて結局最後にまわしました。そしてそのシーンを撮って今回の映画が全て終了したんです。また、舞踊の練習はしても表情の練習はしません。俳優というのは心の中にその時々の感情を持っていないと表情として伝わらないからです。なので練習はしないでください(笑)。
―――出演しようと決定づけたシーンを教えてください。
ビョンホン:ひとつのシーンだけで決めたわけではありません。全体の内容が私の心に響いたので出演を決めました。ではなぜこの作品が気に入ったかというと、誰でも一度は「自分が王様だったらどうするだろうか?」と想像すると思うんですが、そういったことを非常に骨太なメッセージで伝えてくれているなと思ったからです。しかも重くなりがちな所が面白く、コミカルに描かれていたので素晴らしいシナリオだと思い、そこが私にとってアピールポイントになりました。
―――どの作品も非常にストイックに向かっているように思うが、身体的、精神的に気を付けていることはありますか? また自身の「弱み」を教えてください。
ビョンホン:俳優という職業は何かを練習したり、何かを勉強して深みを出せるものではないと思います。俳優は人生を語り、人生を自分の体をもって演技をし、見せるからです。本を読んだり自分を磨いたりするといったことで俳優の仕事ができるとは思っていません。そして後輩には「分別を持ってはいけないと」とよく言っています。俳優だけではなくアーティストも然りですが。そういった人達は奇抜なアイディアが必要で、時には突拍子もない考えがあるかと思うんです。そういった想像の芽を切ってしまうから「分別を持つな」と言っているんですね。韓国では親が子供に一番言う小言が「もっと大人になれ」「分別を持て」なんですが、私は年がいくつになったとしても、やっぱり少年としての気持ちを持っていた方がいいと思います。そういった気持ちがあればいい考えも浮かびますし、それを表現できるのだと思います。そういったことをよく後輩に話してはいるんですけども、自分の弱みとしては、まわりにそう忠告しつつ、自分ではそれが実践できない所が弱みでしょうか(笑)。
【ジャパンプレミア&調印式】
新宿バルト9にて幸運なプレミア上映を鑑賞した約400名の観客が待ち構える中、「皆さんこんにちは。イ・ビョンホンです。おいしかったですか?…あっ、面白かったですか」と日本語で挨拶した彼の姿にファンは大興奮。
「作品を決める時には、こういった作品だからやる、やらないといった選び方をせず、あくまでもその物語が何かが重要だと思っています。また、この映画にでてくる影武者のハソンのコミカルなキャラクターのほうが、王よりも自分の性格に似ているので、周りのスタッフは特に驚いた様子はなかったですね(笑)」と彼が言うと、長年見守り続けてきたファンはスタッフ同様、頷きながら納得の表情を見せていた。
その後、劇場内のスターステージで行われた“大ヒット祈願調印式”には、イ・ビョンホンの大ファンだと公言する岩下志麻が応援に駆けつけ、「イ・ビョンホンさんはとにかく素敵で、かっこよくて、チャーミング!」「役と一体になってのめり込む役作りの姿勢は同じ俳優として尊敬しています」とベタぼめ。
「もし共演する機会があったら、屈折した心を持つ御曹司と女社長が出会うミステリーなんかがいい」と岩下が言えば、ビョンホンは「2人とも武芸の達人役で一緒にアクションをやりたいですね」と明かした。
そして、映画の大ヒットを祈願し、映画の中でビョンホン演じる王が押印するシーンを模し、二人で大型はんこをパネルに押印!ステージ前に集まった約500人の観客からは大歓声が上がり盛大なイベントは幕を閉じた。
(木村 友美)