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『鈴木先生』

 
       

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★長谷川博己 の舞台挨拶レポートはコチラ

       
作品データ
制作年・国 2012年 日本
上映時間 2時間5分
原作 武富健治『鈴木先生』(双葉社刊/漫画アクション連載)
監督 監督:河合勇人 脚本:古沢良太
出演 長谷川博己、臼田あさ美、土屋太鳳、風間俊介、田畑智子、でんでん、夕輝壽太、山中聡、赤堀雅秋、斉木しげる、富田靖子、浜野謙太、窪田正孝
公開日、上映劇場 2013年1月12日(土)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ(なんば・二条)、OSシネマズミント神戸、 他全国ロードショー

 

~大人もハマる! 鈴木式教育メソッド~

 

suzukisensei-1-2.jpg 2011年4月末から10回連続でテレビ放送され、視聴率は2%前後と振るわなかったものの、内容への高い評価を受け、数々の賞を総なめしたTVドラマ『鈴木先生』が、ついに映画化された。というより、まさかの映画化である。放映後のDVDの売り上げが良かったことと、主演の長谷川博己が同年秋に放送され視聴率40%を超えた『家政婦のミタ』(主演:松嶋菜々子)にも出演して知名度が上がったことによるという。2011年のTVドラマ視聴率最低と最高の両方に出演という、なんとも皮肉なことだが、2010年の『セカンドバージン』でも鈴木京香相手に熱演していたことも記憶に新しい。

suzukisensei-6.jpg 中学校の教師・鈴木先生は、黒縁メガネにループタイというスタイルで、予知能力のある妻(臼田あさみ)が妊娠中にもかかわらず、〈鈴木式教育メソッド〉に欠かせないスペシャル・ファクターの女子生徒(土屋太鳳)に時々良からぬ妄想してしまう。だが、そんな欲望に負けそうな内なる声と葛藤しながらも、密かに“実験教室”を試みる。二学期に入り、天敵の家庭科教師・足子先生が精神的病いから復活し、生徒会選挙や学園祭の方針で再び嵐を巻き起こす。さらに、卒業生による人質立て籠もり事件が起きてしまい、教師としての真価を問われることになる。

suzukisensei-2.jpg まず〈鈴木式教育メソッド〉を語る長谷川博己の滑舌の良さに引き込まれる。そして、良からぬ妄想や教師としてのビジョンなど心の内をモノローグとして吐露するシーンや、生徒や他の教師たちの人物描写も、コミック的ビジュアルを導入するなど、独創的でかなり面白い。常識を打ち破る勢いのある学園ものだが、いわゆる熱血先生とは違う。「問題児に時間を割くより、一見普通に見える生徒にこそ心の闇があり時間をかけて指導すべき」という考えから、普通の生徒が主人公となり、見ているこちらも共感する部分が多く、自分でも気付かない思いを引き出してくれる。

suzukisensei-5.jpg 誰しも、弱き心に負けそうだったり、居場所がなく精神的に追い詰められたり、決して表には出ない心の闇を抱えこむことがある。そんな時、ホッとひと息つける場所や何かがあれば、きっと心が壊れずに済むだろう。だが、世の中は一方的志向で次第に偏った方向へと進んではいないだろうか。多彩な人々、多彩な考え、多彩な行動などに対し、受容する寛大さこそ、今必要とされていることなのかもしれない。独自の教育メソッドで生徒の隠れた意志や才能を導き出し、それを大きく包み込むように見守る鈴木先生の姿勢がとても清々しく、思わぬ感動に包まれる。大人もハマる『鈴木先生』、思わぬ発見もあるかも。

(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://www.tv-tokyo.co.jp/suzukisensei/

© 武富健治/双葉社 © 映画「鈴木先生」製作委員会