『横道世之介』高良健吾、吉高由里子 舞台挨拶
(2013年1月29日大阪ステーションシティシネマにて)
ゲスト:高良健吾、吉高由里子
(2013年 日本 2時間40分)
監督・脚本:沖田修一 脚本:前田司郎
原作:吉田修一著『横道世之介』毎日新聞社 文春文庫刊
出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩 、綾野剛、井浦新、余貴美子、きたろう
2013年2月23日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://yonosuke-movie.com/
©2013『横道世之介』製作委員会
横道世之介という一度聞いたら忘れられないような名前の青年が織りなす愛と友情の軌跡。世之介と出会ったすべての人々の心に輝石をもたらす感動作を作り上げたのは、『南極料理人』『キツツキと雨』の沖田修一監督。掴みどころのない不思議な青年世之介を演じたのは、『おにいちゃんのハナビ』『軽蔑』の高良健吾。世之介の彼女となる実業家の娘・祥子を演じるのは、『婚前特急』『僕等がいた(前後篇)』の吉高由里子。二人は、5年前の『蛇にピアス』で初共演、今回2度目の共演となる。息が合ってるのか合ってないのか、対称的な舞台挨拶で会場の観客を魅了した。
【最初のご挨拶】
高良:今日はお越し下さいましてありがとうございます。
吉高:大阪の皆さんこんばんは~、大阪以外からも来て頂いた方もおられると思いますが、本当にありがとうございます。2時間40分長いですが、見終わった後、自分の身の回りのちょっとしたことが好きになったりすると思いますが、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみ下さい。
――― 「横道世之介」の原作を読んだ監督が、この主人公は高良健吾君っぽいね~と言われたらしいですが?
高良:監督とは5年前の『南極料理人』で初めてお会いしたのですが、そう仰って頂いて大変光栄ですし、監督がそう仰るのなら、多分その通りだと思います。この台本読んだ時に、世之介は目の前の人や出来事、風景などにちゃんと反応しているな、狭い範囲で生きていても世之介なりの関わり方をしているなと感じました。また、普通の青年と言われますが、僕から見れば理想的な生き方をしている青年だと思いました。
――― 共感しながら役を演じていたのですか?
高良:半径の狭いところで芝居を終わらせたかったし、答えを見せたくなかった。観客の皆様には、世之介流の生き方を自由に感じて頂ければいいかなと思いました。笑って下さいという芝居はしていないのですが、自然体の中で面白く感じて頂ければいいかなと思います。
――― そのヒロインを演じられた吉高さんは、祥子さんの役について監督からは?
吉高:沖田監督からは特別な指示はなかったです。ただ、テストの時に、「今のはアリ、ナシ」とか言われましたが、本番では自由に演じてました。
――― 映画の中では笑えるシーンも多かったようですが?
吉高:本番中、可笑しくて、ホントに笑っていました。
――― 1987年から始まって2003年までを描いています。その間、世之介はいろんな人と出会っていきますが、その度にテンションも変わっていったりしたのですか?
高良:繋がりとかは考えなくて、自分が学生の時でも、毎日テンション違ったし、行動範囲も狭かったので、目の前にいる人に対しても普通に接していました。相手が同じ人でもテンションは違いました。登場する人たちもそれそれぞれ変わったことをしていることが多く、それが面白いですよね。
――― 多彩なキャスティングできっとお楽しみ頂けると思いますが、吉高さんはこの映画をご覧になって感じたことは?
吉高:関係者と一緒に試写室で初めて見たのですが、予想していないところで笑っていたのに驚きました。何でもないようなところで笑われて、何だか不思議な感じでした。公開されたら、映画館に確かめに行きたいような気がしています。自分が出ている映画でもう一回見たいと思うことはあまりなかったのですが、2月23日公開されたら、お金払って見に行きたいと思います(笑)。
――― 是非、ここ大阪ステーションシティシネマにもお越し下さい。
吉高:予想していたより大きい劇場だったので、ニヤニヤ、ヘラヘラしています(笑)。
――― 5年前『蛇にピアス』で共演されてますが、お互い変わったなと思うところはありますか?
高良:出会った時から変わった人だな~と思いました。今でも吉高さんは吉高さんだと。でも、お互い成長しているところもあるし、前はネガティブなことを話していましたが、視野が広くなったなあと感じました。
吉高:現場にいる高良さんを見るのは2度目ですが、現場を楽しもうと自ら動いている点は前と全然違うなと思いました。変わらない点は、自分の意見をちゃんと持っているし、相手と変に擦り合わせようとしないところが信頼できるところです。あとは、5年前より4~5㎏太いよね? と(笑)。
――― えっ、どういうこと?
高良:この撮影の前にヘビーな『罪と罰』という作品に出演して痩せちゃったので、世之介では太腿をパンパンにしたくてパクパク食べてたら、吉高さんも同じようにパクパク食べてました。なんで吉高さんまで食べるんだろう?って(笑)。
吉高:高良君が美味しそうに食べているのを見たら嬉しくなって、いつも間にか同じように食べてました。出来上がった時の自分を見たらびっくり!こんなに丸かったっけ?… は~い(笑)
――― 健康的で、映画に元気をもたらしてくれてるようでいいじゃないですか?
吉高:この役に合っていたようで、結果オーライ!って感じです(笑)。
――― 映画の中で16年後というのがありましたので、お二人の16年後はどうなっているでしょうか?
高良:41歳です。あまり先のことは考えられないです。25歳までは想像できていたのですが、その先は分からないです。
吉高:40歳ですね・・・カッサカサになってなきゃいいんですが…(笑)
――― お肌がですか?
吉高:お肌も全部です。潤っていればいいかなと。ちょっとした変化に気付けるような大人になっていればいいかなと思いま。
――― 16年後、映画の舞台挨拶などでお会いできたら嬉しいですね。
吉高:何してるんでしょうね~干されないよう気を付けます(笑)。
――― 最後のメッセージを。
吉高:25歳になったら、もっとしっかりした舞台挨拶ができるように頑張りたいと思います。取材などで何度もこの映画について語りながら、益々この映画が好きになってきました。皆さんも見終わった後、今生きている時間をもっと好きになると思います。長い時間ですが、よろしくお付き合いください。
高良:今日は本当にありがとうございました。この映画をご覧になったら、普段の日常が特別なものに感じたり、キラキラしたものに見えたりすると思います。登場人物と見ている景色は違えども、みなさんが通ってきた時の感情と重なり、懐かしく思って下さるのではないかと。この映画は説明しながら作っていないので、見終わった後も続いていきます。みなさんで自由に育てていって下さればいいなと思います。ツイッターなどで広めてくださると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
物静かに語る高良健吾に対し、天然というか、キュートな語り口で観客の笑いをよんでいた吉高由里子。計算してできるキャラクターではない。そんな吉高由里子が映画の中で使う「ざあます」言葉が余計に可笑しみを生み、世之介の行く末の切なさを際立たせる。誰もの記憶に残る純朴な世之介の笑顔は、きっとあなたの心にも温もりをもたらすと思います。横道世之介くんに会いに行ってあげてください。
(河田 真喜子)