制作年・国 | 2012年 韓国 |
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上映時間 | 2時間11分 |
監督 | チュ・チャンミン |
出演 | イ・ビョンホン、リュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ、キム・イングォン、チャン・グァン、シム・ウンギョン、キム・ミョンゴン |
公開日、上映劇場 | 2013年2月16日(土)~大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都ほかでロードショー |
~本作はイ・ビョンホンのための映画である~
唐突ではあるが、日本の韓国フリークについて話してみよう。韓国映画ファンと韓流(テレビ)ドラマ・ファンは、必ずしも一致しているとは言えない。一致する場合も当然あるが、その場合は、映画にもテレビにも出演して、両方で人気を得ている俳優の、主演ものに限定されている。さらに、韓流ドラマで人気を博してから映画で主演というケースが、一部の女優を除いて圧倒的に多いのだ。韓国四天王と呼ばれる4人においても、それは全員に共通している。
そしてここにイ・ビョンホンの主演映画にして、彼としてはキャリア初の時代劇映画が登場する。映画俳優として有名になる前は、青春テレビドラマや恋愛もので本国韓国で一世風靡した彼だが、その延長線上と見られるような演技はなぜか映画には移行されなかった。つまり、テレビと映画の演技は、意図的かどうかは分からないが、演じ分けていたわけだ。さまにこの映画は、イ・ビョンホンのための映画であり、今まで見せたことのないキャラクターで、彼の新たなファンをも魅了する代表作になるに違いない。
なぜなら本作の彼の役といえば、これまでに彼がほとんどやらなかった役であり、ヒューマニズムあふれるキャラクターだ。さらに、観客に与える好感度も相当高いものがある。『JSA』(2000年作)や『甘い人生』(2005年)などで見せた、クールなイメージは一掃されている。とはいえ1人2役だ。攻撃的で気難しい王役と、その影武者的代役となる人間臭い人情味あふれる役柄。しかも、後者のキャラにおいては、突然のように素晴らしいリンカーンのような演説を披露したりする。あり得ないことだ。だが、このミラクルな論説ぶりが、緻密な時代考証を基にした時代劇の中で展開されると、真に迫る感動を呼び起こす。
それこそまさにイ・ビョンホンの、ヒロイズム演技によるところが大きいのだろう。黒澤明の『影武者』(1980年)やショーン・コネリー主演『王になろうとした男』(1975年)などとの違いは言うまでもない。何といっても影武者が、正義のヒーロー役になるのだから。ということで、本作は韓流ドラマ以上に韓国映画の日本での盛り上がりが期待できるような作品になっていると思う。
(宮城正樹)
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