レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

2013年4月アーカイブ

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大沢たかお、藤原竜也『藁の楯 わらのたて』舞台挨拶

(2013年4月16日(火)梅田ブルク7にて)

登壇者:大沢たかお、藤原竜也

WARA NO TATE (2013年 日本 2時間05分)
原作:木内一裕「藁の楯」(講談社文庫刊)
監督:三池崇史
出演:大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、余貴美子、 藤原竜也、 山﨑努

2013年04月26日(金)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ 他全国ロードショー

★作品紹介こちら
★大沢たかお・三池崇史監督 舞台挨拶(3/15)⇒ こちら

★公式サイト⇒ www.waranotate.jp
©木内一裕/講談社 ©2013映画「藁の楯」製作委員会



~SP:大沢たかおvsモンスター:藤原竜也、その素顔は意外にも優しい先輩に甘える後輩!? ~

waranotate-240.jpg 10億円という懸賞金がかけられた幼女殺害犯人(藤原竜也)を、48時間以内に福岡から東京警視庁まで護送するというSPが主役の映画。日本中が注目する中、一般人は勿論、警察内部にも懸賞金目当てに襲って来る者がいるという、終始緊迫した状況の中での凶悪犯の護送は、想像を絶する過酷さを極めた。人間のクズを命懸けで守る意味とは? ひたすらSPという使命を果たそうとする大沢たかお扮する主人公・銘苅(めかり)の苦悩と葛藤の末、見えてくる正義とは何か? 三池崇史監督の、ダイナミックなアクションだけではない、見る者すべてに問いかけるヒューマンドラマとしての重厚感あふれる大作である。

  読売テレビ主催の試写会450人の観客を前に、大歓声というより絶叫の中登壇した大沢たかおと藤原竜也。劇中のSPと同じようなスーツ姿が凛々しい大沢たかおと、残忍な役柄とは打って変わった爽やかなカジュアルウェアの藤原竜也。(清丸と同じではちと具合悪かろう!?)これも大阪らしいのか、実にテンポの速い質疑応答の中で、作品の魅力について語ってくれた。




waranotate-s9.jpg―――― 最初のご挨拶。
大沢:皆さんこんばんは、大沢たかおです。今日はご来場くださいまして誠にありがとうございます。映画を楽しんでご覧ください。
藤原:ようやく皆さんに見てもらえる機会ができて、大変嬉しく思っております。今日は楽しく映画を見て下さい。よろしくお願いいたします。

―――― 今日お二人は『ミヤネ屋』と『ten』に出演されましたが、関西の番組は如何でしたか?
大沢:普段あまり出ることがないのですが、雰囲気も良くて楽しかったです。
藤原:皆さんに、映画の手応えと言いますかいい評価を頂きまして、とても楽しかったです。来た甲斐があったなと思いました。

waranotate-s3.jpg―――― この映画を見て、もの凄い映画ができたなと思ったのですが、かなり手応えを感じておられるのでは?
大沢:三池監督をはじめ、藤原君やみんなで力を合わせて作った作品ですので、どのような評価でも正々堂々と聴けるという気持ちではおります。

―――― 大沢さんは今回SP役という要人警護の役でしたが、どんな気持ちで臨んだのですか?
大沢:SPだな~という雰囲気(笑)。SPの方は、気持ちを表情に出したり、人より前に出たりしてもいけないのですが、主人公でもあるので、バランスを考えながら演じていました。

waranotate-s5.jpg―――― 藤原さんは、先程宮根さんから「えらい役引き受けたな~?」って言われてましたが、この役を最初どう思ったのですか?
藤原:言葉にするのは難しいですが、三池監督の元でこのメンバーで清丸を演じるのはとてもいい経験でもあるし、結構楽しんで演じていました。

―――― 「この男殺して下さい」というポスターを見てどんな気持ちでしたか?
藤原:いい気分ではないですよね。
 

―――― そりゃそうですよね~(笑)。ところで、初共演について?

  waranotate-s2.jpg大沢:その質問はもう100万回くらい聞かれましたので言う言葉がないのですが、藤原君は集中力が凄いし、いつも現場にいい空気をもたらしていました。
藤原:大沢さんはまず崩れないですね。監督もそうですが、良きリーダーとして、スタッフにも共演陣にも最後まで緊張感を持続させてくれていました。

―――― 三池監督の演出は?
藤原:自由に表現させてくれる監督さんです。1か月ほど一緒にお仕事した後にまた一緒にやりたい!と多くの俳優の方が思われるその気持ちがよく解りました。何かしら俳優陣に愛される監督だなあと思いました。
大沢:言われる通りです。現場の空気を一番に気にしてくれて、無駄なストレスをかけずに気持ち良く芝居をさせてくれる、素晴らしい監督さんですね。

―――― 体力的に大変な現場だったのでは?
大沢:緊迫した2時間なので体力的にも勿論ですが、精神的にとてもエネルギーを必要とする現場でしたね。

waranotate-s10.jpg―――― 新幹線を借り切るという台湾での撮影は如何でしたか?
藤原:台湾新幹線ですか…そうでね…あっ大沢さん、さっき言ってた…
大沢:(と藤原に振られて)さっき生放送でも答えに困ると僕に振ったんですよ!後輩って怖いですよね~!? (笑)
新幹線のシーンは、日本では撮影できない部分を徹底的にこだわって撮影していました。例えば、新幹線が入ってくるシーンでも違っていたら何回でもやり直させ、その都度新幹線をバックさせていました。

―――― え?新幹線にNGというかダメ出しを?
大沢:はい、そういうところは絶対に妥協せず徹底的に撮影する監督です。

waranotate-s7.jpg―――― 台湾と日本との現場の違いは?
藤原:台湾のスタッフさんも入って来られますので、そこでまず空気が変わります。それに、なるほどなと思ったのは、危険な撮影をする前に、花火を焚いて安全祈願の儀式をしてから撮影に臨みました。それから、去年の夏台湾と名古屋で撮影したのですが、どこへ行っても死ぬほど暑かったです!

―――― 今回のテーマでもある「人間のクズを命をかけて守れるのか?」という問いに対し、ご自身だったら?
大沢:……守らないでしょう(笑)
藤原:大沢さん演じる銘苅という役は、多くのものを抱え込んで、仕事に対する熱も冷めずに使命を果たす役ですから……やっぱり僕も守らないですね(笑)。

―――― 最後のメッセージをお願いします
大沢:改めて、本日はご来場くださいまして、誠にありがとうございます。見て頂いて、皆さんの感じたままに帰って頂ければいいなと思います。どうか楽しんで下さい。
藤原:間もなく初日を迎えますが、まだまだ先輩方と宣伝をしていきたいと思っております。皆さんも多くの方にお勧め頂けたら嬉しいです。本日はどうもありがとうございました。

 


 

waranotate-s8.jpg 3月の三池崇史監督との《48時間弾丸キャンペーン》の際、完全に女性陣をノックアウトした大沢たかおは、関西のテレビに出演した後だからか、一般試写会ということもあってか、先月より少しリラックスしている様子だった。後輩とはいえ、役者として刺激的な存在である藤原竜也を立て、控え目で優しいお兄さんという感じ。そんな大沢たかおに甘えてか、質問の答えに困ると彼に振るという藤原竜也の意外な素顔を見た気がした。

 だが、それとは対照的に二人が激しくぶつかるシーンの多い本作は、俳優陣のキャラと熱演が光る見応えのあるヒューマンドラマにもなっている。特に、震撼する程の凶悪さを滲ませた藤原竜也の存在感があってこそ成立した、正義感あふれるヒーロー像といえるだろう。タイプは違うが、役者としての両雄揃って見られた今回の舞台挨拶は、大変貴重な機会となった。

(河田 真喜子)

 

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~台湾原住民族の魂とその生き様を体感、衝撃の4時間半!~

『セデック・バレ 第一部太陽旗』“Warriors of the Rainbow I : Sun Flag”
『セデック・バレ 第二部虹の橋』“Warriors of the Rainbow II : Rainbow Bridge”
(2011年 台湾 4時間36分<第一部2時間24分/第二部2時間12分>)
監督・脚本・編集:ウェイ・ダーション
製作:ジョン・ウー、テレンス・チャン、ホァン・ジーミン
出演:リン・チンタイ、ダーチン、安藤政信、ビビアン・スー、木村祐一他
2013年4月20日(土)~渋谷ユーロスペース、吉祥寺バウスシアター、4月27日(土)~シネ・ヌーヴォ、5月11日(土)~第七藝術劇場、5月18日(土)~元町映画館、他全国順次公開

※4月20日(土)、21日(日)渋谷ユーロスペースにてウェイ・ダーション監督舞台挨拶あり
※4月27日(土)から2週間、シネ・ヌーヴォにて『海角七号 君想う、国境の南』緊急アンコール上映あり

公式サイト⇒ http://www.u-picc.com/seediqbale/
(C) Copyright 2011 Central Motion Picture Corporation & ARS Film Production ALL RIGHTS RESERVED.

 昨年の第7回大阪アジアン映画祭(以下OAFF)で、上映後、満席の会場が感動の大きな拍手に包まれてから早1年。見事昨年の観客賞を受賞し、今年の第8回OAFFプレイベントにて凱旋上映を果たした『セデック・バレ』がいよいよ全国で劇場公開される。日本統治下における台湾最大の抗日暴動事件「霧社(むしゃ)事件」をダイナミックに描く歴史大作は、「台湾のアバター」との異名をとるぐらい躍動感に溢れている。一方、台湾原住民族独自の文化や死生観、さらには原住民族の中の部落対立や日本人との交流など、様々な人間の内面を丹念に表現。残酷な歴史に翻弄され、必死で生き抜いた人々の想いが、衝撃とともに押し寄せる。4時間半があっという間に感じる、正に必見作だ。

 ウェイ・ダーション監督は、日本で本作を上映するにあたり、ベネチアをはじめとする国際映画祭で上映された2時間半の海外版ではなく、台湾公開時と同じく二部構成の完全版で上映することを切望した。昨年のOAFF(日本初公開)、そして今年の劇場公開でその念願がまさに叶ったと言える。OAFF2013プレイベントの舞台挨拶で、ダーション監督は完全版公開にこだわる理由をこう語っている。

「完成版を上映するのは日本と台湾のみです。日本と台湾の2カ国で起きた事件を題材に、衝突から恨みを和解に導く物語なので、なんとしても完全版で上映したかったのです」

 舞台挨拶前のインタビューでも、「和解」について語る姿が印象的だったウェイ・ダーション監督。その内容をストーリーと共にご紹介したい。


<ストーリー>
sedec-bare-1-240.jpg『セデック・バレ 第一部太陽旗』
1895年から日本の台湾統治がはじまり、台湾中部の山岳地帯の原住民族のセデック族やタイヤル族たちは狩猟をはじめとする独自の文化や習慣を禁じられ、過酷な労働や服従を強いられていた。日本人社会で職を得、家族を作る先住民族も現れる中、1930年、日本人警官との間に起こった事件がきっかけとなり、セデック族の長、モーナ・ルダオは日本側への蜂起を計画する。運動会開催中の小学校や警察派出所へ奇襲攻撃をかけ、民族の誇りを取り戻す壮絶な闘いが始まるのだった。

sedec-bare-2-240.jpg『セデック・バレ 第二部虹の橋』
多くの日本人が殺害された霧社事件の惨状を知った日本軍は、直ちに報復を開始するが、山中での闘い方を心得たセデック族らを前に苦戦を強いられる。日本軍は毒ガスによる鎮圧を行う一方で、モーナ・ルダオらと対立する先住民族を動員。報奨金を出して部族の分裂を画策する。一方、日本軍との戦いが長引く中、セデック族の家族たちは戦士たちのために、自決を決意し散っていく。「セデック・バレ“真の人”」になるための闘いに、決着の時が近づいていた。


<ウェイ・ダーション監督インタビュー>
 ━━━━昨年OAFFでの日本初上映時の舞台挨拶では、「日本の観客に受け入れられるか不安」とおっしゃっていましたが、劇場公開が決まった今のお気持ちは?
この映画を作ろうとしたときから日本で上映しようと思っていました。撮り始めた時は、たぶん大丈夫だろうと思っていましたが、撮り終わった後、周りから「日本での上映は難しいのではないか」と言われもしました。正直不安はありましたが、昨年OAFFでの観客の反応を見て安心したのです。

seediq-s1.jpg━━━━監督は、霧社事件のことをいつ、どのような形で知ったのですか?
子どもの頃から知っています。教科書の中にも書かれていますが、詳細なことは分からず「霧社事件、モナ・ルダオ」という言葉だけでした。霧社事件のことをもっと詳しく知ろうと思ったのは、霧社事件のことを描いたマンガを読んだのがきっかけです。

━━━━霧社事件のことを詳しく知る中で、どんな想いを膨らませていったのですか?
衝撃を覚えたり、激しい抵抗に対して血が沸き上がるような想いもありましたが、細かい部分を知るにつれ、単なるヒーロー物語では済ませられないと思いました。事件を境にして10年前や10年後のことを加味して考え、事件の背景や本質、政治や経済問題、社会制度的な問題も調べました。また、事件から生き残った子孫たちを訪ねてインタビューを行い、一つの角度でこの物語を捉えることができないと気付いたのです。

━━━脚本を書くにあたってインタビューされたとのことですが、原住民同士が殺しあうシーンもある中、リサーチで難しかった点は?
事件のことを言いたがらない人もいました。原因のことも映画で色々語られていますが、どうしようもない時代的な背景がありました。ただ実際の歴史はもっと悲惨で、兄弟同士が戦う状況もありました。兄弟同士で殺しあって勇敢さを示し、死んだ後一緒に虹の橋を渡るという考え方で自分たちを麻痺させるしかないのです。

昔の事件を見たときに、その当時の人々たちの考え方や気持ちにたって物事を見ることが大事です。(原住民族たちは)教育を受けておらず、世界がどれぐらい大きいか分からない。その部落にしか通じない信仰を持ち、その部落こそが世界と思っている人が、このような衝突にぶつかったらどうしますか?この前提は非常に大事です。もし世界が(もっと大きいと)分かっていれば、物事が起きたときに自分で考えられましたし、解決できたと思います。

seediq-s3.jpg━━━━脚本を書くに当たって、念頭に置いたことや、膨らませて描いた部分は?
全体的に事実を描いており、一部の事件もほんの少し大きく描いたに過ぎません。人物描写も当時のその人物の立場や考え方から描いていますから、彼らが下した決断に至るまでの心の動きは事実に近いのではないでしょうか。戦争や策略についても、当時彼らが実際に行っていたやり方と同じです。物語を分かりやすくするため、事件発生の順序を変えたり、一人の子どもに当時の全ての子どもの立場を投影したりしています。

━━━山中での撮影で、俳優たちも裸足で駆け回りながら、驚くべき身体能力を披露していました。本作の撮影で一番大変だったことは?
機材をかつぎながら、普通なら走れないようなところも走って撮るので、我ながら大変でした。本作が初現場となる素人の俳優たちは、映画は全てこのように撮るものだと思っていたようです。私も、彼らにずっと「映画はこういう風に撮るものだ」と言ってきたので、映画を撮り終わり、抱き合って泣きながら「本当はこんな風には撮らないよ」と白状しました。

━━━今回のキャスティングは目の力が鍵になっていますが、主演のリン・チンタイ氏とはどうやって出会ったのですか?
一番最初にキャスティングした俳優です。モーナ・ルダオのような人物は現れないだろうから、通常の映画スターを見つけて撮るしかないと思っていました。たまたま台湾の東部にいる友達を訪ねていったとき、リン・チンタイさんの部落に若い人がいるので、案内してもらうことになったのです。彼は牧師なので、自分の部落のことはよく知っていますから。でも、彼の顔を見て「モーナ・ルダオだ」と直感しました。ただ背だけが本当のモーナ・ルダオより5cm以上低かったので、なるべく彼の背が高く見えるように撮りました。 

━━━以前のインタビューで「根源を探って、和解をさせたい」という話を何度もされていますね。 
大きな事件の中には、正しいこともあれば誤りもあります。何かを犠牲にしたときに、本来あるべき原点に戻ることで、初めて和解の糸口が見つかります。そこで、歴史の恨みを解決しなくてはなりません。事件が起きたとき当事者たちは事件を受け入れることはできませんが、少なくとも理解することはできるはずです。

━━━原住民族にとってのモーナ・ルダオは神のような存在で、だからこそ死ぬ姿を見せずに消えたのでしょうか?
原住民族の間では2つの見方があります。1つは、道理の通じない人。もう1つは、お金も地位や覇気もあり、他の部落に対しては厳しく対処するが、自分の部落の人には優しい人。そして最も重要なのは、モーナ・ルダオがこの事件を引き起こしたという事実です。彼が英雄なのかチンピラなのかは、判断が難しいでしょう。歴史上の人物を見たとき、人格に欠点のある人は英雄になりやすいですね。

━━━原住民族たちが、木から首を吊って自決するシーンがありますが、彼らの“死”に対する考え方をどう思いますか?
原住民族の神話の中に、「木から生まれ、死んだあと木に戻る」という話があります。先祖に最も近い場所で死ぬことで、もっと早く“虹の橋”を渡れると考えられているようです。信仰は彼らにとって生活の全てで、「人は死んだあと“虹の橋”を渡って、“虹の橋”の向こうには美しい場所がある」と信じています。死は恐れますが、死後のことは恐れていません。「死ぬ」というのは彼らが行くべきところに行くということです。我々が死を恐れるのは、死後どこに行くか分からないからで、種族によって死にたいする捉え方が違います。死後どこに行くかわかったときに、死に対する勇気が沸いてくるのではないでしょうか。


seediq-s2.jpgこんな激しい戦闘シーンのある歴史大作の監督とは思えないぐらい、非常に穏やかな風貌のヴェイ・ダーション監督。プレイベント上映の舞台挨拶では開口一番「緊張しています」とお茶目な一面を見せながら、インタビュー中の和解に関する発言では、たとえ話を交えながら、こちらが分かるように一生懸命お話していただき、秘めたる情熱をひしひしと感じた。念願の日本公開を果たしたヴェイ・ダーション監督同様、昨年OAFFでいち早く鑑賞し、大きな衝撃を受けた私自身も、本作が日本でどのような反響を巻き起こすのか楽しみで仕方がない。(江口由美)

 



濱田岳、岡田将生 主演『偉大なる、しゅららぼん』クランクイン会見にひこにゃんも応援!

shulala-k550.jpg【写真上説明】左から獅山向洋彦根市長、ひこにゃん、岡田将生、濱田岳、水落豊監督、嘉田滋賀県知事、藤井勇治長浜市長(彦根城博物館内庭園で)

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万城目学原作の『偉大なる、しゅららぼん』の製作発表。赤い学ラン姿の濱田岳、岡田将生以上に目立ったのはゆるキャラ"ひこにゃん"だった!?~

(2013年4月5日(木)滋賀県彦根城博物館にて)

登壇者:濱田岳(主演/日出淡十郎 役)、岡田将生(主演/日出涼介 役)、水落豊監督、嘉田由紀子滋賀県知事、藤井勇治長浜市市長、獅山向洋彦根市市長、ひこにゃん(彦根市キャラクター)

★2014年春公開予定


 

 東映、アスミック・エース共同配給の映画『偉大なる、しゅららぼん』(水落豊監督)の製作発表が4日、滋賀県の彦根城博物館で行われ、主演の濱田岳、岡田将生、水落豊監督のほか嘉田由紀子滋賀県知事、地元長浜市の藤井勇治市長、彦根市の獅山向洋市長に人気ゆるキャラ“ひこにゃん”も参加し、華やかムードを盛り上げた。

  『偉大なる、しゅららぼん』は万城目学のベストセラー原作。琵琶湖を舞台にその地で代々“不思議な力”を伝承してきた一族の跡取りたちが街や歴史を巻き込む騒動を繰り広げる、名付けて“パワースポット・アドベンチャー”。

shulala-k4.jpg  『鴨川ホルモー』(09年)、『プリンセス・トヨトミ』(11年)と続々映像化される万城目学のぶっ飛びファンタジー最新作。すでに2日から撮入しているが、幸先良く快晴微風、桜満開となったこの日、濱田、岡田の主役コンビが仲間入りして製作発表となった。

  映画の衣装、真っ赤な学ラン姿で館内の能舞台に登場した濱田は「最初はアッと思ったけど、イケるなと。だけど、黒い学ランと並んだ時にどうか、ですね」。

  岡田が「大丈夫かなと思ったけど、自信がわいてきました」と言うと濱田がすかさず「お前の方が似合ってる」と漫才顔負けの絶妙やりとりで笑わせた。

shulala-k5.jpg  琵琶湖畔の街、石走(いわばしり)で代々“不思議な力”を伝承してきた一族・日出家の跡取りにして最強の力を持つ高校生、淡十郎(濱田)は人々から崇められる“天然お殿様”。そんな石走に分家の涼介(岡田)が居候を始めるが、淡十郎は彼を伴の者扱い。主従関係が出来上がった時、淡十郎が校長の娘に恋をする…。

  濱田は「万城目さん独特の世界観を壊さずにボクらが面白くしたい」。岡田も「世界観が面白いので、琵琶湖にホントにありそうだなと思えるようにしたい。涼介に自信がついてきたんで自分が(面白さを)発信したい」。

  『犬とあなたの物語  いぬのえいが』などで知られる水落監督は「原作読んでこの2人(主役)と聞いて、これでもう見えたな、と。自然に面白い映画になりそう。2人はプライベートでもこんな関係なんで…」と早くも成功を確信した様子。

shulala-k3.jpg  濱田は「滋賀県は初めて。琵琶湖は最初、海かと思った。映画はオカモトクンがかわいいキャラで実際に近い感じ。オカモトクンのおかげで自然に臨める」とわざと名前を間違え、岡田は「東京で花見出来なかったので、それが楽しみ」と言うと、濱田は「その時間はないですねえ」とばっさり。

  映画は彦根城や琵琶湖に浮かぶ竹生島をはじめ全編、滋賀県内ロケ。滋賀県ご当地映画の誕生に嘉田知事は大人気“ひこにゃん”と並んで満面の笑み。「原作をすぐ読んで、ひとつずつ情景が浮かんだ。何よりうれしい映画。摩訶不思議な湖の魅力がよく出ている。ロードショーまで応援したい」と全面協力をお約束。濱田も期待に応えて「滋賀県の人に、お前らよくやったと言われるように頑張りたい」と誓っていた。

(安永 五郎)


【特別サービス】 ひこにゃん”も『偉大なる、しゅららぼん』を応援するにゃ~ポーズ!!!
 

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『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』
現代美術の聖地ニューヨークのホイットニー美術館でのワールドプレミア上映会

大ヒットロングランを記録した、NY 在住の佐々木芽生監督の映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の続編、『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』が、3 月30 日より公開となります。日本での公開に先駆け、世界の現代美術を牽引する街ニューヨークのホイットニー美術館にて、ワールドプレミア上映会と、本作の主役であり世界的なアートコレクターであるドロシー・ヴォーゲルと佐々木監督を迎えて舞台挨拶を行いましたのでご報告致します。ニューヨーク近代美術館(MOMA)やグッケンハイム美術館と並び、ニューヨークのアートシーンを代表する権威のあるホイットニー美術館でのワールドプレミアが開催されました。


●日程:NY 現地時間 3 月12 日(火)18:30 開場/19:00 開映(日本3 月13 日(水) 8:30 開場/9:00 開映)
●登壇:ドロシー・ヴォーゲル&佐々木芽生監督
●場所:ホイットニー美術館 地下カフェテラス


 

【ホイットニー美術館】1931 年に設立された芸術ギャラリーおよび美術館。近代・現代のアメリカンアートを集め、特に現役のアメリカンアーティストによる作品に力を入れている点では、他の現代美術館と一線を画している。

雨にも関わらず出演アーティストや、キュレーター、映画関係者、今回の寄贈計画50×50 の中心人物であるナショナル・ギャラリー元現代美術学芸員ルース・ファイン氏など、約200人もの人々がお祝いに駆けつけ、盛大なワールドプレミア上映となった。

「前作から約4年を経た今日、続編『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』を無事に世に出すことができ、ほっとしました。映画上映後、ドロシーがスタンディング・オベーションで舞台へ迎えられた姿を見た時は、もう一度「親孝行」できた気がして嬉しかったです。」と、シリーズの制作を通して、ドロシーと親子のような信頼関係を築いた佐々木監督は語った。

「コレクションの中で一番忘れがたい作品は何ですか?」という質問に対して、ドロシーは「アート作品で、特に忘れがたいと思うものはありません。忘れられないのは、ハーブのことだけ。」と涙ぐんで答えると、会場が一瞬静寂に包まれた。さらに、「唯一残念だったのは、ハーブと一緒に、このプレミア上映の場でお祝いできなかったことですが、きっと彼の魂は、今晩私たちと共にいてくれたと思います。」と語った。
 


【作品概要】一般市民でありながら世界有数のコレクションを保持し、アメリカ国立美術館にそれらを寄贈するま でに至ったアートコレクターのハーブ&ドロシー夫妻。半世紀を経て収集した5000 点近くの膨大な作品群を全米50 の
美術館に50 作品ずつ寄贈する前代未聞のアート寄贈計画のゆくえと、夫妻の人生のその後を追ったドキュメンタリー

 


『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』 原題:HERB & DOROTHY 50X50 制作・配給:ファイン・ライン・メディア
製作年: 2 0 1 3 年/ アメリカ/ カラー/ 英語
© 2 0 1 3 F i n e L i n e M e d i a , I n c . A l l R i g h t s R e s e r v e d .

 

yakusoku-s550.jpg『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』樹木希林、齊藤監督舞台挨拶
 (2013年3月30日(土)第七藝術劇場にて)

yakusoku-1.jpg(2012年 日本  2時間)
監督・脚本:齊藤潤一 
出演:仲代達矢、樹木希林、天野鎮雄、山本太郎
ナレーション:寺島しのぶ 
3月30日~第七藝術劇場、4月13日~神戸アートビレッジセンター、5月18日~京都シネマ
★公式サイト⇒http://www.yakusoku-nabari.jp/
(c)東海テレビ放送

1961(昭和36)年に三重県名張市で起きた「名張毒ぶどう酒事件」の犯人として投獄され、獄中から無実を訴え続けている奥西勝死刑囚の半生を、ドキュメンタリー映像を交えながら描いたドラマ。
 村の懇親会で、毒入りぶどう酒を飲んだ女性15人のうち5人が死亡。奥西は、三角関係を清算するため、ぶどう酒に農薬を入れたと一度は犯行を自白するものの、逮捕後、一貫して警察に自白を強要されたと主張。一審は無罪、二審で死刑判決、1972(昭和47)年最高裁で死刑が確定。事件から51年余り、奥西は、何度棄却されても諦めることなく再審請求を続ける…。

yakusoku-2.jpg仲代達矢が奥西を演じ、息子の無実を信じ続ける母タツノを樹木希林が演じた。製作陣は、ドキュメンタリー「司法シリーズ」を手がけてきた東海テレビ。事件発生当初から取材を続けてきた記録、証言を再検証し、みごたえのある作品となった。タイトルの約束とは、1987年から奥西の支援を始めた人権団体の川村(天野鎮雄)が、ようやく再審開始の決定がなされた2005年、面会室でガラス越しに奥西(仲代達矢)と手を合わせ「今度は晴れて、塀の外で握手しましょう、お互いしぶとく生きましょう」と約束をしたところからくる。このシーンで初めて見せる仲代の笑顔が印象的だ。
関西での公開初日、樹木希林さんと齊藤監督が舞台挨拶に立った。上映後には、樹木さんが「どんな感じでしたか」と満席立ち見の客席に問いかけ、次々と手が挙がり、興味深い質疑がなされたので、併せてご紹介したい。


【上映前】
yakusoku-s1.jpg監督: 「名張毒ぶどう酒事件」といっても、ご存知でない方が多いと思います。事件から52年になり、奥西さんは未だ獄中にあります。冤罪だと確信して、この作品をつくりはじめました。こういう一人の男の生き方があるというところを観てほしい」
樹木: 「この作品では、奥西さんのお母さん、タツノさんが(ドキュメンタリー部分で)出てきます。本当の母親を観ていただいた時、いかに役者の力量がないかが歴然とわかり、役者としては、恥をさらすような仕事でしたが、事件のもつ意味合いを考えると、やはり関わらせていただいてよかったと思います。15歳になる孫、男の子ですが、初回の上映を観て、今までたくさん映画を観てきたけれど泣いたことはなく、初めて泣いたそうです。いいものかわるいものかわかりませんが、何かに心打たれたんだと思います。作品は押し付けるものではありません。ただ、こういう現実があると観ていただければと思います」
監督:「ドキュメンタリーとドラマを融合した少し変わった映画だと思います。仲代達矢さんと樹木希林さんと、日本を代表する大御所俳優の演技を観て、たっぷりいろんなことを感じて観終わってほしいです」
樹木: 「撮影前に、インフルエンザA型にかかって、もう撮影現場の名古屋には行けないんじゃないかと思いましたが、大勢のスタッフが困りますし、インフルエンザを隠してマスクをして行きましたが、誰にも移りませんでした(笑)。この事件に関わった人たちの本当の顔をぜひ観てください」

【上映後の観客との質疑】
yakusoku-s2.jpgQ: 「人の命がかかっていることについて、裁判所は何をみているのか、憤りを感じました」
樹木: 「私がもし裁判官で、病気の子どもを抱えてたりしたら、出世とかいろいろ考えた時、どうするのか。自分が同じ立場に立ったとしたら、ちゃんと生きれるのか、自分自身が問われているような気がしました。村の人達も証言をころころ変えていますが、もし自分がその立場だったらどうなのか。齊藤監督らが、高みに立ってつくっていないからこそ、人に伝わっていくんじゃないかと思います」

Q:「奥西さん本人も含めて、あの状況で頑張って生きておられることに感心しました」
監督:「奥西さんは名古屋拘置所にいましたが、今は体調を崩して八王子の医療刑務所にいます。再審開始の取消しが決定された2012年5月以降、一口も食べることができず、点滴だけで生きている状態です。でも、なんとか生き続けて冤罪をはらしたいという気持ちは持っておられると聞いています」
樹木: 「時期を逸しても生き続けるというか、結果がすべてOKとはならなくても、奥西さんが生きたということによって、そこに関わった人達や、映画を観てくださった方々が、学んだり、成長したり、何かを受け止める、大きなメッセージになったのではないかと思います。冤罪をはらしたいという、ただその一念だけになってしまうと、まわりも当人も苦しくなります。だから、とにかく生きたことの意味はあるというふうに私は受け止めるように考えています」

yakusoku-s3.jpgQ:「奥西さんには子どもが二人いて、息子さんは62歳で亡くなられたとテロップにありましたが、取材はされたのですか」
監督:「死刑囚の息子と娘ということで、本当につらい人生をずっと送ってこられたと思います。だから、もちろん父親に対する思いというのはあるのですが、面会を重ねることで、今度はご自分の家族が石を投げられたりすることがあり得るので、父親とも距離を置かれているようでした。私も取材を申し込みましたが、『家族のいる身なので、取材は受けられない』とのことでした」
樹木: 「お墓でさえ疎外されたのですから、映画に子どもの映像や意見が出てこないというのは、それだけで、関係者として生きていくのがどんなに大変なことか、おしはかれますよね」

Q:「事件があった村の慰霊碑を訪れましたが、よそ者は立ち入れない雰囲気がありました。この映画が、まわりの方々の心をほぐし、奥西さんを助けてほしいと思いました。まだ何人か生きている村の方々のうち誰かが…と願いました」
樹木: 「この映画を観た私達も、事件当時、ああいうふうにせざるを得なかった、誰かを犯人にしてどうにか解決せざるを得なかったという、村の人達の気持ちをはかるようにしていくしかないんだなと思います」


yakusoku-3.jpg会場からの「希林さん、ぜひこれからも頑張ってください」とのエールの言葉に、樹木さんがにっこり微笑んで「そうもいかないのよね、病気を抱えて、もう70歳超えてね」とおどけて答えた後、「がんを告白してから、「大変ですね」とか「病気は大丈夫ですか」と言うわりには、皆さん、こきつかうんですよね(笑)。いい意味で生きていきたいと思います」と話されたのが印象に残った。作品についての感想をざっくばらんに観客に求め、意見交換しながら、当意即妙な答えで、会場の笑いをとったり、共感の輪を広げていく姿はさすがで、偉ぶらないお人柄がすてきだった。作品への深い理解に女優魂の懐の深さを感じ、印象深い取材になった。
(伊藤 久美子)

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