大沢たかお、藤原竜也『藁の楯 わらのたて』舞台挨拶
(2013年4月16日(火)梅田ブルク7にて)
登壇者:大沢たかお、藤原竜也
WARA NO TATE (2013年 日本 2時間05分)
原作:木内一裕「藁の楯」(講談社文庫刊)
監督:三池崇史
出演:大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、余貴美子、 藤原竜也、 山﨑努
2013年04月26日(金)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ 他全国ロードショー
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★大沢たかお・三池崇史監督 舞台挨拶(3/15)⇒ こちら
★公式サイト⇒ www.waranotate.jp
©木内一裕/講談社 ©2013映画「藁の楯」製作委員会
~SP:大沢たかおvsモンスター:藤原竜也、その素顔は意外にも優しい先輩に甘える後輩!? ~
10億円という懸賞金がかけられた幼女殺害犯人(藤原竜也)を、48時間以内に福岡から東京警視庁まで護送するというSPが主役の映画。日本中が注目する中、一般人は勿論、警察内部にも懸賞金目当てに襲って来る者がいるという、終始緊迫した状況の中での凶悪犯の護送は、想像を絶する過酷さを極めた。人間のクズを命懸けで守る意味とは? ひたすらSPという使命を果たそうとする大沢たかお扮する主人公・銘苅(めかり)の苦悩と葛藤の末、見えてくる正義とは何か? 三池崇史監督の、ダイナミックなアクションだけではない、見る者すべてに問いかけるヒューマンドラマとしての重厚感あふれる大作である。
読売テレビ主催の試写会450人の観客を前に、大歓声というより絶叫の中登壇した大沢たかおと藤原竜也。劇中のSPと同じようなスーツ姿が凛々しい大沢たかおと、残忍な役柄とは打って変わった爽やかなカジュアルウェアの藤原竜也。(清丸と同じではちと具合悪かろう!?)これも大阪らしいのか、実にテンポの速い質疑応答の中で、作品の魅力について語ってくれた。
―――― 最初のご挨拶。
大沢:皆さんこんばんは、大沢たかおです。今日はご来場くださいまして誠にありがとうございます。映画を楽しんでご覧ください。
藤原:ようやく皆さんに見てもらえる機会ができて、大変嬉しく思っております。今日は楽しく映画を見て下さい。よろしくお願いいたします。
―――― 今日お二人は『ミヤネ屋』と『ten』に出演されましたが、関西の番組は如何でしたか?
大沢:普段あまり出ることがないのですが、雰囲気も良くて楽しかったです。
藤原:皆さんに、映画の手応えと言いますかいい評価を頂きまして、とても楽しかったです。来た甲斐があったなと思いました。
―――― この映画を見て、もの凄い映画ができたなと思ったのですが、かなり手応えを感じておられるのでは?
大沢:三池監督をはじめ、藤原君やみんなで力を合わせて作った作品ですので、どのような評価でも正々堂々と聴けるという気持ちではおります。
―――― 大沢さんは今回SP役という要人警護の役でしたが、どんな気持ちで臨んだのですか?
大沢:SPだな~という雰囲気(笑)。SPの方は、気持ちを表情に出したり、人より前に出たりしてもいけないのですが、主人公でもあるので、バランスを考えながら演じていました。
―――― 藤原さんは、先程宮根さんから「えらい役引き受けたな~?」って言われてましたが、この役を最初どう思ったのですか?
藤原:言葉にするのは難しいですが、三池監督の元でこのメンバーで清丸を演じるのはとてもいい経験でもあるし、結構楽しんで演じていました。
―――― 「この男殺して下さい」というポスターを見てどんな気持ちでしたか?
藤原:いい気分ではないですよね。
―――― そりゃそうですよね~(笑)。ところで、初共演について?
大沢:その質問はもう100万回くらい聞かれましたので言う言葉がないのですが、藤原君は集中力が凄いし、いつも現場にいい空気をもたらしていました。
藤原:大沢さんはまず崩れないですね。監督もそうですが、良きリーダーとして、スタッフにも共演陣にも最後まで緊張感を持続させてくれていました。
―――― 三池監督の演出は?
藤原:自由に表現させてくれる監督さんです。1か月ほど一緒にお仕事した後にまた一緒にやりたい!と多くの俳優の方が思われるその気持ちがよく解りました。何かしら俳優陣に愛される監督だなあと思いました。
大沢:言われる通りです。現場の空気を一番に気にしてくれて、無駄なストレスをかけずに気持ち良く芝居をさせてくれる、素晴らしい監督さんですね。
―――― 体力的に大変な現場だったのでは?
大沢:緊迫した2時間なので体力的にも勿論ですが、精神的にとてもエネルギーを必要とする現場でしたね。
―――― 新幹線を借り切るという台湾での撮影は如何でしたか?
藤原:台湾新幹線ですか…そうでね…あっ大沢さん、さっき言ってた…
大沢:(と藤原に振られて)さっき生放送でも答えに困ると僕に振ったんですよ!後輩って怖いですよね~!? (笑)
新幹線のシーンは、日本では撮影できない部分を徹底的にこだわって撮影していました。例えば、新幹線が入ってくるシーンでも違っていたら何回でもやり直させ、その都度新幹線をバックさせていました。
―――― え?新幹線にNGというかダメ出しを?
大沢:はい、そういうところは絶対に妥協せず徹底的に撮影する監督です。
―――― 台湾と日本との現場の違いは?
藤原:台湾のスタッフさんも入って来られますので、そこでまず空気が変わります。それに、なるほどなと思ったのは、危険な撮影をする前に、花火を焚いて安全祈願の儀式をしてから撮影に臨みました。それから、去年の夏台湾と名古屋で撮影したのですが、どこへ行っても死ぬほど暑かったです!
―――― 今回のテーマでもある「人間のクズを命をかけて守れるのか?」という問いに対し、ご自身だったら?
大沢:……守らないでしょう(笑)。
藤原:大沢さん演じる銘苅という役は、多くのものを抱え込んで、仕事に対する熱も冷めずに使命を果たす役ですから……やっぱり僕も守らないですね(笑)。
―――― 最後のメッセージをお願いします。
大沢:改めて、本日はご来場くださいまして、誠にありがとうございます。見て頂いて、皆さんの感じたままに帰って頂ければいいなと思います。どうか楽しんで下さい。
藤原:間もなく初日を迎えますが、まだまだ先輩方と宣伝をしていきたいと思っております。皆さんも多くの方にお勧め頂けたら嬉しいです。本日はどうもありがとうございました。
3月の三池崇史監督との《48時間弾丸キャンペーン》の際、完全に女性陣をノックアウトした大沢たかおは、関西のテレビに出演した後だからか、一般試写会ということもあってか、先月より少しリラックスしている様子だった。後輩とはいえ、役者として刺激的な存在である藤原竜也を立て、控え目で優しいお兄さんという感じ。そんな大沢たかおに甘えてか、質問の答えに困ると彼に振るという藤原竜也の意外な素顔を見た気がした。
だが、それとは対照的に二人が激しくぶつかるシーンの多い本作は、俳優陣のキャラと熱演が光る見応えのあるヒューマンドラマにもなっている。特に、震撼する程の凶悪さを滲ませた藤原竜也の存在感があってこそ成立した、正義感あふれるヒーロー像といえるだろう。タイプは違うが、役者としての両雄揃って見られた今回の舞台挨拶は、大変貴重な機会となった。
(河田 真喜子)