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ニューヨーク・ブロードウェイの傑作舞台を、日本語字幕つきで映画館で楽しめる「松竹ブロードウェイシネマ」。シリーズ最新作となる傑作ミュージカル『アーネストに恋して』(原題:Ernest Shackleton Loves Me)が、10月4日(金)より全国順次公開される。
ミュージカル俳優としてあまたの賞に輝き、近年では演出家としても活躍する城田優にインタビューを実施。本作の魅力や、役者陣のすばらしさ、さらには舞台に欠かせない“想像力”の是非についてまで、演者として、ときに演出家としての視点であますところなく語ってもらった。
【STORY】
ある夜更け、出会い系サイトに自己紹介動画を投稿したビデオゲーム音楽の作曲家・キャット。彼女のもとに、突然20世紀を代表するリーダーと称される南極探検家のサー・アーネスト・シャクルトンから返信が届く。南極で船が難破し流氷の上で身動きが取れなくなったアーネストは、時空を超えてキャットにアプローチし、壮大な冒険の旅へと誘う。思いがけないことに、ふたりは互いの中に自らを照らし導く光を見出すのであった。
――映画『アーネストに恋して』をご覧になり、いかがでしたか?
第一印象は、とにかく斬新!登場人物が二人だけで、タイムスリップのようなSF感があり、ファンタジックで、かつヒューマンドラマもミックスされている。これまで多くの観劇をしてきましたけど、そんな僕からしても設定自体の斬新度数がかなり高い1本でした。
――キャット役のヴァレリー・ヴィゴーダ、アーネスト役のウェイド・マッカラムの演技はどう受け止めましたか?
キャット側は膨大な数の楽器を扱うということ、アーネスト側は一人二役という演じ分けと説得力が必要で、それぞれ本当に大変な役だと思いました。特にキャットはバイオリンにギターにマンダリン、ピアノ…あらゆる楽器を演奏しながら演技もされていますよね。よくあるエンターテインメントですけど、ミュージカルでやっているのを僕は初めて見ました。
キャットの作曲家という設定もおかげで違和感がないですし、説得力があり、観ていても面白い。日本のミュージカル界に、同じようなことをやれる俳優はいるのかな?と思います。本当にレベルが高いことをしていらっしゃると思いました。
――二人芝居という独特の空気感の中で、特に印象的だったシーンはありますか?
いやあ、ずっとすごいと思っていましたよ…!キャットのド頭の音楽のシーンは、とにかく好きでした。あのシーンで、「この作品は楽しんでいいんだな」とお客様が思える方向に導いていて、トゥーマッチなシリアスにならない感じが、この作品を観るにちょうどいい入り口になっているんですよね。
僕は常々、お芝居には想像力が必要だと思っているんです。特に、本作は100年前の偉人と出会い系サイトで知り合い、その二人が南極という僕らが知らない場所に冒険に行くという突拍子もないストーリーですよね。それを信じる想像力、客席に「いやいや、そんなわけ」と冷静にさせない力があるので、そういう意味でも頭の導入がすごい肝だと思いました。いかにお客さんに想像させられるかというのが僕らの仕事なわけで、いわゆるただの会話劇よりも、よっぽど想像力がないと、役者も観る側も楽しめない作品だと思いました。
――キャットはアーネストに出会い、彼のポジティブさに背中を押され自分の人生を切り拓いていこうとします。その描かれ方については、どう感じましたか?
観る人たちみんなが共感するような、とても人間らしいキャラクターですよね。キャットは出会い系サイトで年齢を偽り、仕事もピンチで、子の父である彼氏ともうまくいっていない。全然、純風満帆ではないんですよね。でも、世の中に生きている人たち、僕も含めて誰もが「自分だけなんでこういう思いをするんだろう?」と思って生きていると思うんです。そこで感情移入の心が生まれるわけです。
キャットは非常にファンタジックな出会いを経て、アーネストに冒険にいざなわれる。冒険=未知なる世界なので怖いけど、そんな人の心を「せっかく1回の人生なんだから、アーネストみたいに冒険しよう」と思わせてくれる。たとえ危険な旅になろうと、自分が知らない世界を知り、突き進んでいく力みたいなものが、キャットもアーネストと出会い、彼と一緒に冒険の片鱗を見て湧いてきたんだと思うんです。「うまくいかなくてもいい、とにかく諦めてたまるか」というマインドが、時に恋や仕事、友情や趣味などの“愛”というものに変換されてエネルギーになると思うんです。彼女の場合はそれがアーネストという存在だったんだなと思いました。
――最後に、本作は『キンキーブーツ』なども上映した「松竹ブロードウェイシネマ」の最新作です。ブロードウェイの舞台を日本の劇場で観られることについて、城田さんはどう感じますか?またもし本作のアーネスト・シャクルトンと『キンキーブーツ』のローラの共通点があれば教えてください。
ふたりの共通点はチャーミングなところですかね。本取り組みに関してはポジティブなことから言えば、ブロードウェイに行くにはお休みを取り、渡航費、滞在費、観劇の費用など、本当にお金がかかります。どんなに行きたくても、なかなか自由に行けないと思うので、観られないお客様たちにとっては本当に救いでしかないシステムだと思います。現に、僕自身もこの作品を映像で観させていただきましたし、非常に恩恵を受けています(笑)。
その一方で、演者側からすると、生の良さというのがあるんですよね。ミュージカルはその時の役者、お客様との相性で作り出されるものだから、一公演一公演、同じシーンでも違ってくるんです。その瞬間に生まれたエネルギーを生で感じることに価値があるとも思うので、こうした上映サービスも取り入れながら、生でも観ていただければと僕は思います。
《松竹ブロードウェイシネマ》『アーネストに恋して』
演出:リサ・ピーターソン
脚本:ジョー・ディピエトロ
作曲:ブレンダン・ミルバーン 作詞:ヴァレリー・ヴィゴーダ
監督(シネマ版):デイヴィッド・ホーン
出演:ヴァレリー・ヴィゴーダ
(俳優、ミュージシャン、作詞・作曲家、ディズニー楽曲のクリエイター)
ウェイド・マッカラム
(俳優、ダンサー、歌手、作曲家、脚本家、映像作家、演出家)
配給:松竹 ©BroadwayHD/松竹
ⒸJeff Carpenter
(原題:Ernest Shackleton Loves Me 2017年 アメリカ 1時間28分)
■公式サイト: https://broadwaycinema.jp/
■www.instagram.com/shochikucinema/
■www.facebook.com/ShochikuBroadwayCinema
■twitter.com/SBroadwayCinema
★2018年ルシル・ローテル賞ミュージカル部門主演男優賞 ウェイド・マッカラム(ノミネート)
★2017年オフ・ブロードウェイ・アライアンス最優秀ミュージカル賞受賞
2024年10月4日(金)~東劇、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際 他全国公開!
(取材、文:赤山恭子、写真:高野広美)
■アスペルガーの傾向がある人はすごく真面目、全力で生きている
■映画を通じて同じように悩んでいる人の力になれば
■当事者意識を持てるリアルなセリフを書く
■周りの人をしっかり描かなければ、助け合っているところが見えてこない
■ビジュアルやアートが得意なキャラクターを視覚的にも際立たせて
御年100歳の作家・佐藤愛子が90歳の時に書いたエッセイ『九十歳。何がめでたい』の映画化作品に、丁度90歳を迎えた草笛光子が主演。歯に衣着せぬ物言いで世間の矛盾をぶった斬る痛快さに、夢中になって読んでは所構わず笑い出してしまったものだ。その原作通り、この映画も危険な可笑しさにあふれている。そこには偏屈老人の上辺だけの強さではない、長い人生経験に裏打ちされた人間性の深みや慈愛と温もりがあり、人間讃歌の作品として大いに楽しめる。すべての人々の人生にエールを贈る、笑いと感動いっぱいのハッピーオーラ満載の映画を、家族そろって劇場へ観に行って頂きたい。
〈草笛光子の発案〉
草笛光子は意外にも本作が初めての単独主演作となる。原作に惚れ込み、「佐藤愛子さんを演じてみたい」と自ら企画立案し、前田哲監督にオファーして映画化にこぎ着けたという。舞台に映画にドラマにモデルとマルチに活躍する草笛は、お茶目でチャーミングな性格から多くの人々に愛され、本作でも「草笛さんと共演したい!」と豪華な俳優陣が登場している。どこに誰がどんな役で登場するのか、それを発見するのも楽しみのひとつ。
〈前田哲監督について〉
前田哲監督は、大道具のバイトから美術助手を経て助監督となり、伊丹十三、滝田洋二郎、大森一樹、崔洋一、阪本順治、松岡錠司、周防正行らの作品に携わる。エンターテイメントに軸足を置きつつ、独自の視点や社会派題材を入れ込む作家性と、登場人物たちを魅力的に輝かせることで観客に届く作品に仕上げる、職人気質を併せ持つ監督である。
近年は、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません!』『ロストケア』『大名倒産』と次々とヒット作を打ち出している。19歳から映画の世界に身をおく現場叩き上げの前田監督といえど、草笛光子の90歳とは思えぬバイタリティーあふれる“とんでもない言動”に翻弄されながらも、現場は笑いの絶えない和やかな雰囲気だったようだ。
以下にインタビューの詳細を紹介します。
〈俳優さんが演技しやすい環境作りを心掛けている〉
――面白いティーチインでしたが、現場でも関西弁ですか?
自分ではソフィスティケートしているつもりですが…(つい笑ってしまった!)
作品にもよりますが、基本的にリラックスして演じてもらう環境を作るのがスタッフの仕事だと思っています。俳優さんもスタッフもいちいち言われてやるより自分発進の方がモチベーションが違うと思うし、色んな選択肢があった方が面白いものが生まれると思うんです。それが映画を総合芸術として制作する醍醐味だと思っています。
〈草笛光子という女優について〉
――草笛光子さんは意外にも本作が初単独主演というのに驚いたのですが…?
草笛さんは目鼻立ちがくっきりしたお顔立ちで、原節子さんに似ていると思います。実際、原さんに可愛がられていたようです。前作の『老後の資金がありません』の時にも自分でメークするシーンがあって、今回もいくつかのコスプレシーンのメークもブツブツ文句言いながら自分でやってましたよ、「原さんなら絶対こんなことしないわよ!」ってね。(笑)
――佐藤愛子先生に似せるための工夫は?
愛子先生の服や着物の写真を基にデザインしてもらいました。後半、段々と元気になっていくにつれて色を入れるようにリクエストして、人物像を構築していきました。
――佐藤愛子先生や草笛光子さんのような大御所を前にして緊張することは?
僕、緊張しないタイプなんですよ。お互い構えなくていいというか、子供と高齢者とはやりやすいですね。
〈元気の秘訣は旺盛な食欲にあり?〉
――佐藤愛子先生と草笛さんの三人でランチされたそうですが?
お二人ともよく食べる!食べる! 草笛さんは特に肉が大好き、チョコレートも大好きで現場でも差し入れのお菓子をパクパク食べてましたよ。「何いつまで食べてるんですか、もう撮影始めますよ!」と言うと、「食べてない」ってモグモグさせながら言うんですよ。「(口のまわりに)付いてるがな!」…食いしん坊ですが、それがまたチャーミングなんです。
〈宵っ張りの朝寝坊?〉
普通高齢になると、夜早く寝て朝早く起きるもんじゃないですか、それが夜も遅くまで起きてるし、朝起きるのも遅いし、だから撮影開始はいつも13時、14時なんですよ。「早く寝ればいいのに」って言っても、言う事を聞かないんですよ~。周りが大変だったと思いますが、みんな草笛さんのことを愛してますからねぇ、世界一幸せな90歳だと思いますよ。
――現場での草笛さんの体調は?
元気そのものでした。足元が危なそう時は周囲が気を付けてあげてましたが、それ以外はスタスタと歩いてましたよ。
〈三谷幸喜について〉
――役者としての瞬発力が光ったタクシー運転手役の三谷幸喜さんについては?
最後の「もう一周回りましょうか?」というセリフは三谷さんのアドリブですが、他のセリフはちゃんと台本通りに言ってもらってますよ。
――監督としての三谷さんをどう思う?
三谷さんは、宮崎駿さんや是枝裕和さんのようなブランドですね。皆が安心して観に行けるような作品を提供し続けている、スター監督ですよね。自分は職人であるという考え方で、この原作をどんな俳優さんに演じてもらって、どんな風に料理させて頂こうかなと思って制作しているので、違うスタンスで映画に関わっているような気がします。
〈俳優との縁について〉
――キャスティングについては?
作品毎に相談しながら決めています。幸いなことに最近では長澤まさみさんや広瀬すずさんに杉咲花さん、高畑充希さんなどの若手トップ女優さんらとご一緒する機会が持てました。助監督の頃から松田聖子さんや原田知世さんに薬師丸ひろ子さん等の作品に携われたことは大きかったですし、女優さんとは縁があるのかなと思っています。『ロストケア』の松山ケンイチさんとは結実してきたので、これからは男優さんともいい仕事ができればいいなと思っています。
〈映画制作する上でのポリシーは?〉
――映画制作する上で何に一番重点を置いているのですか?
僕は役者が一番大事だと思っています。映画はただ撮ればいいというものではないので、どうしたら観客に届けられるか? それから、『こんな夜更けにバナナかよ~』や『ロストケア』の時もそうですが、実際に障がいを持っておられる方や介護ケアに携わっておられる方などにどう受け止められるか?今回も実在の人物を描いている訳ですから、ご本人やご家族の方々にどう思われるのか、とても気を遣いました。
映画化したい題材やエピソードがあっても、世に出した時に一人でも嫌な思いをするようなことがあれば制作を断念せざるを得ないこともあります。と同時に、役者さんの気持ちは大事にしたいと思っているので、嫌なことは求めないようにしています。
――今は何を発表しても賛否両論が沸き起こる時代だと思いますが?
皆が幸せに思ってもらうのが究極の目標なんですが、今作の『九十歳。~』では多幸感のある作品で、「生きてて良かったんやね」と思ってもらえるような人間讃歌の作品でもあります。いろんな映画があって当然ですが、僕はいい気分になって幸せが伝播するような映画を作っていきたいと思っています。
〈題材選びは?〉
――映画の題材はご自身の希望で取り上げられるのですか?
諸事情により希望通りにならないこともあります。自分の琴線に触れる何かを感じられるものを大事にしています。でも、思い入れがあっても思うようにヒットにつながらない時もあります。『こんな夜更けにバナナかよ』『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません!』とヒットに恵まれ、お陰様で草笛さん発案の今作でも監督をすることができました。
――次回作は佐藤愛子原作のエッセイ『九十八歳。戦いやまず、日は暮れず』の映画化でしょうか?
今作にも『九十八歳。~』のエピソードを組み込んでいますので、どうなるでしょう?草笛さんが、クランクアップで花束渡してハグした時に、僕の耳元で、「次はどうするの?」とささやかれました。もう次のこと考えてる!この人凄いなって思いましたよ(笑)。
――随分と信頼されましたね。
草笛さんは、レジェンドであり、チャーミングであり、キャストもスタッフみんな大好きです。石田ひかりさんなんか、草笛さんとの共演シーンで僕がOK出すと、「なんでOK出すのよ!もっと草笛さんと一緒に芝居したかったのに」ってクレームでしたよ。
〈差別と偏見をなくしたい!〉
――作品の中に垣間見られる社会的問題について?
そうですね、いろんな所に入れているつもりはあります。今の社会はパワハラとかハラスメントを意識する必要があります。ですが、そういう言葉でくくってしまうとそれだけで終わってしまうような気がするんです。そうではなく、相手をどう気遣えるか、相手をリスペクトして相手の状況を考え、ちょっと創造力を働かせれば済む話だと思います。
僕の映画は、「~だから」を払拭したい。障がい者だからとか、90歳だからとか、女だから男だからとか、子供くせにとか言うけれど、そういうものを打破してもっと自由に生きられるように。一番は差別と偏見をなくしたい!それが根底にはあります。
『九十歳。何がめでたい』
【ストーリー】
断筆した作家・佐藤愛子は90 歳を過ぎ、先立つ友人・知人が多くなると人付き合いも減り、鬱々と過ごしていた。そこに、会社でも家庭でも崖っぷちの編集者・吉川がエッセイの依頼にやってくる。「書かない、書けない、書きたくない!」と何度も断るが、手を変え品を変えて執拗に頼み込む吉川。仕方なく引き受けたエッセイに、「いちいちうるせえ!」と世の中への怒りを⾚裸々にぶちまけて、それが中高年の共感を呼び予想外の大ベストセラーとなる。初めてベストセラー作家となった愛子の人生は 90 歳にして大きく変わっていく。
(2024年 日本 1時間39分)
■原 作:佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」(小学館刊)
■監 督:前田哲 脚本:大島里美 音楽:富貴晴美
■出演:草笛光子、唐沢寿明、藤間爽子、木村多江、真矢ミキ ほか
■製作幹事:TBS
■配 給:松 竹
■原作コピーライト:Ⓒ佐藤愛子/小学館
■映画コピーライト:©2024 映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館
■公式サイト: https://movies.shochiku.co.jp/90-medetai/
ハッピーオーラ全開で全国にて絶賛公開中!
(河田 真喜子)
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)プロデュース、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ俊英・シャオ・ヤーチュエン監督による台湾・日本合作映画『オールド・フォックス 11歳の選択』が6月14日(金)より新宿武蔵野館ほかにて絶賛公開中です。この度、10代からの夢だったという台湾映画の出演を果たした門脇麦さんのインタビュー、コメントをご紹介いたします。
台湾ニューシネマの旗手・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)が
次世代を託したシャオ・ヤーチュエン監督最新作!
台北金馬映画祭で4冠達成の感動のヒューマンドラマ、いよいよ本日公開!
バブル期の到来を迎えた台湾。11歳のリャオジエ(バイ・ルンイン)は、父(リウ・グァンティン)と二人で台北郊外に暮らしている。自分たちの店と家を手に入れることを夢見る父子だったが、不動産価格が高騰。リャオジエは現実の厳しさと、世の不条理を知ることになる。そんなリャオジエに声をかけてきたのは、“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主のシャ(アキオ・チェン)だった。他人にやさしい父と違い、他人なんか見捨てろと言い捨てるシャ。果たしてリャオジエは、どちらの道を歩んでいくのか…。
1989年『悲情城市』でヴェネツィア国際映画祭グランプリを受賞。2015年『黒衣の刺客』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。小津安二郎への敬愛から『珈琲時光』を製作し、昨年10月には引退を発表した侯孝賢。そんな侯孝賢監督作品の助監督を務め、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ俊英・シャオ・ヤーチュエンが監督を務めた本作。これまでのシャオ・ヤーチュエン監督作全てのプロデュースを侯孝賢が務めており、本作が最後のプロデュース作となる。昨年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映され、人生の選択肢を知って成長していく少年と、彼を優しく見守る父の姿に心打たれる人が続出。2023年の第60回台北金馬映画祭で監督賞、最優秀助演男優賞(アキオ・チェン)、最優秀映画音楽賞、衣装デザイン賞の4冠を達成。先日発表された2024台北電影奨では、10部門でのノミネートを果たすなど、新たな台湾映画の傑作が誕生した。
主演のリャオジエには『Mr.Long ミスター・ロン』などで日本でも知られている日台のダブルで、台湾では神童と呼ばれる天才子役バイ・ルンイン。そして日本でもスマッシュヒットを記録した『1秒先の彼女』のリウ・グァンティンがW主演としてリャオジエの父親役に扮し、慎ましやかに支え合いながら生きる父子役を演じている。リャオジエに影響を与える“腹黒いキツネ”(オールド・フォックス)と呼ばれる地主のシャ役には、台湾の名脇役アキオ・チェン。シャの秘書役に『怪怪怪怪物!』のユージェニー・リウ。そして、門脇麦が経済的には恵まれているが空虚な日々を生きる人妻・ヤンジュンメイを演じ、初の台湾映画出演を果たした。
門脇麦インタビュー&クランクアップコメント、新場面写真も解禁
「幸せすぎて何度もぐっと来ました」
10代の頃からの夢だったという台湾映画への出演という夢を叶えた門脇麦。この度、『オールド・フォックス 11歳の選択』でまさかの台湾人役で大抜擢された門脇麦のインタビューが到着した。オファーがあった時の気持ちを聞かれると、「もともとアジア映画が大好きなんです。特に台湾映画はどこか生々しさがあって、湿度や匂いが伝わってくるような感覚があるなと感じていました。そういう作品に参加したいと思っていたので、監督が「浅草キッド」(Netflix)をご覧になって、私を起用したいと言ってくださったと聞いて本当に嬉しかったですね」と喜びの声を上げた。
さらに、脚本を読んだ感想と台湾人役という異例のオファーについては、「人生に何を望むか」といった、哲学的なメッセージを感じました。私が演じさせていただいた役についても、極端な言い方をすれば、いなくても成立するお話だと思うのですが、そういう人物までもがきちんと描かれていて、物語の豊かさを感じられて好きだなと思いました。最初は「私が台湾人の役を?」とは思いました。言葉は2ヶ月くらいすごく練習しました。でも、撮影に対しての不安は全然なかったです」と本作への想いと、大抜擢への驚きを語った。
門脇が演じたのは、主人公の心優しき父親タイライの初恋の相手ヤンジュンメイという本作に艶を与えてくれる役所なのだが、演じるにあたって気遣ったことを尋ねられると「私が演じたヤンさんは寂しい人です。彼女の孤独や悲しみを感じさせる瞳、そこをとにかく心掛けました。あと衣装とヘアメイクに助けられた部分が大きかったですね。当時の台湾の空気感は日本人の私には分かりようがありませんが、彼女の扮装をした時にどういう佇まいでどのような表情をすればいいのか、役に入り込めた気がします。」と台北金馬映画祭で衣装デザイン賞を受賞した、衣装の存在の大きさを教えてくれた。
憧れだった撮影現場の雰囲気に関しては、「現場はとても熱量が高くて、皆さんとても温かかったし、愛に溢れていました。そこで感じた空気はとても熱かったです。1シーンにかける時間が贅沢で、2シーンくらいを1日かけて撮影するんです。リハーサルの回数も日本より多かったです。でも日本と一番違うのはご飯で、いつも温かい食事が用意されていて、夜ご飯の休憩時間は2時間近くありました。私の撮影日数は短かったですが、私が求める物作りの全てが詰まった現場で、幸せすぎてグッと来ることが何度もありました。」と感激しきりだった。
同時にクランクアップコメントも解禁され、レストランのシーンでクランクアップを迎えたようでカメラに向かい英語で「帰りたくないです I don’t wanna go back.」と日本語と英語で寂しい思いを述べ、さらに「I want to stay here.(ここに残りたいです)4日間すごい短かったけど、昔からずっと台湾映画が大好きで憧れてきた世界観なので、自分がそこにいることがすごく不思議だったし、本当に幸せでした。また皆さんと仕事をできるように日本で台湾語をしっかり勉強して出直してこようと思います(笑)ご飯も美味しかったし楽しかった。本当に帰りたくないです」と憧れの台湾映画の撮影現場の満足感と次回の目標も含めたリベンジを笑顔で誓った。
また、門脇の出演シーンの新たな場面写真も解禁された。煌びやかなアクセサリーや装飾品を身につけ、いかにも裕福そうだがどこか寂しさを感じさせる空虚な表情でタバコを燻らすシーン、タクシーでどこかへ向かうシーン、そして初恋相手のタイライと共にタイライの働くレストランの前で横並びに並んでいるもの。最後は同じ傘に入り、タイライの顔に両手を這わせ見つめ合う二人。ヤンジュンメイの目元には傷が見られる。ただの客と店員のそれではない妖艶な空気が感じられるシーンだ。果たして二人の関係はどう転がっていくのか・・・?
また、主演の11歳の少年リャオジエを演じたバイ・ルンインの来日が急遽決定し、新宿武蔵野館にて6月15日(土)10:00の回上映終了後に舞台挨拶&パンフレットサイン会の実施が決定している。詳細は公式HPをご確認ください。
『オールド・フォックス 11歳の選択』
<STORY>
台北郊外に父と二人で暮らすリャオジエ。コツコツと倹約しながら、いつか、自分たちの家と店を手に入れることを夢見ている。ある日、リャオジエは“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには他人なんか関係ないと言い放つシャ。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、父子の夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始める。図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは…!?
■出演:バイ・ルンイン リウ・グァンティン アキオ・チェン ユージェニー・リウ 門脇麦
■監督:シャオ・ヤーチュエン
■プロデューサー:ホウ・シャオシェン、リン・イーシン、小坂史子
原題:老狐狸/英題:OLD FOX/2023年/台湾・日本/112分/シネマスコープ/カラー/デジタル/字幕翻訳:小坂史子
配給:東映ビデオ
HP:https://oldfox11.com/
公式X:@OLDFOX0614
©2023 BIT PRODUCTION CO., LTD. ALL RIGHT RESERVED
映画『オールド・フォックス 11歳の選択』は新宿武蔵野館他全国にて絶賛公開中
(オフィシャル・レポートより)
■何を演じても「よくなかった」劇団駆け出し時代と転機
■大ヒット作「セームタイム・ネクストイヤー」で演じた女性の年齢ごとの生き様
■歌っていたシャンソンが役に繋がって
■世の夫を体現した真一役の橋爪功
■最高の児童映画があるスウェーデンで、子どもの映画を撮れたのは本当に光栄
■嫉妬という感情やおじさんとの友情を軸に、オリジナルの“いたずら”を加えて
■子どもたちがさまざまな芸術家と触れるノルウェーの教育事業「カルチャースクールリュックサック」
ヒューゴー賞受賞SF小説「三体」原作者による同名短編小説を基に豪華キャストで映画化した『流転の地球 -太陽系脱出計画-』が、3月22日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開となります。
ウー・ジン、アンディ・ラウら中国豪華キャストが集結!
本国でシリーズ累計2千万部を超える超ベストセラーとなり、SF界のノーベル文学賞と呼ばれるヒューゴー賞をアジア人として初受賞した、今春Netflixドラマシリーズが配信されるSF小説「三体」。その原作者リウ・ツーシンによる同名短編小説を基に、中国映画界が誇る才能を結集して映像化。
圧倒的なスケール感、精緻な映像美と、練り込まれたストーリー
ハリウッドをも唸らせた、メガヒット中国SF超大作が日本上陸!
精緻な映像美で描かれる練り込まれたストーリーに、ドラマティックに描かれるさまざまな人間模様。さらに圧倒的なスケール感で繰り広げられるパニック描写など、3.2億元(約65億円)の製作費を費やし、ハリウッド大作も圧倒する究極のSFエンタテインメント超大作が誕生した。中国本土で初登場第一位に輝き、興収40億2900万元(約815億円)を突破し、歴代興行収入ベストテン入りを果たすメガヒットを記録! さらに、北米でも大ヒットとなり、世界興収は約6億米ドル。第96回アカデミー賞国際長編映画賞中国代表作品選出され、すでにシリーズ3作目の製作も決定するなど、社会現象となっている。
【グオ・ファン監督インタビュー】
――監督が続編ではなくエピソード0を描くことにした理由とは?
前作『流転の地球』は中国初のブロックチェーンSF映画として2019年春節シーズンに公開された。続編を製作することになったグオ監督は、続編のプロットとして物語の続きを描くのではなく、「前日譚」を描くことを選択した。その理由に『流転の地球』では物語の世界観や背景、登場人物たちがどんな経験をしてきたのかを描写するエピソードが不十分であったこと、そして多くの観客がウー・ジン演じる主人公の宇宙飛行士リウ・ペイチアンの復活を望んでいたことを挙げている。
――ウー・ジンは前作の製作に全財産を投じた監督のため、ノーギャラで出演するだけでなく、自ら出資するなど、全力で映画を支援。
グオ監督は、そんなウー・ジンに対し、「『流転の地球 -太陽系脱出計画-』の製作は、前作でのウー・ジンの献身に対する製作陣の感謝の表れだ。ウー・ジンは撮影時、数えきれないほどの無私の支援を提供してくれた。だから私も彼を続編に登場させるべきだと思った。しかし『流転の地球』での結末から考え、リウ・ペイチャンを復活させることは明らかにナンセンスで、そうはしたくなかった。そこで物語の続きではなく、エピソード0を描くことにした」と語っている。
――『流転の地球 -太陽系脱出計画-』は、人類が過去の不和を乗り越えて地球連合政府を結成し、地球を太陽系から移動させる「移山計画」を実行していく過程を描いている。
宇宙での新天地を探して家族と共に別の恒星に向かって旅立つ『流浪の地球』のプロットとは異なり、本作では登場人物たちの内面への探求を主題としている。
現在『流転の地球』はNetflixにて放送されているが、前作を観ずとも前日譚『流転の地球 -太陽系脱出計画-』を観ても全く問題ないどころか、本作を観てから前作『流転の地球』を観たほうがより楽しめそうだ。
<STORY>
そう遠くない未来に起こりえる太陽系消滅に備え、地球連合政府による1万基に及ぶロケットエンジンを使って、地球を太陽系から離脱させる巨大プロジェクト「移山計画」が始動!人類存亡の危機を目前に、各国の思惑や、内紛、争いが相次ぐ中、自らの危険を顧みず立ち向かった人々がいた。亡き妻への想いを胸に、宇宙へと旅立つ飛行士・リウ(ウー・ジン)。禁断のデジタル技術によって、事故死した娘を蘇らせようとする量子科学研究者・トゥー(アンディ・ラウ)。そして、大きな決断を迫られる連合政府の中国代表・ジョウ(リー・シュエチェン)。多くの犠牲を払いながら、地球と人類の存亡、そして希望を懸けた最終作戦が始まった!
監督:グオ・ファン(「流転の地球」) 製作総指揮・原作:リウ・ツーシン
出演:ウー・ジン、アンディ・ラウ、リー・シュエチェン、シャー・イー、ニン・リー、ワン・ジー、シュ・ヤンマンツー
2023年/中国/中国語・英語/173分/カラー/シネスコ/5.1ch/DCP/
原題:流浪地球2/英題:THE WANDERING EARTH Ⅱ/字幕翻訳:神部明世/字幕監修:大森望
配給:ツイン
公式サイト:https://rutennochikyu.jp/
COPY RIGHT©2023 G!FILM STUDIO [BEIJING] CO., LTD AND CHINA FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
2024年3月22日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、大阪ステーションシティシネマほか全国ロードショー
(オフィシャル・レポートより)