

■信頼を寄せる杉咲花は「人間として地に足がつき、ずっと芝居と作品のことを考えている」
■歌舞伎町は誰も干渉しない、どんな考え方でも受け入れてくれる町

■自分たちの常識を横に置き、南琴奈やスタッフとライのキャラクターを話し合う
■劇中漫画「ミート・イズ・マイン」の脚本秘話

■板垣李光人がアサヒを演じてくれたことで救いになった

●日時:2025年8月30日(土)
●場所:大阪・関西万博2025関西パビリオン内
「皆の心に幸せの種をまく旅人」――日本各地の第一次産業に携わる人々の人生に寄り添いながら諸問題を解決しては去っていく、まるで「シェーン」のような農林水産省官僚の活躍を描いた映画『種まく旅人』シリーズは本作で5作目となる。しかも淡路島が舞台となるのはシリーズ第二作『種まく旅人~くにうみの郷~』(2015)以来2度目で、引き続き篠原哲雄監督がメガホンをとったオリジナル企画。前作では海苔養殖と玉ねぎ生産に従事する兄弟の物語だったが、今回は伝統的な酒造技術の継承や酒蔵経営に苦労する父子の物語で、淡路島の美しい自然や豊潤な銘酒の香りが安らぎを与える心温まるヒューマンドラマである。
久しぶりのスクリーン復帰となった菊川怜が、エリート官僚という役柄ながら、熱く日本酒を語り美酒に酔いしれたり、本気で酒造りを学ぼうと低姿勢で臨んだり、さらには確執を抱える父子の壁を真剣に取り除こうとしたり――以前のイメージを覆すような人間臭い演技で親しみを感じさせる。菊川怜の女優としての新たな魅力を引き出した篠原哲雄監督は、兵庫県の斉藤元彦知事からも地方再生の一助を担うためにもまた兵庫県を舞台にした作品を撮ってほしいと期待が寄せられた。
10月10日(金)からの公開を前に、8月30日(土)に【大阪・関西万博2025】内の《関西パビリオン》で開催されたイベントと記者会見の後、篠原哲雄監督のインタビューという好機に恵まれた。『種まく旅人』シリーズで再び淡路島を舞台にした理由や、菊川怜を始めとするベテラン俳優の存在の大きさや、撮影秘話についてなど、いろいろなお話を伺うことができた。詳細は下記をご覧ください。
――再び淡路島を舞台にした理由は?
篠原監督:10年前の『種まく旅人~くにうみの郷~』の撮影で、農業用のため池の維持管理のため掻い掘りをした時、島と海でミネラル分が循環することによって豊潤な作物や海産物の生産に繋がっていることを知って、農家の方々のご苦労を垣間見たような気がしたのです。去年の夏頃に兵庫県の特産物を紹介するブースを訪れる機会があり、淡路島の銘酒や産物を通して改めて島の豊かさを知り、生産者の想いを伝えたいという気持ちになりました。
今回の舞台となった酒蔵「千年一酒造」は、前回の撮影でお世話になった海苔業者の方の近くにあったので、お土産用にお酒を買いに行ったのがキッカケで知りました。
――今までも農業への関心は高かったのですか?
篠原監督:特別に関心が高かった訳ではないのですが、学生時代に観光牧場でアルバイトをしたことがあって、少しは興味がありました。私の作風から「土臭い感じの監督かな?」と思われていますが(笑)。前回の『種まく旅人~くにうみの郷~』も『深呼吸の必要』と繋がるところがあり、産業そのものではなく、宮古島の生活の中で作られているサトウキビをアルバイトの人たちが刈って砂糖になる、製糖工場に至るまでの人間模様が主体となっているのです。
今回は酒造りの行程もしっかり撮ろうと思っていました。クランインは去年9月で、仕込みには少し早かったのですが、撮影用に小さな樽で実際に醸造して頂きました。丁度お米が高騰する寸前だったのでギリギリで助かりました(笑)。
――久しぶりの女優復帰となった主役の菊川怜さんについて?
篠原監督:本読みの時からセリフは覚えていて、彼女なりのプランを持っておられて、熱心な方だなあと思いました。
今回の役は、農林水産省の官僚というお堅いイメージではなく、酒好きで猪突猛進なところもあるユニークなキャラクターで、菊川さんには合っていたと思います。現場で細かな修正はありましたが、大体において彼女の演技プランのままで撮影しました。
――菊川さんは真っ直ぐで素直な方なのでしょうが、今まで少し硬いイメージがありました。今回は砕けた演技でとても親しみを感じたのですが?
篠原監督:彼女自身は言葉豊かに発言できる人なので、これまでのキャリアからも何かを引き出して伝えるということは得意なはずです。今回は確執のある父と息子の間を熱心に取り持つシーンではそれが活かされていたと思います。彼女の女優としての新たな魅力だと言えるでしょう。
――ベテラン俳優の存在が光っていましたね?
篠原監督:今回、たかお鷹さんとは初めてお仕事をさせて頂いたのですが、さすがに大きな存在だと感じました。あの佇まいは杜氏(とじ)という役にぴったり! たかおさんは文学座の大ベテラン俳優です。こういう方が演劇界を支えて来られたんだなあと実感しました。
白石佳代子さんも、歌うシーンで「これでいいかしら?」としきりに仰っておられました。認知症という難しい役を過剰にやり過ぎるとよくないと判断されたのでしょう、微妙なさじ加減で白石さんなりに模索しながら演じておられたようです。
――ベテランと若手の俳優の演出については?
篠原監督:今回、たかお鷹さんと白石佳代子さんという後光のように輝く大ベテランがいて、その手前に升毅さんという渋い中堅がいる。升さんは関西弁も堪能で色々と研究もされていたので、今回の父親役を安心して委ねることができました。若い俳優さんは芝居に対する姿勢や考え方が生半可になることがあるので、時々注意しながら演出しました。酒蔵は上下関係や礼儀を重んじる場所ですので、金子隼也君もどう佇んでいいのか分からず悩んでいたようで、「もっと自然体でやった方がいいよ」と声をかけました。確かにある事情を抱えた息子の立ち位置が難しくて、女杜氏を目指す役柄同様、清水くるみさんが金子君に一所懸命に発破をかけてくれていました。
――撮影について?
篠原監督:今回の撮影は大ベテランの阪本善尚さんが2カメラ体制で撮ってくれました。特に酒造りの生きた酵母や発酵を捉えるシーンなどでは撮り逃してはいけないと、2台のカメラで撮影。狭い空間で暑くて大変でしたが、リアルな映像が撮れてよかったです。実景は最後にまとめて撮っています。淡路島のいろんな場所を撮影して、夕景のシーンも最後の日にうまい具合に撮れました。それに撮影の小林元さんはドローン操縦もできるので、ドローンを活用した撮影も活かされていると思います。
さらに、限られた予算内で撮ってくれた阪本撮影監督の仕事ぶりには改めて凄いなと感じました。照明や美術は京都の松竹撮影所のスタッフを起用して、東京と京都のスタッフとの共同作業はとても面白い試みだったと思います。『種まく旅人~くにうみの郷~』の撮影の時は冬だったので、今回は陽の光を存分に使おうと意識して撮影しました。
――あまり聞きなれない「M&A(企業の合併や買収)」について、冒頭のシーンで主人公のキャラクターと併せて分かりやすく表現されていたように思いますが?
篠原監督:主人公は農林水産省官僚というお堅いイメージですので、先ずはお酒に並々ならぬ情熱を抱くユニークなキャラクターだということを紹介。さらにM&Aについては、売上減少や後継者問題などの難題を抱える日本の酒造業界の現状を提起し、具体的な問題点や販路拡大に繋がる新商品の開発や、伝統的酒造りを支援するために役人が派遣されることを明示する必要があったのです。
――様々な作品を多く監督されてきましたが、作品選びについては?
篠原監督:今回はオリジナルですが、『種まく旅人』シリーズを手掛けてこられた北川プロデューサーの土台があって、脚本家の森脇京子さんとの間で酒造業界の話になって、僕が来た時点でそれを如何に深めるか、父と息子の物語をどう広げていくかということになったのです。例えば、今回は菊川怜さんが主役ということで主人公のキャラクターを変化させる必要がありましたし、M&A関連では怪しげな人を登場させて酒蔵存続の危機感を煽ることなどです。
篠原哲雄監督といえば『月とキャベツ』…初めて観た時の感動は未だに忘れられない。一途な熱い想いとせつなさは、時を経ても心に深く刻み込まれている。他にも『はつ恋』『天国の本屋~恋火』『深呼吸の必要』『山桜』等など、観る者をロマンチストでいさせてくれる、その誠実な作風に魅了される映画ファンも多いと思う。『種まく旅人~醪(もろみ)のささやき~』から受ける癒しは、自然に恵まれた淡路島の豊かさと、それを守ろうとする人々の誠実な想いから感じられるものなのかもしれない。
監督:篠原哲雄
脚本:森脇京子
エグゼクティブプロデューサー:北川淳一
出演:菊川怜、金子隼也、清水くるみ、朝井大智、山口いづみ、たかお鷹、白石加代子、升毅、永島敏行
撮影監督:阪本善尚 撮影:小林元
製作:北川オフィス
制作プロダクション:エネット
配給:アークエンタテインメント
©2025「種まく旅人」北川オフィス
公式サイト: https://tanemaku-tabibito-moromi.com/
【『種まく旅人』シリーズの紹介】
1969年、一枚のアルバムに全世界が震えた!伝説的ロックバンドの知られざる起源がここに!メンバー自らが語る奇跡のドキュメンタリー『レッド・ツェッペリン:ビカミング』が、9/26(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開となり、全国のIMAX®劇場でも同時公開となります。
60年代末、イギリスで産声を上げたロックバンド「レッド・ツェッペリン」。ジミー・ペイジ、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナム、ロバート・プラント。およそ12年間の活動の中で、彼らが起こした現象はまさに事件であり、予言であり、そして未来であった。デビューアルバムでいきなり世界を熱狂の渦に巻き込んだバンドの出発点にはいったい何があったのか。未公開のジョン・ボーナムの生前音声のほか、メンバーの家族写真や映像、初期のライブシーンなど貴重なアーカイヴ映像とともに、その知られざる歴史を語る証言者はオリジナルメンバーのみ!
さらに、部分的ではなく1曲まるごと演奏シーンを映し出すことで、私たちはまるでその場に居合わせたかのようにメンバーの声を聞き、当時のライブをリアルタイムで目撃した感覚になるだろう。4人のメンバーとともに当時を再体感する、まさにユニークにして最高の没入型「映画オデッセイ」である。
この度、2021年9月4日にベネチア国際映画祭でジミー・ペイジが記者会見で語ったことをお届け致します。
2017年の冬にプロデューサーのアリソン・マクガーティより、革装丁の書籍のように仕上げられた物語の始まりから終わりまでを一望できる絵コンテを手渡されたジミー・ペイジは「その正確さ、そして非常に深いリサーチの成果が随所に表れていた。ページをめくるたびに、私の記憶に残る重要な出来事が次々と現れ、「彼らは本当に理解している、本質を捉えている」と確信したよ」と語る。これまでもバンドの映画を製作したいというオファーは何度もあったとそうで、「どれも期待には遠く及ばず、中には、音楽そのものではなく、周辺の要素ばかりに焦点を当てたものもあり、距離を置いていたんだ。今回の作品は、まさに音楽そのものに焦点を当てていた。音楽がどのように生まれ、どのように演奏されるのか。その魅力に深く踏み込んでいて、楽曲も断片的にではなく、完全な形で提示されている。よくあるような、楽曲の途中でインタビューに切り替わる形式ではなく、音楽を中心に据えた構成がなされており、これは従来の音楽映画とは一線を画す、まったく新しいジャンルの作品だと感じたんだ」と映画製作を了承した経緯を明かす。
「メンバー4人はそれぞれが卓越したミュージシャンで、まさに“星の巡り合わせ”とも言えるような奇跡的な出会いによって、一つのバンドとして結集したんだ。物語を追っていくと、4人それぞれが異なるキャリアやアプローチを持っていたことがわかると思う。しかし、一度集まった瞬間、その融合はまるで止まることのない爆発のようで、その勢いはツアーへ、そしてレコーディングへと繋がっていった。アメリカとイギリスを行き来するツアーの合間に録音や映像撮影を行いながら、その勢いはとどまることを知らなかった。まるで時速100万マイルで駆け抜けているような感覚だった。その熱量こそが、この映画で見事に表現されており、観てもらえれば、きっとその迫力と本質を感じていただけるはずだよ」と本作の出来を絶賛する。
監督・脚本:バーナード・マクマホン(「アメリカン・エピック」) 共同脚本:アリソン・マクガーティ
撮影:バーン・モーエン
編集:ダン・ギトリン
出演:ジミー・ペイジ ジョン・ポール・ジョーンズ ジョン・ボーナム ロバート・プラント
2025年/イギリス・アメリカ/英語/ビスタ/5.1ch/122分/日本語字幕:川田菜保子/字幕監修:山崎洋一郎/
原題:BECOMING LED ZEPPELIN
配給:ポニーキャニオン
提供:東北新社/ポニーキャニオン
©2025 PARADISE PICTURES LTD.
[公式HP]https://ZEP-movie.com
[公式X]@zepmovie
(オフィシャル・レポートより)
『クワイエット・プレイス』プロデューサーが仕掛ける新たな絶望。全米トップ10入りのサバイバル・ホラー『エレベーション 絶滅ライン』が、7月25日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国公開いたします。
『クワイエット・プレイス』『パージ』シリーズを手掛けた名プロデューサー ブラッド・フラーが、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』主演で世界中を熱狂させたアンソニー・マッキーとタッグを組み、新たな絶望を届ける。人類を襲うモンスターのクリーチャー・デザインは『猿の惑星/キングダム』『ゴジラvsコング』を手掛けたクリエイターが参加。極限の緊張と恐怖の連続に、あなたは耐えられるかー!
音を立てることが命取りとなるという独特の設定と、家族の絆を描いたストーリーで高い評価を受けた『クワイエット・プレイス』、社会の闇や格差、暴力の連鎖といったテーマを、「一晩だけすべてが許される」という衝撃的な設定であぶり出し、観客に強烈なインパクトを与えた『パージ』シリーズを手掛けた名プロデューサーのブラッド・フラー。本作では、人類の95%が死滅した世界で、生き残るためには地上2500m以下には降りてはいけないという条件のもと、スリル溢れるサバイバル・ホラーを生み出した。
この設定についてジョージ・ノルフィ監督は「人口の95%が滅び、残りの5%が標高2,500m以上の静寂な山頂のコミュニティに住み、眼下の死と破壊とは無縁の世界を想像してみてほしい。このバーチャルなエデンの園は、食料、水、安全、そして素晴らしい自然の美しさなど、人が必要とするものすべてを提供している。私が興味をそそられたのは、このような世界で人類は本当に繁栄できるのだろうかという疑問だった。物理的なニーズはすべて満たされているのに、世界から隔離されたら、人はどうなるのか?私たちの進化と偉大な文明の創造を助けたテクノロジーと知性は、私たちを破滅に向かわせるものなのか?」と語る。
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』で主演を務め世界中を熱狂させたアンソニー・マッキーや、『デッドプール』でライアン・レイノルズのタフでウィットに富んだ恋人ヴァネッサを演じたモリーナ・バッカリンらキャストの起用や美しい山脈での撮影については、「この物語に命を吹き込むこと、アンソニー・マッキーと3度目のタッグを組むこと、そしてモリーナ・バッカリンをはじめとする素晴らしい才能を持つキャストたちとの共演は、挑戦的でありながら爽快でもあった。コロラド・ロッキー山脈の営業中のスキーリフトから、地下1マイルの現役鉱山の奥深くまで、息をのむような絶景と、しかし過酷なロケーションで撮影を行った。これらの舞台は単なる背景ではなく、映画の緊張感と緊迫感を高め、真に没入できる演劇的な体験を作り出した」とコメント。
最後に「私たちのチームは全員、この映画が単に楽しませるだけのものでなく、人類の未来に疑問を抱かせるものであるよう、限界に挑戦し、総力を挙げた」と、映画のテーマについて明らかにした。
【STORY】
“リーパー”と呼ばれる謎のモンスターが地下穴から多数出現。人類の95%を死滅させて3年が経った。生き残った人々は、リーパーが侵入してこない標高2,500メートル以上の山岳地帯の孤立したコミュニティで暮らしていた。ロッキー山脈の避難所で幼い息子ハンターと暮らすウィル。妻はリーパーに殺された。肺の病気を患う息子の薬が不足し、ウィルは薬を求め、リーパーを倒す方法を研究している元科学者ニーナらと麓の病院へ向かうため2,500メートルのラインを越え下山することを決意するー。
■監督:ジョージ・ノルフィ『ボーン・アルティメイタム』(脚本)
■製作:ブラッド・フラー『クワイエット・プレイス』『パージ』
■出演:アンソニー・マッキー『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、モリーナ・バッカリン『デッドプール』シリーズ、マディー・ハッソン『マリグナント 狂暴な悪夢』
■2024年/アメリカ/英語/91分/カラー/シネスコサイズ/原題:Elevation
■配給:アット エンタテインメント
■© 2024 6000 Feet, LLC. All Rights Reserved.
■公式サイト:elevationmoviejp.com
2025年7月26日(金)~ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国公開
(オフィシャル・リリースより)
韓国映画初登場No.1、19歳未満鑑賞禁止にもかかわらず観客動員数100万人突破の快挙を達成した、<劇薬>サスペンス・スリラー『秘顔-ひがん-』が
6月20日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開いたします。
「格が違う!<19禁>密室スリラー(JoyNews24)」 、「大胆露出、それ以上の衝撃!(StarNews)」、「鏡の後ろに隠された欲望、予測できないエンディング(アン・テジン(『梟-フクロウ-』監督)」と観る者の度肝を抜き、大ヒットを記録した<劇薬>サスペンス・スリラーが禁断のベールを脱ぐ。激しい情愛に溺れる男女と、そのすべてをすぐ“そこ”から見つめる婚約者の3人には〈秘密の顔〉があった。その〈秘密〉が剥がされるたびに、どんでん返しが連続する予測不能のストーリーに心をつかまれ、生々しくもエレガントなエロティシズムに息をのむ――。
出演は「エデンの東」ソン・スンホン、『パラサイト 半地下の家族』チョ・ヨジョン、「財閥 x 刑事」パク・ジヒョン。心ゆさぶる体当たりの演技合戦、格調高いクラシック音楽、そして深い闇さえも美しい映像表現が、欲望の螺旋の果てに待つ<超劇的>クライマックスへと観客を誘う。すべての纏が剥がされたとき、私たちの見ている世界は一変する―。
時代とジャンルを超えて独自のスタイルを確立してきたキム・デウ監督が、本作で再び人間関係と心理を深く掘り下げ、驚くべき演出力を見せた。映画『春香秘伝 The Servant』で朝鮮時代の古典小説「春香伝」を再解釈したキム・デウ監督は、古典を新たに蘇らせたストーリーテリングと大胆な演出、美しい映像表現で観客の支持を獲得。続く『情愛中毒』では、ソン・スンホンを起用し、1960年代のベトナム戦争後を舞台に抑圧された欲望と禁断の愛を描き、高ぶる緊張感とビジュアルの美しさを両立してジャンル映画の巨匠としての地位を確立した。作品ごとに新たな視点と挑戦を試みるキム・デウ作品は、常に社会通念を揺るがしながら本能的で原始的な感情を掘り下げ、観客に深い余韻を残す。10年ぶりの監督復帰作となった本作は、観客の好奇心を刺激する異色の密室スリラー。ソンジン(ソン・スンホン)とスヨン(チョ・ヨジョン)、ミジュ(パク・ジヒョン)の秘密と抑圧された感情の衝突を繊細に描いたキム・デウ監督は、「人に言えない秘密は誰にでもあるものだ」と語る。「所有したい、という欲望同士が衝突することはよくあるもの。今回は、秘密がさらなる秘密を呼び、ぶつかり合ったらどうなるかと考えた。魂や本能の暗い道筋を描いてみたかった」と製作経緯について明らかにした。
本作と以前のキム・デウ監督作品との違いについて、「以前は、コミカルさを入れたり表現したいと思っていましたが、今回はそういった部分がない、密度のある真剣で内的な作品を作ってみたかったんです」とし、各キャラクターについては「互いに持っている好意や善意だけではなく、反転を繰り返し、ある意図と欲望が互いに交差し瞬間的に決定されていくことで、人間というものは良い人も悪い人もいなくなるのです。こういったことを、作品を通して表現したかった。俳優たちは、私の意見を本当によく聞いてくれましたが、そんな彼らに投影したかったのは、善悪が不明な人物でした。またそういった人物を演じたという記憶を持っていて欲しかったんです」と、本作で表現したかった人間性についてあげながら答えた。
風変わりな密室スリラーを描くうえで神経を使った点は「まず、熟練していて経験豊富なヘッドスタッフたちと仕事をすることに重きを置きました。各々に十分な自律権を与えながら私が何か細かく指示するというよりかは、彼らがすでにディテールに富んでいましたので、彼らの助けを沢山もらわないと、と思いました。撮影、美術、音楽を担当した監督には本当に細やかさを要求しましたね。それを十分に表現してもらえるよう私の役割は、環境を保証することでした」という。
この点について主演のソン・スンホンも「『情愛中毒』の時よりもさらにディテールに焦点を当てていましたね。簡単なセリフ一つにしても、何十回も撮りました。映画を観ていただくとソンジンというキャラクターは、僕が今まで演じてきたキャラクターとは一味違うと感じられると思います。僕自身凄く期待しています。監督との間には信頼関係があるので、とても幸せな時間でした」とした。
ソン・スンホンとは2回目、チョ・ヨジョンとは3回目となるタッグだが、それについては「二人とも、永遠に色褪せない俳優です。人々に対していつも謙虚で、演技者として自分を持っていて、活力があって、二人と一緒ならどんな難しい課題も簡単に解決できる俳優です」と絶賛。
最後に観客に向けて「オーディオに本当に気を使いました。携帯よりも、劇場の巨大なサウンドで視覚的衝撃や経験をしていただきたいです。とてもいい経験になると自信を持って言えます。あなたは感情のIMAX体験をするでしょう」と語った。
併せて公開まで1週間を控え、ソン・スンホン×チョ・ヨジョン×パク・ジヒョンよりコメント動画が到着!
「『秘顔-ひがん-』の公開まであと1週間です。皆さん、たくさん期待してください!公開を心待ちにしている日本の観客の皆さま、こんにちは。あと1週間で公開されますが、ぜひ劇場にお越しになって面白い設定とストーリーを体感してください。映画館でお会いしましょう!」とした。
▶キャストコメント映像YOUTUBE:https://youtu.be/L9aW9xqNa5s
【STORY】
婚約者が消えた。残された手がかりは、「あなたと過ごせて幸せだった」というビデオメッセージだけ――。
将来有望な指揮者ソンジンは、オーケストラのチェリストでもある婚約者スヨンの失踪に動揺していた。喪失感に苦しむなか、ソンジンは公演のためにチェリスト代理のミジュと対面する。スヨンの代わりはいないと考えていたソンジンだったが、言葉にしがたいミジュの魅力にたちまち惹かれていった。大雨の夜、ソンジンとミジュは、スヨンのいない寝室で許されない過ちを犯す。しかし、欲望のままに求め合う2人を失踪したはずのスヨンがすぐ<そこ>で覗いていた―
監督:キム・デウ『情愛中毒』
出演:ソン・スンホン「エデンの東」 チョ・ヨジョン『パラサイト 半地下の家族』 パク・ジヒョン「財閥 x 刑事」
2024年/韓国/115分/1:2ユニビジョン/カラー/5.1ch/字幕翻訳: 田村 麻美/原題:히든페이스/R18
© 2024 [STUDIO&NEW, SOLAIRE PARTNERS LLC]. All Rights Reserved.
配給:シンカ/ショウゲート
公式サイト:https://synca.jp/higan/
(オフィシャル・レポートより)
激しく、美しく、破滅的 心揺さぶるラブ・サスペンス
ネイサン・スチュワート=ジャレットとジョージ・マッケイW主演で贈る、心揺さぶるラブ・サスペンス『FEMME フェム』が、3月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開となります。
ナイトクラブのステージで観客を魅了するドラァグクイーン、ジュールズ。ある夜、ステージを終えた彼は、タトゥーだらけの男プレストンと出会う。だが、その出会いは突然、憎悪に満ちた暴力へと変わり、ジュールズの心と体には深い傷が刻まれる。舞台を降り孤独な日々を送りながら、彼は痛みと向き合い続けていた。数ヶ月後、偶然立ち寄ったゲイサウナでジュールズはプレストンと再会。ドラァグ姿ではない彼を、プレストンは気づかぬまま誘う。かつて憎悪に駆られジュールズを襲った男が、実は自身のセクシュアリティを隠していたことを知ったジュールズ。彼はその矛盾を暴き、復讐を果たすため、密会の様子を記録しようと計画する。ところが、密会を重ねるたび、プレストンの暴力的な仮面の奥にある脆さと葛藤が浮かび上がる。プレストンの本質に触れるたび、ジュールズの心にもまた説明のつかない感情が芽生え始める。待ち受けるのは復讐か、それとも──。
ベルリン国際映画祭で初披露され、英国インディペンデント映画賞で11部門ノミネートされるなど、賞レースを賑わせた。主演には『キャンディマン』のネイサン・スチュワート=ジャレット、最新作『けものがいる』が日本公開を控えるジョージ・マッケイ。差別的な動機による暴力で心身に深い傷を負ったドラァグパフォーマーが、自らを襲撃した男と危うい駆け引きの渦に引き込まれていく。支配と服従が交錯する先に待つのは、復讐か、それとも赦しか──。
本作のメガホンをとったサム・H・フリーマンとン・チュンピンからコメントが到着しました。
『FEMME フェム』の発端となったのは、ネオノワール・スリラーというジャンルに根付く「ハイパー・マスキュリニティ(過剰な男らしさ)」の概念を覆したいという思いから始まった。私たちはこのジャンルを愛しているが、そこにクィアな視点が欠落していることを以前から感じていた。そこで、リベンジ・スリラーの中心にクィアの主人公を据えることで、新たな価値観を提示できると考えた。
しかし、制作が進むにつれ、本作は単なる復讐劇にとどまらず、セクシュアリティ、マスキュリニティ(男らしさ)、家父長制、アイデンティティといったテーマを深く掘り下げる物語へと発展していった。私たち自身の経験や恐怖、怒りを見つめ直すことで、よりリアルで観客に共鳴する物語が形作られたのだ。
最終的に、この映画は「ドラァグ」そのものについての物語だと確信した。ジュールズが纏うフェミニンな「ドラァグ」はもちろん、本作に登場するすべてのキャラクターが何らかの「ドラァグ」を纏い、それを通じて自らの力や社会的地位を築いていることに気づいたからだ。本作は、その仮面が剥がれたときに生じる変化を描いている。
また、映画の道徳的な枠組みに縛られることなく、善人が正しい道を歩み、悪人が報いを受ける──そんな単純な構造ではない、現実に生きるキャラクターたちの葛藤と生存の物語を描きたかった。この映画を作ることは、私たち自身にとってもエキサイティングで、カタルシスをもたらす経験となった。観客の皆さんにも、ぜひこの旅に加わってもらいたい。
観る者の心をかき乱すラブ・サスペンスの傑作『FEMME フェム』は、3/28(金)より新宿シネマカリテ、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開。
STORY: 誘惑こそ復讐
ヘイトクライムの標的にされたドラァグクイーンのジュールズは、自分を襲ったグループの一人プレストンとゲイサウナで顔を合わせる。性的指向をひた隠しにしているプレストンに復讐するチャンスを得たジュールズは、巧みに彼に接近していくが、徐々に説明のつかない感情が芽生え始める。待ち受けるのは復讐か、それとも──。
監督・脚本:サム・H・フリーマン、ン・チュンピン
製作:ヘイリー・ウィリアムズ&ディミトリス・ビルビリス
撮影:ジェームズ・ローズ 編集:セリーナ・マッカーサー
出演:ネイサン・スチュワート=ジャレット、ジョージ・マッケイ、アーロン・ヘファーナン、ジョン・マクリー、アシャ・リード
2023年/イギリス/英語/98分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
原題:FEMME/字幕翻訳:平井かおり/映倫R18+
配給:クロックワークス
© British Broadcasting Corporation and Agile Femme Limited 2022
公式サイト:https://klockworx.com/movies/femme/
(オフィシャル・レポートより)