『鍵泥棒のメソッド』大ヒット御礼レポート
(2012年9月30日(日)、TOHOシネマズ西宮OSにて)
ゲスト:堺雅人、内田けんじ監督
(2012年 日本 2時間08分)
監督・脚本:内田けんじ
出演:堺雅人、広末涼子、香川照之、荒川良々、森口瑤子
2012年9月15日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸 他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://kagidoro.com/
© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
★第15回上海国際映画祭にて最優秀脚本賞を受賞!
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9月15日より大ヒット公開中の『鍵泥棒のメソッド』。筆者も初日に難波のシネコンへ見に行ったところ、満席、満席! 舞台挨拶でもないのにこんなに活気ある満席状態は超珍事! しかも、結末分かって見てもその満足度は120%!くるくると急展開する場での俳優たちの微妙な表情の変化を見るがまた楽しい! 細部に至る無駄のない動きは監督のこだわりのたまもの。笑って、ハラハラドキドキして、胸がキュ~ンとなるラブコメに、誰しも夢中になれるはずです。
この度、ムビチケ売上日本一となったTOHOシネマズ西宮OSに、主演の堺雅人さんと内田けんじ監督が御礼のご挨拶にと、台風17号大接近の暴風雨の中、東京から馳せ参じた。ゲストは勿論、観客の皆さんも取材陣も、帰りの交通機関の状況を案じながらのイベントだったが、西宮中央商店街のゆるキャラ「ふくみみ福ちゃん」も応援に駆け付け、台風に負けないくらい笑いの旋風を巻き起こしていました。
【最初のご挨拶】
堺:いや~大変な日にお出で下さいまして誠にありがとうございます。皆さん大丈夫ですか?帰りの足は――。我々も東京から無事に来ることができましたが、これも西宮えびす様のお蔭ではないかと感謝しております。作った映画が皆さんの手に渡って、こうして上映直後の熱気ある雰囲気に浸れ、また皆さんの上気したお顔を拝見できて、役者としてご褒美を頂いたような気分です。この作品に参加できて本当に良かったなと思っております。
監督:今日はとんでもない日にどうもありがとうございます。今、劇中の櫻井とは全く逆のしっかりした挨拶をした堺さんですが、そのギャップを楽しんで頂きたいと思います。ちなみに、今日2回目だという方はいらっしゃいますか?
――― ほう、結構いらっしゃいますね~。
監督:本当にありがとうございます。
――― 櫻井という人はホントにダメダメな人ですが、この役の最初の感想は?
堺:案外“素”だったりして…いろんな人に「下手なお芝居が絶妙で…」と言われて、一番柔らかい部分が傷付いたりもするんですけど、売れない役者という致命的な弱点があり、またこの場所に居なくちゃならないという変な思い込みもありますが、純粋で、楽観的に物事を捉えられる面白い人物だと思いました。また、共通する部分もあって好きな役でした。
――― この役を堺さんにと思った理由は?
監督:確かに、最後の方で自分の演技に酔うようなシーンがあるのですが、締めるときには締める演技も必要な役ですので、そんな役は堺さんしかやれないだろうと思いました。また、前半車の中で泣くシーンがあるのですが、「櫻井ってこんなにバカなヤツだったんだ~」と初めて櫻井というキャラを掴んだ気がしました。
堺: 『アフター・スクール』の時より偏差値を30下げてくれと言われたんです。
監督:そしたら35下がってましたけど(笑)。衣装合わせの段階から香川さんが面白かったですね~。
堺: (櫻井用のダサい服を選ぼうとしても香川さんが何でも着こなしてしまうので、)役者として反則ですよね、あれは。
監督:そのバカさ加減を合わせるのに、あの写真の櫻井とぴったしでしたね。
――― 体を張るシーンが多かったようですが?
堺:冒頭の銭湯のシーンは1日かかりました。キャストは皆裸で待機。エキストラの人たちは半日湯船に浸かったりして。でも僕等は湯船にも浸かれず、泡立てるだけだけでしたが・・・
監督:香川さんが前ばりひとつで、アスリートみたいに構えて・・・
堺:スタート前のハイジャンパーのようでした。
監督::ジャンプしてバランスが崩れる感じとか凄かったですね~(笑)。
――― 後半になると、堺さんは香川さんと一騎打ちになるようでしたが、よく撃たれてましたね?
堺:あの撃たれるシーンは、ガンの調子が悪くて、本当に芝居にならない位痛い時もありました。
監督:面白かったので、6回くらいやってもらいました(笑)。
―― 殺されるシーンも香川さんにメソッド受けてましたね?
堺:あのシーンでは、「笑いを堪えるが大変だった」と香川さんに言って頂いて嬉しかったです。
監督: 「てめぇ~」と言って香川さんに掴み上がろうとするのは、唯一のアドリブでしたね。あそこは、スタッフも皆グッと笑いを堪えてました。稽古の時はなかったので、香川さんも驚いたんだと思います。
――― あの部分はアドリブだったのか~と思いながらもう一度見て頂けたら、もっとお楽しみ頂けるのではないかと思います。
(ここで西宮商店街のゆるキャラ「ふくみみ福ちゃん」の登場。ところが、大きな福耳の頭でっかちの福ちゃんは、動作が鈍く介助が必要。細い階段も恐る恐る上がって、見てる方もハラハラドキドキ。ところが、3人でポーズをとろうとすると、狭い壇上から後ろに落ちそうになり、思わず堺さんに支えられる。)
堺:福ちゃんコケて、ボクが福ちゃんになったりして!?
(喜んでいるのか、ゲストに遠慮しているのか、後ずさりする福ちゃんを堺さんが支える。)
―――堺さんに気い遣わせてどうすんねん!
(と、福ちゃん怒られる。)
――― このボードはもっとヒットしますようにと願かけてあります。
(福ちゃんだけ先に退場。でも、その危なっかしい足元に皆が福ちゃんの行方に注目。)
――― はい、主役はこちらですので、中央にご注目! それでは最後にご挨拶を。
堺:全国で一番映画を楽しみにして頂いた所ということでこうして伺いましたが、その言葉に違わず皆様の温かいお気持ちを頂きました。他のキャストやスタッフにも伝えたいと思います。実は、私は神戸市舞子の生まれでして、2歳くらいまで過ごしていました。神戸の記憶は殆どないのですが、何か機会があれば訪れたいと思っていましたので、本日こうして来られたのもご縁があったからかなと思っております。また伺いたいと思いますので、その時はよろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました。
監督:皆さん外の様子がどうなっているのかご存知ないのですよね? このような日にお出で下さいまして、本当にありがとうございます。またこのキャラクターたちに会いに来て頂けたらなと思います。細かい所、例えば、香川さんが面白い顔している端で堺さんが微妙な表情していたり、あるいはその逆だったり、編集していても飽きなかったくらいですから、是非何度でもその表情を見に来て下さいね。
堺・監督:皆さん、お気を付けて!
撮影現場でも和やかな雰囲気だったとか。しっかりとしたコンテンツを示し、練りこまれた脚本のお蔭で、演じる方も迷いなく楽しく演じられた様子。はっきりとした個性をうまくブレンドして出来上がった極上のサスペンス調ラブコメ。大ヒット御礼の舞台挨拶がここ西宮で実現して嬉しい限りだ。出演作目白押しの堺雅人さんと、オリジナル脚本をじっくり練り上げる映画監督らしい内田けんじ監督。この最高のコラボレーションを是非ご高覧あれ!(河田 真喜子)