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2024年7月アーカイブ

早くも、観客動員数35万人突破!

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■日時:7月29日(月) 14:20~14:50

■会場:なんばパークスシネマ スクリーン7(大阪市浪速区難波中 2-10-70 なんばパークス8F )

■登壇者:渋谷凪咲・早瀬憩・清水崇     アバンギャルディ(敬称略)



anoko-pos.jpg7 月 19 日の公開初日から、小学生・中学生のグループ客がこぞって来場し、新作邦画実写 NO.1 の大ヒットスタートとなった本作。全国の映画館で満席も続出し、公開からわずか 10 日で(7 月 29 日時点)、早くも観客動員数 35 万人を突破!

さらに、公開初日から全国7大都市で実施した劇場内に“あのコ”が現れる<絶叫上映>も満席が続出!大盛況のあまり、早くも追加実施を期待する声が多数寄せられ、追加実施も絶賛調整中の本作。公開から 10 日経った今でも SNS では「最後までドキドキしっぱなし」「本当に怖い」「絶叫上映、超楽しい!」などといった声が連日寄せられ、早くも“今年 1 番怖いホラー映画”としての呼びも高い。


そんな映画の大ヒットを記念し行われた関西凱旋舞台あいさつには、主演の渋谷凪咲をはじめ、早瀬憩、清水崇監督が登壇。大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX 堺、MOVIX あまがさきの 4 劇場にて舞台挨拶を行った。


anoko-7.27bu-渋谷凪咲-240-1.jpgなんばパークスシネマの上映後に行われた舞台あいさつでは、朝からプロモーションを行っていたにも関わらず、涼やかな笑顔で登場した渋谷は「今日はお集まりいただきありがとうございます。私は NMB48 時代もなんばパークスシネマさんに通っていたので、そのスクリーンに自分が出ているとはまだ夢のようで、すごく嬉しいです」と挨拶。早瀬も会場を見渡し「映画が公開されてからいろいろな感想が届いていて、たくさんの方に観ていただいているんだなと嬉しいです」と実感を込め、メガホンを執った清水監督は「僕も大阪に住んでいたことがあるので感無量です。今日はよろしくお願いします」と挨拶した。


地元・大阪での初の舞台あいさつに、渋谷は「関西凱旋ということですが、テレビの収録などで月の半分は関西にいるので、凱旋というのが恥ずかしい気もしますが、本当に嬉しいです」と気恥ずかしさもあるようだが、「実は映画が公開されてから、この劇場にも 3 回ぐらい偵察に行っているんです」と、お客さんの反応を見るために自ら劇場に足を運んだという。また、早瀬は大阪でやってみたいことがあるそうで「本場のたこ焼きを食べたいです」と食いしん坊な一面をのぞかせた。関西の大学に通っていたということで大阪に縁がある清水監督は「この映画の撮影が終わって、大阪コミコンに参加した時に大阪に前乗りしまして。久しぶりに大学に行ってみたり、住んでいたアパートを訪れたりしました。彼女と住んでいた部屋だとか、僕にとっての青春が大阪なので」と、しみじみと思い出を振り返った。


anoko-7.27bu-500-3.jpgここで、本作の“あのコ”と同じ制服&おかっぱで活動している謎の制服おかっぱ集団・アバンギャルディが、本作の大ヒットをお祝いに駆けつけ不穏な“鼻歌”で登場! “あのコ”を彷彿とさせる制服集団が次々と客席から登場し、会場のお客様も大盛り上がり。そして、キャスト・監督が見守る中、主題歌「誰」に合わせて、一糸乱れぬ圧巻のステージを披露!


彼女たちのパフォーマンスに「凄すぎます!」と終始圧倒された様子の渋谷は、「めちゃくちゃかっこいい!曲も素晴らしいのですが、ダンスが加わると、こんな風なパワーを持つんだなって」と、アバンギャルディの世界観を絶賛。アバンギャルディとは前作『ミンナのウタ』でもコラボステージを披露したことがあるが、「今日こうして新しい主題歌で、またダンスを作っていただき本当に嬉しい」と、清水監督も感動し、早瀬も「間近でこんなパフォーマンスを観ることができて、ずっと呼吸が荒いです」と、ここでしか見られない豪華コラボに興奮を隠しきれない様子だった。


anoko-7.27bu-500-2.jpg華やかなイベントも終わりが近づき、最後に渋谷は「映画は楽しんでいただけましたか?(会場拍手)嬉しいです!演技のお仕事をしたいと思って NMB48 を卒業して、監督からこのようなお声がかかって夢が叶いました。まだ夢見心地な部分もありますが、ここからまた羽ばたいて、演技も、人としても、一歩一歩成長していきたいと思います」と、力強くコメントした。続く早瀬は、「今日は皆さんのパワフルさに元気をもらいました。なにより、凪さんが地元の方に愛されているなって感じました。私のようにホラーが苦手でも楽しめる映画になっています」と、渋谷と顔を見合わせ笑顔で締め、清水監督からは「これだけたくさんの方に観ていただいているということで、第 3 弾の話もすでに出ていて・・・」と、続編の制作を匂わせるコメントも。さらに、「カセットテープでアバンギャルディのみなさんに御礼を・・・」と映画にちなみ、カセットテープレコーダーを取り出した清水監督。劇中の“あのコ”のセリフにかけて、「2024 年、7 月 29 日、アバンギャルディのみなさん」と呪いをかけた。撮影・宣伝公開まで短期決戦を共に乗り越えたキャストと監督のアットホームな雰囲気でイベントは幕を閉じた。
 


【ストーリー】

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ある夏休み。補習授業を受ける男女5人。この教室には、 “いないはずの生徒” がいる──。
とある夏休み、臨時教師として補習クラスを担当することになった君島ほのか(渋谷凪咲)の目の前で、ある女子生徒が 突如屋上から飛び降り、不可解な死を遂げてしまう。“いないはずの生徒”の謎に気がついたほのかと、補習を受ける生徒・三浦瞳(早瀬憩)、前川タケル(山時聡真)らは、“あのコ”にまつわるある衝撃の事実にたどり着く……。彼らを待ち受ける、予想もつかない恐怖とは……?
 

■出 演:渋谷凪咲 早瀬憩 山時聡真 荒木飛羽 今森茉耶 蒼井旬 穂紫朋子 今井あずさ 小原正子 伊藤麻実子 たくませいこ 山川真里果 松尾諭 マキタスポーツ / 染谷将太
■監 督:清水崇
■原案・脚本:角田ルミ 清水崇
■製 作:「あのコはだぁれ?」製作委員会
■企画配給:松竹
■制作プロダクション:ブースタープロジェクト“PEEK A BOO films”
■制作協力:松竹撮影所 松竹映像センター
■コピーライト:(C)2024「あのコはだぁれ?」製作委員会
■公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/anokodare-movie
■公式X・公式TikTok: @anokodare_movie

絶賛公開中!


(オフィシャル・レポートより)

 

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90medetai-pos-1.jpg御年100歳の作家・佐藤愛子が90歳の時に書いたエッセイ『九十歳。何がめでたい』の映画化作品に、丁度90歳を迎えた草笛光子が主演。歯に衣着せぬ物言いで世間の矛盾をぶった斬る痛快さに、夢中になって読んでは所構わず笑い出してしまったものだ。その原作通り、この映画も危険な可笑しさにあふれている。そこには偏屈老人の上辺だけの強さではない、長い人生経験に裏打ちされた人間性の深みや慈愛と温もりがあり、人間讃歌の作品として大いに楽しめる。すべての人々の人生にエールを贈る、笑いと感動いっぱいのハッピーオーラ満載の映画を、家族そろって劇場へ観に行って頂きたい。


〈草笛光子の発案〉

草笛光子は意外にも本作が初めての単独主演作となる。原作に惚れ込み、「佐藤愛子さんを演じてみたい」と自ら企画立案し、前田哲監督にオファーして映画化にこぎ着けたという。舞台に映画にドラマにモデルとマルチに活躍する草笛は、お茶目でチャーミングな性格から多くの人々に愛され、本作でも「草笛さんと共演したい!」と豪華な俳優陣が登場している。どこに誰がどんな役で登場するのか、それを発見するのも楽しみのひとつ。


〈前田哲監督について〉

前田哲監督は、大道具のバイトから美術助手を経て助監督となり、伊丹十三、滝田洋二郎、大森一樹、崔洋一、阪本順治、松岡錠司、周防正行らの作品に携わる。エンターテイメントに軸足を置きつつ独自の視点や社会派題材を入れ込む作家性と、登場人物たちを魅力的に輝かせることで観客に届く作品に仕上げる職人気質を併せ持つ監督である。

近年は、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません!』『ロストケア』『大名倒産』と次々とヒット作を打ち出している。19歳から映画の世界に身をおく現場叩き上げの前田監督といえど、草笛光子の90歳とは思えぬバイタリティーあふれる“とんでもない言動”に翻弄されながらも、現場は笑いの絶えない和やかな雰囲気だったようだ。


以下にインタビューの詳細を紹介します


〈俳優さんが演技しやすい環境作りを心掛けている〉

――面白いティーチインでしたが、現場でも関西弁ですか?

自分ではソフィスティケートしているつもりですが…(つい笑ってしまった!)
作品にもよりますが、基本的にリラックスして演じてもらう環境を作るのがスタッフの仕事だと思っています。俳優さんもスタッフもいちいち言われてやるより自分発進の方がモチベーションが違うと思うし、色んな選択肢があった方が面白いものが生まれると思うんです。それが映画を総合芸術として制作する醍醐味だと思っています。


〈草笛光子という女優について〉

――草笛光子さんは意外にも本作が初単独主演というのに驚いたのですが…?

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草笛さんは目鼻立ちがくっきりしたお顔立ちで、原節子さんに似ていると思います。実際、原さんに可愛がられていたようです。前作の『老後の資金がありません』の時にも自分でメークするシーンがあって、今回もいくつかのコスプレシーンのメークもブツブツ文句言いながら自分でやってましたよ、「原さんなら絶対こんなことしないわよ!」ってね。(笑)


――佐藤愛子先生に似せるための工夫は?

愛子先生の服や着物の写真を基にデザインしてもらいました。後半、段々と元気になっていくにつれて色を入れるようにリクエストして、人物像を構築していきました。


――佐藤愛子先生や草笛光子さんのような大御所を前にして緊張することは?

僕、緊張しないタイプなんですよ。お互い構えなくていいというか、子供と高齢者とはやりやすいですね。


〈元気の秘訣は旺盛な食欲にあり?〉

――佐藤愛子先生と草笛さんの三人でランチされたそうですが?

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お二人ともよく食べる!食べる! 草笛さんは特に肉が大好きチョコレートも大好きで現場でも差し入れのお菓子をパクパク食べてましたよ。「何いつまで食べてるんですか、もう撮影始めますよ!」と言うと、「食べてない」ってモグモグさせながら言うんですよ。「(口のまわりに)付いてるがな!」…食いしん坊ですが、それがまたチャーミングなんです。


〈宵っ張りの朝寝坊?〉

普通高齢になると、夜早く寝て朝早く起きるもんじゃないですか、それが夜も遅くまで起きてるし、朝起きるのも遅いし、だから撮影開始はいつも13時、14時なんですよ。「早く寝ればいいのに」って言っても、言う事を聞かないんですよ~。周りが大変だったと思いますが、みんな草笛さんのことを愛してますからねぇ、世界一幸せな90歳だと思いますよ。


――現場での草笛さんの体調は?

元気そのものでした。足元が危なそう時は周囲が気を付けてあげてましたが、それ以外はスタスタと歩いてましたよ。


〈三谷幸喜について〉

――役者としての瞬発力が光ったタクシー運転手役の三谷幸喜さんについては?

最後の「もう一周回りましょうか?」というセリフは三谷さんのアドリブですが、他のセリフはちゃんと台本通りに言ってもらってますよ。

――監督としての三谷さんをどう思う?

三谷さんは、宮崎駿さんや是枝裕和さんのようなブランドですね。皆が安心して観に行けるような作品を提供し続けている、スター監督ですよね。自分は職人であるという考え方で、この原作をどんな俳優さんに演じてもらって、どんな風に料理させて頂こうかなと思って制作しているので、違うスタンスで映画に関わっているような気がします。


〈俳優との縁について〉

――キャスティングについては?

作品毎に相談しながら決めています。幸いなことに最近では長澤まさみさんや広瀬すずさんに杉咲花さん、高畑充希さんなどの若手トップ女優さんらとご一緒する機会が持てました。助監督の頃から松田聖子さんや原田知世さんに薬師丸ひろ子さん等の作品に携われたことは大きかったですし、女優さんとは縁があるのかなと思っています。『ロストケア』の松山ケンイチさんとは結実してきたので、これからは男優さんともいい仕事ができればいいなと思っています。


〈映画制作する上でのポリシーは?〉

――映画制作する上で何に一番重点を置いているのですか?

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僕は役者が一番大事だと思っています。映画はただ撮ればいいというものではないので、どうしたら観客に届けられるか? それから、『こんな夜更けにバナナかよ~』や『ロストケア』の時もそうですが、実際に障がいを持っておられる方や介護ケアに携わっておられる方などにどう受け止められるか?今回も実在の人物を描いている訳ですから、ご本人やご家族の方々にどう思われるのか、とても気を遣いました。

映画化したい題材やエピソードがあっても、世に出した時に一人でも嫌な思いをするようなことがあれば制作を断念せざるを得ないこともあります。と同時に、役者さんの気持ちは大事にしたいと思っているので、嫌なことは求めないようにしています。


――今は何を発表しても賛否両論が沸き起こる時代だと思いますが?

皆が幸せに思ってもらうのが究極の目標なんですが、今作の『九十歳。~』では多幸感のある作品で、「生きてて良かったんやね」と思ってもらえるような人間讃歌の作品でもあります。いろんな映画があって当然ですが、僕はいい気分になって幸せが伝播するような映画を作っていきたいと思っています。


〈題材選びは?〉

――映画の題材はご自身の希望で取り上げられるのですか?

諸事情により希望通りにならないこともあります。自分の琴線に触れる何かを感じられるものを大事にしています。でも、思い入れがあっても思うようにヒットにつながらない時もあります。『こんな夜更けにバナナかよ』『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません!』とヒットに恵まれ、お陰様で草笛さん発案の今作でも監督をすることができました。


――次回作は佐藤愛子原作のエッセイ『九十八歳。戦いやまず、日は暮れず』の映画化でしょうか?

今作にも『九十八歳。~』のエピソードを組み込んでいますので、どうなるでしょう?草笛さんが、クランクアップで花束渡してハグした時に、僕の耳元で、「次はどうするの?」とささやかれました。もう次のこと考えてる!この人凄いなって思いましたよ(笑)。

――随分と信頼されましたね。

草笛さんは、レジェンドであり、チャーミングであり、キャストもスタッフみんな大好きです。石田ひかりさんなんか、草笛さんとの共演シーンで僕がOK出すと、「なんでOK出すのよ!もっと草笛さんと一緒に芝居したかったのに」ってクレームでしたよ。


90medetai-maedatetsu-240-5.jpg〈差別と偏見をなくしたい!〉

――作品の中に垣間見られる社会的問題について?

そうですね、いろんな所に入れているつもりはあります。今の社会はパワハラとかハラスメントを意識する必要があります。ですが、そういう言葉でくくってしまうとそれだけで終わってしまうような気がするんです。そうではなく、相手をどう気遣えるか相手をリスペクトして相手の状況を考え、ちょっと創造力を働かせれば済む話だと思います。


僕の映画は、「~だから」を払拭したい。障がい者だからとか、90歳だからとか、女だから男だからとか、子供くせにとか言うけれど、そういうものを打破してもっと自由に生きられるように一番は差別と偏見をなくしたい!それが根底にはあります。
 


『九十歳。何がめでたい』

【ストーリー】

断筆した作家・佐藤愛子は90 歳を過ぎ、先立つ友人・知人が多くなると人付き合いも減り、鬱々と過ごしていた。そこに、会社でも家庭でも崖っぷちの編集者・吉川がエッセイの依頼にやってくる。「書かない、書けない、書きたくない!」と何度も断るが、手を変え品を変えて執拗に頼み込む吉川。仕方なく引き受けたエッセイに、「いちいちうるせえ!」と世の中への怒りを⾚裸々にぶちまけて、それが中高年の共感を呼び予想外の大ベストセラーとなる。初めてベストセラー作家となった愛子の人生は 90 歳にして大きく変わっていく。


(2024年 日本 1時間39分)
■原 作:佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」(小学館刊)
■監 督:前田哲 脚本:大島里美  音楽:富貴晴美
■出演:草笛光子、唐沢寿明、藤間爽子、木村多江、真矢ミキ ほか
■製作幹事:TBS
■配 給:松 竹
■原作コピーライト:Ⓒ佐藤愛子/小学館
■映画コピーライト:©2024 映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館
公式サイト: https://movies.shochiku.co.jp/90-medetai/

ハッピーオーラ全開で全国にて絶賛公開中!


(河田 真喜子)

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■日時:2024年7月6日(土) 18:00~(上映終了後)

■会場:なんばパークスシネマ

■登壇者:前田哲監督



御年100歳の作家・佐藤愛子が90歳の時に書いたエッセイ『九十歳。何がめでたい』の映画化作品に、90歳を迎えた草笛光子が主演。歯に衣着せぬ物言いで世間をぶった斬る痛快さに胸のすく思いがするが、そこには上辺だけの強さではない、長い人生経験に裏打ちされた人間性の深みや温もりがある。すべての人々のこれからの人生にエールを贈る、笑いと感動いっぱいのハッピーオーラ満載の映画です!


90medetai-pos-1.jpg年齢を重ねるほど驚きの美貌で魅了する草笛光子は、他の女優にとっても憧れの存在だが、意外にも本作が初めての単独主演となる。舞台に映画にドラマにモデルなどマルチに活躍、そのお茶目目でチャーミングな性格から多くの人々に愛され、本作でも「草笛さんと共演したい!」と豪華な共演者が多数出演している。


メガホンをとったのは、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』『老後の資金がありません!』『ロストケア』『大名倒産』と次々とヒット作を打ち出している前田哲監督。19歳から映画の世界に身をおく現場叩き上げの前田監督といえども、草笛光子の90歳とは思えぬバイタリティーや“とんでもない言動”に翻弄されて、現場は笑いの絶えない和やかな雰囲気だったようだ。


そんな前田哲監督が、7月6日㈯大阪なんばパークスシネマにて開催されたティーチイン・イベントにゲストとして登壇。本作の制作に関わった経緯や撮影秘話、そして草笛光子の素顔をおもしろ楽しく語ってくれた。

以下はその詳細です。尚、()内は前田哲監督の心の声です。



90medetai-maedatetsu-500-1.jpg――本作の反響は?

〈草笛さん発案の企画〉

草笛さんからお話を頂いた企画です。3年前の『老後の資金がありません』以来、お正月に草笛さんのご自宅に招かれてまして、最初の年に「私、佐藤愛子さんの役をやってみようと考えているんだけど、どう思う?」って言われたんですよ。元々はオスカープロダクションのプロデューサーが3年掛けて原作者の佐藤愛子先生を口説き落として映画化の許諾を得たものを、それをプロデュース感覚のある草笛さん自身が是非映画化したいということで、僕のところにお話を頂いたんです。


〈愛子先生99歳、草笛さん89歳の時の3人でのランチ〉

愛子先生は「エッセイはドラマがないから映画にはならないわよ」といつも仰ってましたが、脚本家の大島里美さんにプロットを書いてもらって、いろんなエピソードを厳選して(犬のエピソードは僕のこだわりがありまして)、シナリオにして先生に見てもらいました。

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愛子先生99歳、草笛さん89歳の時に3人でランチしたのですが、お二人ともよく食べる、よく食べる、よく喋る、ほんとにお元気です! その時に愛子先生が付箋がいっぱい貼ってあるシナリオを出して、「このセリフつまらないわよ」(原作通りなんだけどな…)と言われ、「はい分かりました。それではこうしましょう」と提案すると、「あなた意外と頭の回転が速いわね」(“意外と”は要らんやろ!)と99歳の愛子先生に褒められまして、他にも原作にないエピソードなどしてくださり、その明晰な話しにびっくりしました。


草笛さんは草笛さんで、「私ね、この時の愛子さんの気持ちはね…」(まだまだまだ、台本も決まってないのにまだまだ早い!)とまあ面白いランチを一緒にしてからですね、動き出したのは――。


〈アッパレな似た者同士の二人〉

草笛さん自身が愛子先生を演じるのに何か魅力を感じておられたみたいです。お二人は似てるんですよ。潔さや気風の良さとか竹を割ったような性格が似ていて、真っ直ぐで、絶対ズルしないし、筋の通った生き方をしている、とても気持ちのいい人たちなんです

愛子先生は別れた夫の借金3000万円をシングルマザーになっても小説書いて返済したし、草笛さんもブロードウェイで観た『ラ・マンチャの男』を「日本でもやりたい!」と東宝に掛け合って、今の東宝ミュージカルの基礎になるような超ロングランヒット作を仕掛けたんですよ。アッパレなお二人です。


〈いつも何か新しいことを考えている草笛さん〉

草笛さんは、3年前にも「私ね、親友のフジコ・ヘミングさんとワダエミさんとでコラボしようと思ってるの。」と言い出されて、何をするかと思えば、「ワダエミの美術・衣装で、フジコ・ヘミングがピアノ弾いて、私、歌おうかしらと…」(歌うんかい!?)とね。残念ながら、お二人とも亡くなってしまいましたが…いつも何か新しいことを考えておられる方ですから、この企画も是非自分でやりたいと思われたんでしょう。


――草笛さんにとって、凛とした感じからまさに“はまり役”ですね?

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今作では作家としての風格が必要でした。前作の『老後の資金がありません』では「そのままでいいですから、何もしなくても草笛さんは十分可笑しいですから」と言ったらえらい怒ってましたけどね。今回は風格を出すためにどうするかは話し合いました。髪の色や着物や私服についても愛子先生と同じような色合いにしました。


〈最高齢のグラビアアイドル!?〉

草笛さん、90歳で写真集出してるんですよ! 最高齢のグラビアアイドルだって!?(何考えてんねん!)。本人曰く、「脱いだ方が良かったかしら?」(誰が見んねん!)…そんな調子で、茶目っ気のあるとてもチャーミングな方なんですよ。

草笛さん発の企画ですが、ふと思ったのは、三谷幸喜さんに断られたんじゃないかなと…そんで僕のところに話が来たのかも?と。 もう三谷さんのことが大好き過ぎて、タクシーのシーンなんて目がハートですよ。乙女のように楽しんでましたね

――確かに、身を乗り出して演技されてましたね。

(そんなに好きなんかい!?)ですよ!(笑)。


――三谷幸喜をはじめ、多くの豪華キャストが登場しますが?

〈90歳の奇跡の美肌〉

みんな草笛さんの作品に出たいという思いからです。今回スケジュールが合わず出られなかった俳優さんたちも多くいます。

天海祐希さんは、『老後の資金がありません』の時の現場で草笛さんに向かって、「してないわよね?してないわよね?」ってしつこく聞いてるんですよ。何をしてないのかというと、整形をしてないのかという意味だったそうで、そう疑うくらい草笛さんの肌が綺麗なんですよ。これ合成も何もしてません!本物なんですよ!とある国民的女優さんも12歳上の草笛さんを基準(目標?)にされているらしいです。


〈アクシデントも奇跡のアドリブに〉

それと、草笛さんには奇跡のようなものが降ってくるようです。『老後~』の時も偶然前歯が取れたのをそのまま使いましたけど、今回も冒頭のしょんぼりしているシーンで突然カーディガンが落ちたり、門にぶつかったりと、あれ全部偶然なんですよ演じようと思っても出せないものを、ふっと自然に出てしまうなんです。


――演出について?

僕は基本的に「ああして下さい。こうして下さい。」と言うのが演出だとは思ってないので、俳優さん自ら出たものが一番強いと思っています。さりげなく誘導することはありますが、俳優さん自身でこうしたいと言える場(環境)を作ることがスタッフの務めだと思っています。納得のいく方法で何度でも演じてもらえる雰囲気作りを心掛けています。


〈バディものの映画?〉

――佐藤家の家族がとても仲良く見えましたが?

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佐藤家は撮影所のセットなんですが、外観や書斎やリビングは勿論、インテリアに至るまで細かく造り込んでいます。佐藤家の三世代、草笛さんは娘役の真矢みきさんや孫役の藤間爽子さんといつも一緒に待機場所のテーブルにいて、ぺちゃくちゃと差し入れのお菓子を食べながらおしゃべりされてました。家族そのまんまの雰囲気でいてもらえて助かりましたね。家族って容赦ないものですから、ズバズバと厳しく言い合うことは、徹底してもらいました。

その三世代の家族とエッセイのエピソードを組み合わせるのが僕の最初の考えでしたが、そこに脚本の大島さんに入ってもらって、男性の編集者・吉川(唐沢寿明)を登場させることでバディものでありつつ、時代に取り残された二人の逆襲の物語に仕上がったのです。大島さんのお陰です。

 

――唐沢寿明さんは?

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唐沢さんのあの髪の毛はそのままの状態ですよ。衣装合わせの時、「このままでいいだろう!」と仰って。いかにも江戸っ子らしく、スパッとして明確で実に気持ちのいいプロフェッショナルな俳優さんです。一緒に仕事していて楽しかったです。


――唐沢さん演じる吉川編集者は大島さんのアイデアだったんですね?

吉川のモデルとなった編集者はおられますよ。吉川のキャラクターはフィクションですが、ご本人には映画化に多大な協力をして下さった方なので、真矢さん演じる娘の夫役として写真の中に登場して頂きました。


――佐藤家と昭和気質の吉川の家族との対比は物語に深みを出していますが?

吉川に対しては、中高年の男性が見ると身につまされるところがあるみたいです。

――確かに、30歳の私でも我が事のように共感しました。

ええ?ああはならないでしょう。昭和は入ってないのに?

――はい、若干昭和気質なところがありまして…。

(吉川とは対照的な若者役の)千之助くんではなく?

――千之助さんみたいなタイプはちょっと苦手ですね。(笑)(何の話や?)


〈過去と未来をつなぐシーン〉

――ところで、吉川の娘のダンスシーンが素晴らしかったですね?

吉川の娘役の中島瑠菜さんにはダンスを先生の指導のもとで2か月間練習してもらいました。彼女は手足が長いのでとても綺麗に踊れていましたね。それに衣装を彼女に合わせてデザインしてもらったのも良かったと思います。

 

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〈動物より難しい90歳!?〉

――犬のエピソードについて?

犬のエピソードは絶対マストのこだわりのシーンでした。あの仔犬は2匹いまして、「つみれ」と「はらみ」という名前なんです。仔犬は調教できないので段ボールに入れたまんまでしたが、でも1回出たらちゃんとやれるんですよ。「仔犬は1時間で成長しますから」(もっと早く言ってよ!(笑))。成犬の「こなつ」ちゃんはとってもいいコでね、じ~っと待ってるんですよ。


――動物を撮るのは難しい?

そうですね、でも僕は『ブタがいた教室』では豚、『ドルフィンブルー フジ~』ではイルカと、動物には縁があって…元々動物は好きなんです。「動物と子供は大変だ」という話はよく聞きますが、僕には90歳の方が大変でした!(笑)

 

観客も写真撮影OKということで、「写真撮ってSNSで拡げて下さいね。でもSNS見ない世代が対象かも?先日老人ホームで凄い評判になってますよ、という声を頂いたのですが、施設で評判になっても興行収入には繋がらないしな~(笑)」と、最後まで「ひとりツッコミ」で笑わせてくれた前田哲監督。出身地や年齢を公表していない割には、終始関西弁で喋りまくっていた。あの調子で草笛光子の茶目っ気に鋭いツッコミ入れては笑いをとっていたんだろうなぁ。羨ましくなるような和やかな撮影現場を想像しては、また『九十歳。何がめでた』を観たくなった。
 


『九十歳。何がめでたい』

【ストーリー】

断筆した作家・佐藤愛子は90 歳を過ぎ、先立つ友人・知人が多くなると人付き合いも減り、鬱々と過ごしていた。そこに、会社でも家庭でも崖っぷちの編集者・吉川がエッセイの依頼にやってくる。「書かない、書けない、書きたくない!」と何度も断るが、手を変え品を変えて執拗に頼み込む吉川。仕方なく引き受けたエッセイに、「いちいちうるせえ!」と世の中への怒りを⾚裸々にぶちまけて、それが中高年の共感を呼び予想外の大ベストセラーとなる。初めてベストセラー作家となった愛子の人生は 90 歳にして大きく変わっていく。


(2024年 日本 1時間39分)
■原 作:佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」(小学館刊)
■監 督:前田哲 脚本:大島里美  音楽:富貴晴美
■出演:草笛光子、唐沢寿明、藤間爽子、木村多江、真矢ミキ ほか
■製作幹事:TBS
■配 給:松 竹
■原作コピーライト:Ⓒ佐藤愛子/小学館
■映画コピーライト:©2024 映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館
公式サイト: https://movies.shochiku.co.jp/90-medetai/

ハッピーオーラ全開で全国にて絶賛公開中!


(河田 真喜子)

 

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