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2023年2月アーカイブ

半世紀の時を経て現代に蘇るTBSドキュメンタリー史上最大の問題作

「日の丸について気軽に話せる社会のきっかけになれば」

新星・佐井大紀 監督が作品への思いを熱く語る
 

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TBSドキュメンタリー史上最大の問題作を現代に蘇らせた『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』が、2月24日(金)より全国公開中です。

1967年、寺山修司がTBSで構成担当したドキュメンタリー番組『日の丸』。長年タブーとされていた本作を「現代に同じ質問をしたら、果たして?」 という思いから、TBSドラマ制作部所属の佐井大紀(弱冠28歳)が製作した本作。初ドキュメンタリーにして、衝撃的な内容に挑んだ監督にも大きな注目が集まっています。

本作公開を記念し、2月26日(日) に公開記念舞台挨拶を実施しました!


【日時】2月26日(火) ※上映後

【会場】シネ・リーブル梅田 シネマ4(大阪市北区大淀中1丁目1-8 梅田スカイビル) 

【登壇】(敬称略)佐井大紀監督     MC:加美幸伸(FM COCOLO DJ)


<以下、レポート全文>

寺山修司が構成を手掛け、街ゆく人に“日の丸”について矢継ぎ早に質問を繰り出すという内容からTBSドキュメンタリー史上最大の問題作と呼ばれた番組『日の丸』。1967年2月9日に放送されると、その直後から世間の物議を醸し、閣議でも問題視されるなど、長年タブーとされてきた曰くつきの番組です。『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』はTBS新人研修の際にこの作品と出会った若き佐井大紀監督が「現代に同じ質問をしたら、果たしてどうなるのか?」と、この街録の手法を今に蘇らせ制作。2月24日(金)より公開を迎えたのを記念し、シネ・リーブル梅田にて舞台挨拶を実施しました。

hinomaru-bu-500-1.jpg上映終了後、自身も寺山修司の大ファンである加美幸伸(FM COCOLO DJ)がMCで登壇。鑑賞後のお客様を前に「本作はいかがでしたか」と感想を求めると、客席からは厚い拍手で返答が。続いて、MCの呼びかけで監督が登場すると大きな拍手が沸き起こり、寺山ファン同士の佐井監督&加美による熱を帯びたトークが展開しました。


TBSの新人研修の際に寺山が手がけた『日の丸』と出会ったという監督は、「見た時に抱いた違和感・気持ち悪さ」れ、「インタビューがただ羅列されているだけの映像は、ホラーやフェイクドキュメンタリーを見た感覚に近い。当時、あの違和感が公共の電波に乗ったということはどういう意味を持っていたのか」と、疑問を抱いたことが本作製作の出発点だったと明かした。


hinomaru-sub-1.jpgそしてMCから「『日の丸』は、建国記念日にテレビ放送されました。当時の国民の気持ちはどうだったのでしょうか」と尋ねられた監督は、放送枠が当時の話題を紹介する企画だったことを前置きし、「現代で言うところの『情熱大陸』で紹介されたような感じ」と例えます。「そのいびつさ・危うさ・TV局の懐の広さ、全部含めて面白いな」と思ったと語りました。


「感情を入れず、淡々と質問を街行く人に浴びせる」という寺山・萩元ディレクターが『日の丸』で用いた撮影スタイルに則り、“街録(がいろく)”を採用した本作。バラエティ番組の撮影手法として街行く人々にインタビューすることは一般的になっているが、本作撮影時では「答えてもらえなかった」と監督は苦笑い。「いきなり身分を明かさず質問をしても不審がられて、YouTuberと勘違いされましたね。最後に「TBS」と明かすと理解してもらえたんですが、95%は去り、なかには罵声を浴びせてくる方もいました」と、撮影時の苦悩を語りました。


hinomaru-sub-5.jpg今回の劇場版公開前にTV版で放送した本作。放送前には公式Twitterを開設し、「日の丸」の写真を募集していましたがほとんど反応はありませんでした。そのことに対して監督は「当事者になることを回避する、防衛本能が発揮されたのではないか。現代人は誰かの意見に批判はできるが、自分から発信することは好まない」と推察し、 「(SNSは人と人が直接)対面するのではなく距離があるメディア。だからこそ、(批判されることを恐れて)意見を述べない人が多かったのではないか」と語りました。


「現代社会に、寺山修司は何を考えるか」とMCが問うと「多様であるように見えて、単一思想がはびこる歪な現代社会を挑発するのではないか」と寺山の考えを想像。さらに、「考えが凝り固まっている状態が現代。『個人のイマジネーションで何かを破壊する』という寺山修司の“情念の反動化への挑戦”思想とは異なり、“1億総評論家社会”とも言われている現代は周囲の同調圧力によって意見が狭まっているのではないか。SNSでも自分にとって都合の良い情報だけが流れてくるように」と分析していました。


hinomaru-sub-2.jpg「弱冠28歳で現代日本を生きる監督は、どんな気持ちで生きているか」と問われた監督は、「寺山は強い野心や確立された自分の世界を持っていて憧れる。私は普通の会社員なので、よりそのすごさを感じた」と語りました。


60~70年代初頭へのイメージについては「既存の価値観を破壊して再構築するカウンターカルチャーが中心だったと思う。再構築から何が見えてきたのかと物事を疑う価値観にも憧れがあり、本作ではそれが難しい現代社会を寺山の名を借りて描いた」と熱い胸の内を明かした。「ナンセンスなものがうねりをもってなだれ込む時代だった」とMCが当時の社会の風潮を語ると、監督は赤塚不二夫の『レッツラゴン』などを例に挙げ、「政治的なものとナンセンスなものが融合していた」という当時への憧れを語りました。


hinomaru-sub-3.jpgMCから「当時のドキュメンタリーには、その起点が映し出されている。今の時代に『日の丸』が描かれたことで、『お前ら考えろよ』と想像力をつつかれたような気持ちになった。当時は良い時代だったと思い出し、寺山の価値観からも学びを得た」と伝えられた監督は、笑顔で感謝の意を述べました。


惜しくも終了の時刻が迫り、最後に本作のコメント求められた監督。「本日は朝早くからありがとうございました。日の丸という題材は皆で語りづらいですが、酒の肴にするような形で身近な人に話してほしい。日の丸やアイデンティティについて、気軽に話せる社会のきっかけになればいいなと思います」と締めくくり、舞台挨拶は幕を閉じました。

                                      以上


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<内容>

寺山修司が構成を手がけた1967年放送のTBSドキュメンタリー「日の丸」を現代によみがえらせたドキュメンタリー映画。

街ゆく人々に「日の丸の赤は何を意味していますか?」「あなたに外国人の友達はいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」といった本質に迫る挑発的な内容のインタビューを敢行した同番組は、放送直後から抗議が殺到し閣議でも問題視されるなど大きな反響を呼んだ。

TBSのドラマ制作部所属で本作が初ドキュメンタリーとなる佐井大紀監督が、自ら街頭に立って1967年版と同様の質問を現代の人々に投げかける。ふたつの時代を対比させることで「日本」や「日本人」の姿を浮かび上がらせていく。
 


<作品情報>

・監督:佐井大紀 製作:米田浩一郎、安倍純子 
・企画・エグゼクティブプロデューサー:大久保竜
・チーフプロデューサー:松原由昌 プロデューサー:森嶋正也、樋江井彰敏、津村有紀
・総合プロデューサー:秋山浩之、小池博 TBS DOCS事務局:富岡裕一
・協力プロデューサー:石山成人、塩沢葉子
・出演:高木史子、シュミット村木眞寿美、金子怜史、安藤紘平、今野勉 
・語り:堀井美香、喜入友浩(TBSアナウンサー)
・2023年/日本/87分/5.1ch/16:9 
・製作:TBSテレビ 配給:KADOKAWA 
・©TBSテレビ
公式サイト:hinomaru-movie.com

2023年2月24日(金)~シネ・リーブル梅田  ほか全国順次公開


(オフィシャル・レポートより)

 

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フィギュアの“ペア”スケートに人生を懸けてきた女性の夢と恋を描くハートフルラブストーリー『ICE ふたりのプログラム』がいよいよ本日2月17日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開となります。この度、本作の主演を務めたとロシアの俳優アグラヤ・タラーソヴァアレクサンドル・ペトロフのインタビューが到着しました。


2018年にロシアで公開された本作は、『ブラックパンサー』『フィフティ・シェイズ・フリード』などの大作を抑えて2週連続1位を獲得し、その年の年間興行収入4位を記録。そして2020年に公開された続編『ICE2』(英題)も大ヒットを記録。本作の主演はロシアを代表する名女優クセニア・ラパポルトの娘アグラヤ・タラーソヴァ、共演は本国で最も有名な授賞式の一つゴールデンイーグル賞で2度の受賞を果たす人気俳優アレクサンドル・ペドロフ、そして続編『ICE2』(英題)での演技が認められゴールデンイーグル賞助演女優賞を受賞したマリヤ・アロノーヴァ。美しいフィギュアスケートシーンとクオリティの高い映像制作技術による、心温まるラブストーリーが満を持していよいよ日本公開となります。


今回解禁されたインタビューでは、ふたりの各役柄についての他、共演者についてや監督に関して、また撮影の様子などとても興味深い内容を語ってくれています。


【アグラヤ・タラーソヴァ(ナージャ役)インタビュー】

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■役柄について

ナージャはわたしによく似ていますし、心の広さに感銘を受けました。彼女は降参することを知りません。人生の中で、喪失、痛み、失望といった多くのことを経験してきました。だけど、また立ち上がって前へと進むのです。そして彼女の心の中には、何か巨大な愛が詰まっているのです。非難することなく、許すのです。わたしも彼女から、降参せず信じ抜く能力を見習いたいと思います。


■共演者について

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共演者は驚くべき人たちでした。誰が欠けても映画は今のようにはならなかったでしょう。アレクサンドル・ペトロフには、クレイジーなほどの活力とエネルギーがあります。彼はわたしをとてもサポートしてくれました。彼には常に提案やアドリブがあったのです。同じことを、他の全員に関しても言うことができます。こういった共演者たちといることで気力が生まれ、俳優にとって非常に重要な創造的連帯と共生が芽生えました。マリア・アロノーヴァは真にその名に値する女性で、カリスマ性とユーモアの感覚にあふれ、厳しく責任感がありプロフェッショナルです。ミロシュ・ビコヴィッチとの仕事は素晴らしいものでした。彼は、いかにも外国の俳優のように感じられ、非常に洗練されていてデリケートです。彼とリンクに立つのはいい気分でした。気さくな人で努力家であり才能にあふれています。


■監督について

オレグ・トロフィムはわたしの近しい友人となりました。映画の決定方法、映画がどのように撮られたかは、すべて彼の功績であり、彼のアイデアです。これが彼にとっての最初の映画なのだと分かる瞬間がありました。わたしにとっても今回がはじめての大きな映画でした。オレグが不安そうにしていたり平静でなかったり、また、全身全霊を捧げているのが伝わってきました。わたしたち誰もが、最後であってもそれが初めてかのように取り組めたらいいなと思います。


■車椅子について

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ヒロインの障害は、わたしにとって役になりきるためのもっとも大きな、つらいテーマの一つになりました。現実の生活でそういった問題に実際に直面している人たちがどのように感じるかを想像するのが、怖いと感じました。ともすると、彼らの気に障るかもしれませんし、どこか間違って演じてしまうかもしれないのが怖かったんです。そこで、プロデューサーが16年前にヒロインと同じようなケガを負った、タチアナという少女を探してきました。わたしは彼女のところに行き、彼女と丸一日を過ごしました。彼女はどのように生活をしているか、どのように体をほぐしているか、何を感じているかを見せてくれたのです。彼女は腰から下が麻痺しています。時おり寒さを感じたり、両足に激痛が走ったり、あるいは逆に熱くなったりするのだと話してくれました。わたしがこのイメージにすっと入っていけるよう、ナージャが車椅子を使うシーンの撮影期間、わたしは一日中車椅子から立ち上がりませんでした。ヒロインと同じように、まるでわたしが歩けないかのように過ごそうと努力しました。


■映画について

この映画はわたしの幸せ、わたしの勝利、わたしの達成です。この映画の前と後で、わたしの人生は別物になりました。このプロジェクトでわたしは別人になったのです。この映画を撮り終えたあと、長年立ちたいと思っていたわたし自身の道がスタートしたのです。この映画は支えと、友情に関する映画です。見終わって映画館から出たみなさんが、微笑みを浮かべ、近しい人たちを抱きしめてくれたらな、と心から願っています。


【アレクサンドル・ペトロフ(サーシャ役)】

■プロジェクトについて

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本作のキャスティングが始まったのは、まだ『アトラクション 制圧』の撮影中だったため、わたしはオーディションに呼ばれませんでした。たくさんの人数をオーディションしたにもかかわらず、クランクインまで残り数週間、依然として主役がいませんでした。そんなとき急にオーディションに呼ばれ、翌週にはわたしに決定されたのです。


■共演者について

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わたしたちは本物のチームを作り上げ、相互理解を得ることに成功しました。アグラヤは今回が彼女にとって、大きな映画での初めての主役だったので、この物語を最大限よいものにしようと努力していました。特別な喜びをもたらしたのは、マリア・アロノーヴァとの仕事です。いつだったか彼女はドラマを見て、わたしに電話をしてきて、たくさんの心地よい言葉をかけてくれたのです。ドラマや映画で目にした見知らぬ若手俳優に電話をかけ、その人物にとって大切な言葉をかけるということは、わたしたちの間ではあまり一般的ではありません。そのうえマリアはロシア人民芸術家であり、人気者で、本物のプロフェッショナルです。若手俳優であるわたしにとって、そんな偉大な人物がわたしに電話をかけてきてくれたというのは、この上ない幸せでした。そしてどうやら彼女は、わたしのことをだいぶ気にかけてくれていたようです。『ICE ふたりのプログラム』の現場でわたしたちが会った際、お互いをハグしました。言葉は必要ありませんでした。それは、筆舌に尽くしがたい感覚でした。


■映画について

携わった人たちが織りなすパズルが理想的にはまった結果、こんなにも価値のある映画が出来上がったのだと思います。この作品にはどこか奇跡的なところがあります。今わたしは映画は成功するだろうと強く確信しています。
 


【STORY】

ふたりでなら強くなれる―

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大怪我を負い、夢破れたフィギュアスケート選手のナージャ。絶望に塞ぎ込む彼女の前に現れたのは、明るくて無鉄砲なアイスホッケー選手サーシャ。型破りな手法で懸命にリハビリを支えるサーシャのおかげで次第にナージャは笑顔を取り戻す。そして、再びスケートができるまでに回復したナージャの新たな夢と恋の挑戦が始まるー。
 

出演:アグラヤ・タラーソヴァ アレクサンドル・ペトロフ ミロシュ・ビコヴィッチ マリヤ・アロノーヴァ
監督:オレグ・トロフィム
2018/ロシア/107分/英題:ICE
提供:リージェンツ/AMGエンタテインメント
配給・宣伝:リージェンツ

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■日程:2023年2月12日 (日)
■時間:12:45~13:10※上映前舞台挨拶
■場所:TOHOシネマズ梅田 スクリーン1
■登壇者:中島裕翔様(Hey! Say! JUMP)、熊切和嘉監督



結婚式前夜のハイスぺ男、マンホールに落ちる。

そこは、人生のどん底だった―。

目にしたもの全てを疑え。予測不能の99分!!


熊切和嘉監督が、Hey! Say! JUMPの中島裕翔さんを主演に迎え、結婚式前夜にマンホールに落ちてしまった男の脱出劇を描く完全オリジナルストーリー『#マンホール』。「GPS不能」「2分に1度訪れるピンチの連続」「手元にあるのはスマホのみ」「つながるのは元カノとSNSのフォロワーたち」「タイムリミットは夜明けまで」極限状態の連続とつぶやき厳禁の衝撃の結末が待ち受ける話題作です。


#manhole-pos.jpgそんな本作の公開を記念し、2月12日(日)、大阪のTOHOシネマズ梅田で主演の中島裕翔さん、監督の熊切和嘉さんが登壇し、舞台挨拶を行いました。マスクを付けての声援が解禁になったこともあり、ふたりが登場すると会場は大きな声援に包まれました。まずは、日本一の規模を誇る劇場で満席の中の舞台挨拶ということで、中島さんが「こんなにたくさんの方に観ていただけて嬉しい」、大阪芸術大学出身の熊切監督は「学生時代に憧れていた大きな劇場で自分の映画を公開してもらえることが嬉しい」と語り、舞台挨拶は始まりました。


公開後のSNSでの反応について中島さんが「「今まで見たことのない僕がいた」と言ってくださる方や映画の巧妙な仕掛けに気づいてくださる方もいて、いろんな反応があって嬉しい」と喜びを語り、MCが監督にも話を振ると、代わって中島が「監督、SNS弱いんです」と暴露し、「でも、そんな監督がSNSを駆使する映画を作ったんです!」とフォロー。


また、ネタバレ厳禁となっている本作について中島さんは、「言えないことがいっぱいある」と前置きし、「伏線もたくさんあって、ネタバレできない。初めて観る方は、まずは身を委ねて、一緒にマンホールの中にいる閉塞感に包まれながら、主人公と苦しみながら観てほしい」と本作の魅力を熱弁していました。


#manhole-bu-240-1.jpgそして、マンホールの中というワンシュチエーションで物語が進むことについて中島さんは「ひとり芝居でワンシチュエーション。自分ひとりで画を持たせることができるか不安を感じていた」と言うと、熊切監督は「そもそもこの企画は中島くんじゃないと成立しないので、すごく助けられた」と中島さんを称賛。


エリートサラリーマンがマンホールに落ち、どんどん本性が露わになっていくという役柄について中島さんは「普通の人の方がいいと思った」と言い、「主人公の持つ、人からよく見られたいという意識は、僕らアイドルが常日頃活動する時に必要な要素でもあるので、共通点を感じた」そうで、「普段仕事をしている時の自分のまま、マンホールに落ちて毒されて変わっていく方が面白いと思ったので、特に役作りはしていない」と普段の自分のままで作品に取り組んだと語りました。


特に大変だったシーンを聞かれると中島さんは「泡のシーン」と即答。「撮る方もやる方も大変だった」と話すと、熊切監督も「二度とやりたくない」と心境を吐露し、ふたりで苦笑いするシーンも。続けて中島さんは「泡で初めて怖いと感じると思う」と観客に語りかけていました。熊切監督も「誰もやったことがないから正解がわからない。結局、現場でやってみるしかないので、泡の中で1分ぐらい息をとめてもらったり、中島くんは苦労されたと思う」と中島さんを思いやっていました。


#manhole-bu-240-2.jpg熊切監督の印象について聞かれると中島さんは会う前は「寡黙で、一見緊張感のある方なのかと思った」そうですが、「会ってみると、監督もおっしゃってくださいましたが、初めてお会いした気がしなくて、意気投合したと勝手に思ってます」とはにかみながら語ると、監督も「僕もそう思ってます」と仲の良さが伝わってきました。中島さんは、「映画に詳しい監督にいろんな映画を薦めてもらっている」そうで、熊切監督は「徐々に僕寄りになってきています」と笑わせました。


そんな中島さんの俳優としての魅力を監督に尋ねると「まず役に取り組む姿勢が素晴らしかった」と称賛し、「バランス感覚と身体能力の高さが抜群だったので、彼の動きのキレのおかげでカットを割れている部分もある」と絶賛していました。


大阪での舞台挨拶ということで、大阪と言えば思い出すことを聞かれると中島さんは「ひやしあめって知ってますか?」と会場に語りかけ、「ひやしあめが大好きなので、毎回、楽屋の冷蔵庫に入れてもらっています」と言い、「東京で見たことないので、ご当地のものだと思う」とコメントすると、会場はざわつき、全国区だと思っていた方が多いよう。すると中島さんは「ないないない」と否定し、「だからすごく新鮮で。しょうがとはちみつの甘い感じが喉にいい気がしていて。大阪公演の時は糖分補給として飲んでいます」と語りました。


一方、熊切監督が「インディアンカレーは好きです。ちょっとフルーティーな甘さがあるんだけど、後でめちゃめちゃ辛さがくる。癖になるんです」と魅力を語ると、中島さんは「うわ~。食べたい」と心の底から食べたそうなコメント。


また、本作がシリーズ化になったら?と尋ねられると中島さんは一瞬、戸惑った後に「一瞬、嫌な顔はしましたが、続編があるなら面白そう」と意気込み、次はどんなところに落ちてみたいか聞かれると「側溝」と即答。会場から大きな笑い声が起きると「良かった。関西の人に笑ってもらえた」と喜び、「皆さん、優しい。甘えてます」と観客に感謝していました。


最後に、熊切監督が「この作品にはいろんなスペクタクルな要素がありますが、中島くんの表情が最初と最後で全然違うので、彼の表情を楽しむ映画だと思います。最後まで存分に楽しんでいただけたら嬉しいです」、中島さんが「僕自身も自分の顔に驚きました。日本にはなかなかないタイプの映画なので、マニアックな映画が好きな人にも満足してもらえるはず。ぜひ、複数回観て伏線を探してほしいですし、ぜひ共犯者になってネタバレ厳禁を続けてほしい。協力よろしくお願いします」と作品をPRし、舞台挨拶は終了しました。
 


■監督:熊切和嘉 (『私の男』『海炭市叙景』)
■原案・脚本:岡田道尚 『マスカレード・ホテル』シリーズ『ライアーゲーム』シリーズ
■出演: 中島裕翔(Hey! Say! JUMP)、奈緒、永山絢斗ほか
■制作プロダクション:ツインズジャパン 製作幹事・配給:ギャガ
■2023 年/日本/シネスコ/ 5.1ch/99 分
■©2023 Gaga Corporation/J Storm Inc.
■公式サイト:映画『#マンホール』公式サイト (gaga.ne.jp)

2023年2月10日(金)~TOHOシネマズ 梅田、TOHOシネマズ なんば、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都、OSシネマズ 神戸ハーバーランド、TOHOシネマズ 西宮OS 他全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

 

 

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・日時:2023年2月4日(土)12:45~13:20

・場所:大阪ステーションシティシネマ

    (大阪市北区梅田3丁目1−3 ノースゲートビル 11F)

ゲスト:豊川悦司(主演)、田山涼成、河毛俊作監督(敬称略)



池波正太郎生誕100年となる2023年に、ベストセラー時代小説「仕掛人・藤枝梅安」シリーズを豊川悦司主演で映画化された。映画『仕掛人・藤枝梅安』第1作が2月3日に公開され、公開記念の舞台挨拶が前日の東京に続き大阪でも行われた。主演の豊川悦司をはじめ、河毛俊作監督、そして急遽登壇が決まった田山涼成が、上映後の観客を前に作品に込めた想いや出演者の印象についてなどを語った。


baian-550-1.jpgのサムネイル画像本作は、藤枝梅安の「仕掛人」としての暗殺稼業の活躍だけでなく、貴賤の別なく誰でも診る腕のいい鍼医者としての表の顔も余すところなく描いて魅力的だ。第一作では江戸を舞台に、楊枝職人の彦次郎(片岡愛之助)を相棒とする暗殺稼業のしくみや掟が紹介され、梅安の知られざる身の上話が基に物語が展開される。第一作のゲストは天海祐希、近年見たことのない息を呑むほどの妖艶な美しさに圧倒される。他にも薄幸ながらも梅安を慕う仲居役の菅野美穂に、鍼灸院で働く気のいい婆をコミカルに演じた高畑淳子など演技派が脇を固める。細部までこだわった作り手の技の高さが窺える本格時代劇の登場である。


baian-bu-toyokawa-240-1.JPGのサムネイル画像前日の東京は寒かったという豊川は、「大阪はあったかい!人も心も。僕はホームなんで何となく気が楽ですね。この映画を気にって下さるかどうか先ほどまで緊張していたのですが、こうして皆様のお顔を拝見して、多分大丈夫だったんじゃないかなぁと思います」。会場から拍手が起きる。「大阪はお客さんの反応が早い!」と大変ご満悦の様子。


前日まで京都で撮影をしていたという田山は、「急に舞台挨拶に出て!と言われて、“出たがり田山”としては嬉しくって飛んで参りました」と上機嫌。「素敵な映画だったでしょう?(拍手)私も出演しておりますが、ひとりの観客としてワクワクしながら観ました」。河毛監督は「数ある映画が上映されている中、この映画を選んで観に来て下さいまして本当に嬉しく思います。ありがとうございます!」と満席の観客を前に手応えを感じているようだった。


料亭のおかみ役の天海祐希の亭主役を演じた田山について豊川は、「田山さんと天海さんの二人のシーンが凄く好きで、コメディっぽいかもしれませんが、愛だけでは繋がらない男と女の切なさみたいなものが見えてきて、ジーンときました」。せっかく苦労して後妻にめとった美貌の妻なのに思い通りにならない亭主の辛さに同情気味。だが、物語は思わぬ方向へと展開していく…。


baian-bu-tayama-240-2.JPGそんな妖艶な役を演じた天海に対し田山は、「実は天海さんとは、僕が初めて携帯電話を持った時に、電話番号の交換をした初めての女優さんだったんです!」。すると豊川が「多分、本人はそれを覚えてないと思いますよ」(笑)。「初めはショートメールを交わしていたのですが、その後断ち切れて、…なんと今回、来ました!嬉しかったですね~!ところが、慌てて台本読んだら、ひどい目に遭うんですよ、僕の役は――」。


田山は天海の着物の衿元に手を入れるシーンを振り返り、「触っちゃいけないと思い遠慮がちにしていたら、どんどんやっちゃって!となんとオトコマエなお言葉を!?」。豊川も、「天海さんはそういう人です(笑)。実にオトコマエな人です!」。さらに田山は、「(天海は)妖艶でとても美しい方です。夜具が敷いてあると、もうドキドキでして…皆様、こういうドキドキがなければ芝居はやってられませんよ。とても楽しい現場でございました!」(笑)。その後の天海との通信を問われ、「あれっきりです。もう二度とないと思います」とうなだれる田山(笑)。


梅安に似ている点について訊かれた豊川は、「僕は梅安ほど強くはないので、毎日彦さんちへ遊びに行ってると思います(笑)。梅安は自分が抱えている矛盾や欠点などに対して、目を背けずにきちんと向き合おうとしているところが男らしいなと思います」。自身も向き合うタイプか訊かれ、「僕は下ばっかり向いてます」(笑)。


豊川の梅安について田山は、「色んな方の梅安を見てまいりましたが、豊川さんがぴったりです!見て下さい、この体つき!簡単に殺されちゃいますよ。それにこの冷たい眼差し!ぴったりだと思いませんか?」会場から拍手(笑)


baian-bu-kawage-240-1.JPG「人は悪いことをしながら、良いこともする」という池波正太郎の哲学について河毛監督は、「なんで今、梅安なんだ?と思われるかもしれませんが、“人は悪いことをしながらも良いこともする”、人間というものはどこかに矛盾を抱えているグレーな生き物です。それは大人になればなるほど、長く生きれば生きるほど、そういう面を抱えつつ、それでも生きて行かなければならない。その中で生きる愉しみをわずかに見つけては日々過ごしていく。昨今のネット社会における善悪をはっきり切り分けようとする傾向があるが、グレーな部分を抱えながらも何とか折り合いをつけて生きていく――今の時代に問いかけてくるものがあるなと思います」。


さらに仕掛人について河毛監督は、「ダークヒーローものとして梅安を見た時に、単に悪い人をやっつける正義の人だという顔を絶対に梅安も彦次郎もしていない。どこかで、いつかは自分も同じような死に方をしていくんだろうな、という苦いものを抱えつつ、それでも自分がした行為によって、わずかながらでも誰かが救われたり、失われた魂が報われたりすればいいという凄い謙虚なダークヒーローなんですよね。そういうところに池波先生の哲学があって、そこを意識してこの映画を作りました」。


ダークヒーローについて豊川は、「人は昔も今もさほど変わっていないと思いますが、コミュニケーションについては全く違っています。人と人がちゃんと向き合って、手の届く範囲で体温がまだ感じられるような距離感で話をしたり、一緒に行動したりすることはもの凄く大事なことだなと改めて思いました。SNSなどの繋がりだけでは支障が出てきていることを考えると、“向き合う姿勢”が今必要なことだと思います」。時代劇であっても現代にも通じる大切なことが表現されているようだ。


baian-500-2.jpgお気に入りのシーンについて豊川は、「今の風景とは違う江戸時代の風景ですね。江戸の街並みや京都鴨川の風景など中々他の映画では見られない風景を、監督を始めスタッフの方々がもの凄くこだわって作っておられます」。田山は、「はっきりとした輪郭の登場人物が登場してきますが、それらを監督は俯瞰で捉えておられます。映像化した時にわかる音楽や絶妙なカット割りや色彩映像など、子供の頃に観た時代劇とは違う視点で楽しめると思います」。


こだわったシーンについて河毛監督は、「特別意識したのは“光と影”です。様々な浮世絵から想像して、多分あの時代の人々が見ていたであろう街の灯りや、座敷奥にわずかに届く太陽の光など、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』を読み直して、文学的な人の光と影を意識して作りました。それらが気持ちよく仕上がっていると思いますので、もう一度観て頂けるなら、非日常の世界で心が遊べるようなひと時を過ごせると思います。もし気に入って頂けたなら、他の方にもおススメ頂けると嬉しいです」。その他にも、俳優陣の細やかな演技にも注目して観るとより奥深さを感じられ、観る度に新しい発見ができるという。


baian-bu-toyokawa-240-2.JPGこれからご覧になるお客様へメッセージをと振られた豊川は、「僕がとやかく言うよりは、今日ご覧頂いたお客様に聞いて頂いた方がより分かりやすいかと。ご家族やお友達などにおススメ頂けたら嬉しいです。それから、タイトルロールの後もご覧になりましたか?椎名桔平が登場してまいります。4月7日に公開される第二作では、梅安と彦さんが旅をしながらいろんな事件に巻き込まれて、第一作とはまた違った面白さでお楽しみ頂けると思います。第二作も是非ご覧下さい。よろしくお願いいたします」。


河毛監督からは、「今日はご覧頂きまして本当にありがとうございました。沢山の映画が公開されている中でこの映画を選んで観に来て下さったことがとても嬉しいです。多くの方に、できれば“面白いよ”とおススメ頂けるとこんな嬉しいことはありません。どうかよろしくお願いいたします」。本格時代劇の作り手のこだわりがいっぱい詰まった河毛監督の言葉や、演技派俳優陣の熱量がひしひしと伝わる魅力ある舞台挨拶となった。


(河田 真喜子)


映画『仕掛人・藤枝梅安』

【ストーリー】〈第一作〉
江戸の郊外、品川台町に住む鍼医者の藤枝梅安(豊川悦司)にはふたつの顔があった。腕の良い鍼医者の表の顔と、“蔓(つる)”と呼ばれる裏稼業の元締から金をもらって、生かしておいては為にならない奴らを闇に葬る冷酷な“仕掛人”の裏の顔だ。

ある晩、同じ仕掛人で表向きは楊枝作りの職人・彦次郎(片岡愛之助)の家に泊まった梅安は、帰り道、浪人・石川友五郎(早乙女太一)が刺客を切り捨てる場面を目撃する。刺客が死んだことを確かめ、医者が出る幕ではないと悠然と立ち去る梅安。

その日のうちに蔓である羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)から料理屋・万七の内儀・おみの(天海祐希)の仕掛を依頼される。三年前、万七の前の女房・おしずを仕掛けたのは他ならぬ梅安だった。梅安は万七の女中・おもん(菅野美穂)と深い仲になり、店の内情を聞き出す。おしずの死後、水茶屋にいたおみのが店の主・善四郎(田山涼成)の後妻となってから、古参の奉公人たちが次々と去り、店の評判は落ちる一方だが、儲けだけはあるという。おみのが店に見栄えのいい娘を女中として雇い入れ、客をとらせていたのだ。おしず殺しの依頼人はおみのなのか殺しの起り依頼人の身元を探るのは、仕掛人の掟に反すると知りながら、梅安は三年前のいきさつを知りたいと動き始めた。ある日、梅安は料理屋を訪ね、仕掛の標的である内儀・おみのの顔を見て息を呑む。それは梅安に暗い身の上を思い出させる対面だった――。
 



■出演:豊川悦司 片岡愛之助 菅野美穂 小野了 高畑淳子 小林薫
・第一作ゲスト:早乙女太一 柳葉敏郎 天海祐希
・第二作ゲスト:一ノ瀬颯 椎名桔平 佐藤浩市
■原作:池波正太郎『仕掛人・藤枝梅安』(講談社文庫刊)
■監督:河毛俊作  脚本:大森寿美男  音楽:川井憲次
■上映時間:第一作:134分/第二作:119分
■配給:イオンエンターテイメント
■ⓒ「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

映画公式サイト:baian-movie.com

【第一作】 2023年2月3日(金)~ 【第二作】4月7日(金)~全国公開


   

 

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