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2026年1月アーカイブ


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(左から、花江夏樹、見上愛、秋本賢一郎監督)


新なタイムループ設定と主人公の力強い成長を描き、ハリウッドでも映画化された桜坂洋の小説『All You Need Is Kill』(集英社刊)を原作とした、日本アニメーション界で独自の存在感を放つSTUDIO4℃が手がけた劇場アニメ『ALL YOU NEED IS KILL』が1月9日(金)より絶賛公開中です。


ALL YOU NEED IS KILL-pos.jpg原作『All You Need Is Kill』はループを重ねるごとに経験を積み、繰り返す「死」を経てなお足掻き続ける主人公・ケイジの成長を描く物語でしたが今回のアニメーションでは「リタ」を主人公とし、新たな視点で描く物語。

未知の生物(ダロル)の侵略をきっかけに、主人公・リタ(cv.見上愛)は死ぬと記憶はそのままにその日の朝に戻ってしまうというタイムループに閉じ込められてしまう。タイムループから抜け出そうと、蓄積される経験と記憶を武器に理不尽な状況に立ち向かっていくが、なお繰り返される孤独な戦いに限界を感じていた。しかし、リタと同じタイムループに閉じ込められてしまっていたケイジ(cv.花江夏樹)と運命的な出会いを果たすことで、リタの心は大きく変化していく。人との関わり方が下手なリタとケイジ。不器用なコミュニケーションも、ループを重ねることで次第に心を許せる相手となっていく。しかし、二人に待ち構えるのは絶望的な選択肢…… 「生き残るのは一人」


主人公のリタを本作が声優デビュー作にして初主演となった見上愛が務め、花江夏樹はじめ、花澤香菜もう中学生ヒコロヒーと超豪華キャストが揃った。
 

1月11日(日)に新宿バルト9にて、見上愛と花江夏樹と秋本賢一郎監督が登壇する舞台挨拶付き上映会を開催され、豪華キャスト陣と監督が本作の魅力や見どころや制作時のエピソードなど、ここでしか聞けない貴重なトークを繰り広げました!
 


【日時】:1月11日(日) 14:40~15:10 ※上映後イベント

【場所】:新宿バルト9 (東京都新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル)

【登壇者】:見上愛、花江夏樹、秋本賢一郎監督 (敬称略)



この日のチケットは完売で、場内は満席。映画上映後の熱気あふれる会場にやってきた見上は「短い時間ですが、今日はネタバレができるということで、いろんな話しが出来たら」と呼びかけた。
 

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本作が声優初挑戦となった見上は「すべてが違いました」と収録を振り返ると、「普段は表情だったり、自分と相手の役の方々と、その場で作る間のようなものを使って表現をしていくんですけど、今回はもう絵ができあがっていたので。自分の声だけでそれを表現していくのがすごく難しかった」という。


声優の心得として「キャラクターが口を動かしてたら、台本にセリフがなくても何かしらの声が入ります」と教えてもらったと明かし、「そうなんだ、と思って。それは初めてだったので苦労しました」と笑う見上。「ただ映画とかドラマでも、普段の走っている息遣いって、後から自分の動きに合わせて、その声だけを録ることが多いんです。それでよく『走ってる風な声はうまいね』と言っていただけることがあったので、そこはちょっと自信を持っていくぞと思って、ハァハァしてました」と笑顔を見せた。


また収録を一緒に行った花江の「ここがすごいと思った点」を尋ねられた見上は「わたしが言うのは失礼だとは思いますが、全部です!」とキッパリ。「私は3日間収録があって、1日目がひとりで。2日目にご一緒して、3日目がまたひとりだったんですけど、花江さんから影響を受けすぎて。3日目にひとりになった時に、1日目に録ったひとりのシーンを全部録り直すくらい影響を与えていただいて」と振り返ると、「花江さんの声が、目をつぶって、絵を見なくても感情が体に入ってくるくらいに伝わってきて。『すごい、どこから声が出てるんだろう』と。技術的なことはもちろんですけど、すごく心を動かしながらやってらっしゃるんだろうなっていうのがすごく伝わりました」と感じたという。


ALL YOU NEED IS KILL-1.11-hanae.JPG一方の花江は、収録の最初は緊張しているように感じたという。「その日は1日中録ってたんですけど、最初と最後でお芝居に対するアプローチが変わってきたなという印象がありました」とのことで、「実は3日目は見上さんがおひとりで録られていたんですけど、僕もちょっとだけリテイクで現場に行ったんですよ。その時の表情や佇まいが、昨日と違うなと。まるでリタのように、この短期間でものすごい成長を感じられたなと思って。個人的にすごくビックリしました」と振り返った。


そして花江自身のデビュー当時を思い浮かべ、「僕のデビュー当時より全然うまい。本当に素晴らしい」と称賛するひと幕も。「僕だってデビュー当時はすごく可愛い声してたんですよ。すごいピュアだったんで」と笑いながら語ると、「あの頃のお芝居は、自分でも素敵だなと思うんですけど、それにプラスして女優さんとしてやってこられた経験が、すごく役に反映されていたんです」とコメントすると、さらに「リタって何か分からないまま巻き込まれて、同じ日を繰り返すじゃないですか。状況的にも初めてのアフレコブースで。あんなシーンとしたところで向き合わなきゃいけないのは嫌じゃないですか。ドキドキしますし。そういう心境が役にリンクしてるな、というのはすごく感じました」と付け加えた。


ALL YOU NEED IS KILL-1.11-akimoto.JPGそんな見上が3日目にリテイクしたことについて「申し訳ないなと思っていました」と振り返った秋本監督。「でも作品の中のリタとケイジにすごくリンクするところがあって。1日目から良かったんですよ。リタをつくりこんでから収録に臨んでいただいた」と述懐。リタとケイジが出会ったシーンでは化学反応を感じたそうで、「こちらのリアクションはたぶん、ブースには届いてなかったと思うんですけど、みんな一同『すごい!』という感じで目を見合わせて感動したのを覚えてます」と振り返ると、「ちょっと泣きそうになりました、すごいなと思って。ただただ見守ってました」と感慨深い様子で付け加えた。


そんな見上をリタ役に抜てきした理由を「見上さんをお見かけしたとき、声質、たたずまい、表情がものすごくリタっぽいなと。こんなかっこいい俳優さんがいるんだと衝撃を受けまして。お声がけさせていただきまいた」と明かす秋本監督。また花江をケイジ役に抜てきした理由については「花江さんは、弊社の別作品でご一緒しているけど、そのときに、花江さんが演じたキャラクターの特長や、捉え方に、自分でも感動して。ケイジがやさしさと強さを合わせ持ったキャラクターということもあり、これは花江さんしかいないと思い、お願いしました」と語った。


そしてあらためて本作を鑑賞した感想を求められた見上は「すごく独特の色使いで。私も試写をスクリーンで見させていただいたんですけど、音がすごく印象的で。これは映画館でぜひ見てほしいなと思う映画でした」とコメント。花江も「毎日を繰り返すじゃないですか。同じシーンがたびたび流れるんですけど、そこはやっぱり印象に残るような演出、カメラワークがすごく印象に残っていて。『これは映画1本で見るに値する作り方だな』というのはすごい感じました」とコメント。そんなふたりのキャスト陣の言葉に、秋本監督も「ホッとしております」と安どの表情を見せた。


ALL YOU NEED IS KILL-500-1.jpgさらに原作小説をもとに、映画の実写版、コミックス版と展開されていったが、その中で今回の劇場アニメ化するにあたっての苦労を質問された秋本監督は「原作も漫画も、実写映画の方も、それぞれ内容もデザインもオリジナルの切り口を持って確立されていた作品になっていたので、この作品を作るっていう時も、オリジナルを目指して作りたいなと思いました」と本作で目指したところを語ると、「それはキャラクターデザインにしてもそうですし、色に関してもそう。この作品はリタの心の変化を表現しているわけですが、それもオリジナルの要素として、ひとつのアニメーション作品として作りたいなと思ってこういう作品になりました」と明かした。


また本作のモチーフに合わせて、「もし同じ日が繰り返されることになったら何をしたい?」という質問も。それにはまず見上が「私は温泉が大好きなんです。毎日温泉に入れたらいいのにと心から思ってるんです。だから温泉地に住んで、毎日温泉に入りたい。タイムループして今日はA、今日はBと、いろんな温泉に毎日入れるんなら、繰り返してもいいかな」と笑顔でコメント。


ALL YOU NEED IS KILL-main.jpg花江も「僕はゲームが大好きなんですけど、積んでいるゲームがたくさんあるので、今日はA、今日はBとやっていけたら。でも考えようによっては、今回のこの作品と同じで。あそこで失敗したから、もう1回。次の日にリセットされたら進めるかも、ということがあるかもしれないですね」とコメント。さらに秋本監督も「僕も本をいっぱい買うんですけど読めない本がどんどん積まれてしまうので。それを繰り返し読みたい」と続けた。


そんなイベントもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた秋本監督は「このフィルムは完成してから皆様にお届けするまで、ちょっと時間が空いていたので、こうやって無事届けることができて本当にホッとしています。この作品には本当に色んなスタッフの思いが詰まっています。なので、この作品何度も見ていただいて、その思いを受け取っていただけると本当に嬉しいです」とメッセージ。


花江が「映像を見た時に本当に参加させていただいて良かったなと思えた、そんな作品でした。何度もいろんなシーンを味わっていただきたいなと思っておりますので、リタとケイジの成長をまた見守っていただけるように、皆さんまた劇場に足を運んでいただければ嬉しいです」と続けると、最後に見上が「私はこの作品を見て、生きる希望みたいなものを感じて。そういう作品を今やることに意味があると思いましたし、そういう作品が自分の声優初挑戦の場だったことがものすごく幸せだなと感じています。皆さんにはもう1回見ていただきたいですし、ぜひぜひお友達とか知り合いの方とか誘って見に来ていただけたら」と会場に呼びかけ、イベントを締めくくった。
 


劇場アニメ『ALL YOU NEED IS KILL』 

公式サイト:https://aynk-anime.com/

2026年1月9日(金)~新宿バルト9、T・ジョイ梅田、T・ジョイ京都 他全国絶賛公開中!


(オフィシャル・レポートより)

 


50oretachinotabi-1.10-550-1.JPG(左から、田中健、岡田奈々、中村雅俊、秋野太作)

1975年10月 から日本テレビ系列で放送された「俺たちの旅」は、中村雅俊演じるカースケ(津村浩介)、秋野太作演じるグズ六(熊沢伸六)、田中健演じるオメダ(中谷隆夫)による青春群像劇。

不朽の名作が今年で放送開始50年を迎えるにあたり、彼らの「今」を描く最新作『五十年目の俺たちの旅』が、1月9日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか絶賛公開中です!

この度、中村雅俊、秋野太作、田中健、岡田奈々が登壇する公開記念舞台挨拶を、TOHOシネマズ 日比谷にて実施いたしました!
 


【日時】:1月10日(土) 12時00分~ ※上映後イベント

【会場】:TOHOシネマズ 日比谷 (東京都千代田区有楽町1丁目1−2)

【登壇者】:中村雅俊、秋野太作、田中健、岡田奈々



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1月9日に幕を開けたばかりの映画『五十年目の俺たちの旅』の公開記念舞台あいさつが10日、TOHOシネマズ日比谷にて開催。主演兼初監督を務めた中村雅俊をはじめ、共演者の秋野太作、田中健、岡田奈々が登壇し、ついに公開となった本作の見どころなどを語った。


50oretachinotabi-1.10-nakamura.JPG1975年10月から日本テレビ系で放送されたドラマ『俺たちの旅』は、中村演じるカースケ(津村浩介)、秋野演じるグズ六(熊沢伸六)、田中演じるオメダ(中谷隆夫)による青春群像劇。放送後も『十年目の再会』『二十年目の選択』『三十年目の運命』と彼らの人生の節目ごとにスペシャルドラマが作られてきた。そして、放送開始50周年を迎えた今、20年ぶりの続編『五十年目の俺たちの旅』が初の映画版として製作され、カースケたち3人の物語が初めて銀幕に登場する。


ファンからの拍手喝采に迎えられた中村は「目の前にお客さんがいる……!」と登壇早々に感無量の様子。公開されるまでは「お客さんが集まってくれるのか、心配で眠れませんでした。今回は監督も務めたので、気が気じゃなかった」と不安を募らせていたことを明かす。満席となった劇場を見渡して「ホッとしました。本当に良かった!」と笑顔を浮かべた。


50oretachinotabi-1.10-tanaka.JPG田中は公開初日に映画館へ観に行き、さらに感動して泣いてしまったそう。「50年前にこの3人が出会ったことが奇跡。そしてまた50年後に集って同じ作品を撮れるなんて……。同じメンバーでこんなに続いている作品は他にない。ギネスレベルだよ!」と舞台上でも感激をあらわにする。しかし、数十年ぶりに3人集まって撮影をスタートさせると「役作りなんていらなかった。(50年前の)そのまま作品の世界に入っていけました」と中村。「監督として演出もしましたが“この3人じゃなきゃできなかった”と、つくづく感じました」としみじみ語った。

 

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秋野は「まだ役者ができていることがラッキー。50年経ってもこうやってステージでおしゃべりできることが奇跡だよ」とこれまで愛してくれたファンへの感謝を示した。


放送から50年経っても、劇場を満席にするほど愛され続ける本作。その理由はどこにあるのかと問われると、中村は「鎌田敏夫さんの脚本と、斎藤光正監督の演出。それ以上に、この3人の組み合わせ。それに説得力があって、現場の雰囲気や人となりが画面からあふれ出たのだと思います。その3つが絶妙に組み合わさって、それが皆さんに受け入れてもらえたのではないでしょうか」と魅力を熱弁。それに同意した観客からの大きな拍手が送られた。


マドンナ・中谷真弓役を演じた岡田から見ても、カースケ・クズ六・オメダの友情は「憧れだった」とのこと。「真の友達がいるというのは必要なことだと思います。こんな友達がいてくれたら、老後も楽しく過ごせるんじゃないかな(笑)」と語る。


50oretachinotabi-1.10-okada.JPGその岡田が「年齢不詳」だとステージ上でも盛り上がったのだが、「50年来の付き合いになるが、今だから聞きたいこと」というトークテーマでは、秋野の“変身ぶり”が話題に。中村が「見てください、このビジュアル。普段着もステキで、とてもオシャレ」と触れると、岡田は「とても若々しい。若さの秘訣は何ですか?」と質問。すると秋野は「あまり頭を使わないことかな。考えすぎると老けますからね(笑)」とおちゃらけながら答えていた。


最後に、キャストを代表して中村からメッセージ。「連続ドラマから50年が経ち、今や“青春ドラマの金字塔”と言われるようになってうれしいです。これは皆さんに愛してもらえたからこそ。当時と比べると歳をとりましたが(笑)、劇中ではしっかり青春して、『俺たちの旅』のテーマである“切なさ”を表現しています。もしよければまた観に来てもらって、友達に宣伝してもらえると、携わった連中みんなが喜ぶと思います」とアピールし、大盛況のうちに舞台あいさつの幕を下ろした。
 


【STORY】

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津村浩介“カースケ”(中村雅俊)と、大学時代の同級生の神崎隆夫“オメダ”(田中健)、カースケの小学校の先輩である熊沢伸六“グズ六”(秋野太作)の3人は70代になり、付き合いはすでに50年を過ぎている。カースケは現在、従業員10人ほどの小さな町工場を経営し、オメダは現在も鳥取県の米子市長を務め、グズ六は妻のおかげで介護施設の理事長の座に収まり、それぞれ平穏な日々を過ごしていた。

そんなある日、カースケの工場にオメダがやってくる。カースケは、米子市長を務めるオメダを誇らしい気持ちで従業員に紹介するが、オメダは思いつめた様子ですぐにその場を後にしてしまう。また別の日、カースケの工場で製作中だったポットが大量に割られる事件が起きる。その中に懐かしい砂時計を発見したカースケ。その砂時計はかつての恋人・洋子と行った思い出の地、鳥取砂丘で買ったものだった。20年前に病死した洋子を懐かしむカースケだが、グズ六から「洋子が生きてる!」と驚きの情報を耳にし…。


出演:中村雅俊 秋野太作 田中健 / 前田亜季 水谷果穂 左時枝 福士誠治 / 岡田奈々
原作・脚本 鎌田敏夫 
監督 中村雅俊 
主題歌 「俺たちの旅」歌:中村雅俊
配給 NAKACHIKA PICTURES 
©️「五十年目の俺たちの旅」製作委員会 
公式サイト:oretabi50th-movie

2026年1月9日(金)~ TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

 

10年の時を経て、この冬、いよいよ沈黙を開く―――。

海外映画祭で話題沸騰、衝撃の事件の“その後”を描いた物語
 

Black(ブラック) Box(ボックス) Diaries(ダイアリーズ)

1館からのスタート、いよいよ全国

“劇場で共有する体験”と

「傍観せず、行動を選んでくれた

“アクティブ・バイスタンダー”の存在」の重要性を語る

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■日程:2026年1月9日(金)18:00~18:30*上映後

■場所:T・ジョイ梅田(大阪市北区梅田1丁目12−6 E-MAビル 7F) シアター3

■登壇:伊藤詩織(敬称略)



~自らの尊厳を取り戻し、正義を糾すために闘った日々~


ジャーナリストの伊藤詩織氏の監督作品『Black Box Diaris』(ブラック・ボックス・ダイアリーズ)は、自身が被害者となったレイプ事件(2015.4.13)の真相と、告訴後の状況や最高裁まで闘った顛末を、非情な現実と闘い、ジャーナリストとしての立場や被害者としての葛藤に苦悩しながら耐え抜いた日々を捉えたドキュメンタリー映画である。


BBD-pos.jpg昨年の第97回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされ世界各国の映画祭で話題となり、日本の性犯罪に対する認識の甘さや刑法の不備について警鐘を鳴らす問題作でもある。伊藤詩織氏に何が起きたのか、正義の盾であるはずの司法はどう動いたのか、日本のマスコミは何を問題視して何を伝え、何を伝えなかったのか――ぜひその目で確かめてほしい。


本作は、事件から10年以上経った昨年の12月12日にようやく〈T・ジョイ PRINCE 品川〉1館だけの公開となったが、話題沸騰につき年始から全国の映画館で順次公開されることとなった。ここ大阪の〈T・ジョイ梅田〉でも1月9日から公開されており、その初日舞台挨拶に伊藤詩織氏が登壇。「どの国のどんな会場へ行っても共感してくれる人は多かった。日本公開に際して様々な問題を抱えていたが、こうして拡大上映されることになりとても感動している」と、新たな境地に立てた喜びを素直に語った。
 



加害者は当時TBS・ワシントン支局長で安倍首相の伝記作家でもあった山口敬之。(2016年6月9日には『総理』を刊行)総理大臣という太いパイプを持つ加害者は、若干25歳という駆け出しのジャーナリストが太刀打ちできる相手ではない。警察でも証拠不十分を指摘され半ば門前払い。不起訴相当で立件すらされなかった。だがしかし、伊藤氏は司法が動かなければマスコミに訴えようと記者会見を開く。衝撃的な事件内容に注目を集めるも、マスコミによる検証どころか、敢えて顔出し実名で会見した伊藤氏に対し誹謗中傷が押し寄せる。(2019年公開の劇映画『新聞記者』でも取り上げられている。)
 



 ★初の長編映画が全国へ広がる手応えを実感 

舞台挨拶に登壇した伊藤監督が観客に来場目的を問うと、殆どが社会的問題として興味を持って観に来ているという。こうした意識高い観客を前に質疑応答が始まった。


 映画製作の動機は? 

――伊藤監督自身の経験を監督の視点で撮るにあたり、どのようにして気持ちを整理したのか?

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映画にまとめるまで時間はかかりましたが、元々ドキュメンタリーを作る仕事をしていたので、膨大な映像記録は残しておりました


できれば人前で事件について話したくなかったので、警察がすんなりと捜査を進めてくれたら良かったのですが、加害者が不起訴処分となったり、逮捕を止めた当時の中村格刑事部長などに直接話を聴けなかったり、どうしても個人の力では限界があったので、他のメディアの力を借りようと記者会見を開いたのです。ところが、私の言葉の一部を捉えて編集されてしまって、「Mee Too運動」が始まる半年前でしたが、「被害を受けたのになぜ人前で語るのか」という点にフォーカスが当たってしまいましたどうしても自分の言葉で伝えたくて、そこで映像でまとめられないかと思うようになったのです。


それまでに「Black Box」という本を発行する機会はありましたが、2017年の裁判が始まる前でもあり、自分が当事者として感情をどのように入れたらいいのか迷う処が多々あって、できるだけジャーナリストとして距離を置いて書きました。ですが、当事者として何が伝えられるのか、自分でも向き合えなかった葛藤や周りへの影響や友人が感じたことなどを、観る人が一緒に体験することで想像力を広げられるような映画を作れたらと思いました。


 入れたくなかったシーンは? 

――450時間もの映像を編集しているが、監督として入れるかどうか迷ったシーンは?

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映画を撮るぞ~!といって始めたものではなく、7~8年間に撮り溜めた映像を編集したものです。2017年の記者会見後、私を看かねたプロデューサーのハナ・アクヴィリンさんが声を掛けてくれて、ロンドンで暮らせるようにしてくださいました。そこから私に寄り添うように東京でも一緒に暮らして、ハナさんに撮られているという感じはなく、監督として立ち回れることもなく、ひたすら日々一喜一憂する姿を記録していたという感じです。


さすがに450時間もの映像を編集する時にはかなりの試行錯誤がありました。最初はジャーナリストとして、監督として、当事者としての立場を分けることができなくて迷いました。


入れたくないシーンは2つあって、1つは捜査官Aからの電話のシーンもう1つは自死を試みてしまったシーンです。

特に、家族にビデオレターとして残したものと、その後病院で目覚めた時に携帯で撮ったシーンは、自分でも忘れていたのですが、編集の山崎エマさんが私の携帯の映像をチェックしていて見つけてくれたものです。特に母には見せたくなかったですね。病院で目覚めてすぐに撮った映像は記憶になく、自分でも怖いくらいです。それだけ、生きて伝えたかったのかな、と今では思えます。

それからもう1つは、捜査官Aからの電話のシーンです。電話を切って10分位は何も言えずにボーっとしてました。最初は最悪な対応の捜査官だったのですが、次第に捜査を進めてくれて、私にとってはヒーローみたいな人です。警察の中でも板挟みになって困っておられたようで、突然異動になったのも何かしらの力学が働いていたようです。そうした複雑な捜査の実状を織り込むためにも必要なシーンだったと思います。

膨大な量の映像を編集してくださった山崎エマさんにひたすら感謝しております。
 


 Active Bystander(行動する傍観者)へのエール! 

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――最後のご挨拶。

この映画ではいろんな方にお世話になりました。本の出版は私と編集者の方と並走作業なのですが、映画では沢山の方に支えて頂きました。傍観して通り過ぎることもできたでしょうが、それを敢えて証言してくださって、Active Bystander(行動する傍観者)に心から感謝しております。今日ここに足を運んでくださった皆さんもActive Bystander(行動する傍観者)だと思います。この映画を観た後に、性暴力だけでなく、日常の中にある不条理や違和感など、誰もがそれぞれの“ブラックボックス”を抱えている。この映画をきっかけに、身の回りで感じていることを一言でも声に出したり、誰かと共有したりする機会が増えてほしいと思っています。本日はどうもありがとうございました。

 



舞台挨拶の後、来場者との握手会が設けられ、映画を観た感想や感動を直接伊藤監督に伝えることができた。伊藤監督も観客のナマの声を聴くことができて嬉しそうだった。

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『Black Box Diaries』

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(2024年 イギリス・アメリカ・日本合作 上映時間:1時間44分)

監督:伊藤詩織
プロデューサー:エリック・ニアリ、ハナ・アクヴィリン、伊藤詩織
企画:河村光庸
エグゼクティブ・プロデューサー:四宮隆史、村松秀信、ロビーナ・リッチティエッロ、ジョシ ュ・ピーターズ、ニナ・L・ディアズ、ライザ・バーネット・フェターマン
共同プロデューサー:行実良、長井龍
編集:山崎エマ
撮影:ハナ・アクヴィリン、岡村裕太、伊藤詩織、大塚雄一郎
音楽:マーク・デグリ・アントニ
製作:Hanashi Films、Cineric Creative、スターサンズ
配給:スターサンズ、東映エージエンシー  協力:日活
©Star Sands , Cineric Creative , Hanashi Films
公式サイト:https://bbd-movie.jp/
公式X: https://x.com/bbd_movie

2025年12月12日(金)~T・ジョイ PRINCE 品川、
2026年1月9日(金)~T・ジョイ梅田、アップリンク京都、kino cinema神戸国際、
   1月23日(金)~kino cinema心斎橋、
   2月20日(金)~宝塚シネ・ピピア  他全国順次拡大公開!


(河田 真喜子)

 

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