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2025年12月アーカイブ


konohon-12.1-550.JPG(左から、土屋神葉、伊藤 静、東山奈央、片岡 凜、田牧そら、福岡大生(監督)、黒澤桂子(キャラクターデザイン/作画監督)


konohon-pos.jpg2021年本屋大賞ノミネートの深緑野分による人気小説を原作とする劇場アニメーション『この本を盗む者は』が、12月26日(金)より、新宿バルト9ほか全国公開が決定しました!

本作は、2人の少女が“本の世界”を駆け巡る謎解き冒険ファンタジー。『ラディアン』『神クズ☆アイドル』などを手掛けてきた実力派・福岡大生が監督を務めます。キャラクターデザイン・作画監督には、『彼方のアストラ』『クズの本懐』の黒澤桂子が参加。


この度、公開先駆け、【ジャパンプレミア】を開催いたしました!

本作の主人公である本嫌いの少女・御倉深冬役を務めるのは、今回が映画初主演&声優初挑戦となる片岡 凜。深冬を本の世界へ誘う謎の少女・真白は、同じく声優初挑戦となる田牧そらに加え 深冬の叔母・御倉ひるね役に東山奈央、風来坊を名乗る女性・与謝野蛍子役に伊藤 静、書店員の大学生・春田貴文役に土屋神葉、実力派キャストが登壇。映画が完成した喜び、本作へ込めた想いを語る!さらに、本の物語に迷い込むストーリーにちなみ【どんな世界の人物になりたいか】を、それぞれ初告白いたしました!
 


■日時:12月1日(月) 19:00~19:40 ※上映前イベント

■場所:新宿バルト9 シアター9 (新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル 13階) 

登壇者(敬称略):片岡 凜、田牧そら、東山奈央、伊藤 静、土屋神葉、福岡大生(監督)、黒澤桂子(キャラクターデザイン/作画監督)


<オフィシャルレポート>

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冒頭の挨拶で、本の街・読⻑町の巨⼤な書庫「御倉館」を管理する⼀家に⽣まれた本作の主⼈公、御倉深冬役の片岡は「足を運んでいただきありがとうございます」とニッコリ。深冬の前に突然現れた謎の犬耳少⼥、真⽩役の田牧は「お忙しい中お越しくださりありがとうございます。よろしくお願いいたします」と拍手に包まれた会場を見渡し笑顔を見せる。深冬の叔⺟、御倉ひるね役の東山は「12月26日から公開の本作をいち早く観ていただけるということで、とてもうれしいです。楽しんでいってください!」と上映前の観客に呼びかける。本好きな⾃称・⾵来坊の与謝野蛍⼦役の伊藤は「たくさんのみなさんに楽しんでいただけるのがうれしいです」と微笑み、読⻑商店街にある新刊書店「春⽥書店」で働く⼤学⽣、春⽥貴⽂役の土屋は「上映前のイベントということで、口を滑らさないように頑張ります!」と笑いを誘う。本作を⼿掛けた、福岡監督は着物にハットをあわせた衣装で、キャラクターデザイン&作画監督を務めた黒澤は、華やかな着物姿で元気に挨拶し、大きな拍手を浴びた。

 

本作が映画初主演かつ声優初挑戦となった片岡は「初めてのこと尽くしでした」とアフレコを振り返り、「収録の日々が、毎日新しいことの挑戦。新鮮さも難しさもあったけれど、ワクワクが止まらなかったです」と充実の日々だったことを明かす。「学ばせていただいた日々でした」と力を込め、普段の映像の芝居とは「180度違う!」と語り、「普段は美術さんの作ってくださったセットの中に役として入っていきます。今回は、画の中に自分の力でどう入れるのかが勝負なんだなという違いを感じました」と映像とアニメーションへの役者としての入り方の違いについて自身の言葉で解説。演じた深冬は「自分と似ていると思いました」と話した片岡は「深冬は、本の世界を冒険していきます。私も役者として、日々冒険のような毎日なので、演じながら共感できたし、分かるなぁと思いながら演じていました」と役への共感ポイントを指摘した。


konohon-12.1-tamaki.JPG同じく本作で声優に初挑戦した田牧は、「声優のお仕事に以前から興味がありました」と告白。「アフレコってこんな感じなんだ!とワクワクしていました」と笑顔の田牧は、「楽しい反面、決められた時間の中での台本と映像を観ながらのお芝居はすごく難しくて。改めてプロの声優さんはすごいなぁと思いました」と力を込め、この日一緒に登壇した声優陣の顔を覗き込む場面もあった。


アフレコを一緒に行ったという片岡と田牧の思い出は「壁ドン!」と声を揃える。片岡が「真白ちゃんがかっこいい声を出すシーンがあって。福岡監督からの提案で実際に壁ドンして声を出してみたら?とのことで、本当にしていただいて…」と少し照れながら振り返ると、田牧は「すごくかっこいい感じが掴めた気がしました!」と自信を覗かせながら、福岡監督にお礼。福岡監督は「思いのほかかっこいい真白が出来上がちゃって…(笑)」と満足度の高いシーンが誕生したことへのよろこびと、充実感を滲ませていた。福岡監督は「片岡さんは深冬と似ていると言っていたけれど、深冬ちゃんって根は素直ないい子。きつくあたる芝居やセリフの時にも人の良さが滲み出ている感じがあって、助かりました」と片岡のほうを見てペコリ。田牧については「真白ちゃんはふわっとした感じの子だけど、かっこいい感じもある。(田牧)そらさんのふわっとした感じも出た気がしていて。あと!セクシーなボイスにも挑戦してもらいました」と語る福岡監督に田牧は「いろいろとやらせていただきました。難しかったけれど楽しかったです!」と手応え十分といった様子で反応。立ち位置が隣だった田牧と福岡監督は、顔を見合わせ、ペコペコとお辞儀をし、労い合っていた。

 

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予告などではまだ眠っているところしか披露されていないひるね役を演じた東山。「とても不思議な存在だと思うのですが…」とのMCの問いかけに「ひるね叔母ちゃんは、まだまだ言えないことがたくさんあって(笑)」と答えた東山は、「スタッフさんに(ネタバレに)気をつけろよ、気をつけろよ、と念を押されています」とニヤリ。続けて「面倒をみてもらわないと、一人では何も出来ない。昼寝ばかりしている」という不思議な雰囲気を漂わせているひるね役を演じる上では、「ダメなところもあるけれど愛されるところもあるんだなと思っていただけるように演じたつもりです!」と解説し、MCから「ネタバレに気遣いながらのアピールありがとうございます」と感謝された東山に、会場からは大きな拍手が。予告映像では寝ているところしか映っていないひるねについて、「寝言と寝息に全力をかけて届けています!」と見どころをアピールした東山は、「それだけではないので!」と補足し、会場の笑いを誘っていた。
 


konohon-12.1-itou.JPG劇中で様々な登場人物を演じている伊藤は「たまたま似た顔と似た声帯の人を持っている人を演じるつもりでやっていました」と意識したことを明かした上で、「もともとの蛍⼦さんでなくていいかなという気持ちで。違う作品のただ似ている人という役どころと意識していました」と丁寧に説明。「言いたいことがあった!」と切り出した土屋はその場でスタッフにネタバレかどうか確認する場面も。確認前には東山から「オフマイクで話してね!」とマイクを通さないようにさりげないフォロー&気遣いが入り、会場が笑い声と拍手でいっぱいになる一幕もあった。


 

 

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話したかった内容はネタバレではないということで、コメントOKの許可が降りると土屋は「本編中で、ニワトリをやっています」と明かし、収録当日の朝3時までニワトリの動画を漁ったという。「コレだ!」と思うニワトリの動画を見つけて、アフレコの参考にしたという土屋は、イベント中にニワトリの声を再現。「ちょっとやっただけでも上手!」と伊藤と東山から褒められると、土屋は仕事で訪れたシンガポールでの出来事を明かす。「イベントまでの間に時間があったので植物園に行ったらニワトリがいて…」と振り返った土屋は「植木の間からニワトリが見えて!(ニワトリの声を)やってみたら、逃げられました!」と本物のニワトリも逃げてしまうほどの再現だったとうれしそうに話していた。

 

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制作でのこだわりについて黒澤は、「4割くらいレイアウトを描いています」とした上で、「たくさんやったけれど、意識したのは日常のパート。ヘンテコの(物語の)世界に入る前にヘンテコにならないように、普通のことを普通にすることを意識していました」と語る。続けてこだわりについては「作画監督という役名だけど、(たくさんの作画監督を統べる総作画監督もおらず)一人で作画監督をやっています。一人でたくさんのことをやっていること自体がこだわりです!」と語った黒澤がさらに「キャラクターデザインだけではなく、メカ、プロップ(小物)もやっているので…。大変だったけれど、楽しかったです」と担当した役割を告白すると、会場から大きな拍手が送られる場面もあった。

 

 

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演出面で⼀番気をつけたことについて福岡監督は、「設定は紙の束にしたら広辞苑くらいになりました(笑)」とニヤニヤ。「すごい作品の再現をするために設定や細かいものを作りました」と補足した福岡監督は、それもこれもすべてキャラクターをちゃんと描くために必要なものだったと説明。目指していたことを問われた福岡監督は「深冬ちゃんと真白ちゃんを好きになってもらえたら、という思いでした」と作品に込めた思いを笑顔で答えていた。

 

“本の呪い・ブック・カース”が発動すると街の⼈は物語の登場⼈物に変わってしまう物語が描かれる本作。「もし、何にでも変われるとしたらどのような⼈物になりたいか」との質問に片岡は「私は、お父さんがすごく大好き。ちょっと異質な変な人だけど(笑)、お父さんになってみたいです!」とニッコリ。「どんなお父さんなのか」と尋ねられた片岡は「この映画風に言うなら、一年中ブック・カースにかかっていそうな人。楽しそうな人生を送っているので、なってみたいです」と映画の注目ポイントに触れつつ、自身の父になってみたい理由を添えていた。「胃が大きい人…?」との田牧の回答に、登壇者と会場がクスクスしていると、「いっぱい食べられる人という意味かな?」と福岡監督がやさしくフォロー。胃のあたりを抑えながら「もっと食べたいと思って悔しく感じることもあるので、たくさん食べられるようになりたいです!と満足いくまでたくさん食べられる胃袋がほしいと語った田牧のトークに「片岡さんも田牧さんもピュアさしか感じないお二人!」とMCからコメントが飛び出すなど、会場には終始ほっこりとしたムードが漂っていた。

 

イベントでは本作で声優に初挑戦した片岡、田牧から声優陣への質問コーナーも。「収録時にお腹が鳴ってしまった」という片岡は「どうすればいいのか…。収録時の勝負飯はありますか?」と質問。東山は「みんな結構、何か軽食を持っていたり、ちょっと(お腹に)入れていたりとか…」と答え、伊藤は「人によるけれど、私の場合は一口ようかん。(腹)持ちもいいし、甘いし、ちょっと幸せになれるし(笑)」とおすすめ。「最近プロテインを飲んでいます」という東山が「シェイカーに粉だけ入れて、スタジオの水でシャカシャカ。腹持ちもいいし、タンパク質が摂れて体にもいい!」と語ると、片岡は「収録の時に訊けたらよかった…」と苦笑い。同じ質問をしたかったという田牧は「すごく気になっていたので、(おすすめを)聞けてうれしいです」と大満足。土屋は「僕は(収録時は)食べない派」と答え、その理由は「眠くなっちゃうから」とのこと。しかし、アフレコ前にはガッツリ食べるという土屋が勝負飯は「朝食に馬刺し。叫びのある仕事でも喉も枯れにくい。他の肉だと胃もたれする。スッキリしているし、持続力もいいので」と熱弁すると、田牧は興味津々といった様子の表情を浮かべながら「(次回は)食べます!」と即答し、会場の笑いを誘っていた。

 

最後の挨拶で片岡は「いろいろな愛の形が刻まれている作品です。今日、いち早く物語がお届けできることをうれしく思っています」とジャパンプレミアに参加した観客に呼びかけ、「何かを大事に思う気持ちを持って観てくださるみなさんそれぞれの視点から、どういうメッセージを受け取ってくれるのか。とても楽しみです」と笑顔。「先日完成したものを観たのですが、とにかく映像が綺麗です」とおすすめした田牧は「音楽もすごく素敵。たくさんの方の想いが詰まった作品になっています。ぜひ、観てください!」とアピール。「深緑先生の頭の中にあった作品の世界観が、美しいアニメーションと素晴らしい音楽で彩られているので、ぜひ劇場で受け取ってほしいです」と話した東山は「音楽は、いろいろな場所で収録しているんですよね?」と福岡監督に質問。「本の世界に合わせて、世界で音楽を収録しています」との福岡監督の回答を受け、「各地域で録っている作品の空気も受け取ってください!」と呼びかけた。アフレコの時点で映像の美しさに惹かれたという伊藤は「すごく完成が楽しみという気持ちで収録していました。大きなスクリーンで観てもらえるのが、うれしいです」と思いに触る。オーディションを振り帰った土屋は「原作を読んで、なんて夢のような作品なんだと思いました」とし、「ちょっと昼寝して、その時に見る夢を集めたらこんな作品になりました、みたいな感じ。総合芸術で素晴らしいアニメーションになっています。期待してください!」と呼びかける。「手短に一つだけ」と前置きした黒澤は「一秒でも一コマでも、もう一回観たいなと思ったら、公開されてからもう一度観に来てください!」とリピート鑑賞をリクエスト。「トリってドキドキしますね」と緊張気味の福岡監督は「みんなの頑張りもあって出来上がりました。今は、正直、燃え尽きた状態です」と語り、笑いを誘いつつ「感謝でいっぱいの気持ちでこの場に、立たせてもらっています」とコメントに感謝を込める。続けて「数年後とかにもう一度観たいな、と思ってもらえる作品を目指しました」と話した福岡監督は「この物語にまた戻って来たいと思ってもらえたら光栄です!」と願いを口にし、ジャパンプレミアの舞台挨拶をしめくくった。

 


【STORY】

「本なんて、読まなければよかった⋯⋯!」

書物の街・読⾧町に住む高校生の御倉深冬。曾祖父が創立した巨大な書庫「御倉館」を代々管理する一家の娘だが、当の本人は本が好きではなかった。ある日、御倉館の本が盗まれたことで、読⾧町は突然物語の世界に飲み込まれてしまう。それは本にかけられた呪いc“ブックカース”だった。呪いを解く鍵は、物語の中にc町を救うため、深冬は不思議な少女・真白とともに本泥棒を捕まえる旅に出る。泥棒の正体は一体誰なのか?そして、深冬も知らない“呪い”と“御倉家”の秘密とは⋯⋯?

2人の少女が“本の世界”を旅する、謎解き冒険ファンタジーが開幕!すべての呪いが解けるとき、あなたは奪われた真実と出会う――。

 

原作:深緑野分『この本を盗む者は』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督:福岡大生
脚本:中西やすひろ
キャラクターデザイン・作画監督:黒澤桂子
音楽:大島ミチル
アニメーションプロデューサー:比嘉勇二
アニメーション制作:かごかん(株式会社かごめかんぱにー)
配給:角川ANIMATION
製作:「この本を盗む者は」製作委員会
コピーライト表記:©2025 深緑野分/KADOKAWA/「この本を盗む者は」製作委員会 

公式HP:http://kononusu.com/
公式X:@kononusu_anime

2025年12月26(金)~新宿バルト9 ほか全国公開!


(オフィシャル・レポートより)

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写真左から秋山純監督、伊原六花、松谷鷹也、鈴木京香、前田拳太郎
 
 阪神タイガースの若きホープとして将来を嘱望されながら、21歳で脳腫瘍を発症し、闘病生活を経て2023年に28歳の若さで死去した元阪神タイガース選手、横田慎太郎さんの半生を描いた映画『栄光のバックホーム』が11月28日(金)より全国で絶賛上映中だ。
 
横田さんが在籍していた阪神タイガースの地元、大阪のTOHOシネマズ梅田スクリーン1で上映後に開催された公開記念舞台挨拶では、秋山純監督と横田慎太郎役の松谷鷹也、慎太郎の母、横田まなみ役の鈴木京香、親友の先輩選手、阪神タイガース北條史也役の前田拳太郎、幼馴染の恋人、小笠原千沙役の伊原六花が登壇した。秋山監督は映画の中で使われた横田選手のユニフォームを手に、松谷鷹也は横田慎太郎さんから譲り受けたグローブを抱えて登壇。最後の挨拶では松谷がゆっくりと間合いを取り、一筋の涙を流しながら満席の観客に万感の想いを伝えた舞台挨拶となった。その模様をご紹介したい。
 

 
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■横田慎太郎さんが生きた証をなんとか伝えたいと思った(秋山監督)

―――阪神タイガースのお膝元での舞台挨拶の感想や公開後に届いている反響は?
松谷:初日を迎えた昨日はたくさんの方から連絡をいただき、「1日1日大切に生きようと思った」「慎太郎さんの生きた証を残してくれてありがとう」とコメントを寄せてくださり、泣いていました。今日、大阪でみなさんに観ていただき、嬉しい気持ちでいっぱいです。
 
鈴木:今朝、秋山監督が慎太郎さんをホスピスで見守り続けた看護師さんからいただいたメールの文面をプリントして見せてくれたのですが、「映画の途中から、慎太郎さんの周りで一生懸命彼を支えている家族と同じ気配がしました」という文面がありました。それがとても嬉しかったですし、慎太郎さんの周りで本当にたくさんの方が見守り、病気と闘っている間もたくさんの方に愛されていた慎太郎さんのことを、しっかりと自分の気持ちで実感することができたこともとても嬉しかったです。今日お越しの皆さんの中にはユニフォーム姿の方もいらっしゃるし、鼻をすすっている方もいらっしゃり、皆さん本当に慎太郎さんのことが好きなのだと思います。わたしも慎太郎さんの大ファンになりました。
 
前田:この作品に携わってはじめて横田選手のことを知り、僕が仕事をしていて辛い時、苦しい時でも目標をもち、背中を押してもらえました。今までこんな素敵な選手がいたことを知らなかった自分がすごく悔しいですし、僕が背中を押してもらえたように、横田選手を知らない人に届けていきたいです。たくさんの人の背中を押すことができる作品だと思いますので、みなさんも一緒にたくさんの人に横田選手のことを届けていきましょう。
 
伊原:昨日から公開が始まり、横田さんやご家族の生き様がすでに届いていると感じるメッセージをたくさんいただきました。数日前、大阪で別件のイベントを行ったときに、来てくださった方のほとんどが「映画を観に行きます」とおっしゃっておられ、こんなに愛されている方、愛されている球団の作品に参加させていただけることに対し、改めて胸がジンとしました。
 
秋山監督:今日は本当にありがとうございます。4年半前から企画が進んでおり、横田慎太郎さんが生きた証をなんとか伝えたいと思って作っていましたが、気が付けば僕らスタッフ、キャストみんなが横田慎太郎さんに呼ばれて、また1日1日大切に生きるということを教えてもらい、宝物をもらいながら日々を過ごさせていただきました。こんなに幸せなことはありません。地元大阪の前で、横田さんを演じる松谷鷹也さんは新人なのですが、野球に本気で向き合い、一切真似はしていない。一生懸命野球に向き合うことが、横田さんにできるたった一つのことだと思いましたし、そこに(鈴木)京香さんや、マエケン(前田拳太郎)、(伊原)六花さんとこんなに素敵なみなさんがきっと横田さんに呼ばれて集まり、こうしてこの日を迎えられたことが嬉しいです。今日は本当に横田さんに「ありがとう」と言いたいです。
 
 
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■聖地に足を踏み入れさせていただき、この映画で野球ファンになった(鈴木)

―――聖地、甲子園球場でのロケについて
秋山監督:甲子園の近くに住んでいましたので、子どもの頃から野球を見に来ていましたし、熱闘甲子園で取材もさせていただき、タイガースの野球も観戦していました。聖地に足を踏み入れることはすごいことなのですが、ロケの日は台風が東と西の両方から来ており、大雨の予報だったんです。でもシーズン中で(撮影日は)その日しかなかった。そこで奇跡が起きて…。
 
松谷:雨予報で最初は曇っていたのですが、慎太郎さんのグローブを持って、ベンチから階段を上がっていったら、さーっと雲が広がって太陽が顔を出し、青空が広がったんです!
 
前田:ポスターの写真は甲子園で撮ったリアルな青空なんですよ。グラウンドに入った瞬間、青空になったので、横田選手の想いが伝わったのかなと思いますね。
 
鈴木:わたしは息子の慎太郎にボールを渡しに行きましたし、そこで川藤幸三さんや平田勝男二軍監督にもお会いしました。聖地に足を踏み入れさせていただき、この映画を通して野球ファンになりました。
 
伊原:父親が阪神ファンで、わたしが子どもの頃、ちょうど星野監督時代のファン感謝デーで甲子園に行き、風船を飛ばした光景が心に残っています。この役が決まり、父親が一番喜んでいました。
 
 
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■慎太郎さんが命をかけて最後の最後まで伝えたかった「1日1日大切に生きること」を持ち続けることが一番の恩返し(松谷)

―――最後のご挨拶
秋山監督:この映画を作っているときに横田慎太郎さんが劇場で見ると言ってくれた。その約束は叶わなかったけれど、こんなたくさんの人に届いていることをきっと見てくれていると思います。最後に幻冬舎社長が作ってくれたコピー「すべての横田慎太郎に捧ぐ」のように、辛いことがあるとき、この映画が前を向くきっかけになれたらと思いますし、観ている人全てが横田慎太郎だと思います。ありがとうございました。
 
松谷:僕も初日初回でこの映画を観ましたが、観た方は慎太郎さんに会いたくなると思います。慎太郎さんはこの世を旅立ってしまったけれど、命をかけて最後の最後まで伝えたかった「1日1日大切に生きること。目標を持つこと」をまだ生きている僕たちがしっかりと受け取り、そういう気持ちを持ち続けることが一番の恩返しです。そして(慎太郎さんのことを)忘れないことだと思っています。みなさんもこの映画を通して、何か感じ取ってもらえたことがあれば、明日から実践してもらえたら嬉しいです。
 
鈴木:わたしも本当に慎太郎さんに会ってみたくなりました。この映画を通して慎太郎さんのことを初めて知った方もいらっしゃると思いますし、一人でも多くの方に慎太郎さんのことを知っていただきたいです。みんなで慎太郎さんのことを応援します。
(江口由美)
 

 
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<ストーリー>
2013年のドラフト会議で阪神タイガースに2位指名された横田慎太郎、18歳。甲子園出場は逃したが、その野球センスがスカウトの目に留まり、大抜擢された期待の新人だ。持ち前の負けん気と誰からも愛される人間性で、厳しいプロの世界でも立派に成長を遂げていく慎太郎。2016年の開幕戦では一軍のスタメン選手に選ばれ、見事に初ヒットを放つ。順風満帆な野球人生が待っていると思われたその矢先、慎太郎の体に異変が起こる。ボールが二重に見えるのだ。医師による診断結果は、21歳の若者には残酷すぎるものだった。脳腫瘍―。その日から、慎太郎の過酷な病との闘いの日々が始まる。ただ、彼は孤独ではなかった。母のまなみさんをはじめとする家族、恩師やチームメイトたち、慎太郎を愛してやまない人々の懸命な支えが彼の心を奮い立たせる。そして、2019年9月26日、引退試合で慎太郎が見せた“奇跡のバックホーム”は人々を驚かせ、感動を呼んだ。しかし、本当の奇跡のドラマは、その後にも続いていたのだった…。
 
<作品情報>
『栄光のバックホーム』幻冬舎フィルム 第一回作品
企画・監督・プロデュース:秋山 純
原作:「奇跡のバックホーム」横田慎太郎(幻冬舎文庫)
「栄光のバックホーム」中井由梨子(幻冬舎文庫)
脚本:中井由梨子
出演:松谷鷹也 鈴木京香 前田拳太郎 伊原六花・山崎紘菜 草川拓弥
萩原聖人 上地雄輔 古田新太 加藤雅也 小澤征悦
嘉島 陸 小貫莉奈 長内映里香 長江健次 ふとがね金太
平泉 成 田中 健 佐藤浩市 大森南朋 柄本 明 / 高橋克典
主題歌:「栄光の架橋」ゆず(SENHA)
©2025「栄光のバックホーム」製作委員会
 

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