現 役 AI エンジニアである下向拓生監督の最新作
AI裁判を題材にした前作『センターライン』 (2019)にて、国内映画祭 9 冠及びサンフランシスコインディペンデント映画祭・審査員賞、ロンドン国際フィルムメイカー映画祭・最優秀編集賞、および、芸術文化選奨新人賞を受賞し、自身も現役AIエンジニアである下向拓生監督の最新作 『INTER::FACE 知能機械犯罪公訴部』が1月10日(金)に初日を迎え、翌1月11日に公開記念舞台挨拶を池袋HUMAXシネマズシネマにて実施いたしました。
■実施日時:1月10日(土)15:30の回上映終了後(16:55~17:15)
■実施場所:池袋HUMAXシネマズシネマ シネマ2
■登壇者:下向拓生監督、吉見茉莉奈、大山真絵子、合田純奈、澤谷一輝、平井夏貴(MC)
《以下レポート全文》
AIの“殺意”を立証する裁判の行方を3部作で描く近未来サスペンス映画『INTER::FACE 知能機械犯罪公訴部』の第1話「ペルソナ」の公開を記念して、1月11日(土)に東京・池袋の池袋HUMAXシネマズにて舞台挨拶が開催。下向拓生監督、主演の吉見茉莉奈、大山真絵子、合田純奈、澤谷一輝が登壇した。
本作は2017年に公開された『センターライン』の続編となるが、下向監督は「(『センターライン』の)最後に“To Be Continued”と入れたんですけど、その時は全然、続編を作ると決めてなかったんです。『続きが見たければ応援してね』という思いを込めて入れさせてもらったんですが、そうしたら『(続編は)いつ上映するんですか?』と言ってもらうことが多くて『これは作らねばあかんな!』と思い、6年をかけてお届けすることができました」と続編公開にいたるまでの経緯を明かす。
主人公の米子検事を演じた吉見さんは「実は、『センターライン』を撮影した時、私は映画の経験がほとんどなかったんですが、撮影して公開されて、いろんな方に嬉しい言葉を掛けていただいて、『続編を作りたい』という話は下向監督とずっとしていました。念願かなって続編を撮影することになって、(『センターライン』撮影)当時は未熟な部分が多かったという反省点もあったので、“リベンジ”という裏テーマを掲げて、『いま演じるなら、米子検事も自分も成長しているはずなのでこう演じたい』と胸に秘めて演じました!」と今回の続編三部作への強い思いを口にする。
知犯部のドジな庶務・阿倍野を演じた大山さんは、「下向さんやよしみん(=吉見さん)とは、映画祭で『センターライン』が上映されてる時に出会って『またやるんですか? 出してください!』という話をしてたんです。同い年だし、仲良くなっておこうと(笑)。そうしたら『次作をやります』というご連絡をいただけて『やったー!』と思ったんですけど、こんなかわいらしい阿倍野という役をやらせていただけるとは思っていなかったです」と本作への出演の喜びを語る。セリフには専門用語も多く、苦労があったようで阿倍野さんは「難しい言葉ばかりで『?』となってました」と苦笑い。下向監督から「知能機械犯罪公訴部って言えなかったですもんね(笑)?」といじられると「メチャクチャNG出してました。すみません(苦笑)」と明かし笑いを誘っていた。
澤谷さんは、アプリ開発者の役に加えて、米子が着用するしゃべる検察官バッジの“テンちゃん”の声も担当しているが、実は普段は名古屋を拠点に声楽家として活動し、オペラやミュージカルに出演しており、本作が映画初出演。「最初はアプリ開発者の役だけって話で、(撮影が終了して)『終わった!よかった!』と思っていたら、再度連絡があって『テンちゃんの声を入れてほしい』と(笑)。大丈夫かな? 思いつつやらせていただきました」と振り返る。下向監督は、これまで面識のなかった澤谷さんの起用について「声が特徴的で素敵だなと思って、声だけでも出てもらいたいなと思いました」と明かした。
ちなみに、テンちゃんの声は撮影終了後に収録されているので、撮影時には現場はテンちゃんの声はない状態だったが、吉見さんは「(澤谷さんが担当すると)知らなくて、映画を観て澤谷さんの声で『えー!?』ってなりました。現場ではテンちゃんの声が男か女かもわからなかったので…」と述懐。大山さんも「(誰がやるのか)決まってないのにテンちゃんのシーンが多かったので、スタッフも含めて一丸になって、みんなで代役をやっていました」と現場の様子を説明してくれた。
合田さんは、自死した山田佳奈江という女性の人格と外見をコピーしたAIである“AIカナエ”を演じたが「前作の『センターライン』と私のデビュー作の『カメラを止めるな!』の公開時期が近くて名前は知っていたんですが、拝見しておらず、今回お話をいただいて拝見して『この世界に入るんだ!?』とワクワクしました。『どんな役ですか?』と聞いたら『AIです』と言われまして…。私のイメージだとすらっとした人間離れした人というイメージだったので『私で大丈夫ですか?』と思ったんですが、脚本を読んで『こういうことか! どうすればいいんだ…?』と。生身の人間でやるということで、ロボットの動きを研究しながらやらせてもらいました」と振り返る。
完成した映画のAIカナエを見た人の中には、CGなのではないか? と思う人も多いそうだが、合田さんは「そう思ってもらえたら嬉しいです! 撮影監督のおうちにグリーンバックを張って、(体の向きをスムーズに動かすために)ダイエット器具に乗って……めちゃくちゃアナログな撮影でした(笑)」と意外な撮影の様子を明かしてくれた。
撮影はかなりタイトなスケジュールだったようで、吉見さんは「三部作で1話、2話、3話と(順撮りで)撮影しましたと言いたいところですが……低予算の作品で、しかも監督は長野に住んでサラリーマンをしてるので、ゴールデンウィークやシルバーウィークにためた有給をくっつけて時間を確保して、2週間ずつに分けて撮りました」と明かす。当然、効率よく撮影するために、同じ場所のシーンはまとめて撮影することになり「執務室のシーンも今日は第1話で明日は第3話みたいな感じで、同じ日の午前は第1話で午後は第3話みたいなこともあって『いま、何の事件の捜査してるんだっけ?』と大混乱しながらなんとか撮りきりました」とキャスト、スタッフ一丸となっての苦難の撮影の日々を振り返った。
ちなみに、この日の舞台挨拶のMCを務めた平井夏貴は、1月24日公開の“歌詞生成AI”を題材とした第2話「名前のない詩」に出演しており、さらに2月7日には“贈収賄”をテーマにした第3話「faith」も公開となる。下向監督は苦労を重ねつつ三部作という形式にした理由について「前作の『センターライン』を何度も観ていただいたという方も多くて、嬉しい反面、新しい物語を届けたいなという思いがありました」と説明。「(2話、3話と)毛色の違う作品になっておりますので、ぜひお越しください!」と呼びかけた。
【STORY】『INTER::FACE 知能機械犯罪公訴部』
個人の趣味嗜好を学習した分身AI(デジタルツイン)が普及した平成39年。
AIを被告人として起訴可能とする法律が施行され、知能機械犯罪公訴部に配属された新任検事 米子天々音。
米子の相棒となる、 喋る検察官バッジ“テン”、少々ドジな庶務“阿倍野”と出会い、ともにAI犯罪事件の捜査を開始する・・・。
【キャスト】
吉見茉莉奈 大山真絵子 入江崇史 澤谷一輝 大前りょうすけ / 津田寛治
合田純奈 冥鳴ひまり(VOICEVOX)
松林慎司 みやたに 長屋和彰 荻下英樹 星能豊 南久松真奈 青山悦子 小林周平 中山琉貴 小松原康平 アビルゲン 松村光陽 辻瀬まぶき 澤真希 涼夏 美南宏樹 藤原未砂希 平井夏貴 長屋和彰 松本高士 香取剛 星能豊 松林慎司 もりとみ舞 橋口侑佳 長坂真智子 井上八千代 原田大輔 小川真桜
【スタッフ】
監督・脚本・編集:下向拓生
撮影監督:名倉健郎 撮影:名倉健郎 山縣幸雄 水島圭輔 照明:水島圭輔
録音:風間健太 ひらつかかつじ 合成協力:山縣昌雄
スタイリスト:SHIKI ヘアメイク:伊藤佳南子
美術:酒井拓人 スチル:内田綾乃 岡本ミヤビ
音楽:髙木亮志 劇中歌:ワスレナ 小野優樹 青地徹
エンジニア:平崎真澄
制作:美南宏樹 松田将大郎 倉橋健 村瀬裕志 涼夏
法律監修:弁護士 鈴木成公
衣装協力:国島株式会社
名古屋空撮映像協力:前原桂太 宣伝デザイン:大井佳名子
ロケーション協力:いちのみやフィルムコミッション
岡崎市観光推進課 旧本多忠次邸 東海愛知新聞社
日本陶磁器センター 料亭菊水
知多半島フィルムコミッション 南知多ビーチランド 津島市シティプロモーション課
製作:Production MOZU / NAGURA TEAM
配給:サンタバーバラ・ピクチャーズ 制作年:2022年
公式HP:interface2027.com
クレジット:©2025 INTERFACE
2025年1月10日(金)より池袋HUMAXシネマズシネマ、TOHOシネマズなんば、松本シネマライツほか全国絶賛公開中!
(オフィシャル・レポートより)