2024年10月アーカイブ
モントリオール映画祭で最優秀ドキュメンタリーを受賞した「健さん」、故・樹木希林さんが企画・出演した「エリカ38」などで注目を集める日比遊一監督の最新作『はじまりの日』が10月11日に全国公開されました!
本作は従来のミュージカル映画とは一線を画す、フィルム撮影にこだわった抒情的な映像と魂の歌声で紡ぐ大人のための音楽ファンタジーです。主演を務めるのは、ex JAYWALKのボーカリストとしてミリオンヒットを飛ばし、「何も言えなくて・・・夏」にて日本レコード大賞を受賞したロックスター・中村耕一。中村とともにW主演を演じるのは、2020年5月シングル「Pride」でソニー・ミュージックレーベルズ/アリオラジャパンからメジャーデビューし、その歌唱力、表現力にミュージカルでも注目されている実力派シンガーの遥海。
かつて一世を風靡したロックスターと、未来の歌姫という世代を超えたコントラストの中で描かれるのは、再び光を放つことへの優しい視線と自信を小さな一歩へ変える勇気。そして脇を固める実力派の俳優陣が物語をさらに味わい深いものに導いています。
この度、本作の公開を祝して、10月11日にTOHOシネマズ日比谷にて初日舞台挨拶を開催いたしました!
アーティストにして初演技に挑み、W主演を飾った中村耕一さんと遥海さん、そして共演の竹中直人さん、日比遊一監督の4名が登壇し、ついに全国公開となった喜びやお互いの印象、そして中村より満席の観客を前に、赤裸々な衝撃告白が飛び出すなど、イベントは大盛況で終了いたしました。
■日時:10月11日(金) 14:30~15:00 ※上映前舞台挨拶
■場所:TOHOシネマズ日比谷 スクリーン7 (千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷4F)
■登壇者: 中村耕一 ( ex JAYWALK/73歳/男役)、遥海(28歳/女役)、
竹中直人(68歳/矢吹役)、日比遊一監督(60歳)
司会:伊藤さとり
公開を迎え、中村は「映画は何回か観ましたが、まだ正視できないというか、ちょっと照れ臭いですね・・・」と照れ笑い。遥海も「プライベートでも何度か来ている映画館で、まさか自分が舞台挨拶の立つ側になるなんて思ってもみなかったです。自分の歌っていない姿を見られるのって、なんだか内臓を見られている気分で・・・」と照れながら、「赤裸々に演じたので、皆さんにその気持ちが届いたらいいなと思います」と胸を張った。
“男”の同僚で、音楽プロデューサー・矢吹を演じた竹中は、中村・遥海と共演し、「役者の次元ではないところに存在してくださった。お二人とも少年・少女のようで、とても柔らかい空気を出していたんです。なので、とても居心地が良かった。こうやって“恥ずかしい”と仰っていますが、とてもピュアで可愛い!僕も映画に出るなんて、未だに恥ずかしいですから」と笑顔で二人を称えていた。
そんな竹中との共演に中村は「現場では、普段の竹中さんとカチンコが鳴った時の竹中さんとが、あまりにも違ってギャップが大きすぎて・・・」と、俳優・竹中直人になった時を目の前にして驚いたことを告白した。そして、「昔からファンだった竹中さんと共演させていただいて光栄でした。目の前で“笑いながら怒る人”をやってもらってどうやるのか教えてもらって最高でした」と、楽しそうに裏話も披露した。
その言葉に竹中は「とにかく耕一さんがチャーミング。何も知らないで存在している感じがいい。その空気を感じることができて楽しかったです」とニッコリ。「あと、劇中で耕一さんがギターを弾きながら階段を下りていくシーンがあるのですが、そこは“階段気をつけて”とちょっとドキドキしちゃいました」とおどけて見せ、「遥海さんの歌声も凄い歌唱力で、本当に圧倒されました。お二人を前に、目もくらむような時間を過ごさせてもらいました」と充実感を覗かせた。
一方で遥海は「カメラが回っていないときの竹中さんは、もの凄く楽しい方で、現場の雰囲気が和むんです。今日も隣の控室から口笛が聞こえてきて、(現場を思い出して)懐かしい気持ちになりました」と、竹中の存在感に感謝した。
また、本作にある「まだ、諦めていない」というテーマにちなみ、「まだ諦めていないことは?」という質問が。13年前の不祥事を引き合いに出しつつも、中村が「歌をずっと歌っていくことを諦めないで、頑張っていきたい」と答えると、会場からは温かい拍手が送られた。遥海は「諦めていないというか、まだ目指しているものですが」と前置きをしつつ、「たくさんの人に自分の歌声を聞いてもらいたい。そして、徐々に会場を大きくして、いつか東京ドームの舞台にも・・・なんて夢を見てもいいかな。と思っています!」と目を輝かす。思わず「東京ドームなんて言っちゃった・・・」と恥ずかしがると、中村が「いいんじゃない?」と背中を押し、「コンサートもそうですが、映画の中で歌う遥海さんの歌は、本当に圧倒的なんです。それを残してもらいたいという想いが僕にもあります」と言って、遥海に寄り添って見せた。
日比監督は「映画を映画館で観てもらいたい。その文化を残していきたと強く思っています。映画の画面力、歌の力を(映画館で)体感してほしいですね」と力強く語った。
さらに、満席の観客を前に、登壇者が“今だから言える”本当のことを告白することに!最初は口ごもっていた3人だが、遥海は「実は今月のライブで映画の中の歌を歌います!」と発表。中村は「ライブの時や、ここぞというときには赤い下着をつけています」と衝撃の告白をし、会場を沸かす。「以前、俳優の方にはそういう方が多いと聞いて。僕もライブで履いてみたら、凄く上手くいったんです。巣鴨のパンツも持っていますよ」と明かすと、竹中も「僕も今舞台をやっているんですが、赤いパンツを履きますよ」と同調し、中村と顔を見合わせて笑った。
竹中は「耕一さんや、舞台でご一緒している野田秀樹さんのように、同年代の男の人が頑張っている姿を見ていると思わず後ろから抱きしめたくなるんです」としみじみ。
最後に遥海が「それぞれの役の方々の心情の変化、男の再生、女の誕生のお話ですが、あの頃の自分にちょっと似ているな。分かるな。と、ご自分と重なる部分を思い浮かべながら、この映画を観てもらえたら嬉しいです」とコメント。中村は「“諦めない”ということが1つのテーマになっていますが、人生の中で諦めなきゃいけないことはあると思うんです。でも、諦めたくないものは諦めないでほしい。僕もこの過去13年くらいの生活でもそうでしたが、諦めないということが大切だと思います。それをこの映画で感じてもらえたら。音楽と同じで、皆さんが感じるままに映画を楽しんでもらえたら嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
【出演】中村耕一 遥海 高岡早紀 山口智充 岡崎紗絵 羽場裕一
尚玄 鈴木美羽 穴倉秀磨 秋野暢子 麿赤兒/竹中直人
【監督・脚本・プロデュース】日比遊一
【配給】ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
【コピーライト】©︎ジジックス・スタジオ
・公式HP:hajimarinohi.jp
・公式X:@hajimarinohi_jp
2024年10月11日(金)~TOHOシネマズ 日比谷、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸 ほか全国ロードショー!(10月5日(土)ミッドランドスクエア シネマ名古屋 先行)
(オフィシャル・レポートより)
■避けてきた地域コミュニティー(自治会)で体感したことは?
■牛窓暮らしで、人生のプライオリティーが変わった
■人間がどのように半自然と付き合うのかをテーマに、身構えずに撮る
■タブーの猫問題に切り込み、猫のいない社会の違和感を想像
■老後のロールモデルに囲まれて、歳をとるのが怖くなくなった
■アフターコロナのミニシアターでの取り組みと、配信が作り手に与える深刻な状況
■目指してきた観察映画のコンセプトにすごく近くなれた
■⽇ 程: 10⽉3⽇(⽊)舞台挨拶 19:00〜19:30
■会 場: テアトル新宿(東京都新宿区新宿 3-14-20 新宿テアトルビル B1F)
■登壇者: 井浦新、⽔原希⼦、三浦透⼦、⻫藤由貴、永瀬正敏、甲斐さやか監督 (敬称略)
⻑編映画デビュー作『⾚い雪 Red Snow』(19)が第14 回 JAJFF(Los Angeles Japan Film Festival) 最優秀作品賞を受賞するなど、繊細かつ圧倒的に作りこまれた世界観が国内外問わず⾼く評価されている甲斐さやか監督の最新作、⽇仏合作映画『徒花 -ADABANA-』の公開が 2024 年10 ⽉18⽇(⾦)にテアトル新宿、TOHO シネマズ シャンテ他で全国順次公開いたします。
映画『徒花-ADABANA-』の完成披露上映会が、10 ⽉ 3 ⽇に東京・テアトル新宿にて開催され、主演の井浦新をはじめ、共演の⽔原希⼦、三浦透⼦、⻫藤由貴、永瀬正敏と、監督を務めた甲斐さやかが舞台挨拶に登壇した。⻑編映画デビュー『⾚い雪 Red Snow』(19)が第 14 回 JAJFF(LOS Angeles Japan Film Festival)で最優秀作品賞を受賞するなど、繊細かつ圧倒的に作りこまれた世界観が国内外問わず⾼く評価されている甲斐さやか監督の最新作となる、⽇仏合作映画『徒花-ADABANA-』は、ウイルスの蔓延で⼈⼝が激減し、病にむしばまれた上層階級の⼈間だけにもう⼀つの⾝体「それ」の保有が許されるという世の中で、⾃分の「それ」と対⾯した男の葛藤を描き出す。死が⾝近に迫る新次を井浦新、臨床⼼理⼠まほろを⽔原希⼦が演じ、他にも三浦透⼦、⻫藤由貴、永瀬正敏ら豪華実⼒派俳優が顔を揃えた。
タイトルの『徒花(あだばな)』とは、「無駄な花」を意味するが、そこにこめられた美学と⽣命の価値、今ここにある「怖さ」を突きつける本作。甲斐監督が 20 年以上かけ構想し、書き上げたオリジナル作品であり、フランスの国⽴映画映像センターが⾏う助成制度「CNC」の対象作品で、第 37 回東京国際映画祭の新設部⾨となるウィメンズエンパワーメント部⾨への出品も決定するなど、多くの注⽬が集まっている。
満席の会場を⾒渡しながら、井浦は「通いなれたテアトル新宿で、この作品で⼀緒に登壇する監督、共演者の皆さんと、こちら(舞台)側からいつもと全然違う景⾊を⾒せていただいてありがたく思います」と感慨深げ。
⽔原も「撮影していたのは 2 年前。まだコロナ禍で、今とは全然違う状況でした。私⾃⾝が観たいと思う作品に出られたことをとても嬉しく思います」と喜びをかみしめる。
新次の過去の記憶に登場する、海辺で知り合った謎の「海の⼥」を演じた三浦は「撮影⾃体は短かったのですが、もの凄く印象に残っていて、好きな映画です。皆さんに届けられて嬉しいです」と微笑みながらも、撮影は過酷だったようで、「寒かったです(笑)。でも皆さんに『⼤丈夫︖』と⾔っていただいて、あんなにケアをしてもらった現場はほかになかったです。楽しい撮影でした」と述懐していた。
新次の幼い頃の⺟親役を演じた⻫藤は「最初に出演のお話をいただいたときに、ディレクターズステートメントというものを頂戴し拝読しました。その時にとても印象的だったのが、扱っているテーマは難しい部分があるけれど、甲斐監督が作りあげたこの映画の⾏間にある空気感みたいなものを、皆さんに感じていただきたいと思いました。私はとても毒々しい役を演じておりますが、とてもやりがいのある挑戦でした」と語る。役柄的に⼤⼈の新次と会うことはないが、井浦は⻫藤の撮影現場にも駆けつけていたという。
新次の主治医を演じた永瀬は「この映画の完成作品を観たときに、もうすぐに次回作が観たいと思えた作品でした。甲斐監督の⼼の中に思いを皆さんに届けてほしいと思いました」と、すっかり監督の世界観に魅了された様⼦。
甲斐監督は「この⽅に出ていただきたいと思った⽅々に出ていただけたことは、あらためて⼤それたことをしたもんだなと(笑)。とても素敵なキャストの⽅々が魂を削って、そこに存在してくださったことに本当に感謝しますし、お芝居が本当に素晴らしいです」とキャスト陣に感謝を表した。
新次と「それ」の⼆役を繊細に演じた井浦は、感想を聞かれ「もう具合が悪くなりました」と苦笑い。それでも「これまで1⼈2役の経験がなかったので、絶対にやりがいしかないだろうなと思いましたね」と意欲満々。甲斐監督作品の『⾚い雪 Red Snow』(2019年)にも出演しているが、「甲斐監督の作品に没⼊するのは、俳優として凄く幸せを感じるんです。どれだけ苦しくて、具合が悪くなって、痛くても、それが全て喜びへと変わっていく。それを⼀度経験させてもらっているので、またこの『徒花』で無茶苦茶やらせてもらえるんだ︕と嬉しさもありながら、不安しかなかったりもしました」と⼼情を吐露。
井浦の熱量も⼤きかったようで、監督は「井浦さんからも⾊々なヒントをいただきましたので、それを絶対に形にしようと思いました。もう皆さん凄くて、⾒どころがたくさんある。俳優の⼒って本当に凄い。驚くばかりでその感動が多いです」と俳優たちの⼒量に圧倒されていた。
⽔原も臨床⼼理⼠を演じるため、実際に臨床⼼理⼠にインタビューをして役作りをしていったそうで、「病院に勤める臨床⼼理⼠の⽅の、(患者との)距離感が絶妙なんです。どこまで受け⽌めて、寄り添って、仕事としてまっとうするか・・・。これはとんでもなく⼤変なお仕事だなと」と感銘を受けながら演じていたと話した。
井浦とは初共演となる⽔原。「新次とまほろの絶妙なもどかしい関係値」と⾔い、難しさもあったようだが、井浦の印象を「天使です︕」とニッコリ。「⾃分が役と葛藤して不安そうにしていると、『⼤丈夫、⼤丈夫だよ』と⾔ってくださって」と井浦に感謝。「私は皆さんに⽀えられて演じることができました」としみじみと振り返っていた。
⼀⽅で、井浦は⽔原を「希⼦さんは本当にまじめです。初めての顔合わせのときも臨床⼼理⼠の話が⽌まらなかったです(笑)。⾃分の出番がないときでも常に現場から離れず、寄り添って、最⼤限に楽しみながら、苦悩しながら臨んでいる姿がとても素晴らしかった。本当にまじめに役にしっかり向き合う⽅だと感動しました」と絶賛する。
⼀⽅で、本作のオフィシャルカメラマンも務めた永瀬。「撮影の合間にも⾊々なところをカメラに収められて幸せでした」と充実感を滲ませると、監督が「朝からオ⿊⼦に徹していて、オーラを消して現場にいるので、(永瀬だと)知らないスタッフが普通にスタッフのように永瀬さんに指⽰出していましたよね(笑)三浦さんの海のシーンでもずっといらっしゃって。最後まで待ってくださって凄くいいショットになりました」と感動しきり。
井浦も「永瀬さんが甲斐組の守り神のようにいてくれましたね」と微笑み、「本当に素晴らしい素敵な写真がたくさん⾒られます」と伝える。永瀬は恐縮しながらも「次もカメラマンとして呼んでください(笑)」と監督におねだりも。
“徒花”というタイトルについて、監督は「“無駄な花”と⾔う意味もありますが、⼈間の存在を描いているような作品にしたかった」ですと述べ、「忙しい⽇々の中で⾃分を⾒失ってしまうような現代に⽣きていることもあるかもしれませんが、ちょっと⽴ち⽌まってそこに空虚だけでなく希望のようなものを作品に託したつもりです。役者の皆さんが⽣々しいお芝居で強いメッセージを送っているので、何かを感じ取っていただいて、その思いを抱きとめていただけたら嬉しいです」と思いの丈を⼝にする。
最後に、井浦は「甲斐監督の私たちへの問いかけは、本当に鋭い⽬には⾒えないくらい刃で突き刺してくるような衝撃がありますが、その刃に刺されると痛みもありますし、苦しさもありますが、その痛みを越えた先には作品を観た⼈の数だけ素敵なものが待っていると思います。この作品は観れば観るほど楽しくなっていくと思います」とアピール。
そして、監督が「構想から凄く⻑い年⽉が経って、ようやくこの作品を作ることができましたが、このキャストの皆さんに出ていただかなければ全く違う映画になったと思いますし、いま撮れて本当に良かったなと思います。この⽅々の感性というものを掛け合わせての『徒花』だったと思います。お芝居の凄さにもきっと衝撃を受けていただけるんじゃないかなと。現実が急激に⾃分を追い越していくようなスピードで、じっくり⾊々なことを考える時間が持てない時代だと思いますが、スクリーンで皆さんと対話して思ったことをまた教えていただけたら嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶を終了した。
【『徒花-ADABANA-』作品情報】
【STORY】
裕福な家庭で育った新次(井浦新)は、妻との間に⼀⼈娘も⽣まれ、周りから⾒れば誰もが望むような理想的な家族を築いていた。しかし、死の危険も伴うような病気にむしばまれ、とある病院で療養している。⼿術を前にした新次には、臨床⼼理⼠のまほろ(⽔原希⼦)が⼼理状態を常にケアしていた。しかし毎⽇眠れず、⾷欲も湧かず、不安に苛まれている新次。
まほろから「普段、ためこんでいたことを話すと、⼿術に良い結果をもたらす」と⾔われ、過去の記憶を辿る。そこで新次は、海辺で知り合った謎の「海の⼥」(三浦透⼦)の記憶や、幼い頃の⺟親(⻫藤由貴)からの「強くなりなさい、そうすれば守られるから」と⾔われた記憶を呼び起こすのだった。記憶がよみがえったことで、さらに不安がぬぐえなくなった新次は、まほろに「それ」という存在に会わせてほしいと懇願する。
「それ」とは、病気の⼈間に提供される、全く同じ⾒た⽬の“もう⼀⼈の⾃分(それ)”であった……。
「それ」を持つのは、⼀部の恵まれた上層階級の⼈間だけ。選ばれない⼈間たちには、「それ」を持つことすら許されなかった。新次は、「それ」と対⾯し、⾃分とまったく同じ姿をしながらも、今の⾃分とは異なる内⾯を持ち、また純粋で知的な「それ」に関⼼を持ちのめりこんでいく……。
出演:井浦 新 ⽔原希⼦ / 三浦透⼦ 甲⽥益也⼦ 板⾕由夏 原⽇出⼦/ ⻫藤由貴 永瀬正敏
脚本・監督:甲斐さやか
プロデューサー:布川 均 宮⽥公夫 ビックァン・トラン ⾚澤賢司 上野弘之
撮影:⾼⽊⾵太
⾳楽:⻑屋和哉 ⾳楽プロデューサー:akiko
制作プロダクション:ROBOT DISSIDENZ
配給・宣伝:NAKACHIKA PICTURES
Ⓒ2024「徒花-ADABANA-」製作委員会 / DISSIDENZ
映画公式 HP:adabana-movie.jp
映画公式 X・Instagram @adabana_movie
2024年10⽉18⽇(⾦)~テアトル新宿、TOHO シネマズ シャンテ、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 他全国順次公開
(オフィシャル・レポートより)
ニューヨーク・ブロードウェイの傑作舞台を、日本語字幕つきで映画館で楽しめる「松竹ブロードウェイシネマ」。シリーズ最新作となる傑作ミュージカル『アーネストに恋して』(原題:Ernest Shackleton Loves Me)が、10月4日(金)より全国順次公開される。
ミュージカル俳優としてあまたの賞に輝き、近年では演出家としても活躍する城田優にインタビューを実施。本作の魅力や、役者陣のすばらしさ、さらには舞台に欠かせない“想像力”の是非についてまで、演者として、ときに演出家としての視点であますところなく語ってもらった。
【STORY】
ある夜更け、出会い系サイトに自己紹介動画を投稿したビデオゲーム音楽の作曲家・キャット。彼女のもとに、突然20世紀を代表するリーダーと称される南極探検家のサー・アーネスト・シャクルトンから返信が届く。南極で船が難破し流氷の上で身動きが取れなくなったアーネストは、時空を超えてキャットにアプローチし、壮大な冒険の旅へと誘う。思いがけないことに、ふたりは互いの中に自らを照らし導く光を見出すのであった。
――映画『アーネストに恋して』をご覧になり、いかがでしたか?
第一印象は、とにかく斬新!登場人物が二人だけで、タイムスリップのようなSF感があり、ファンタジックで、かつヒューマンドラマもミックスされている。これまで多くの観劇をしてきましたけど、そんな僕からしても設定自体の斬新度数がかなり高い1本でした。
――キャット役のヴァレリー・ヴィゴーダ、アーネスト役のウェイド・マッカラムの演技はどう受け止めましたか?
キャット側は膨大な数の楽器を扱うということ、アーネスト側は一人二役という演じ分けと説得力が必要で、それぞれ本当に大変な役だと思いました。特にキャットはバイオリンにギターにマンダリン、ピアノ…あらゆる楽器を演奏しながら演技もされていますよね。よくあるエンターテインメントですけど、ミュージカルでやっているのを僕は初めて見ました。
キャットの作曲家という設定もおかげで違和感がないですし、説得力があり、観ていても面白い。日本のミュージカル界に、同じようなことをやれる俳優はいるのかな?と思います。本当にレベルが高いことをしていらっしゃると思いました。
――二人芝居という独特の空気感の中で、特に印象的だったシーンはありますか?
いやあ、ずっとすごいと思っていましたよ…!キャットのド頭の音楽のシーンは、とにかく好きでした。あのシーンで、「この作品は楽しんでいいんだな」とお客様が思える方向に導いていて、トゥーマッチなシリアスにならない感じが、この作品を観るにちょうどいい入り口になっているんですよね。
僕は常々、お芝居には想像力が必要だと思っているんです。特に、本作は100年前の偉人と出会い系サイトで知り合い、その二人が南極という僕らが知らない場所に冒険に行くという突拍子もないストーリーですよね。それを信じる想像力、客席に「いやいや、そんなわけ」と冷静にさせない力があるので、そういう意味でも頭の導入がすごい肝だと思いました。いかにお客さんに想像させられるかというのが僕らの仕事なわけで、いわゆるただの会話劇よりも、よっぽど想像力がないと、役者も観る側も楽しめない作品だと思いました。
――キャットはアーネストに出会い、彼のポジティブさに背中を押され自分の人生を切り拓いていこうとします。その描かれ方については、どう感じましたか?
観る人たちみんなが共感するような、とても人間らしいキャラクターですよね。キャットは出会い系サイトで年齢を偽り、仕事もピンチで、子の父である彼氏ともうまくいっていない。全然、純風満帆ではないんですよね。でも、世の中に生きている人たち、僕も含めて誰もが「自分だけなんでこういう思いをするんだろう?」と思って生きていると思うんです。そこで感情移入の心が生まれるわけです。
キャットは非常にファンタジックな出会いを経て、アーネストに冒険にいざなわれる。冒険=未知なる世界なので怖いけど、そんな人の心を「せっかく1回の人生なんだから、アーネストみたいに冒険しよう」と思わせてくれる。たとえ危険な旅になろうと、自分が知らない世界を知り、突き進んでいく力みたいなものが、キャットもアーネストと出会い、彼と一緒に冒険の片鱗を見て湧いてきたんだと思うんです。「うまくいかなくてもいい、とにかく諦めてたまるか」というマインドが、時に恋や仕事、友情や趣味などの“愛”というものに変換されてエネルギーになると思うんです。彼女の場合はそれがアーネストという存在だったんだなと思いました。
――最後に、本作は『キンキーブーツ』なども上映した「松竹ブロードウェイシネマ」の最新作です。ブロードウェイの舞台を日本の劇場で観られることについて、城田さんはどう感じますか?またもし本作のアーネスト・シャクルトンと『キンキーブーツ』のローラの共通点があれば教えてください。
ふたりの共通点はチャーミングなところですかね。本取り組みに関してはポジティブなことから言えば、ブロードウェイに行くにはお休みを取り、渡航費、滞在費、観劇の費用など、本当にお金がかかります。どんなに行きたくても、なかなか自由に行けないと思うので、観られないお客様たちにとっては本当に救いでしかないシステムだと思います。現に、僕自身もこの作品を映像で観させていただきましたし、非常に恩恵を受けています(笑)。
その一方で、演者側からすると、生の良さというのがあるんですよね。ミュージカルはその時の役者、お客様との相性で作り出されるものだから、一公演一公演、同じシーンでも違ってくるんです。その瞬間に生まれたエネルギーを生で感じることに価値があるとも思うので、こうした上映サービスも取り入れながら、生でも観ていただければと僕は思います。
《松竹ブロードウェイシネマ》『アーネストに恋して』
演出:リサ・ピーターソン
脚本:ジョー・ディピエトロ
作曲:ブレンダン・ミルバーン 作詞:ヴァレリー・ヴィゴーダ
監督(シネマ版):デイヴィッド・ホーン
出演:ヴァレリー・ヴィゴーダ
(俳優、ミュージシャン、作詞・作曲家、ディズニー楽曲のクリエイター)
ウェイド・マッカラム
(俳優、ダンサー、歌手、作曲家、脚本家、映像作家、演出家)
配給:松竹 ©BroadwayHD/松竹
ⒸJeff Carpenter
(原題:Ernest Shackleton Loves Me 2017年 アメリカ 1時間28分)
■公式サイト: https://broadwaycinema.jp/
■www.instagram.com/shochikucinema/
■www.facebook.com/ShochikuBroadwayCinema
■twitter.com/SBroadwayCinema
★2018年ルシル・ローテル賞ミュージカル部門主演男優賞 ウェイド・マッカラム(ノミネート)
★2017年オフ・ブロードウェイ・アライアンス最優秀ミュージカル賞受賞
2024年10月4日(金)~東劇、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際 他全国公開!
(取材、文:赤山恭子、写真:高野広美)