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加藤雅也、「そんな奴おらんやろ~往生しまっせ!」も飛び出す漫才トークに大爆笑!『影に抱かれて眠れ』舞台挨拶

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(2019年9月8日(日)@なんばパークスシネマ)

ゲスト:加藤雅也(56)、中村ゆり(37)、松本利夫(44)、中山こころ(26)、和泉聖治監督(72)、中野英雄プロデューサー(54)



ありったけの愛を込めた刺青がせつない、

悲哀と影のフレンチノアールのような映画

 

9月6日(金)から全国公開されている映画『影に抱かれて眠れ』は、今どき珍しく知的なクールさに魅了される作品である。横浜の街を舞台にヤクザな闇世界を描きつつ、弟分の難儀を助け、惚れた女の最期に光を灯した純愛と粋な生き様の男の物語。ハードボイルド作家・北方謙三原作、講談社創業100周年記念出版作品「抱影」が映画化されたもの。その影の中には、街の兄貴分として慕われる画家の、優しさに裏打ちされた熱くて強い想いが潜んでいる。ハードボイルドというよりフレンチノアールのような悲哀に満ちた余韻が印象的な映画だ。


kagedaka-500-1.jpg9月8日(日)、なんばパークスシネマの舞台挨拶に主演の画家役の加藤雅也に、弟分にEXILEのメンバー・松本利夫と、密かに想いを寄せる女医役の中村ゆり、『相棒』シリーズの代表監督の和泉聖治監督、今回プロデューサー業に徹した俳優の中野英雄、そして急遽指名された「金髪のちんちくりん」役の中山こころが登壇。映画を観終えた観客の前で撮影秘話や作品に込めた想いを語った。
 



台風15号の接近で戦々恐々としている関東方面からやってきたゲストたちは、暑い大阪にやってきて、まずは大勢の観客にお礼のご挨拶。


kagedaka-bu-240-katou-2.jpg――ハードボイルドについて?

加藤:ハードボイルドは日本では作りにくい状況の中、一所懸命に作った作品です。一人でも多くの方に観て頂いて、これからも作り続けたいと思っておりますので、応援の程宜しくお願い致します。

中村:不器用ながら肩を寄せ合って生きているような、ちょっとノスタルジックな雰囲気の素敵な作品です。公開できて本当に嬉しく思っております。

松本:今回ハードボイルド映画ということで、辞書などで調べてみたのですがピンと来ませんでした。でも、加藤雅也さん演じる主人公の生き様を見ていると、抽象的な捉え方なのかな?と思いました。今日は皆さんが観終えた後のトークなので話しやすいと思います。映画の中では僕だけが生き残っていますので、今日も僕だけが生き残って帰ろうかなと思っております。(笑)

中山:すみません、急遽登壇させて頂きました。緊張して何言っていいか分かりませんが、よろしくお願いします。

和泉監督:静かな流れの中で始まる映画なのですが、その中で少しでも熱いものを感じ取って頂けたら嬉しいです。

中野プロデューサー(以降、中野P):若旦那が演じた役は僕がやりたかったんです。でも、監督が“若い方がいい”と仰って若旦那になったんです。

 

――昨日の東京・横浜の舞台挨拶と本日の大阪との熱気の違いは?

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中野P:東京と変わらぬ熱気です。

加藤:(急に関西弁で)僕はバリバリの関西人ですんで…

松本:あれ?昨日と話し方が変わってません?

加藤:いや、いつもこうやで!何言うてんねん、あれは仮の姿や!(笑)

中村:今日は私も関西弁で喋ります。関西での舞台挨拶にはよく友達が来てくれるんですけど、いつも「よう猫被ってんな~」と言われ、結構プレッシャーを感じてます。

松本:昨日はお二人とも標準語でしたよ。

加藤:俺にとっては関西弁が標準語やで(笑)、昨日のは方言や!


――大阪に来られるのは久しぶりですか?

加藤:しょっちゅう来てますよ。TVドラマの撮影や、それと去年から奈良の観光大使になったしね、関西へはよく来てます。最近大阪での舞台挨拶があまりないので、もっと増えたらいいなと思ってます。関西弁で喋るとノリが違うじゃないですか?楽屋の弁当も「551」やったしな!?あれびっくりしたな?

中村:「551」はお土産によく買って帰るので、実はよく食べてるんです。

 

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――皆さん息ぴったりな感じですが、撮影中は?

和泉監督:遠くから見てると子供が喋ってるように楽しそうにしていました。でも、現場に入ると顔が変わっちゃいますけどね。

――兄貴分の加藤さんと弟分の松本さんは今回が初めての共演だそうですが?

加藤:会ってすぐに距離は縮まりました。松本君がよく話しかけてくれるんで。

松本:いえいえ、逆なんです!加藤さんの印象はダンディな人というか、いつも家ではガウンを着てワイン片手に暗い部屋の中でクラシック音楽を聴いているような…。

加藤:そんな奴おらんやろ~、往生しまっせ!(笑)

松本:3人の関係性の中で慕う立場の男としては、裏で親しみのコミュニケーションをどうやってとろうかなと思っていたのですが、逆に気軽に話しかけて下さって、すぐに仲良くして下さいました。結構雅也さんはEXILEの他のメンバーたちとも共演されていますので、その話題から話しかけて下さったんです。

加藤:「MATSUぼっち」(TV番組)見てるよ~!とかね。

松本:ありがとうございます!

 

――撮影中のトーンと違うと思うのですが、切り替えはどのように?

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加藤:人間関係を埋めたら芝居はしやすい。プロの俳優となると腹の探り合いになるのですが、話ができたら後は自然と演技を進められました。

――中村さんは加藤さんとの共演で印象に残ったことは?

中村:加藤さんに抱いていたイメージが崩れてしまって…

加藤:えっ、崩れたん?

中村:いえいえ、いい意味で! だって、こんなローマ彫刻みたいな顔の人はクールなのかなと思ってたら、同じ関西の人ということもあって、失礼かもしれませんが「近所のお兄ちゃん」みたいな感じでした。申し訳ないけど全く緊張せずに演じられました。

――ホテルで二人だけのシーンでは緊張感がありましたが?

中村:あのシーンは、好きな人に触れてもらえず、やっと二人きりになれたというのに気持ちを抑えるシーンでした。

加藤:周りにはいっぱい人おったけどな(笑)、裸にならなあかんし、大変やったな。


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――北方謙三さん原作の映画化でしたが?

和泉監督:北方先生とは同世代なので、昔から尊敬と憧れを抱いていました。実際の先生はとてもダンディな方で、先生の原作本なんですが「映画は映画で好きに撮って」と仰って下さり、とても楽な気分になりました。

――お気に入りのシーンは?

和泉監督:最初台本にはなかったのですが、信治がアルバイト中に信治を捨てたお姉さんを見つけて追いかけるシーンです。あの街にいたらそんなシーンを撮りたくなったんです。そんな事言うと、他の俳優さん達に怒られちゃいますけど(笑)。

 


 

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――仲のいい皆さんですが、キャスティングについては?

中野P:皆さん一流の俳優さんですが、それに音楽畑の人をプラスして、さらに和泉監督が撮るとなるとどうなっていくんだろうと思ったんです。僕的にはドンピシャのキャスティングとなりました。

――音楽畑の人の感性とは?

中野:いい俳優さんて歌手もされている人が多いので、歌う時の感情の作り方が上手いような気がします。若旦那もAK-69も初めての映画出演でしたし、松本さんも演技を勉強されていたんで、とてもいい味を出してくれました。


 

――喫茶店のシーンはアドリブだったとか?

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松本:はい、ほぼほぼアドリブで演じました。カトウシンスケさんとは初対面だったのですが、それがいい意味でやりやすかったです。お互い仕掛けてきてましたね~。

 

――そこに中山さんが「ずっと見てる人」を演じてましたね?

中山:はい、監督に「ガラスに鼻を付けてずっと見てるように」と言われました。あの時、「金髪のちんちくりん」と松本さんに言ってもらえたんです。

松本:中山さんとも初対面でコミュニケーションをとれてない状態で撮影インしたからこそ、正直に思ったことを言えたんだと思います。

中山:余計ひどいじゃないですか!?(笑)



――苦労されたシーンは?

加藤:若旦那との対決シーンです。「これ芝居なんやけど、この人本気で刺してくるんちゃうか?」と怖くなるほどの迫力でした。

和泉監督:あのシーンの撮影は夜中に終わったのですが、僕としては朝まで撮りたかった。

加藤:本番になったらスイッチが入る人もいるので、若旦那はどっちかなと分からなかったんで、特に怖かったです。


――最後に?

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松本:6日から公開になりましたが、これから全国順次公開となりますので、皆様からのお力を頂けたらと思います。

中村:楽しい舞台挨拶になりました。男気のある映画ですが、女性の方にもぜひ観に来てほしいと思っております。

中山:人前で喋るのは初めてなんですが、「漫才」が見られて楽しかったです。ありがとうございました。

加藤:男くさい作品が少なくなってきておりますが、引き続き作っていけるように願っております。皆さん、宣伝の程お願い致します。

中野P:今日は本当にありがとうございました。

和泉監督:ノアールの作品を今後も作っていきたいので、皆さんよろしくお願い致します。

 

映画の中の加藤雅也は、白髪の目立つ老けメイクで喜怒哀楽を最小限に抑えたクールな表情が深い人間性を感じさせていた。だが、大阪の舞台挨拶では漫才のような掛け合いで、劇場全体を笑いで包んでくれた。さすが、関西のノリを熟知した関西人ならではの舞台挨拶となった。和泉聖治監督も、『相棒』シリーズの代表監督として有名だが、映画にTVと制作本数を見ると驚くような数である。そんな大ベテランが丁寧な職人技で手掛けた「ノワール映画」は、男女を問わず誰の心にも響くヒューマンドラマとして楽しめる感動作です。
 



★作品紹介はこちら⇒ http://cineref.com/review/2019/09/post-989.html
 

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(2019年 日本 1時間48分)
■原作:北方謙三(「抱影」講談社文庫刊)
■監督:和泉聖治 脚本:小澤和義 プロデューサー:中野英雄
■出演:加藤雅也、中村ゆり、松本利夫、カトウシンスケ、若旦那、熊切あさ美、余貴美子、火野正平、AK-69 他
■主題歌:クレイジーケンバンド「場末の天使」(ダブルジョイ インターナショナル/ユニバーサル シグマ)
■配給:BS-TBS
■コピーライト:(C)BUGSY

公式サイト: http://kagedaka.jp/index.html

 

 

 

2019年9月6日(金)~なんばパークスシネマ、イオンシネマ大日、T・ジョイ京都、MOVIXあまがさき、他全国ロードショー



(河田 真喜子)

 

 
 
 
 
 
 

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