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『ザ・スクエア 思いやりの聖域』リューベン・オストルンド監督インタビュー

TheSquare-di-550.jpg『ザ・スクエア 思いやりの聖域』、脚本&監督 リューベン・オストルンド監督オフィシャル・インタビュー

 (2018年4月11日(水))


第70回カンヌ国際映画祭 最高賞パルムドール受賞
本年度アカデミー賞® 外国語映画賞ノミネート
美術館を舞台に<毒とユーモア>で人間の本質に迫る、
傑作社会派エンタテイメント!


Q:カンヌ映画祭パルムドール受賞おめでとうございます。受賞したときの心境を聞かせください。また次はアカデミー賞ですか?
A:そうですね。当初、私たちの目標としていたのは、カンヌ映画祭のコンペに選ばれることでした。そしてコンペに選ばれて、物凄く緊張していたのですが、上映後の反応がとても良かったのです。やはり受賞したいと思ってしまいました。

そしてドキドキしながら、授賞式出席要請の電話を待っていたのです。そして、無事授賞式に出席することになったのですが、次々に賞が発表される中、最後の賞発表の時間になっていました。やっぱりダメだったのかなと思っていたら、パルムドール受賞でしたので、本当に嬉しかったです。素晴らしい監督たちがパルムドールに選ばれていなかったので、とてもラッキーだと感じるとともに、非常に謙虚な気持ちにもなりました。

アカデミー賞については、結果外国語映画賞でノミネートされました。日本公開はこれからですが、アメリカ公開は去年の秋でしたので、ノミネートはされましたが受賞には至りませんでした。

Q:では次回作で?
A:そうですね。でも私が尊敬している監督たちはいずれもカンヌを受賞した監督たちなので、今回のパルムドール受賞は本当に嬉しかったです。

TheSquare-550.jpgQ::あなたが映画監督を目指したきっかけは何だったのですか?
A:私は最初、スキーに興味があったので、スキー映画をたくさん見ていました。といっても、スキーしている映像に音楽がかかっているだけの映画なんですけど。そのうちに、スキー映画を制作することに興味を持ち始めました。そこで、私が今住んでいるスウェーデン、ヨーテボリの映画学校に申し込んだのですが、一回目は落ちて、二回目にようやく入ることが出来ました。それから、私のスキーへの興味と映画への興味が逆転してしまいましたので、私が映画を撮るきっかけとなったのは、スキーという事になります。

Q:ハリウッドにも進出しているクレス・バング、そして「ハンズメイド・テイル/侍女の物語」でもゴールデングローブ賞で主演女優賞を獲得した、エリザベス・モスや、『猿の惑星』シリーズでモーション・キャプチャー俳優として活躍しているテリー・ノタリーなど、素晴らしいキャスト陣となっていますが、本作のキャスティングの決め手は?
A:キャスティングのプロセスはかなり長かったのです。且つ慎重に進めなければなりませんでした。私は通常、テストせずに役を決めるような事はしないのですが、モンキーマンを演じたテリー・ノタリーだけは猿のマネがとても上手だったので、通常のプロセスを踏まずに決めました。

クレス・バングの場合は、彼は役者のみならず、人間としても少し脆い部分があって、私と一緒にシーンを演じた時に、彼が本当に思っている感情が出てくるんですね。感情が顔に出てしまう人なので、私はそういう資質がとても好きなので、彼に決めました。

そして、エリザベス・モスは私が今まで仕事をした中で、最も知的な方だと思っています。その状況を使って、相手をやり込めることが出来る人なので、今回そういう人が必要でしたので、彼女と一緒に仕事が出来て、とても幸せでした。

TheSquare-500-1.jpgそして、テリー・ノタリーですが、まず彼が猿の真似をするというユーチューブを見つけたのです。その中で、彼は手のエクステンション(器具)を付けて、どんな風に「猿の惑星」でモーション・キャプチャーをやるかを、デモンストレーションしていたのです。「これはチンパンジーです」と言うと、本当にチンパンジーなのです。そして「これはゴリラです」と言うと、すぐに「あ、これはゴリラだ」と、変わったのが分かるのです。それで、彼は凄いなと思い、彼に決めました。

Q:炎上についてお伺いします。今日本で、SNS、特にTwitterで炎上というのが、今回の映画で描かれているような状況が日々起こっています。例えば、あるスターが不倫をしたとします。するとTwitterで一般人が総攻撃して「番組から辞めさせろ」などということがあります。多分各国でも同じようなことが起こっていると思いますが、このような状況をどう思われますか?また、監督がもし炎上してしまったら、どうしますか?
A:今の時代、非常に非文明的な、非市民的な事が起こっています・それは個人に対する集団的な怒りの表し方で、非常に間違ったやり方だと思うし、怖いと思いますね。ソーシャルメディアに限らず、報道ニュースもそういうことをしていると思います。私にもそういうことがあったのですが、一番いい対処の仕方は、それが可能であればという話ですが、個人的にそれを受け取らないことです。あとは勝手にやっておいてねという風に、自分は参加しない、ということだと思います。

Q:今回、日本での滞在期間が2日間と非常に短いのですが、あなたの映画のネタになるような事はありましたか?
TheSquare-di-240-1.jpgA:もし今後、ジャーナリズムやメディアについての映画を作るとしたら、通訳付きでインタビューを受けるというのは面白かったので、使えるかなと思いました。日本語で質問されても私は全く分からなかったので(笑)。ですが、メディアの方々はとても親切で、非常に敬意を示してくれたので、取材メディアの方々には非常に満足しています。という意味でいうと、まだ見つかっていないですね、今晩見つかるかな?

Q:これから映画を観る日本のファンに向けて、一言お願いします。
A:私はこの映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』の監督&脚本をしておりますリューベン・オストルンドです。なるべくたくさんの人に映画を観に行って頂きたいと思います、大歓迎致します!


<Twitterからの質問について(3問)>

Q1:映画を作る上で最も大切な事は何ですか?
A:監督として、撮影でこういう風になればいいなという大きな期待があって、毎日その為に凄くもがいています。で、このシーンは酷いなと思うと何回も撮り直すのですが、どうしたら解決するんだろうなと思います。自分が撮りたいビジョンと、それを実現するための葛藤というものがあり、上手くいくと、監督って最高の仕事だと思いますが、上手くいかないとそれが最悪の仕事と思うのです。

私の友人が映画を撮っていて、上手くいかなくて三日目にロケ現場に車で向う車の中で、シートベルトをはずして、もう早くこのプレッシャーから開放されたいと言っていました。それほど感情的なジェットコースターになります。
 

Q2:あなたはご自身で脚本を書かれていますが。撮影に入ってから、閃いて脚本を変えてみるという事はありますか?
A:あります。映画を作るというプロセスの中で、色々な事が変わっていくので、脚本も変えています。脚本を書いているときは、机に向って自分で考えて書いている訳ですが、その時と違ってカメラに向って、あるいはカメラの向こう側に自分の選んだ俳優がいることで、また状況は変わってきます。どんな俳優とやるかによっても変わってくると思いますね。その俳優を使って、その状況というものを最大限利用するようにしています。それから、キャスティングをする時に、俳優たちが色々な即興をするのですが、その即興で凄くいいセリフを言ったりするのです。自分が書いた脚本よりもずっといいと、それをすぐ盗んだり、というように脚本の変更というのは、常に続いていくプロセスですね。
 

TheSquare-500-4.jpgQ3:あなたの撮った映画の中で、お気に入りのキャラクターはいますか?また自分に似たキャラクターはいますか?
A:自分に近いと思うのは、今回のクリスティアンと『フレンチアルプスで起きたこと』のトマスですね。自分にとても近いと思います。好きなキャラクターはいっぱいあるのですが、例えば『フレンチ~』では、クリストファー・ヒヴューが演じた赤ひげのマッツとその恋人役を演じたファンニ・メテーリウスも好きです。

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』では、あの小さな男の子もいいと思うし、クリスティアンの助手もいいと思いますし、エリザベス・モスやテリー・ノタリーも、皆さん、とてもいい演技をしてくれたので、それらのキャラクターはどれも好きです。
 

――最後にファンからのTwitterからのメッセージをお伝えします。
「あなたの作品が大好きで、ドキュメンタリーのようで、寓話でありながらとてもリアルで、観ていてとても精神が削られます、そこが大好きなんです。人間の愚かさと怖さの描写が、あまりにも日常的で鋭くて素晴らしいです。『フレンチアルプスで起きたこと』は私の2017年のNo1でした。新作楽しみにしています。」
A:とても嬉しいです。


『ザ・スクエア 思いやりの聖域』 

・THE SQUARE 2017年  スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク合作 2時間31分
・監督・脚本:リューベン・オストルンド『フレンチアルプスで起きたこと』  
・製作:エリック・ヘルメンドルフ『フレンチアルプスで起きたこと』、フィリップ・ボベール『散歩する惑星』  撮影:フレドリック・ウェンツェル『フレンチアルプスで起きたこと』
・出演:クレス・バング、エリザベス・モス、ドミニク・ウェスト、テリー・ノタリー
・後援:スウェーデン大使館、デンマーク大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
2018年4月28日(土)~シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、シネ・リーブル神戸、京都シネマ 他全国順次公開
公式サイト⇒ http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/
作品紹介⇒ こちら
・© 2017 Plattform Produktion AB / Société Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS


(オフィシャル・レポートより)