レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

「すべての人々へのラブレター」『光』舞台挨拶

hikari-bu-550.jpg「すべての人々へのラブレター」『光』舞台挨拶

登壇者:永瀬正敏(50歳)、河瀬直美監督(47歳)
(2017年6月3日(土)梅田ブルク7にて)


『光』
■(2017年 日本 1時間42分)

■監督・脚本:河瀨直美
■出演:永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、小市慢太郎、早織、大塚千弘、大西信満、堀内雅美、藤竜也他
■作品紹介⇒ こちら
■公式サイト⇒ http://hikari-movie.com/
(C) 2017 “RADIANCE” FILM PARTNERS / KINOSHITA、COMME DES CINEMAS、KUMIE

■2017年5月27日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー


hikari-550.jpg 
第70回カンヌ国際映画祭 エキュメニカル審査員賞受賞

 

5月29日(日本時間)に閉幕した第70回カンヌ国際映画祭から帰国したばかりの河瀨直美監督と主演の永瀬正敏さん。カンヌの常連でもある河瀨監督は、人間の内面を豊かに描いた作品に与えられる《エキュメニカル審査員賞》を日本人女性監督として初受賞。視力を失ったカメラマンとボランティア女性との心の触れ合いを通して、不安や悲しみ、絶望の先に生きる光を見出していく感動作『光』は、日本でも5月27日に公開されたばかり。河瀨監督と永瀬正敏さんのお二人は初日の舞台挨拶には間に合わなかったものの、作品に込められた思いやカンヌでの興奮と感動の日々について、各地の劇場をまわって伝えようとしています。

この日開催された大阪の梅田ブルク7では、カンヌ国際映画祭エキュメニカル賞受賞のお祝いに観客から花束が贈呈されました。詳細は以下の通りです。(敬称略)



hikari-bu-di-240-1.jpg(最初のご挨拶)
河瀨監督(以降、「監督」と表記):観て頂いたばかりで雅哉と美佐子の想いを噛みしめて頂いていると思いますが、私達もカンヌから帰って来たばかりです。ただいま!(会場から拍手)

永瀬正敏(以降、「永瀬」と表記):こんにちは、永瀬です。本当は私達の方が皆様に花束を差し上げたいくらいです。本日は誠にありがとうございます。

――カンヌ国際映画祭での上映後の反応は如何でしたか?
監督:最高でした!エンドクレジットが流れると共に2300人が心からの拍手をしてくれました。永瀬さんも私も言葉が発せられず涙が止まりませんでした。カンヌ滞在中、どこへ行っても声を掛けられ、一人一人の心の中に沁み込むものがあったことを実感しました。お陰で35か国での上映が決まりました。

永瀬:街中でも国籍が違う方々が立ち止まって、手をグッと握り締めて熱く語って下さいました。今回のカンヌは今までとは違いました。「伝わっている!」と実感できました。

hikari-bu-na-240-1.jpg――永瀬さんは上映後立ち上がれなかったとか?
永瀬:すみません。もっとカッコ良く立ち上がりたかったのですが…。
監督:そんな永瀬さんを拍手で励ましてくれて、
こんなにも映画が人々を熱くさせるとは・・・映画のチカラを再認識しました。

――エキュメニカル賞を受賞されましたが、最初にこの報せを聞いたのは永瀬さんだったとか?
永瀬:はい。監督とは連絡がつかないので、私に電話を回してきたんです。もうびっくりしましたよ~。映画祭では最初に発表される賞で、4時間後には授賞式に出なければならなくて、慌てました。

――監督はどこへ行っておられたんですか?
監督:グラースという香水で有名な所へ観光に行ってました。審査員全員一致で決まったということで、何とか間に合うように帰りました。この賞は、キリスト教文化の根強いヨーロッパの作品が受賞することが多いのですが、宗教の壁を乗り越えて、人間として深いところに届く作品として評価して頂いたようです。

hikari-bu-na-240-2.jpg――永瀬さんもカメラマンとしてご活躍ですが、主人公の雅哉とリンクすることが多かったのでは?
永瀬:祖父もカメラマンをしていたのですが、戦後の混乱の中、途中で辞めざるを得なくなり、その胸中を思いやることはありました。

監督:雅哉が使っていたカメラにはこだわりました。上からのぞくタイプで、被写体が緊張せずにすむ、人と人が向き合う時の柔らかな表情を捉えられるポートレートに適しているとカメラです。

――様々な表情を捉えられていますが、撮影時意識したことは?
永瀬:意識せずに雅哉として完全になりきらないと監督に叱られますので(笑)。

監督:雅哉の内面に触れていたいと美佐子に思わせる必要があったので、表情の細かな変化も捉えていきました。

――現在、小豆島で永瀬さんの写真展が開催されているとか?
監督:永瀬さんの未発表の作品を雅哉の部屋に飾っていたので、それが完全に復元されているようです。8月まで開催されています。

――心と心が出会う瞬間の人間関係について?
監督:この映画のキッカケは、前作『あん』に音声ガイドを付けることから始まりました。セリフの少ない私の作品に音声ガイドを付ける上で特に大事なことは繊細さです。それを見事に表現されていて、映画への愛を感じました。今度はそんな人を主人公に据えて、人と人が繋がり合えることをテーマにしようと思いました。さらに、カメラマンが視力を奪われる過程で、見ることへの執着心を放棄した時に、新しい光を見出せる。混沌とした時代だからこそ、生きるための光輝くものを見せたいと思ったのです。

(最後のご挨拶)
永瀬:カンヌであるスペインの方に、「この映画は特定の人にだけでなく、すべての人々に対するラブレターだ」と言われた言葉に感動しました。是非このラブレターをリレーにして頂いて、沢山の方に劇場に来て頂ければ嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。

hikari-bu-240.jpg監督:そんな“ラブレター”を作って良かった!カンヌのクロージングでジュリエット・ビノシュが、「映画は光、映画は愛」と言ってくれたのが、もうパルムドールに値するほど嬉しかったです。愛とか光とか輝ける方向へ自分たちの心を向けていくことが次の原動力になると思うので、この映画を皆さんと共有していきたいです。

また河瀨監督は、「奈良市を中心に京都・大阪でロケした作品なので、関西の方にもっと沢山観てほしい」と締めくくった。

 


 (河田 真喜子)