レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

『パーソナル・ショッパー』ララ役/シグリッド・ブアジズ インタビュー

ps-inta-550.jpg『パーソナル・ショッパー』ララ役/シグリッド・ブアジズ インタビュー

≪シグリッド・ブアジズ プロフィール≫
1984年3月10日、フランス・パリ生まれ。フランス国立高等演技学校(Contuvatoire national superior d'Art dramatique du Paris)で学ぶ。2008年、短編映画『Cortege』(未/原題)で映画デビュー。13年に世界的に大ヒットしたデンマーク・スウェーデン合作の北欧ミステリー「THE BRIDGE/ブリッジ」を原作にリメイクされた英国のTVドラマシリーズ「トンネル~国境に落ちた血」に出演し注目を浴びる。その他の出演作にミア・ハンセン=ラブ監督作『EDEN/エデン』(14)、さらにFENDIの広告モデルとしても活躍。


 ps-500-6.jpg

シグリッド・ブアジズさん、『パーソナル・ショッパー』を語る。

 
「主役を演じるより脇役を演じる方が難しい」――そう言われることがよくある。確かに、どんなに主人公が輝いていても、他の登場人物に魅力がなければ、映画に深みがなくなってしまい、見ていてもときめかないという体験をお持ちの人も多いのではないだろうか?


5 月12日から上映が始まる『パーソナル・ショッパー』で、確かな存在感を放つ脇役の一人が、シグリッド・ブアジズさんだ。クリステン・スチュワートが演じる主人公・モウリーンの義理の姉・ララを演じる。双子の兄を亡くしたモウリーン。そして、彼女と共通の大切な人を亡くしたララ。映画は、モウリーンの悲しみを軸に展開されていくが、伴侶を亡くしたララもまた、スクリーンに映し出されないところで悲しみを抱えている。


ps-inta-240.jpg脇役を演じる難しさはどこにあるのか?
「シナリオに書かれていない部分を自分で想像しなければならないところ」「主役にも脇役にも同じように1つの人生があります。だから、登場シーンが少ない人物は、登場しない部分の生活を、自分の想像力で埋めていかなければなりません」とシグリッドさんは語る。
複数の俳優たちが懸命な姿勢で役に取り組むからこそ、1本の映画にずしりとした重みが出るのだろう。
オリヴィエ・アサイヤス監督は、その重要な任務のひとつをシグリッドさんに委ねた。


彼女がこの映画を出演した経緯は?
「監督から直接依頼がありました。カフェでアサイヤス監督と会って、シナリオを読んだとき、その多様な要素にものすごく感動したんです!」。
トラディショナルな要素と、新しいテクノロジーを駆使したモダンな要素とが混在し、絵に描いたような現代っ子が主人公として登場するが、彼女は「孤独」という普遍的な苦しみをまとっている。キラキラしたモードの世界と、幽霊といったオカルトの世界が混在しているところも面白い。


ホラーやモードを題材にしながらも、哲学的な結末を導き出していくアサイヤス監督。現場では俳優たちにどのように接しているのだろうか?
「とても穏やかな方です。自分の作品に信念を持っているからでしょうか。柔軟性があり、俳優に要求する内容はとてもシンプルです」
シグリッドさんもそんな監督のもとで、のびやかにララを演じた。また、主演・クリステン・スチュワートが醸し出す力強いエネルギーもまた、彼女の演技に大きな影響を与えたに違いない。

ps-500-7.jpg静かで落ち着いた印象のシグリッドさんだが、心の中は”演じることへの情熱”でいっぱいだ。数年前に「自分はジャンヌ・ダルクだ」と思い込む人物を演じたと聞いたとき、彼女の役者としてのはかり知れない可能性を見た気がした。(日本未公開作“Jeanne”/ ブノワ・ジャコ監督作品)


アサイヤス監督は前作『アクトレス〜女たちの舞台〜』で脇を固めたクリステン・スチュワートを本作で主役に抜擢した。シグリッド・ブアジズさんが、アサイヤス監督の作品で主役を演じる日も、遠くはないかもしれない。


(写真・文:田中明花)

■作品紹介⇒ こちら
■公式サイト⇒ http://personalshopper-movie.com/

©2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR

 <写真キャプション>シグリッド・ブアジズさん(2017年4月19日撮影/田中明花)


(オフィシャル レポートより)

月別 アーカイブ