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ヘリコプターで江口洋介、本木雅弘が華麗に登場!『天空の蜂』神戸ヘリコプターイベント&記者会見レポート

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ヘリコプターで江口洋介、本木雅弘が華麗に登場!『天空の蜂』神戸ヘリコプターイベント&記者会見レポート
(2015年8月23日 場所:ヒラタ学園・神戸エアセンター)
ゲスト:江口洋介、本木雅弘、堤幸彦監督
 

「スーパーアクション映画、日本一諦めない男を演じた」(江口)

「『ゴジラ』のように、小さいお子さんにも怪獣映画と思って観てもらいたい」(本木)

「たくさんの語るべき要素を二時間強の“娯楽作品”にまとめることが僕の仕事」(堤監督)

 
ベストセラー作家、東野圭吾最大の勝負作にして、映画化不可能と言われてきた史上最悪の原発テロに迫るサスペンス大作『天空の蜂』。95年に出版されてから20年経った今、江口洋介、本木雅弘を主演に迎え、堤幸彦監督が完全映画化し、9月12日(土)から全国公開される。
 
 
<ストーリー>

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防衛庁からの依頼により開発された巨大ヘリコプター“ビッグB”の納品日、開発した技術者・湯原(江口洋介)らが式典の開始を待つ間に、湯原の息子・高彦が乗っていたビッグBが何者かの仕業で自動操縦され、飛び立ってしまう。行き先は福井県の原子力発電所「新陽」。“天空の蜂”と名乗る犯人の要求は、日本の全原発を破棄すること。「新陽」の真上、800メートルの上空で大量の爆弾を積んだままホバリングしているビッグBの燃料がなくなるまで8時間がリミットと告げるのだったが・・・。
 

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『天空の蜂』劇場公開に先駆け、ヒラタ学園・神戸エアセンターで行われたヘリコプター&レッドカーペットイベントでは、映画さながらの迫力でヘリコプターが空中を旋回したあと轟音と共に着陸。

ダブル主演の江口洋介と本木雅弘が、ヘリコプターから颯爽と登場した。二人で格納庫へと敷かれたレッドカーペットを進みながら、特別招待された観客たちの熱い声援に笑顔で応えた。

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引き続き、ヒラタ学園・神戸エアセンター格納庫で行われた記者会見では、イベントで登場した江口洋介、本木雅弘に加え堤幸彦監督も登壇。
 
 
 
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まずは江口洋介が「ヘリコプターに乗って撮影を思い出しました。400メートルぐらいの上空で、監督は『もっと上がってくれ』と。本来ヘリにはドアがあるものなんですね。撮影ではヘリ上から手を出して大型ヘリを止めるシーンもあり、かなり緊張しました。スーパーアクション映画になっているので是非とも劇場でご覧ください」と過酷な撮影の様子も交えて挨拶すると、本木雅弘は、誰も知らないと思うがと前置きしながら「神戸にヘリで降り立ったのは、3人グループのデビュー3年目イベントで神戸ポートピアランドに降りて以来31年ぶり。そのように(『天空の蜂』も)奇跡が起こり得ます。映画では、困難が目の前に現れたときに自分は何を守り抜けるのかを問うています。小さなお子さまからご年配まで楽しめます」と、31年ぶりのヘリでの来神と映画で起こる奇跡を重ねながら、幅広い年代が楽しめる娯楽作品であることをアピール。
 
堤幸彦監督は、「この映画は東野圭吾先生が20年前にお書きになった大変な問題作。2年ぐらいこの作品に向き合い、なんとか仕上げ、届けることができました。2時間強、絶対飽きさせないエンターテイメント作品です。ぜひ映画館でご覧ください」と感無量の面持ちで挨拶した。
 
ここで、航空整備士育成を行っている学校法人平田学園大阪専門学校の学生の皆さんから三人への花束贈呈が行われ、既に映画を鑑賞した三人から質問が寄せられた。

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「(ヘリコプターシーンについて)高いところは大丈夫かと思っていましたが、ドアのないヘリはこんなに怖いものかと思いました。マネをしないで」(江口)
 
「(息子を助けるシーンについて)何度かスカイダイビングをして撮りました。助ける方は実写です」(堤監督)
 
「(どんな人に観てほしいか)みなさんのような若い方ですが、もっと小さいお子さんにも観てほしいです。かつて『ゴジラ』という映画があり、人間の欲望が生み出した産物だったという理由がありましたが、今回の巨大へりや原発も人間の生み出した、ある意味怪物です。その二つの対決とそれを見守る観衆という怪獣映画として感覚的に見てもらい、成長されたとき映画の背後に隠れていた大きなテーマに気付いて、理解してもらえれば何よりだと、脚本の楠野さんもおっしゃっていました」(本木)と、対話形式で質問に答え、未来の空の安全を担う学生の皆さんへエールを送った。
 
その後に行われた質疑応答では、高校生記者からの質問も飛び交う熱気を帯びたものになり、堤監督からは映画化において重点を置いた点が、また江口洋介や本木雅弘からはそれぞれの役の捉え方や撮影秘話が語られた。その模様を詳しくご紹介したい。
 
 

 
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―――濃密な内容で、キャスト、スタッフの思いが詰まった作品だが、撮影中大変だったことは?
江口:ほとんどスリリングなシーンの連続でした。本木さんと二人でカーアクションをするシーンではロードを本木さんの運転で爆走するのですが、一つのハンドルを取り合って、何テイクも、何テイクも重ね、山を上から下までS字で降りていき、アキレス腱から骨盤からインナーマッスルが貼るぐらいでした。
本木:車内は、今の暑さの三倍ぐらいで、呼吸困難でしたね。
堤監督:声を撮らなくてはいけないから窓も締め切っていました。私の演出的指示は、とにかく何かあったら「あっ」とか「うっ」と言ってくれと。
江口:あのシーンは長かったですね。560テイクぐらい撮りましたか?
堤監督:それはないですが、30テイクぐらいあったかもしれませんね。
本木:専門用語が飛び交う世界で、それをこなすのが大変でした。その中、今枝役の佐藤二朗さんは非常に滑舌が良く、監督は佐藤さんが演技する度に「大オッケー!」とおっしゃっていました。一番大変だったのは、昨年の初夏の頃、東京ではゲリラ豪雨が降り続けていましたが、1995年の灼熱が照りつける8月8日という設定だったので、雨の中でも照明部の方がその日の太陽を作り続けていたことです。撮影も時間との闘いですから、一定の太陽に仕立てていくのは本当に大変で、クレーンの上の照明部の皆さんはトイレの用も足せずに頑張っていらっしゃいました。
 
 

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―――20年前に発刊され、映像は不可能と言われた『天空の蜂』映画化は、かなり覚悟のいる仕事だったのでは?
堤監督:私一人の力量では到底立ち向かえない原作です。非常に緻密に解析されており、人間ドラマとして深い部分もあります。ただ私も20年ぐらいかけて作り上げたチームがあります。そのチームで、原子力発電所はどのようなものか。ヘリコプターがどうやって飛ぶのか。それが分からないと、映画の最後に大変大胆なくだりがありますが、そこには行きつきません。本当にゼロから学び、膨大な資料と向き合い、ロケ場所を探しながら、台本に反映し、長い撮影期間をかけました。また、撮り終わってから何カ月もCGの作業を行いました。中空に浮かんでいる金属の物体にリアリティーを出すことがこんなに大変だとは思いませんでした。
 
 
―――東日本大震災から4年が経ち、今も原発の問題がある中で、特に現在の高校生に伝えたいことは?
堤監督:映画の中で背景として原子力発電所はいい面も悪い面もあり、そこから目を背けてはいけないことを申し上げたいつもりです。みなさんも学習した知識と、足と目と耳と口と鼻と、友達、親、先生と使えるものはすべて使って、自分が納得いくまで調べ、自分なりの結論をだすことが色々なことにおいて必要です。自分が疑問に思ったことは、逃げずに向き合うことが大事です。
 
 
―――子どもを命がけで守る場面があるが、その姿勢に共感する部分はあるか?
tenkuuhachi-6.jpg江口:映画が始まって7分ぐらいで子どもがへりに乗り合わせ人質になってしまい、日本全国民も人質という大事件が起きます。役を演じる中で、自分の子どもが今、空中にいると思うと、立っていられるのか、こんなに冷静にせりふをしゃべれるものなのかと、色々なことを考えました。阪神大震災といい、東日本大震災といい自分の日常にはない怖さがあるのだと、家族ができると余計に敏感に反応し、何かできないかという気持ちが強まります。今回湯原を演じましたが、何か自分が成し遂げたいというものから逃げてはいけない。立ち向かわなければいけない。そこには根性が要るという、根性の映画で日本一諦めない男を演じました。その姿を何も言わなくても、子どもは見ていると思います。
 
 
―――江口さんとの初共演はどうだったか?
tenkuu-s-eguchi-2.jpg本木:江口さんには、同じ80年代に青春をすごし、90年代を中心に活動してきたという親近感や、共に結婚して家族があるという役に近い状況があります。今回の湯原と三島はある意味、陰と陽で性質が分かれていますが、基本的には仕事に没頭する反面、家庭をないがしろにし、親子間のコミュニケーションをうまくとれなかったという後悔を抱えている男です。その辺は、私たちの不定期な仕事と共通するところがあり、お互い共感している雰囲気が伝わりました。基本的に江口さんは普段も情熱をたくさん称えている方で、私はどちらかと言えばウジウジといった感じですので、そのコントラストが映画の役割にも有効だったのではないか。我ながらいい組み合わせだったと思います。
江口:この組み合わせ以上のものはないでしょう。一緒にやっていて本当に刺激されます。三島の言っていること、そのセリフに奥行きがあり、それを本木さんは見事に言ってくれるので、本当にやりやすかったです。
 

―――本木さんが演じた三島は本作のサスペンス部分を盛り上げているが、三島をどのように解釈して演じたのか?
tenkuu-s-motoki-2.jpg本木:脚本と共に東野さんの原作を読んだとき、「意志の見えない仮面を付けた沈黙の群衆」というフレーズが出てきますが、私もまさにその一人でした。世の中では、予想外のタイミングで大変な事件が起きますが、それに対し自分は距離を置いてやり過ごしてきたタイプでした。本作には、そういった自分への戒めをこめて参加した部分があります。三島は自分が抱えた親子の関係の中で、息子とうまくコミュニケーションが取れなかったために、息子を悲しい境遇にさせてしまった後悔がありますが、その根元はどこにあるかといえば、「沈黙の群衆」に行きついたのです。最終的に三島なりの賭けに出る訳ですが、そこには息子への懺悔、自分への戒め、未来への教訓や願いを込めていたと思います。

 
―――本作を作るにあたり、堤監督はどこに一番重点を置いたのか?
堤監督:東野さんのお書きになった内容は、非常に科学的かつ緻密である洞察力と、原発に対する警鐘を発しています。我々が3.11を通じてリアルに感じている現実問題や、巨大な輸送機を作らざるをえない防衛産業の狙いとは何か、事件がおきた後の警察機構のあり方の問題など、今起きている日本の現実を象徴するようなことがこの映画の素材としてたくさんあります。また江口さん、本木さんの二人をトップランナーとして、たくさんの役者さんが全身全霊で演じていただいたこと、現実にはない巨大な飛行物体を作るVFX、ロンドンのリチャード・ブリン氏によりハリウッド並の音楽をつけていただいた音に対する膨大な作業と、語るべき要素もたくさんあります。個人的には親子のことが演技演出的に訴えたい、強い要素の一つです。それらの皆さんに訴えたい、考えていただきたい色々な要素を2時間強にまとめ、「娯楽作品」としてお届けすることが一番私の仕事だと感じ、今回20年連れ添ったチームと共に作り上げました。「娯楽作品」というのが、一番大事なところです。
(江口由美)
 


<作品情報>
『天空の蜂』
(2015年 日本 2時間18分)
tenkuuhachi-530.png原作:東野圭吾「天空の蜂」講談社文庫
監督:堤幸彦  脚本:楠野一郎  音楽:リチャード・プリン
出演:江口洋介 本木雅弘 仲間由紀恵 綾野剛 國村隼 柄本明 光石研 佐藤二朗 やべきょうすけ 手塚とおる 松島花 石橋けい 竹中直人 落合モトキ 向井理 永瀬匡 石橋蓮司 他
2015年9月12日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、ほか全国ロードショー
配給:松竹 
公式サイト⇒ http://tenkunohachi.jp/
(c)2015「天空の蜂」製作委員会
 
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