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2025年3月アーカイブ

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 安倍晋三元首相銃撃犯を描いた『REVOLUTION+1』の足立正生監督が、半世紀に及ぶ逃亡の末、病室で自身の名前を明かし、4日後に末期がんで亡くなった東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡の半生を映画化。古舘寛治主演の『逃走』が、2025年4月4日(金)より京都シネマ、4月5日(土)よりシネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場、元町映画館にて公開される。
 本作の足立正生監督に、お話を伺った。
 
 
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■「なぜ桐島聡はわざわざ本名を名乗ったのか」を考え続けて

――――足立監督は、桐島聡が指名手配された70年代当時、どのような印象を持っていたのですか?
足立:75年〜78年にかけて、自分たちが大きく敗北した問題を総括しなければ先に進めないので、先に進めるために東アジアの同志たちに来てもらったりしていたのです。ですから桐島君という名前は聞いたこともなかった。しかも海外にいたものだから、彼に対して何の知識もない状態でした。東アジア反日武装戦線の人たちは、その世代だけでなく、一世代上の僕らの運動の仕方を毛嫌いしていました。そこには組織官僚主義への反発や、新左翼のイデオロギー風言論への反発があったのでしょう。でも、この映画を作り終わり、新宿に飲みに行ったら、そこで「足立さん、やっぱりこの映画作ったね。だって、昔、何度も一緒にここで酒飲んでいたじゃない」と言われ、こちらがえっ!と驚いた(笑)それぐらい、桐島君と認識すらしていなかったし、何のイメージもなかったです。
 
――――2024年1月に入院患者が、自分が桐島聡だと名乗り出たというニュースを聞いた時はどうでしたか?
足立:(2000年に)強制送還されて日本に戻ってきたら、警察は何か知っているだろうと推測して「桐島、向こうに行ってるんだろ?」と。逆に「桐島って誰だ?」と聞き返しましたが、それが桐島聡という名前を聞いた最初でした。それから長く時が過ぎ、病床で死にかかっている男が「桐島聡」という本名を名乗ったと知り、まさにガン!ときた。ショックでしたね。名乗らないまま死ぬことで逃走貫徹になるわけですから、なぜ今、わざわざ本名を名乗るのか。とても考えさせられました。
 
 
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■逃げる闘いを続ける人へのメッセージではないか

――――桐島さんが名乗り出てから、何度もその理由を考え続けておられたんですね。
足立:色んな思いを整理して結論づけてみたのは、桐島が本名を名乗るのは、いわゆる自己顕示欲では全くない。わざわざ名乗ることで逃走のレベルをもう一つ上の段階に引き上げる“闘い”にしようとした。自分の逃げる闘いの表現を、自分の死をメディアにしてメッセージにしたのではないか。すでに死んだ仲間や逮捕された仲間、さらに言えば、全共闘以降、1万人ぐらいが逃走していると言われています。大半は既に時効が成立していますが、そのような逃げる闘いを自分と同じように続ける人たちへのメッセージなんです。桐島自身が「俺、頑張ったよ」というだけではなく、おそらく仲間や逃げている人たちに頑張ってほしいというメッセージだし、桐島が最後の自分の死をメディアにして、表現を実現したのなら、映画というメディアを持っている我々がそれに応えないでどうする!と思った。それがこの映画を作った根拠です。
 
――――名乗り出るまでは、本当に孤独な闘いでした。
足立:桐島は逃げているというより、地下活動を継続していたのでしょう。桐島みたいに徹底して友人、知人や支援する団体とコンタクトを取ることなく逃げ切るという、この研ぎ澄ました感じは相当苦労が要るわけです。その辛さの中で磨いていたからこそ、最後に本名を名乗るところを推測しながら(脚本を)書けたのです。
 
加えて言えば、東アジア反日武装戦線“狼”部隊の大道寺将司は死刑判決を受け(のち獄中で病死)、たくさんの死傷者を出した敗北的なミスについての贖罪を延々と俳句で詠んできましたが、その中には自分たちが闘おうとした意思がぬぐいきれずに溜まっていた気持ちを詠んだものもありました。その句集を桐島が読み、自分ならどうするのかと考えた末の本名を名乗るという決断ではないかと考え、大道寺の俳句に影響を受けたであろうということも、桐島の真意を推測判断する根拠にしました。
 
――――半世紀にわたる桐島の人生を描くため、色々調べる中で新たに発見したことは?
足立:大枠の人物像はありましたが、それよりも非常に純粋で、モラリスティックで、一直線にバンドをやったと思えば、連続企業爆破のキャンペーン闘争に入っていき、そのまま逃げるという闘争をやっていた。考えていた以上に、人のいい青年が歳を重ねて老けていく中でも人々に愛されるような大人になっていったということが、リサーチした中でさらに明確になったことでしたね。
 
 
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■若い頃の桐島役に入れ込んでいた杉田雷麟

――――笑顔の指名手配写真が非常に印象的でしたが、若い頃の桐島を演じた杉田雷麟さんは風貌も非常に似ていました。
足立:杉田君自身がこの役に入れ込んでいて、桐島本人になっているような気分だったのではないかな。若さがほとばしる一直線でイキイキした感じがないと成立しない映画なので、杉田君は良くやってくれたという感じがありますね。
 
――――チラシでは「最期の4日」と書かれていましたが、実際は逃走前から逃走直後の数年間の若き日を杉田さんが、まさに若さほとばしる感じで演じていましたね。
足立:宇賀神寿一と二人で彼のアパートへ逃げた後、指名手配写真が出回っていたことから、実際には宇賀神が桐島の逃走前に彼の髪を切っているんですよ。それではあまりにも出来過ぎだったので、映画では桐島が自分で切るシーンになりましたが、結局二人は神社で待ち合わせを決めたものの会うことができず「僕がしてあげられたのは髪を切ったことだけだった」と。映画パンフレット用に宇賀神寿一と、大地の牙の浴田由紀子と鼎談をしたとき、本人が語っていましたね。
 
 

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■中年以降の桐島を演じた古舘寛治

――――本作の主役である中年以降の桐島を演じた古舘寛治さんのキャスティングについて教えてください。
足立:たくさんの候補の中から絞り込み、最後の2〜3人になったときに古舘さんの写真を見たら「もう桐島がいるじゃないか!」と。それですぐにオファーしました。古舘さんは最初、僕を警戒していたみたいですが。
 
――――古舘さんは深田監督作品でも知られる演技派俳優ですが、目立たないように生きてきた桐島の雰囲気がよく出ていましたね。
足立:出しゃばらない感じや、突き飛ばされてもひっくり返らないようなしぶとさがちゃんと混在して、桐島という人物が実在した感じが出ている。古舘さんはちゃんと人物像を整理してくれたと思うし、できるだけ芝居をしないようにという共通認識を持って演じてもらいました。自分のやりたいようにト書きやセリフを変えていいと言ったら、最初から最後まで真っ赤に書き込みをしてくるから「全部書き直してるじゃないか」というと、「赤く書いている部分を全部足立さんに聞いてから、判断しようと思います」と言われて。結局セッションをして全部解決したり、なかなか楽しかったですよ。
 
――――死の間際まで演じておられ、俳優冥利に尽きる役だったのでは?
足立:長セリフもあるし、自分の分身である坊主との禅問答など大変だったと思いますが、古舘さんも楽しくやっていたと思いますよ。「こんなに詰めた撮影をされるのは初めてだ」と言っていましたが。彼のスケジュールに合わせ、10日間の撮影だったので「余裕じゃないか」と言ったら、(古舘さんは)怒ってましたね(笑)。
 
――――映画の中で特にしっかり見せようと思ったシーンは?
足立:最期の4日間という時間のくくりの中でまとめなければ、3時間ぐらいの映画になってしまう。だからそのくくりの中で、現実の桐島は死ぬ間際に病室のベットにいるだけの姿なのですが、その全ての過去を回想し、妄想して思いを馳せながら本名を名乗るところに帰結していく。妄想の側から回想シーンや病室の現実シーンを見るという編集にしたいというのが僕の要求で、ある人が「妄想、回想、現実がポップに編集されているから、しんどくなかった」と感想をくれたけれど、そういう編集にしているから当然なんです。
 
 
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■ラッキーを呼び込んでいた桐島の人となり

――――70年代、履歴書や自分を証明するものを提示しなくても、住み込みで雇ってもらう様子や、桐島の人生を通じて日本社会の変遷も映し出していますね。
足立:高度成長期でしたから、履歴書は全く関係なかったし、特に日雇い仕事には底辺労働者が群れをなしていた。よくて山谷や釜ヶ崎、もっと悲惨な寄せ場もたくさんありました。桐島たちも大学を追い出されてから山谷に入りますが、そこで仕事をすると目立つので他の手配所から仕事を得ていたんです。その後藤沢に流れ着いて38年間過ごします。大規模工事をするような土建会社ではないとか、桐島が原則的にやればやるほど、ラッキーを呼び込むようなところがありましたね。
 
――――変な欲を出さない限り、平穏な暮らしを続けられる人物だったと?
足立:自分より随分若い女性に惚れられることがあっても、自分が逃亡者でいずれ迷惑をかけるので「結婚できない」と自制する部分も桐島にはありました。何よりも最期に今まで貯めてきた250万の現金を病院に持っていき、自分の入院費を支払っているんです。一事が万事。そのエピソードに彼の性格が象徴されていますよ。
 
――――阪神淡路大震災など、逃走の間日本で起きた歴史的な事象も挿入していますね。
足立:桐島は逃げているだけですが、同時にキャンペーン闘争をまだ続けたいと思っているので、時代の動きが彼には生々しく伝わってくるんですよ。それなのに何もできない、何もやれないという気持ちが積み重なった49年間なのです。ただ、のっぺらぼうに過ぎたわけではない。日々逃げるしんどさはあるけれど、逆にこれはどうするのという感じは、僕も多少わかるんです。その切なさの中で、宇賀神の亡霊が「切ない、苦しい闘いでも幸せはある。お前やってみてくれないか」と言います。あんな無責任なセリフは誰にも書けないですよ。でも僕は、ぜひ宇賀神にそれを言わせたかった。
 
 

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■現代の閉塞感との共通性を捉え、桐島世代の人々の生き様がもう一度広く論議されれば

――――桐島に対する映画でのアンサーだとおっしゃっていましたが、実際に映画が完成してのお気持ちは?
足立:所詮、自分でイメージした桐島しか描けないので、できるだけリサーチしたものを反映して俳優に演じてもらうことで突き放していくというプロセスを取って作りました。試写を終わって、身につまされて泣いて出てくる同時代の方もいらっしゃるし、若い方には現代の閉塞感との共通性を捉えてもらえるところまで、見ていただければもう言うことはないですね。
 
――――高橋伴明監督も「桐島です」を作られていますが、足立監督と同時期にお二人が桐島聡の映画を作って公開するということにも、大きな意味を感じますね。
足立:最初はもう一人、桐島聡の映画を撮ろうと考えていた人がいたんですよ。それぐらい彼が本名を名乗ったことで高い関心が寄せられていたし、高橋伴明さんは桐島と同世代だから余計にそうでしょう。映画が公開された後で、桐島像や桐島世代の人々の生き様がもう一度広く論議されたり、捉え直されたりすればいいのではないかと思います。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『逃走』
2025年 日本 114分 
脚本・監督:足立正生 
出演:古舘寛治
杉田雷麟  タモト清嵐 吉岡睦雄 松浦祐也 川瀬陽太 足立智充  中村映里子
2025年4月4日(金)より京都シネマ、4月5日(土)よりシネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場、元町映画館にて公開
4月5日(土)にシネ・ヌーヴォ、京都シネマ、4月6日(日)に第七藝術劇場、元町映画館にて足立正生監督、中村映里子さんの舞台挨拶あり(予定)
公式サイト:kirishima-tousou.com
(C) 「逃走」制作プロジェクト2025
 

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■日時:2025年3月18日(火)18:30~

■場所:シネマート新宿

■登壇者:アダム・エリオット(監督) MC:東紗友美



★アダム・エリオット監督が“主演”のグレースとともに上映後Q&Aに登壇!

★「AIの時代においても、人間の手によって作られるアニメーションの価値を大切にしてほしい」

 

第97回アカデミー賞(R)長編アニメーション賞ノミネート、アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞)受賞をはじめ各国の映画祭を席巻している珠玉のストップモーション・アニメーション映画『かたつむりのメモワール』が、6月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて全国公開となります。


Memoir-pos.jpg幼い頃から周囲に馴染めず、孤独を抱えて生きてきた女性グレース。カタツムリを集めることだけが心の拠り所だった彼女が、個性豊かな人々との出会いと絆を通して少しずつ生きる希望を見出していく…。本作は、波乱万丈な半生をユーモアとサプライズ満載で優しく描いた温かな人生賛歌。オスカー受賞歴を持つアダム・エリオット監督が8年間もの製作期間をかけ、<セット数200、小道具700個、総カット数13万5千>という膨大な手作業によって生み出された、愛と情熱にあふれたクレイアニメーションだ。時にブラックユーモアやビターな現実も織り交ぜながら、人生の喜びと悲しみにそっと寄り添う視点は、批評家・観客双方から絶賛を集め世界中で数々の映画賞を獲得。アヌシー国際アニメーション映画祭でクリスタル賞(最高賞)に輝き、アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされた。


この度、3月18日(火)にアダム・エリオット監督が登壇しての先行上映が行われましたので、その模様を下記にて紹介itいたします。



Memoir-bu-500-1.JPGその『かたつむりのメモワール』が、6月27日(金)の公開を前に、来日したアダム・エリオット監督が上映後Q&Aに登壇するスペシャル先行上映が3月18日(火)シネマート新宿にて行われた。アダム・エリオット監督は21年前となる2004年の『ハーヴィー・クランペット』でアカデミー賞(R)短編アニメーション賞ほか32に及ぶ映画賞を受賞し、一躍世界的な注目を集めたのち、日本でも2011年に公開された初長編作品『メアリー&マックス』(2009)でアヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞(最高賞)を受賞。『かたつむりのメモワール』は実に15年ぶりの待望の長編新作となるアダム・エリオット監督。登壇時には、本作の「主演」でもあるカタツムリの帽子を被ったグレースの人形も一緒だった。

 

■日本文化が大好き!来日は6回目!

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日本文化が好きというエリオット監督。今回に来日については、「明日、新潟国際アニメーション映画祭に行くんですけれども、今回は5日間と割と短い滞在です。実は今回で6回目の来日で、日本に来るのは大好きです。日本の文化も、その文化をリスペクトして守っている日本の方々も大好きです。そして何よりも僕の映画に出てくるジョークを理解してくれて、笑ってほしいポイントでしっかり笑っていただけるっていうのが、すごく嬉しいです」と手放しで喜びを語った。「前作の『メアリー&マックス』(2009年 ※日本公開は2011年)から15年ぶりとなる新作ですね」とMCから振られると、「かなり時間が経っていますから、この作品を発表した時、結構驚かれた方も多かったんですよね。あまりにもしばらく見ていなかったから(監督は)死んじゃったのかな?と思っていた方もいるぐらいなんです。次の長編はこんなにお待たせしないように3~4年くらいで届けしたいなと思っています」と早くも次回作の構想も持っていることを明かした。


今作はアヌシー国際映画祭での最高賞であるクリスタル賞受賞を始め、世界中の映画祭を巡り、先日はついにアカデミー賞長編アニメーション部門のノミネーションを果たした。授賞式に参加された時の気持ちを聞かれたエリオット監督は、「25年前に『ハーヴィー・クランペット』で(短編アニメーション映画賞を)受賞をしてはいますが、アカデミー賞にまさか2回もノミネーションされるなんて、まるで稲妻に2回打たれるような、そんなことだというふうに思いました」と、『ハーヴィー・クランペット』の主人公が雷に打たれる場面と絡めてユーモアを持って答えた。そして「授賞式は、正直ストレスを感じました。たくさんの人に(自分を)見られますし、取材やメディアの数もとても多くてちょっと疲れてしまいました(笑)。私はむしろ、こういった上映の場のQ&Aを通して観客のみなさんとお話しできる方が楽しいです」と素直な気持ちを語った。

 

■このユニークな作風はどうやって生まれたのか?

「どんな人生にも光と闇がある。だから自分はそれを映画で描いている」

「世界のどの国で見られても、共感されるキャラクターを心がけている」

 

Q&Aに移ると、早速、今日の上映に駆けつけたファンから次々と手が挙がった。

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最初の質問は、監督の作風についての質問で、「時に世の中の残酷な一面も描く作風や表現方法は、どのようにして生まれたのか?」という質問。エリオット監督は、「私たちの人生には笑えることも悲しいこともあります。光と闇があるんです。ですので、私の映画はみんなの人生を反映させているだけなんです。その上で、映画を観ていただいた時に、何か皆さんの“(心の)栄養”になるような作品を作りたいんです。単に楽しいとか悲しいという以外に、何かが心に残るような作品です。2回、3回と繰り返し観たくなり、映画を観たそれぞれの方々にとって特別な意味を持つような作品を作りたいです」と真摯に返答した。

さらに「例えば『自分はこの世界であまり価値がないんじゃないか?』と思ってらっしゃる方や、『自分は他の人には見えずに、透明人間みたいになってるんじゃないか?』と思ってるような方に、『いや、自分は価値があるんだ、一人じゃないんだ』と感じられる助けにもなれるようなキャラクターを作るように心がけています。今作の主人公であるグレースは、映画の中で孤独な時間を経験します。でも、おそらくみなさんも人生のどこかでそういう経験をなさっているのではないかと思いますし、社会に居場所がないと感じる人もいらっしゃるかもしれない。実は私自身も、この変わった作風のせいで、映画業界ではなかなか話せる人がいないんですよね。そういう時、自分には居場所がないんじゃないか?と思ってしまったりすることもあります。だからこそ、今回のようなQ&Aがとても好きなんです。それは自分の友人をここで見つけることができるから。ちょっと変に聞こえるかもしれませんが、グレースは私自身なんですよね他のキャラクターにも同じく私自身が投影されています。自分が作るキャラクターはとにかく国を問わず、みなさんが共感できるということを大事にしているんです」と語ると、会場からも拍手が起こった。

 

■今回はハッピーエンディングにしたかった!

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『メアリー&マックス』に続き、エリオット監督作品のエンディングは、忘れられないようなカタルシスをもたらす。本作も例外ではなく、上映後もXには「こんなの見せられたら泣くよ!」といった感動のコメントが続々と投稿されている。(ネタバレになるので書けないものの)映画を観た観客からはエンディングについての質問も挙がった。エリオット監督は、「私が書き始めた時、8年前ですが16本の脚本のドラフトを作ったんです。実は、最初の案は少し悲しすぎるものでした。今までの作品はあまりハッピーエンディングとは言えないものでしたので、今回はハッピーエンディングにしたかったんです。ただ、安易な形ではなく、主人公のグレースが、自分の価値を見つけて、自立した強い女性になるところまではきちんと描きたかったんです。エンディングはある意味、彼女が報われるようなものにしたかったから、今の形になりました」と丁寧に意図を語った。

 

■火葬と土葬について 死にまつわるものへの興味

観客からは少し角度を変えた質問もあった。「オーストラリアでは土葬が主流なはずだが、映画では火葬が登場する。これには何か意図がありますか?」という質問が挙がると、エリオット監督は「実はオーストラリアでは、以前は土葬が主流でしたが、現在は火葬も増えているんです。今回、火葬を選んだのは、『身体が灰になる』ということでコメディ要素に使い易かったからです。また、オーストラリアでも日本と同じように遺灰を壺に入れて家に置いていらっしゃる方が多いんですね。土葬だとお墓になって墓地に置かれるけれども、火葬だとなぜ皆さん家に持って帰るんだろうってことがとても不思議だったんです」と“死”にまつわるものへの興味が前々からあったことを明かした。

 

■本作の見どころは?

「すべてが手作りでCGは一切使用していないということ」

「良質なアートというものは人間の手によって作られるものなんです」


Memoir-bu-240-3.JPG最後に本作の見どころをたずねられたエリオット監督。すると即座にこう答えた。「全部が手作りでリアルだということです。CGは一切使用していません。火事は黄色のセロファンを使っていますし、タバコの煙はコットン(綿)です。人形たちの“涙”については、(『これは言ってもいいのかな(笑)?』とスタッフを見遣りながら)性交時などに使われるローションを使っています」と明かすと、会場からも驚きの歓声が上がった。監督は続けて「CGで作られるアニメーションも多いけれど、おそらくこの先、CGI(※Computer Generated Imageryの略で、コンピューターグラフィックスで生成した画像やアニメーション)によってアニメーションが作られていくということが、残念ながら増えていくのではないかと憂えています。そこで皆さんにも思い出していただきたいのが、『良質なアート』というものはやはり人間の手によって作られるものだということで、AIというものは、『人間の経験』というものを取って変わることができない、絶対にできないんだということ。AIが今後どういうふうに活用されるかということは、しっかりと見ていきつつ、やはり日本を含め、世界中のアーティストを祝福するような、そういう映画の見方であったり、作品の見方をしていきたいと思います。ありがとうございました!」と力強く締め括ると、会場からは盛大な拍手が沸き起こった。
 



【アダム・エリオット監督  プロフィール】

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メルボルンを拠点にインディペンデントで活動するオーストラリア人のアニメーター、ビジュアル・アーティスト。家族や親族を題材にした短編『アンクル』(1996)、『カズン』(1998)、『ブラザー』(1999)で国内外のアニメーション賞を数多く受賞し、ジェフリー・ラッシュがナレーションを担当した『ハーヴィー・クランペット』(2004)でアカデミー賞(R)短編アニメーション賞ほか32に及ぶ映画賞を受賞し、一躍世界的な注目を集める。初長編作品『メアリー&マックス』(2009)はサンダンス映画祭でプレミア上映され、アヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞(最高賞)を受賞。劇場上映後も配信で人気を博し、現在ブロードウェイ・ミュージカルとヨーロッパで6つの舞台化が進行している。これまでのキャリアで1000以上の映画祭に招待され100以上の賞を受賞。パリ、日本、カナダ、メキシコ、スペイン、シンガポールで彼の“クレヨグラフィー(クレイアニメーションのバイオグラフィー)”の展覧会や回顧展が多数開催されている。
 


<作品概要>

製作期間8年!セット数200、小道具7000個、カット数13万5000…
ストップモーション・アニメへの途方もない愛と情熱が生んだ、温かな人生賛歌!

ギレルモ・デル・トロ監督も絶賛!

「大好きな映画。人生を肯定する美しさとユーモアにあふれている」
時にブラックユーモアも織り交ぜながら、誰もが共感できる人生の喜びと悲しみ、ほろ苦さにそっと寄り添う温かな視点は、批評家・観客双方から賞賛を集めている。ロンドン映画祭では実写映画も含むすべての作品のなかで最優秀作品賞に輝き、全米批評サイトRotten Tomatoesでは95%フレッシュの圧倒的な高評価を獲得している(1/21時点)。


昨年10月に開催された第37回東京国際映画祭で『メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)』として出品された本作は、エリオット監督の15年ぶりの待望の最新作ともあり大きな話題を集め、チケットは即完売。満席の大盛況となり、SNS上で「アヌシー最高賞も納得の傑作」「すべてが愛しい」「クレイアニメのチャーミングさに泣き笑う」と感動と愛に満ちた絶賛の口コミが多数投稿され、いち早く本作を鑑賞した日本の映画ファンたちに大好評で迎えられた。
 



<STORY>
Memoir-550.jpg1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなり、病気がちで学校ではいじめっ子の標的にされるグレースだったが、いつも守ってくれる頼もしいギルバートと、愛情深くひょうきんな父が側にいてくれた。しかし突然、父が睡眠時無呼吸症候群で亡くなり、グレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことに。離れ離れになった2人は手紙で励まし合い「いつか必ずまた会おう」と約束するが、グレースは寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となった孤独な日々を送るようになる。そんなある時、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、2人はいつしかかけがえのない友だちになっていく…。


監督・脚本:アダム・エリオット『メアリー&マックス』『ハーヴィー・クランペット』 
出演(声):サラ・スヌーク『スティーブ・ジョブス』『プリデスティネーション』、ジャッキー・ウィーバー『世界にひとつのプレイブック』、コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、ドミニク・ピノン『アメリ』、エリック・バナ『ハルク』、ニック・ケイヴ 
2024年/オーストラリア/英語/94分/カラー/5.1ch/G
原題:Memoir of a Snail/日本語字幕:額賀深雪
配給:トランスフォーマー
©2024 ARENAMEDIA PTY LTD, FILMFEST LIMITED AND SCREEN AUSTRALIA

公式サイト:
https://transformer.co.jp/m/katatsumuri/

2025年6月27日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿、ほか全国順次公開


(オフィシャル・レポートより)

 

 
 

激しく、美しく、破滅的 心揺さぶるラブ・サスペンス

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「現実に生きるキャラクターたちの葛藤と生存の物語を描きたかった」


ネイサン・スチュワート=ジャレットとジョージ・マッケイW主演で贈る、心揺さぶるラブ・サスペンス『FEMME フェム』が、3月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開となります。


FEMME_poster.jpgナイトクラブのステージで観客を魅了するドラァグクイーン、ジュールズ。ある夜、ステージを終えた彼は、タトゥーだらけの男プレストンと出会う。だが、その出会いは突然、憎悪に満ちた暴力へと変わり、ジュールズの心と体には深い傷が刻まれる。舞台を降り孤独な日々を送りながら、彼は痛みと向き合い続けていた。数ヶ月後、偶然立ち寄ったゲイサウナでジュールズはプレストンと再会。ドラァグ姿ではない彼を、プレストンは気づかぬまま誘う。かつて憎悪に駆られジュールズを襲った男が、実は自身のセクシュアリティを隠していたことを知ったジュールズ。彼はその矛盾を暴き、復讐を果たすため、密会の様子を記録しようと計画する。ところが、密会を重ねるたび、プレストンの暴力的な仮面の奥にある脆さと葛藤が浮かび上がる。プレストンの本質に触れるたび、ジュールズの心にもまた説明のつかない感情が芽生え始める。待ち受けるのは復讐か、それとも──。

 

ベルリン国際映画祭で初披露され、英国インディペンデント映画賞で11部門ノミネートされるなど、賞レースを賑わせた。主演には『キャンディマン』のネイサン・スチュワート=ジャレット、最新作『けものがいる』が日本公開を控えるジョージ・マッケイ。差別的な動機による暴力で心身に深い傷を負ったドラァグパフォーマーが、自らを襲撃した男と危うい駆け引きの渦に引き込まれていく。支配と服従が交錯する先に待つのは、復讐か、それとも赦しか──。


本作のメガホンをとったサム・H・フリーマンとン・チュンピンからコメントが到着しました。
 

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『FEMME フェム』の発端となったのは、ネオノワール・スリラーというジャンルに根付く「ハイパー・マスキュリニティ(過剰な男らしさ)」の概念を覆したいという思いから始まった。私たちはこのジャンルを愛しているが、そこにクィアな視点が欠落していることを以前から感じていた。そこで、リベンジ・スリラーの中心にクィアの主人公を据えることで、新たな価値観を提示できると考えた。


しかし、制作が進むにつれ、本作は単なる復讐劇にとどまらず、セクシュアリティ、マスキュリニティ(男らしさ)、家父長制、アイデンティティといったテーマを深く掘り下げる物語へと発展していった。私たち自身の経験や恐怖、怒りを見つめ直すことで、よりリアルで観客に共鳴する物語が形作られたのだ。


Femme_sub01.jpg最終的に、この映画は「ドラァグ」そのものについての物語だと確信した。ジュールズが纏うフェミニンな「ドラァグ」はもちろん、本作に登場するすべてのキャラクターが何らかの「ドラァグ」を纏い、それを通じて自らの力や社会的地位を築いていることに気づいたからだ。本作は、その仮面が剥がれたときに生じる変化を描いている。


また、映画の道徳的な枠組みに縛られることなく、善人が正しい道を歩み、悪人が報いを受ける──そんな単純な構造ではない、現実に生きるキャラクターたちの葛藤と生存の物語を描きたかった。この映画を作ることは、私たち自身にとってもエキサイティングで、カタルシスをもたらす経験となった。観客の皆さんにも、ぜひこの旅に加わってもらいたい。
 

観る者の心をかき乱すラブ・サスペンスの傑作『FEMME フェム』は、3/28(金)より新宿シネマカリテ、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開。


STORY誘惑こそ復讐

Femme_main-550.jpgのサムネイル画像

ヘイトクライムの標的にされたドラァグクイーンのジュールズは、自分を襲ったグループの一人プレストンとゲイサウナで顔を合わせる。性的指向をひた隠しにしているプレストンに復讐するチャンスを得たジュールズは、巧みに彼に接近していくが、徐々に説明のつかない感情が芽生え始める。待ち受けるのは復讐か、それとも──。


監督・脚本:サム・H・フリーマン、ン・チュンピン 
製作:ヘイリー・ウィリアムズ&ディミトリス・ビルビリス 
撮影:ジェームズ・ローズ 編集:セリーナ・マッカーサー
出演:ネイサン・スチュワート=ジャレット、ジョージ・マッケイ、アーロン・ヘファーナン、ジョン・マクリー、アシャ・リード
2023年/イギリス/英語/98分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
原題:FEMME/字幕翻訳:平井かおり/映倫R18+
配給:クロックワークス
© British Broadcasting Corporation and Agile Femme Limited 2022   
公式サイト:https://klockworx.com/movies/femme/

2025年3月28日(金)~新宿シネマカリテ、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開。


(オフィシャル・レポートより)

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『KCIA南山の部長たち』『ソウルの春』『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』に続き、韓国現代史の闇を市民の人々の視点で描く『1980 僕たちの光州事件』が、4月4日(金)より、シネマート新宿ほか全国公開いたします。果たして、これまで同じ光州事件を舞台に映画で描かれていた作品と本作との違いとは何なのか?ぜひ本ニュースのご掲載をお願いいたします。


1980-pos.jpg『KCIA 南山の部長たち』では長年独裁者の座に君臨したパク・チョンヒ大統領の暗殺事件を、『ソウルの春』ではその直後に起きたチョン・ドゥファンによる軍事クーデターを、それぞれ史実を基にしたフィクションとして傑作映画に仕立て上げ大ヒットに導いた韓国映画界。そんな中、忘れてはならないのが『ソウルの春』で権力の座を簒奪した軍事政権が引き起こした歴史的悲劇「光州事件」だ。先の2作品と同じく大ヒットを記録した『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』で描かれたのは、民主化を叫ぶ善良な市民たちを虐殺する軍人たちの姿を、世界に伝えなければという使命感に目覚めてゆくタクシードライバーとドイツ人記者のエモーショナルな姿だった。本作はその事件のど真ん中に生活をしていた「ごく普通の家族」の姿に焦点を当て、権力が市民の小さな幸福をいかにして踏みにじったのか、そして悲劇の中にあっても大切な人を守りたいと願う思いがいかに尊いものであるかを、時にユーモアを交えながらも切々と描いてゆく。涙なくしては語れない韓国現代史劇の新たな傑作映画がここに誕生した。


『ソウルの春』がもたらした一つの残酷な結末であり 『1987、ある闘いの真実』に続く物語であると同時に、『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』とは似て非なる1980年5月の物語


1980_08.jpg本作で描かれた<5.18光州民主化運動>は、<12.12軍事クーデター>を扱った『ソウルの春』の結果であり、<6月民主抗争>を扱った『1987、ある闘いの真実』の始まりに関する話として、韓国現代史において最も重要な瞬間だったと言える。カン・スンヨン監督は「背景となる79年、80年は、韓国の現代史において18年間の抑圧的な独裁政治を断ち切り民主化へ進むのか、あるいは退行するのか、揺れ動く激動の時期でした」と言い、「1980年5月18日から5月27日までの10日間、無慈悲な公権力と国軍の銃口に抗議し抵抗した市民たちの志は、5.18民主化運動として昇華され、更に1987年6月10日の抗争へと続く民主化の熱望の種となったんです」と語る。だからこそ本作は<5.18光州民主化運動>を一つの事件として切り離して描くことをせず、歴史の流れにおける重要な精神を描こうと務めている。


1980_sub2.jpgしかし本作は『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』と同じ時期の同じ土地を描いてはいるものの、その性質を大きく異にする物語だ。この2作品の異なる点は、『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』が外部の人間の目線でその日の光州を描いたのに対し、本作は光州の南道庁裏通りで5月17日に中国料理店を開業したチョルス一家と近所に暮らす人々の目線、つまりはその土地で生活し自分たちのささやかな幸せを守りたいと願う「私たちの物語」だという点である。愛すべき隣人たちがそれぞれの立場に分かれ、普段の私たちを支えている根本的な常識が崩れていく。彼らが感じた混乱と不安を観客は肌で感じることになるだろう。


1980-11.jpgカン・スンヨン監督は1980年のあの時をそのまま再現するために心血を注ぎ、3ヶ月間のデザイン設計と2ヶ月間の施工、合計約5ヶ月の準備期間を経て作り上げられた。平凡な暮らしとささやかな幸せだけを願った家族を襲った悲劇を市民の人々の視点でリアルに描き、涙なくしては語れない韓国現代史劇の新たな傑作映画がここに誕生した。


STORY:1980年5月17日。チョルスの祖父は念願だった中国料理の店をオープンさせる。父親はどういうわけか家にいないけれど、チョルスの大好きな幼馴染のヨンヒや優しい町の人たちに祝福されて、チョルスと家族は幸せに包まれていた。しかし輝かしい未来だけを夢見る彼らを、後に「光州事件」と呼ばれる歴史的悲劇が待ち受けていた。
 

監督・脚本:カン・スンヨン 
出演:カン・シニル、キム・ギュリ、ペク・ソンヒョン、ハン・スヨン、ソン・ミンジェ
2024年/韓国/韓国語/99分/シネマスコープ/5.1ch
字幕翻訳:本田恵子/字幕監修:秋月望
/原題:1980/映倫G
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx.com/movies/1980/  
© 2024 JNC MEDIA GROUP, All Rights 

2025年4月4日(金)より、シネマート新宿ほか全国公開


(オフィシャル・リリースより)

 


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累計 230 万部突破!現在も連載中の安斎かりんによる大人気少女コミックスの実写化で、顔が良すぎる最強青髪イケメン・宇郷奏人(うごうかなと)先輩とその“中の人”(SNS 運営)になってしまったヒロインの新体感型ラブコメディ、映画『顔だけじゃ好きになりません』が全国の劇場で大ヒット上映中!


kaodake-pos.jpg顔が良すぎる青髪男子・奏人役には、国宝級イケメン’24年上半期 NEXT ランキング1位(ViVi)を獲得し、映画やドラマに引っ張りだこな若手俳優・宮世琉弥(みやせりゅうび)。ヒロイン・才さ南な役には、久間田琳加(くまだりんか)。さらに、中島颯太(なかじまそうた)(FANTASTICS)、米倉れいあ(よねくられいあ)が出演!監督は、映画『ライアー×ライアー』(21)や『映画刀剣乱舞』シリーズなどの耶雲哉治(やくもさいじ)、脚本は大人気ラブストーリードラマ「Eye Love You」(24/TBS)でオリジナル脚本を務めた、三浦希紗(みうらきさ)が担当し、さらに、ILLIT による初の日本オリジナル曲「Almond Chocolate」が主題歌として本作を甘く彩ります♡


3月15日(土)に、映画の公開を記念して、大阪で本作の大ヒット御礼舞台挨拶を実施いたしました。映画が公開され1週間が経ち、演じた青髪イケメン・奏人に沼落ちする女子からの反響が SNS を中心に続々と届いている宮世がその心境を語る場面や、事前に一般の方から SNS で募集した質問に対して答える企画では、制作側だからこそ知る貴重なエピソ ードトークなどが繰り広げられました。


◆日時:3月15日(土) 17:00〜17:30 ※上映後舞台挨拶

◆会場:TOHOシネマズ梅田 スクリーン1

◆登壇者(敬称略):宮世琉弥、耶雲哉治監督


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会場では大歓声が上がる中、顔が良すぎる青髪男子・宇郷奏人を演じた宮世は「宮世琉弥です。よろしくお願いします。あ、これ言いたかったんですよ。皆さんお足元が悪い中、来てくださってありがとうございます。」と紳士的に挨拶。「語彙力高めでしたね。」と会場の笑いを誘った。続いて監督の耶雲は「皆様今日はあいにくの天気でしたが、この映画と舞台挨拶を通して、皆さんの心が晴れ渡るように今日は頑張っていきますので、お願いします。」とさらに“豊富な!? ”語彙力を使い対抗するように挨拶。普段からの仲の良さがにじみ出る 2 人だったが、会場に監督の名前パネルを見つけ、関西ならではの熱い空気感を受け取っていた。


kaodake-bu-240-11.jpg「青髪ビジュの奏人先輩にドキドキしっぱなし!」「好きなものを好きって言えるってかっこいい!」など映画の反響について宮世は、「嬉しいですよね。素直に。僕も、こんなモテる学生生活が良かったです。」と呟き、実際モテなかったんですか?と問われると、「いや、まあまあまあ・・・ある程度はモテましたけど。」と少し照れながら答えた。劇中で挑戦した青髪について、「自分ではわからなかったんですけど、周りからすごく似合ってるよ!って言ってもらって、自己肯定感を高めていました。」と明かした。


本作に対する特に印象的な感想・口コミについて、監督は「届いてます!僕も宮世くんもエゴサするんですけど、原作ファンの方が見に行って、『さらにこの顔好きが好きになりました』とか『漫画のコマとコマのアクションが、上手く具現化されていた』など嬉しい感想が並んでいて、原作ファンに届いたっていうのが嬉しいですね。」と答えた。そこから、XやInstagramの推し活の話になると、宮世が「僕が投稿すると、2秒後くらいに1!とか2!とかコメントされるのがわからなくて・・・そのオタクの方の気持ちがまだ共感できないんです。」と日頃の疑問を明かした。それに対し、監督が「それは一番に来ました!ってことを知ってほしいんだよ。」と答えると「なるほど!今共感できました。」と納得した様子に。


kaodake-bu-240-2.jpg推し活の楽しさや、好きな人に好きと伝える楽しさなど、ポジティブなパワーをもらえる作品で2時間ずっとパワーをもらえて幸せでしたという声には、監督は「今回原作を読んで、才南ちゃんのパワーの源が“人を応援する”っていうことで、そうすることで自分の中にもまたパワーが湧いてくると思ったので、しゃべり続けるキャラクターにしました。」そして会場にいる宮世のファンを見ながら「推しを応援するパワーがそれこそ宮世くんに届いてパワーになっていますよね、推し活っていいことだらけだと思います。」と言い、宮世も「僕もイベントに行ったときとか、歓声を浴びることで、元気をもらってるんです。そのときのキャーと歓声をもらっている動画も見返したりして。皆さんの声援や応援が元気の源になっています。」と明かした。


写真が趣味の宮世に対して SNS でバズる写真を撮るとしたら大阪で何を撮影したいかと聞かれると、「クイズ形式で撮りたいです。例えば太陽の塔の一部分だけ撮って、大阪のここはどこでしょうってSNSにあげる。」とファン参加型の回答を披露。意外な答えに会場ではざわめきが起こった。


さらに、今回の舞台挨拶では特別に、映画の主題歌「Almond chocolateの歌詞にちなみ【私だけが知っている、「#映画顔好き」の○○だけじゃない魅力】を PR するために、映画公式 SNS にて一般の方に事前に質問が募集されており、その質問に対して宮世と監督が答えることに!


kaodake-bu-240-12.jpgまず、「奏人先輩のバックハグや、心の声を漏らす多くの沼シーンでこだわったキュンポイントはありますか?」という質問に対して、宮世は「ほかの女の子に見せない、才南だけへの笑顔などの表情がポイントです」とコメント。監督も「才南にだけ向ける笑顔の部分は、とても良かったよね。ギャップを大事にしていて、才南にだけ見せる笑顔や、弱い表情だったり、拗ねてる感じとかキュンとしたし、才南の言葉に奏人が揺れる顔とか、細かい表情が、僕的にはキュンとしました。」と話した。


最後に監督は「この映画は、“推し!”“推す!こと”、“堂々と好きなことを好きだということ”が、エネルギーになり、ポジティブなパワーになるからやっていきましょうっていう思いで作りました。さっき宮世くんが言ったように、歓声があるだけで、応援してもらうだけですごく元気になると同時に、応援する側も同じだけエネルギーをもらっているんだなと感じていて。だから、映画の中でも応援している、推すことで才南も元気になっていく。推しを推すことでいいことしかない!ということを伝えたかったので、この映画を見ていいな。好きだな。と思ってもらえたら、ぜひその気持ちを堂々と大きな声で広げていただければなと思います。」と挨拶した。


宮世は「この映画は、好きということを全力で伝えることは、かっこいいことなんだと教えてくれる作品です。前半はラブコメで、後半には才南や奏人の心がだんだんと開いてきて・・・ヒューマンドラマになっていく、2種類の味が楽しめると思います。観たりないよ!という方は、ぜひもう一度映画館で見てほしいです。また、素敵だなと思っていただけた方は、周りにお勧めしていただけたらなと思います。ありがとうございました。」と挨拶をし、会場があたたかい拍手に包まれる中、舞台挨拶は幕を閉じた
 


【ストーリー】

私が、推しの“中の人”(SNS運営)に!? 整った顔をこよなく愛するオタク女子・才南(さな)(久間田琳加)の推しは、 学校一顔が良い青髪男子・奏人(かなと)先輩(宮世琉弥)。 ついに校内で推しとの遭遇を果たすが、授業をサボりすぎて退学寸前の先輩から思わぬ依頼が……! 「アカウントの“中の人”(運営)になってくれない?」 学校公式アカのフォロワー10万人達成を条件に、先輩の退学が撤回されると知り、 自分が“中の人”だとバレないよう、この極秘ミッションに挑む才南だったが……。 先輩から、ハグやキス未遂……予想外の行動が!?!? さらに、顔だけじゃない“こじらせかわいい”先輩の素顔を知り、想いを募らせていく。 そんな中、クラスメイトの土井垣(どいがき)(中島颯太)が、ふたりの関係に気づいてしまい……!?

 

出演:宮世琉弥 久間田琳加 中島颯太(FANTASTICS) 米倉れいあ
監督:耶雲哉治 脚本:三浦希紗
原作:「顔だけじゃ好きになりません」安斎かりん(白泉社「花とゆめ」連載)
音楽:遠藤浩二 主題歌:「Almond Chocolate」ILLIT(Polydor Records)
製作:『顔だけじゃ好きになりません』製作委員会 制作
プロダクション:アスミック・エース ROBOT
配給:アスミック・エース
Ⓒ2025『顔だけじゃ好きになりません』製作委員会
●公式サイト:https://kaosuki.asmik-ace.co.jp
●公式X・公式Instagram・公式TikTok:@kaosuki_movie

絶賛公開中!


(オフィシャル・レポートより)

 

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数々の話題作を世に送り出し、国内外で高い評価を得ている柚木麻子の小説『早稲女、女、男』が映画化され、昨日より『早乙女カナコの場合は』として全国公開されている

主人公・早乙女カナコ役を橋本愛、長津田役を中川大志が演じる。そして監督には『三月のライオン』『ストロベリーショートケイクス』などで知られる矢崎仁司。その他に山田杏奈臼田あさ美中村蒼根矢涼香久保田紗友平井亜門吉岡睦雄草野康太、のんといった若手から実力派まで幅広い俳優陣らが出演する。

本日3月15日(土)に主演の橋本愛、中川大志、山田杏奈、臼田あさ美、矢崎仁司監督が登壇する『早乙女カナコの場合は』公開記念舞台挨拶を行った。


■日時:3月15日(土)  

■会場:新宿ピカデリー スクリーン1(新宿区新宿3ー15−15)

■登壇者(敬称略) 橋本愛、中川大志、山田杏奈、臼田あさ美、矢崎仁司監督(計5名)


<以下、レポート全文>

映画上映後、ステージにキャスト、監督が登壇すると満席の会場からは大きな拍手が。そんな観客に向かって橋本が「映画どうでしたか?」と尋ねると、会場からは大きな拍手が。その様子に笑顔を見せた橋本は「ありがとうございます。最後まで楽しい時間を過ごしましょう」と呼びかけた。続く中川も「1年前に撮影を終えて。そこから1年たって、こうして多くのお客さまの顔を見る時間がしあわせで、パワーをもらえる時間なので。とてもうれしく思います。今日も皆さんからたくさんパワーをいただけたらと思います」と続けた。


前日は、第 48 回日本アカデミー賞の授賞式が行われ、山田は新人俳優賞と優秀助演女優賞を受賞したばかり。そのことについて水を向けられた山田は「あのきらびやかな場所で緊張しましたけど、やはり映画に出るのっていいなということをすごく感じた一日で。とてもしあわせでした」と感慨深い様子で語ると、会場からは祝福の拍手が送られた。


kanako-bu3.15-橋本愛様.jpgそんな山田との共演について橋本も「ずっと山田杏奈さんのファンだったので、一緒に共演できてうれしかった。だからわたしが山田杏奈さん自身をかわいいと思う気持ちと、カナコが麻衣子に対して思う気持ちと重なるような気がしました。ただ難しかったのは、お互いに同じ相手を好きな2人なんですけど、お互いがお互いをエンパワーメントしあう関係なので。わたしが演じるカナコは、麻衣子にとってちゃんと魅力的な人に見えているのだろうか、という不安があって。麻衣子からどう見られているんだろうかということを考えながら演じていました」と語った。


一方の臼田は、「亜依子という役はいつも準備をしていて。未来をちゃんと思い描いて着実に一歩ずつ歩いていく人なんだろうと思って現場に入ったんですけど、現場に入ったらカナコの力がすごすぎて。わたしが思ったよりもちゃんと立てず、足元がグラグラするような気持ちにさせられて、少しその気持ちに触れたような感じがしました」と橋本との共演を振り返ると、「はじめての共演だったので緊張していました。でも(橋本)愛ちゃんがすごくチャーミングな人だというのが現場でも垣間見えて安心しました」と笑顔。その言葉に「こちらこそです」と返した橋本も「わたしにとって昔からあこがれの人だったので、実際にお会いできてうれしかったですし、ご本人が親近感があるというか。日常を生きている感じがして。わたしも最初は緊張していたんですけど、その雰囲気のおかげでほぐれることができた。役柄同士の関係性で現場でもいられたかなと思います」と続けた。


kanako-bu3.15-中川大志様.jpg3月といえば卒業シーズン。そして4月になれば新生活をはじめる人も多いということで、この日のイベントでは「新しくチャレンジしようと思っていること」について登壇者がそれぞれにフリップで回答するというコーナーも。それに対してまずは「けんちん汁」と回答した「けんちん汁」と回答した中川は、総ツッコミを受け、「最近、自分が通っているジムの食堂で食べたけんちん汁が本当においしくて。おみそ汁や豚汁はつくったことがあるんですが、けんちん汁はつくったことがないので。これから研究をして、あれを越えるけんちん汁づくりにチャレンジしたいと思います」と決意のコメント。


続く山田の答えは「日記」。その理由として「わたしは何度もトライしようとして日記を書き始めるんですけど、毎年これくらいの時期に途中で断念してしまう。途中で書いているうちにちょっと恥ずかしくなってきちゃって。客観的に見て、これが遺(のこ)るのかと思ってしまうんです」と明かした山田に、橋本も「確かに。遺品みたいにね」とたたみかけて会場は大笑い。さらに中川が「もう遺品の話をするんですか」と会場を沸かせた。


kanako-bu3.15-臼田あさ美様.jpgさらに臼田は「百名山」と回答。「山にたまに登るんですが、ハイキングと登山の間くらいの感じでやっているんですが、百名山は筑波山だけは頑張って登りました。ちょうどいい疲労感と、山頂ではすばらしい景色が見ることができたので、ここからチャレンジしていきたいなと思っています。わたしは体力はないんですけど、それでも景色と自然に囲まれて気持ち良く登れるんでオススメです」とその理由について語った。


そして最後に「もともと踊りが好きなんです」と語る橋本が「ヒップホップダンス」と回答。「コンテンポラリーという分野はやっていたんですけど、今はヒップホップと日本舞踊と、いろんな踊りをはじめていて。楽しんでいます。わたしは基礎練が大好きなので、ずっとリズムトレーニングをやりながらやってます」と明かした。


kanako-bu3.15-山田杏奈様.jpgそしてイベントも終盤。最後のコメントを求められた山田は「カナコたちの人生を通して、自分自身はどうやって生きていこうかなと顧みられるような映画で、すごくハートフルな作品になっているなと思いました。すてきだなと思ったらぜひまわりの方にも広めていただけたら」とあいさつ。臼田も「わたしもこの映画を観たときに、誰のことも嫌いになれなくて。みんなダメなところがあって、でもたまらなく魅力的なところもあって。『全員抱き締めてやりてーぞ!』という気持ちになったんですが、そういう風に皆さんもこの映画を愛してくれたらうれしいです」と語った。


中川が「この作品の脚本をいただいて、どんな風に演じられるかなと現場でも考えていたんですが、観てくださるお客さまにとって、生きている世界と、映画の世界とが地続きであってほしいなと思いました。完成した作品を観て、映画の中に特別な時間が流れているなと感じました。皆さんも日々めまぐるしく、追われることもあると思うけど、映画館という場所は誰にも邪魔されずに、2時間座れますので。また疲れた時にでも、ゆっくり観てもらって。忘れないでいただけたら」とあいさつ。
 

kanako-bu3.15-矢崎仁司監督.jpgさらに橋本が「劇場を見渡してみても、いろんな年代の方に観ていただいているなと感じました」と切り出すと、「臼田さんもおっしゃっていた通り、自分では欠点だな、人間的に未熟だな、ダメだなと思っているところも、それ自体が美しかったり、いとおしかったりと描いてくれている映画ってわたしも好きで。駄目なところも、未熟なところも、みんな抱き締めてあげられるような映画になればと思います。SNSも映画サイトも全部見てるので。辛口でもいいから投稿してください」とメッセージ。


そして最後に、矢崎監督が「ラストシーンを未完のように思う人もいるかもしれませんが、ラストシーンの続きは皆さんにバトンタッチをしたいと思います。ここにいる新しくできた友だちを、まわりの人に紹介するような形で、この映画を薦めていただけたら、元気がなくなった時にはこの人たちに会いに来たいなと思えるような、そんな映画にしたつもりです」と語ると、最後に「ありがとね」と会場に呼びかけた。


【あらすじ】

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大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。

就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。長津田とも3年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。⻑津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。

編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。大学入学から10年―それぞれが抱える葛藤、迷い、そして二人の恋の行方は―


・出演:橋本愛 中川大志 山田杏奈 根矢涼香 久保田紗友 平井亜門 /吉岡睦雄 草野康太/ のん 臼田あさ美 中村蒼
・監督:矢崎仁司
・原作:柚木麻子『早稲女、女、男』(祥伝社文庫刊)
・脚本:朝西真砂 知 愛 音楽:田中拓人 
・主題歌:中嶋イッキュウ「Our last step」(SHIRAFUJI RECORDS)
・製作:石井紹良 髙橋紀行 宮西克典  
・プロデュース:中村優子 金 山 企画・プロデューサー:登山里紗 プロデューサー:古賀奏一郎
・撮影:石井勲 照明:大坂章夫 音響:弥栄裕樹 美術:高草聡太 装飾:杉崎匠平
・配給: 日活/KDDI 制作:SS工房 企画協力:祥伝社 
・2024/日本/DCP/2:1/5.1ch/119min 映倫区分:G
・(C)2015 柚木麻子/祥伝社 (C)2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会
公式サイト:saotomekanako-movie.com 
・公式SNS(X、Instagram)@wands_movie #早乙女カナコの場合は

2025年3月14日(金)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際 ほか全国公開


(オフィシャル・レポートより) 

 

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【日 程】 2025年3月8日(土)
【場 所】 テアトル梅田
【登壇者】 杉 良太郎 (敬称略)



「人は苦しくとも、なぜ⽣きるのか」

親鸞聖人が苦悩のすえ辿りついた、「人⽣の⽬的」とは――

 

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鎌倉六大仏教のひとつ、浄土真宗の開祖・親鸞聖人の若き日々を描いたアニメ映画『親鸞 人生の目的』が全国で順次公開されている。親鸞は、平安末期から鎌倉時代にかけて、相次ぐ戦乱や天災、疫病に飢饉と不穏な時代に苦しむ民を救おうと、誰でも解りやすく受け入れやすい方法で仏の教えを説く新たな仏教宗派を興した。9歳で仏門に入りストイックなまでの修行を経てもなお煩悩に苛まれる若き日々…人生とは、生きる目的とは――時代に翻弄されながらも法然聖人や玉日姫など多くの人々との出会いを通じて仏教の真の道を切り拓いていく。


「善人なおもって往生を遂ぐ いわんや悪人をや」――親鸞聖人の人間味溢れる教えや生き方は時代を経ても知識人や文豪などの関心を集めている。本作は、彼の若かりし頃の苦悩や葛藤に焦点を当て、現代にも通じるテーマを描いた感動作である。


本作で晩年の親鸞聖人役としてナレーションを務めた杉良太郎(80歳)が、公開を記念したテアトル梅田での舞台挨拶に登壇した。映画の舞台挨拶は25歳の時に主演した『花の特攻隊 ああ戦友よ』(1970年)以来、実に55年ぶりになるという。杉良太郎といえば、TVドラマ『遠山の金さん』や『大江戸捜査網』などの時代劇で絶大な人気を博し、さらに難波の新歌舞伎座においては36年間で50回の座長公演を務めたという驚異的な記録を持つ大スターである。


sinran-bu-240-1.jpg舞台デビューは京都南座での『水戸黄門』だったそうだが、大阪への思い入れも強く、初めての座長公演でチケット販売に苦労していた時に親切にしてくれた恩人がいたという。東洋紙業の朝日多光氏である。「余ってる切符あったら全部持ってきて~!」、「はい、全部余ってるんですけど…(笑)」と気前よく買ってくれた上に、「また持って来てな~」と言って励ましてくれたという。「本当に仏様みたいなお方でしたわ」と懐かしそうに振り返る。


今回の吹替出演については、アニメ自体あまり観たことがなく、監督にも「一切口を出さないのでしっかり作って!」と伝え、絵を見ずに声を入れたので、場面を想像しながら録音したという。体を張って表現してきた杉良太郎にとって、ちょっと頼りなかったようだ。


親鸞聖人との相違点については、「人間はそう簡単に煩悩は捨てられへん。ダメと言われれば返ってそっちの方へ行ってしまう。でも、ええやん、それで!なんで悩んでんのか分からへん。畏れ多いことやけど、今やったら私が教えてあげたのにね(笑)」。そして、「生きてる間にひとつでも幸せを重ねることは大事なこと。死んだ後のことなんか考えんでいい!今を精一杯生きることが大切やと思います」。


sinran-bu-240-2.JPG一方、共通点については、「親鸞聖人がどうしたら“後生の一大事”を悟れるのかと木に頭をぶつけるシーンがありますけど、僕も若い頃どうしたら芝居が上手くなれるのかと壁に頭をぶつけて血だらけになったことがあります」と意外なエピソードを披露。青年期は誰しももがき苦しみながら思い悩むものなのかもしれない。


杉良太郎は60歳という若さで引退した後は慈善活動を精力的に行っている。特に、ベトナムでの学校建設ではただ学校を建てるだけでなく、子供たちが安心して学べるよう通学環境や生活環境を整えるために先ずインフラ整備から始めたという。こうした活動は一過性のものではなく長年にわたって継続されており、今月もベトナムへ行く予定だとか。国内の自然災害でも積極的にボランティア活動を行っている。いずれも被災者の心に寄り添う細かな配慮が為されており、これも長年座長として培われた杉良太郎のプロデュース力の賜物かもしれない。


「今でも筋トレに励んでます。裸になったら“えっ!”って皆さんびっくりするような逆三角形なんですよ(笑)」。確かに当日もダブルのスーツをビシッと着こなすカッコ良さは80歳という年齢を感じさせない。「健康には気を付けてます。自分の寿命は150歳と決めますんで…(笑)。皆さんも健康に気を付けてお元気でお過ごしくださいね。」と満場の杉良太郎ファンにエールを送った。
 


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【ストーリー】

平安末期、両親を亡くした親鸞は「やがて死ぬのになぜ⽣きるのか」の答えを求めて9歳で比叡山の僧となる。厳しい修行を重ねてもなお煩悩を払拭できないことに絶望し山を下りた親鸞は、人⽣の師・法然上人(浄土宗の開祖)との邂逅でさらなる仏の道を見出していく。さらに、九条関白の娘・玉日姫との出会いにより、惹かれ合う想いに抗うことなく魂の結び付きを深めていくが、時代は彼らにまだ寛容ではなかった…。

 

キャスト: 杉 良太郎、櫻井孝宏、中 博史
原作:『人⽣の⽬的』高森顕徹著(1万年堂出版)、 『歎異抄をひらく』高森顕徹著(1万年堂出版)
監督:青山 弘
脚本:塩味鷹虎 青山 弘
音楽:篠田大介
アニメーションプロデューサー:千葉博己 下村敬治
アニメーション制作:オーロックス  
制作:パラダイス・カフェ
配給:「親鸞 人⽣の⽬的」実行委員会 / 配給協力:AGentfilms 
©️「親鸞 人⽣の⽬的」映画製作委員会 2025
公式サイト: https://shinran-life-movie.jp/

2025年2月28日(金)~シネマート新宿、3月7日(金)~テアトル梅田、イオンシネマ茨木、ユナイテッド・シネマ岸和田、MOVIX京都、イオンシネマ京都桂川、シネ・リーブル神戸、ユナイテッド・シネマ大津、イオンシネマ和歌山 ほか全国順次公開


(河田 真喜子)

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 苦しみながらも懸命に⽣きている⼦どもたちが集う大阪・富田林市の駄菓子屋を描いた卒業制作『ぼくと駄菓子のいえ』が座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル、なら国際映画祭などで上映され、高い評価を得た田中健太監督。その最新作となるドキュメンタリー映画『風たちの学校』が、3月15日から新宿K‘s cinema、4月19日からシネ・ヌーヴォ、5月9日から出町座、今夏元町映画館にて公開される。
 本作の田中健太監督にお話を伺った。
 
 
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■ここだったらやっていけそうだと思った山奥の黄柳野高校

――――『風たちの学校』は田中さんの母校で取材を重ねたドキュメンタリーですが、愛知県奥三河にある黄柳野(つげの)高校を知ったきっかけは?
田中:僕は中学時代、不登校でした。きっかけは些細なことだったのですが、一度学校に行かなくなると、どんどん行きにくくなり、結局3年間のうちほとんど家で過ごしていました。当時教育センターと呼ばれていたところに時々行って、ちょっと卓球をしたり気分転換していたのですが、そこで高校の進路についても相談に乗ってもらったのです。出席日数が足りず、一般的な高校は受け入れてくれないため、通信制高校か不登校でも受け入れてくれる高校という2択でした。通信制は嫌だけれど、家から通える高校だとまた中学校と同じ不登校の繰り返しになってしまう。そこで提示してもらったのが全寮制で不登校児を受け入れてくれる黄柳野高校でした。
 
――――映画でも、学校見学会に子どもと行ったら、次の季節の見学会も行きたいと非常に前のめりで結局入学したという保護者のお話もありましたが、田中さんご自身の第一印象は?
田中:最寄駅からタクシーで30分ぐらい山道を行くぐらい、本当に山奥にあるのですが、タクシーを降りたとき、玄関に「ようきたね」という看板があり、学校の奥に見える山や自然、そして通り抜けていく風を感じるようなとても爽やかな場所でした。学校のことは詳しく知らなくても、ここだったらやっていけそうな印象を持ちました。木の温もりが感じられる校舎も、自分を受け入れてくれるような、温かみがありますよね。
 
――――クラスがやんちゃグループ、おとなしい子グループ、女の子グループに分裂していると先生が悩まれるシーンもありましたが、ご自身の体験は?
田中:僕は本当におとなしい系でしたが、やんちゃな子は怖いなという印象でした。ただ何かしら関わっていくうちに、見た目が怖そうに見えても優しかったり、話があう部分があり、そこが学びにもなりました。
 

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■高校時代から映画を撮り始める

――――在学時代で一番の思い出は?
田中:部活動で友達と映画を作ったことです。一緒に脚本を頑張って書いたり、お金を出し合って8ミリカメラを買い、よく使い方がわからないまま、撮影していましたね。基本的に、学生たちが「これをやりたい」と言えば、学校は応援してくれます。
 
――――なぜ映画を撮ろうと思ったのですか?
田中:中学時代に家でテレビを見ていると、ドラマの再放送がよくかかっていて、「相棒」シリーズや「踊る大捜査線」シリーズをよく見ていたので、映像に対する距離感が近かったと思います。進学を考えたときも、やはり映画の道に進みたいと思い、専門学校や大学を調べて、結果的に大阪芸術大学に進学しました。
 
――――この作品は卒業制作(『ぼくと駄菓子のいえ』の次となる作品ですが、母校を撮ろうと思った理由は?
田中:『ぼくと駄菓子のいえ』も学校に馴染めないとか、親との関係が難しい子どもたちを受け入れている駄菓子屋の話です。そこにいる子どもたちと関わっていると自分と近い境遇だという部分もあり、映画にしたいと思って撮影させてもらいました。ただ、改めてなぜ自分が不登校だったのかと自分に向き合ううち、もう少し自分に近いものを題材にしたいと思い、黄柳野高校を映画にできないかと考えるようになったのです。
 
――――卒業生が学校を撮りたいと申し出る事に関しては、きっと学校側も歓迎してくださったのではと思うのですが、在校生やその保護者についてはどのように撮影の許可を取ったのですか?
田中:卒業生というのは大きくて、基本的に撮影されたくない人は全体の1割ぐらいだったので、その人たちは撮影しないように進めました。その上で、今回主人公的扱いでしっかりと撮影させていただいた学生たちの保護者の方々としっかり話をしながら、許諾を取って行く形で進めました。
 
 
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■自分のことを受け入れてくれる感じがしたみのきくんとことみさん

――――メインで登場する二人は、自分自身と必死で向き合いながら、懸命に生きている姿に心掴まれますね。どういうプロセスでこの二人に密着しようと決めたのですか?
田中:僕から選ぶとか、撮りたいと交渉するというよりも、それぞれが僕のことを受け入れてくれた感じがしましたし、力関係が上になってしまってはいけないので、自然と距離が近づいていくという感じでした。当時、豊川から学校まで20キロぐらいの距離を夜に歩く「オールナイトウォーキング」という学校行事が行われていたのですが、そこでみのきくんを撮影させてもらううちに、距離が縮まった感覚があります。みのきくんは3年間撮影し、ことみさんは彼女が2年生のときだけ1年間撮影に伺えなかったので、1年生と3年生の2年間の記録になります。撮り始めたのは大学在学中の2013年で、2018年まで撮影しました。
 
――――3年間撮ったみのきくんは、特にその成長の過程を追えたという自負があるのでは?
田中:ほぼずっと撮らせてもらっていたので、映画にしたのはその一部ですが、学校の用務員のおじさんのような、3年間横から眺めていたという立ち位置でしたし、感慨深いです。
 
――――時にはアップの画もありましたが、撮影のスタイルについて教えてください。
田中:まず、あまりカメラを離して撮るやり方はしたくないと思っていました。隠し撮りのような感じではなく、カメラが横にあり、撮られていることを相手が認識できるような形で撮影することを意識していましたね。
 
――――あまりカメラを意識しているようには見えなかったのは、信頼関係があったからでしょうね。一般の高校以上に地域密着型の学校だなとも感じたのですが。
田中:僕が在籍していた頃は、地域の人と一緒によもぎ饅頭を作るぐらいでしたが、徐々に地域との交流に力を入れてきているようで、撮影当時もそうですし、それ以降も地域とのつながりが深まっているようです。
 
 
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■「素材がどういう映画になりたいのか」

――――さきほど2018年で撮影を終えたとのことですが、公開までに結構時間がかかっていますね。
田中:実は、学校が開校時のことやその歴史を追ったり、他にも撮影している学生がいたので、どのように形にするかを悩んでしまったんです。そこから動き出すきっかけになったのが、山形ドキュメンタリー道場に参加したことでした。そこで第一線で活躍されている講師の方々から意見をいただき、改めて素材を見直しました。一番大きかったのは道場の講師でもある秦岳志さんが編集に入ってくださったことです。秦さんのおかげで編集もスムーズに進み、ようやく完成のメドが立ちました。
 
――――山形ドキュメンタリー道場は小田香さんが『セノーテ』の時に参加されています。ちなみに講師からどんなアドバイスをもらったのですか?
田中:小田さんと同じ時(2018年)に参加しました。当時はことみさんの撮影が終わったものの、もう少し撮らなくては映画にならないと悩んでいたのですが、想田和弘監督から「もう撮れているんじゃないか」と背中を押していただきました。坂上香監督は、僕が卒業生だということでかなり前のめりになり、視野が狭くなっていることを指摘してくださり、例えば自由の森学園や同じような教育方針の違う学校へ見学に行き、少し距離を置いて考えてみてはとアドバイスしていただきました。
 
 当時の僕は学校の歴史もいれつつ、子どもの成長もいれつつ、こんな感じにしたら面白いんじゃないかという考えが頭の中にあったのですが、秦さんは素材がどういう映画になりたいのかをしっかりと見つめるようにアドバイスしてくださった。それは、本当に僕にとって大きかったですね。
 
――――秦さんのアドバイスから改めて素材を見直したとき、どんな発見がありましたか?
田中:あの頃は、みのきくんが過去を激白するようなドラマチックな場面を入れようとしていたのですが、3年生になったとき自分史を書こうとしていたシーンは、最初は入れていなかった。新しい視点で見た時に、みのきくんの新しい一面を発見しました。
 
――――書いた後に、消しゴムで消した筆圧の残る紙がアップで映し出され、それがみのきくんの内面の葛藤を表していましたね。ことみさんは自分で制御できない状態に陥るときがあり、そのシーンをしっかりと映し出しており、勇気があるなと思ったのですが。
田中:撮影したものの撮ってよかったのかと悩みましたし、本当にこれを映画に入れていいのかも悩みました。ある程度の編集段階で入れ、ことみさんに相談した結果、最終的にOKをいただきました。他にもこうしたらというアイデアを出してくれたりもしましたね。
 
――――ことみさんの人間的な魅力がしっかりと映し出されていましたね。黄柳野高校の先生はテストの点数以外の学生たちの営みを評価されており、直接学生や保護者にも伝えておられたのが、いい関わりの仕方をされているなと拝見していたのですが。
田中:テストの点数とは違う部分も評価し、受け入れてくれるところがあり、僕自身が在学していたときもいいなと感じていました。
 
――――全寮制なので、ずっと同じメンバーというのはある意味しんどいかもしれませんが、先生方が見守ってくださるので、3年間で学生たちそれぞれの自己肯定感が高まっているのでは?
田中:ありのままの自分を受け入れてくれるところなので、僕自身は中学校時代が不登校で劣等感を覚えていたのですが、黄柳野高校に行くことで自信を取り戻すことができたし、この学校のおかげで、今の自分があると思います。吹き抜けのところにある「ようきたね」という言葉で迎えてくれるのがいいですよね。
 
――――タイトル『風たちの学校』に込めた想いは?
田中:僕が初めてこの学校に来た時に、吹き抜けのところで風が当たったのがすごく気持ちよかったし、在学中も含め、その風に背中を押してもらっているイメージがあり、「風」を入れようと思いました。メインで密着したのは学生2名ですが、他にも撮影させていただいたり、力を貸してくださった方もたくさんいらっしゃるので、本編には登場しませんがそのみなさんのことを「風たち」という形で表現しました。
 
 
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■見かけで人を判断するのではなく、話をしてみるとその人の良さがわかる

――――在学中に熱心に学校の部活動でボクシングに取り組んでいたみのきくんは今、ボクサーとして活躍されているそうで、田中さんもしかりですが、高校のときに好きなことをさせてもらえる環境があることで、自ら好きなもの、やりたいことを掴み取っていけるのかもしれません。高校の学びの中で、今でも田中さんの心の支えになっていることは?
田中:寮生活では最初、怖いと思っていたやんちゃなタイプの同級生たちが、関わっていくと話が合う部分がある。見かけで人を判断するのではなく、話をしてみるとその人の良さがわかるというのは、今僕がドキュメンタリーという分野で映画を作っていくことにつながっていると思います。僕もあの学校に行ったから在学中に映画を作り、今も映画を撮れているので、逆に言えば中学時代、不登校でよかったと思っています。
 
――――より多くの方に黄柳野高校の学びを知っていただきたいですね。
田中:この学校だけではないと思いますが、学校に行くことも、行かないこともフラットな形で選択できる社会になればいいなと思います。学校に行かなくてもフリースクールとか、家で勉強してもいいし、黄柳野高校のような学校に行ってもいい。もっと色々な学ぶことの選択肢が多様にあり、学校に行く/行かないということがもっとフラットに語られるようになってほしいですね。
 (江口由美)
 

<作品情報>
『風たちの学校』
2023年 日本 77分 
監督・撮影・編集:田中健太  
編集・アソシエイトプロデューサー:秦岳志
公式サイト:https://kazetachi-gakko.com/
2025年3月15日から新宿K‘s cinema、4月19日からシネ・ヌーヴォ、5月9日から出町座、今夏元町映画館にて公開
 


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「日本統一」シリーズや『ベイビーわるきゅーれ』『静かなるドン』の製作・配給を行うライツキューブが、『みーんな、宇宙人。』や『悪魔がはらわたでいけにえで私』など、国内のみならず世界で今注目の宇賀那健一監督による新作映画『ザ・ゲスイドウズ』テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中。


主人公・ハナコを演じるのは、本作で確かな演技力と魅力をスクリーンで爆発させた夏子。バンドメンバー、ギターは多国籍バンドALIのヴォーカルを務める今村怜央。ベースは、ゴールデンボンバーの喜矢武豊。ドラムは、アメリカで映画監督としても活躍するRocko Zevenbergenと、リアルで豪華なミュージシャンらとのコラボレーションで結成されている。監督・脚本を務めたのは、国内外で数々の賞を受賞し、今最も注目を集める日本人監督・宇賀那健一


この度、3月1日(土)に主演の夏子今村 怜央(ALI)、喜矢武 豊(ゴールデンボンバー)、Rocko Zevenbergen遠藤 雄弥、監督の宇賀那 健一が登壇する『ザ・ゲスイドウズ』公開記念舞台挨拶を行った。


■日時:3月1日(土)  

■会場:ヒューマントラストシネマ渋谷 シアター1(東京都渋谷区渋谷1-23-16)

■登壇者(敬称略):夏子、今村怜央、喜矢武 豊、RockoZevenbergen、遠藤雄弥、宇賀那健一監督(計6名)


<以下、レポート全文>

映画上映後、大勢の観客が集まる会場内にやってきた夏子は思わず笑顔となり、「本日は映画館までお越しくださいましてありがとうございます」とあいさつ。


gesuidouz-bu3.1-夏子様.JPG過去のロックレジェンドが27歳で命を散らしていることから、自分も「27歳で死ぬ」という“The 27Club”に取りつかれているハナコを演じた夏子は、「27歳を目前として焦ってるハナコが、バンドメンバー、劇中の登場人物との出会って、解放されて音楽に向き合っていく様を観ていただきましたけど、わたし自身も劇中のセリフや、歌詞のひとことひとことに自分自身が救われて。ハナコと一緒に夏子も成長させていただいた、そんな役でした」と述懐。その言葉を聞いた宇賀那監督も「夏子さんの演じたハナコはある種、カリスマ性のあるボーカリストですが、普段音楽をやっているわけではないから重責があったと思います。でもこの映画が海外の映画祭などで上映した時に面白いと言っていただけるのは夏子さんのおかげ。なかなか脚本だけで分かるような作品ではないんですが、いい意味でみんな何も聞かずにジャムりながらはじめたものなので。それは夏子さんを筆頭にキャストの皆さんのおかげだと思うし、僕もこの作品に支えられているかなと思います」と返した。


gesuidouz-bu3.1-今村 怜央様.jpg宇賀那監督とは20年近い付き合いだという今村は、「宇賀ちゃんとは音楽でうまくいく前からの付き合いだけど、この年になって喜矢武さんとは親友だねという感じになれた。撮影が終わったあと、渋谷の駅から家まで歩いて帰ったこともあったし。僕は普段バンドでボーカルをやっているんですけど、一歩引いてひとりのリーダー(ハナコ)を圧倒的に信じる、好きになる。男女を超えた崇拝に近い気持ちを撮影のタイミングで知ることができた。バンドに対してはうまくできなくて、メンバーが去っていったこともあって、映画以上に奇妙な関係を続けているんですが、でも僕はここで人を信じる気持ちを感じることができた」と感慨深い様子で語った。


gesuidouz-bu3.1-喜矢武 豊様.JPG一方の喜矢武は「僕はセリフがない分、楽しかったというか。ほぼ顔芸をしていましたから。(本作が出品されたトロント国際映画祭では)僕が出るたびにカナダ人が笑うんですよ。何にもしていなくて、ただ映っていただけで、なぜかばかウケでした」と述懐。宇賀那監督も「めちゃくちゃおもしろかったですね。撮影本番の前に段取り、テストとやるんですが、毎回違ったことをしてくる。まわりも何をしてくるのか分からない感じなので、ジャムってる感じで。それが良かった」と振り返るも、一方の夏子はそんな喜矢武の芝居がツボに入ることも多かったようで、「視界に入れないようにしてました」と笑いながら振り返った。


gesuidouz-bu3.1-Rocko Zevenbergen様.JPG本作ではドラマーとして参加しているRockoだが、本作の撮影中は「楽しかった。毎日ラーメンを食べてた」そうで、「宇賀那さんとは3年前にニューヨークでトロマ・エンターテインメントの仕事をしていた時に会って、それ以来の付き合い。監督の映画に出させてもらえて、貴重な機会でしたし、それをきっかけに日本でも自分の映画を公開することができた」と笑顔で報告。ちなみにその映画はシネマート新宿で現在上映中の『アイニージューデッド!』ということで、今村たちも「みんなで観に行こう!」と舞台上で誓い合っていた。


またマネジャー役の遠藤だが、喜矢武からは「いちばんNGを出してましたよ」と暴露され、会場は大笑い。遠藤も「後半に撮影したんですが、けっこうなセリフ量だったから」と笑顔で弁解をするも、宇賀那監督が「劇中ではしゃべるカセットテープが出てきますが、実はあれはパペットで。指で動かすんですけど、遠藤さんに動かしてもらっていたんです。自分で(カセットを)手で動かした後に、自分でセリフを返したりして。僕はモニターを見ながら何をやってるんだろうと思っていました」とちゃかしてみせると、遠藤も「監督がやれと言ったんじゃないですか」と笑いながら返した。


gesuidouz-bu3.1-遠藤 雄弥様.JPGそんなキャスト陣を見ていて「何本か映画を撮らせてもらったけど、特別な作品。このメンバーと一緒につくれたんだなと思って。そういう作品が初日を迎えるのは感慨深いですね」としみじみ語った宇賀那監督。キャスト陣は非常に仲が良く、和気あいあいとした雰囲気だが、「最初はカオスでしたね。誰とも仲良くなれないと思っていた。最初は宇賀ちゃんとRockoと俺だけで。何かしゃべりたいけど、何をしゃべったらいいか分からない感じだった」と振り返った喜矢武。さらに「そこに夏子が入ってきたんですけど、僕的には(怖い)オーラをかもし出しているなと思ったんですよ」と付け加えると、「わたしも怖かったです」と返した夏子。さらに喜矢武が「ふたりとも目つきが悪いんで第一印象が良くないでしょ。エアバンド風情がこんなところに来やがってと思われたのかなと。怜央は怜央で遅れてきたのに『うぃッス』みたいな感じで入ってきて、またやべぇヤツが来たなと。自分が一番まともだと思ってました」と語るとドッと沸いた会場内。そしてあらためてRockoに「メンバーの印象は?」と聞いてみると、「とても怖い」とたたみかけて、会場は笑いに包まれた。


そんな夏子だがやはり本作に向き合うにあたってやはり緊張があったようだ。「夏子が俺と怜央に『助けてください』というんですけど、俺もミュージシャンじゃないし」と喜矢武がぶちまけると会場は大爆笑。そんな喜矢武の言葉に今村も、「僕は毎回ミュージシャンとして接しているんですが、なのにずっと『僕はミュージシャンじゃない』と言い続けるんです。それは謙遜なのかどうなのか分からなくて。Googleで調べたりもしたんですけど、これはそろそろミュージシャン扱いをするのはやめようかと思った」と返して会場を沸かせたが、そんな中、喜矢武が「ライブシーンでの夏子のオーラはすごいから。ハートがミュージシャンのようだった」としみじみ語った。


gesuidouz-bu3.1-宇賀那 健一監督.JPG劇中の音楽はKYONOが担当。歌詞は宇賀那監督自身が担当している。「そもそも自分で曲をつくったことがないので、どう頼んだらいいのか分からなくて。蒲田の立ち飲み屋でKYONOさんと何回か飲んで、それでいけると思って曲をつくり出したんですが、歌詞を書いたことがないんで恥ずかしかったんです。でも僕が歌詞を書かないと夏子が練習できないので、それがプレッシャーでした。ちょうど名古屋の(映画館)シネマスコーレに行くことがあったので、新幹線の中でつくりました。悩んだというよりは、恥ずかしかったという方が大きかった」と語ると、今村も「めちゃくちゃピュアで良かった」と称賛。さらに宇賀那監督が「映画を観て良かったといってもらえるのもうれしかったけど、歌詞が良かったよと言ってもらえるのもうれしかった」と付け加えた。


そんな舞台挨拶も終盤。最後のメッセージを求められた夏子が「感想を広げてもらえたらうれしいです」と呼びかけると、宇賀那監督も「血ヘドを吐きながら、この作品が残ると信じて、素晴らしいメンバーと作った映画です。大好きなメンバーたちなんで、このままで終わらせたくなくて。仕上げも編集も、どんなスピーカーから出そうかというところも緻密に、映画館で観てもらうためにいろいろと設計してつくりました。もっとたくさんの劇場で上映してもらいたいので、夏子さんが言った通り、面白いでもつまらないでもいいので、感想をまわりの人に伝えてもらえれば」と呼びかけた。


【STORY】

売れないバンド、“ザ・ゲスイドウズ”の4人。

マネージャーから「田舎へ移住して曲を作れ」と最後のチャンスを与えられた4人は、不器用ながらも村人たちと協力し合い生活していく。ザ・ゲスイドウズは、バンドの未来を変える曲を作ることができるのか!?
 

【作品情報】

出演:夏子 今村怜央 喜矢武 豊 Rocko Zevenbergen
水沢林太郎 伊澤彩織 天野眞由美 KYONO Lloyd Kaufman
一ノ瀬 竜 神戸誠治 豊満 亮 中野 歩 かんた 小野塚渉悟 小林宏樹 松原怜香 横須賀一巧 Joseph Kahn
マキタスポーツ / 斎藤 工
遠藤雄弥
監督・脚本:宇賀那健一
楽曲プロデュース:KYONO 音楽:今村怜央
製作:人見剛史 砂﨑基 山口隆実 エグゼクティブプロデューサー:鈴木祐介 プロデューサー:角田陸 ラインプロデューサー:工藤渉
撮影:古屋幸一 照明:加藤大輝 録音:岩﨑敢志 美術:松塚隆史 スタイリスト:中村もやし ヘアメイク:くつみ綾音 助監督:可児正光
特殊メイク・特殊造型:千葉美生、遠藤斗貴彦 編集:小美野昌史 VFX:松野友喜人 キャスティング:渡辺有美 スチール:柴崎まどか
「ザ・ゲスイドウズ」製作委員会(ライツキューブ/METEORA/Vandalism) 制作プロダクション:Vandalism
配給:ライツキューブ 宣伝:FINOR‎
Ⓒ2024「ザ・ゲスイドウズ」製作委員会

公式HP:https://thegesuidouz.com
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(オフィシャル・レポートより)

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