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2025年3月アーカイブ

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 苦しみながらも懸命に⽣きている⼦どもたちが集う大阪・富田林市の駄菓子屋を描いた卒業制作『ぼくと駄菓子のいえ』が座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル、なら国際映画祭などで上映され、高い評価を得た田中健太監督。その最新作となるドキュメンタリー映画『風たちの学校』が、3月15日から新宿K‘s cinema、4月19日からシネ・ヌーヴォ、5月9日から出町座、今夏元町映画館にて公開される。
 本作の田中健太監督にお話を伺った。
 
 
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■ここだったらやっていけそうだと思った山奥の黄柳野高校

――――『風たちの学校』は田中さんの母校で取材を重ねたドキュメンタリーですが、愛知県奥三河にある黄柳野(つげの)高校を知ったきっかけは?
田中:僕は中学時代、不登校でした。きっかけは些細なことだったのですが、一度学校に行かなくなると、どんどん行きにくくなり、結局3年間のうちほとんど家で過ごしていました。当時教育センターと呼ばれていたところに時々行って、ちょっと卓球をしたり気分転換していたのですが、そこで高校の進路についても相談に乗ってもらったのです。出席日数が足りず、一般的な高校は受け入れてくれないため、通信制高校か不登校でも受け入れてくれる高校という2択でした。通信制は嫌だけれど、家から通える高校だとまた中学校と同じ不登校の繰り返しになってしまう。そこで提示してもらったのが全寮制で不登校児を受け入れてくれる黄柳野高校でした。
 
――――映画でも、学校見学会に子どもと行ったら、次の季節の見学会も行きたいと非常に前のめりで結局入学したという保護者のお話もありましたが、田中さんご自身の第一印象は?
田中:最寄駅からタクシーで30分ぐらい山道を行くぐらい、本当に山奥にあるのですが、タクシーを降りたとき、玄関に「ようきたね」という看板があり、学校の奥に見える山や自然、そして通り抜けていく風を感じるようなとても爽やかな場所でした。学校のことは詳しく知らなくても、ここだったらやっていけそうな印象を持ちました。木の温もりが感じられる校舎も、自分を受け入れてくれるような、温かみがありますよね。
 
――――クラスがやんちゃグループ、おとなしい子グループ、女の子グループに分裂していると先生が悩まれるシーンもありましたが、ご自身の体験は?
田中:僕は本当におとなしい系でしたが、やんちゃな子は怖いなという印象でした。ただ何かしら関わっていくうちに、見た目が怖そうに見えても優しかったり、話があう部分があり、そこが学びにもなりました。
 

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■高校時代から映画を撮り始める

――――在学時代で一番の思い出は?
田中:部活動で友達と映画を作ったことです。一緒に脚本を頑張って書いたり、お金を出し合って8ミリカメラを買い、よく使い方がわからないまま、撮影していましたね。基本的に、学生たちが「これをやりたい」と言えば、学校は応援してくれます。
 
――――なぜ映画を撮ろうと思ったのですか?
田中:中学時代に家でテレビを見ていると、ドラマの再放送がよくかかっていて、「相棒」シリーズや「踊る大捜査線」シリーズをよく見ていたので、映像に対する距離感が近かったと思います。進学を考えたときも、やはり映画の道に進みたいと思い、専門学校や大学を調べて、結果的に大阪芸術大学に進学しました。
 
――――この作品は卒業制作(『ぼくと駄菓子のいえ』の次となる作品ですが、母校を撮ろうと思った理由は?
田中:『ぼくと駄菓子のいえ』も学校に馴染めないとか、親との関係が難しい子どもたちを受け入れている駄菓子屋の話です。そこにいる子どもたちと関わっていると自分と近い境遇だという部分もあり、映画にしたいと思って撮影させてもらいました。ただ、改めてなぜ自分が不登校だったのかと自分に向き合ううち、もう少し自分に近いものを題材にしたいと思い、黄柳野高校を映画にできないかと考えるようになったのです。
 
――――卒業生が学校を撮りたいと申し出る事に関しては、きっと学校側も歓迎してくださったのではと思うのですが、在校生やその保護者についてはどのように撮影の許可を取ったのですか?
田中:卒業生というのは大きくて、基本的に撮影されたくない人は全体の1割ぐらいだったので、その人たちは撮影しないように進めました。その上で、今回主人公的扱いでしっかりと撮影させていただいた学生たちの保護者の方々としっかり話をしながら、許諾を取って行く形で進めました。
 
 
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■自分のことを受け入れてくれる感じがしたみのきくんとことみさん

――――メインで登場する二人は、自分自身と必死で向き合いながら、懸命に生きている姿に心掴まれますね。どういうプロセスでこの二人に密着しようと決めたのですか?
田中:僕から選ぶとか、撮りたいと交渉するというよりも、それぞれが僕のことを受け入れてくれた感じがしましたし、力関係が上になってしまってはいけないので、自然と距離が近づいていくという感じでした。当時、豊川から学校まで20キロぐらいの距離を夜に歩く「オールナイトウォーキング」という学校行事が行われていたのですが、そこでみのきくんを撮影させてもらううちに、距離が縮まった感覚があります。みのきくんは3年間撮影し、ことみさんは彼女が2年生のときだけ1年間撮影に伺えなかったので、1年生と3年生の2年間の記録になります。撮り始めたのは大学在学中の2013年で、2018年まで撮影しました。
 
――――3年間撮ったみのきくんは、特にその成長の過程を追えたという自負があるのでは?
田中:ほぼずっと撮らせてもらっていたので、映画にしたのはその一部ですが、学校の用務員のおじさんのような、3年間横から眺めていたという立ち位置でしたし、感慨深いです。
 
――――時にはアップの画もありましたが、撮影のスタイルについて教えてください。
田中:まず、あまりカメラを離して撮るやり方はしたくないと思っていました。隠し撮りのような感じではなく、カメラが横にあり、撮られていることを相手が認識できるような形で撮影することを意識していましたね。
 
――――あまりカメラを意識しているようには見えなかったのは、信頼関係があったからでしょうね。一般の高校以上に地域密着型の学校だなとも感じたのですが。
田中:僕が在籍していた頃は、地域の人と一緒によもぎ饅頭を作るぐらいでしたが、徐々に地域との交流に力を入れてきているようで、撮影当時もそうですし、それ以降も地域とのつながりが深まっているようです。
 
 
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■「素材がどういう映画になりたいのか」

――――さきほど2018年で撮影を終えたとのことですが、公開までに結構時間がかかっていますね。
田中:実は、学校が開校時のことやその歴史を追ったり、他にも撮影している学生がいたので、どのように形にするかを悩んでしまったんです。そこから動き出すきっかけになったのが、山形ドキュメンタリー道場に参加したことでした。そこで第一線で活躍されている講師の方々から意見をいただき、改めて素材を見直しました。一番大きかったのは道場の講師でもある秦岳志さんが編集に入ってくださったことです。秦さんのおかげで編集もスムーズに進み、ようやく完成のメドが立ちました。
 
――――山形ドキュメンタリー道場は小田香さんが『セノーテ』の時に参加されています。ちなみに講師からどんなアドバイスをもらったのですか?
田中:小田さんと同じ時(2018年)に参加しました。当時はことみさんの撮影が終わったものの、もう少し撮らなくては映画にならないと悩んでいたのですが、想田和弘監督から「もう撮れているんじゃないか」と背中を押していただきました。坂上香監督は、僕が卒業生だということでかなり前のめりになり、視野が狭くなっていることを指摘してくださり、例えば自由の森学園や同じような教育方針の違う学校へ見学に行き、少し距離を置いて考えてみてはとアドバイスしていただきました。
 
 当時の僕は学校の歴史もいれつつ、子どもの成長もいれつつ、こんな感じにしたら面白いんじゃないかという考えが頭の中にあったのですが、秦さんは素材がどういう映画になりたいのかをしっかりと見つめるようにアドバイスしてくださった。それは、本当に僕にとって大きかったですね。
 
――――秦さんのアドバイスから改めて素材を見直したとき、どんな発見がありましたか?
田中:あの頃は、みのきくんが過去を激白するようなドラマチックな場面を入れようとしていたのですが、3年生になったとき自分史を書こうとしていたシーンは、最初は入れていなかった。新しい視点で見た時に、みのきくんの新しい一面を発見しました。
 
――――書いた後に、消しゴムで消した筆圧の残る紙がアップで映し出され、それがみのきくんの内面の葛藤を表していましたね。ことみさんは自分で制御できない状態に陥るときがあり、そのシーンをしっかりと映し出しており、勇気があるなと思ったのですが。
田中:撮影したものの撮ってよかったのかと悩みましたし、本当にこれを映画に入れていいのかも悩みました。ある程度の編集段階で入れ、ことみさんに相談した結果、最終的にOKをいただきました。他にもこうしたらというアイデアを出してくれたりもしましたね。
 
――――ことみさんの人間的な魅力がしっかりと映し出されていましたね。黄柳野高校の先生はテストの点数以外の学生たちの営みを評価されており、直接学生や保護者にも伝えておられたのが、いい関わりの仕方をされているなと拝見していたのですが。
田中:テストの点数とは違う部分も評価し、受け入れてくれるところがあり、僕自身が在学していたときもいいなと感じていました。
 
――――全寮制なので、ずっと同じメンバーというのはある意味しんどいかもしれませんが、先生方が見守ってくださるので、3年間で学生たちそれぞれの自己肯定感が高まっているのでは?
田中:ありのままの自分を受け入れてくれるところなので、僕自身は中学校時代が不登校で劣等感を覚えていたのですが、黄柳野高校に行くことで自信を取り戻すことができたし、この学校のおかげで、今の自分があると思います。吹き抜けのところにある「ようきたね」という言葉で迎えてくれるのがいいですよね。
 
――――タイトル『風たちの学校』に込めた想いは?
田中:僕が初めてこの学校に来た時に、吹き抜けのところで風が当たったのがすごく気持ちよかったし、在学中も含め、その風に背中を押してもらっているイメージがあり、「風」を入れようと思いました。メインで密着したのは学生2名ですが、他にも撮影させていただいたり、力を貸してくださった方もたくさんいらっしゃるので、本編には登場しませんがそのみなさんのことを「風たち」という形で表現しました。
 
 
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■見かけで人を判断するのではなく、話をしてみるとその人の良さがわかる

――――在学中に熱心に学校の部活動でボクシングに取り組んでいたみのきくんは今、ボクサーとして活躍されているそうで、田中さんもしかりですが、高校のときに好きなことをさせてもらえる環境があることで、自ら好きなもの、やりたいことを掴み取っていけるのかもしれません。高校の学びの中で、今でも田中さんの心の支えになっていることは?
田中:寮生活では最初、怖いと思っていたやんちゃなタイプの同級生たちが、関わっていくと話が合う部分がある。見かけで人を判断するのではなく、話をしてみるとその人の良さがわかるというのは、今僕がドキュメンタリーという分野で映画を作っていくことにつながっていると思います。僕もあの学校に行ったから在学中に映画を作り、今も映画を撮れているので、逆に言えば中学時代、不登校でよかったと思っています。
 
――――より多くの方に黄柳野高校の学びを知っていただきたいですね。
田中:この学校だけではないと思いますが、学校に行くことも、行かないこともフラットな形で選択できる社会になればいいなと思います。学校に行かなくてもフリースクールとか、家で勉強してもいいし、黄柳野高校のような学校に行ってもいい。もっと色々な学ぶことの選択肢が多様にあり、学校に行く/行かないということがもっとフラットに語られるようになってほしいですね。
 (江口由美)
 

<作品情報>
『風たちの学校』
2023年 日本 77分 
監督・撮影・編集:田中健太  
編集・アソシエイトプロデューサー:秦岳志
公式サイト:https://kazetachi-gakko.com/
2025年3月15日から新宿K‘s cinema、4月19日からシネ・ヌーヴォ、5月9日から出町座、今夏元町映画館にて公開
 


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「日本統一」シリーズや『ベイビーわるきゅーれ』『静かなるドン』の製作・配給を行うライツキューブが、『みーんな、宇宙人。』や『悪魔がはらわたでいけにえで私』など、国内のみならず世界で今注目の宇賀那健一監督による新作映画『ザ・ゲスイドウズ』テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中。


主人公・ハナコを演じるのは、本作で確かな演技力と魅力をスクリーンで爆発させた夏子。バンドメンバー、ギターは多国籍バンドALIのヴォーカルを務める今村怜央。ベースは、ゴールデンボンバーの喜矢武豊。ドラムは、アメリカで映画監督としても活躍するRocko Zevenbergenと、リアルで豪華なミュージシャンらとのコラボレーションで結成されている。監督・脚本を務めたのは、国内外で数々の賞を受賞し、今最も注目を集める日本人監督・宇賀那健一


この度、3月1日(土)に主演の夏子今村 怜央(ALI)、喜矢武 豊(ゴールデンボンバー)、Rocko Zevenbergen遠藤 雄弥、監督の宇賀那 健一が登壇する『ザ・ゲスイドウズ』公開記念舞台挨拶を行った。


■日時:3月1日(土)  

■会場:ヒューマントラストシネマ渋谷 シアター1(東京都渋谷区渋谷1-23-16)

■登壇者(敬称略):夏子、今村怜央、喜矢武 豊、RockoZevenbergen、遠藤雄弥、宇賀那健一監督(計6名)


<以下、レポート全文>

映画上映後、大勢の観客が集まる会場内にやってきた夏子は思わず笑顔となり、「本日は映画館までお越しくださいましてありがとうございます」とあいさつ。


gesuidouz-bu3.1-夏子様.JPG過去のロックレジェンドが27歳で命を散らしていることから、自分も「27歳で死ぬ」という“The 27Club”に取りつかれているハナコを演じた夏子は、「27歳を目前として焦ってるハナコが、バンドメンバー、劇中の登場人物との出会って、解放されて音楽に向き合っていく様を観ていただきましたけど、わたし自身も劇中のセリフや、歌詞のひとことひとことに自分自身が救われて。ハナコと一緒に夏子も成長させていただいた、そんな役でした」と述懐。その言葉を聞いた宇賀那監督も「夏子さんの演じたハナコはある種、カリスマ性のあるボーカリストですが、普段音楽をやっているわけではないから重責があったと思います。でもこの映画が海外の映画祭などで上映した時に面白いと言っていただけるのは夏子さんのおかげ。なかなか脚本だけで分かるような作品ではないんですが、いい意味でみんな何も聞かずにジャムりながらはじめたものなので。それは夏子さんを筆頭にキャストの皆さんのおかげだと思うし、僕もこの作品に支えられているかなと思います」と返した。


gesuidouz-bu3.1-今村 怜央様.jpg宇賀那監督とは20年近い付き合いだという今村は、「宇賀ちゃんとは音楽でうまくいく前からの付き合いだけど、この年になって喜矢武さんとは親友だねという感じになれた。撮影が終わったあと、渋谷の駅から家まで歩いて帰ったこともあったし。僕は普段バンドでボーカルをやっているんですけど、一歩引いてひとりのリーダー(ハナコ)を圧倒的に信じる、好きになる。男女を超えた崇拝に近い気持ちを撮影のタイミングで知ることができた。バンドに対してはうまくできなくて、メンバーが去っていったこともあって、映画以上に奇妙な関係を続けているんですが、でも僕はここで人を信じる気持ちを感じることができた」と感慨深い様子で語った。


gesuidouz-bu3.1-喜矢武 豊様.JPG一方の喜矢武は「僕はセリフがない分、楽しかったというか。ほぼ顔芸をしていましたから。(本作が出品されたトロント国際映画祭では)僕が出るたびにカナダ人が笑うんですよ。何にもしていなくて、ただ映っていただけで、なぜかばかウケでした」と述懐。宇賀那監督も「めちゃくちゃおもしろかったですね。撮影本番の前に段取り、テストとやるんですが、毎回違ったことをしてくる。まわりも何をしてくるのか分からない感じなので、ジャムってる感じで。それが良かった」と振り返るも、一方の夏子はそんな喜矢武の芝居がツボに入ることも多かったようで、「視界に入れないようにしてました」と笑いながら振り返った。


gesuidouz-bu3.1-Rocko Zevenbergen様.JPG本作ではドラマーとして参加しているRockoだが、本作の撮影中は「楽しかった。毎日ラーメンを食べてた」そうで、「宇賀那さんとは3年前にニューヨークでトロマ・エンターテインメントの仕事をしていた時に会って、それ以来の付き合い。監督の映画に出させてもらえて、貴重な機会でしたし、それをきっかけに日本でも自分の映画を公開することができた」と笑顔で報告。ちなみにその映画はシネマート新宿で現在上映中の『アイニージューデッド!』ということで、今村たちも「みんなで観に行こう!」と舞台上で誓い合っていた。


またマネジャー役の遠藤だが、喜矢武からは「いちばんNGを出してましたよ」と暴露され、会場は大笑い。遠藤も「後半に撮影したんですが、けっこうなセリフ量だったから」と笑顔で弁解をするも、宇賀那監督が「劇中ではしゃべるカセットテープが出てきますが、実はあれはパペットで。指で動かすんですけど、遠藤さんに動かしてもらっていたんです。自分で(カセットを)手で動かした後に、自分でセリフを返したりして。僕はモニターを見ながら何をやってるんだろうと思っていました」とちゃかしてみせると、遠藤も「監督がやれと言ったんじゃないですか」と笑いながら返した。


gesuidouz-bu3.1-遠藤 雄弥様.JPGそんなキャスト陣を見ていて「何本か映画を撮らせてもらったけど、特別な作品。このメンバーと一緒につくれたんだなと思って。そういう作品が初日を迎えるのは感慨深いですね」としみじみ語った宇賀那監督。キャスト陣は非常に仲が良く、和気あいあいとした雰囲気だが、「最初はカオスでしたね。誰とも仲良くなれないと思っていた。最初は宇賀ちゃんとRockoと俺だけで。何かしゃべりたいけど、何をしゃべったらいいか分からない感じだった」と振り返った喜矢武。さらに「そこに夏子が入ってきたんですけど、僕的には(怖い)オーラをかもし出しているなと思ったんですよ」と付け加えると、「わたしも怖かったです」と返した夏子。さらに喜矢武が「ふたりとも目つきが悪いんで第一印象が良くないでしょ。エアバンド風情がこんなところに来やがってと思われたのかなと。怜央は怜央で遅れてきたのに『うぃッス』みたいな感じで入ってきて、またやべぇヤツが来たなと。自分が一番まともだと思ってました」と語るとドッと沸いた会場内。そしてあらためてRockoに「メンバーの印象は?」と聞いてみると、「とても怖い」とたたみかけて、会場は笑いに包まれた。


そんな夏子だがやはり本作に向き合うにあたってやはり緊張があったようだ。「夏子が俺と怜央に『助けてください』というんですけど、俺もミュージシャンじゃないし」と喜矢武がぶちまけると会場は大爆笑。そんな喜矢武の言葉に今村も、「僕は毎回ミュージシャンとして接しているんですが、なのにずっと『僕はミュージシャンじゃない』と言い続けるんです。それは謙遜なのかどうなのか分からなくて。Googleで調べたりもしたんですけど、これはそろそろミュージシャン扱いをするのはやめようかと思った」と返して会場を沸かせたが、そんな中、喜矢武が「ライブシーンでの夏子のオーラはすごいから。ハートがミュージシャンのようだった」としみじみ語った。


gesuidouz-bu3.1-宇賀那 健一監督.JPG劇中の音楽はKYONOが担当。歌詞は宇賀那監督自身が担当している。「そもそも自分で曲をつくったことがないので、どう頼んだらいいのか分からなくて。蒲田の立ち飲み屋でKYONOさんと何回か飲んで、それでいけると思って曲をつくり出したんですが、歌詞を書いたことがないんで恥ずかしかったんです。でも僕が歌詞を書かないと夏子が練習できないので、それがプレッシャーでした。ちょうど名古屋の(映画館)シネマスコーレに行くことがあったので、新幹線の中でつくりました。悩んだというよりは、恥ずかしかったという方が大きかった」と語ると、今村も「めちゃくちゃピュアで良かった」と称賛。さらに宇賀那監督が「映画を観て良かったといってもらえるのもうれしかったけど、歌詞が良かったよと言ってもらえるのもうれしかった」と付け加えた。


そんな舞台挨拶も終盤。最後のメッセージを求められた夏子が「感想を広げてもらえたらうれしいです」と呼びかけると、宇賀那監督も「血ヘドを吐きながら、この作品が残ると信じて、素晴らしいメンバーと作った映画です。大好きなメンバーたちなんで、このままで終わらせたくなくて。仕上げも編集も、どんなスピーカーから出そうかというところも緻密に、映画館で観てもらうためにいろいろと設計してつくりました。もっとたくさんの劇場で上映してもらいたいので、夏子さんが言った通り、面白いでもつまらないでもいいので、感想をまわりの人に伝えてもらえれば」と呼びかけた。


【STORY】

売れないバンド、“ザ・ゲスイドウズ”の4人。

マネージャーから「田舎へ移住して曲を作れ」と最後のチャンスを与えられた4人は、不器用ながらも村人たちと協力し合い生活していく。ザ・ゲスイドウズは、バンドの未来を変える曲を作ることができるのか!?
 

【作品情報】

出演:夏子 今村怜央 喜矢武 豊 Rocko Zevenbergen
水沢林太郎 伊澤彩織 天野眞由美 KYONO Lloyd Kaufman
一ノ瀬 竜 神戸誠治 豊満 亮 中野 歩 かんた 小野塚渉悟 小林宏樹 松原怜香 横須賀一巧 Joseph Kahn
マキタスポーツ / 斎藤 工
遠藤雄弥
監督・脚本:宇賀那健一
楽曲プロデュース:KYONO 音楽:今村怜央
製作:人見剛史 砂﨑基 山口隆実 エグゼクティブプロデューサー:鈴木祐介 プロデューサー:角田陸 ラインプロデューサー:工藤渉
撮影:古屋幸一 照明:加藤大輝 録音:岩﨑敢志 美術:松塚隆史 スタイリスト:中村もやし ヘアメイク:くつみ綾音 助監督:可児正光
特殊メイク・特殊造型:千葉美生、遠藤斗貴彦 編集:小美野昌史 VFX:松野友喜人 キャスティング:渡辺有美 スチール:柴崎まどか
「ザ・ゲスイドウズ」製作委員会(ライツキューブ/METEORA/Vandalism) 制作プロダクション:Vandalism
配給:ライツキューブ 宣伝:FINOR‎
Ⓒ2024「ザ・ゲスイドウズ」製作委員会

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(オフィシャル・レポートより)

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