レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

『Back to Black エイミーのすべて』公開記念トークイベント@】渋谷シネクイント



Back to Black-1126-550.jpg


グラミー賞5部門受賞、早逝の歌姫エイミー・ワインハウスの光と影


2011年7月、27歳の若さで早逝した稀代の歌姫エイミー・ワインハウスの半生を描いた『Back to Black エイミーのすべて』が、11月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国ロードショーとなりました。


 “21世紀を代表するアーティストの1人”と世界的に称賛されたエイミー・ワインハウスが、アルバム「バック・トゥ・ブラック」を発表してグラミー賞5部門受賞という栄誉に輝き、一躍世界的大スターの地位を獲得する実話を元にした物語。若くして脚光を浴び、突然の名声に戸惑いながらも、感情むき出しの歌詞に独特のけだるいハスキーボイスで本能のままに歌い続けた“愛に生きた”エイミーの “波乱に満ちた愛と喪失”を描き、知られざる素顔に迫る。


「リハブ」、「バック・トゥ・ブラック」他、エイミー・ワインハウスの大ヒット曲とライブシーンの数々が再現!世界各国で初登場1位を記録した大ヒット作!

この度、11月26日、映画『Back to Black エイミーのすべて』公開を記念したピーター・バラカンさん&吉岡正晴さんのトークイベントが渋谷シネクイントで開催されました。


【登壇者】ピーター・バラカン、MC:吉岡正晴

【日時】11/26(火)

【場所】渋谷シネクイント



Back to Black-main-550.jpg上映後に行われたトークイベント。バラカン氏はこの日2回目の鑑賞となったことを明かすと、「これまでエイミーを題材にしたドキュメンタリー映画『AMY エイミー』が公開されていますが、だいたい観終わったあと辛く、エイミーが可哀想になるんですよね」と語ると、劇映画として構成されている本作とこれまでのドキュメンタリー映画との違いについて「この映画はエイミーのお父さんのミッチ(エディ・マーサン)や、恋人であり夫となったブレイク(ジャック・オコンネル)の描き方が異なりますよね。とても優しく描かれている」と指摘する。


さらにバラカン氏は「この点がイギリスの批評家の間では『優しく描かれすぎ』と評判が悪かった。僕はそう思わないんですけれどね」と付け加えると、吉岡氏も「ドキュメンタリーでは、お父さんがかなり悪い人に描かれていましたよね。この映画ではいい人。180度違うのも面白い」と付け加える。


Back to Black-500-3.jpg一方で、バラカン氏は「あまりにも父親が良く描かれていることにも違和感がある」と述べると、吉岡氏も「やっぱり劇映画で俳優さんが演じるうえで、エンターテインメント色が強くなっちゃう節がありますよね」と同意しつつも「それがいいところでもあるのですが」とこの映画を評価する。


恋人役のブレイクについても、バラカン氏は「ちょっと格好良すぎるよね」と笑うと「スティーブ・マックイーンみたい。もうちょっといい加減で品がない感じかな。実際にエイミーはブレイクに“ぞっこん”だったので、あまり嫌な奴に描くと、なんで彼女があそこまで惚れるのかって話しになってしまう。この映画は一つの悲しいラブストーリーとして成立しているのは、格好いいからかな」と解釈していた。


本作は、主にエイミー、父親、恋人、さらに祖母という4人がメインの登場人物だ。吉岡は「一番印象に残っているのが、祖母のシンシア(レスリー・マンヴィル)。シンシアが本当にエイミーに愛情を注いており、エイミーも祖母が大好き。ドキュメンタリー映画を観ていたときは感じなかった」と違いを述べる。


Back to Black-500-2.jpgエイミーを演じたマリサ・アベラについて、バラカン氏は「エイミーは、ロンドンの下町・労働者階級の、悪い言い方をすると少し品のない感じのしゃべり方や歌い方なのですが、びっくりするぐらい憑依している」と演技を称賛すると、吉岡氏も「映画では全部エイミーの曲はマリサが歌っているんですよね」と、その実力を評価していた。


劇中で印象に残ったシーンについてバラカン氏は「エイミーが祖母とボーイフレンドの話になったとき、『(彼は)ユダヤ人?』と発言している。イディッシュ語という東ヨーロッパのユダヤ人の間で話されている言葉を使っており、エイミーの家族がユダヤ人社会にどっぷりつかっていることが分かると思う」と挙げていた。


Back to Black-500-1.jpgまたエイミーという人物について吉岡氏は「『I HEARD LOVE IS BLIND(アイ・ハード・ラヴ・イズ・ブラインド)』という曲にもなっていますが、恋は盲目。エイミーは恋をしてしまうと、ほかが見えなくなる。そして破綻すると落ち込む。恋が彼女の人生なんですよね」と映画を観て感じたことを述べると、バラカン氏も「とても複雑な性格。恋にもアルコールにもドラッグにも依存してしまう。弱いところがあるけれど強がりなんですよね。でも強がっている割には古風。当時19歳だったエイミーは、ブレイクに対して『あなたの世話がしたい』『妻になり、母親になりたい』と話している。とても保守的なんですよね」とエイミーの性格を分析する。


「ああいう音楽が生まれるのは、それだけ強い感情が心に宿るから。普通だったらあんな詩は生まれない」とエイミーの作り出す曲の源泉となっている感情について述べたバラカン氏。続けて「でも音楽を聴いているときは、彼女がどういう気持ちであるかは考えない。亡くなったからこそ、ドキュメンタリーや映画ができる。アーティストというのは、順風満帆な人生じゃいられないんだなと改めて感じました」とエイミーの人生を顧みていた。


STORY: 運命の男じゃないと気づいてた。でも――

10代のエイミーは、別居中の父ミッチ(エディ・マーサン)と母ジャニス(ジュリエット・コーワン)や、若かりし頃ジャズ歌手だった憧れの祖母シンシア(レスリー・マンヴィル)ら家族に見守られ、歌手としてのキャリアをスタートする。デビューアルバム『フランク』は成功したものの全米進出を果たせず、悔しい気分で行ったパブでブレイク(ジャック・オコンネル)と出会い、2人は熱烈な恋に落ちる。しかしブレイクはすぐに元カノとよりを戻して二人は破局。ショックからエイミーは酒やドラッグで問題を起こすようになる。心配したマネージャーはリハビリ施設での治療を勧めるが、エイミーは治療を拒否する。ブレイクとの失恋を歌った「バック・トゥ・ブラック」は世界的な大ヒットとなり、再会したエイミーとブレイクは誰にも内緒で結婚する。しかし再び関係が悪化したうえブレイクは暴行罪で逮捕されてしまう。今やスーパースターのエイミーはパパラッチに24時間付きまとわれ、長年の摂食障害と依存症に苦しみ、心も体も蝕まれていく。そんな時、グラミー賞主要4部門を含む6部門にノミネートされるのだったが・・・。

監督:サム・テイラー=ジョンソン 
脚本:マット・グリーンハルシュ 
製作:アリソン・オーウェン、デブラ・ヘイワード、ニッキー・ケンティッシュ・バーンズ
出演:マリサ・アベラ、ジャック・オコンネル、エディ・マーサン、ジュリエット・コーワン、サム・ブキャナン、レスリー・マンヴィル
2024年/イギリス・フランス・アメリカ/英語/123分/ビスタサイズ/原題:Back to Black/PG12 
配給:パルコ ユニバーサル映画 
Ⓒ2024 Focus Features, LLC. All Rights Reserved. 
公式サイト:https://btb-movie.com/ 

2024年11月22日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイント、TOHOシネマズ(梅田、なんば、西宮OS)、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国公開


(オフィシャル・レポートより)

月別 アーカイブ