江口のりこ、中条あやみ、笑福亭鶴瓶と関西出身者が贈る、泣いて笑ってのご実家ムービー『あまろっく』が、4月14日より兵庫県で先行上映され、4月19日より全国ロードショーされる。先立って世界初上映された第19回大阪アジアン映画祭では、見事観客省を獲得した注目作だ。
※尼ロックとは、兵庫県尼崎市にある尼崎閘門(あまがさきこうもん)。英語で閘門は LockGate(ロックゲート)であることから尼ロックという愛称で呼ばれる。 船舶が通航できる巨大な閘門で、尼崎市の「0メートル地帯」に海水が流れ込むのを防いでいる。
ロケ地となった尼崎市のMOVIXあまがさきにて初日舞台挨拶が開催され、W主演の江口のりこ、中条あやみ、中林大樹と中村和宏監督が登壇した。上映後にスタンディグオベーションが起き、その熱気そのままに観客がスタンディングと歓声でゲストを迎え、最初から劇場のテンションがマックスに。
「朝早くからご苦労さまです」(江口)、
「今日という日を迎えられたのは、ほんまに、ここにいるみなさんのおかげやなと思っております。平日の午前中でみなさん、暇なんやなと。でもスタンディングで、拍手までしていただいて感無量です」(中条)
「本当に大好きな映画なので、今日の日が待ち遠しかった」(中林)
「平日の朝から、会社を休んできてくれていると思うので、暇じゃないと思います。よろしくお願いいたします」(中村監督)
とクールな優子そのままの江口と、天真爛漫な早希そのままの中条、パッションを感じる早希のお見合い相手南雲役の中林、中条に早速ツッコミを入れる中村監督がご挨拶。
■最後はやる女なんですよ(中条)
前日、中条が甲子園で始球式をしたことが話題に上ると、「中林さんにネタなの?と言われましたが、『あまろっく』(の宣伝)も背負っているし、甲子園だしでどちらの足を上げて投げるかわからなくなって。でも最後はやる女なんですよ」と3度目の仕切り直しでノーバウンドピッチングを行ったことを振り返った。そんな中条のことを江口は「すごくお茶目で面白いことが大好きな人、みなさんが思っているイメージ以上にやんちゃな人。(一緒にお芝居をしているときは)気持ちがやわらかくて、全てを受け入れてやる姿勢がすごいと思った」とコメント。さらに「あやみちゃんや中林さんなどと一緒にやる中で生まれた芝居だし、この人たちと一緒にやれたからできた作品です」と共演者たちに感謝の言葉を伝えた。
■鶴瓶師匠は思っていることを言っても笑いになる(江口)
笑福亭鶴瓶が演じる父の再婚相手、早希と、失職して自宅に戻ってきた娘、優子の会話バトルも本作の大きな見どころだが、大阪出身の中条は「実家から撮影現場に通っていましたが、優子とテンポよく話すことが必要だったので、(中条の)おかあさんが読み合わせの相手をしてくれ、謎のアドバイスもしてくれました」と関西撮影ならではのエピソードを披露。共演の鶴瓶は「仏のような人で、ずっと江口さんが『師匠、いいな』と言ってました」と江口に話を振ると「師匠は思っていることを言っても笑いになる。『これ、何待ち〜』とか『水〜』と言っても悪い雰囲気になりませんから」と大御所ながら、鶴瓶が撮影現場で潤滑油のような役割を果たしていたことをさりげなく表現。
さらに、ボート部出身という設定で、ひとりでボートを漕ぐシーンがあった江口は、「結構練習しました。最初はなんでせなあかんのかと思ったけれど、撮影の辛さがボートの練習で癒されていったので、わたしにとってボート練習は撮影期間中、大事でした。関西学院大学ボート部の学生さんやコーチの村田先生のたくさんの協力や助けがあってできました」と難しいボートシーンが逆に癒しとなったことを明かした。
■出来上がった映画は脚本の良さがそのまま出ている(中林)
一方、撮影前に一人で尼ロックに行ったことを明かされた中林は「中村監督が6年間大事に温めてこられた作品なので、思い入れがすごかったです。関西独特の、素直にありがとうと言えず、まわりくどく表現するところが、すごくきちんと描かれている脚本で、出来上がった映画も脚本の良さがそのまま出ているのですごく嬉しくなった」と作品の感想を語った。
本作の構想から公開まで6年がかりだったという中村監督。小学6年生までは尼崎に住んでいたことを明かしながら、「6年前に大きな台風が関西を襲ったとき、尼崎はあまろっくがあったから被害が少なかったという記事を読み、調べてみると大切な施設だとわかったんです。誰も知らない隠れた英雄的な、ひっそりと街を守っている感じが(鶴瓶が演じた)竜太郎的だと思い、本作の構想を考えつきました」。
■中条さんには東京ガールズコレクションではなく、(尼崎の)三和商店街を歩いてほしかった(中村監督)
さらに、中条ら関西出身俳優のキャスティングについては、「お客さんも関西出身の中条さんが『あまろっく』のように、2時間丸々関西弁でしゃべっている作品を見たことがないと思うのです。よく方言指導に入ってもらいますが、今回はなしでやらせてほしいと申し出ました。中条さんには東京ガールズコレクションではなく、(尼崎の)三和商店街を歩いてほしかった」と理由を明かすと、中条も「ここまでがっつり関西弁という作品はなかったし、これからもないと思います」と関西弁を思いっきりしゃべれた本作を振り返った。さらに横から江口が「(関西弁の作品はこれからも)あると思いますよ」とさりげなくツッコミを入れたのも印象的だった。
最後に、
「来年阪神大震災30年の節目ですし、この作品を観て、ちょっとでも見た人が前向きな気持ちになっていただければと思います」(中村監督)
「撮影して映画が完成して、映画が公開できているというのは当たり前のことではないので、ここまでこれてよかったと思います。お子さんも見にきてくれていますし、めっちゃわかりやすい話だと思いますので、子どもとか、おじいちゃんやおばあちゃんを連れてきてくれたらうれしいです」(江口)
「デジタル時代に、こういうちょっとめんどくさい家族の物語で、(顔を合わせて話をするのは)アナログな作業ですが、共感できたり、家族って大変やし面倒臭いけど、そこに幸せを感じていただけたと思います。兵庫県の上映で、全国の上映期間が決まりますので、SNSで広げていただけるとうれしいです」(中条)
と挨拶し、本拠地仕様で全力応援のMOVIXあまがさきでの舞台挨拶を締めくくった。
(江口由美)
<作品情報>
『あまろっく』(2024年 日本 107分)
監督・原案・企画:中村和宏
出演 : 江口のりこ 中条あやみ / 笑福亭鶴瓶
松尾諭 中村ゆり 中林大樹 駿河太郎 紅壱子 久保田磨希 浜村淳/後野夏陽 朝田淳弥 高畑淳子(特別出演) 佐川満男
2024年4月12日(金)よりMOVIXあまがさきをはじめとする兵庫県内で先行公開、4月19日(金)より全国公開
© 2024 映画「あまろっく」製作委員会