◆日程:11月17 日(金)18:30~
◆会場:TOHO シネマズ梅田 【シアター8】
(大阪市北区角田町 7-10 本館 8F 劇場ロビー/7F シアター8)
◆登壇ゲスト:馬場ふみかさん(28)、北村優衣さん(24)、仁同正明監督(50ちょい)
大阪人ならではのあっけらかんと飄々とした“カッコつけへんカッコ良さ”
通天閣の見える大阪下町にある“レトロ”というか、お湯も出ない、お風呂もない、古いおんぼろアパートを舞台に、そこに流れ着いた訳あり老若男女の群像劇。
茶髪ロン毛のヤンキー風だが至ってクールなねえちゃん・ユリ(馬場ふみか)を主人公に、管理人でもないのにやたら住人の世話をやきたがるおっちゃん・宮地(笹野高史)、時々キレるニッカポッカ履いてる建設作業員の鉄平(倉悠貴)、いつもビシッとスーツでキメてる色男の中条(東出昌大)、そして、誰彼構わず「タバコ交換しよう」と話し掛けてくるおばちゃん(藤原しおり)という、少々変わり者の入居者たちの人生模様をユリの目線から描出。お互い干渉しないが全くの無関心でもない。付かず離れず、何かあれば玄関先で様子を見守るという不思議な関係。
それぞれいろんな事情を抱えながらも誰に頼る訳でもなく、大きな法を犯すこともせず、地道に最低限の生活を送っている。今にも立ち退きを通告されそうなおんぼろアパートなのに、妙に居心地が良さそうに思えてくるから不思議だ。それもこれも、個性派俳優たちが醸し出す飄々とした雰囲気がそうさせているのかもしれない。
そんなアパートに時々遊びにくる場違いな女子大生の高橋(北村優衣)や、悩みを抱えるユリの弟のカズオ(前田旺史郎)に、いきなり娘にビンタする強烈なおかん(片岡礼子)など、ドラマチックな展開とは無縁だが、愛すべき人々への優しい眼差しに癒される不思議な映画だ。
公開初日を迎えた11月17日(金)、大阪を舞台にした映画『コーポ・ア・コーポ』の舞台挨拶がTOHOシネマズ梅田で開催された。「公開初日に舞台となった大阪で舞台挨拶ができることはとても嬉しい!」と主人公のユリを演じた馬場ふみかと女子大生役の北村優衣、そして仁同正明監督が登壇して、その歓びを語った。
(詳細は以下の通りです)
――最初のご挨拶
馬場:皆さん今晩は!舞台となった地で初日を迎えることって中々ないことなので、とても嬉しく思っております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
北村:今日は大阪で初日が迎えられてとても嬉しいです。上映前ということでお話できないこともありますが、皆さんと楽しい時間が過ごせたらいいなと思っております。
仁同監督:平日のお忙しい処をお越し頂いて嬉しいです。どうもありがとうございます。
――大阪が舞台の映画で初日を迎える率直な感想は?
馬場:大阪でも撮影した作品を一番最初に皆さんに観て頂いて、とても嬉しく思っております。
北村:実は私は大阪での撮影には来ていないので、こうして来られて嬉しいです。
仁同監督:18歳まで堺で育ちまして、監督になりたいと上京して、こうして監督作を持って舞台挨拶をさせて頂いてとても嬉しいですし、ありがたいと思っております。
馬場:大阪へはお仕事で何度か来る機会があったのですが、丁度1年前になるかな?この映画の撮影で来た時に、東京より街が元気な印象がありました。東京は常にせわしなく暗い感じがする時があるのですが、大阪はとても元気な感じがしました。まだ暗い内の早朝から自転車で街を走るシーンがあるので、そこを楽しみに観て頂ければいいなと思います。
北村:大阪へは観光で何度も来たことがあります。海遊館へも行ったことがありますが、ただただ食べてました。美味しい物が多いですからね。
――大阪が舞台のこの映画を作られた経緯は?
仁同監督:この作品は漫画が原作なので、出版社の編集者の方に「こういう本を作ったんだけど映画化とかできない?」と相談されたのが最初です。読んでみたら何とも言えない大阪独特の“カッコつけへんカッコ良さ”とか、あっけらかんと飄々とした大阪人ならではの雰囲気が出ていて、とても懐かしく、是非やりたいなぁと思いました。
――そういうお気持ちで撮影された訳ですが、撮影中何か気を付けられたことは?
仁同監督:撮影中の苦労というか、馬場さんも北村さんも大阪の人ではないので、北村さんは役柄上、標準語で話す関西風の人という感じだったので、まだそんなに心配することはなかったのですが、馬場さんは新潟出身でほぼ東京暮らしなので、大丈夫かな~と心配しました。他の役者さんも大阪弁を使う時には同じように課題になってくると思いますが、イントネーションとか大阪弁にばかり気を取られると、エモーショナルな演技が損なわれてしまうことになり兼ねないのですが、馬場さんは完全に大阪人のユリになりきって演じて下さいました。きっと馬場さんはそういう努力を見せないタイプの俳優さんだと思います。カッコいいなと思いましたよ。
――バリバリの大阪人・ユリを演じられた馬場さんは自身で気を付けられたことは?
馬場:普段周りに大阪弁で話す人はいるのですが、私自身は新潟出身ですし、お芝居でも大阪弁を喋ることもなかったので、「これはヤバい!」と思って沢山練習しました。共演者の皆さんは結構関西出身の方が多くてネイティブに話されるので、これはちゃんと話せるようにならなきゃと思いました。
――大阪の人間から見ても何の違和感もなくて、後から新潟出身と聞いてびっくりしたぐらいです。
馬場:ほんとですか~嬉しいです。クランクインする前に時間を掛けて練習しました。本作にも出演されている芦那すみれさんに付きっ切りで教えて頂きました。
北村:私が演じた高橋という女子大生はアイドルみたいな存在だなと思ったので、どうにかこのイメージを壊さないようにしなきゃと思いました。コープの人とは違う風を運んでこられるように、キラキラしたアイドルを意識しました(笑)。
馬場:撮影現場に北村さんが初めて来られた時に、「うわぁ、アイドル来た!」って思いました(笑) 凄い!眩しい!ってね(笑)
北村:普段しない髪型やレトロな服装に助けられて、ニコっと笑えました(笑)。
――監督にとっても北村さんのアイドル感というものは問題なかったのでしょうか?
仁同監督:僕もアイドルに憧れて育ってきましたが、「アイドルって表に出ていない時ってどんなんやねん?」と思ってましたので、北村さんのお陰で、アイドルに変身する瞬間を見ることができたんです。凄いエネルギーでアイドルに変わっていったので、そこは凄かったですね。
――コープに住んでいる住人って濃い人たちばかりですので、北村さんが演じる高橋は爽やかな風のような存在ですよね?
――馬場さんは初めて脚本を呼んだ時の感想は?
馬場:とても面白かったです。あまり読んだことのない不思議な空気が流れている作品だと思いました。大阪の言葉が喋れないのに大丈夫かな?と思いつつも、作品自体が面白くて魅力的でしたので、是非やりたいなと思いました。
――クランクイン前に打ち合わせとかされたのですか?
馬場:監督から長いメールを頂きました。ユリについての設定というかプロファイルみたいなものをいっぱい送って頂いて、お陰でよく理解できました。
仁同監督:勿論原作もありますが、すべてが書かれている訳ではないので、想像したり編集者の人に聞いてみたりしてユリというキャラクターを創り上げていったんです。
――そういうことは他の俳優さんたちにもされていたんですか?
仁同監督:いいえ。ユリは主人公なのにあんまり喋らないしリアクションも控え目なキャラクターなんですよ。ですから、しっかりと人物像を準備しておかないと、存在感を示せないというかリアクションの意味が伝えられないと思ったので、僕も予習復習の意味も兼ねて馬場さんに長いメールで説明したんですよ。
――本作を初めて観た時の感想は?
馬場:不思議でした!凄くゆっくりと時間が流れる映画だと思いました。
北村:あまり観たことのない映画でしたよね。でも、こういう映画を観たかったような…大きな波がある訳ではないけれど、生き様も表れていて、人間味あふれる愛おしさを感じるような映画だなと思いました。
馬場:撮影現場もそんな感じだったんです。現場って普通時間に追われてぴりぴりしているものですが、今回はとてもゆっくりと時間が流れていて、それだけ順調に撮影が進んでいたということもあるのですが、こういう作品は今までなかったなと思いましたね。
――共演者とのエピソードは?
馬場:ず~っと喋ってました(笑)。そのまんまこのコープに住んでいるんじゃないかと思える程。実際、コープの脇にある駐輪場でみんなで輪になって喋ってました。
北村:笹野さんが凄いお喋りで(笑)、豆知識みないなものをいっぱい教えて下さって、とてもありがたかったです。
――監督から見た馬場さんと北村さんの魅力とは?
仁同監督:北村さんは、アイドル的な存在の高橋に変身する瞬間のエネルギーが凄かったですね。目つきや一挙手一投足とかに入れ込む情熱が強く、演じることがとても好きなんだなぁと思いました。
馬場さんは、言葉をはじめ衣装やヘアスタイルもユリになり切っておられて、カットになってもユリのまんまでしたね。一見何を考えているのか分からない役なので、「どんなこと考えてんだろう?」ともっと知りたくなってくるんですよ。観ている人をグッと惹き込ませる女優さんだなとずっと思ってました。
馬場:めっちゃ褒められましたね~(笑) 実際、ユリと近い部分が多いかなと…例えば、常に客観視できる目を持っているとか、他人に流されずに自分自身をしっかり持って生きているとか、私もそういう風になりたいなと思っています。
北村:馬場ふみかさんのいい気の抜け方がとても心地が良くて、お芝居する時も変な緊張をしないので、一緒に居てとてもやりやすかったですね。
――本作の注目点は?
馬場:ユリはコープで皆と一緒にいる時もそうですが、弟や母親と一緒にいる時に見せるユリの人間性にも注目してほしいです。
北村:高橋としては、石田君と二人きりになる時のドキドキ感が伝わってくれればいいなと思いますし、ユリちゃんと一緒に公園を散歩するシーンなど、違う世界の高橋がコープにどうしようもなく好奇心を抱くあたりにも注目してほしいです。
仁同監督:自分でも「この映画はどんな映画なんかな?」と問い続けてきましたが、やっぱり「囚われない生き方」ということではないかと思います。世間体とか収入のためとか、他人と比較するとか、良きにつけ悪きにつけうるさい世の中ですが、それらに囚われないで自分らしい生き方を貫く逞しさがこの映画の中には存分に描かれていると思います。そんなことを感じ取って頂けたら嬉しいですし、僕もそんな生き方をしていきたいなと思っています。
――最後のご挨拶
北村:私も大好きな映画が出来ました!このキャッチコピーにあるように、「世の中いろいろあるけど、まあいいか!」と思えるぐらい気の抜けた愛おしい人がいっぱい登場しますので、それらを楽しんで頂けたら嬉しいです。
馬場:初日に大阪に来られるのが幸せだなと。この映画にはどうしようもない人たちがいっぱい出てくるんですけど、それでも愛おしい気持ちになり、そして不思議な時間が流れる映画ですので、楽しんで頂ければ嬉しいなと思います。
仁同監督:観て頂いて、多分めちゃくちゃ感じて頂けることが多いのではないかと思います。自分で言うのも何ですが、いい映画なんでよろしくお願いします!
出演:馬場ふみか 東出昌大 倉悠貴 笹野高史 前田旺志郎 北村優衣 藤原しおり 片岡礼子
原作:岩浪れんじ 「コーポ・ア・コーポ」
監督:仁同正明
脚本:近藤一彦
主題歌:T字路s「愛おしい日々」(Left Brain Inc.Mix Nuts Records)
製作:ジーオーティー 制作プロダクション:アットムービー
配給:ギグリーボックス
2023 年/日本/97 分/ビスタサイズ/5,1ch/映倫区分:G
公式サイト:https://copo-movie.jp/
2023年11月17日(金)~TOHO シネマズ(梅田、二条、西宮OS他)、あべのアポロシネマ、 109シネマズHAT神戸 他全国ロードショー!
(河田 真喜子)