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「一つでも多くの命に繋がってほしい」骨髄移植経験のある樋口大悟が企画・原案・主演を務める『みんな生きている ~二つ目の誕生日~』舞台挨拶

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(2023.4.15 シネ・ヌーヴォ)
登壇者:樋口大悟(企画・原案・主演)、両沢和幸監督、榎本桜(プロデューサー・出演) 
 
 25歳の時に急性骨髄性白血病と診断され骨髄移植経験を持つ俳優、樋口大吾が企画・原案・主演の『みんな生きている ~二つ目の誕生日~』が、シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館で絶賛公開中だ。
実際に苦しい闘病生活を体験した樋口自らが、白血病と診断され闘病する主人公、桧山大介を演じる圧倒的なリアリティや、あまり取り上げられることがなかった骨髄提供者とその家族の葛藤、決して出会う事のない患者とドナーの目に見えない繋がりを描き、単なる難病ものではない、全く新しい医療エンターテインメントに仕上がっている。
シネ・ヌーヴォの公開初日となった4月15日に、樋口大悟(企画・原案・主演)、両沢和幸監督、榎本桜(プロデューサー・出演) が上映後の舞台挨拶で登壇した。
 
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 劇中の空手ユニフォームの衣装で登場した樋口は、「見ていただいた通り、僕の実体験をもとに作らせていただきました。25歳の時、急性骨髄性白血病と診断され5年の闘病の後、骨髄移植でしか助からないと言われました。その時、名前も顔もわからない(ドナー)の誰かが僕に骨髄を提供してくださったから、15年経った今でも生きていますし、今日ご覧いただいた映画も作ることができました。頭の中ではずっと感謝への気持ちや、骨髄バンクを知って欲しいという想い、誰かの善意で助かる命があることを伝えたいと思っていました」と、企画の意図を語った。
 
 両沢和幸監督が樋口の想いに共感し、構想から5年かけ、クラウドファンディングでの支援を経て完成したという本作。通常の難病ものとは異なり、骨髄を提供するドナー側の物語を描いているのも従来とは異なる点だ。両沢監督は「白血病を題材にしたテレビドラマや映画は今までにもありましたが、樋口さんと知り合い、彼が体験した話をベースに作ろうと彼の体験談を聞くだけでなく、今まで描かれていないドナーサイドのことも調べていくうちにその方々が決断してくれないと患者が助からないことに気づいた。そこからドナー経験の方にもお会いし、両面を描く形にしました」とその狙いを明かした。
 
 大阪の舞台挨拶を特に楽しみにしていたという樋口。「ドナーとは出会うこともないし、名前も明かされないのですが、移植してから一年以内に、僕の時は個人とわからないように手紙を1年に1往復(今は1年に2往復)できたんです。絶対に出会わない関係ですが、関西在住の同世代の女性が僕のドナーだったことを知っていますので、関西にくることができ、どこかでこの作品を観てくれればいいなと思いますし、『どこかですれ違っているのかな』と思いながら大阪の街を歩かせていただきました」とその思いを吐露。舞台挨拶の司会を務める榎本も、「元々は友人で、役者として(このプロジェクトに)誘われましたが、どこかでドナーの方に想いが届くのではないか。感謝の気持ちを込め、みなさんの想いをしょって全国に届けていければと思っています」と力を込めた。
 
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 さらに、劇中で登場する印象的な曲「僕は飛行機」について触れた樋口は、「僕が15年前に無菌室で横になって窓の外を見ていると、空に飛行機が飛んでいる姿が見えたのが印象的だったので詞にして、名前を伏せて書いていたのですが、今回出演もしてくれたミュージシャンの鈴木周哉くんが、当時移植前に曲にしてプレゼントしてくれたんです。それから15年経ちますが、映画の中でかかるのは思いもよらなかったし、とても嬉しいです。人生で一番聞いた曲です」と曲にまつわるエピソードを披露。
 
 最後に、
「この映画のラストで主人公が画面に向かってあるセリフを言うのですが、どこかの映画館で観てくれるのではないかと想定したドナーの方に向けて言ってみてくださいと(樋口)大悟に演出しました。より多くの映画館で、より多くの観客の方に観ていただきたいですので、これからもよろしくお願いいたします」(両沢監督)
「一つでも多くの命に繋がってほしいというのが、僕がこの映画を作った根底の想いです。亡くなった方もたくさん見てきましたし、今苦しんでいる方もたくさん知っています。そんな方の少しでも勇気や希望になったり、骨髄バンクを知ってもらえれば嬉しいです。僕が思うのは、日常生活をふつうにできることはすごく幸せなんだなと。この映画を観て、心のどこかで温かい気持ちを持ったり、少し勇気や希望を持って劇場を出ていただけると嬉しいですし、『みんな生きている』というタイトルは僕らも含め、みなさんに向けてつけたものです。ぜひ素敵な人生の日々を過ごしていただければと思います。本日はありがとうございました」(樋口)
と挨拶し、舞台挨拶を締めくくった。
  ドナーとなった桜井美智子を演じる松本若菜、その夫を演じる岡田浩暉と後半のドナーサイドの物語も注目したい、命をめぐる物語。シネ・ヌーヴォでは2週間上映(22日からはシネ・ヌーヴォxにて上映)される。 
 (江口由美)
 

<作品情報>
『みんな生きている ~二つ目の誕生日~』
(2022年 日本 113分)
監督:両沢和幸 企画・原案:樋口大悟
出演:樋口大悟 松本若菜 岡田浩暉 武藤令子 大西武志 森下能幸 他 
4月14日(金)より京都みなみ会館、4月15日(土)よりシネ・ヌーヴォ他全国順次公開
公式サイト→https://www.min-iki.com/
©2022「みんな生きている ~二つ目の誕生日~」製作プロジェクト
 

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