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「本当に愛に溢れた方」松坂桃李、広瀬すずが、李相日監督の演出を語る『流浪の月』関西試写会舞台挨拶

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「本当に愛に溢れた方」松坂桃李、広瀬すずが、李相日監督の演出を語る『流浪の月』関西試写会舞台挨拶
(2022.5.2 関西テレビなんでもアリーナ)
登壇者:広瀬すず、松坂桃李 
 
 2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうの小説を映画化した『流浪の月』が、5月13日(金)TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸他全国公開される。
監督は『怒り』の李相日。広瀬すずが誘拐の被害女児と周りから見られるなか、成長して恋人と結婚間近の更紗を、松坂桃李が公園でずぶ濡れになっていた10歳の更紗に傘を差し出したことがきっかけで2ヶ月一緒に暮らし、女児誘拐犯の烙印を押された文を演じている。事件から15年後に思わぬ再会を果たしたふたりの魂の交流と、それぞれのパートナーとの歪み、そして事件の当事者だったふたりがそれぞれに積み重ねてきた苦労の年月が一気に崩れ去るある事件。育児放棄やDV、過剰なバッシングなど現代社会に蔓延する問題を背景に、ふたりの運命を切なくも美しく描くヒューマンドラマだ。
 

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 本作でW主演の松坂桃李と広瀬すずは、久しぶりとなる関西での舞台挨拶に感無量の様子。「なんとも言えない強い繋がりの形をみなさんにどう受け取ってもらえるかが気になります。上映後にみなさんにお会いしたいというのが正直なところです」(松坂)、「取材をしていただく機会が増えれば増えるほど、どんどんわからなくなるんです。話したいことがたくさんあるけど、思い出すと次々感情が蘇り、客観的に観ることができない。同世代の方にどんな風に見えるのかが気になります」(広瀬)と、非常に特殊な環境で出会った主人を演じたふたりから、くしくも同じような言葉が挨拶で飛び出した。
 
 李監督とは『怒り』から7年ぶりにタッグを組んだ広瀬は、監督からずっと心配されていたと明かし、「どんな時もわたしや更紗の味方でいてくださった。お芝居ってこういうものだな、『怒り』の時もこうだったなと再確認できる時間でしたし、今回は感情的な会話をすることができました」と前回とは違う意味での手応えを感じた様子。
 
 一方、今回李監督作品に初出演した松坂は、「(監督に)お会いしてお話しましょうと言われたときは、いつかご一緒したいと思っていたので、これはもしやと。事務所の一室で最初はマネージャーやプロデューサーを交えて話したのですが、その後二人きりになった時に、二人して無言で沈黙。そんな始まりでした。(演じる上で)どう乗り越えたらいいのか、まだわかっていない僕が、李さんとなら乗り越えていける気がすると思わせてくれた方でした」と念願が叶ったことを明かした。
 

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 そんな李監督との仕事は、広瀬にとって唯一無二のようで「李さんは、役者の仕事をする上で、特別に信頼を寄せている方。おー、李組かと思うのだけど、道しるべを作ってくださるし、李さんならではの演出も特別なものがあります」。今回非常に難しい加害者、文を演じた松坂は「李監督は最後まで見捨てないでいてくださる、僕にとってはもう一人の文。文も優しい人間だが、監督も文のように底の見えない包み込み方で手を差し伸べてくれる感じ。現場に入る前はすごく厳しいと方々で言われたが、実際には本当に愛に溢れた方でした」と現場での演出を振り返った。
 
 15年ぶりに再会するという設定だが、更紗を演じる広瀬と、文を演じる松坂はどのように距離を縮めていったのだろうか?広瀬が「現場が一緒でもしゃべれない時間が多くて、現場のすごく端と端にいて、挨拶以外はしゃべらなかったです。感情的なシーンのときに、テイクを重ねれば重ねるほどお芝居で語り合っているような感覚になりました」と語れば、松坂は「端にいても視界の端に入っていて、必ず意識している。意識することを積み重ねることで、ちゃんとお芝居で会話をするときに、違和感なく貯めていたものが溢れ出す。(そんな風に)お互いに溜めていた感じですね」と当時の様子を詳しく解説。
 
 
 
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 一方、15年の間に築いてきたそれぞれのパートナーとの関係が軋み始めるのも、映画の見せ場の一つだが、更紗の結婚間近の恋人、亮を演じた横浜流星とは、人見知り同士だったと広瀬が振り返る。「初対面から短い期間で『婚約者にちゃんとなってね』と言われ、ハウススタジオを借りて二人でダラダラ1日過ごしてみたり、撮影前に長野を二人で周ってみたりを繰り返すうちに、皮膚感覚として信用できる人になりました。撮影では亮くんに感情を乱されました」。一方、文のパートナー、あゆみを演じた多部未華子と共演経験が多い松坂は、映像の作品が久しぶりだという多部がいつになく緊張していたので、文が経営している設定のロケ地のカフェで、多部にコーヒーを淹れてあげたという微笑ましいエピソードを披露。最後に、
「形のない繋がりを李さんが原作の世界観を受け継いで映画化しました。みなさんの感想を添えていただいて作品が完結すると思います。最後まで楽しんでください」(松坂)
「スタッフ、キャスト全員で、文と更紗のように大切に作っていきました。この二人の真実と事実。レッテルを貼られて生きてきた苦しさ、もどかしさをみなさんに解消してほしいという思いがあります。ぜひ余韻に浸ってください」(広瀬)
と熱いメッセージを送った。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『流浪の月』
(2022年 日本 150分)
監督・脚本:李相日
原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社 刊)
出演:広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子 / 趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子 / 柄本明 
5月13日(金)TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸他全国公開
(c)2022「流浪の月」製作委員会
 

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