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「前田監督は私の10倍ぐらいエネルギッシュ」松井怜奈、単独初主演作の魅力を語る。『幕が下りたら会いましょう』公開記念大阪舞台挨拶

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「前田監督は私の10倍ぐらいエネルギッシュ」松井怜奈、単独初主演作の魅力を語る。『幕が下りたら会いましょう』公開記念大阪舞台挨拶
(2021.12.5 テアトル梅田)
登壇者:松井玲奈(主演)、前田聖来監督 
 
 私たちには「戻りたい夜」が多すぎるーーー。切ってしまった妹からの最後の電話、母が隠し続けてきた秘密、そして自分自身が向き合うのを避けてきたこと。突然の妹の死をきっかけに、今一度なおざりにしてきたことに向き合い、自分の人生の幕を上げようとする劇団主宰者の姿を描く『幕が下りたら会いましょう』が、12月3日よりテアトル梅田で絶賛公開中だ。
 
 
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  12月5日に同館で行われた公開記念舞台挨拶では、本作が初単独主演となる松井玲奈、同じく本作が初長編作となる前田聖来監督が登壇した。現在は小説家としても活躍し、マルチな才能を発揮している松井は、大阪での舞台挨拶は久しぶりと前置きしながら、
「大阪で映画を見てくださったお客様に会えたのがうれしい。その作品が自分の主演作であることがとても光栄です」と喜びを表現。一方、オリジナル脚本で初の商業映画を撮った前田監督はビッグチャンスすぎて奇跡的だったと振り返りながら、
「松井さんに主演をしていただき、全国で映画が公開され、大阪で観ていただけるのがまだ信じられない気持ち」と感動醒めやらん様子。
 

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 コロナ禍での脚本打ち合わせや読み合わせは全てオンラインだったというが、かえって密に連絡を取ることができたという二人。脚本の早い段階からラストシーンが決まっていたことから、前田監督がラストへの思いを語り、そこに至るまでに麻奈美がどういう行動をし、どういう気持ちになれば、そのラストにたどり着けるかを重点的に話し合ったという。松井は「脚本に書かれていない麻奈美のバックボーンを知ることができ、私にとってもいい時間になりました」と撮影までの期間を振り返った。
 
 
 
   初めての本格的な演出にとにかく必死だったと撮影を振り返った前田監督は、
「松井さんはオンラインでお会いした時から今まで、ずっとお姉さん的存在で、私がうまく伝えきれない部分も噛み砕き、うまく消化した上で演技してくれる。私が言いきれなかったことを理解してやってくれることが多く、それにたくさん支えられました」
一方、松井はその熱量に言及し、「私の10倍ぐらいエネルギーがあり、質問するとシーンの意図や、答えをすごく多く出してくれました。エネルギッシュだと思うし、撮りたいものがはっきりしている。私はずっと『監督、元気だな』と思っていました」とお互いの存在を陽と陰と表現しながら、熱量の高い撮影の様子を語った。
 

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 自分の感情を出すのが苦手な性格の麻奈美役を演出するにあたり、感情が表に出る瞬間、出ない瞬間をセリフではなく、真波の行動や表情で映像にのせたかったという前田監督。感情をそぎ落とす演出の中、唯一違うイメージを要求したことも。「『恋がはじまるキラキラした感じを出してほしい』と突然言われました」という松井の演技は、「呼びかけられて『はい!』と振り返りながら言うワントーン高い声。松井さん自身が50%ぐらい入っています。麻奈美が東京に行って、浮き足立っている感じがほんの少しあればいいなと思って演出しました。もう一度見直してみてください!」と唯一のキラキラシーンをアピールする一幕も。

 さらに長年、麻奈美を支えてきた劇団の看板女優、早苗との友情について話が及ぶと、松井は「二人はお互いの足りない部分を補い合っている存在です。例えばクマのプーさんは楽観的で、一方、いつも一緒にいるピグレットは心配しすぎな性格ですが、ずっとお互いで補い合っているような関係。自分の中ではシンパシーを感じています。自分の足りないところを補ってくれる人がいるのを“プーさん理論”と勝手に呼んでいますが。みなさんにもそれを伝えたい」と持論を初披露した。
 
 

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プーさん理論が思わぬ反響を呼び、名残惜しい中での最後の挨拶で「麻奈美は、周りと距離を取る孤独な存在ですが、一人で寂しいと思っていても母親や早苗、妹の尚などの視線に気づいていないだけ。視線を常に向けてもらっているという人の温かさに改めて気づくことができました。ご覧になった皆さんにとっての、足りない部分を補ってくれる大切な人を見つけてほしいです」(松井)
「家族に対しての思いを馳せる瞬間もあれば、演劇にフォーカスすると友情関係や30歳という年齢で、これからの人生をどう生きるかという大人の葛藤も見えます。色々な見え方をすればいいなと思って作りましたので、この映画を観て、何かを持って帰り、心の片隅に置いてもらえたら嬉しいです」(前田監督)
と、その思いを観客に伝えた二人。演劇やシスターフッド、そして尚を取り巻く環境にはハラスメント的な要素を取り入れながら、自分の本当の気持ちを自分なりのやり方で表現しようと前を向き始める麻奈美の姿を、ぜひ映画館で目撃してほしい。
(江口由美)
 
<作品情報>
『幕が下りたら会いましょう』
(2021年 日本 94分)
監督・脚本:前田聖来 
出演:松井玲奈、筧美和子、しゅはまはるみ、日高七海、江野沢愛美、木口健太
12月3日(金)よりテアトル梅田、なんばパークスシネマ他絶賛公開中 
公式サイト→http://makuai-movie.com/
(C) avex entertainment Inc
 
 

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