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ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020「合評上映会」

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文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020」

日本の映画界を担う若手作家3作品を一挙初上映!!

ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020「合評上映会」

 

特定非営利活動法人映像産業振興機構(略称:VIPO、理事長:松谷孝征、東京都中央区)が、日本における商業映画監督の育成への取り組みとして、2006年度より企画・運営する、文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020」において、今年度の製作実地研修で完成した短編映画3作品の「合評上映会」が都内にて開催されました。


【日時】2月3日(水) 15:30~
【場所】丸の内TOEI ②(東京都中央区銀座3-2-17)
登壇】植木咲楽監督、木村緩菜監督、志萱大輔監督
    安田聖愛、肘井ミカ、今里真、駒木根隆介、仁科貴、遠山景織子、小林涼子、関口アナン


映像産業振興機構(VIPO)が企画・実施する「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020 」で製作された短編映画3作品が、一般公開に先駆けて合評上映会でお披露目された。舞台挨拶に登壇した3人の若手監督は、今年は感染予防対策として座席数が半数に制限されているものの多くの観客で埋まった客席をみて、無事にスクリーンで作品を観てもらえることに安堵し嬉しそうな様子だった。


ndjc2020-pos.jpg上映された3作品は、監督・脚本を務めた卒業制作『カルチェ』がPFFアワード2018にて入選、第19回TAMA NEW WAVEにてグランプリを受賞し、大学卒業後は石井裕也監督のもとで監督助手を務めた植木咲楽監督作『毎日爆裂クッキング』、日本映画大学在学中からピンク映画や低予算の現場で助監督として働き、卒業制作では「さよならあたしの夜」を16㎜フィルムで制作し、現在は様々な監督のもとで助監督として働く木村緩菜監督作『醒めてまぼろし』、映像制作団体osampoを主催し、never young beachなどアーティストのMVを手がけ、監督作『春みたいだ』がPFFアワード2017やTAMA NEW WAVE正式コンペティション部門などに入選し、海外の映画祭でも出品・上映された志萱大輔監督作『窓たち』の3作品。いずれも35ミリフィルムで撮影・編集された30分の短編。


合評上映会は、文化庁梶山正司参事官の挨拶ではじまり「ndjc:若手映画作家育成プロジェクトは、日本映画の才能の発掘と育成を目的として今年で15年目となります。今回の3人の監督には、是非、国内外で活躍して日本映画界を盛り上げていってほしい」と若手監督たちへ激をとばした。


ndjc2020合評上映会-500-bakuretsu.JPG1作品目の『毎日爆裂クッキング』植木咲楽監督は、重いテーマをコミカルな様子で描いた理由ついて聞かれると「もともと食べ物をテーマにした映画を作りたいと思っていました。昨今の状況や自分の人生の中で、なにかしら罵倒されたり、不当な扱いを受けることは誰しもが経験のある事なのかなと思い、それを作品にしたら面白いかなと思って撮りました。なるべく重い空気を笑い飛ばしてしまいたいなと、個人的には思っていたので、こういったテイストの作品になりました」と明かした。

また、一番の勝負シーンを聞かれると「文が卵を割るシーンは、初めて文の本当の感情が表に出るシーンだったので、大事に撮りたいなと思ったシーンでした」と答え、主人公の文役を演じた安田も「最初は、卵を入れたかごにたまたま手が当たってしまって卵を割ってしまうという場面だったんですが、現場で急遽、文の感情が爆発して卵を割るっていう演出に変えたとき、私も文の感情がそこで爆発的に出すことができて良かったなと思えるシーンです」と述べた。

今後、どんな作品を撮っていきたいかを問われると植木監督は「なるべく誠実な映画を作っていきたいです。できれば、見過ごされてしまったり、蔑ろにされてしまいそうなもの、歳を取ったらそういったことを忘れていってしまうのではないかという危機感があるんですが、そういう経験で感じた悔しい思いや、そこから助けてもらった時の嬉しさとかを忘れないで映画を撮っていきたいと思います」と語った。また、出演者の渡辺えりからのビデオレターが届き「これからも弱い者の味方の映画を撮っていってください」という渡辺の励ましのメッセージに、感謝する様子の植木監督だった。


ndjc2020合評上映会-500-samete.JPG続いて2作品目『醒めてまぼろし』木村緩菜監督は「私自身、あまり友達や恋人的な存在もなく、拠り所というか帰るところが無いとき、自分が一人で生きていくためにはどうしたらいいだろうと思った時に書いた脚本です」と今回の作品テーマを選んだ理由を説明。

演出については「主演の小野さんとはいろいろ話し合いました。どういう気持ちでいくかということを、限りなく言語化していく作業というか、その時どういう感情であるかということを中心に沢山話し合いました」と話した。主人公・あき子の母親役を演じた遠山は「監督と話し合っていく中で、あき子の感情がただの思春期の反抗として見せたくないという軸があったし、私もあき子の気持ちに共感できるところがあったので、今日、出来上がった作品を観ていて、あき子の反抗する姿がすごく刺さりました」と初めて完成した作品を観た感想を語った。

劇中であまりBGMを使用しなかったことの理由を聞かれると、木村監督は「なるべく生の音を録って使おうとあらかじめ決めて準備していました。この作品には音楽はいらないなと、音楽である一定の感情を塗りたくることをしたくない、音楽で挽回するということをしたくなかった」とその気持ちを明らかにした。

今後撮りたい作品について聞かれると「言葉で説明できない感情をちゃんと映画にできたらいいなと思います」と次回作への意気込みを語った。


ndjc2020合評上映会-500-madotachi.JPG3作品目『窓たち』志萱大輔監督は、絶妙な男女のすれ違いを切り取ったストーリーを「ndjcに応募した脚本をいろんな人に読んでもらって意見をもらい、直して直してこの脚本になった」と話した。朝子役を務めた主演の小林は「撮影準備期間には監督とは恋バナをたくさんしました。皆さんそれぞれ、少しやましかったり悲しかったりするのが恋愛だと思いますが、男性から女性から、いろいろな視点を詰め込んだお話しなので、どんな度合いで表現するのがいいのかを話し合うため、念入りに丁寧に恋バナをさせていただきました」と撮影裏のエピソードを披露した。

印象的なラストシーンについては脚本を書き換えていくうちに少し違ったものになったらしく「一番最初の脚本では“信号が青に変わっても進めない”としか書いてなかったけれど、その後、脚本を直して別のラストシーンにしたけれど、また元のラストシーンに戻し、“点滅している”という部分を足して書き直しました。引きの映像も撮っていたけれど、場所の説明になってしまう気がして、ただ、赤と青、そして点滅だけで表現できないかなと思って最終的にこのシーンになりました」と説明した。

今後、どんなテーマに興味があるか聞かれると「映画を作ることが好きなので、それを長く続けていくというのはどういう事だろうと考えた時に、長く撮り続けていった時に、自分はどういった作品を撮っているんだろうということに興味があります」と自身の考えを表明した。


スーパーバイザーの香月純一氏は3人の若手監督それぞれに称賛のメッセージを送り、「今年のndjc2020の3本は、それぞれの作品がリンクしているようでもあり、またバラエティに富んだ作品になったと思います。今年のこの3人の監督がますます活躍していって欲しいと思います。そのためにはここにいる皆さまのご指導ご鞭撻が大事になってきます。皆さまどうぞよろしくお願いいたします」と締めくくった。会場からは監督たちへの期待を込めた温かい拍手が広がり、合評上映会は好評のうちに幕を閉じた。


2021年2月26(金)~角川シネマ有楽町を皮切りに、名古屋(3/12〜)、大阪(3/19〜)にて一般公開


(オフィシャル・レポートより)

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