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安先生を熱演の柄本佑、動画メッセージで「エンターテインメント作品として肩肘張らずに楽しんで」『心の傷を癒すということ<劇場版>』完成披露試写会&トークショー

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安先生を熱演の柄本佑、動画メッセージで「エンターテインメント作品として肩肘張らずに楽しんで」『心の傷を癒すということ<劇場版>』完成披露試写会&トークショー
(2021.1.15  OS シネマズミント神戸)
登壇者:京田光広氏(NHK エンタープライズ近畿総支社企画事業部)
              安達もじり氏(テレビ版総合演出 NHK 大阪拠点放送局制作部) 
 
    1995 年 1 月 17 日に発生し甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災から25年目を迎えた2020年に、みずから被災しながらも、避難所などで被災者の「心のケア」に積極的に取り組んだ若き精神科医・安克昌さんが寄り添い続けた被災者たちとの交流と、安さんにとって大切な家族、友人との絆、自分らしい死の迎え方を貫く姿を描いたNHKドラマ(全4回)「心の傷を癒すということ」が放送され、大反響を呼んだ。
コロナ禍の今年で震災から26 年目を迎える今、改めて傷ついた心を癒すためにはどうすればいいのかを改めて問いかける本作が特別に再編集され、『心の傷を癒すということ<劇場版>』として2月12日(金)OS シネマズミント神戸ほか全国公開される。
 
 
  1月15日、OS シネマズミント神戸で開催された完成披露試写会&トークショーでは、本作の企画・京田光広さんとドラマ版の総合演出の安達もじりさんが登壇。京田さんが東日本大震災後に精神科医、安克昌先生の原作に出会い、安さんの文字の魅力や作品の魅力、もう一度被災地と向き合いたいという思いから、いつかは番組にしたいと長年企画を温めていたという。安達さんとの出会いを経て、ドラマ化の企画が動き出した時には安先生のご家族や関係者の方にインタビューを重ね、西宮で被災した桑原亮子さんに脚本を依頼したという。
 
 
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  ここで、緊急事態宣言発出のため残念ながら登壇が叶わなかった主演、安和隆役の柄本佑と、妻終子役の尾野真千子が感謝の気持ちを寄せたビデオメッセージがスクリーンに映し出された。
「会場にお越しの皆さん、こんにちは。柄本佑さん演じる安先生の妻、終子を演じた尾野真千子です。この作品は一人でも多くの方に、観たこと、感じたことを伝えたくなるような、これからも受け継ぎたくなるような作品です。この作品に含まれる本当に温かいメッセージは一人でも多くの方に届けたいと思うようなものであり、伝える人がこれからもいてくれると、心強くなるようなメッセージが含まれています。皆さんにもこの気持ちが届くことを願っております」(尾野)
 
「この作品は2020年1月、NHKテレビで放映されましたが、まさか劇場版で大きなスクリーンでみなさんに観ていただけるとは思っていなかったので、感動しています。撮影中神戸の街をあるいて、とても肌に合うなと思いました。神戸がすげえなと思ったのが、手の届く範囲に全部あること。ぎゅっと詰まっていて暮らしやすい街だなと感じました。早く神戸ロケのある作品に出会えないかと真面目に思っています。スクリーンで上映される映画になったことで、もう一つ安さんのご家族にプレゼントできるものが増えたことがうれしいです。震災や心のケアもありますが、一本のエンターテインメント作品として肩肘張らずに、フラットに楽しんでください」(柄本)
 
 
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  心のこもった二人のメッセージを観た後は、柄本と尾野のキャスティングについて語られた。安達さんは「柄本さんは元々顔見知りでいつかご一緒したいと思っていました。この企画を立ち上げた時、年頃や見た目もなんとなく安先生に似ているなと思い、ちゃんと強い思いをもってドラマを作るのだけど、ご一緒しませんかとお声かけしました。尾野さんは、今までご一緒したことがありましたがキャラクターが濃い役が多かったのです。今回はこの物語にとても感情移入をしてくださり、自然体で神戸で生きる人としてそこにいてくれました。本当に安夫妻がそこにいるという時間がとても多く、素敵な現場でした」と撮影を回想。一方、京田さんは「この企画が立ち上がり、モデルとなった安さん一家とご挨拶の会をした時、キャスティングで名前を挙げてくださったのが尾野さん。見事最高のコンビになりました。佑君は、安先生に似ているというより、彼なりに演じて表現してくれたことがすごく良かったと思います」とその演技に賛辞を惜しまなかった。
 

 

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 本作は実にリアルな避難所のシーンが登場するが、このシーンでは300人ぐらいの地元の方がエキストラ出演し、撮影に協力したという。震災を題材にしたドラマを神戸で撮影したことを振り返り、「スタッフ全員で丁寧に説明しながらロケをさせていただいたが、涙が出るぐらい、みなさんきれいな気持ちでご協力いただきました。ロケをするたびに神戸の皆さんと一緒に作らせていただいた感覚を覚えましたし、そういうのが画面に映っていると思います」(安達)、「神戸出身なので阪神大震災直後に取材に入り、三日三晩取材を続けたが、避難所には行けなかったんです。その後東日本大震災や熊本地震では避難所に通い続けたので、今回は同じ風景だと思いました。神戸の方が集まれば何らかの体験をしている中『あの時に何もできなかったけれど、エキストラ出演することで震災を伝えることに協力できた』という人もいらっしゃり、神戸のDNAというか、みんなで作らせていただいたという思いです」(京田)。
 
 

 

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 さらに、安先生のご家族にちゃんと届けたいという思いでドラマを作ってきたという京田さんは柄本のメッセージに触れ、「思いをちゃんと届けることはドラマでやり遂げたということ。公開のタイミングで緊急事態宣言になるとは思っていなかったので今回はオンラインでの開催を提案したのですが、劇場の方を含め、神戸の方々はスクリーンでやりたいとおっしゃってくださった。この時期だからこそ、この映画は絶対に届けなければいけないと思いましたし、安プロデューサーから『プレゼントは終わったから、日本中の人に届けるんだ』と言われている気がします」と決意を新たにした様子。また、柄本の「肩肘張らずにエンターテイメントとして楽しんで」という言葉が一番良かったと褒め、家族の愛など、映画の世界に没頭してほしいと訴える場面もあった。最後に演出をした安達さんは「安先生の本を読ませていただいた時から、これはもっと大きな思いがそこにあるという思いがしたので、奇をてらわずに、そこにある表現すべきこと、思いに寄り添って作ることを肝に命じました。この映画をご覧になった方は、ぜひ安先生の本を読んでみてくださいと言いたいですね」と、映画と安先生の著書「心の傷を癒すということ 神戸…365 日」の両方を味わってほしいと呼びかけた。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『心の傷を癒すということ<劇場版>』
総合演出:安達もじり
原案:安克昌「心の傷を癒すということ 神戸…365 日」 (作品社)
脚本:桑原亮子
音楽:世武裕子 主題歌:森山直太朗『カク云ウボクモ』(UNIVERSAL MUSIC)
出演:柄本佑、尾野真千子、濱田 岳、森山直太朗、浅香航大、清水くるみ、上川周作、 濱田マリ、谷村美月/キムラ緑子、石橋 凌、近藤正臣 ほか 
2月12日(金)OS シネマズミント神戸ほか全国公開
公式サイト→https://gaga.ne.jp/kokoro/
Ⓒ映画「心の傷を癒すということ」製作委員会
 

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