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映画研究会で監督役を熱演の小川紗良「おしゃべりばかりで、ほとんどが即興劇」 『ビューティフルドリーマー』舞台挨拶

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映画研究会で監督役を熱演の小川紗良「勝手なおしゃべりばかりで、ほとんどが即興劇」
『ビューティフルドリーマー』舞台挨拶
(2020.11.7 シネ・リーブル梅田)
登壇者:小川紗良(主演)、かざり(出演)、本広克行監督
 
 『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督が、押井守の脚本「夢見る人」を実写化。いわくつきの台本の映画化に挑む映画研究部の奮闘ぶりをコミカルに描いた『ビューティフルドリーマー』が11月6日(金)よりシネ・リーブル梅田他にて絶賛公開中だ。
本作は日本映画界の鬼才監督による野心的な企画と若い才能がタッグを組み、低予算で制約のない自由な映画づくりを目指す現代版ATGとも言える新レーベル<シネマラボ>の第一弾作品。映画研究会のリーダー的存在で監督としてメンバーを引っ張るサラ役には自身も大学時代から映画サークルで映画を撮り、来年には監督作の公開が控える小川紗良。他にも今注目の俳優から劇中劇に登場するベテラン俳優が本人役で出演。そして映画研究会の先輩役サイトウタクミで斎藤工も参加している。
 

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  公開2日目の11月7日(土)、上映前に行われた舞台挨拶では主演の小川紗良、出演のかざり、本広克行監督が登壇し、実験精神に満ちた本作の舞台裏を明かした。構成脚本はあったものの、具体的なセリフはエチュードによって作り上げていったという本広監督。「皆から自然に出てくる言葉を入れていきました。やたらしゃべっていたり、相手がしゃべっているのにかぶせたりするシーンもありますが、昔はマイクの技術的な問題でそこまでできなかった。今は技術が良くなってきたので、実験的にそんなことができたんです」と俳優から生まれる自然な言葉や会話を活かしたことを明かした。小川も「完成した作品を観てから改めて脚本を見ると全然脚本通りやっていなかった。映画研究会の部員はおしゃべりばかりで、ほとんどが即興劇でした」と撮影を振り返った。

 
 
 さらに本広監督はディレクターを務めていたさぬき映画祭に小川がゲストとして参加したことが今回のキャスティングにつながったことに触れ、「映画監督は独特のキーワード、ボキャブラリーを使うが、それは監督をやっている人ではないとできない。人が演じているのを『カット!』と止めたりするんですから。小川さんは学生映画をやっているのを知っていたので」と映画祭での出会いを振り返った。
 
 

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 一方、映画でも元自衛官の俳優役で登場するかざりは、本作が映画初出演。「元々はカーサ役でオーディションに行ったら、ウィッグが用意されていたけれど、このままオーディションに参加くださいと言われました」と明かすと、本広監督は「元自衛官で役者というのがおもしろいなと。劇中で監督のサラが実際の戦車を登場させることにこだわるのだけど、元自衛官の方が戦車レンタルの会社にいたらおもしろいと思い、脚本を全部書き換えました」とかざり登場シーンの裏話を披露。かざりも初めての映画脚本にセリフがほとんど書かれておらず最初は戸惑ったそうだが、「初出演でいきなりエチュードは難しいけれど、新鮮。自衛隊で鍛えている訓練が活きました」と笑顔に。

 
 

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 NHK朝ドラの「まんぷく」撮影で大阪に2ヶ月滞在していたという小川は、学生時代から関西の芸大や専門学校生と映画祭や地方撮影を通じて関わりがあったと明かし、「大阪で映画を撮るなら、関西の映画サークルの人と一緒に映画を作りたい。関西の人は全てをおもしろがり、活気がすごいんです」と作り手らしい願望を明かすと、かざりは「関西版の『シンゴジラ』で、大阪城とともにゴジラと自衛隊が見たいです」と自身のキャラに重ねた返事が。関西発の人気番組「探偵ナイトスクープ」の大ファンという本広監督は「関西育ちなのでずっと見ていたし、ドキュメンタリーのようで、泣いている人はなぜ感動したのかを観察してずっとノートに書いていました。演出の勉強になるんです。関西は、東京では貸してくれない地下鉄を使わせてくれますし、みんなでおもしろいものを作ろうという熱があります」と自身の監督作を振り返る一幕も。
 
 最後は、「ちょっと変わった映画です。メタ構造のさらにメタのメタがあります。役名が本人の名前なのもメタですし、撮影のカメラのレイルが見切れていたり、小川さんが急にナレーションをはじめたり。わからないとググって、楽しんでいただければと思います」(本広)、「みんなの楽しい夢が詰まったカオスな映画。みなさん楽しんでください」(かざり)、「若い世代だと等身大の青春映画、少し上の世代だと懐かしさがあるかもしれません。存分に楽しんでいただければ」(小川)と作品をアピールした。みんなで映画を作る楽しさが満載の『ビューティフルドリーマー』、青春映画に見せかけて、癖になる映画通も大満足の意欲作をぜひ楽しんで!
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『ビューティフルドリーマー』
(2020年 日本 75分)
監督:本広克行
原案:押井守『夢みる人』  
出演:小川紗良、藤谷理子、神尾楓珠、内田倭史、ヒロシエリ、森田甘路、伊織もえ、かざり、斎藤工、秋元才加、池田純矢、飯島寛騎、福田愛依、本保佳音、瀧川英次、齋藤潤、田部文珠香、升毅
11月6日(金)よりシネ・リーブル梅田他全国順次公開
配給:エイベックス・ピクチャーズ
公式サイト → https://beautifuldreamer-movie.jp/
©2020 映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会 
 

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