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池松壮亮「宮本は僕のヒーロー!」『宮本から君へ』舞台挨拶

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(2019年9月9日(月)@梅田ブルク7)

ゲスト:池松壮亮(29)


 

「新しい時代を迎えた今だからこそ贈りたい、

宮本の熱い生き様を。」

池松壮亮、29歳。むき出しの愛に全力投球!

 

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「痛すぎるだろう、そんな愛は…」と思わず引いてしまいそうになる宮本と靖子のラブストーリー。平成に入って間もないバブル崩壊直前の1990年に連載がスタートした新井英樹原作『宮本から君へ』は、昭和の熱血サラリーマンを引きずるキャラクターが、社会に底流する理不尽な試練にもめげず、七転八倒しながら生き抜く姿を圧倒的パワーで描写。昨年TV放送されたドラマで宮本を演じた池松壮亮は、22歳の時にこの原作に出会い、それ以来宮本は歴史上のどの人物よりヒーローとなったという。


ドラマでは“サラリーマン篇”が描かれたが、映画では“宮本と靖子の愛”に焦点が当てられ、その容赦ない描写にただならぬ熱量を感じとることができる。それと同時に、傷付くことを極端に避ける緩みきった現代人に“喝っ!”を入れるような痛快さで圧倒する。共演は蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、佐藤二朗、松山ケンイチ、柄本時生など、宮本を翻弄する面々も豪華版だ。


台風15号で交通がマヒする中来阪した池松壮亮が、先行上映会の舞台挨拶に単独で登壇。本作への想いや撮影秘話など、慎重に言葉を選びながらも正直に語ってくれた。単独ということもあり、映画『宮本から君へ』が持つパワフルな魅力は勿論、池松壮亮の思慮深さと奥深い人間性に魅了される内容の濃い舞台挨拶となった。

以下はその詳細を紹介しています。
 


 

――池松さんにとって思い入れの強い作品の公開を前にした今の心境は?

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他の作品より時間がかかってしまい、ようやくここまで辿り着くことができました。公開されるのが楽しみな反面、ドキドキしています。個人的にも平成最後にこの作品に取り組み、こうして令和元年に公開されて、自分が辿ってきたひとつの20代最後の集大成として、皆様に届けられればいいなと思っています。


――ドラマから映画まで1年間空きましたが、宮本を演じる難しさは?

やることは確定していましたので、精神的には繋がっていました。とはいえ、そう簡単にはできないハードな役ですので、それなりの心構えや覚悟は必要でした。


――ドラマから変わった点は?

映画は2時間勝負で作られており、映画だけでも成立していますので、ドラマを見ておられない人でも大丈夫です。この前段階にドラマ(宮本のサラリーマン篇)があるのですが、あまり関係ないです。


miyamoto-bu-240-4.jpg――自分にとって宮本はヒーローだと仰ってましたが?

僕はこのように真っ直ぐに自我を持って目の前の正しさに向き合わずにきました。社会に順応しようと処世術を身に付けると同時に、自分の心も殺してきたような気がします。でも、宮本は目の前に何があろうとリスクを恐れず、清く正しい美しさを獲りにいける人です。バカでどうしようもない人ではありますが、僕にはできないことをやれる“ヒーロー”として僕は掲げているのです。


――冷静な池松さんですが最近“熱く”なったことは?

今熱いです。「何かを届けたい!」という熱い気持ちでいっぱいです。


――熱量が凄い作品ですが、現場の雰囲気は?

平成最後に取り組んだ仕事だったのですが、私だけでなく監督やプロデューサーや他の老若男女が平成を生きて来た中で、新時代への期待や不安もあり、やり残したことや罪や償い祈りのようなものを全部宮本に託したからだと思います。いろんな人たちが「最後に詰め込め!」という気持ちで作っていますので、新たな時代への大きなプレゼントになればいいなと思っています。


miyamoto-bu-240-1.jpg――青春の縮図、熱い想いは関西にも通じるものがあると思いますが、関西はいつ以来ですか?

年に1回ぐらいは来ていますよ。前回は日帰りであっという間に帰ってしまったので、今回は1泊します。この後友人と食べに行く予定なんですが、「何食べたい?大阪のうまいもんは肉か粉もん」と言われ、その二択しかないの?「肉か粉もん」以外の物を教えて下さい。

(会場から「串カツ」という声があがり)

いいですね~串カツは大好きです!


――蒼井優さんとの共演は?どんな女優さんですか?

ご存知のように凄く力のある女優さんです。とてもストレートな方で、清々しく分かりやすい方で、僕より「宮本」みたいな人です。同じ福岡出身ですが、僕なんかよりよっぽど男らしい!共演者としても仕事しやすく、何度共演しても新鮮に感じられる女優さんです。本作でもその新鮮さが出ていると思います。


――蒼井優さんとの共演は、「頼もしくもあり、救われた」と仰ってましたが、どんなところでしょう?

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宮本と靖子はお互い着火し合いながら相乗効果を生み出しています。時々とんでもない方向へいくような関係ですが、蒼井さんはもの凄くパワーのある人ですので、彼女が投げたボールをそれ以上のパワーで投げ返さなきゃならなくて、共演するのはとても大変です(笑)。でも、結果的には映画のためになっています。お互いプッシュし合ってできたシーンも沢山ありますので、どうかお見逃しなく。


――これからご覧になる皆様へのメッセージを。

2時間、宮本の生き様をたっぷり堪能して頂ければ嬉しいです。自分の生き恥も含め、宮本の力を借りて、新しい時代を迎えた皆様へのプレゼント、もしくはラブレターになれればいいなと思っております。本日はどうもありがとうございました。

串カツを食べて帰ります!(笑)。

 


 

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【STORY】
文具メーカー「マルキタ」で働く営業マン宮本浩(池松壮亮)は、ある喧嘩で負傷して上司に叱られている。愛想良くできない上に気の利いたお世辞も言えず、手柄を同僚に奪われるなど、営業マンとして四苦八苦していたが、なぜかこの日の宮本は晴々しい顔をしていた。それは中野靖子(蒼井優)との愛を不器用ながらも貫けた、初めて感じる男としての自信だった。そこには、語るもせつない宮本の悪戦苦闘の日々があったのだ。


痛々しい程の究極の愛に挑む宮本。「靖子は俺が守る!」と宣言したものの靖子を襲った悲劇に無力な自分を責め、そして絶対敵わない障害に挑戦する!……リスクを恐れず真っ向勝負に挑む宮本の情熱と誠意は、観る者を奮い立たせ、人を愛する覚悟を教えてくれているようだ。

 

(2019年 日本 2時間9分)
■出演: 池松壮亮、蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、柄本時生、 星田英利、古舘寛治、佐藤二朗、ピエール瀧、松山ケンイチ
■原作: 新井英樹『宮本から君へ』(百万年書房/太田出版刊)
■監督:真利子哲也 脚本:真利子哲也/港岳彦
■配給: スターサンズ/KADOKAWA   【R15+】 
■コピーライト:(C)2019「宮本から君へ」製作委員会

■公式サイト: https://miyamotomovie.jp/

2019年9 月 27 日(金) ~梅田ブルク 7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、神戸国際松竹 他 全国ロードショー


(河田 真喜子)

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